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【発明の名称】 配線基板の製造方法とこれを用いた配線基板
【発明者】 【氏名】藤井 昌三
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電子部品株式会社内

【氏名】遠▲藤▼ 謙二
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電子部品株式会社内

【氏名】江上 裕
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電子部品株式会社内

【氏名】不破 裕史
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電子部品株式会社内

【要約】 【課題】転写工程による加圧によってマイクロクラックが生じ、絶縁基板が割れてしまうという問題を有していた。

【解決手段】絶縁基板前処理工程41では、予め基板60上にガラスペースト61による強化膜62を形成するとともに、基板60の表面近傍の空孔70へガラスペースト61を充填するものである。これにより、基板60へ外力が係った場合に空孔70による応力集中が少なくなり、基板60が、多空孔質であっても、基板60の割れを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に配線パターンを形成する配線基板の製造方法において、樹脂製のフィルムへ凹部を加工し凹版を作成する凹版製造工程と、この凹版製造工程の後で前記凹部へ導体ペーストを充填する充填工程と、この充填工程の後で絶縁基板前処理工程で前記絶縁基板上に形成された接着剤の上に前記フィルムを貼り付ける貼り付け工程と、この貼り付け工程の後で前記絶縁基板を加熱するとともに加圧し、前記導体ペーストを前記絶縁基板側へ接着させる転写工程と、この転写工程の後で前記フィルムを前記絶縁基板から剥離し、前記導体ペーストを前記絶縁基板上へ残留させる剥離工程と、この剥離工程の後で前記導体ペーストを焼成し、前記配線パターンを形成させる焼成工程とを備え、前記絶縁基板は、多空孔を有すると共に硬質な無機質基材を用い、前記絶縁基板前処理工程では、前記無機質基材上に強化基材による強化膜を形成するとともに、前記無機質基材の前記強化基材側近傍における前記空孔へ前記強化基材を充填する配線基板の製造方法。
【請求項2】
絶縁基板前処理工程は、強化基材を無機質基材上に印刷する印刷工程と、この印刷工程の後で前記強化基材を焼成する焼成工程から成る請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
強化基材は、無機質基材の空孔径よりも小さな粒径のガラス粉を含むガラスペーストを用いた請求項2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
絶縁基板の一部には、強化膜の不形成部を設けた請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
絶縁基板上に配線パターンを形成する配線基板の製造方法において、樹脂製のフィルムへ凹部を加工し凹版を作成する凹版製造工程と、この凹版製造工程の後で前記凹部へ導体ペーストを充填する充填工程と、この充填工程の後で前記絶縁基板上に予め接着剤を塗布し、前記接着剤の上に前記フィルムを貼り付ける貼り付け工程と、この貼り付け工程の後で前記絶縁基板を加熱するとともに加圧し、前記導体ペーストを前記絶縁基板側へ接着させる転写工程と、この転写工程の後で前記フィルムを前記絶縁基板から剥離し、前記導体ペーストを前記絶縁基板上へ残留させる剥離工程と、この剥離工程の後で前記導体ペーストを焼成し、前記配線パターンを形成させる焼成工程とを備え、前記絶縁基板は、多空孔を有するとともに硬質な無機質基材と、この無機質基材上に設けられた強化基材と、前記強化基材と前記無機質基材との間に設けられると共に、前記空孔へ前記強化基材が充填された強化基材充填孔とを有する配線基板の製造方法。
【請求項6】
絶縁基板上に導体パターンが敷設された配線基板において、前記配線基板は、前記絶縁基板と、この絶縁基板上に敷設された転写導体と、この転写導体の上に設けられた絶縁層とを備え、前記絶縁基板は、無機質基材と、この無機質基材上に設けられた強化基材と、前記強化基材と前記無機質基材との間に設けられると共に、前記空孔へ前記強化基材が充填された強化基材充填孔とを有する配線基板。
【請求項7】
絶縁基板の一部には強化基材の不形成部を形成した請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
配線パターンは、強化基材上と不形成部とに敷設するとともに、前記強化基材と無機質基材との誘電率を異ならせる請求項7に記載の配線基板。
【請求項9】
強化基材は、樹脂を用いるとともに、絶縁基板前処理工程では、前記樹脂による樹脂層を前記基板上に形成させる樹脂膜形成工程と、この樹脂膜形成工程の後で、前記樹脂膜を溶融し、前記基板上に強化膜を形成させる溶融工程とを有した請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
樹脂は、熱可塑性樹脂を用いた請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、凹版によって多空孔質基材上に配線パターンを成形する配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の配線基板の製造方法について図面を用いて説明する。図10は従来の配線基板の製造方法の工程図であり、図11は従来の配線基板の製造方法による配線基板の要部断面図である。
【0003】
図10において、1は凹版製造工程であり、この凹版製造工程1では、クロムマスクに形成された孔を通過したエキシマレーザが、レンズを介しポリイミド製のフィルム(厚み125ミクロン)上に照射される。このようにして、フィルムに溝を彫り、凹部を形成する。
【0004】
2は、スクリーン印刷工程であり、フィルムに形成された凹部にスクリーンで銀ペーストを充填し、掻き取り工程3で凹部以外の不要な銀ペーストを除去し、乾燥工程4で銀ペースト中に含まれた溶剤を蒸発させていた。
【0005】
なおここで、乾燥工程4で銀ペーストを乾燥させると、溶剤が蒸発し体積が減少する。そこで凹部が銀ペーストで略一杯になるまで、再印刷工程5と、再掻き取り工程6と、再乾燥工程7とを繰り返す。
【0006】
そして、貼り付け工程8では、銀ペーストが充填されたフィルムを予め接着剤が塗布されたアルミナ基板上に貼り付け、転写工程9では、この貼り付けされたフィルムを加熱するとともに圧力を加え、銀ペーストをアルミナ基板上へ転写する。
【0007】
フィルム剥離工程10で、フィルムをアルミナ基板から剥すと、アルミナ基板上には、凹部に充填されていた銀ペーストが残留する。そして、焼成工程11でアルミナ基板を焼成すると、銀ペーストはアンカー効果でアルミナ基板上へ固定されて、導体パターン23が形成される。
【0008】
さらに、焼成が完了した配線基板上に、スクリーン印刷工程12によってガラスペーストを印刷し、乾燥工程13と焼成工程14を経て絶縁層24を形成し、配線基板21(図11に示す)が完成するものであった。
【0009】
図11は、このようにして製造された配線基板の要部断面図である。図11において22はアルミナ基板であり、このアルミナ基板22上に導体パターン23が形成される。そしてさらにそれらの導体パターン23を覆うようにしてガラスペーストによる絶縁層24が形成される。
【0010】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2000−183503号公報
【特許文献2】特開平7−169635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながらこのような従来の配線基板の製造方法は、アルミナ基板の替わりに多空孔質であるフォルステライトなどのポーラスな(本発明では多空孔質と言う)無機質基材を用いると、転写工程による加圧によってマイクロクラックが生じ、絶縁基板が割れてしまうという問題を有していた。
【0012】
そこで本発明は、この問題を解決したもので、多空孔質基材を用いた場合でも基材の割れを防止することができる配線基板の製造方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために本発明の配線基板の製造方法における絶縁基板は、多空孔を有すると共に硬質な無機質基材を用い、前記絶縁基板前処理工程では、前記無機質基材上に強化基材による強化膜を形成するとともに、前記無機質基材の前記強化基材側近傍における前記空孔へ前記強化基材を充填するものである。これにより、多空孔質基材を用いた場合でも基材の割れを防止することができる。
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明は、絶縁基板上に配線パターンを形成する配線基板の製造方法において、樹脂製のフィルムへ凹部を加工し凹版を作成する凹版製造工程と、この凹版製造工程の後で前記凹部へ導体ペーストを充填する充填工程と、この充填工程の後で絶縁基板前処理工程によって予め作成された前記絶縁基板上に予め接着剤を塗布し、前記接着剤の上に前記フィルムを貼り付ける貼り付け工程と、この貼り付け工程の後で前記絶縁基板を加熱するとともに加圧し、前記導体ペーストを前記絶縁基板側へ接着させる転写工程と、この転写工程の後で前記フィルムを前記絶縁基板から剥離し、前記導体ペーストを前記絶縁基板上へ残留させる剥離工程と、この剥離工程の後で前記導体ペーストを焼成し、前記配線パターンを形成させる焼成工程とを備え、前記絶縁基板は、多空孔を有すると共に硬質な無機質基材を用い、前記絶縁基板前処理工程では、前記無機質基材上に強化基材による強化膜を形成するとともに、前記無機質基材の前記強化基材側近傍における前記空孔へ前記強化基材を充填する配線基板の製造方法であり、これにより、絶縁基板前処理工程では、多空孔な無機質基材の上に強化基材による層が形成されるとともに、その強化基材が空孔の中にも充填されるので、強化基材によって絶縁基板表面の空孔が埋められ、絶縁基板表面の凹みを小さくできる。従って、絶縁基板へ外力が係った場合に空孔による応力集中が少なくなり、多空孔質基材を用いた場合でも基材の割れを防止することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明における絶縁基板前処理工程は、強化基材を無機質基材上に印刷する印刷工程と、この印刷工程の後で前記強化基材を焼成する焼成工程から成る請求項1に記載の配線基板の製造方法であり、強化膜は、無機質基材上に強化基材を印刷し、焼成するので容易に強化膜を形成できる。また、この絶縁層を形成するために、新たな設備は不要であるので、低価格な配線基板を実現することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明における強化基材は、無機質基材の空孔径よりも小さな粒径のガラス粉を含むガラスペーストを用いた請求項2に記載の配線基板の製造方法であり、空孔の径より小さな径のガラス粉を含んでいるので、容易にガラス粉が空孔へ充填される。従って絶縁基板の強度を容易に向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明における絶縁基板の一部には、強化膜の不形成部を設けた請求項1に記載の配線基板の製造方法であり、強化膜には強化基材の不形成部を設けているので、焼成工程における加熱によって空孔内の空気が膨張しても前記不形成部から抜けるので、強化膜が無機質基材から剥離し難くなる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、絶縁基板上に配線パターンを形成する配線基板の製造方法において、樹脂製のフィルムへ凹部を加工し凹版を作成する凹版製造工程と、この凹版製造工程の後で前記凹部へ導体ペーストを充填する充填工程と、この充填工程の後で前記絶縁基板上に予め接着剤を塗布し、前記接着剤の上に前記フィルムを貼り付ける貼り付け工程と、この貼り付け工程の後で前記絶縁基板を加熱するとともに加圧し、前記導体ペーストを前記絶縁基板側へ接着させる転写工程と、この転写工程の後で前記フィルムを前記絶縁基板から剥離し、前記導体ペーストを前記絶縁基板上へ残留させる剥離工程と、この剥離工程の後で前記導体ペーストを焼成し、前記配線パターンを形成させる焼成工程とを備え、前記絶縁基板は、多空孔を有するとともに硬質な無機質基材と、この無機質基材上に設けられた強化基材と、前記強化基材と前記無機質基材との間に設けられると共に、前記空孔へ前記強化基材が充填された強化基材充填孔とを有する配線基板の製造方法であり、絶縁基板は、多空孔な無機質基材の上に強化基材による層が形成されるとともに、その強化基材が空孔の中にも充填されて強化基材充填孔となり、強化基材によって絶縁基板表面の空孔が埋められることとなり、絶縁基板表面の凹みを小さくできる。従って、絶縁基板へ外力が係った場合に空孔による応力集中が少なくなり、多空孔質基材を用いた場合でも基材の割れを防止することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、絶縁基板上に導体パターンが敷設された配線基板において、前記配線基板は、前記絶縁基板と、この絶縁基板上に敷設された転写導体と、この転写導体の上に設けられた絶縁層とを備え、前記絶縁基板は、無機質基材と、この無機質基材上に設けられた強化基材と、前記強化基材と前記無機質基材との間に設けられると共に、前記空孔へ前記強化基材が充填された強化基材充填孔とを有する配線基板であり、絶縁基板は、多空孔な無機質基材の上に強化基材による層が形成されるとともに、その強化基材が空孔の中にも充填されて強化基材充填孔となり、強化基材によって空孔による絶縁基板表面の窪みが埋められることとなり、絶縁基板表面の凹みを小さくできる。従って、絶縁基板へ外力が係った場合に空孔による応力集中が少なくなり、多空孔質基材を用いた場合でも基材の割れを防止することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、絶縁基板の一部には強化基材の不形成部を形成した請求項6に記載の配線基板であり、強化基材の不形成部を設けているので、焼成工程における加熱によって空孔内の空気が膨張しても前記不形成部から抜けるので、強化基材が無機質基材から剥離し難くなる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、配線パターンは、強化基材上と不形成部とに敷設するとともに、前記強化基材と無機質基材との誘電率を異ならせる請求項7に記載の配線基板であり、誘電率が異なるので、小型化が必要な回路を誘電率が大きな基材上に形成すれば、回路を小型化することができる。
【0022】
また、信号の損失を小さくすることが必要な回路を誘電率が小さな基材上に形成すれば信号の損失を小さくできる。
【0023】
請求項9に記載の配線基板の製造方法は、強化基材は、樹脂を用いるとともに、絶縁基板前処理工程では、前記樹脂による樹脂層を前記基板上に形成させる樹脂膜形成工程と、この樹脂膜形成工程の後で、前記樹脂膜を溶融し、前記基板上に強化膜を形成させる溶融工程とを有した請求項1に記載の配線基板の製造方法であり、これにより容易に強化膜を形成できる。
【0024】
請求項10に記載の配線基板は、樹脂は、熱可塑性樹脂を用いた請求項9に記載の配線基板の製造方法であり、これにより凹版を転写するための樹脂膜を新たに形成する必要が無く、作業工程が少なくできる。従って低価格な配線基板を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、絶縁基板は、多空孔を有すると共に硬質な無機質基材を用い、前記絶縁基板前処理工程では、前記無機質基材上に強化基材による強化膜を形成するとともに、前記無機質基材の前記強化基材側近傍における前記空孔へ前記強化基材を充填するものである。
【0026】
これにより、絶縁基板前処理工程では、多空孔な無機質基材の上に強化基材による層が形成される。また、強化基材が空孔の中にも充填されるので、強化基材によって絶縁基板表面の空孔が埋められ、絶縁基板表面の凹みを小さくできる。従って、絶縁基板へ外力が係った場合に空孔による応力集中が少なくなり、多空孔質基材を用いた場合でも基材の割れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施の形態1)
先ず、本実施の形態1における配線基板の製造方法について以下図面を用いて説明する。図1は本実施の形態1における製造工程図であり、図2から図8は本実施の形態1における各製造工程の詳細図である。
【0028】
図1において、30はレーザ加工でフィルムに溝を加工する凹版製造工程である。31は、凹版製造工程30の後でフィルムに剥離層を形成する剥離層形成工程である。32は、剥離層形成工程の後で溝へ導電性ペーストを塗布、充填する充填工程であり、33は、充填工程32の後で導電性ペーストを乾燥させる乾燥工程である。そして34は、乾燥工程33の後で導電性ペーストを再塗布、再充填する再充填工程であり、35は再充填工程34の後で導電性ペーストを再乾燥する再乾燥工程である。
【0029】
次に36は、再乾燥工程35で再乾燥された凹版を、絶縁基板前処理工程41で予め接着剤が塗布されたフォルステライト基板(多空孔質基材の一例として用いた。なお本発明においては以降基板という)上に貼り合わせ、加熱するとともに加圧する転写工程である。37は、転写工程の後でフィルムを基板から剥離し、導電性ペーストを基板上に転写するフィルム剥離工程である。
【0030】
そして、39は、加熱工程で処理された基板上の導電性ペーストを焼成する焼成工程である。続いて40は、焼成工程39で焼成された基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程である。
【0031】
ここで、絶縁基板前処理工程41は、ガラスペースト(強化基材の一例として用いた)を印刷する印刷工程42と、この印刷工程42の後でガラスペーストを乾燥する乾燥工程43と、この乾燥工程43の後でガラスペーストを焼成する焼成工程44と、この焼成工程の後で接着剤を塗布する接着剤塗布工程45とから構成される。
【0032】
以下に、本実施の形態1における配線基板の製造方法を形成する各製造手段について図面を用いて詳細に説明する。
【0033】
まず、凹版製造工程30の製造手段について説明する。図2は、本実施の形態1における凹版製造工程30における凹版製造手段の説明図である。図2において、50は、厚さ125ミクロンメートルのポリイミド製のフィルムである。このフィルム50の上方には、クロムマスク51が載置され、このクロムマスク51のさらに上方からエキシマレーザ52が照射される。なお、クロムマスク51には孔51aが設けられており、このクロムマスク51とフィルム50との間にはレンズ53が設けられている。これによって、クロムマスク51に形成された孔51aを通過したエキシマレーザ52が、レンズ53を通過し、フィルム50上に孔51aに対応した像が結ばれる。このようにして、フィルム50に溝を彫り、凹部54が形成される。
【0034】
なお凹部54は、開口部に向かって広がった傾斜を有しており、この傾斜角を約2度から6度の傾斜としてある。これによって、後述するフィルム剥離工程37で導電性ペーストが凹部54から抜けやすくなるので、精度の良い導体パターンを形成することができる。
【0035】
次に31(図1参照)は、剥離層形成工程である。この剥離層形成工程31における剥離層形成手段は、凹版製造工程30によって凹部54が形成された面側に、剥離層としてフッ化炭素系を塗布し、フッ化炭素系の分子膜を形成するものである。この剥離層によって、後述のフィルム剥離工程37において、導電性ペーストをフィルム50から剥離しやすくなる。
【0036】
次にペースト充填工程32におけるペースト充填手段について図3を用いて説明する。図3は本実施の形態1におけるペースト充填手段の断面図である。図3(a)に示されるように、このペースト充填手段では、まず厚さ100μmのスクリーン57がフィルム50上に載置され、導電性の導電性ペースト56がスクリーン印刷される。これによって凹部54内に導電性ペースト56が充填されるとともに、フィルム50上には約100ミクロンの厚さで略均一で導電性ペースト56の膜56aが形成されることとなる。なおここで、スクリーン57は、ステンレス製であり、その開口部は凹部54が形成された領域よりも大きな範囲とすることによって、全ての凹部54に導電性ペースト56を充填することができる。
【0037】
その後、導電性ペースト56が印刷されたフィルム50は、遠心分離機で回転されることによって、導電性の導電性ペースト56が凹部54の隅々まで充填される。なお、この遠心分離機を用いると、充填と同時に脱泡も行うことができる。
【0038】
そして、図3(b)に示すように、スキージ58でフィルム50の表面が掻き取られ、フィルム50上の不要な導電性ペースト56bが除去され、凹部54にのみ導電性の導電性ペースト56が確りと充填されることとなる。
【0039】
次に乾燥工程33(図1も併せて参照)における乾燥手段について説明する。図3(c)は、乾燥工程33における乾燥手段の断面図である。この乾燥手段では、凹部54へ充填された導電性ペースト56を乾燥するものである。このときこの乾燥工程33では、導電性ペースト56は劣化しないが、導電性ペースト中に含まれた溶剤が揮発する温度で乾燥されることが必要である。ここで、本実施の形態1における導電性ペースト56の溶剤は、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤が用いられている。また、導電性ペーストは約60重量パーセントの銀粉と、約38重量パーセントの溶剤と、残りを占めるバインダーとによって構成されている。従って、この乾燥工程33での加熱温度は150℃程度とすることが望ましい。
【0040】
ここで、導電性ペースト56の約38重量パーセントは溶剤であるので、乾燥が完了すると、図3(c)に示すように、溶剤の蒸発相当分の体積が減少する。そこでこの体積の減少分を補うために、再度導電性ペースト56を充填する再充填工程34と再乾燥工程35とを有している。そして、それら再充填工程34と再乾燥工程35は、図3(d)に示すように、凹部54が導体ペーストで略完全に満たされるまで数回繰り返される。なお、本実施の形態1においては、再充填工程34と再乾燥工程35を5回繰り返している。
【0041】
ここで本実施の形態1においては、導電性ペースト56の印刷性を考慮し、銀粉の含有比率を約60重量パーセントとしているが、さらにこの銀粉の含有比率の大きいものを用いれば再充填工程34と再乾燥工程35の繰り返し回数を減少させることも可能である。
【0042】
では次に、絶縁基板前処理工程のそれぞれの工程について詳細に説明する。図4は、本実施の形態1における絶縁基板前処理工程41の絶縁基板の断面図であり、図4(a)は、印刷工程における絶縁基板の断面図であり、図4(b)は、接着剤塗布工程における絶縁基板の断面図である。
【0043】
まず図4(a)に示すように、印刷工程42では、フォルステライト基板60(無機質基材の一例として用いた。なお本発明においては以降基板という)の表面上にガラスペースト(強化基材の一例として用いた)をスクリーン印刷し、乾燥工程43によってガラスペーストを乾燥する。そして、焼成工程44によってガラスペースト61を焼成し強化膜62を形成させるものである。なお本実施の形態においてはガラスペーストを用い、これをスクリーン印刷によって基板60上へ供給するので、容易に基板60に強化膜62を形成することができる。
【0044】
なお、本実施の形態における印刷工程42では、約20μmの厚みのスクリーンを用い、印刷工程42と乾燥工程43とを2回繰り返すことで、基板60上に約36μmの膜厚のガラスペースト層61が形成される。
【0045】
そして焼成工程44でガラスペースト61を焼成すると、基板60上に膜厚が約20μmのガラスの強化膜62が完成する。
【0046】
次に、接着剤塗布工程45は、焼成工程44と転写工程36の間に挿入され、強化膜62上にポリビニルブチラール樹脂63(以下PVBという。なおこれは接着剤の一例として用いたものである。)がスクリーン印刷によって塗布される工程である。これによって図4(b)に示したように、強化膜62上にPVB63の膜が形成された前処理基板64が完成し、絶縁基板前処理工程が完了する。
【0047】
なお、本実施の工程においてはPVB63をスクリーン印刷で塗布したが、これは基板60をアセトンとトルエンとの混合溶液にPVB樹脂を溶かした液に浸漬し、乾燥させることによって形成しても良い。なお、アセトンとトルエンとの混合溶液を用いているので、乾燥温度は常温で行うことができる。
【0048】
次に転写工程36における転写手段について説明する。図5はこの転写工程における転写手段の断面図である。図5に示すように、充填工程32で導電性ペースト56が充填されたフィルム50が、前処理基板64上に貼り合わされる。このフィルム50が貼り合わされた前処理基板64は、ゴム(図示せず)の間に挟まれ、そのゴムの上下から圧力を加えるとともに加熱される。そして、この加熱によって溶融したPVB63は、導電性ペースト56内に浸透し、導電性ペースト56とPVB63とが混ざることとなる。
【0049】
なお、この加熱温度はガラス転移点以上であることが必要である。これは、PVB63面近傍におけるフィルム50と前処理基板64との剥離を防止するためである。さらに、PVB63の重合度が0となる温度以下でなければならない。これは、PVB63内の分子の結合が外れることによって発生するガス(水蒸気など)によるボイド等を防止する為である。つまり凹部54内でガスが発生してもその逃げ口がないので、ガスは当然導電性ペースト56内に留まるからである。
【0050】
ここで、大気雰囲気中においてはPVB63を175℃の温度で20分程度加熱してやると、重合度は0となってしまう。そこで、本実施の形態1においては転写工程36における加熱温度を170℃としている。これは、175℃の温度でも徐々にPVB内の分子結合の破壊は進行し、徐々にガスが発生するので、PVB63の加熱温度を170℃と低くしてある。これによって、ボイドの少ない導体パターンを実現でき、高精度な導体パターンを実現することができる。
【0051】
次に冷却によって、PVB63が固まり、導電性ペースト56も硬くなるとともに導電性ペースト56が前処理基板64に確りと接着される。なおこの冷却は、PVB63のガラス転移点より低い温度となるまで冷却されることが重要である。これは、ガラス転移点以上の温度においてPVB63は完全に硬くなっておらず、この状態で搬送したりすると、フィルム50とアルミナ基板60との間で剥離を起こすことがあり、この剥離を防止するためである。
【0052】
次にフィルム剥離工程37におけるフィルム剥離手段について説明する。図6は、本実施の形態1におけるフィルム剥離工程37におけるフィルム剥離手段の断面図を示している。図6において、フィルム50を前処理基板64から剥がし、凹部54内の導電性ペースト56を前処理基板64上に残留させる。これにより、クロムマスク51(図2)の孔51aに対応した導体パターン65が前処理基板64へ転写されることになる。
【0053】
次に焼成工程39における焼成手段について説明する。この焼成手段は、前処理基板64上の導電性ペースト56の銀粉を焼結させるものである。なお、この焼成工程39における焼成温度のピーク温度は略850℃である。このようにして、PVB63が約400℃の温度で燃焼し、炭素と水(水蒸気)へと変化して焼失するので、導電性ペースト56がアンカー効果により絶縁前処理基板75に固定され、導体パターン65が形成された配線基板が完成する。なお、本実施の形態1における焼成工程39の焼成温度カーブは、毎分約31℃である。
【0054】
そして次に、絶縁層形成工程40によって、導体パターン65の電気的、物理的保護などを目的として絶縁層66が形成され、図7に示すような配線基板が完成する。その絶縁層は、スクリーン印刷などによって、樹脂を印刷することによって形成している。
【0055】
図8は、本実施の形態1の絶縁基板前処理工程における焼成工程での基板の断面模式図である。なお図8において、図4と同じものは同じ番号を付し、その説明は簡略化している。
【0056】
図8において、70は、基板60内の空孔である。そしてこの空孔70は、基板60の表層部にも存在する。従って、ガラスペースト61の印刷工程42では、基板60の表層面近傍にある空孔70へガラスペースト61が流れ込み、ガラス充填孔71(強化基材充填孔の一例として用いた)が形成される。そして乾燥工程43と焼成工程44によってガラスによる強化膜62が形成される。本実施の形態においては、ガラスペースト61には、空孔70の径より小さな粒径を含むものを用いることで、ガラスペースト61が空孔70へ確りと充填されることとなる。なお、本実施の形態においては、ガラスペースト61の平均粒径は、約2μmのものを用いている。
【0057】
つまり、強化膜62によって基板60表面近傍の空孔70が塞がれ、表面の凹凸が小さくなる。これによって、基板60に対して応力などが加わった場合においての、空孔70による凹部先端近傍に生じる応力集中など小さくできる。従って、基板60への応力がかかる転写工程において、特にマイクロクラックや割れなどが発生しにくくできる。
【0058】
また、ガラスが空孔70へ充填されることで、くさび効果を生じ、強化層62と基板60とは剥離しにくくなる。
【0059】
本実施の形態において強化膜62は、基板60の片側にのみ形成したが、これは片側からの応力がかかる場合、応力の反対側に強化膜を形成すれば、空孔70で生じる応力集中などの発生が少なくなる。又、両面に形成しても良く、これによってさらに基板の強度を大きくすることができ、基板の割れを更に少なくすることができる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、基板60には、強化膜62の不形成部75aを設けている。また、本実施の形態においては、基板60の側面60aや、裏面60b側も強化膜61を設けていない不形成部としてある。これにより、基板60内部の空孔70内に含まれた空気や水分が、焼成工程39による加熱で膨張した場合にも、不形成部75aがそれらの抜け道となるので、強化膜62と基板60との剥離や膨れなどの発生を防止することができる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、不形成部75a上にも配線パターン65a(図7に示す)を形成し、基板60と強化膜62とは、誘電率の異なる材料を用いている。これにより、小型化が必要な回路を誘電率が大きな側に形成すれば、回路を小型化することができる。
【0062】
また、信号の損失を小さくすることが必要な回路を誘電率が小さな側に形成すれば信号の損失を小さくできる。
【0063】
(実施の形態2)
以下実施の形態2について図面を用いて説明する。図9は、本実施の形態における配線基板の製造フローチャートである。なお、図9において、図1と同じ工程は同じ番号を用い、その説明は簡略化している。
【0064】
本実施の形態では、実施の形態1に対し、絶縁基板前処理工程41が異なっており、この工程について詳細に説明する。本実施の形態における強化膜62は、樹脂膜であり、例えばPVBなどを用いたものである。
【0065】
そして、この強化膜62の形成のために、実施の形態1の絶縁基板前処理工程41に代えて、絶縁基板前処理工程101を設けたものである。では、絶縁基板前処理工程101について説明する。絶縁基板前処理工程101には、基板60の表面に樹脂膜層を形成させる樹脂膜形成工程102と、この樹脂膜形成工程102の後で加熱し樹脂膜を溶融させる溶融工程とから構成される。
【0066】
なお、本実施の形態における樹脂膜形成工程102における浸漬工程102aでは、PVBをアセトンなどの溶液に溶かした溶液中に基板60を浸漬する。そして、この浸漬工程102aの後で、基板60を常温環境下で乾燥させる乾燥工程102bを設けることで、アセトンなどの溶剤が蒸発し、基板60上にはPVBによる樹脂膜が形成される。
【0067】
溶融工程103では、樹脂膜が形成された基板60を、樹脂の溶融温度以上の温度にまで加熱し、溶融させる。この加熱によって樹脂の粘度が小さくなり、浸漬だけでは入り込めなかった小さな空孔などへもPVBが入り込むこととなり、基板60は割れ難くなる。本実施の形態ではPVBを用いているので、この溶融工程103の温度は、約150℃の温度としている。これにより強化膜62形成のために樹脂を用いているので、強化膜62の形成のために焼成などを行う必要がなく、容易に強化膜62を形成できる。
【0068】
なお、樹脂には、PVBなどの熱可塑性樹脂を用いているので、これにより凹版を転写するために別途樹脂を塗布する必要が無く、作業工程が少なくできる。従って低価格な配線基板を得ることが出来る。
【0069】
また、本実施の形態において強化膜62は、浸漬によって形成したが、これはスクリーン印刷やコータなどによって形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明にかかる配線基板の製造方法とこれを用いた配線基板は、基材が割れ易い多空孔を有した基板に対して配線パターンを成形する方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施の形態1における配線基板の製造工程図
【図2】同、凹版製造手段の断面図
【図3】(a)は、同、充填手段の断面図、(b)は、同、充填手段の断面図、(c)は、同、乾燥工程におけるフィルムの断面図、(d)は、同、再乾燥工程におけるフィルムの断面図
【図4】(a)は、同、ガラスペースト印刷工程における基板の断面図、(b)は、同、PVB塗布後における基板の断面図
【図5】同、転写手段の断面図
【図6】同、フィルム剥離手段の断面図
【図7】同、配線基板の断面図
【図8】同、絶縁基板製造工程における基板の要部拡大模式図
【図9】実施の形態2における配線基板の製造工程図
【図10】従来の配線基板の製造フローチャート
【図11】同、配線基板の断面図
【符号の説明】
【0072】
30 凹版製造工程
32 充填工程
36 転写工程
37 剥離工程
39 焼成工程
41 絶縁基板前処理工程
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成17年2月17日(2005.2.17)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100103355
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 智康

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【公開番号】 特開2005−311304(P2005−311304A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2005−40149(P2005−40149)