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【発明の名称】 プリント配線の製造方法
【発明者】 【氏名】栗田 勝美
【住所又は居所】東京都中野区南台5丁目24番15号 カルソニックカンセイ株式会社内

【要約】 【課題】配線部の本数を増やし微細化しても導通するおそれのないプリント配線の製造方法を提供する。

【解決手段】絶縁材インクによる絶縁壁A1、A2を先に硬化させて形成し、その後に絶縁壁A1、A2の間に導電材インクによる配線部B1、B2を形成するため、配線部B1、B2の本数が増して、絶縁壁A1、A2の幅が減っても、配線部A1、A2同士が導通するおそれはない。また、絶縁材インクをUV又は加熱により短時間で硬化させるため、製造効率が低下することもない。絶縁材インクを硬化させた絶縁層C1、C2により配線部B1、B2を被覆するため、配線部B1、B2の劣化を防止することができる。更に、層状配線D1、D2を多層形成することにより、高性能なプリント配線を形成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(1)の表面にインクジェット方式により絶縁材インクを印刷し、
印刷した絶縁材インクをUV又は加熱により硬化させて絶縁壁(A1)を形成し、
硬化した絶縁壁(A1)の間にインクジェット方式により導電材インクを印刷し、
印刷した導電材インクを硬化させて配線部(B1)を形成し、
絶縁壁(A1)と配線部(B1)とで薄膜状の層状配線(D1)を形成することを特徴とするプリント配線の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のプリント配線の製造方法であって、
形成した層状配線(D1)の表面全体にインクジェット方式により絶縁材インクを印刷し、
印刷した絶縁材インクを硬化させて配線部(B1)を被覆する絶縁層(C1)を形成することを特徴とするプリント配線の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載のプリント配線の製造方法であって、
絶縁層(C1)の表面に、必要な層数の層状配線(D2)及び絶縁層(C2)を繰り返し形成することを特徴とするプリント配線の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のプリント配線の製造方法であって、
絶縁層(C1)を形成しないバイアホール部(5)が設定されていることを特徴とするプリント配線の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷を利用したプリント配線の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷を利用して基材上に薄膜状のプリント配線を形成する技術が知られている。この種の配線形成方法は、インクジェット方式により絶縁材インクと導電材インクの両方を基材の表面へ同時に吐出し、吐出した両インクを加熱硬化させている。このようにすることにより、導電材インクが固化して複数本の配線部となり、その配線部同士の接触が、固化した絶縁材インクにより遮断された状態のプリント配線となる(例えば、特許文献1。)。
【特許文献1】特開平11−163499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、インクジェット印刷で用いられる絶縁材インク及び導電材インクが比較的低粘度であり、それらのインクを同時に吐出するため、導電材インクによる配線部の本数が多くなって、その分、絶縁材インクの幅が減ると、絶縁材インクを介して隣接する導電材インク同士が絶縁材インクの一部を破って混じり合い、導通状態になるおそれがある。そのため、従来は本数の多い微細配線部を形成することができなかった。
【0004】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、配線部の本数を増やし微細化しても導通するおそれのないプリント配線の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、基材の表面にインクジェット方式により絶縁材インクを印刷し、印刷した絶縁材インクをUV又は加熱により硬化させて絶縁壁を形成し、硬化した絶縁壁の間にインクジェット方式により導電材インクを印刷し、印刷した導電材インクを硬化させて配線部を形成し、絶縁壁と配線部とで薄膜状の層状配線を形成することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、形成した層状配線の表面全体にインクジェット方式により絶縁材インクを印刷し、印刷した絶縁材インクを硬化させて配線部を被覆する絶縁層を形成することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、絶縁層の表面に、必要な層数の層状配線及び絶縁層を繰り返し形成することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、絶縁層を形成しないバイアホール部が設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、絶縁材インクによる絶縁壁を先に硬化させて形成し、その後に絶縁壁の間に導電材インクによる配線部を形成するため、配線部の本数が増して微細化することにより、絶縁壁の幅が減っても、配線部同士が導通するおそれはない。また、絶縁材インクをUV又は加熱により短時間で硬化させるため、製造効率が低下することもない。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、絶縁材インクを硬化させた絶縁層により配線部を被覆するため、配線部の劣化を防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、層状配線を多層形成することにより、高性能なプリント配線を形成することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、バイアホール部には絶縁層を形成しないため、多層形成する場合に、バイアホール部を利用して層間の電気的接続が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
配線部の本数を増やして微細化しても導通するおそれのないプリント配線の製造方法を提供する、という目的を、基材の表面にインクジェット方式により絶縁材インクを印刷し、印刷した絶縁材インクをUV又は加熱により硬化させて絶縁壁を形成し、硬化した絶縁壁の間にインクジェット方式により導電材インクを印刷し、印刷した導電材インクを硬化させて配線部を形成し、絶縁壁と配線部とで薄膜状の層状配線を形成することにより、実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図1〜図3に基づいて説明する。
【0015】
この実施例では、自動車における空調用のダクト1の内側表面に形成されるプリント配線2について説明する。ダクト1は先端が3つに分岐した円筒形状で、上下に二分割することができ、図1はその下側半分を示している。
【0016】
3本に分かれたダクト1には、それぞれ温度測定用のサーミスタ3が設けられ、各サーミスタ3からそれぞれ2本づつのプリント配線2が基端部へ集合されている。サーミスタ3とプリント配線2の内部の導電部分とは、導電性接着剤又は半田付けにより接続されている。サーミスタ3の信号は、このプリント配線2を介して、図示せぬ制御部へ伝達される。
【0017】
「基材」であるダクト1の内側表面に対する各プリント配線2の形成は、インクジェット印刷方式を利用する。すなわち、ダクト1を図示せぬインクジェット印刷装置の架台に支持し、ダクト1の表面と一定距離を保った状態で移動するインクジェットノズル4を用いる。
【0018】
インクジェットノズル4からは、絶縁材インクと導電材インクをそれぞれ別個に吐出することができる。絶縁材インクは、紫外線(UV)を照射することにより硬化するUV硬化型樹脂を主成分としている。導電材インクは、銀粉を分散させた熱硬化型樹脂を主成分としている。
【0019】
このプリント配線2は2層構造であり、その製造方法を図3に基づいて説明する。まず最初に、インクジェットノズル4を利用して、ダクト1の裏側表面に対し、線状の絶縁材インクを所定間隔だけ離れた状態で印刷する。そして、その絶縁材インクにUVを照射して硬化させ第1絶縁壁A1を形成する〔図3(a)〕。絶縁材インクをUVにより短時間で硬化させるため、製造効率が良い。
【0020】
そして、今度は、インクジェットノズル4を用いて、第1絶縁壁A1の間に、導電材インクを印刷し、それを加熱により硬化させ第1配線部B1を形成する〔図3(b)〕。この第1配線部B1と第1絶縁壁A1により、所定幅の第1層状配線D1が形成される。この第1層状配線D1は、絶縁材インクによる第1絶縁壁A1を先に硬化させて形成し、その後に導電材インクによる第1配線部B1を形成するため、第1配線部B1の本数が増して、第1絶縁壁A1の幅が減って微細化しても、第2配線部B2同士が導通するおそれはない。
【0021】
更に、第1層状配線D1の表面全体に、バイアホール部5を除いて、絶縁材インクを印刷し、それをUV硬化させて、第1絶縁層C1を形成する〔図3(c)〕。第1絶縁層C1により第1配線部B1が被覆されて、空気と接触しないため、第1配線部B1の劣化防止を図ることができる。
【0022】
続けて、第1絶縁層C1の表面に、バイアホール部5関連部分を除いて、先と同じ要領で、第2絶縁壁A2を形成する(〔図3(d)〕。
【0023】
そして、第2絶縁壁A2の間に、第2配線部B2と層間接続配線部6を形成する(〔図3(e)〕。層間接続配線部6はバイアホール部5を介して第1配線部B1に接続される。第2配線部B2及び層間接続配線部6と、第2絶縁壁A2により、第2層状配線D2が形成される。
【0024】
最後に、第2層状配線D2の表面に第2絶縁層C2を形成し、2層構造のプリント配線2が完了する(〔図3(f)〕。尚、図3は構造を模式的に示したもので、実際の幅寸法は図示されたものよりも十分に小さい。第2層状配線D2に続けて、第3、第4の層状配線を形成することもできる。
【0025】
この実施例のプリント配線2は薄膜状のため、空調された空気が通過するダクト1の内面に設けても、通気抵抗にならない。また、絶縁材インク及び導電材インク自体にダクト1の内面に対する密着性があるため、特に接着剤を用いなくても、ダクト1との密着性が維持される。更に、非接触印刷方法であるインクジェット方式を利用するため、印刷面が湾曲していたり、多少の凹凸があっても、インクジェットノズル4からインクを正確に飛ばせる距離であれば、確実な印刷が行える。また、インクジェットノズル4を印刷方向へ送りながら、印刷面に対する接離方向でも移動自在にすることにより、更に形状変化に対応した印刷を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上の実施例では、絶縁材インクをUVにより硬化させる例を示したが、加熱により硬化させるタイプでも良い。また、導電材インクを加熱により硬化させる例を示したが、UVにより硬化させるタイプでも良い。また、絶縁層を形成しない場合は、導電材インクを蒸発乾燥により自然硬化させるタイプにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例に係るダクトに形成されたプリント配線を示す斜視図。
【図2】図1のダクトに施されたインクジェットノズルによる印刷方法を示す斜視図。
【図3】(a)〜(f)は、それぞれ図2に示すダクトに施されたプリント配線の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 ダクト(基材)
2 プリント配線
3 サーミスタ
4 インクジェットノズル
5 バイアホール部
6 層間接続配線部
A1 第1絶縁壁
A2 第2絶縁壁
B1 第1配線部
B2 第2配線部
C1 第1絶縁層
C2 第2絶縁層
D1 第1層状配線
D2 第2層状配線
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
【住所又は居所】東京都中野区南台5丁目24番15号
【出願日】 平成16年4月30日(2004.4.30)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100087365
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 彰

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄

【公開番号】 特開2005−317837(P2005−317837A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−135473(P2004−135473)