| 【発明の名称】 |
磁場を用いたパターン形成方法および電子装置の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】上村 太一
【氏名】杉谷 雅夫
【氏名】熊倉 昌義
【氏名】木村 恒久
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| 【要約】 |
【課題】固化可能な流動性のある物質に磁場を印加することによって、各種の煩雑な工程を要せずに、所望の形状のパターンを形成することのできるパターン形成方法、及び、このパターン形成方法を用いた電子装置製造方法を提供することにある。
【解決手段】任意の流動性のある物質に磁場を印加することによって、流動性のある物質を移動させて所望の形状を形成した後、この流動性のある物質を固化させることによって所望の形状のパターン(固形物)を形成するパターン形成方法を提供する。磁化率の異なる2以上の物質を含む基板に磁場を印加して、基板中で磁化率の最も高い物質に磁力線を集中させて所望の磁束密度分布パターンを有する磁場を形成し、流動性のある物質にこの所望の磁束密度分布パターンを有する磁場を印加することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁場を流動性のある物質に印加することによって、前記流動性のある物質を移動させて所望の形状を形成した後、前記流動性のある物質を固化させることによって所望の形状のパターン(固形物)を形成することを特徴とするパターン形成方法。 【請求項2】 磁化率の異なる2以上の物質を含む基板に磁場を印加して、前記基板中で磁化率の最も高い物質に磁力線を集中させて所望の磁束密度分布を有する磁場を形成し、前記流動性のある物質に前記所望の磁束密度分布を有する磁場を印加することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。 【請求項3】 基板と異なる磁化率を有する少なくとも1の物質を前記基板上に印刷して印刷されたパターンを形成することにより、前記磁化率の異なる2以上の物質を含む基板を得ることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。 【請求項4】 インクジェット方式により印刷を行うことを特徴とする請求項3に記載のパターン形成方法。 【請求項5】 前記基板上に印刷する物質として、活性エネルギー線硬化型の塗布液を用いることを特徴とする請求項3又は4に記載のパターン形成方法。 【請求項6】 前記印刷されたパターンが濡れ広がらないように、活性エネルギー線を照射して硬化させることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。 【請求項7】 請求項5に記載のパターン形成方法を繰り返すことにより前記印刷されたパターンを積層させ、前記印刷されたパターンを基板面から高く形成することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。 【請求項8】 前記流動性のある物質が2つの流動性のある物質を含み、前記流動性のある物質に前記磁場を印加して所望の形状のパターンを形成した後、前記2つの流動性のある物質の少なくとも一方を固化させることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のパターン形成方法。 【請求項9】 前記2つの流動性のある物質の磁化率の差が、何れか一方が空気である場合よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のパターン形成方法。 【請求項10】 前記2つの流動性のある物質が互いに不溶であることを特徴とする請求項8又は9に記載のパターン形成方法。 【請求項11】 前記流動性のある物質として、液体を用いることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のパターン形成方法。 【請求項12】 前記液体として、溶融状態の固体を用いて所望の形状を形成した後、冷却することによって前記液体を固化することを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。 【請求項13】 前記液体として、溶融金属を用いることを特徴とする請求項12に記載のパターン形成方法。 【請求項14】 前記液体として、活性エネルギー線の照射によって硬化する液体を用いることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。 【請求項15】 前記液体として、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いることを特徴とする請求項14に記載のパターン形成方法。 【請求項16】 前記液体が前記基板に接していることを特徴とする請求項11から15の何れか1項に記載のパターン形成方法。 【請求項17】 磁場効果により液を集める部分の表面と前記液体との間の接触角θaと、磁場効果により液をはじく部分の表面と前記液体との間の接触角θbとが、θa<θbの関係であることを特徴とする請求項16に記載のパターン形成方法。 【請求項18】 前記液体が2つの液体を含み、第1の液体が第2の液体中にあるとき、磁場効果により前記第1の液体を集める部分と基板表面との間の接触角θcと、前記第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の接触角θdとが、θc<の関係であることを特徴とする請求項16に記載のパターン形成方法。 【請求項19】 請求項1から18の何れか1項に記載のパターン形成方法を繰り返すことによって、2以上の層を有するパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。 【請求項20】 電子装置の製造法であって、請求項1から18の何れか1項に記載のパターン形成方法を用いて電子製品に所望のパターンを形成することを特徴とする電子装置の製造方法。 【請求項21】 同一基板上に磁化率が異なる物質を含む電子装置の製造方法であって、 前記電子装置に磁場を印加して、最も磁化率の大きい物質の位置に磁力線を集中させて所望の磁束密度分布を有する磁場を形成し、前記電子装置上の流動性のある物質に前記所望の磁束密度分布を有する磁場を印加することによって、前記流動性のある物質を移動させて所望の形状を形成した後、前記流動性のある物質を固化させることによって、前記電子装置上に所望の形状のパターンを形成することを特徴とする電子装置の製造方法。 【請求項22】 請求項20又は21に記載のパターン形成方法を繰り返すことによって、2以上の層を有するパターンを形成することを特徴とする電子装置の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、流動性のある物質に磁場を用いることによって、所望の形状のパターン(固形物)を形成するパターン形成方法、及び、このパターン形成方法を用いた電子装置の製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来のパターン形成方法としては、例えば、フォトリソグラフィー、エッチングなどのパターン加工が広く用いられており、特に、半導体の分野においては、集積半導体回路に代表される電子装置の微細化が進み、多層構造の電子装置の必要性が高まっている。この多層構造をフォトソリグラフィー、エッチングで形成する場合、マスキングを始めとする非常に多くの工程が必要となるため、この工程を減らしてコスト削減を図るための様々な提案がなされている。例えば、特許文献1で提案された製造プロセスでは、必要なマスクの枚数を減らすことによってコスト削減を図っている。 【0003】 磁場を用いる技術については、強磁性体のように、磁場に対する相互作用が大きい物質については、磁石がFeやNi、Coを引き付ける事実が知られているように、従来から極めて多くの実用例が存在する。 【0004】 一方、ガラスや紙、水のような弱磁性体は自発磁化が無く、磁場によって誘起される磁気相互作用も非常に小さいため、物質移動に利用できるほどの力は発生しない。従って、弱磁性体を磁場によって物質移動させて利用する技術は、ほとんど用いられていない。 しかし、強磁場を用いると、磁場中で誘起された磁気相互作用が大きくなるため、流動性のある物質に強磁場を印加する場合には、弱磁性体であっても自身の形状を変える駆動力になる。このような強磁場を用いた技術の例として、磁気アルキメデス効果を利用した結晶成長方法(特許文献2参照。)、磁気異方性がある結晶を結晶軸がそろうように配向させる方法(特許文献3参照。)、物質界面を変化させる方法(特許文献4参照)等が提案されている。 【特許文献1】特開平06−283525 【特許文献2】特開平11−335200 【特許文献3】特開2003−342100 【特許文献4】特開平8−323192 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 特許文献1に開示された発明は、従来のフォトリソグラフィーやエッチングを用いたパターン形成方法のコスト削減を図るものであるが、あくまで従来技術の一部を改良したものである。従って依然として、マスクの位置合わせ、露光、現像、洗浄等の各種の煩雑な工程が必要であり、パターン形成のためのコストが大幅に下がることは期待できない。また、これらの工程の結果生じる廃液体の処理の問題も生じる。 【0006】 一方、弱磁性体に磁場を印加する技術に関しては、特許文献2も特許文献3も、強磁場を用いて結晶の成長方向を制御するものであり、弱磁性体自体を物質移動させたり、変形させたりするものではない。 【0007】 特許文献4には、磁場効果により流動性のある物質の界面の位置を変化させる技術が開示されているが、物質を流動性のある状態のまま扱うものであって、磁場の印加を停止させれば、この界面の変化を維持することはできず、その界面の形状を保存するようなことはできない。よって、この技術を適用するためには、常に磁場を印加し続ける必要があり、利用分野も限定される。 【0008】 従って、本発明の目的は、上述の課題を解決して、固化可能な流動性のある物質に磁場を印加することによって、各種の煩雑な工程を要せずに、所望の形状のパターンを形成することのできるパターン形成方法、及び、このパターン形成方法を用いた電子装置製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、固化可能な流動性のある物質を磁場効果で移動させて所望の形状を形成し、次いでこの流動性のある物質を固化させることによって、この流動性のある物質の形状を固定して所望の形状のパターンを形成することを知見し、本発明を完成させるに至った。更に、磁化率の異なる2つの流動性のある物質を用いることによって、例えば、2T以下の磁場で、弱磁性を示す流動性のある物質を移動させることが可能であることも知見し、本発明を完成させるに至った。 【0010】 本発明のパターン形成方法の第1の実施態様は、磁場を流動性のある物質に印加することによって、流動性のある物質を移動させて所望の形状を形成した後、流動性のある物質を固化させることによって所望の形状のパターン(固形物)を形成することを特徴とする。 【0011】 溶融状態の固体を流動性のある物質として使用する場合、特に溶融状態の固体が低融点金属である場合には、電子装置の導通接続用のはんだバンプ(金属突起)の形成に好ましく応用することができる。 【0012】 活性エネルギー線を用いて流動性のある物質を固体する場合、一般的に加熱の必要も無く短時間でパターンを得ることができる。短時間で固化できることから、磁場を印加し続ける時間を短縮でき、さらに加熱を特に必要としないため、非耐熱性材料への展開においても有利である。この活性エネルギー線により固化する液体としては、例えば、活性エネルギー線硬化型樹脂等が考えられる。 【0013】 流動性のある物質の移動には流動性のある物質の磁化率に応じた強さの磁場が必要であるが、本実施態様によれば、例えば弱磁性を示す流動性のある物質であっても、それに応じた強さの磁場を印加することによって移動させて、所望の形状のパターンを得ることができる。 【0014】 また、流動性のある物質が液体である場合には、この液体を固化させる手段としては、熱、光、湿気硬化、紫外線を始めとする活性エネルギー線の照射による硬化、溶融状態からの冷却固化、希釈溶剤蒸散による固化など、あらゆる手段を用いることができる。 【0015】 流動性のある物質が粉である場合、粉の流動性を無くす手段としては、焼付けや、圧縮固定など、あらゆる手段を用いることができる。本明細書等で例示した流動性のある物質の他にも、固化可能な流動性のある物質であるならば、あらゆる物質が適応可能である。 【0016】 本発明のパターン形成方法のその他の実施態様は、磁化率の異なる2以上の物質を含む基板に磁場を印加して、磁化率の最も高い物質の位置に磁力線を集中させて所望の磁束密度分布を有する磁場を形成し、流動性のある物質にこの所望の磁束密度分布を有する磁場を印加して、流動性のある物質を所望の形状にすることを特徴とする。本実施態様のように、所望の位置に磁力線を集中させることによって、所望のパターン形成に必要な磁束密度分布を持つ磁場を得ることができる。 【0017】 以上の手法で磁力線を集中させることによって、例えば、図6、7の模式図で示した磁束密度分布を得ることができる。ここで、図6は磁力線と基板が概略直行する面に流動性のある物質が位置する例で、図7は磁力線と基板が概略平行する面に流動性のある物質が位置する例である。 【0018】 図6(a)で示したように、基板と磁場が概略直行する面に流動性のある物質が位置する場合は、磁化率χが相対的に物質Bより大きい物質Aに磁力線が集中し、流動性のある物質が常磁性体の場合(図6(b)参照。)には、基板上の流動性のある物質は磁場に引き寄せられて形状を形成する。逆に、液体が反磁性体の場合(図6(c)参照。)には、基板上の液体は磁場にはじかれて形状を形成する。 【0019】 一方、磁場が基板に概略平行する面に流動性のある物質が位置する場合にも、磁化率χが相対的に物質Bより大きい物質A上に磁力線が集中するが、図7(a)で示すように、物質A上の磁力線密度が疎になるため、図7(b)、(c)に示すように、基板上の液体は磁場が概略直行する場合と反転したパターンを形成する。ここで、図6、7に示した磁束密度分布はあくまで一例であり、その他様々な態様が考えられる。 【0020】 本実施態様によれば、基板の磁化率の分布に応じた磁束密度分布を有する磁場を形成し、流動性のある物質を任意の位置に移動させることができるので、従来のようなマスクキング等の多くの工程を行わないで、同様の形状のパターン形成が可能である。本実施態様において、この基板の形状は、平面を含むものや曲面を含むものを始めとするあらゆる形状が含まれる。 【0021】 本発明のパターン形成方法のその他の実施態様は、基板と異なる磁化率を有する少なくとも1の物質を基板上に印刷して印刷されたパターンを形成することにより、磁化率の異なる2以上の物質を含む基板を得ることを特徴とする。ここで、基板と異なる磁化率を有する物質の印刷方法としては、あらゆる印刷方法を適用することが可能であるが、中でも、インクジェット方式を用いれば、マスクを用いる必要がなく、また繊細な形状が自由に形成できる点で好ましい。 【0022】 また、このようにして基板上に印刷されたパターンを、様々な方法で固化、固定することが可能であるが、中でも基板へ印刷する物質として、エネルギー線硬化型の塗布液、例えばインクエネルギー線硬化インクを用いることによって、加熱の必要なく速やかに印刷パターンを固化することが可能となる。エネルギー線硬化性インクを用いることにより、インクのにじみで印刷されたパターンが広がる前に固化させることが可能であり、印刷されたパターンを微細化することが可能である。また、基板と異なる磁化率を有する物質をインクジェットで基板上に印刷して印刷されたパターンを形成し、この印刷されたパターンに活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を繰り返すことによって、印刷されたパターンを積層させることもできる。このことにより、印刷されたパターンを基板面から高く形成することが可能となり、磁化率が相対的に高い物質に集まる性質を持つ磁力線を、より効率よく集中させることができる。 【0023】 本発明のパターン形成方法のその他の実施態様は、流動性のある物質が2つの流動性のある物質を含み、流動性のある物質に磁場を印加して所望の形状のパターンを形成後、2つの流動性のある物質の少なくとも一方を固化させることを特徴とする。 【0024】 本実施態様においては、磁化率の異なる2つの流動性のある物質を併用することによって、2つの流動性のある物質の間に生じる磁場との引力と斥力の相互作用の差が、流動性のある物質移動の駆動力として足し合わされる。この場合、流動性のある物質の磁化率と空気の磁化率の差よりも大きくなる第2の流動性のある物質を選択する必要があり、この条件を満たすことによって空気中で実施するよりも流動性のある物質の移動が増強される。流動性のある物質として液体を用いる方法のほかに、磁化率の相対的な差を大きくする方法として、高圧ガスを用いることもできる。この場合、大気圧状態よりも密度が上がるので、ガスを適切に選ぶことによって、空気中で実施する場合よりも流動性のある物質との磁化率の差を大きくすることができる。 【0025】 上記の磁場効果による流動性のある物質の移動の増強のほかに、第2の流動性のある物質によって、第1の流動性のある物質を重力で押し付ける効果が有る。第2の流動性のある物質の比重が空気よりも重いと効果があり、第2の流動性のある物質が第1の流動性のある物質を押し付けることにより、流動性のある物質の移動がアシストされる。好ましくは第1の流動性のある物質の比重を超えない範囲で、第2の流動性のある物質の比重が大きい方が良い。 【0026】 本発明のパターン形成方法のその他の実施態様は、流動性のある物質が液体であり、なおかつ基板と液体とが接していることを特徴とする。この場合、磁場効果により液を集める部分の表面と液体との間の接触角θaと、磁場効果により液をはじく部分の表面と液体との間の接触角θbとが、θa<θbの関係にあるとき、液の濡れ性によって磁場による液体の移動を有利にアシストすることができる。 【0027】 また、界面自由エネルギーに関しては、液体と磁場効果により液体を集める部分との間の界面自由エネルギーが、液体とそれ以外の部分との間の界面自由エネルギーよりも大きいときには、この界面自由エネルギーの差で磁場による液体の移動を有利にアシストすることができる。 【0028】 更に、この液体が2つの液体を含む場合において、第1の液体が第2の液体中にあるとき、磁場効果により第1の液体を集める部分と基板表面との間の接触角θcと、第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の接触角θdとが、θc<θdの関係であるとき、液の濡れ性によって、液体の磁場効果による移動は有利に増強される。 【0029】 また、界面自由エネルギーに関しては、液体が2つの液体を含む場合において、第1の液体と磁場により第1の液体を集める部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγc、第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγd、第2の液体と磁場により第1の液体を集める部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγe、第2の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγfとするとき、γc、γd、γe、γfが、γc−γf>γe−γdのような関係にあるとき、第1の液体と第2の液体の磁場効果による移動は、界面自由エネルギーの差によって有利に増強される。 【0030】 流動性のある物質が2つの液体を含む場合において、第1の液体を基板に塗布し、次いで第2の液体を塗布する場合、第1の液体による層が基板板の表面と接して界面張力により束縛されているときには、第1の液体による層と第2の液体による層が基板面に対して反転しない範囲で、第2の液体の比重は大きいほど好ましい。このような磁化率χと比重ρと液体移動の増強効果は、Δχ/Δρが大きいほど高い。 【0031】 上記のように例示した手法により、弱い磁場を用いて流動性のある物質の移動を行うことができる。また、2つの流動性のある物質の一方だけを固化してパターンを形成し、残りの流動性のある物質を取り除くこともできるし、両方の流動性のある物質を固化させてパターンを得ることもできる。固化後、本実施態様に示される手法で作成したパターンを基板より剥離して、パターンのみ得る事もできる。 【0032】 本発明のパターン形成方法のその他の実施態様は、2つの流動性のある物質が互いに不溶であることを特徴とする。 【0033】 本発明のパターン形成方法のその他の実施態様は、上述のパターン形成方法を繰り返すことによって、2以上の層を有するパターンを形成することを特徴とする。本実施態様によれば、従来のような多くの工程を繰り返すことなく、複数の層を有するパターンを得ることができる。 【0034】 本発明のその他の実施態様は、上述のパターン形成方法を用いて、電子装置に所望のパターンを形成することを特徴とする。本実施態様によれば、上述のあらゆるパターン形成方法を用いることによって、電子製品上に所望のパターンを形成できる。形成するパターンはあらゆるものが考えられるが、例えば電子装置の製造方法においては、半導体を含む絶縁体を形成することも考えられるし、金属の電極や配線などの導電体を形成することもできる。 【0035】 本発明の電子装置の絶縁膜の形成方法の1つの実施態様は、同一基板上に磁化率の異なる物質を含む電子装置のパターン形成方法であって、電子装置に磁場を印加して、相対的に磁化率の大きい物質に磁力線を集中させて所望の磁束密度分布を有する磁場を形成し、電子装置上の流動性のある物質にこの所望の磁束密度分布を有する磁場を印加することによって、流動性のある物質を移動させて所望の形状を形成した後、固化させることによって、電子装置上に所望の形状のパターンを形成することを特徴とする。 【0036】 本実施態様によれば、例えば、強磁性体である金属電極部分を選択的に開口した絶縁膜を、従来のような多くの工程を行うことなく形成することができる。 【0037】 本発明の電子装置上にパターンを形成する方法の他の実施態様は、上述のパターン形成方法を繰り返すことによって、2以上の層を有するパターンを形成することを特徴とする電子装置の製造法である。本実施態様によれば、従来のような多くの工程を繰り返すことなく、複数の層を有するパターンを電子装置上に設けることができる 【発明の効果】 【0038】 本発明のパターン形成方法によれば、従来のフォトリソグラフィーやエッチングを用いたパターン形成方法に比べて、パターン形成のための煩雑な工程を必要とせずに低いコストで短時間に、所望の形状のパターン形成することができる。また、本発明のパターン形成方法によれば、従来のフォトリソグラフィーやエッチングを用いたパターン形成方法のような廃液が生じないため、廃液処理の必要もなく、環境面においても有利である。 【0039】 また、本発明のパターン形成方法によれば、磁化率の異なる流動性のある物質を用いることによって、1つの流動性のある物質を用いるよりも弱い磁場を用いて、弱磁性体の流動性のある物質から所望のパターンを得ることができ、設備、製造コストを低減でき、安全性においても有利なパターン形成方法である。 【0040】 本発明のパターン形成方法を用いた電子装置製造方法によれば、上記と同様の効果が得られ、従来に比べて、コスト的、時間的メリットを有し、安全面や環境面においても有利な電子装置の製造方法である。 【発明を実施するための最良の形態】 【0041】 以下に図面や表を用いながら、本発明のパターン形成方法、及び、このパターン形成方法を用いた電子装置の製造方法に関する実施形態を説明する。本発明は、磁場を流動性のある物質に印加することによって、磁気的引力、斥力で流動性のある物質を所望の形状にし、次いでこの流動性のある物質を固化して所望の形状のパターンを得るパターン形成方法に関する。 【0042】 ここで、本発明で言う磁場(磁界)H(単位はAT/m=アンペア-ターン/メートル)とは、電荷が動くことによって生じる渦状の場を指し、電荷の動きに力を及ぼす。磁場の強さは磁束密度B(単位はT=テスラ)で表され、磁界と垂直な面積S(m2)を貫く磁束線の数Φ(単位はWb=ウェーバー)を面積で割ったものである。 式1 B=Φ/S (Wb/m2=T) 【0043】 代表的な磁場の発生源と、その磁束密度を図1の表に示す。このような磁場は、電磁石のように電流を流すことで発生させたり、永久磁石のように物質が持つ電子スピンの磁気モーメントの方向を揃えることで発生させたりすることができる。また、磁束密度Bと磁場Hの関係は、真空中では以下の関係式が成り立つ。 式2 B=μ0H 【0044】 ここで、μ0は真空の透磁率で、有理単位で4π×10−7(ヘンリー/メートル=H/m)、非有理単位で1(無名数)であり、磁束密度Bと磁場強度Hを結びつける係数である。また、磁場中に物質を置いた際の磁束密度Bと磁場の強さHとの比μをμ0で割ったものを透磁率K(ヘンリー/メートル=H/m)という。 式3 K=μ/μ0 【0045】 磁場による物質の相互作用の強さは磁化率χで示され、その絶対値が大きい方がより強く物質に磁場が誘起され、誘起した磁場と強い磁気的相互作用を起こす。そして、上述した透磁率Kとは非有理単位で以下の関係式が成り立つ。 式4 K=1+χ 【0046】 以下の説明においては、特に断りが無い限り、磁化率χは非有理単位で示す。 【0047】 次に、代表的な物質の非有理単位での磁化率χ(cgs・emu)を図2から図5の表に示す。図2の表は単体の磁化率を示し、図3の表は有機化合物のグラム磁化率を示し、図4の表は常磁性遷移元素のモル磁化率を示し、図5の表は強磁性体のモル磁化率を示す。 【0048】 前述したように、磁場と物質との相互作用は、磁場の強さと磁化率χの絶対値で決まり、磁場が強く磁化率χの絶対値が大きい方(つまり、強い磁場と磁化率χの絶対値が大きい物質の組み合わせ)がパターン形成に有利である。具体的には、例えば、一般的に入手できる永久磁石(0.5T程度)は、磁化率χの大きいFeやNi、Coを引き付けるが、磁化率χが小さいガラスやアルミ、紙やプラスティック、水を引き付けない。 【0049】 このような差は、FeやNi、Coのような磁化率χが大きい材料(強磁性体)は磁場によって強く磁化され、強く引き付けられるが、ガラスやアルミ、紙やプラスティック水は磁化率χが非常に小さいため、物質移動が行えるほど磁場と強い相互作用を起こさないことから説明できる。 【0050】 一方、このような磁化率χが小さい物質(弱磁性体)に対しても、強磁場を用いれば物質移動を起こさせることが可能で、具体的には、磁束密度は2T(テスラ)以上であることが好ましく、更に好ましくは10T以上である。その効果は、磁場の強さの2乗に比例するため、より強力な磁場を用いることによって強磁性体以外の物質に対する本発明の適応範囲が広がる。 【0051】 また、図2から図5の表に、磁化率χ>0となる物質と、磁化率χ<0となる物質を例示したが、前者は常磁性体、後者は反磁性体と呼ばれている。磁化率χが負の値を示す反磁性体は、磁場により同じ極の磁化が誘起され、磁力線から遠ざかる方向に力が働く。ちょうど、磁石のN極とN極、S極とS極同士が反発するのと同じである。逆に、磁化率χが正の値を示す常磁性体は、磁場により逆の磁化が誘起され、磁力線に引き付けられる方向に力が働く。ちょうど、磁石のN極とS極が引き付け合うのと同じである。 【0052】 流動性のある物質に対して印加する磁場は、あらゆる磁場源を利用して印加することが可能であり、磁場強度を変化させたり、磁場を移動させたり回転させたり、直流磁場を用いたり、交流磁場を用いたりすることもできる。 【0053】 磁化率の異なる2つの液体を用いる場合 次に、磁化率の異なる2つの流動性のある物質に磁場を印加する場合を考える。互いに不溶の第1の流動性のある物質と第2の流動性のある物質において、もし、第1の流動性のある物質の磁化率χ1と第2の流動性のある物質の磁化率χ2がχ1>χ2の関係にある場合には、第1の流動性のある物質と第2の流動性のある物質が2層になった系に磁場を印加すると、第1の流動性のある物質は磁場に引き寄せられ、第2の流動性のある物質は磁場からはじかれる。 【0054】 更に詳細に説明すると、第1の流動性のある物質と第2の流動性のある物質のどちらが磁場へ集まるかという点に関しては、磁化率の相対的な差で定まる。上記の説明においてただ一つの流動性のある物質を用いる場合、磁化率χ>0となる流動性のある物質が磁場に引き寄せられると記載したが、第2の流動性のある物質が存在する場合には、χが大きいほうの流動性のある物質が相対的に引き寄せられる。仮に第1の流動性のある物質の磁化率χ1が負の値であっても、第2の流動性のある物質の磁化率χ2がχ1より小さい場合は、第1の流動性のある物質が磁場へ集まる。つまり、第2の流動性のある物質が第1の流動性のある物質よりも強く磁場にはじかれることによって、第1の流動性のある物質が磁場へ集まるようになる。また、後述するように、磁力線を集中させる場合には、同様に、第1の流動性のある物質が磁束密度の高い部分に集まることになる。 【0055】 流動性のある物質が液体である場合、液体と基板の濡れ性も液体移動に影響を及ぼし、この液体が2つの液体を含み、第1の液体が第2の液体中にあるとき、磁場効果により第1の液体を集める部分と基板表面との間の接触角θcと、第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の接触角θdとが、θc<θdの関係である場合、第1の液体と第2の液体の磁場による移動は、濡れ性の差により増強される。 【0056】 また、界面自由エネルギーに関しては、流動性のある物質が液体である場合、液体と基板の界面自由エネルギーも液体移動に影響を及ぼし、第1の液体と磁場効果により第1の液体を集める部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγc、第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγd、第2の液体と磁場効果により第1の液体を集める部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγe、第2の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγfとするとき、γc、γd、γe、γfの関係がγc−γf>γe−γdである場合、第1の液体と第2の液体の磁場による移動は、界面自由エネルギーの差により増強される。 【0057】 また、第1の流動性のある物質の上方に第2の流動性のある物質が存在する場合には、更に、第2の流動性のある物質にかかる重力によって、第1の流動性のある物質は上方から鉛直下向きに押し付けられ、磁場効果による第1の流動性のある物質の移動が増強される。 【0058】 以上のように、磁化率の異なる2つの流動性のある物質を併用すれば、引力と斥力の相互作用や重力によって流動性のある物質の移動力を高め、また、流動性のある物質が液体である場合には、界面自由エネルギーによって、更に磁場効果による物質移動を有利に進めることができる。このような磁場効果を増強させる手法を用いることによって、高価な強磁場発生装置を用いなくても、一般的な磁場発生装置を用いて弱磁性体を移動させることができる。 【0059】 磁場を集中させる方法 磁場を所定の位置に集中させる方法として、所定の形状に加工した磁石を所定の位置に設置して磁場を印加する方法や、磁力線がより磁化率χの大きい物質に集中することを利用することができる。前者の場合、永久磁石の微細加工が難しいこと、磁石の体積が小さくなると、磁場が弱くなること等が欠点として挙げられ、微細な領域に磁力線を絞るのは難しい。一方、電磁石についても、所望の磁束密度分布を微細化するには電磁石も小さくする必要があり、自ずと限界が生じる。 【0060】 ここでは、磁場を更に微細な領域に選択的に集中させる方法を考える。つまり、相対的に磁化率χが大きい物質に対して、磁場を印加することによって、磁化率χが大きい物質に磁力線が集中することを応用する。 【0061】 図6から図8を用いて、更に詳細に説明する。図6、図7には、内部に物質Aを含んだ平板状の基板Bに、磁力線を基板面に対して垂直に印加する(縦磁場をかける)場合(図6参照)と、基板面に対して平行に印加する(横磁場をかける)場合(図7参照)を示した。どの図面も、この物体Aを含んだ基板Bの断面を表した模式的断面図である。また、物質Aの磁化率は物質Bの磁化率よりも大きい。ただし、物質Aは物質Bの内部にあっても、表面にあっても構わない。また、物質A、物質Bの形状は、この実施形態の形状には限られず、あらゆる形状が考えられる。 【0062】 図6(a)から明らかなように、磁力線は磁化率の高い物質Aに引き付けられ、物質Aのある位置に磁場が集中する。ここで、この基板上に液体が存在すると、液体が正の磁化率をとる常磁性体や強磁性体の場合には、図6(b)に示したように、液体は磁場が集中した位置へ集まる。また逆に、液体が負の磁化率をとる反磁性体の場合には、図6(c)に示したように、液体は磁場が集中した位置からはじかれる。 【0063】 以上のように、基板面に対し縦磁場をかけた場合には、磁力線は磁化率の高い物質Aに引き付けられ、物質Aのある位置に磁場が集中する。磁化率χの差が大きい物質が磁力線の集中に有利であり、特に強磁性体は磁力線を集中させるのに効果的である。そして、この基板面に流動性のある物質が存在すると、流動性のある物質がχ>0の常磁性体や強磁性体の場合には、図6(b)に示したように、流動性のある物質は磁場が集中した位置へ集まる。また逆に、流動性のある物質がχ<0の反磁性体の場合には、図6(c)に示したように、流動性のある物質は磁場が集中した位置からはじかれる。 【0064】 次に、基板面に対して横磁場をかけた場合について、図7を用いて説明する。図7(a)から明らかなように、基板面に対して横磁場をかけた場合も磁力線は磁化率の高い物質A側に引き付けられるため、物質A上の磁力線が引き寄せられるので、磁束密度が小さくなる。そして、この基板面に流動性のある物質が存在すると、流動性のある物質が磁化率がχ>0の常磁性体や強磁性体の場合には、図7(b)に示したように、流動性のある物質は磁場が集中した位置へ集まる。また逆に、流動性のある物質が磁化率がχ<0の反磁性体の場合には、図7(c)に示したように、流動性のある物質は磁場が集中した位置からはじかれる。このように、基板面に対して磁場を概略直行するように印加した場合と、概略平行になるように印加した場合では、流動性のある物質の動きが逆転する。 【0065】 また、図8には、縦磁場をかけた場合において、磁化率の異なる第1の流動性のある物質と第2の流動性のある物質が、基板上に存在する場合を示す。第1の流動性のある物質の磁化率χ1が第2の流動性のある物質の磁化率χ2よりも大きい場合には、図8(a)に示したように、第1の流動性のある物質はより磁場が集中する位置に集まり易くなる。 【0066】 また、第1の流動性のある物質の磁化率χ1が第2の流動性のある物質の磁化率χ2よりも小さい場合には、図8(b)に示したように、第1の流動性のある物質は磁場が集中する位置からはじかれる。また、第1の流動性のある物質の磁化率χ1と第2の流動性のある物質の磁化率χ2の差が大きいほうが、引き付けられる効果とはじかれる効果が足し合わされた相対的効果が大きくなり、流動性のある物質の移動が増強される。磁化率の差は、空気と接している場合よりも大きい方が好ましい。空気と接している場合よりも磁化率の差が小さくても、重力や流動性のある物質が液体である場合には濡れ性の差の効果により、液体移動がアシストされる。 【0067】 こうして第1の流動性のある物質と第2の流動性のある物質を移動させて所望の形状が得られた後、これらの流動性のある物質を熱、光、湿気硬化、エネルギー線の照射など任意の手段で固めてパターンを得ることができる。この場合、第1の流動性のある物質又は第2の流動性のある物質の一方のみを固めてパターンを得ることもできるし、第1の流動性のある物質と第2の流動性のある物質の両方を固めて、パターンを得ることもできる。更に、このパターンの上に固化可能な流動性のある物質を載せて、磁場を印加して形状を作り、次いで固化させることによって、パターンを積層させることもできる。こうして得られたパターンを、磁力線を集中させるために用いた基板表面から取り外して、パターン単体として利用することもできる。 【0068】 濡れに付いて 流動性のある物質が液体であり、かつ磁力線を集中させるために用いる磁化率が異なる物質からなる基板とこの液体が接している場合、磁場効果により液体を集めてパターンを形成する位置の表面を濡れやすく改質することが考えられる。ここでいう改質とは、磁場効果により液体を集めてパターンを形成する表面を濡れやすくする、あるいはパターンを形成しない表面を濡れにくくする、あるいはその両方を併用することを言う。また、界面自由エネルギーに関して言えば、改質とは、磁場効果により液体を集めてパターンを形成する部分と液体との間の界面自由エネルギーが、磁場効果により液体をはじく部分と液体との間の界面自由エネルギーよりも大きいことを言う。基板表面の改質方法としては、例えば、濡れやすい材質を選ぶ、任意の部分が濡れやすくなるようにプラズマ処理を行う、シランカップリング剤で任意の部分の表面をコーティングするなどの手法を行うことができる。 【0069】 流動性のある物質が2つの液体を含む場合、第1の液体が第2の液体中にあるとき、磁場効果により第1の液体を集める部分と基板表面との間の接触角θcと、第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の接触角θdとが、θc<θdの関係である場合、第1の液体と第2の液体の磁場による移動は、濡れ性の差によって有利に増強される。 【0070】 また、界面自由エネルギーに関しては、流動性のある物質が2つの液体を含む場合、第1の液体と磁場効果により第1の液体を集める部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγc、第1の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγd、第2の液体と磁場効果により第1の液体を集める部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγe、第2の液体とそれ以外の部分の基板表面との間の界面自由エネルギーをγfとするとき、γc、γd、γe、γfの関係がγc−γf>γe−γdである場合、第1の液体と第2の液体の磁場による移動は、界面自由エネルギーの差によって有利に増強される。 【0071】 ここで、本発明に用いることができる第1の液体、第2の液体の少なくとも一方に、界面張力および濡れを調節するために、各種界面活性剤を配合することができる。このような界面活性剤としては、アニオン界面活性剤として、石ケン、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩などが挙げられ、両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルキルベタイン、スルホベタイン、アミオキサイドなどが挙げられ、非イオン(ノニオン)型界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキルエーテル型化合物、ポリオキシソルビタンエステルなどのエステル型化合物、アルキルフェノール型化合物、フッ素型化合物、シリコーン型化合物などが挙げられる。これらの化合物は、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。 【0072】 流動性のある物質について 磁場を用いたパターン形成で用いる流動性のある物質として、磁場効果で所望の形状に流動性のある物質を動かした後、固化できる物質であればあらゆるものを用いることができる。 【0073】 特に流動性のある物質が液体である場合が好ましく、液体の粘度が低いほど磁場による移動をスムーズに行えるため、さらに好ましい実施形態になる。これ以外にも流動性がある粉や、気体に対しても適応可能であり、物質の形態にはとらわれない。 【0074】 この流動性のある物質として、硬化性の有機成分および無機成分を適宜用いることができる。これらのうち、有機成分としては、各種エポキシ化合物、シロキサン化合物などのほか、硬化性のモノマーやオリゴマーなどのプレポリマーを使用することができ、これらをポリマーの状態で融解させたり、溶媒に溶解させて使用したり、流動性のある微粉末を使用したりすることもできる。これらのうち、熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルブチラール、塩化ビニル、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、エチレン、アミド、セルロース、イソブチレン、ビニルエーテルなどからなるプレポリマーやポリマーを挙げることができる。また、熱硬化性樹脂としては、尿素、メラミン、フェノール、レゾルシノール、エポキシ、エピスルフィド、イソシアネート、イミドなどからなるプレポリマーやポリマーを挙げることができる。これらの化合物は、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。 【0075】 このような硬化性のプレポリマーを流動性のある物質に配合する際には、プレポリマーを硬化させるための硬化剤、重合開始剤を必要に応じて配合することもできる。これらの硬化剤、重合開始剤の種類は、配合するプレポリマーの種類に応じて適宜選択することができる。このような硬化剤、重合開始剤としてエネルギー線により反応を開始する化合物を好ましく用いることができる。例えば、アクリルモノマー・オリゴマーの光ラジカル重合型樹脂、ポリエン-チオール硬化系の光マイケル付加型樹脂、エポキシおよびオキセタンおよびビニルエーテルモノマー・オリゴマーの光カチオン重合型樹脂が例示できる。また、これら配合には各種公知の光反応増感剤を使用することもできる。 【0076】 活性エネルギー線としては、紫外線、電子線などが挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。また、活性エネルギー線を照射する際、その雰囲気に限定されるものではなく、大気、窒素やアルゴンなどの不活性ガス、真空中など様々な雰囲気下、温度環境下で照射することができる。 【0077】 また、パターン形成するために使用できる無機成分としては、各種金属アルコキシド、各種金属塩化物、水ガラス、コロイダルシリカ、各種ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素フッ化物、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ化物、金属ホスフェートの溶液を使用したり、流動性のある微粉末を使用したりすることができる。 【0078】 このような無機成分を含む流動性のある物質は、ゾルゲル反応や高温焼付けなどを用いることで無機のパターンにすることができるが、この場合は、ゾルゲル反応の触媒も流動性のある物質に配合することができる。 【0079】 上記ゾルゲル反応の触媒としては、無機成分を加水分解し重縮合させる、塩酸のような酸;水酸化ナトリウムのようなアルカリ;アミン;あるいはジブチルスズジアセテ−ト、ジブチルスズジオクテ−ト、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラアルキルチタネートなどの有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトなどの有機金属触媒などを挙げることができる。これらの中でも、市販品としてジブチルスズ化合物(三共有機化学(株)製SCAT−24)を具体的に挙げることができる。これらの化合物は、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの有機成分および無機成分は、必要に応じて単体でも、有機・無機の組み合わせでも適宜組み合わせて使用することができる。 【0080】 本発明で用いることができる流動性のある物質には、更に必要に応じて、溶媒を配合成分に応じて適宜選択することができる。このような溶媒としては、具体的には炭化水素(プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、テレビン油、ピネンなど)、ハロゲン系炭化水素(塩化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、臭化メチル、臭化エチル、クロロベンゼン、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、フルオロジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロクロロエタンなど)、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−オクタノール、n−ドデカノール、ノナノール、シクロヘキサノール、グリシドールなど)、エーテル、アセタール(エチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、シネオール、メチラール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなど)、エステル(ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−アミル、酢酸メチルシクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ステアリン酸ブチルなど)、多価アルコールとその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなど)、脂肪酸及びフェノール(ギ酸、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、キシレノールなど)、窒素化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジアミルアミン、アニリン、モノメチルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、ジクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル、ピリジン、α−ピコリン、2,4−ルチジン、キノリン、モルホリンなど)、硫黄、リン、その他化合物(二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、4,4−ジエチル−1,2−ジチオラン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メタンチオール、プロパンスルトン、リン酸トリエチル、リン酸トフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、ホウ酸アミルなど)、無機溶剤(液体アンモニア、シリコーンオイルなど)、水などを挙げることができる。 【0081】 本発明に用いる液体には、更に必要に応じて、安定剤、カップリング剤などを適宜選択して配合することができる。このような安定剤としては、具体的には2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチル−フェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−アニリノ)−1,3,5−トリアジンなどによって例示されるフェノール系酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどによって例示される芳香族アミン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−tert−ブチル−フェニル]スルフィド、2−メルカプト−5−メチル−ベンゾイミダゾールなどによって例示されるサルファイド系ヒドロペルオキシド分解剤、トリス(イソデシル)ホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスファートジエチルエステル、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファートなどによって例示されるリン系ヒドロペルオキシド分解剤、フェニルサリチラート、4−tert−オクチルフェニルサリチラートなどによって例示されるサリチレート系光安定剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸などによって例示されるベンゾフェノン系光安定剤、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]などによって例示されるベンゾトリアゾール系光安定剤、フェニル−4−ピペリジニルカルボナート、セバシン酸ビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]などによって例示されるヒンダードアミン系光安定剤、[2,2′−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノラート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル−(II)によって例示されるNi系光安定剤、シアノアクリレート系光安定剤、シュウ酸アニリド系光安定剤などを挙げることができる。またこのようなカップリング剤としては、具体的にはフッ素系のシランカップリング剤として、((トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、エポキシ変性シランカップリング剤として(信越化学工業株式会社製 KBM−403)、オキセタン変性シランカップリング剤として(東亞合成株式会社製 TESOX)、あるいは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤や、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、チタニウムラクテートアンモニウム塩、テトラステアリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、イソプロピルトリオクタイノルチタネート、イソプロピルジメタクリイソステアロイルチタネート、チタニウムラクテートエチルエステル、オクチレングリコールチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、トリイソステアリルイソプロピルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートなどのチタン系カップリング剤を挙げることができる。これらの化合物は、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。 【0082】 また、必要に応じて、流動性のある物質のパターン形成の状況を容易に確認するため、あるいはパターンに光学的な機能を付加するために、各種色素や顔料を流動性のある物質に配合することもできる。このような色素としては、アントラキノン系色素、アミニウム系色素、ポリメチン系色素、ジイモニウム系色素、シアニン系色素、フタロシアニン染料、ピラゾロン染料、ニグロシン染料、アントラキノン染料、アゾ染料、クロム錯塩染料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこのような顔料としては、無色あるいは有色の顔料が例示でき、具体的には、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、磁性酸化鉄、ウルトラマリン、群青、紺青、亜鉛黄、ベンガラ、黄鉛、鉛白、チタン白、カーボンブラック、透明酸化鉄、アルミ粉などの無機顔料や、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系、レーキ顔料、イソインドリン顔料、キナクリドン顔料などの有機顔料や、カーボンブラック、金属コロイド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの色素や顔料は、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。 【0083】 本発明に用いる流動性のある物質には、形成されるパターンの機械的強度や熱的特性、電気的特性を向上させるために、必要に応じて各種のフィラーを配合することができる。絶縁性フィラーとしてはアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニアなどの金属酸化物の粉末や、コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾルなどのゾル、タルク、カオリナイト、スメクタイトなどの粘土鉱物、炭化ケイ素、炭化チタンなどの炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタンなどの窒化物、窒化ホウ素、ホウ化チタン、酸化ホウ素などのホウ化物、ムライトなどの複合酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物などが挙げられる。導電性フィラーとしては、Ag、Cu、Au、Al、Mg、Rh、W、Mo、Co、Ni、Pt、Pd、Cr、Ta、Pb、V、Zr、Ti、In、Fe、Znなどの金属粉末やフレーク、あるいはコロイドを用いることができ、Sn−Pb系、Sn−In系、Sn−Bi系、Sn−Ag系、Sn−Zn系の合金粉末やフレーク、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックやグラファイト、グラファイト繊維、グラファイトフィブリル、カーボンファイバー、活性炭、木炭、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの導電性炭素系材料、金属酸化物系導電性フィラーとしては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタンなど)などのうち格子欠陥の存在により余剰電子が生成し導電性を示すフィラーが挙げられる。このようなフィラーは、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができ、更に表面をカップリング剤などで処理したフィラーを利用することも好ましい。 【0084】 また、本発明に用いる流動性のある物質には、磁化率を調整するために(以上例示した物質以外にも)各種物質を配合することができる。このような物質は、流動性のある物質が液体である場合、前記液体に溶けていても良いし溶けずに分散していても良い。あるいは、任意の溶媒に溶かしておき、この液体に乳化させて使用しても良い。このような磁化率を調整するための物質の内、磁化率を大きくする物質として図4で示した常磁性遷移元素化合物のほかに、Fe、Ni、Co等の強磁性体を液体に添加することができる。この際、磁化率を調整する添加剤のみが磁場と相互作用を起こし流動性のある物質と分離しないように溶解して加えたり、100nm以下の微粒子で加えたりすることが好ましく、後者の場合その粒子径は20〜10nmの範囲が更に好ましい。 【0085】 また、磁化率を小さくする物質には超伝導体等があげられる。また、これらの物質は、1種類、または2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。更に、流動性のある物質を構成する上記のような各種配合成分の配合割合は、配合成分に応じて適宜決定することができる。 【0086】 磁力線を集中させるための物質の構成 磁力線を集中させるためには、上述のように、パターン形成したい形の磁石を利用したり、相対的に磁化率の大きい物質に磁力線が集中する原理を利用したりすることができる。後者の場合には、磁化率の差が大きい物質を組み合わせて適宜選択することによって、選択した相対的に磁化率の大きい物質に磁力線を集中させ、任意の磁束密度分布を持つ磁場を形成しパターン形成に利用することができる。このような磁力線は、磁化率が相対的に大きいほうに集まるので、磁化率の差がある物質全てに適応できるが、特に、磁化率の差が大きい強磁性体と弱磁性体の組み合わせを用いることは好ましい形態の1つである。また、基板に磁化率の異なる物質を印刷することにより磁化率の異なる2以上の物質を含む基板を得て、パターン形成を行うことも可能である。 【0087】 磁場効果を増強する流動性のある物質の組み合わせについて 本発明のパターン形成方法において磁場効果を増強させる第2の流動性のある物質については、上述したように、第1の流動性のある物質に対して完全に溶解せず第1の流動性のある物質からなる層と、第2の流動性のある物質からなる層の2層が形成される任意の流動性のある物質を適宜選択することができる。また、磁場効果を増強するために、これらの流動性のある物質は磁化率の差が大きいものが好ましく、具体的には、空気よりも磁化率の差が大きくなる組み合わせが好ましい。 【0088】 上記、磁場効果による液体移動の増強のほかに、第2の流動性のある物質による第1の流動性のある物質に対する重力による押し付けの効果がある。第2の流動性のある物質の比重が空気よりも重いと効果があり、第2の流動性のある物質が第1の流動性のある物質を押し付けることにより、流動性のある物質体移動がアシストされる。好ましくは第1の流動性のある物質の比重を超えない範囲で、第2の流動性のある物質の比重が大きい方が良い。 【0089】 流動性のある物質が液体である場合において、第1の液体を基板に塗布した後に第2の液体を塗布して、第1の液体による層が基板の表面と接して界面張力により束縛されているときには、第1の液体による層と第2の液体による層が、基板面に対して反転しない範囲で第2の液体の比重は大きいほど好ましい。 【0090】 このような磁化率χと比重ρと液体移動の増強効果は、第1の流動性のある物質の磁化率の差Δχ、第2の流動性のある物質の比重の差Δρとの関係式Δχ/Δρが大きいほど有利になる。 【0091】 上記の成分を溶媒と合わせて、撹拌することによって溶液または懸濁液とすることができる。撹拌は、プロペラ式ミキサー、プラネタリーミキサー、ハイブリッドミキサー、ニーダー、乳化用ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどの各種撹拌装置を適宜選択して行うことができる。また、必要に応じて、加熱、または冷却しながら撹拌することもできる。 【0092】 以上のようにして、磁場効果により得られた所望の形状の流動性のある物質を固化することによって、所望のパターンを得ることができる。以下に、本発明のパターン形成方法を用いた実施例を説明する。 【実施例1】 【0093】 実施例1では、本発明のパターン形成方法を用いて、弱磁性体で形成された基板上に強磁性体で形成された金属電極を有する回路基板に、反磁性体の液体を固化させて絶縁膜開口部を形成させて電子装置を製造した。その製造方法の例を、電子装置の断面図である図9(a)〜図9(d)に示す。 【0094】 ここで、図9(a)に示す電子装置は、強磁性体の金属電極1を有する電子装置2と、強磁性体の金属電極3を有する電子装置4を、弱磁性体の樹脂基板5に埋め込み一体化させた電子装置である。図9(b)に示される電子装置は、反磁性を示す液体を固化して絶縁膜6を選択的に形成することにより、電子装置2の表面と金属電極1との間の段差、電子装置4の表面と金属電極3との間の段差、及び、電子装置2、4と樹脂基板5との間の段差を平滑にし、電極上には膜開口部を形成した電子装置である。図9(c)に示される電子装置は、図9(b)の電子装置において、絶縁膜6によって平滑になった表面上において、金属電極1、3の上部に絶縁膜開口部を有するところを示した図である。図9(d)に示された電子装置は、図9(c)において平滑化された表面を利用して、金属電極1および3の間にAg配線8を形成することにより電気的に接続して得た電子装置である。 【0095】 図9(a)に示す電子装置の製造方法 図9(a)に示す金属電極1、3は、強磁性体であるニッケルバンプ(金属突起)であり、その大きさは、ψ(直径)5μm、10μm、20μm、50μm、100μmのいずれかであり、高さはそれぞれ5μmである。更に、パッシベーション膜として弱磁性体のSi3N4を、金属電極1、3以外の電子装置4の表面に形成した。電子装置4は弱磁性体のシリコンである。樹脂基板5には弱磁性体のエポキシ樹脂基板を使用し、チップ表面と基板表面は5μmの段差がある。ここで、図9(a)に示される電子装置は、電子装置2の表面と金属電極1との間の段差、電子装置4の表面と金属電極3との間の段差、及び、電子装置2、3と樹脂基板5との間の段差によって高低差があり、平滑ではない。図10(a)にψ20μm、高さ5μmのバンプの電子顕微鏡写真を示した。 【0096】 図9(b)に示す電子装置の製造方法 図9(b)に示される電子装置は、下記のような方法で製造される。まず、反磁性を示す塗布液を基板全体に塗布し、基板に対して縦に磁場を印加することによって磁力線を金属バンプに集中させ、磁場効果により反磁性を持つ塗布液をはじく。次いで塗布液を硬化させることによって、金属電極1および3上に選択的に絶縁膜開口部を有する絶縁膜6を形成することができる。以下に更なる詳細を記載する。 【0097】 塗布液体の作成 エポキシ変性シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 KBM−403)100部、光カチオン開始剤(旭電化工業株式会社製 アデカオプトマーSP−170)4部、エタノール20部、アセトン50部を冷却ジャケットつきプラネタリーミキサーに投入し均一な溶液体になるまで撹拌し塗布液を得る。この際、撹拌時に発生する熱で塗布液が反応を起こさないように、液温が25℃を超えない範囲で冷却しながら撹拌し塗布液を得る。 【0098】 塗布 上記で作成した塗布液を、図12(a)に示される電子装置上に、スピンコートを用いてエポキシ基板5表面から6〜8μmの液厚になるように塗布する。 【0099】 図9(c)に示す電子装置の製造方法 磁場の印加 基板に対して垂直に10T(テスラ)の縦磁場を30秒印加して、ニッケルバンプ上の塗布液をはじいた。このとき、点線で概念的に示すように、強磁性体であるニッケルバンプの上に磁力線7が集中する。 【0100】 塗布液体の硬化 ついで上記の磁場を印加しながら、波長365nmのUVを浜松ホトニクス社製メタルハライドランプ(LIGHTNINGCURE LC5)を用いて6000mJ/cm2照射し、塗膜を硬化させた後磁場の印加を停止し、絶縁膜として、図9(c)に示す電子装置を製造した。 【0101】 図9(d)に示す電子装置の製造方法 図9(c)に示される平滑化された表面を利用して、金属電極1および3間にAg配線8を形成することにより電気的に接続して、図9(d)に示す電子装置を製造した。 【0102】 絶縁膜形成状態の確認 図10(b)に示すように、上記の膜形成前と形成後の状態を示す電子顕微鏡写真を撮影した。これにより、金属電極上に開口部が形成され、金属表面が露出していることを確認することができた。図10(a)は、絶縁膜を形成する前の電子装置の電子顕微鏡写真である。 【0103】 図10(a)に示すような基板表面に段差がある電子装置表面に金属配線を形成する場合、段差のエッジ部分で配線の膜厚が薄くなり、断線の可能性が高くなる。本発明のパターン形成方法により、電子装置表面に膜を形成して表面を平滑化することができる。また、金属電極上には膜開口部が形成できるので、露出した金属表面と平滑化された電子装置表面を利用して、簡便なプロセス(インクジェットプリント、スクリーン印刷、ノズル等での描画、スパッタ、メッキなど)で電気的接続を行うことができる。また、このように印刷によって形成した基板と異なる磁化率を有する材料からなるパターンを用いて、更に、磁気的相互作用を利用したパターン形成を行うことが可能である。 【実施例2】 【0104】 実施例2では、本発明のパターン形成方法により、基板上に磁化率の異なる金属電極を有する電子装置の金属上に、開口部を有する絶縁膜を作成した。その製造方法の例を、断面図により図11から図13に示す。ここで、図11(a)は、同一基板上に強磁性体からなる金属電極9および10を形成した電子装置である。図11(b)は、磁場効果により絶縁膜13を選択的に形成することにより、金属電極上に膜開口部を形成した電子装置である。図11(c)は、弱磁性体からなる金属配線14により、電極9および電極10を基板裏面にまで回した電子装置である。図11(d)は、金属配線14を通じて基板裏面に電極を形成した電子装置であり、電極9には弱磁性体からなる金属電極16を裏面に形成し、一方金属電極10と電気的に接続された配線には、強磁性体からなる金属電極15を形成した電子装置である。 【0105】 図12(a)は、更に第2の液体17と第三の液体18を塗布し、次いで基板面に対して縦方向に磁場を印加することにより、強磁性体からなる金属電極9、10、15上にのみ膜開口部を有する膜17を備えた電子装置を形成し、次いで第三の液体18を取り除いたものである。図12(b)の断面図に、この膜開口部を示す。 【0106】 図13(a)は、膜開口部を有する金属電極9、10、15にはんだボールをリフローして、はんだバンプ19を形成したものである。図13(b)は、更に第4の塗布液を塗布し、次いで基板面に対して縦方向に磁場を印加することにより、はんだバンプ19にのみ開口部を有する塗布液膜20を形成したものである。図13(c)は、はんだバンプ19を電気的に接合することによって図13(b)に示される電子装置どうしを接合し、膜20を電子装置の絶縁膜としたものである。 【0107】 図11(a)に示す電子装置の製造方法 図11(a)の電子装置を、下記のように製造した。図11(a)に示された金属電極9、10は、ニッケルに金メッキを施した強磁性体からなるバンプであり、大きさはψ50μm、高さは5μmである。パッシベーション膜11として、Si3N4を金属電極9、10以外の部分に形成した。基板12にはシリコンを使用した。 【0108】 図11(b)に示す電子装置の製造方法 反磁性を示す塗布液体を基板全体に塗布し、次いで10Tの磁場を印加しながら100℃の温度で60分間硬化させた後、磁場の印加を停止することによって、金属電極9および10上には選択的に膜開口部を有する絶縁膜13を形成して図11(b)に示される電子装置を得た。塗布液体を作成する詳細を下記に示す。 【0109】 塗布液体の作成 オキセタン変性シルセスキオキサン(東亞合成(株)製 OX−SQH)50部、脂環型エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製 セロキサイド2021P)10部、光熱カチオン開始剤(SI-100)5部、トルエン30部を冷却ジャケットつきプラネタリーミキサーに入れ、均一な溶液体になるまで攪拌し液体を得た。この際、攪拌時に発生する熱で塗布液が反応を起こさないように、液温が25℃を超えない範囲で冷却しながら攪拌し塗布液を得た。この塗布液体の、おおよその磁化率は−0.6(10-6cm3g-1)である。 【0110】 図11(c)に示す電子装置の製造方法 次いで、形成された第1の絶縁膜13表面を介して、弱磁性体であるAlからなる金属配線14を形成することによって、金属電極9、10と電気的に接続された配線14を基板の裏面に回して、図11(c)に示される電子装置を得た。なお、配線14は金属電極9、10どうしは電気的に接続していない。 【0111】 図11(d)に示す電子装置の製造方法 引き続いて、形成された金属配線14に金属電極を形成した。電極9と電気的に接続された配線に対しては、弱磁性体であるCu電極16を形成し、電極10と電気的に接続された配線に対しては、金属Auのメッキを施した強磁性体であるNi電極15を形成した。 【0112】 図12(a)、(b)に示す電子装置の製造方法 次に、図12(a)、(b)に示す電子装置の製造方法を説明すると、図11(d)に示す電子装置に図11(b)の説明で示す液体を塗布して塗布膜17を形成し、次いでMnCl2を10%溶かし磁化率を大きくした水溶液を塗布して塗布膜18を形成し、次いで5Tの磁場を基板面に対して垂直に30秒印加した。引き続いて、波長365nmのUVを浜松ホトニクス社製メタルハライドランプ(LIGHTNINGCURE LC5)を用いて6000mJ/cm2照射し、上面の塗膜を硬化させた後、裏返して更にUVを6000mJ/cm2照射して硬化させて、絶縁膜を形成した後、磁場の印加を停止した。次に、塗布膜18を除去して、図12(a)、(b)で示した電子装置を製造した。図12(b)は、膜開口部を示す断面図である。 【0113】 図13(a)に示す電子装置の製造方法 図12(b)に示す膜開口部を有する金属電極9、10、15上に、Sn-系はんだボールをリフローすることによって、はんだバンプ19を形成して、図13(a)に示す電子装置を製造した。 【0114】 図13(b)に示す電子装置の製造方法 引き続いて、第三の塗布液を基板全体に塗布し、次いで10Tの磁場を基板面に対して垂直に30秒印加することによって、はんだ上に選択的に膜開口部を有する第三の塗布液膜20を形成した。この塗膜20は、波長365nmのUVを浜松ホトニクス社製メタルハライドランプ(LIGHTNINGCURE LC5)を用いて裏表それぞれ500mJ/cm2照射することによって、半硬化の膜を形成し、次いで磁場の印加を停止した。ここで用いた塗布液体は、先の図11(b)の説明で示す液体と同じ組成の塗布液体であり、同様の方法で調製したものである。 【0115】 図13(c)に示す電子装置の製造方法 図13(b)にて得られた電子装置2個を、熱圧着することにより、はんだバンプ20を電気的に接合すると同時に、先に形成されていた第三の塗布液膜19を200℃で1時間加熱することにより硬化させて、図13(c)に示すような電子装置の絶縁膜を形成した。 【0116】 上記の実施例で示したような、膜開口部を有する金属表面にはんだバンプを設けて熱融着させることによって電気的接続を行う工法以外にも、金属バンプ(Au、Cu、Ag、Alなど)を超音波や加熱等で電気的に接続する工法を使用することもできる。 【産業上の利用可能性】 【0117】 本発明のパターン形成方法を用いて、フィルム基板上に形成された強磁性体からなる金属に磁力線を集中させて、反磁性体からなる塗布液をはじき絶縁膜を形成することによって、強磁性体からなる金属表面に絶縁膜開口部を形成することができる。これにより、TAB(Tape Automated Bonding)の配線保護などに用いることができる。また逆に、常磁性を示す溶融金属を強磁性体からなる金属表面に選択的に集め、接続に用いることもできる。 【図面の簡単な説明】 【0118】 【図1】代表的な磁場の発生源と、その磁束密度を表す表である。 【図2】単体のグラム磁化率を示す表である。 【図3】有機化合物のグラム磁化率を示す表である。 【図4】常磁性遷移元素のモル磁化率を示す表である. 【図5】強磁性体のモル磁化率を示す表である。 【図6】(a)は、 物質Aを含む基板Bに、縦磁場をかけて磁場を集中させる形態を示す模式的断面図であり、(b)は、基板B上に常磁性体の液体がある場合の形態を示した模式的断面図あり、(c)は、基板B上に反磁性体の液体がある場合の形態を示した模式的断面図ある。 【図7】(a)は、物質Aを含む基板Bに、横磁場をかけて磁場を集中させる形態を示す模式的断面図であり、(b)は、基板B上に常磁性体の液体がある場合の形態を示した模式的断面図あり、(c)は、基板B上に反磁性体の液体がある場合の形態を示した模式的断面図ある。 【図8】物質Aを含む基板Bに、縦磁場をかけて磁場を集中させ、物質B上に磁化率の異なる2つの液体がある場合の形態を示す模式的断面図である。 【図9】本発明のパターン形成方法を用いて製造した電子装置の(a)から(d)の4つの形態を示す模式的断面図である。 【図10】(a)は、図9(a)に示す電子装置の電子顕微鏡写真であり、(b)は、図9(c)に示す電子装置の電子顕微鏡写真である。 【図11】本発明のパターン形成方法を用いて製造した電子装置の形態を示す模式的断面図である。 【図12】本発明のパターン形成方法を用いて製造した電子装置の形態を示す模式的断面図である。 【図13】本発明のパターン形成方法を用いて製造した電子装置の形態を示す模式的断面図である。 【符号の説明】 【0119】 1 金属電極 2 電子装置 3 金属電極 4 電子装置 5 樹脂基板 6 絶縁膜 7 磁力線 8 金属配線 9 弱磁性体からなる金属電極 10 強磁性体からなる金属電極 11 パッシベーション膜 12 基板 13 絶縁膜 14 金属配線 15 強磁性体からなる金属電極 16 弱磁性体からなる金属電極 17 絶縁膜 18 磁化率を調製した水 19 はんだボールバンプ 20 絶縁膜
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| 【出願人】 |
【識別番号】000162434 【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年3月15日(2005.3.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078662 【弁理士】 【氏名又は名称】津国 肇
【識別番号】100075225 【弁理士】 【氏名又は名称】篠田 文雄
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| 【公開番号】 |
特開2005−317930(P2005−317930A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2005−73145(P2005−73145) |
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