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【発明の名称】 素子内蔵基板および素子内蔵基板の製造方法
【発明者】 【氏名】佐々木 順彦
【住所又は居所】東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプス電気株式会社内

【氏名】松橋 清
【住所又は居所】東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプス電気株式会社内

【要約】 【課題】水晶振動子が基板に完全に埋め込まれてなる素子内蔵基板およびその製造方法を提供する。

【解決手段】水晶振動体31aおよび一対の電極31bからなる水晶振動素子31が、少なくとも表面が絶縁性の基板6の一面6a上に設けられた凹部の内部に収納されてなることを特徴とする素子内蔵基板100を採用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動体および該水晶振動体を挟む一対の電極からなる水晶振動素子が、少なくとも表面が絶縁性の基板の一面上に設けられた凹部の内部に収納されてなることを特徴とする素子内蔵基板。
【請求項2】
前記凹部の内面全面に金属層が形成され、該金属層と前記水晶振動素子との間に空隙部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の素子内蔵基板。
【請求項3】
基板の前記一面側に配線パターンが設けられ、該配線パターンに対して前記一対の電極が前記凹部の内側から接続されるとともに前記配線パターンと前記水晶振動素子との間に封止材が充填され、前記水晶振動素子が前記凹部に収納されたときに前記凹部が前記封止材によって封口されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の素子内蔵基板。
【請求項4】
版基板上にシード層を積層するとともに該シード層上に配線パターンを形成し、更に該配線パターンに水晶振動体および該水晶振動体を挟む一対の電極からなる水晶振動素子を取付ける版基板形成工程と、
一面上に凹部が設けられた少なくとも表面が絶縁性である基板を用意し、前記凹部内に前記水晶振動素子を収納させながら前記版基板を前記基板の一面側に積層する積層工程と、
前記基板から前記版基板および前記シード層を取り除く除去工程とを備えてなることを特徴とする素子内蔵基板の製造方法。
【請求項5】
前記基板の前記一面上に誘電体層を形成してから前記版基板を前記基板に積層することにより、前記誘電体層に前記配線パターンを転写し、埋込むことを特徴とする請求項4に記載の素子内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
前記凹部の内部全面に金属層を形成してから前記版基板を前記基板に積層することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の素子内蔵基板の製造方法。
【請求項7】
前記版基板形成工程において前記配線パターンと前記水晶振動素子との間に封止材を充填し、前記積層工程において前記版基板を前記基板に積層する際に前記封止材で前記凹部を封口することを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の素子内蔵基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、素子内蔵基板および素子内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話やPDAなどの携帯電子機器では、小型軽量化およびローコスト化のために、回路基板と各種部品とを一体化した薄板状の素子内蔵基板が採用されつつある。こうした素子内蔵基板は、例えば、特許文献1や特許文献2に示すように、樹脂などの基板内に各種部品が埋め込まれ、表面に導電性の回路パターンが形成されたものであり、凹凸の少ない平板状に形成され、薄型軽量でかつ量産性に優れているので、小型軽量化が要求される携帯電子機器の部品基板として好適である。
【特許文献1】特開2001−358465号公報
【特許文献2】特開平11−220262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の回路部品モジュールに内蔵される電子部品としては、チップ型の抵抗素子やコンデンサ素子等、比較的小型の部品が採用されている。ところが最近になって、電子部品として水晶振動子を基板に埋め込んでモジュール化を図りたいとする要望がある。水晶振動子は一般に、水晶振動体と、この振動体を覆うカバー部材とから構成され、振動子自体が比較的大型になる。このような水晶振動子を基板に埋め込むことが可能となれば、大幅な省スペース化が図られ、携帯電子機器の小型軽量化により一層貢献するものとなる。
しかし現実には、水晶振動子の最小寸法よりも薄い厚みの回路基板に対しては、水晶振動子を完全に内蔵させるのが物理的に不可能であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水晶振動子が基板に完全に埋め込まれてなる素子内蔵基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の素子内蔵基板は、水晶振動体および該水晶振動体を挟む一対の電極からなる水晶振動素子が、少なくとも表面が絶縁性の基板の一面上に設けられた凹部の内部に収納されてなることを特徴とする。
また本発明の素子内蔵基板においては、前記凹部の内面全面に金属層が形成され、該金属層と前記水晶振動素子との間に空隙部が設けられていることが望ましい。
更に本発明の素子内蔵基板においては、基板の前記一面側に配線パターンが設けられ、該配線パターンに対して前記一対の電極が前記凹部の内側から接続されるとともに前記配線パターンと前記水晶振動素子との間に封止材が充填され、前記水晶振動素子が前記凹部に収納されたときに前記凹部が前記封止材によって封口されることが望ましい。
【0006】
上記の構成によれば、水晶振動子の本体を構成する水晶振動素子が基板の凹部に収納されているので、素子内蔵基板の省スペース化を図ることができる。また、凹部内面全面に形成された金属層が、一般的な水晶振動子のカバー部材に相当するものとなり、水晶振動素子を保護することができる。また、金属層と水晶振動素子との間に空隙部が設けられることによって、水晶振動素子の振動が金属層により妨害されるおそれがなく、水晶振動素子を正常に駆動させることができる。更に、水晶振動素子の電極が凹部の内側から配線パターンに接続されるので、電極と配線パターンとの接続部分が素子内蔵基板の外側に露出することがなく、接続部分が保護されて接続の信頼性を高めることができる。また、配線パターンと電極との間に封止材が充填されることで、これらの接続部分をより一層保護することができる。更に、この封止材によって凹部の開口部が封止されるので、凹部の空隙部が完全に密閉された状態となり、水晶振動素子を安定して駆動させることができる。
【0007】
次に本発明の素子内蔵基板の製造方法は、版基板上にシード層を積層するとともに該シード層上に配線パターンを形成し、更に該配線パターンに水晶振動体および該水晶振動体を挟む一対の電極からなる水晶振動素子を取付ける版基板形成工程と、一面上に凹部が設けられた少なくとも表面が絶縁性である基板を用意し、前記凹部内に前記水晶振動素子を収納させながら前記版基板を前記基板の一面側に積層する積層工程と、前記基板から前記版基板および前記シード層を取り除く除去工程とを備えてなることを特徴とする。
また本発明の素子内蔵基板の製造方法においては、前記基板の前記一面上に誘電体層を形成してから前記版基板を前記基板に積層することにより、前記誘電体層に前記配線パターンを転写し、埋込むことが望ましい。
更に本発明の素子内蔵基板の製造方法においては、前記凹部の内部全面に金属層を形成してから前記版基板を前記基板に積層することが望ましい。
更にまた本発明の素子内蔵基板の製造方法においては、前記版基板形成工程において前記配線パターンと前記水晶振動素子との間に封止材を充填し、前記積層工程において前記版基板を前記基板に積層する際に前記封止材で前記凹部を封口することが望ましい。
【0008】
上記の構成によれば、凹部内部に水晶振動素子を収納させることによって薄型の素子内蔵基板を製造できる。また、誘電体層に配線パターンを埋め込むので、配線パターンの露出面積が小さくなり、誘電体層によって配線パターンを保護することができる。特に、後工程のシード層のエッチング工程において配線パターンがエッチングされることがなく、配線パターンの線幅の減少を防止することができる。
更に、凹部の内部全面に形成した金属層が、一般的な水晶振動子のカバー部材に相当するものとなり、水晶振動素子を保護することができる。更にまた、配線パターンと電極との間に封止材を充填することで、これらの接続部分をより一層保護することができる。更に、この封止材によって凹部の開口部を封止するので、凹部の空隙部が完全に密閉された状態となり、水晶振動素子を安定して駆動させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の素子内蔵基板およびその製造方法によれば、水晶振動子が基板に完全に埋め込まれてなる素子内蔵基板およびその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態である素子内蔵基板およびその製造方法について図面を参照して説明する。
本実施形態の素子内蔵基板の製造方法は、版基板形成工程と、積層工程と、除去工程とから概略構成されている。
各工程の概略について説明すると、まず版基板工程は、版基板上にシード層を積層するとともに該シード層上に配線パターンを形成し、更に該配線パターンに水晶振動体および該水晶振動体を挟む一対の電極からなる水晶振動素子を取付ける工程である。また積層工程は、一面上に凹部が設けられた少なくとも表面が絶縁性である基板を用意し、前記凹部内に前記水晶振動素子を収納させながら前記版基板を前記基板の一面側に積層する工程である。そして除去工程は、前記基板から前記版基板および前記シード層を取り除く工程である。
【0011】
以下、図面を参照して各工程の詳細について説明する。図1は版基板工程を示す工程図であり、図2は積層工程に用いる基板を形成する工程の工程図であり、図3は積層工程および除去工程を示す工程図である。尚、図1ないし図3は本実施形態の素子内蔵基板の製造方法を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の素子内蔵基板の寸法関係とは必ずしも一致するものではない。
【0012】
「版基板形成工程」
まず版基板形成工程では、図1Aに示す版基板1を用意し、次に図1Aおよび図Bに示すように版基板1の一面1aを含む全面にシード層2を形成する。シード層2は例えば、膜厚50nmないし500nmの酸化亜鉛層と、酸化亜鉛層上に積層した膜厚2μm程度の金属銅層とからなる積層膜を用いることができる。版基板1の表面全部にシード層2を形成することで、版基板1と後述する配線パターンとの剥離性を向上できる。酸化亜鉛層は例えば、版基板1を酸化亜鉛を含むメッキ浴に投入してから無電解メッキ法で形成できる。更に金属銅層についても無電解メッキ法で形成できる。なお、シード層2は版基板1の一面1aのみに形成してもよい。
【0013】
また、版基板1は、全面が酸化シリコンで形成されているものが、シード層を構成する酸化亜鉛層との密着性を向上でき、かつ版基板1を再利用できる点で好ましい。版基板1の具体例としては、例えば、酸化ケイ素を主成分として含むガラス板、全面を熱酸化法もしくは熱CVD法により酸化ケイ素層を形成させたシリコン基板、スパッタリング法等で酸化ケイ素層を全面に被覆させた樹脂基板または誘電体基板、などを用いることができる。また、前記のシリコン基板としてB,P,As等のドーパントを添加したものを用いることもできる。更に前記の樹脂基板として柔軟性を有するものでもよく、この場合は長尺の樹脂基板をロール状に巻き取ることができるので、連続的な製造に適しており、生産性を向上できる。版基板1の厚みは特に制限はないが、例えば30μmないし3mmのものを使用できる。
【0014】
次に図1Cに示すように、シード層2上に、複数のレジスト除去部4aを有するパターン化レジスト層4(レジストパターン)を形成する。具体的には、シード層2に例えば10μm程度の感光性樹脂膜またはドライフィルム(以下レジスト層と表記)を積層してから、マスクを重ねて露光、現像を行うことにより、マスクのパターンに対応するレジスト除去部4aを形成する。このようにしてレジスト除去部4aを有するパターン化レジスト層4が形成される。
【0015】
なお、パターン化レジスト層4を形成した後のレジスト除去部4aには、感光性樹脂膜またはドライフィルムの残渣が残存する場合がある。この残渣が残存すると、この後に形成する配線パターンが断線したり、配線パターンとシード層2との密着性が低下して後工程である除去工程において不具合が生じる可能性ある。そこで残渣の完全除去を目的として、パターンレジスト層4を形成した後に、レジスト除去部4aにアルゴンプラズマを照射するか、あるいはレジスト除去部4aに露出するシード層2の表面を軽くエッチングすることにより、残渣を除去することが望ましい。アルゴンプラズマを照射する場合には、たとえば、プラズマパワー500W程度,雰囲気圧力10Pa以下、アルゴン流量50sccm、照射時間30秒とする条件で行うと良い。また、シード層の表面を軽くエッチングするには、10%酢酸水溶液からなるエッチャントで30秒間処理する条件で行うと良い。このような処理を行うことで、シード層2と配線パターンとの密着強度を3N/cm以上にすることができる。
【0016】
次に図1Dに示すように、レジスト除去部4aにCu膜5aおよびAu膜5bからなる配線パターン5をメッキ法で形成する。具体的には例えば、硫酸銅等を含むメッキ液をレジスト除去部4a内のシード層2に接触させてから、シード層2に直流電流を印加してCuメッキを成長させ、更に同様にしてAuメッキを成長させることにより形成する。配線パターン5の厚みはパターン化レジスト層4の厚みよりも薄くすることが好ましく、例えば5μm程度がよい。またCu膜5aの厚みは例えば3μm程度が好ましく、Au膜5bの厚みは例えば0.1μm程度が好ましい。
次に図1Eに示すように、ウエットエッチングによりパターン化レジスト層4を除去する。このようにして、版基板1に、シード層2と配線パターン5とが形成される。
【0017】
次に図1Fに示すように、配線パターン5上に水晶振動素子31を実装する。水晶振動素子31は図1Gに示すように、水晶片(水晶振動体)31aと、この水晶片31aの厚み方向から挟む一対の電極31b,31bとから構成されている。水晶振動素子の電極31bには例えば半田ボール31cを装着し、この半田ボール31cを介して水晶振動素子31を配線パターン5に接続する。水晶振動子31を装着したら、配線パターン5と水晶片31aとの間に封止材34を充填する。封止材34の材質としては例えば、エポキシ樹脂等を例示できる。また、水晶振動素子31を実装する際には、水晶片31aの厚み方向が版基板1の厚み方向とほぼ一致するように、すなわち水晶片を版基板1に対して寝かせた状態で実装することが望ましい。
【0018】
次に、図2Aに示すように、厚み500μm程度の絶縁基板6(基板)を用意する。基板6の一面6aおよび他面6bにはそれぞれ、厚み18μm程度のCu層7、7を例えばメッキにより形成する。なお、絶縁基板6の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を材質とした板材を用いることができる。またガラスエポキシ樹脂板も絶縁基板6として使用できる。
次に図2Bに示すように、絶縁基板6に水晶振動素子埋め込み用の貫通孔8と、スルーホール用の貫通孔9、9を形成する。このとき、埋め込み用の貫通孔8は、基板6の他面6b側に形成したCu層7を破らないように設ける。スルーホール用の貫通孔9は各Cu層7、7を含めて基板6を貫通させるように設ける。
また、基板6の上面6a側および下面6b側の各Cu層7、7上に別のCu層10、10を例えばメッキ法でそれぞれ形成する。更に、貫通孔8、9の内面に、Cu層11、41をメッキ法で形成する。
なお、貫通孔8を平面視したときの形状は、円形、楕円形、三角形および矩形を含む多角形のいずれの形状でもよい。貫通孔8の大きさについては、水晶振動素子31が収まる程度の大きさで良い。更に貫通孔8の形成には、例えば金型を用いたパンチングやレーザー加工法といった手段を用いることができる。
【0019】
次に図2Cに示すように、基板6上に形成したCu層7、10をそれぞれパターニングする。一面6a側のCu層をパターニングする際には、各貫通孔8、9の周囲にCu層12を残すとともに、貫通孔9、9の図中外側に配線部13を残すようにパターニングする。また、他面6b側のCu層をパターニングする際には、貫通孔8を塞ぐCu層14を残すとともに、貫通孔9の周囲にCu層15を残すようにパターニングする。貫通孔8は、パターニングにより残されたCu層14に塞がれて凹部16となる。この凹部16の内面全面には、Cu層14および11からなる金属層が形成された状態になる。
次に、各貫通孔9に導電性ペースト17を充填し、更に導電性ペースト17上に厚み10μm程度のCuポスト層18を例えばメッキ法で形成する。このCuポスト層18によって貫通孔9が塞がれる。このようにして、導電性ペースト17およびCuポスト層18からなるスルーホール19が形成される。
【0020】
次に図2Dに示すように、絶縁基板6の両面に、厚み10μm−20μm程度の誘電体層20、20を例えば印刷法により形成する。誘電体層20の厚みは、Cuポスト層18の上面と誘電体層20の表面とが同一面になるように調整する。誘電体層20の材質としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を例示できる。
次に図2Eに示すように、Cuポスト層18の上に導電性ペースト21を塗布する。このようにして、凹部16およびスルーホール19が設けられてなる絶縁基板6が形成される。
【0021】
「積層工程および除去工程」
次に積層工程および除去工程について図3を参照して説明する。
まず、図3Aに示すように、凹部16およびスルーホール19を設けた絶縁基板6と、水晶振動素子31を取付けた版基板1とを用意する。そして、絶縁基板6の一面6a側に版基板1を配置して、凹部16と水晶振動素子31とが相互に対向して重なるように各基板1、6を位置合わせする。
また、別の版基板32を用意する。この版基板32には、全面にシード層2が形成されるとともに、一面31a側にCu膜35aとAu膜35bからなる配線パターン35が形成されている。そして、絶縁基板6の他面6b側に別の版基板32を配置し、この版基板32の配線パターン35が絶縁基板6の導電性ペースト21に重なるように絶縁基板6に対して版基板31を位置合わせする。
【0022】
次に図3Bに示すように、版基板1、32と絶縁基板6とを積層して熱プレスする。この熱プレスによって絶縁基板の誘電体層20、20にそれぞれ、配線パターン5、35が転写される。誘電体層20、20は、その厚み方向からプレスされることにより薄板状に変形し、これにより誘電体層の一部が各配線パターン5、35の非形成部分Aに押出される。このようにして、配線パターン5、35が誘電体層20に転写されて埋め込まれる。
同時に、水晶振動素子31が凹部16の内部に挿入される。水晶振動素子31と凹部16との間には空隙部27が形成される。また、水晶振動素子31の挿入によって、封止材34が誘電体層20を押し退けて、凹部16の周囲に残されたCu層12に突き当てられる。封止材34は水晶片31aと配線パターン5との間に充填されているが、一部が水晶片31aからからはみ出されて充填されており、封止材34の外縁部が水晶片31aを取り囲んだ状態になっている。このため、水晶振動素子31を凹部16に挿入することに伴って、封止材34の外縁部全部が凹部16の周囲にあるCu層12に突き当てられる。これにより、凹部16の開口部が封止材34によって完全に封口される。
更に、スルーホール19のCuポスト層18が、導電性ペースト21を介して配線パターン5、35に接続される。
【0023】
熱プレス時の温度は、絶縁基板6の材質にもよるが、140〜180℃の範囲が好ましい。また熱プレスの圧力は15〜25Pa程度が好ましい。さらにプレス時間は30〜50分程度が好ましい。このようにして、配線パターン5、35および水晶振動素子31が絶縁基板6に転写される。
【0024】
「除去工程」
次に図3Cに示すように、各版基板1、32と絶縁基板6との間に応力を与えて絶縁基板6から版基板1、32を剥離させる。このとき、版基板1とシード層2との間で剥離が起こり、シード層2が配線パターン5とともに絶縁基板6側に転写される。絶縁基板6に転写されたシード層2はウエットエッチングにより除去される。エッチング液には例えば過硫酸水溶液を用いることができる。なお、剥離後の版基板1については、転写されずに残存したシード層2を酸またはアルカリで除去することで、再利用することができる。
【0025】
版基板1とシード層2との間で剥離が起こるのは次のようなメカニズムによると考えられる。
すなわち、版基板1を絶縁基板6から剥離させると、シード層2にはその膜厚方向に引張応力が加えられる。このとき、シード層2を構成する金属銅層には配線パターン5が接合され、この配線パターン5は絶縁基板6に埋込まれてこの絶縁基板6と強固に接合されていることから、絶縁基板6側への引張応力が勝ることになり、これにより、シード層2が配線パターン5とともに絶縁基板6側に転写されるものと考えられる。また、シード層2を構成する金属銅層には、剥離の際に配線パターン5に引張られてせん断応力が加えられるが、金属銅層には酸化亜鉛層が下地層として裏打ちされているので、金属銅層自体が破れるおそれがなく、酸化亜鉛層とともに版基板1からきれいに剥離される。また、酸化亜鉛層自体も50nmないし500nmの膜厚で形成されているため、酸化亜鉛層の膜強度が高くなっており、酸化亜鉛層自体も破れる虞がなく、版基板1からきれいに剥離される。
【0026】
なお、上記のシード層2のエッチングの際には配線パターン5、35も若干エッチングされるが、配線パターン5、35の線幅が減少するおそれはない。この理由は、配線パターン5、35の大部分が誘電体層20に埋込まれているため、配線パターン5、35の露出部分が少なくなっており、誘電体層20により配線パターン5が保護されるためである。配線パターン5、35が絶縁基板6で保護されているので、エッチング液による配線パターン5、35の腐食が防止されて、配線パターン5、35の線幅の減少を防止することができる。これにより、従来の転写法では不可能であった10μm/10μmのラインアンドスペース(L/S)を実現することができる。
このようにして、素子内蔵基板100が製造される。
【0027】
本実施形態の素子内蔵基板の製造方法によれば、凹部16に水晶振動素子31を収納させることによって薄型の素子内蔵基板100を製造できる。特に、水晶振動素子31の水晶片31aの厚み方向が、絶縁基板6の厚み方向とほぼ一致するように収納することで、素子内蔵基板100をより薄型にすることができる。また、誘電体層20に配線パターン5、35を埋め込むので、配線パターン5、35の露出面積が小さくなり、配線パターン5、35を保護することができる。特に、後工程のシード層2のエッチング工程において配線パターンがエッチングされることがなく、10μm/10μmのラインアンドスペース(L/S)を実現することができる。
【0028】
「素子内蔵基板」
図3Cに示すように、本実施形態の素子内蔵基板100は、絶縁基板6に設けられた凹部16の内部に、水晶振動素子31が収納されて概略構成されている。水晶振動素子31は、水晶片31aと、この水晶片31aを挟む一対の電極31bとから構成されている。水晶振動素子31は、水晶片31の厚み方向が絶縁基板6の厚み方向に一致するように凹部16に収納されている。
絶縁基板6の両面6a、6bには誘電体層20、20が積層されている。誘電体層20の表面にはCu膜5a、35aとAu膜5b、35bからなる配線パターン5、35が埋め込まれている。また、絶縁基板6の一面6aと誘電体層20の間には、Cu層からなる配線部13が挟み込まれている。また、凹部16の周囲にはCu層12が設けられている。更に、絶縁基板6の他面6bには、凹部16の底部となるCu層14が設けられている。
【0029】
また、一対の電極31bには半田ボール31cが取付けられている。そして電極31bが、半田ボール31cを介して凹部16の内側から配線パターン5に接続されている。また、水晶振動素子31と配線パターン5との間には、封止材34が充填されている。この封止材34は、凹部16の周囲に設けたCu層12に接合されており、封止材34によって凹部16が塞がれている。
また凹部16の内面にはCu層11,14(金属層)が形成されている。そして、水晶振動素子31とCu層11,14の間には空隙部27が形成されている。
【0030】
また、各配線パターン5、35は、絶縁基板6を貫通するスルーホール19を介して相互に接続されている。スルーホール19は、絶縁基板6内部に収納された導電性ペースト17と、絶縁基板6の両面に設けられて誘電体層20を貫通するCuポスト層18とから概略構成され、Cuポスト層18に配線パターン5、35が接続されている。また、Cuポスト層18と配線パターン5、35の間には導電性ペースト21が塗布されており、配線パターン5、35とスルーホール19との接続を確実にしている。
【0031】
上記の素子内蔵基板100によれば、水晶振動素子31が基板の凹部16に収納されているので、素子内蔵基板100を薄型にできる。特に、水晶片31aの厚み方向が、絶縁基板6の厚み方向とほぼ一致するように収納することで、素子内蔵基板100をより薄型できる。また、凹部16の内面全面に形成されたCu層11,14が、一般的な水晶振動子のカバー部材に相当するものとなり、水晶振動素子31を保護することができる。またこの金属層11,14を接地端子とすることにより、水晶振動素子31をグラウンドで覆うことができる。また、凹部16内に空隙部27が設けられることによって、水晶振動素子31の振動が金属層11,14により妨害されるおそれがなく、水晶振動素子31を正常に駆動させることができる。更に、封止材34によって凹部16が封口されるので、空隙部27が完全に密閉された状態となり、水晶振動素子31を安定して駆動させることができる。
また、配線パターン5、35を構成するAu膜5b、35bが水晶振動素子31またはスルーホール19に接合されるので、配線パターン5、35とこれらの部材との導通の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の実施形態である素子内蔵基板の製造方法を説明する断面模式図。
【図2】図2は本発明の実施形態である素子内蔵基板の製造方法を説明する断面模式図。
【図3】図3は本発明の実施形態である素子内蔵基板の製造方法を説明する断面模式図。
【符号の説明】
【0033】
1…版基板、2…シード層、5…配線パターン、6…絶縁基板(基板)、6a…一面、11,14…Cu層(金属層)、16…凹部、20…誘電体層、27…空隙部、31…水晶振動素子、31a…水晶片(水晶振動体)、31b…電極、34…封止材、100…素子内蔵基板

【出願人】 【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
【住所又は居所】東京都大田区雪谷大塚町1番7号
【出願日】 平成16年12月17日(2004.12.17)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄

【公開番号】 特開2005−317908(P2005−317908A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−365968(P2004−365968)