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【発明の名称】 金属配線の製造方法、電気光学装置、および電子機器
【発明者】 【氏名】和田 健嗣
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】インクジェット法で製造された金属配線に適した実装技術を提供すること。

【解決手段】金属配線の製造方法は、被吐出面上に導電性材料が付与されるように、吐出装置のヘッドから液状の前記導電性材料を吐出するステップAと、前記付与された導電性材料を活性化または乾燥させて第1の金属層を得るステップBと、前記第1の金属層を覆う第2の金属層が得られるように、前記第1の金属層をめっきするステップCと、を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吐出面上に導電性材料が付与されるように、吐出装置のヘッドから液状の前記導電性材料を吐出するステップAと、
前記付与された前記導電性材料を活性化または乾燥させて第1の金属層を得るステップBと、
前記第1の金属層を覆う第2の金属層が得られるように、前記第1の金属層をめっきするステップCと、
を含んだ金属配線の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の金属配線の製造方法であって
前記第2の金属層はニッケル(Ni)層である、
金属配線の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の金属配線の製造方法であって、
前記第2の金属層を覆う第3の金属層が得られるように、前記第2の金属層をめっきするステップDであって、前記第3の金属層が金(Au)層であるステップD、をさらに含んだ金属配線の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の金属配線の製造方法であって、
前記ステップAは、銀(Ag)を含んだ前記導電性材料を吐出するステップを含んでいる、
金属配線の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の製造方法で製造された電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一つに記載の製造方法で製造された電子機器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線の製造方法、電気光学装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷法によるアディティブプロセス(Additive Process)を用いて回路基板を製造する方法が注目されている。薄膜の塗布プロセスとフォトリソグラフィープロセスとを繰り返して回路基板を製造する方法に比べて、アディティブプロセスのコストは低いからである。
【0003】
このようなアディティブプロセスに利用される技術の一つとして、インクジェット法による金属配線の塗布技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−6578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、配線基板(回路基板)上の金属配線には、はんだによって能動素子や受動素子が電気的に接続される。ただし、インクジェット法による吐出のために最適化された導電性材料における金属に対して、親和性が良くないはんだも存在する。ここで、親和性が良くないとは、その金属に対する塗れ性が悪いことや、金属配線中の元素の一部を吸収してしまう特性があることを指す。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、インクジェット法で製造された金属配線に適した実装技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の金属配線の製造方法は、被吐出面上に導電性材料が付与されるように、吐出装置のヘッドから液状の前記導電性材料を吐出するステップAと、前記付与された導電性材料を活性化または乾燥させて第1の金属層を得るステップBと、前記第1の金属層を覆う第2の金属層が得られるように、前記第1の金属層をめっきするステップCと、を含んでいる。
【0008】
上記構成によって得られる効果の一つは、吐出装置によって形成された金属層を覆うように、めっき工程による金属層が設けられているので、実装の際に使用されるはんだに合わせて導電性材料を準備する必要がないことである。
【0009】
好ましくは、前記第2の金属層はニッケル(Ni)層である。
【0010】
上記構成によって得られる効果の一つは、はんだを溶融する際に下地の第1の金属層の金属が消費されることを防止できることである。
【0011】
さらに好ましくは、上記製造方法が、前記第2の金属層を覆う第3の金属層が得られるように、前記第2の金属層をめっきするステップDであって、前記第3の金属層が金(Au)層であるステップD、をさらに含んでいる。
【0012】
上記構成によって得られる効果の一つは、第3の金属層によって下地の金属層の酸化を防止できることである。
【0013】
さらに好ましくは、前記ステップAは、銀(Ag)を含んだ前記導電性材料を吐出するステップを含んでいる。
【0014】
上記構成によって得られる効果の一つは、インクジェット法で容易に金属層を形成できることである。
【0015】
本発明の電気光学装置は上記製造方法で製造される。
【0016】
上記構成によって得られる効果の一つは、電気光学装置の製造にインクジェット法を適用できることである。
【0017】
本発明の電子機器は上記製造方法で製造される。
【0018】
上記構成によって得られる効果の一つは、電子機器の製造にインクジェット法を適用できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本実施形態の基板は、テープ形状を有するベース基板から製造される。ここでベース基板は、ポリイミドからなっており、フレキシブル基板とも呼ばれる。ベース基板上には、後述する製造工程によって、金属配線が形成される。そして、金属配線が形成された後で、複数の基板が切り抜かれるように、ベース基板はプレス処理を受ける。この結果、ベース基板から、それぞれが金属配線を有する複数の基板が得られる。ここで、本実施形態では、複数の基板のそれぞれに設けられた金属配線は、どれも同じパターンを構成している。なお、以下では、金属配線が形成された基板を「配線基板」とも表記する。
【0020】
本実施形態の製造方法は、配線塗布装置11(図1)による吐出工程と、めっき装置12(図4)によるめっき工程と、を含む。配線塗布装置11とめっき装置12とのそれぞれは、一対のリールを有している。そして、ベース基板が一方のリールから巻き出されて、他方のリールに巻き取られるまでに、それぞれの装置によって対応する処理が施される。このような処理方式は、リール・トゥ・リール(Reel To Reel)とも呼ばれる。以下では、金属配線の製造工程を詳細に説明する前に、これら配線塗布装置11と、めっき装置12と、をこの順番で説明する。
【0021】
図1に示す配線塗布装置11は、一対のリールW1と、吐出装置100と、オーブン150(乾燥装置)と、を有している。吐出装置100と、オーブン150と、はどちらも、一対のリールW1の間に位置している。そして、ベース基板1aは、一対のリールW1の一方から他方に移行する間に、吐出装置100による吐出工程と、オーブン150による活性化工程とを、この順番で受ける。
【0022】
図2に示す吐出装置100は、ビットマップデータに応じて、ヘッド114をベース基板1aに対して相対移動させるとともに、ベース基板1aの被吐出面に向けてノズルから液状の導電性材料111を吐出する。ここで、ビットマップデータは、ベース基板1a上に、導電性材料111を所定パターンで付与するためのデータである。また、「被吐出面」とは、液状の導電性材料が着弾することになる表面または部分を指している。なお、吐出装置100によるヘッドの相対移動と、ヘッドから導電性材料111の吐出と、をまとめて「塗布走査」と表記することもある。
【0023】
ここで、液状の導電性材料111は「液状の材料」の一種である。「液状の材料」とは、ヘッド114のノズル118(図3)から液滴として吐出されうる粘度を有する材料をいう。この場合、液状の材料が水性であると油性であるとを問わない。ノズル118から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。
【0024】
本実施形態では、液状の導電性材料111は、平均粒径が10nm程度の銀粒子と、分散剤と、有機溶媒と、を含む。液状の導電性材料111中で、銀粒子は分散剤に覆われている。分散剤に覆われた銀粒子は有機溶媒中に安定して分散されている。ここで、分散剤は、銀原子に配位可能な化合物である。このような分散剤として、アミン、アルコール、チオールなどが知られている。
【0025】
平均粒径が1nm程度から数100nmまでの粒子は、ナノ粒子とも表記される。この表記によれば、本実施形態の導電性材料111は銀のナノ粒子を含んでいる。
【0026】
吐出装置100は、より具体的には、図2に示すように、液状の導電性材料111を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101から液状の導電性材料111が供給される吐出走査部102と、を備えたインクジェット装置である。ここで、吐出走査部102は、グランドステージGSと、吐出ヘッド部103と、第1位置制御装置104と、制御部112と、を備えている。
【0027】
吐出ヘッド部103は、グランドステージGS側に液状の導電性材料111を吐出するヘッド114を保持している。このヘッド114は、制御部112からの信号に応じて、液状の導電性材料111の液滴をノズル118(図3)から吐出する。なお、タンク101と、吐出ヘッド部103におけるヘッド114とは、チューブ110で連結されており、タンク101からヘッド114に液状の導電性材料111が供給される。
【0028】
第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、吐出ヘッド部103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで吐出ヘッド部103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。
【0029】
より具体的には、第1位置制御装置104は、X軸方向に延びる一対のリニアモータと、X軸方向に延びる一対のX軸ガイドレールと、X軸エアスライダと、キャリッジ回動部と、支持構造体104aと、を備えている。支持構造体104aは、一対のリニアモータと、一対のX軸ガイドレールとを、グランドステージGSからZ軸方向に所定距離だけ離れた位置に固定している。一方、X軸エアスライダは、一対のX軸ガイドレールに移動可能に支持されている。そして、X軸エアスライダは、一対のリニアモータの働きによって、一対のX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。吐出ヘッド部103はキャリッジ回動部を介してX軸エアスライダと連結されているので、吐出ヘッド部103は、X軸エアスライダとともにX軸方向に移動する。なお、吐出ヘッド部103は、ヘッド114のノズル118(図3)がグランドステージGS側を向くように、X軸エアスライダに支持されている。なお、キャリッジ回動部はサーボモータを有しており、吐出ヘッド部103をZ軸に平行な軸の回りで回転させる機能を有する。
【0030】
ベース基板1aが移動する方向は、Y軸方向に一致している。具体的には、ベース基板1aが一方のリールから巻き出されてから、他方のリールに巻き取られるまでに、ベース基板1aはグランドステージGS上をY軸方向に移動する。
【0031】
上述のように、吐出ヘッド部103は第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。そして、ベース基板1aは、グランドステージGS上で、Y軸方向に移動する。このため、ベース基板1aに対するヘッド114の相対位置が2次元的に変わる。より具体的には、これらの動作によって、吐出ヘッド部103、ヘッド114、またはノズル118(図3)は、ベース基板1aに対して、Z軸方向に所定の距離を保ちながら、X軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。「相対移動」または「相対走査」とは、液状の導電性材料111を吐出する側と、そこからの吐出物が着弾する側(被吐出面側)の少なくとも一方を他方に対して相対移動することを意味する。
【0032】
このような構成によって、吐出装置100は、ベース基板1aの任意の場所に任意のパターンで導電性材料111が塗布、つまり付与されるように、導電性材料111を吐出することができる。
【0033】
吐出ヘッド部103は上記以外の平行移動および回転の自由度をさらに有している。ただし、本実施形態では、上記自由度以外の自由度に関する記載は説明を平易にする目的で省略されている。
【0034】
制御部112は、液状の導電性材料111を吐出すべき相対位置を表す吐出データ(例えばビットマップデータ)を外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
【0035】
図3(a)および(b)に示すように、吐出装置100におけるヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、ヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128と、を備えている。振動板126と、ノズルプレート128と、の間には、図示しない外部タンクから孔131を介して供給される液状の導電性材料111が常に充填される液たまり129が位置している。
【0036】
また、振動板126と、ノズルプレート128と、の間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、一対の隔壁122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、一対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状の導電性材料111が供給される。なお、本実施形態では、ノズル118の直径は、約27μmである。
【0037】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む一対の電極124A、124Bと、を含む。制御部112が、この一対の電極124A、124Bの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状の導電性材料111が吐出される。ここで、ノズル118から吐出される導電性材料111の体積は、0pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。なお、ノズル118からZ軸方向に液状の導電性材料111が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0038】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124と、を含んだ部分を「吐出部127」と表記することもある。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。吐出部127は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
【0039】
さて、図1のオーブン150は、導電性材料111が付与されたベース基板1aを加熱することで、導電性材料111を燒結する。そして、導電性材料111がオーブン150によって燒結されることで、ベース基板1a上に第1の金属層21が得られる。
【0040】
図4に示すめっき装置12は、無電解めっき法によって、ベース基板1aにニッケル(Ni)めっきを施すとともに、金(Au)めっきを施す。具体的には、めっき装置12は、一対のリールW2と、前処理液13Aを貯えた前処理槽13と、第1めっき液14Aを貯えた第1めっき槽14と、第2めっき液15Aを貯えた2つの第2めっき槽15と、ベース基板1aが一方のリールW2から他方のリールW2に向けて流れるようにベース基板1aを送り出す駆動部17と、ベース基板1aが前処理液13Aと、第1めっき液14Aと、第2めっき液15Aとに浸されるように、ベース基板1aのパスを形成する複数のスプロケット16と、を有している。なお、前処理槽13と、第1めっき槽14と、第2めっき槽15とは、一対のリールW2の間に位置している。
【0041】
第1めっき槽14における第1めっき液14AにはNiを含む化合物が溶解している。そして、第2めっき槽15における第2めっき液15Aには、Auを含む化合物が溶解している。さらに、前処理槽13の数と、第1めっき槽14の数と、第2めっき槽15の数とは、それぞれの処理に要する時間に合わせて、適宜変更され得る。このようなめっき装置12によって、第1の金属層21を覆う第2の金属層22(つまりNi層)および第3の金属層23(つまりAu層)が形成される。
【0042】
以下では、図5を参照しながら、金属配線の製造方法を説明する。
【0043】
まず、ポリイミドからなるベース基板1aを準備する(図5(a))。ここでは既に、ベース基板1aの表面は、所定の洗浄処理を含む表面処理によって、被吐出面となっている。そして、配線塗布装置11を用いて、ベース基板1a上に所定パターンの第1の金属層21を形成する。
【0044】
(吐出工程)
具体的にはまず、吐出装置100のヘッド114におけるノズル118から液状の導電性材料111を吐出することと、ベース基板1aに対するヘッド114の相対位置を変えることと、によって、ベース基板1aの被吐出面上に所定パターンの形状を有する導電性材料111の層を設ける(図5(b))。
【0045】
(活性化工程)
そして、導電性材料111の層が設けられた後で、導電性材料111の層を活性化する。このために本実施形態では、ベース基板1aをオーブン150内に位置させる。そして、導電性材料111における銀のナノ粒子が互いに融着または燒結するように、ベース基板1aに付与された導電性材料111の層を加熱する。この結果、ベース基板1a上に所定パターンの第1の金属層21(つまりAg層)が形成される(図5(c))。
【0046】
ここで、本実施形態の「所定パターン」とは、複数の第1の金属層21が、ほぼ30μm/20μmのライン/スペースでパラレルに並ぶようなパターンを含んでいる。なお、「ライン」は、第1の金属層21の幅を意味しており、「スペース」は2つの第1の金属層21の間に位置するギャップの幅を意味している。
【0047】
(めっき工程)
次に、めっき装置12における一対のリールW2に、ベース基板1aをセットする。そして、前処理液13Aと、第1めっき液14Aと、第2めっき液15Aとに、この順番でベース基板1aが浸されるように、一対のリールW2の一方から他方へ、ベース基板1aを送出する。ベース基板1aが第1めっき液14Aに浸された場合には、第1の金属層21(Ag層)上にNiが析出する。そして、所定の時間だけベース基板1aが第1めっき液14Aに浸されることで、第1の金属層21を覆う第2の金属層22(Ni層)が得られる(図5(d))。さらに、ベース基板1aを第2めっき液15Aに浸すことで、第2の金属層22の上に、Auが析出する。そして、所定の時間だけベース基板1aが第2めっき液15Aに浸されることで、第2の金属層22を覆う第3の金属層23(Au層)が得られる(図5(e))。ここで、本実施形態において、第2の金属層22の厚さと第3の金属層23の厚さとの和は、隣合う2つの第1の金属層21間でAgのマイグレーションが生じないように、設定されている。
【0048】
本実施形態では、第3の金属層23が形成されることで、ベース基板1a上に、所定パターンの金属配線2が得られる。以下では、ベース基板1aと、ベース基板1a上に形成された金属配線2と、を合わせて「配線基板1b」とも表記する。なお、ベース基板1aの材質はポリイミドなので、ベース基板1aの表面にはNiもAuも析出しない。つまり、ベース基板1aの表面には、第2の金属層22も第3の金属層23も形成されない。
【0049】
後述するように、はんだを用いた実装の際に、第2の金属層22(Ni層)は接着層として機能する。また、はんだが溶融する際に、第2の金属層22は拡散バリア層としても機能する。ニッケル(Ni)とはんだに含まれる錫(Su)とが中間金属を形成する際の反応速度が比較的遅いからである。
【0050】
第3の金属層23は下地の金属層の酸化を防ぐ働きをする。第3の金属層23が金(Au)からなるからである。ただし、第3の金属層23は、はんだの溶融の際に実質的に消滅する。はんだの溶融の熱によって、第3の金属層23における金原子がはんだ側および第2の金属層22側に拡散するからである。
【0051】
なお、金属配線2の最も外側にAu層(第3の金属層23)が位置するので、熱圧着と超音波振動とを併用することで、金属配線2に金(Au)からなるワイヤを接続することもできる。このように本実施形態の金属配線2には、ワイヤ・ボンディング接続技術による接続と、はんだによる接続と、のどちらの方法を用いても、他の素子を接続できる。
【0052】
第1の金属層21の全域に第2の金属層22および第3の金属層23を堆積させる必要がない場合には、めっき工程に先だって、めっきが不要な箇所にめっきレジストを塗布しておけばよい。また、本実施形態では、無電解めっき法(化学めっき法)が用いられている。しかしながら、無電解めっき法に代えて、電気めっき法を用いてもよい。
【0053】
上記製造方法によって金属配線2が形成された場合には、ワイヤ・ボンディング接続技術によって金属配線2の所望の部位にワイヤを接続することができる。さらに、以下で説明するように、はんだバンプを有する半導体素子を配線基板1b上に実装することもできる。
【0054】
(実装工程)
図6を参照しながら、半導体素子25を配線基板1b上に実装する方法を説明する。ここで、図6(a)に示すように、半導体素子25は複数の電極パッド26を有している。そして、これら複数の電極パッド26のそれぞれの上には、予め、はんだバンプ24が設けられている。本実施形態では、はんだバンプ24は、Sn/Ag/Cu系のはんだからなる。
【0055】
具体的には、まず、それぞれのはんだバンプ24が、対応する金属配線2に接するように、半導体素子25を配線基板1bに対して位置させる。その後、半導体素子25に圧力を加えながら、はんだバンプ24に熱を加えることで、はんだバンプ24を一旦溶融させる。一旦溶融したはんだバンプが固まると、図6(b)に示すように、半導体素子25の電極パッド26と、金属配線2とが、物理的かつ電気的に連結する。その後、必要に応じて、半導体素子25と、配線基板1bとの間の隙間に、エポキシ樹脂を流し込み、硬化させることで、封止層27(図7)を得る。この結果、図7に示すように、配線基板1bに半導体素子25が実装されて、回路基板1cが得られる。なお、本実施形態では、半導体素子25は、液晶ドライバ回路である。
【0056】
ここで、第1の金属層21とはんだバンプ24との間にNi層(第2の金属層22)がない場合には、はんだの溶融に伴なって、第1の金属層21を構成するAgがはんだバンプ24によって消費されてしまう。このため、第1の金属層21において電気的断線が生じてしまうことがある。本実施形態では、第1の金属層21を覆ってNi層(第2の金属層22)が位置するので、Agの消費は防止される。
【0057】
半導体素子25が実装された後、ベース基板1aから複数の回路基板1cが切り抜かれるように、ベース基板1aはプレス処理を受ける。切り抜かれた複数の回路基板1cのそれぞれは、基板1と、上述した所定パターンの金属配線2と、金属配線2の所定の部位に電気的に接続された半導体素子25と、を有している。
【0058】
図8に示すように、本実施形態では、得られた複数の基板1(この場合、回路基板1c)を、それぞれの液晶パネル32に電気的に接続する。そうすると、図8に示すような液晶表示装置34が得られる。このように、本実施形態の製造方法は、液晶表示装置の製造に適用できる。
【0059】
さらに、本実施形態の製造方法は、液晶表示装置の製造だけでなく、種々の電気光学装置の製造にも適用される。ここでいう「電気光学装置」とは、複屈折性の変化や、旋光性の変化や、光散乱性の変化などの光学的特性の変化(いわゆる電気光学効果)を利用する装置に限定されず、信号電圧の印加に応じて光を射出、透過、または反射する装置全般を意味する。具体的には、電気光学装置は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、表面伝導型電子放出素子を用いたディスプレイ(SED:Surface−Conduction Electron−Emitter Display)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)などを含む用語である。
【0060】
さらに、本実施形態の製造方法は、種々の電子機器の製造方法に適用され得る。例えば、図9に示す携帯電話機40の液晶パネル42は、本実施形態の製造方法で製造された回路基板に接続されている。また、図10に示すパーソナルコンピュータ50の液晶パネル52も、本実施形態の製造方法で製造された回路基板に接続されている。
【0061】
このように、吐出工程によって形成された金属層を覆うように、めっき工程による金属層が設けられているので、実装の際に使用されるはんだに合わせて導電性材料111を準備する必要がない。
【0062】
(変形例1)
上記実施形態では、ポリイミドからなる基板1上に金属配線2が形成される。しなしながら、このような基板1に代えて、セラミック基板やガラス基板やエポキシ基板やガラスエポキシ基板やシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。なお、シリコン基板を利用する場合には、導電性材料111を塗布する前に、基板表面にパシベーション膜を形成してもよい。なお、どのような基板や膜が用いられても、上述したように、ノズル118からの液状の導電性材料111が着弾することになる部分は本発明の「被吐出面」に対応する。
【0063】
(変形例2)
上記実施形態の液状の導電性材料111には、銀のナノ粒子が含まれている。しかしながら、銀のナノ粒子に代えて、他の金属のナノ粒子が用いられてもよい。ここで、他の金属として、例えば、金、白金、銅、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムのいずれか1つが利用されてもよいし、または、いずれか2つ以上が組合せられた合金が利用されてもよい。ただし、銀であれば比較的低温で還元できるため、扱いが容易であり、この点で、インクジェット法を利用する場合には、銀のナノ粒子を含む導電性材料111を利用することは好ましい。
【0064】
また液状の導電性材料111が、金属のナノ粒子に代えて、有機金属化合物を含んでいてもよい。ここでいう有機金属化合物は、加熱(すなわち活性化)による分解によって金属が析出するような化合物である。このような有機金属化合物には、クロロトリエチルホスフィン金(I)、クロロトリメチルホスフィン金(I)、クロロトリフェニルフォスフィン金(I)、銀(I)2,4−ペンタンヂオナト錯体、トリメチルホスフィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銀(I)錯体、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオナトシクロオクタジエン錯体、などがある。
【0065】
このように、液状の導電性材料111に含まれる金属の形態は、ナノ粒子に代表される粒子の形態でもよいし、有機金属化合物のような化合物の形態でもよい。
【0066】
(変形例3)
上記実施形態によれば、第1の金属層21上に2つの金属層が形成される。しかしながら、第1の金属層に含まれる金属と、実装工程で用いられるはんだの組成と、に応じて、めっき層(上記実施形態では第2の金属層と第3の金属層)の数は、変更され得る。つまり、第1の金属層上に1つの金属層だけが設けられてもよいし、3層以上の金属層が設けられてもよい。
【0067】
(変形例4)
上記実施形態によれば、オーブン150による加熱によって導電性材料111の層を活性化させる。ただし、加熱することに代えて、紫外域・可視光域の波長の光や、マイクロウェーヴなどの電磁波を照射することで、導電性材料111の層を活性化してもよい。また、このような活性化に代えて、導電性材料111を単に乾燥させてもよい。付与された導電性材料111の層を放置するだけでも第1の金属層21が生じるからである。ただし、導電性材料111の層を単に乾燥させる場合よりも、何らかの活性化を行う場合の方が、第1の金属層21の生成時間が短い。このため、導電性材料111の層を活性化することがより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】配線塗布装置を示す模式図。
【図2】吐出装置を示す模式図。
【図3】ヘッドの構造を示す模式図。
【図4】めっき装置を示す模式図。
【図5】(a)から(e)は金属配線の製造方法を説明する模式図。
【図6】(a)および(b)は、金属配線が形成された基板に半導体素子を実装する方法を説明する模式図。
【図7】本実施形態の回路基板を示す模式図。
【図8】液晶表示装置を示す模式図。
【図9】本実施形態の携帯電話機を示す模式図。
【図10】本実施形態のパーソナルコンピュータを示す模式図。
【符号の説明】
【0069】
1…基板、1a…ベース基板、2…金属配線、11…配線塗布装置、12…めっき装置、13A…前処理液、13…前処理槽、14A…第1めっき液、14…第1めっき槽、15A…第2めっき液、15…第2めっき槽、16…スプロケット、17…駆動部、21…第1の金属層、22…第2の金属層、23…第3の金属層、100…吐出装置、150…オーブン、W1・W2…1対のリール。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成16年4月28日(2004.4.28)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100107076
【弁理士】
【氏名又は名称】藤綱 英吉

【識別番号】100107261
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 修

【公開番号】 特開2005−317744(P2005−317744A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−133492(P2004−133492)