トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 液状熱硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法
【発明者】 【氏名】高橋 理恵子
【住所又は居所】埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太陽インキ製造株式会社嵐山事業所内

【氏名】木村 紀雄
【住所又は居所】埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太陽インキ製造株式会社嵐山事業所内

【氏名】依田 恭一
【住所又は居所】埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太陽インキ製造株式会社嵐山事業所内

【氏名】渡辺 靖一
【住所又は居所】埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太陽インキ製造株式会社嵐山事業所内

【要約】 【課題】ヒートサイクル時のクラック発生や、絶縁信頼性の悪化、穴部に充填された硬化物の上に形成される絶縁樹脂層や蓋メッキの層間剥離等がなく、絶縁信頼性や耐熱性、耐湿性、PCT耐性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線板の製造方法を提供する。

【解決手段】穴部を含む導体回路パターンを形成した配線基板の表面に、層間樹脂絶縁層と導体回路を積層してプリント配線板を製造するに際し、液状エポキシ樹脂、硬化触媒及びフィラーを含有し、25℃での粘度が1500dPa・s以下、溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムが300秒以上、130℃でのゲルタイムが600秒以下の液状熱硬化性樹脂組成物を上記穴部に充填し、90〜130℃に加熱してエポキシ基の反応率が80〜97%となるように予備硬化し、予備硬化した組成物の穴部表面からはみ出している部分を研磨・除去した後、さらに140〜180℃に加熱して本硬化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴部を含む導体回路パターンを形成した配線基板の表面に、層間樹脂絶縁層と導体回路を積層してプリント配線板を製造するにあたり、
(a)(A)液状のエポキシ樹脂、(B)硬化触媒、及び(C)フィラーを含有する液状熱硬化性樹脂組成物であって、25℃での粘度が1500dPa・s以下、溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムが300秒以上、130℃でのゲルタイムが600秒以下の液状熱硬化性樹脂組成物を上記穴部に充填する工程、
(b)該充填された組成物を90〜130℃に加熱して、エポキシ基の反応率が80〜97%となるように予備硬化する工程、
(c)予備硬化した組成物の穴部表面からはみ出している部分を研磨・除去する工程、及び
(d)予備硬化した組成物をさらに140〜180℃に加熱して本硬化する工程
を含む穴埋め加工を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記予備硬化工程(b)を、90〜110℃での一次予備硬化、110〜130℃の二次予備硬化の二段階に分けて行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液状熱硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法に関し、さらに詳しくは、多層基板や両面基板等のプリント配線板におけるバイアホール、スルーホール等の永久穴埋めを作業性良く行なうことができるプリント配線板の製造方法に関する。
なお、本明細書において、「穴部」とは、プリント配線板の製造過程で形成されるバイアホールやスルーホール等を総称する用語である。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板のパターンの細線化と実装面積の縮小化が進んでおり、さらにプリント配線板を備える機器の小型化・高機能化に対応すべく、プリント配線板のさらなる軽薄短小化が望まれている。そのため、プリント配線板は、コア基板の上下に樹脂絶縁層を形成し、必要な導体回路を形成してからさらに樹脂絶縁層を形成し、導体回路を形成していく方式のビルドアップ工法へ、また実装部品はBGA(ボール・グリッド・アレイ)、LGA(ランド・グリッド・アレイ)等のエリアアレイ型への進化が進んでいる。このような状況下において、スルーホールやバイアホール等の穴部に充填するための充填性、研磨性、硬化物特性等に優れた永久穴埋め用組成物の開発が望まれている。
【0003】
一般に、プリント配線板の永久穴埋め用組成物としては、その硬化物が機械的、電気的、化学的性質に優れ、接着性も良好であることから、熱硬化型のエポキシ樹脂組成物が広く用いられている。
また、かかるエポキシ樹脂組成物を用いるプリント配線板の永久穴埋め加工は、一般に、エポキシ樹脂組成物をプリント配線板の穴部に充填する工程、該充填された組成物を加熱して研磨可能な状態に予備硬化する工程、予備硬化した組成物の穴部表面からはみ出している部分を研磨・除去する工程、及び予備硬化した組成物をさらに加熱して本硬化する工程からなる。
【0004】
このプリント配線板の永久穴埋め加工では、エポキシ樹脂組成物をスルーホールやバイアホール等の穴部に充填する際に、空気の巻き込み等によりどうしてもボイドが発生してしまう。かかるボイドは、予備硬化や本硬化を行なっても完全に除去することは困難であり、なくすことはできなかった。このような現象は、穴部の深さが深い程(スルーホールの場合はコア基板の厚さが厚くなる程)、またエポキシ樹脂組成物の粘度が高い程顕著であった。また、前記プリント配線板の永久穴埋め加工では、予備硬化時にクラックが発生するという問題があった。
さらに、加熱硬化時の収縮が大きく、本硬化後にスルーホール壁との間に隙間が生じるという問題もあった。
【0005】
このようにプリント配線板の穴部に充填された樹脂組成物の硬化物にボイドやクラック等が発生すると、この部分によって吸湿性を呈し、高温高湿下でのPCT耐性(プレッシャー・クッカー耐性)が低下し、また、プリント配線板のヒートサイクル時のクラック発生や絶縁信頼性の悪化を招いてしまう。さらに、穴部に充填された硬化物の上に形成される絶縁樹脂層や蓋メッキの層間剥離の要因ともなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、前記したような事情に鑑みてなされたものであり、プリント配線板のバイアホール、スルーホール等の穴埋めを作業性良く行なうことができ、ヒートサイクル時のクラック発生や、絶縁信頼性の悪化、穴部に充填された硬化物の上に形成される絶縁樹脂層や蓋メッキの層間剥離等がなく、絶縁信頼性や耐熱性、耐湿性、PCT耐性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明によれば、穴部を含む導体回路パターンを形成した配線基板の表面に、層間樹脂絶縁層と導体回路を積層してプリント配線板を製造するにあたり、
(a)(A)液状のエポキシ樹脂、(B)硬化触媒、及び(C)フィラーを含有する液状熱硬化性樹脂組成物であって、25℃での粘度が1500dPa・s以下、溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムが300秒以上、130℃でのゲルタイムが600秒以下の液状熱硬化性樹脂組成物を上記穴部に充填する工程、
(b)該充填された組成物を90〜130℃に加熱して、エポキシ基の反応率が80〜97%となるように予備硬化する工程、
(c)予備硬化した組成物の穴部表面からはみ出している部分を研磨・除去する工程、及び
(d)予備硬化した組成物をさらに140〜180℃に加熱して本硬化する工程
を含む穴埋め加工を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法が提供される。
【0008】
前記「ゲルタイム」とは、JIS C 2105 18.2の熱板法に準拠してゲル化試験機により測定し、測定温度に保持した試料0.4ml中で回転棒を回転させたときのトルクが最大トルクの30%に達するまでの時間をいう。
さらに、前記「溶融粘度」とは、測定温度に保持した試料2mlを予熱5分後、ピストンにより荷重1kgをかけながらフローテスタ(ダイ穴径:1.0mm、ダイ長さ:10mm)で測定した粘度をいう。
前記した液状熱硬化性樹脂組成物は、25℃での粘度が1500dPa・s以下、溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムが300秒以上、130℃でのゲルタイムが600秒以下であるため、プリント配線板のバイアホールやスルーホール等の穴部への充填性(作業性)に優れると共に、ボイドの残留やクラックの発生がないという特有の効果を奏する。また、フィラーの高配合化が可能であり、硬化収縮が少ないと共に、得られる硬化物は、低吸湿性で密着性に優れ、高温高湿下での体積膨張が少なく、絶縁信頼性や耐熱性、耐湿性、PCT耐性等に優れている。
【0009】
好適な態様においては、前記予備硬化工程を、先の段階よりも後の段階の加熱温度が高くなるように少なくとも二段階に分けて行なう。
なお、本明細書中でいう「予備硬化」又は「予備硬化物」とは、エポキシ基の反応率が80%〜97%の状態のものをいう。
【発明の効果】
【0010】
前記のような方法により、プリント配線板のバイアホール、スルーホール等の穴埋めを作業性良く行なうことができ、ヒートサイクル時のクラック発生や、絶縁信頼性の悪化、穴部に充填された硬化物の上に形成される絶縁樹脂層や蓋メッキの層間剥離等がなく、絶縁信頼性や耐熱性、耐湿性、PCT耐性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線板を生産性良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の液状熱硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法の特徴は、スルーホールやバイアホール等の穴埋め加工を、予備硬化と本硬化( 仕上げ硬化)の二段階硬化により行なうため、予備硬化後に研磨可能な状態となり、予備硬化物の不要部分を物理研磨により極めて容易に研磨・除去することができる点にある。
また、エポキシ樹脂の予備硬化物は、本硬化時の収縮が少なく、また最終硬化物が絶縁信頼性や耐熱性、耐湿性に優れ、線膨張係数や、高温高湿条件下での吸水率や体積膨張が小さい点で有利であり、高信頼性の多層プリント配線板を製造することができる。
【0012】
さらに本発明のプリント配線板の製造方法の好適な態様においては、前記予備硬化工程を、先の段階よりも後の段階の加熱温度が高くなるように少なくとも二段階に分けて行なう。即ち、一次予備硬化として、まずエポキシ樹脂の架橋反応が生起せず、かつ溶融粘度が10dPa・s以下となる温度でボイドが除去されるまで加熱処理し、次いで、二次予備硬化として、エポキシ樹脂の架橋反応が生じる温度で、研磨可能な状態となるまで(エポキシ反応率80%〜97%)加熱処理する。例えば、通常の予備硬化温度である130℃での予備硬化(二次予備硬化)に先立って、これよりも低い温度、例えば100℃前後の温度で一次予備硬化を行なう。このように多段階予備硬化を行なうことにより、気泡を確実に除去し、ボイドの残留や予備硬化時のクラックの発生を抑制し易くなる。
【0013】
また、本発明のプリント配線板の製造方法に用いる液状熱硬化性樹脂組成物の第一の特徴は、25℃での粘度が1500dPa・s以下である点にある。これにより、プリント配線板のスルーホールやバイアホール等の穴部への充填性に優れたものとなり、スクリーン印刷法やロールコーティング法などの従来公知・慣用の技術でプリント配線板のバイアホール等の穴部に組成物を作業性良く充填することができる。
また、該組成物の第二の特徴は、溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムが300秒以上である点にある。溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムを300秒以上とすることにより、ボイドを確実に除去することができる。
さらに、該組成物の第三の特徴は、130℃でのゲルタイムが600秒以下である点にある。ゲルタイムが600秒を超えて遅くなると、予備硬化時にクラックが発生し易くなる。
なお、上記ゲルタイムが早くなるとボイドが残留し易くなるが、溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムを300秒以上に規制することにより、ボイドの残留を防止することができる。すなわち、130℃でのゲルタイムの上限と溶融粘度10dPa・s以下の温度でのゲルタイムの下限の両方を規制することによって、適度の予備硬化速度を達成し、ボイドの残留及びクラックの発生を防止することができる。
【0014】
以下、本発明のプリント配線板の製造方法に用いられる液状熱硬化性樹脂組成物の各構成成分について詳しく説明する。
まず、前記エポキシ樹脂(A)としては、周知のものであれば全て使用できる。具体的な例としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などの各種エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、塗膜の特性向上の要求に合わせて、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。但し、組成物としての粘度は、25 ℃での粘度が1500dPa・s以下であることが必要である。
なお、フェノール樹脂等の他の熱硬化性樹脂を、上記粘度範囲内で併用することができる。
【0015】
前記硬化触媒(B)としては、前記したように、用いるエポキシ樹脂に応じて130℃でのゲルタイムが600秒以下となるように、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する効果があれば何れのものも使用でき、特定のものには限定されない。それらのなかでも、130℃でのゲルタイムが600秒以下となるように調整しやすい点でイミダゾール誘導体が好ましく、例えば2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールなどが挙げられる。市販されているものの具体例としては、商品名2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ等のイミダゾール類や、商品名2MZ−A、2E4MZ−A等のイミダゾールのAZ INE化合物、商品名2MZ−OK、2PZ−OK等のイミダゾールのイソシアヌル酸塩、商品名2PHZ、2P4MHZ等のイミダゾールヒドロキシメチル体(前記商品名はいずれも四国化成工業(株)製)などが挙げられる。
【0016】
前記イミダゾール以外にも、ジシアンジアミドとその誘導体、メラミンとその誘導体、ジアミノマレオニトリルとその誘導体、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラメチレンペンタミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエタノーアミン、ジアミノジフェニルメタン、有機酸ヒドラジッド等のアミン類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(商品名DBU、サンアプロ(株)製)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名ATU、味の素(株)製)、又は、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物などを、用いるエポキシ樹脂に応じて130℃でのゲルタイムが600秒以下となるように、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。しかし、芳香族アミン類を用いた場合には加熱硬化後の樹脂組成物の収縮が大きく、硬化後にスルーホール壁との間に隙間が生じたり、穴埋め部の硬化物にボイドが生じ易いので好ましくない。これらの硬化触媒の中でも、ジシアンジアミド、メラミンや、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のグアナミン及びその誘導体、及びこれらの有機酸塩やエポキシアダクトなどは、銅との密着性や防錆性を有することが知られており、エポキシ樹脂の硬化触媒として働くばかりでなく、プリント配線板の銅の変色防止に寄与することができる。
【0017】
前記したような硬化触媒(B)の配合量は、用いるエポキシ樹脂に応じて130℃でのゲルタイムが600秒以下となるような量的割合であればよく、一般に、前記エポキシ樹脂(A)100質量部当り3質量部以上、20質量部以下、好ましくは5質量部以上、15質量部以下が適当である。硬化触媒(B)の配合量が3質量部未満の場合、一般にゲルタイムが600秒を超えるほど樹脂組成物の予備硬化速度が遅くなり、ボイドの残留とクラックの発生を生じ易くなるので好ましくない。一方、硬化触媒(B)の配合量が20質量部を超えて多量に配合すると、一般に樹脂組成物の予備硬化速度が早くなり過ぎ、ボイドが残留し易くなるので好ましくない。
【0018】
前記フィラー(C)としては従来公知の全ての無機充填剤及び有機充填剤が使用でき、特定のものに限定されないが、特に本発明の液状熱硬化性樹脂組成物では、スルーホール等への充填性(作業性)を損なうことなくフィラーの高配合化を可能にするために、フィラー(C)として、球状フィラーと粉砕フィラーを含むことが好ましい。また、特に好ましい態様においては、球状フィラーとして、球状微細フィラー及び球状粗フィラーが含まれる。
これらのフィラーのうち、球状微細フィラーと球状粗フィラーがフィラーの高配合化の役割を担い、一方、粉砕フィラーは粘度やチキソトロピーの変化による充填性の低下を防止する役割を担っている。特に、かかる役割を有効に発揮させるためには、前記球状微細フィラーの平均粒径は0.1μm以上、3μm未満、より好ましくは1.0〜2.0μm、前記球状粗フィラーの平均粒径は3μm以上、25μm未満、より好ましくは4〜10μm、前記粉砕フィラーの平均粒径は25μm以下、より好ましくは10μm以下であることが好ましい。なお、球状微細フィラーと球状粗フィラーの平均粒径差は、2〜12μmであることが好ましい。
【0019】
このような形態のフィラー(C)としては、通常の樹脂充填剤として使用されているものであればいかなるものであってもよい。例えば、シリカ、沈降性硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の体質顔料や、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体が挙げられる。
このようなフィラーは、その形状によって球状フィラーと球状以外の他の形状の粉砕フィラーに分類されるが、球状フィラーはその平均粒径によって上記のように球状微細フィラーと球状粗フィラーに分類される。球状微細フィラーと球状粗フィラーとしては球状シリカが好ましい。上記フィラー(無機充填剤)の中でも、低吸湿性、低体積膨張性に特に優れるのは、シリカである。シリカは溶融、結晶性を問わず、これらの混合物であってもかまわない。
なお、粉砕フィラーの形状は、球状以外の形状、例えば針状、板状、鱗片状、中空状、不定形、六角状、キュービック状、薄片状等が挙げられる。
【0020】
このようなフィラーにおいて、球状微細フィラーと球状粗フィラーの配合比率は、質量比で、40〜10:60〜90であることが好ましい。より好ましくは30〜20:70〜80である。
また、粉砕フィラーの配合量は、フィラー全体量の5〜20質量%であることが好ましい。5質量%未満では組成物の流動性が大きくなりすぎ、一方20質量%を超えると、組成物の流動性が悪くなり、いずれの場合も充填性の低下を招くからである。
この混合フィラーの総配合量は、組成物全体量の40〜95質量%が好ましい。40質量%未満では、得られる硬化物が充分な低膨張性を示すことができず、さらに研磨性や密着性も不充分となる。一方、95質量%を超えると、液状ペースト化が難しく、印刷性、穴埋め充填性などが得られなくなる。
【0021】
本発明の液状熱硬化性樹脂組成物では、前記した各成分に加えて、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤(D)を添加することが好ましい。これらのカップリング剤の添加方法は、組成物中に直に添加する方法、あるいは前記のようなフィラー(C)を予めカップリング剤で前処理したものを加える方法のいずれの方法でもよい。これらのカップリング剤の中でも、チタネート系カップリング剤を用いることが好ましい。
液状熱硬化性樹脂組成物中にカップリング剤が存在することにより、樹脂とフィラーの濡れ性が向上し、組成物の粘度が低下するために、本発明で規定する粘度及びゲルタイムの特性を維持しつつフィラーの高配合化が可能となる。また、フィラーを多量に配合しても粘度調整が容易であり、かつボイドの残留やクラック発生を大幅に低減できる。
【0022】
チタネート系カップリング剤としては、テトラノルマルブチルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ−n−ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、一方の端部に少なくとも2個以上のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が結合したアルコキシシラン基を有し、他方の端部にアミノ基、尿素基等のアミン系末端基を有する公知の化合物は全て使用できる。具体例としては、例えばγ−ウレイドプロピル トリエトキシシラン、γ−アミノプロピル トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル トリエトキシシラン等が挙げられる。
また、アルミニウム系カップリング剤としては、(アルキルアセトアセタト)アルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
これらのカップリング剤(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は前記フィラー(C)100質量部当り0.1〜5質量部の割合が好ましい。
【0023】
本発明の液状熱硬化性樹脂組成物では、粘度が1500dPa・s以下となるようにエポキシ樹脂を適宜選定して用いているため、必ずしも希釈溶剤を用いる必要はないが、組成物の粘度を調整するために、ボイドが発生しない程度に希釈溶剤を添加してもよい。
希釈溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、及び上記グリコールエーテル類の酢酸エステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などが挙げられる。
【0024】
さらに本発明の液状熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、保管時の保存安定性を付与するためにハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、クレー、カオリン、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤もしくはチキソトロピー剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤などの密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を配合することができる。特に、有機ベントナイトを用いた場合、穴部表面からはみ出る予備硬化物部分が研磨・除去し易い突出した状態に形成され易く、研磨性に優れたものとなるので好ましい。
【0025】
かくして得られる本発明の液状熱硬化性充填用組成物は、従来より使用されている方法、例えばスクリーン印刷法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等を利用してプリント配線板のバイアホールやスルーホール等の穴部に容易に充填することができる。
次いで、例えば約90〜130℃で約30〜90分程度加熱して予備硬化させる。好ましくは、前記したように約90〜110℃で一次予備硬化させた後、約110〜130℃で二次予備硬化させる。このようにして予備硬化された硬化物の硬度は比較的に低いため、基板表面からはみ出している不必要部分を物理研磨により容易に除去でき、平坦面とすることができる。
【0026】
その後、再度約140〜180℃で約30〜90分程度加熱して本硬化(仕上げ硬化)する。この際、本発明の液状熱硬化性樹脂組成物は低膨張性のために硬化物は殆ど膨張も収縮もせず、寸法安定性良く低吸湿性、密着性、電気絶縁性等に優れた最終硬化物となる。これにより得られる硬化物は、熱的信頼性や耐熱性、耐湿性に優れ、また高温高湿下においても体積膨張がほとんどなくPCT耐性に優れる。なお、上記予備硬化物の硬度は、予備硬化の加熱時間、加熱温度を変えることによってコントロールすることができる。
このように本発明の液状熱硬化性樹脂組成物を用いたプリント配線板の永久穴埋め加工によれば、作業性及び生産性よくプリント配線板の穴部の充填を行なうことができ、しかも穴埋め後の硬化物の特性・物性にも優れるものとなる。
なお、本発明の液状熱硬化性樹脂組成物は、プリント配線板の永久穴埋め用組成物としてのみでなく、上記のような優れた特性の故に、ソルダーレジストや層間絶縁材、ICパッケージの封止材等、他の用途にも好適に用いることができる。
【0027】
以下、本発明のプリント配線板を製造する方法について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下に述べる方法は、セミアディティブ法による多層プリント配線板の製造方法の一例であるが、本発明におけるプリント配線板の製造方法では、フルアディティブ法やマルチラミネーション法、ピンラミネーション法など、従来公知の各種方法を採用することができる。
【0028】
(1)スルーホールの形成
まず、図1(a)に示すように銅箔2をラミネートした基板1にドリルで貫通孔を明け、貫通孔の壁面及び銅箔表面に無電解めっきを施してスルーホール3を形成する。基板としては、ガラスエポキシ基板やポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、フッ素樹脂基板などの樹脂基板、あるいはこれらの樹脂基板の銅張積層板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。フッ素樹脂基板のようにめっきのつきまわりが悪い基板の場合は、有機金属ナトリウムからなる前処理剤、プラズマ処理などの表面改質を行なう。
次に、厚付けのために電解めっきを行ない、図1(b)に示すように基板表面及びスルーホール3内壁にめっき膜4を形成する。この電解めっきとしては銅めっきが好ましい。
【0029】
(2)穴埋め
前記(1)で形成したスルーホール3内に、図1(c)に示すように本発明の液状熱硬化性樹脂組成物を充填する。具体的には、スルーホール部分に開口を設けたマスクを基板上に載置し、印刷法等により塗布したり、ドット印刷法などにより、スルーホール3内に容易に充填できる。
次に、充填物を先に説明したような方法で予備硬化した後、図1(d)に示すように、スルーホールからはみ出した予備硬化物5の不要部分を研磨により除去して平坦化する。研磨は、ベルトサンダーやバフ研磨等により好適に行なうことができる。その後、さらに加熱して本硬化し、硬化物5の露出表面を必要に応じて粗化処理する。硬化物中に、粗化処理液に可溶の粒子が分散している場合、この粗化処理により溶解除去され、アンカー効果に優れた粗化面が形成されるので、その後施されるめっき膜との密着性に優れたものとなる。
【0030】
(3)導体回路層の形成
前記(2)でスルーホールの穴埋めを行なった基板の表面に触媒核を付与した後、無電解めっき、電解めっきを施し、図1(e)に示すようにめっき膜6を形成する。その後、図1(f)に示すようにエッチングレジスト7を形成し、レジスト非形成部分をエッチングする。次いで、エッチングレジスト7を剥離することにより、図1(g)に示すように、導体回路層8を形成する。エッチング液としては、硫酸一酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液など、従来公知のものを使用できる。
【0031】
(4)層間樹脂絶縁層の形成
その後、導体回路層の表面を必要に応じて黒化(酸化)一還元処理等の方法により処理した後、図2(a)に示すように、層間樹脂絶縁層10を形成する。層間樹脂絶縁層としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいはこれらの樹脂の複合体や混合物、ガラスクロス含浸樹脂複合体、無電解めっき用接着剤を用いることができる。層間樹脂絶縁層10は、これらの樹脂組成物の未硬化液を塗布したり、フィルム状の樹脂を熱圧着してラミネートすることにより形成される。
【0032】
(5)バイアホールの形成
次に、図2(a)に示されるように層間樹脂絶縁層10に開口11を設ける。この開口11の穿孔は、層間樹脂絶縁層10が感光性樹脂からなる場合は、露光、現像処理にて行ない、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなる場合は、レーザ光にて行なう。このとき使用されるレーザ光としては、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザなどがある。レーザ光にて孔明けした場合は、デスミア処理を行なってもよい。このデスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液からなる酸化剤を使用して行なうことができ、また酸素プラズマなどで処理してもよい。
開口11を形成した後、必要に応じて層間樹脂絶縁層10の表面を粗化処理する。
次に、層間樹脂絶縁層10の表面に無電解めっき用の触媒核を付与した後、無電解めっきを施し、図2(b)に示すように、全面にめっき膜12を形成する。
そして、図2(c)に示すように、めっき膜12上にめっきレジスト層13を形成する。めっきレジスト層は、好適には感光性ドライフィルムをラミネートして露光、現像処理して形成される。
さらに、電解めっきを行ない、導体回路部分を厚付けし、図2(c)に示すように電解めっき膜14を形成する。
次いで、めっきレジスト層13を剥離した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜12をエッチングにて溶解除去し、図2(d)に示すように、独立した導体回路(バイアホール15を含む)を形成する。エッチング液としては、硫酸一過酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液などを好適に用いることができる。
【0033】
図3は、プリント配線板の製造方法の他の例の概略工程を示しており、前記図1(d)に示すようなコア基板作製工程まで終えた後、コア基板20の両面の導体層に対し所定パターン通りにエッチングを施すと、図3(a)に示すように、基板20の両面に所定パターンを有する第1の導体回路層21が形成されると共に、スルーホール22に接続する導体回路層の一部にはランド23が同時に形成される。この際、前記硬化物5の研磨工程において、導体層も同時に研磨されてその厚みが均一で平坦性を有しているため、エッチングのバラツキやエッチングムラが生じ難く均一な厚みの導体回路層を得ることができる。
次いで、基板20の上下両面の上に、図3(b)に示すように、層間樹脂絶縁層24を形成する。さらに、上記ランド23の真上に位置する樹脂絶縁層に対し、図3(c)に示すように、公知のフォトリソグラフィー技術によりバイアホール25を形成する。次いで、バイアホール内と層間樹脂絶縁層の上に銅めっきにより銅めっき層を形成し、これらの上にエッチングレジストを形成した後で、エッチングを施す。これにより、図3(c)に示すように、層間樹脂絶縁層24の上に第2の導体回路層26が形成される。第1、第2の各導体回路層21、26はバイアホール25を介して互いに導通すると共に、基板両面の各導体回路層21、21もスルーホール22を介して互いに導通する。
そして、図3(c)に示すように、各樹脂絶縁層24と第2の導体回路層26の上にソルダーレジスト層27を形成し、上方のレジスト層には、これを貫通し且つ導体回路層の表面から立設するはんだバンプ28を形成する。また、下方のレジスト層の間に形成した開口部29から露出する導体回路層30には、その表面にAu及びNiメッキを施して、接続端子として用いる多層の配線基板を得ることができる。上記はんだバンプ28は、配線基板の主表面上に配置されるIC素子等の電子部品との接続に使用される。
【実施例】
【0034】
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0035】
実施例1〜12及び比較例1〜5
室温で液状のエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828及びエピコート807)に下記表1に列挙した各成分を表1に示す割合で配合し、予備混合した後、3 本ロールミルで練肉分散させて熱硬化性樹脂組成物を得た。
【0036】
【表1】


【0037】
このようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜5の液状熱硬化性樹脂組成物の25℃での粘度、100℃での溶融粘度、及び100℃と130℃でのゲルタイムについて下記の方法で測定し、そして配線基板の穴部に充填した硬化物のクラック、ボイドの残留、充填性、研磨性、硬化収縮及び体積膨張について以下の方法で評価した。その試験結果を表2 に示す。
【0038】
25℃での粘度:
試料を0.2ml採取し、コーンプレート型粘度計(東機産業(株)製)を用いて、25℃、回転数5rpmの30秒値を粘度とした。
【0039】
溶融粘度測定:
測定装置:島津フローテスタ CFT−100D(島津製作所(株)製)
測定方法:
(i)試料台を測定温度(100℃)に設定する。
(ii)シリンジで試料を2ml計り取る。
(iii)試料台に試料を注入し、予熱5分後、ピストンで荷重をかける。
測定条件:
荷重:1kg
ダイ穴径:1.0mm
ダイ長さ:10mm
【0040】
ゲルタイム測定:
測定装置:自動ゲル化試験機
測定方法:試料を0.4ml計り取り、測定温度(100℃、130℃)に保たれた鉄板上にのせる。ポリテトラフルオロエチレン製の棒をサンプル上で回転させ、試料のトルクが最大トルクの30%に達するまでの時間を測定し、ゲルタイムとした。
【0041】
クラック:
予めパネルめっきによりスルーホールを形成したガラスエポキシ基板(板厚1.6mm、スルーホール径0.3mm)に、各組成物をスクリーン印刷法でスルーホール内に充填した。これを熱風循環式乾燥炉に入れ、100℃で20分間保持した後に、130℃に昇温し、45分間予備硬化を行ない、評価サンプル(I)を得た。その後、この評価サンプル(I)をスルーホール部で切断し、断面を光学顕微鏡にて観察し、試料にクラック(割れ)が生じているスルーホールをNGとし、観察した穴数に対するNGの割合を計算した。判定基準は以下の通りである。
○:クラック発生率 0%
△:クラック発生率 50%以下
×:クラック発生率 50%超
【0042】
ボイドの残留:
前記評価サンプル(I)をスルーホール部で切断し、断面を光学顕微鏡にて観察し、スルーホール中のボイドの有無を確認した。ボイドが残留しているスルーホールをNGとし、観察した穴数に対するNGの割合を計算した。
○:ボイド残留率 0%
△:ボイド残留率 50%以下
×:ボイド残留率 50%超
【0043】
充填性:
予めパネルめっきによりスルーホールを形成したガラスエポキシ基板(板厚1.6mm、スルーホール径0.3mm)に、各組成物をスクリーン印刷法により下記の条件でスルーホール内に充填した。これを熱風循環式乾燥炉に入れ、100℃で20分間保持した後に、130℃に昇温し、45分間予備硬化を行なった。その後、スルーホール部で切断し、断面を光学顕微鏡にて観察し、スルーホール中の組成物の充填具合を確認した。
版:メタルマスク(メタル厚:0.1mm)
スキージ取付角度:75°
印刷スピード:3.0cm/sec
落とし込み量:2.5mm
判定基準は以下の通りである。
○:スルーホール中に完全に充填されている。
×:充填不足
【0044】
研磨性:
前記評価サンプル(I)をバフ研磨機で#320相当の樹脂研磨用バフ1軸により物理研磨を行ない、予備硬化後の不要硬化部分の硬化物除去を行なった。その際に完全に除去されるまでのパス回数により、研磨除去のし易さを評価した。判定基準は以下の通りである。
○:2パス以下
△:3又は4パス
×:5パス以上
【0045】
硬化収縮:
前記評価サンプル(I)をバフ研磨機で#320相当の樹脂研磨用バフ1軸により物理研磨を行ない、予備硬化後の不要硬化部分の硬化物除去し、平滑化した。この後、熱風循環式乾燥炉に入れ、150℃で1時間本硬化を行ない、評価サンプル(II)を得た。この評価サンプル(II)をスルーホール部で切断し、断面を光学顕微鏡にて観察した。その際に充填されている組成物の凹みによる基板表面との段差を硬化収縮とし、硬化収縮の有無を評価した。
【0046】
体積膨張:
前記評価サンプル(II)の両表面にソルダーレジストを全面塗布し、塗膜を形成した後、PCT(121℃、100%R.H.で96時間 の条件で処理を行なった。その際にスルーホール中の組成物の体積膨張が大きい場合は、スルーホール上のソルダーレジストが押し上げられ、ソルダーレジストが基板から剥がれる。その剥がれ度合いを光学顕微鏡にて観察し、評価した。判定基準は以下の通りである。
○:ソルダーレジストの剥がれ無し
×:ソルダーレジストの剥がれ有り
【0047】
【表2】


表2に示す結果から明らかなように、本発明の実施例1〜12の液状熱硬化性樹脂組成物によれば、ボイドの残留を生じることなく、穴部への充填性や予備硬化物の研磨性に優れ、また得られる硬化物にはクラックや硬化収縮は発生せず、体積膨張も生じなかった。
これに対し、溶融粘度10dPa・s以下の温度(100℃)でのゲルタイムが300秒未満の比較例1及び130℃でのゲルタイムが600秒を超える比較例2、4、5の液状熱硬化性樹脂組成物では、いずれも硬化物にクラックが発生するか、又はボイドの残留を生じた。一方、25℃での粘度が1500dPa・sを超える比較例3の組成物は、穴部への充填性に劣っており、またボイドの残留も生じた。また、有機ベントナイトを用いた比較例1〜3では研磨性は優れていたが、フィラーを添加しなかった比較例4では、研磨性が劣り、また硬化収縮が生じた。
また、実施例11と比較例3を比較すれば明らかなように、カップリング剤の添加により、樹脂とフィラーの濡れ性が向上し、液状熱硬化性樹脂組成物の粘度が低下するため、フィラーを多量に配合しても本発明で規定する粘度及びゲルタイムの特性が維持され、ボイドの残留やクラックを全く生じることなく、穴部への充填性や予備硬化物の研磨性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明の液状熱硬化性樹脂組成物を用いることにより、プリント配線板のバイアホール、スルーホール等の穴埋めを作業性良く行なうことができ、ヒートサイクル時のクラック発生や、絶縁信頼性の悪化、穴部に充填された硬化物の上に形成される絶縁樹脂層や蓋メッキの層間剥離等がなく、絶縁信頼性や耐熱性、耐湿性、PCT耐性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線板を生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による多層プリント配線板の製造方法の一例を途中工程まで示す概略断面図である。
【図2】図1に示す本発明による多層プリント配線板の製造方法の一例の後の工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明による多層プリント配線板の製造方法の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1,20 基板
2 銅箔
3,22 スルーホール
4,6,12,14 めっき膜
5 硬化物(予備硬化物)
7 エッチングレジスト
8,21,26,30 導体回路層
10,24 層間樹脂絶縁層
11 開口
13 めっきレジスト層
23 ランド
25 バイアホール
27 ソルダーレジスト層
28 はんだバンプ
29 開口部

【出願人】 【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
【住所又は居所】東京都練馬区羽沢二丁目7番1号
【出願日】 平成17年5月23日(2005.5.23)
【代理人】 【識別番号】100097135
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 繁喜

【公開番号】 特開2005−317986(P2005−317986A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2005−149800(P2005−149800)