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【発明の名称】 金属パターン形成方法
【発明者】 【氏名】加納 丈嘉
【住所又は居所】静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写真フイルム株式会社内

【氏名】川村 浩一
【住所又は居所】静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写真フイルム株式会社内

【要約】 【課題】エッチング工程を行うことなく微細な金属パターンの形成が可能であり、且つ、基材界面の凹凸が少ない場合でも基材と金属膜との密着性に優れた耐熱性の高い金属パターンを形成しうる金属パターン形成方法を提供すること。

【解決手段】重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、該基材表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域を形成する工程と、該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする金属パターン形成方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、該基材表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域を形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法。
【請求項2】
重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、エネルギーを付与して、該基材表面に活性点を発生させ、該活性点を起点として、該基材表面に直接結合し、且つ、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有する高分子化合物からなる高分子化合物層を設け、該高分子化合物層に、熱、酸又は幅射線をパターン状に与えることにより、当該基材表面に無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域をパターン状に形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法。
【請求項3】
重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させ、パターン状に輻射線を照射することで、該基材表面にパターン状に活性点を発生させ、該活性点を起点として、グラフト重合を用いて当該基材表面にグラフトポリマーを生成させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域をパターン状に形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法。
【請求項4】
前記ポリイミドを含む基材がフィルム状又は板状の基材であり、該基材の両面に金属パターンを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法。
【請求項5】
穴開け工程を更に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法。
【請求項6】
前記穴開け工程後に、該工程により形成された穴に導電化処理を行う工程を有することを特徴とする請求項5に記載の金属パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属パターン形成方法に関し、特に、金属配線板、プリント配線基板(FPC基板、TABテープ等)、半導体パッケージとして有用な金属パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、金属配線の中でも配線幅が狭く、高周波電流を流す需要が高まっている分野が、FPC分野、TAB分野である。
FPC(Flexible Printed Circuit:フレキシブルプリント配線板)とは、屈曲性のある基板上に金属パターンが形成された配線基板のことであり、高屈曲性能を生かして、ハードディスクドライブや、光ピックアップの中で繰り返して高速に動作するヘッド部分に用いられている。また、折り畳むようにして狭いスペースに電子回路を組み込むことができるので、カメラや携帯電話などにも利用されている。
TABテープとは、Tape Automated Bonding テープの略であり、耐熱フィルムをべース基板に用いたIC・LSIの薄型実装が可能な配線板のことである。実装方式としては、配線板に形成されたリードと半導体チップを、直接、熱圧で一括接合する。TABテープは、配線の高密度化に優れ、LCD・PDP等のドライバー用基板、メモリーやDSPデバイス等のCSP用のインターポーザー(再配線基板)として使用されている。
【0003】
これらに形成されている金属パターンの形成方法としては、主に「サブトラクティブ法」、「セミアディティブ法」、「フルアディティブ法」が知られている。
サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属の層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この手法で使用される金属基板は、基板と金属層との密着性を持たせるために基板界面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるいという問題点があった。
【0004】
この問題を解決する為に、基板表面にラジカル重合性化合物をグラフトして表面改質を行うことで、基板の凹凸を最小限にとどめ、かつ、基板の処理工程を簡易にする方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。しかし、この手法で作製した金属基板をサブトラクティブ法によりパターン化しても、サブトラクティブ法に特有の問題点がある。それは、サブトラクティブ法により高細線幅の金属パターンを形成するためには、レジストパターンの線幅よりもエッチング後の線幅が細くなる、いわゆるオーバーエッチング法が有効である。しかしながら、オーバーエッチング法により、微細金属パターンを直接形成しようとすると、線のにじみやかすれ、断線等が発生しやすくなり、良好な微細金属パターンを形成するという観点からは、30μm以下の金属パターンの形成は難しい。また、パターン部以外のエリアに存在する金属膜をエッチング処理によって除去するため無駄が多く、また、そのエッチング処理によって生じる金属廃液の処理に費用がかかるなど、環境、価格面でも問題があった。
【0005】
前記問題を解決するために、セミアディティブ法と呼ばれる金属パターン形成手法が提案されている。セミアディティブ法とは、基板上にメッキ等により薄くCr等の下地基板層を形成し、該下地金属層上にレジストパターンを形成する。続いて、レジストパターン以外の領域の下地金属層上にメッキによりCu等の金属層を形成した後、レジストパターンを除去する事により配線パターンを形成する。更に、該配線パターンをマスクとして下地金属層をエッチングし、レジストパターン以外の領域に金属パターンを形成する手法である。この手法は、エッチングレスの手法であるために30μm以下の細線パターンの形成が容易であり、メッキにより必要な部分にのみ金属を析出させるため環境、価格面でも有効である。しかしながら、この手法では、基板と金属パターンの密着性を持たせるために基板表面を凹凸処理する必要があり、その結果、出来上がる金属パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。
【0006】
また、フルアディティブ法と呼ばれる金属パターン形成手法も提案がなされている。フルアディティブ法とは、基板上にレジストパターンを形成し、レジストパターン以外の領域にメッキにより金属を析出させ、その後にレジストパターンを除去する。この手法も、エッチングレスの手法であるために30μm以下の細線パターンの形成が容易であるが、セミアディティブ法と同様の問題点を有しており、細線パターンが形成でき、基板界面の凹凸が少なく、エッチング廃液の少ない、新たな金属パターン形成手法が望まれていた。
【0007】
さらに、配線基板の形成などに使用される基板には、はんだ耐性が必要であり、通常250℃程度の耐熱性が求められるため、耐熱性に優れるポリイミド基板が一般的に使用されている。しかしながら、ポリイミド基板が用いられる場合についても、上述したような、金属パターン形成に際しての問題は同様に存在しており、耐熱性に優れたポリイミド基板に金属パターンをもうける観点からも、新たな金属パターン形成手法が望まれているが、未だ提供されるに至っていないのが現状である。
【特許文献1】特開昭58−196238号公報
【非特許文献1】「Advanced Materials」,2000年,第20号,p.1481−1494
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、エッチング工程を行うことなく微細な金属パターンの形成が可能であり、且つ、基材界面の凹凸が少ない場合でも基材と金属膜との密着性に優れた耐熱性の高い金属パターンを形成しうる金属パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、基材として、重合開始部位がその骨格中に導入されたポリイミドを用いることで、UV光などによるエネルギー付与により、簡単にポリイミド基材表面に活性点を発生させること(ラジカルを発生させること)ができ、この活性点を起点として、基材表面と直接結合し且つ無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域を形成して、該領域に対して無電解メッキを行うことで、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の金属パターン形成方法は、重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、該基材表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域を形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法である。
【0011】
本発明のパターン形成方法の好適な態様は、重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、エネルギーを付与して、該基材表面に活性点を発生させ、該活性点を起点として、該基材表面に直接結合し、且つ、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有する高分子化合物からなる高分子化合物層を設け、該高分子化合物層に、熱、酸又は幅射線をパターン状に与えることにより、当該基材表面に無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域をパターン状に形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法である。
【0012】
本発明の金属パターン形成方法の他の好適な態様は、重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させ、パターン状に輻射線を照射することで、該基材表面にパターン状に活性点を発生させ、該活性点を起点として、グラフト重合を用いて当該基材表面にグラフトポリマーを生成させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域をパターン状に形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法である。
【0013】
本発明において、前記ポリイミドを含む基材がフィルム状又は板状の基材である場合には、該基材の両面に金属パターンを形成することができる。これにより、金属パターンが回路配線等に適用される場合に、より一層の高密度化が可能となる。
【0014】
本発明においては、穴開け工程を更に有することができる。更に、本発明においては、前記穴開け工程後に、該工程により形成された穴に導電化処理を行う工程を有することができる。
穴開け工程を行うことにより、例えば、基材の片面のみに金属パターンが形成されている場合には、IC等のリードを差し込む穴とすることができる。また、例えば、基材の両面に金属パターンが形成されている場合には、穴開け工程の後に導電化処理を更に行い、穴開け工程で形成された穴の側壁を導電化することで、基材の両面に形成された金属パターン導電性素材により繋げることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エッチング工程を行うことなく任意のパターンに従って微細な金属パターンの形成が可能であり、且つ、基材界面の凹凸が少ない場合も基材と金属膜との密着性に優れた耐熱性の高い金属パターンを形成しうる形成金属パターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の金属パターン形成方法は、重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、該基材表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域(以下、適宜「相互作用性領域」と称する。)を形成する工程(以下、適宜「パターン形成工程」と称する。)と、該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、有することを特徴とする。
【0017】
本発明を適用して金属パターンが形成された材料は、そのまま単独で回路基板等として用いても、複数の材料を積層して多層配線板等として用いてもよく、その適用範囲は広い。本発明は、例えば、微細な配線を必要とするFPC基板(片面、両面、多層)、TABテープ、半導体パッケージ等の各種の電気素子の形成に特に有用である。
【0018】
本発明のパターン形成方法の好適な態様は、下記(1)及び(2)に挙げる方法であるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。
【0019】
(1) 重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、エネルギーを付与して、該基材表面に活性点を発生させ、該活性点を起点として、該基材表面に直接結合し、且つ、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有する高分子化合物からなる高分子化合物層を設け、該高分子化合物層に、熱、酸又は幅射線をパターン状に与えることにより、当該基材表面に無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域(相互作用性領域)をパターン状に形成する工程と、該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、を有することを特徴とする金属パターン形成方法。(以下、「金属パターン形成方法(1)」と称する。)
【0020】
(2)重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させ、パターン状に輻射線を照射することで、該基材表面にパターン状に活性点を発生させ、該活性点を起点として、グラフト重合を用いて当該基材表面にグラフトポリマーを生成させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域(相互作用性領域)をパターン状に形成する工程と、
該領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、
無電解メッキを行い、パターン状の金属膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする金属パターン形成方法。(以下、「金属パターン形成方法(2)」と称する。)
【0021】
本発明の金属パターン形成方法においては、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に直接化学結合した領域に、選択的に無電解メッキ又はその前駆体を付与し、続いて無電解メッキを行うため、従来のレジストパターンを用いたエッチング処理による金属パターン形成方法と比較して、銅等の金属を積層して金属パターンを形成するため、高解像度の金属パターンを容易に得ることができたものと推測される。また、エッチング廃液がでないといった利点をも有する。
【0022】
また、本発明の金属パターン形成方法を用いて作製された金属パターンは、基板が表面グラフト処理(詳細は後述する。)されている。その表面グラフト層に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を作用させ、無電解メッキをすると、表面グラフトポリマー鎖は基板界面からの重合により形成されるため、その運動性が高く、無電解メッキ触媒又はその前駆体と作用しやすい。また、その高い運動性により無電解メッキ液が膜内部に浸透しやすく、無電解メッキが表面グラフト層内部や上部で進行する。その結果、金属膜部分の基板界面が、基板に直接結合しているポリマーとのハイブリッド状態になり、そのため、基板界面の凹凸を最小限にとどめつつも密着性が発現していると考えられる。また、ポリイミド基材に直接グラフトポリマーを導入し、そこに金属を析出させることで、耐熱性の高い金属パターンの形成を可能にしたものと推測される。
以下、本発明の金属パターン形成方法における各要素について詳細に説明する。
【0023】
《パターン形成工程》
本工程では、基材上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマーが、パターン状に直接化学結合してなる領域(相互作用性領域)を形成する。
【0024】
先ず、本発明の金属パターン形成方法の各態様において必須に用いられる、重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材について、詳細に説明する。
【0025】
[重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材の作製]
本発明に係る基材は、重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材(以下、単に「ポリイミド基材」と称する場合がある。)である。
ここで、重合開始部位とは、UV光などによるエネルギー付与により活性化されて構造中に活性点(ラジカル種)を発生しうる部位を意味する。活性点を発生させる態様には、重合開始部位に直接活性点を発生させる態様や、重合開始部位近傍の水素の引き抜きにより、重合開始部位及びその近傍に活性点の発生を引き起こす態様、などが含まれる。本発明に係る基材として用いられるポリイミドは、重合開始部位をその骨格中に含むポリイミド(以下、適宜「特定ポリイミド」と称する。)であり、このような部位を有することにより、基材表面に後述するグラフトポリマーを簡便に生成させることができるものである。
【0026】
また、本発明において、特定ポリイミド中に含まれる重合開始部位は、耐熱性、生産のし易さの観点から、ポリイミドの主鎖骨格中に含まれることが最も好ましい態様である。
【0027】
本発明に係る特定ポリイミドを含む基材は、次の<1>〜<3>をこの順に行うことにより作製することができる。
<1>ポリイミド前駆体の作製
<2>ポリイミド前駆体の成形
<3>加熱処理によるポリイミド前駆体のポリイミド構造へ変化
以下、上記<1>〜<3>について説明する。
【0028】
<1>ポリイミド前駆体の作製
〔ポリイミド前駆体化合物の説明〕
本発明における特定ポリイミドの作製に用いられるポリイミド前駆体化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が用いられる。
【0029】
【化1】


【0030】
一般式(I)中、R1は4価の有機基を表し、R2は2価の有機基を表し、nは1以上の整数を表す。R1及びR2の少なくとも一方は、重合開始能を有する構造を含む基である。この重合開始能を有する構造部分が、本発明に係るポリイミドにおける重合開始部位である。また、重合開始能を有する構造としては、光重合開始能を有する構造であることが好ましい。
【0031】
一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(III)で表されるジアミン化合物と、を有機溶媒中で反応させることで得ることができる。また、他の成分として2価のアルコール類を添加してもよい。
【0032】
【化2】


【0033】
上記一般式(II)(III)中、R1及びR2は、前記一般式(I)におけるR1及びR2との同義である。
【0034】
(一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物)
一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、R1が、炭素数が2〜27の脂肪族基、炭素数4〜10の環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、又は、重合開始能を有する構造を含む基から選択される化合物であるか、或いは、R1が、芳香族基が直接連結された非縮合多環式芳香族基、又は芳香族基が架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である化合物が好ましい。これらの中でも、R1が、重合開始能を有する構造を含む基であることが特に好ましい。
また、一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
一般式(II)におけるR1が、炭素数が2〜27の脂肪族基、炭素数4〜10の環式脂肪族基、単環式芳香族基、又は縮合多環式芳香族基から選択された基である場合、ポリイミドの耐熱性の観点からは、単環式芳香族基又は縮合多環式芳香族基であることが好ましい。
【0036】
1が、炭素数が2〜27の脂肪族基、炭素数4〜10の環式脂肪族基、単環式芳香族基、又は縮合多環式芳香族基より選択された基である場合、一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、ピロメリト酸無水物、2,3,6,7−テトラカルボキシナフタレン無水物、1,4,5,8−テトラカルボキシナフタレン無水物、1,2,5,6−テトラカルボキシナフタレン無水物、p−ターフェニル−3、4、3”,4”−テトラカルボン酸無水物、m−ターフェニル−3,4,3”,4”−テトラカルボン酸無水物、ビシクロ(2、2、2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0037】
1が、芳香族基が直接連結された非縮合多環式芳香族基、又は架橋部位を介して相互に連結された非縮合多環式芳香族基を表す場合、一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2、2−ビス(3、4’−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2、2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0038】
1で表される重合開始能を有する構造を含む基を構成する、重合開始能を有する構造としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等が挙げられる。
【0039】
1が重合開始能を有する構造を含む基である場合、一般式(II)中に2つ存在するカルボン酸無水和物構造とR1との結合態様としては、カルボン酸無水和物構造が、上記重合開始能を有する構造中のいかなる場所に結合している態様であってもよく、また、連結基を介して結合していてもよい。
【0040】
重合開始能を有する構造の中でも、ポリイミドの耐熱性の観点からは、(a)芳香族ケトン類が特に好ましい。
以下に(a)芳香族ケトン類の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
(a)芳香族ケトン類
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
【0042】
(a)芳香族ケトン類
本発明において、重合開始能を有する構造として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
【0043】
【化3】


【0044】
中でも、特に好ましい(a)芳香族ケトン類の例を以下に列記する。
特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0045】
【化4】


【0046】
特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0047】
【化5】


【0048】
特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0049】
【化6】


【0050】
特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0051】
【化7】


【0052】
特公平1−34242号公報、米国特許第4318791号明細書、ヨーロッパ特許0284561A1号明細書に記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0053】
【化8】


【0054】
特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0055】
【化9】


【0056】
特開昭61−194062記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0057】
【化10】


【0058】
特公平2−9597公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0059】
【化11】


【0060】
特公平2−9596公報に記載のアシルホスフィン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0061】
【化12】


【0062】
また、特公昭63−61950公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864公報に記載のクマリン類等を挙げることもできる。
【0063】
一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物として、特に好ましい態様である、R1が重合開始基であるものについて、具体例を下に示すが、これらに限定されるものでない。
【0064】
【化13】


【0065】
(一般式(III)で表されるジアミン化合物)
一般式(III)で表されるジアミン化合物としては、R2が、芳香族基、脂肪族基、架橋員により相互に連結された芳香族基、重合開始能を有する構造を含む基などから選ばれるジアミン化合物をいずれも使用することができる。これらの中でも、R2として、重合開始能を有する構造を含む基を有するジアミン化合物であることが特に好ましい。
また、一般式(III)で表されるジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0066】
一般式(III)で表されるジアミン化合物として、具体的には、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、4、4''−ジアミノターフェニル、4、4−ジアミノクオーターフェニル、4、4'−ジアミノジフェニルエーテル、4、4'−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、2、2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2、2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフロロプロバン、1、5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、3、3'−ジメチルベンジジン、3、3'−ジメトキシベンジジン、3、3'−ジメチル−4、4'−ジアミノジフェニルエーテル、3、3'−ジメチル−4、4'−ジアミノジフェニルメタン、1、4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4、4'−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、2、2−ビス{4−(p−アミノフェノキシ)フエニル}プロパン、2、3、5、6−テトラアミノ−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0067】
2で表される重合開始能を有する構造を含む基を構成する、重合開始能を有する構造としては、前記一般式(II)におけるR1と同様に、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等が挙げられる。
【0068】
2が重合開始能を有する構造を含む基である場合、一般式(III)中において2つ存在するアミノ基とR2との結合態様としては、アミノ基が上記重合開始能を有する構造中のいかなる場所に結合している態様であってもよく、また、連結基を介して結合していてもよい。
【0069】
重合開始能を有する構造の中でも、ポリイミドの耐熱性の観点からは、(a)芳香族ケトン類であることが特に好ましい。
(a)芳香族ケトン類の具体例としては、前記一般式(II)において列挙した具体例と同様の例を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
一般式(III)で表されるジアミン化合物として、特に好ましい態様である、R2が重合開始能を有する構造を含む基であるものについて、具体例を下に示すが、これらに限定されるものでない。
【0071】
【化14】


【0072】
(一般式(I)で表される化合物の合成方法)
ポリイミド前駆体化合物である、一般式(I)で表される化合物の合成は、一般式(II)で表されるテトラカルボン酸二無水物、一般式(III)で表されるジアミン化合物、及び、所望により、ジアルコール化合物を用いて合成される。
具体的には、例えば、まず、一般式(III)で表されるジアミン化合物を、溶媒に溶解させ、次に一般式(II)で表されるカルボン酸二無水物を添加し、用いられる原料に応じて、氷冷下若しくは室温又は40〜80℃の反応温度を選択して加熱することにより行うことができる。
【0073】
−溶媒−
ここで使用する溶媒としては、全成分の溶解性などを考慮して適宜選択すればよいが、なかでも下記溶剤が好適なものとして挙げられる。
例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
【0074】
これらの中でも、特に好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。
【0075】
一般式(I)で表されるポリイミド前駆体化合物の重量平均分子量は、通常1000〜10000000、好ましくは1000〜1000000程度である。さらに好ましくは、2000〜1000000程度である。
【0076】
また、一般式(I)で表されるポリイミド前駆体中、R1及び/又はR2として含まれる重合開始能を有する構造を含む基の含有量としては、基材表面にて行われるグラフト重合反応の観点から、10モル%〜90モル%が好ましく、20モル%〜90モル%がより好ましい。
【0077】
以下に、ポリイミド前駆体である、一般式(I)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0078】
【化15】


【0079】
【化16】


【0080】
<2>ポリイミド前駆体の成形
上記<1>に次いで、ポリイミド前駆体の成形が行われる。用いられるポリイミド前駆体としては、上記<1>で得られた一般式(I)で表される化合物のみを用いてもよいし、他の構造のポリイミド前駆体(重合開始能を有する基を含まない化合物)を併用してもよい。
複数種のポリイミド前駆体が用いられる場合、全ポリイミド前駆体中における一般式(I)で表される化合物と、他のポリイミド前駆体との含有比としては、一般式(I)で表される化合物が50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることががより好ましい。
【0081】
成形体の形状については、特に限定されないが、製造適性の点からは、フィルム状、板状であることが好ましい。
【0082】
(成形方法)
成形方法としては、いかなる手法も適用でき、2軸延伸フィルム成形、射出成形、押出形成、中空成形、圧縮成形、反応成形、FRP成形、熱成形、ロールシート成形、キャレンダ成形、積層成形、回転成形が適用できる。また、ガラス基板等に塗布、乾燥してフィルム状に成形することもできる。
【0083】
<3>加熱処理によるポリイミド前駆体のポリイミド構造へ変化
上記<2>により成形されたポリイミド前駆体の成形体に対して、加熱処理が行われる。加熱処理は、100℃〜450℃で、1分〜1時間加熱することにより行われ、これにより、前記一般式(I)で表される化合物(ポリイミド前駆体)は、下記一般式(IV)で表されるポリイミドに構造が変化する。このようにして、本発明に係る重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材が得られる。
【0084】
【化17】


【0085】
一般式(IV)中、R1、R2、nは、一般式(I)におけるR1、R2、nと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0086】
[パターン形成]
本工程においては、以上のようにして得られたポリイミド基材表面に、該基材表面と直接結合し且つ無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域(以下、適宜「相互作用性領域」と称する。)を形成する。
既述のごとく、本発明の金属パターン形成方法の好適な態様は、前記金属パターン形成方法(1)及び金属パターン形成方法(2)の各態様である。
以下では、金属パターン形成方法(1)及び金属パターン形成方法(2)におけるパターン形成(即ち、相互作用性領域の形成)について詳細に説明する。
【0087】
<金属パターン形成方法(1)におけるパターン形成>
金属パターン形成方法(1)においては、本発明に係る重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、該基材表面に直接結合し、且つ、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有する高分子化合物からなる高分子化合物層(以下、適宜「パターン形成層」と称する。)を設け、該高分子化合物層に熱、酸又は幅射線をパターン状に与えることにより、該基材表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域(相互作用性領域)を形成する。
即ち、本態様は、後述する表面グラフト重合を用いて、熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基を有する高分子化合物を、ポリイミド基材の全面に生成させることでパターン形成層を形成し、然る後に、該パターン形成層に熱、酸又は幅射線をパターン状に付与して、この付与された部分の高分子化合物が有する官能基を、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造に変化させること、若しくは、相互作用を失わさせることで、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーがパターン状に生成した領域(相互作用性領域)を形成する方法である。
なお、以下においては、適宜、「熱、酸、又は輻射線により、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する構造へと変化する官能基、若しくは、該相互作用を失う官能基」を、極性変換基と称する。
【0088】
〔表面グラフト重合〕
パターン形成方法(1)に係るパターン形成層は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて作成される。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。本発明においては、前記ポリイミド基材の表面が、ここでいう固体表面になる。表面グラフト重合法としては、エネルギー付与を光照射により行う光グラフト法を適用することが好ましい。
【0089】
なお、金属パターン形成方法(1)におけるパターン形成層は、基材上の所望する箇所に形成することができる。例えば、フィルム状又は板状のポリイミド基材が適用される場合であれば、パターン形成層は、該基材の片面にのみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
パターン形成層の形成に際しては、例えば、フィルム状又は板状のポリイミド基材が適用される場合を例にとれば、基材の両方の面に対して同時に表面グラフト重合を行ってもよいし、先ず、一方の面に対して表面グラフト重合を行った後に、他方の面に対して表面グラフト重合を行ってもよい。このように、基材上の所望する箇所にパターン形成層を設けることで、後述する無電解メッキ等のメッキ工程が行われた際には、このパターン形成層に従った金属パターンが形成される。
【0090】
(表面グラフト重合におけるエネルギー付与)
ポリイミド基材表面に存在する重合開始部位に活性点を発生させるためのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や、露光等の輻射線照射を用いることができる。具体的には、例えば、UVランプ、可視光性などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。
光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用しうる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
【0091】
〔(A)熱又は酸により親疎水性が変化する官能基〕
まず、(A)熱又は酸により親疎水性が変化する官能基について説明する。
(A)熱又は酸により親疎水性が変化するタイプの極性変換基としては、疎水性から親水性に変化する官能基と、親水性から疎水性に変化する官能基の2種類がある。
【0092】
((A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基)
(A−1)熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基としては、文献記載の公知の官能基を挙げることができる。
これらの官能基の有用な例は、特開平10−282672号公報に記載のアルキルスルホン酸エステル、ジスルホン、スルホンイミド、EP0652483、WO92/9934記載のアルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macromolecules,vol.21,pp.1477記載のt−ブチルエステル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
【0093】
また、角岡正弘著、「表面」vol.133(1995),pp.374記載のイミノスルホネート基、角岡正弘著、Polymer preprints,Japan vol.46(1997),pp.2045記載のβケトンスルホン酸エステル類、特開昭63−257750号のニトロベンジルスルホネート化合物も挙げることができるが、これらの官能基に限定される訳ではない。
これらのうち、特に優れているのは下記に示される2級のアルキルスルホン酸エステル基、3級のカルボン酸エステル基、及び下記に示されるアルコキシアルキルエステル基である。
【0094】
本発明において、熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基として特に優れている2級のアルキルスルホン酸エステル基としては、下記一般式(A)で表されるものである。
【0095】
【化18】


【0096】
(一般式(A)式中、R101、R102は置換若しくは非置換アルキル基を表す。また、R101、R102はそれが結合している2級炭素原子(CH)と共に環を形成してもよい。)
【0097】
前記一般式(A)のR101、R102は置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アリール基を表し、また、R101、R102はそれが結合している2級炭素原子(CH)と共に環を形成してもよい。R101、R102が置換若しくは非置換アルキル基を表すとき、アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基が挙げられ、炭素数1から25までのものが好適に用いられる。R101、R102が置換若しくは非置換アリール基を表すとき、アリール基には炭素環式アリール基と複素環式アリール基が含まれる。炭素環式アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基など炭素数6から19のものが用いられる。また、複素環式アリール基としてはピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基などの炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。
【0098】
101、R102が置換アルキル基、置換アリール基であるとき、置換基としてはメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜10までのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基のようなハロゲン置換されたアルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、p−クロロフェニルオキシカルボニルなどの炭素数2から15までのアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基;水酸基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−ジフェニルアミノベンゾイルオキシなどのアシルオキシ基;t−ブチルオキシカルボニルオキシ基などのカルボネート基;t−ブチルオキシカルボニルメチルオキシ基、2−ピラニルオキシ基などのエーテル基;アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルフォリノ基、アセチルアミノ基などの置換、非置換のアミノ基;メチルチオ基、フェニルチオ基などのチオエーテル基;ビニル基、ステリル基などのアルケニル基;ニトロ基;シアノ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;フェニル基、ナフチル基のようなアリール基;ピリジル基のようなヘテロアリール基等を挙げることができる。また、R101、R102が置換アリール基であるとき、置換基としては、前述したものの他にもメチル基、エチル基などのアルキル基を用いることができる。
【0099】
上記のR101、R102としては、経時安定性に優れる点で、置換、非置換のアルキル基が好ましく、より具体的には、アルコキシ基,カルボニル基,アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン基などの電子吸引性基で置換されたアルキル基、若しくはシクロヘキシル基、ノルボルニル基などのアルキル基が特に好ましい。物性値としては、重クロロホルム中、プロトンNMRにおける2級メチン水素のケミカルシフトが4.4ppmよりも低磁場に現れる化合物が好ましく、4.6ppmよりも低磁場に現れる化合物がより好ましい。このように、電子吸引性基で置換されたアルキル基が特に好ましいのは、熱分解反応時に中間体として生成していると思われるカルボカチオンが電子吸引性基により不安定化し、分解が抑制されるためであると考えられる。具体的には、−CHR101102の構造としては、下記式で表される構造が特に好ましい。
【0100】
【化19】


【0101】
本発明において、熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基として特に優れているアルコキシアルキルエステル基としては、下記一般式(B)で表されるものである。
【0102】
【化20】


【0103】
式中R103は水素原子を表し、R104は水素原子又は炭素数18個以下のアルキル基を表し、R105は炭素数18個以下のアルキル基を表す。また、R103、R104及びR105の内の2つが結合して間を形成してもよい。特に、R4及びR5が結合して5又は6員環を形成することが好ましい。
【0104】
以上、本発明における熱又は酸により疎水性から親水性に変化する官能基としては、一般式(A)で表される2級のアルキルスルホン酸エステル基が特に好ましい。
前記一般式(A)〜(B)で表される官能基、及び3級のカルボン酸エステル基〔官能基(1)〜(13)〕の具体例を以下に示す。
【0105】
【化21】


【0106】
【化22】


【0107】
((A−2)熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基)
本発明において、熱又は酸により親水性から疎水性に変化する官能基としては、公知の官能基、例えば、特開平10−296895号及び米国特許第6,190,830号に記載のオニウム塩基を含むポリマー、特にアンモニウム塩を含むポリマーを挙げることができる。具体的なものとして、(メタ)アクリロルオキシアルキルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。また、下記一般式(C)で示されるカルボン酸基及びカルボン酸塩基が好適なものとして挙げられるが、これらの例示に特に限定されるものではない。
【0108】
【化23】


【0109】
(式中、Xは−O−、−S−、−Se−、−NR108−、−CO−、−SO−、−SO2−、−PO−、−SiR108109−、−CS−を表し、R106、R107、R108、R109は各々独立して1価の基を表し、Mは陽電荷を有するイオンを表す。)
106、R107、R108、R109の具体例としては、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−R110、−OR110、−OCOR110、−OCOOR110、−OCONR110111、−OSO2110、−COR110、−COOR110、−CONR110111、−NR110111、−NR110−COR111、−NR110−COOR111、−NR110−CONR111112、−SR110、−SOR110、−SO2110、−SO3110等が挙げられる。
110、R111、R112は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
【0110】
これらのうち、R106、R107、R108、R109として好ましいのは、具体的には、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、アルケニル基である。
+は、陽電荷を有するイオンであり、具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、リチウムイオン等が挙げられ、水素イオンも含まれる。
前記一般式(C)で表される官能基の具体例〔官能基(14)〜(31)〕を以下に示す。
【0111】
【化24】


【0112】
【化25】


【0113】
本発明における極性変換基を有する高分子化合物は、上記のような官能基を有するモノマー1種の単独重合体であっても、2種以上の共重合体であっても良い。また、本発明の効果を損なわない限り、他のモノマーとの共重合体であってもよい。
なお、上記のような官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。
(前記一般式(A)〜(B)で表される官能基を有するモノマーの具体例〔例示モノマー(M−1)〜(M−15)〕)
【0114】
【化26】


【0115】
【化27】


【0116】
(前記一般式(C)で表される官能基を有するモノマーの具体例〔例示モノマー(M−16)〜(M−33)〕)
【0117】
【化28】


【0118】
【化29】


【0119】
(光熱変換物質)
上述の極性変換基を有する高分子化合物を用いたパターン形成材料の表面に親/疎水性領域を形成する際、付与するエネルギーがIRレーザなどの光エネルギーであれば、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換物質を、パターン形成材料のどこかに含有させておくことが好ましい。光熱変換物質を含有させておく部分としては、パターン形成層や基材中に含有させてもよいし、パターン形成層上に光熱変換物質含有層を別途設け、そこに含有させてもよい。
【0120】
用い得る光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等が挙げられる。特に好ましいのは、エネルギー付与に使用する赤外線レーザの露光波長である760nmから1200nmに極大吸収波長を有する染料、顔料又は金属微粒子である。
【0121】
染料としては、市販の染料及び文献(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0122】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、好ましい別の染料の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0123】
使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0124】
使用される金属微粒子としては、Au、Ag、Pt、Cu,Ni、Zn、Pd、Cr、Fe、Pb等からなる微粒子、また、それらの金属の酸化物や硫化物からなる微粒子が用いられ、具体的には、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等が挙げられる。
【0125】
光熱変換物質を用いる場合、その含有量としては、感度の観点から、光熱変換物質含有層全固形分の0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10質量%の割合で使用することができる。また、金属微粒子の場合は好ましくは、0.01〜50質量%、特に好ましくは、0.1〜30質量%の割合で使用することができる。
【0126】
(酸発生物質)
上述の表面グラフト重合により基材上に形成されたパターン形成層に対し、極性変換させるために酸を付与するためには、酸発生物質を、パターン形成層含有させるか、又は、パターン形成層上に酸発生物質含有層を別途設け、そこに添加してもよい。
【0127】
酸発生物質としては、熱若しくは光により酸を発生する化合物であり、一般的には、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物及びそれらの混合物等を挙げることができ、これらを適宜選択して使用することができる。
【0128】
例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al.,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、特開平3−140140号公報等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書等に記載のホスホニウム塩、特開平2−150848号公報、特開平2−296514号公報等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al.,Polymer J.17,73(1985)、米国特許第3,902,114号明細書、欧州特許第233,567号明細書、同297,443号明細書、同297,442号明細書、米国特許第4,933,377号明細書、同4,491,628号明細書、同5,041,358号明細書、同4,760,013号明細書、同4,734,444号明細書、同2,833,827号明細書、独国特許第2,904,626号明細書、同3,604,580号明細書、同3,604,581号明細書等に記載のスルホニウム塩、
【0129】
J.V.Crivello et al.,Macromolecules,10(6),1307(1977)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al.,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478,Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、特開昭63−298339号公報等に記載の有機ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase et al.,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、特開昭60−198538号公報、特開昭53−133022号公報等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、特開昭64−18143号公報、特開平2−245756号公報、特開平3−140109号公報等に記載のイミノスルホネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号公報等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0130】
これらの酸発生物質は、感度の観点から、酸発生物質含有層全固形分の0.01〜100質量%、好ましくは10〜100質量%の割合で使用することができる。
【0131】
〔(B)光により親疎水性が変化する官能基〕
極性が変化する官能基の中でも、700nm以下の光照射により、その極性を変化させるものがある。このような(B)光により極性が変化する官能基(極性変換基:700nm以下の光に感応する極性変換基)は、赤外線などの長波長露光や熱によらず、所定の波長の光照射により直接に、分解、開環或いは二量化反応が生じることで、高感度で極性が変化することを特徴とする。以下、700nm以下の光照射により、極性が変化する官能基について説明する。
【0132】
(B)光により極性が変化するタイプの官能基については、(B−1)光により疎水性
から親水性に変化する官能基と、(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基との2種類がある。
【0133】
((B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基)
(B−1)光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、例えば、下記一般式(1)〜(7)で表される官能基を用いることができる。
本発明において、光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、下記一般式(I)で表されるものが挙げられる。
【0134】
【化30】


【0135】
(一般式(1)式中、R201、R202は、それぞれ独立に、アルキル基又は芳香族環基を表す。また、R201及びR202は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0136】
前記一般式(1)のR201、R202は、それぞれ独立に、アルキル基又は芳香族環基を表し、R201及びR202は互いに結合して環を形成してもよい。
201、R202で表されるアルキル基は、炭素原子数1〜8の範囲であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられ、また、R201及びR202が、−(CH2n−、(n=1〜4)のユニットで互いに結合していてもよい。
これらの中でも、R201、R202は、−(CH2n−、(n=1〜4)のユニットで互いに結合してなる環構造であることが特に好ましい。
【0137】
また、R201、R202で表されるアルキル基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基などが挙げられる。
【0138】
201、R202で表される芳香族環基は、炭素原子数6〜14の範囲であることが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メシチル基が挙げられ、中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
また、R201、R202で表される芳香族環基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基などが挙げられる。
【0139】
上記のR201、R202のより具体的な例としては、結合するカルボニル基、及び、該カルボニル基に結合する窒素原子を含めた末端の構造が下記式で表されるものが特に好ましい。
【0140】
【化31】


【0141】
本発明において、光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【0142】
【化32】


【0143】
(一般式(2)式中、R203、R204は、それぞれ独立に、一価の置換基を表す。また、R203及びR204は互いに結合して環を形成してもよい)
【0144】
前記一般式(2)のR203、R204は、それぞれ独立に、一価の置換基を表し、具体的には、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、シアノ基、又は芳香族環基を表す。
203、R204がアルキル基である場合は、炭素原子数1〜8の範囲であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられ、また、R201及びR202が、−(CH2n−、(n=1〜4)のユニットで互いに結合していてもよい。
これらの中でも、R203、R204は、メチル基、−(CH2n−、(n=1〜4)のユニットで互いに結合してなる環構造、又はシアノ基であることが特に好ましい。
【0145】
また、R203、R204で表されるアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、又はシアノ基は、それぞれ、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基などが挙げられる。
【0146】
203、R204で表される芳香族環基は、炭素原子数6〜14の範囲であることが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メシチル基が挙げられ、中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
また、R203、R204で表される芳香族環基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基などが挙げられる。
中でも、R203、R204は、少なくとも1個のニトロ基を有し、かつ、置換若しくは非置換であってもよい炭素原子数6〜14の芳香族環基であることがより好ましい。
【0147】
上記のR203、R204のより具体的な例としては、一般式(2)における(−N=C)を含めた末端の構造が下記式で表されるものが特に好ましい。
【0148】
【化33】


【0149】
本発明において、光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
【0150】
【化34】


【0151】
(一般式(3)式中、R205、R206は、それぞれ独立に、アルキル基又は芳香族環基を表す。)
【0152】
205、R206で表されるアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などの炭素原子数1〜25の範囲の直鎖状のアルキル基、又は、イソプロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの炭素原子数1〜8の範囲の分岐状のアルキル基であることが好ましい。中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基よりが好ましい。
また、R205、R206で表されるアルキル基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基などが挙げられる。
【0153】
205、R206で表される芳香族環基としては、炭素環式芳香族環基と複素環式芳香族環基を含む。炭素環式芳香族環基としては、炭素原子数6〜19の範囲であることが好ましく、中でも、フェニル基、ナフチル基、アセトラセニル基、ピレニル基、ビフェニル基、キシリル基、メシチル基などのベンゼン環が1環〜4環のものがより好ましい。複素環式芳香族環基としては、炭素原子数3〜20の範囲で、ヘテロ原子数を1〜5含むものが好ましく、中でも、ピリジル基、フリル基、ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基などがより好ましい。
また、R205、R206で表される芳香族環基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基などが挙げられる。
【0154】
本発明において、光により疎水性から親水性に変化する官能基としては、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
【0155】
【化35】


【0156】
(一般式(4)式中、R207はアルキル基又は芳香族環基を表す。)
【0157】
前記一般式(4)のR207はアルキル基又は芳香族環基を表す。
207で表されるアルキル基は、炭素原子数1〜8の範囲であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基が挙げられる。
また、R207で表されるアルキル基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基などが挙げられる。
【0158】
207で表される芳香族環基は、炭素原子数6〜14の範囲であることが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メシチル基が挙げられ、中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
また、R207で表される芳香族環基は、置換若しくは非置換であってもよく、導入される置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、F、Br、Cl、I等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基などが挙げられる。
【0159】
上記のR207のより具体的な例としては、下記式で表される構造が特に好ましい。
【0160】
【化36】


【0161】
また、本発明における極性変換基としては、下記一般式(5)〜一般式(7)で表される文献記載の公知の官能基を挙げることもできる。
【0162】
【化37】


【0163】
前記一般式(V)は、P.Jagannathan著、SPIE(1994)、2195ページに記載のキノンジアジドポリマーに含まれる基である。一般式(V)中、R208は、炭素数1から18であり、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、炭素数7から12のアラルキル基、炭素数2から8のアルケニル基、炭素数2から8のアルキニル基、炭素数6〜18の芳香族基、又は、架橋員により相互に連結された芳香族基を含む基を表し、これらの基は置換基をさらに有していてもよい。
前記一般式(VI)は、M.L.Schilling著、Macromol(1995)、110ページに記載のホスホン酸ポリマーに含まれる基である。一般式(VI)式中、R809、R210は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。
前記一般式(VII)は、M.Tsunooka著、J.Polym.Sci.,Chem.Ed、(1996)、2181ページに記載のオキシムエステル基含有ポリマーに含まれる基である。一般式(VII)中、R211は、炭素数1から18であり、直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、炭素数7から12のアラルキル基、炭素数2から8のアルケニル基、炭素数2から8のアルキニル基、炭素数6〜18の芳香族基、又は、架橋員により相互に連結された芳香族基を含む基を表し、これらの基は置換基をさらに有していてもよい。
【0164】
((B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基)
(B−2)光により親水性から疎水性に変化する官能基としては、例えば、ビスピリジニオエチレン基が挙げられる。
【0165】
本発明における光により極性が変換する官能基を有する高分子化合物は、上記のような官能基を有するモノマーを1種のみ用いた単独重合体であっても、2種以上用いた共重合体であってもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、他のモノマーとの共重合体であってもよい。また、上記官能基を有する化合物を、グラフトポリマーと反応させて導入してもよい。
【0166】
(書き込み)
本態様において、相互作用性領域を形成するためのパターン状の書き込みは、光などの輻射線の照射、酸の付与、或いは加熱により行われる。また、光照射の一態様として、前記光熱変換物質を併用するタイプであれば、赤外線領域のレーザー光等の走査露光による加熱により、パターン形成することも可能である。
パターン形成に用いる方法としては、加熱、酸の付与、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては遠赤外線などがある。また、g線、i線も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光、紫外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
【0167】
一方、700nm以下の光に感応する極性変換基を用いた場合には、パターン形成層内において、極性変換を生起させる、即ち、前述の極性変換基を分解、開環或いは二量化させて、親疎水性を変化させることの可能なものであれば、いずれの光照射の手段も使用できる。例えば、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射を使用することが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等が挙げられる。
【0168】
コンピュータのデジタルデータによるダイレクトパターン形成を行うためには、レーザ露光により極性変換を生起させる方法が好ましい。レーザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。
【0169】
<金属パターン形成方法(2)におけるパターン形成>
以下、前記パターン形成方法における金属パターン形成について説明する。
金属パターン形成方法(2)においては、本発明に係る重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材表面に、重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させ、パターン状に輻射線の照射を行うことにより、該基材表面にグラフトポリマーをパターン状に生成させて、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域(相互作用性領域)がパターン状に形成される。
【0170】
本態様においては用いられる基材は、既述の重合開始部位を骨格中に含むポリイミドを含む基材である。
【0171】
なお、以下の説明において、「重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物」は、適宜、相互作用性基含有重合性化合物と称する。
【0172】
〔表面グラフトによるパターン状の相互作用性領域の形成〕
金属パターン形成方法(2)においては、ポリイミド基材表面に、相互作用性基含有化合物を接触させ、エネルギーを付与することで該化合物の重合性基とポリイミド基材とが化学結合を生成するため、強固で耐久性に優れた無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する領域(相互作用性領域)をパターン状に形成することができる。
このような結合の相互作用性基含有重合性化合物の重合性基と基材との化学結合を生成する方法としては、表面グラフト重合法を用いることができる。これは、前記金属パターン形成方法(1)における金属パターン形成層で説明した表面グラフト重合と呼ばれる手段に準じるものであり、金属パターン形成方法(1)ではグラフトされる高分子化合物が極性変換基を有するものであったが、本態様では、相互作用性基含有重合性化合物を含有する組成物を接触させながら、基材表面に生成する活性点に直接結合させるものである。
この接触は、基材を、相互作用性基含有重合性化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、相互作用性基含有重合性化合物を含有する組成物を主成分とする層を基材表面に、塗布法により形成することが好ましい。
【0173】
なお、金属パターン形成方法(2)におけるパターン形成層は、基材上の所望する箇所に形成することができる。例えば、フィルム状又は板状のポリイミド基材が適用される場合であれば、パターン形成層は、該基材の片面にのみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
相互作用性領域の形成に際しては、例えば、フィルム状又は板状のポリイミド基材が適用される場合を例にとれば、基材の両方の面に対して同時にパターン状に表面グラフト重合を行ってもよいし、先ず、一方の面に対してパターン状に表面グラフト重合を行った後に、他方の面に対してパターン状に表面グラフト重合を行ってもよい。これにより、後述する無電解メッキ等のメッキ工程が行われた際には、ポリイミド基材の片面又は両面に金属パターンが形成される。
【0174】
以下に、エネルギー付与による表面グラフトの形成について説明する。
本態様においては、相互作用性領域の形成は、表面グラフト重合と呼ばれる方法により行われる。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に、光、熱などの従来公知の方法にてエネルギーを付与することにより活性種を与え、これによって重合を開始する別の重合性化合物を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成するときには表面グラフト重合と呼ばれる。本発明においては、前記ポリイミド基材の表面が、ここでいう固体表面となる。
【0175】
本態様においては、基材を構成するポリイミドがその骨格中に重合開始部位を有していることで、このような活性点の形成を低エネルギーで容易に行うことができるため、簡易な方法により、相互作用性領を基材表面にパターン状に形成することができる。
表面グラフトを作成する方法の中でも、エネルギー付与を光照射により行う光グラフト法をとることが好ましい。
【0176】
(相互作用性基含有重合性化合物)
本態様に用いられる相互作用性基含有重合性化合物とは、後述の相互作用性基を有するモノマー、該相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、更に、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
【0177】
<モノマーの例>
使用できるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸塩、等が使用できる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸、等のカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが使用できる。
【0178】
【化38】


【0179】
また、ような相互作用性基含有重合性化合物は以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
【0180】
上記相互作用性基含有重合性化合物の合成に用いられるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)など使用できる。一般的には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、及びエーテル基などの官能基(塩構造を形成しうる場合にはそれらの塩)を有するモノマーが使用できる。
【0181】
【化39】


【0182】
上記相互作用性基を有するモノマーと共重合する重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
【0183】
【化40】


【0184】
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して、不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
【0185】
次に、iii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法について詳しく述べる。
本合成手法に関しては、特開2003−335814号公報に記載の手法を用いることができる。
【0186】
−脱離反応に用いられる塩基−
塩基などの処理により二重結合を導入する際に使用される塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミン化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。
【0187】
アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0188】
有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。
【0189】
金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。
【0190】
これらの塩基は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の二重結合前駆体の量に対して、当量以下であってもよく、また当量以上であってもよい。
脱離反応における、温度条件は、室温、冷却、過熱いずれの条件であってもよい。好ましい温度条件としては、−20〜100℃の範囲である。
【0191】
相互作用性基含有重合性化合物の例として、マクロモノマーも使用することができる。本態様に用いられるマクロモノマーの製造方法としては、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。本態様で用いられるマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。また、ポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本態様に用いられるマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
【0192】
このような相互作用性基含有重合性化合物を含有する組成物に使用する溶剤は、主成分で相互作用性基含有重合性化合物や親水性モノマーなどが溶解可能ならば特に制限はない。更に、溶剤に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
【0193】
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0194】
組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができる。塗布法により相互作用性領域を形成する場合の塗布量としては、メッキ触媒又はその前駆体との相互作用性を充分に発揮し、及び、均一な塗布膜を得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
【0195】
−相互作用性領域の形成−
次に、相互作用性領域の形成について説明する。
相互作用性領域の形成方法におけるエネルギー付与方法には特に制限はなく、ポリイミド基材表面に活性点を生じさせ、相互作用性基含有重合性化合物との結合し得るエネルギーを付与できる方法であれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
パターン状の露光に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
相互作用性領域をパターン状に形成する方法としては、先にパターン形成方法(1)のパターン形成層形成の説明において挙げた各種の書き込み方法が本態様においても同様に好ましく適用できる。
【0196】
このようにエネルギー付与を行うことでポリイミド基材表面に発生した活性点と、相互作用性基含有重合性化合物とが重合して、運動性の高いグラフト鎖が形成される。また、好ましい態様として、末端及び側鎖に重合性基を有する相互作用性基含有重合性化合物を用いることで、特定重合開始層と結合したグラフト鎖の側鎖の重合性基に更に、グラフト鎖が結合することで、枝分かれを有するグラフト鎖構造が形成され、グラフトの形成密度、運動性ともに飛躍的に向上し、無電解メッキ触媒又はその前駆体とのさらなる高い相互作用が発現するものである。
【0197】
《相互作用性領域に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程》
本工程においては、上記パターン形成工程おいて形成された相互作用性領域上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する。
【0198】
<無電解メッキ触媒>
本工程において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、相互作用性領域中の上の相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトパターンが有する相互作用性基と相互作用させることで、グラフトパターン上に選択的に金属コロイド(無電解メッキ触媒)を吸着させることができる。
【0199】
<無電解メッキ触媒前駆体>
本工程において用いられる無電解メッキ触媒前駆体とは、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、基材へ付与した後、無電解メッキ浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解メッキ触媒としてもよいし、無電解メッキ触媒前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属(無電解メッキ触媒)に変化させてもよい。
【0200】
実際には、無電解メッキ前駆体である金属イオンは、金属塩の状態でグラフトパターン上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
【0201】
無電解メッキ触媒である金属コロイド、或いは、無電解メッキ前駆体である金属塩をグラフトパターン上に付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液をグラフトパターンが存在する基材表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトパターンを有する基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、相互作用性領域上の相互作用性基に、イオン−イオン相互作用、又は、双極子−イオン相互作用を利用して金属イオンを吸着させること、或いは、相互作用性領域に金属イオンを含浸させることができる。このような吸着又は含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液中の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
【0202】
《無電解メッキを行い、パターン状に金属膜を形成する工程》
本工程では、相互作用性領域に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与された基材上に、無電解メッキを行うことで、パターン状に金属膜が形成される。即ち、本工程における無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトパターン上に該パターンに従った高密度の金属膜(金属パターン)が形成される。形成された金属パターンは、優れた導電性、密着性を有する。
【0203】
<無電解メッキ>
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、無電解メッキ触媒がパターン状に付与された基材を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体がパターン状に付与された基材を、無電解メッキ触媒前駆体がクラフトパターンに吸着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基材を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
【0204】
一般的な無電解メッキ浴の組成としては、1.メッキ用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このメッキ浴には、これらに加えて、メッキ浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCu(SO42、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH34)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
【0205】
このようにして形成される金属膜の膜厚は、メッキ浴の金属塩又は金属イオン濃度、メッキ浴への浸漬時間、或いは、メッキ浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、メッキ浴への浸漬時間としては、1分〜12時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
【0206】
以上のようにして得られる金属パターンの金属膜部は、SEMによる断面観察により、表面グラフト膜中に無電解メッキ触媒やメッキ金属の微粒子がぎっしりと分散しており、更にその上に比較的大きな粒子が析出していることが確認された。界面はグラフトポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基材(有機成分)と無機物(無電解メッキ触媒又はメッキ金属)との界面の凹凸差が100nm以下であっても密着性が良好であった。
【0207】
《電気メッキ工程》
本発明の金属パターン形成方法においては、前記無電解メッキを行い、パターン状に金属膜を形成する工程後、電気メッキを行う工程(電気メッキ工程)を有してもよい。
本工程では、前記無電解メッキの後、この工程により形成された金属膜を電極とし、さらに電気メッキを行うことができる。これにより基材との密着性に優れた金属パターンをベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、パターン状の金属膜を目的に応じた厚みに形成することができ、本発明の金属パターンを配線パターンなど種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
【0208】
電気メッキにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、メッキ浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
【0209】
また、本発明における電気メッキ工程は、上述したように、パターン状の金属膜を目的に応じた厚みに形成するため以外にも、例えば、金メッキを行うことでIC等の実装等を行えるようにすることもできる。この目的で行われるメッキは、銅等で形成される金属パターン表面に対して、ニッケル、パラジウム、金、銀、すず、ハンダ、ロジウム、白金、及びそれらの化合物からなる群から選ばれる材料を用いて行うことができる。
【0210】
《穴開け工程》
本発明の金属パターン形成方法においては、スルーホールビア形成等の開口部を基材に設けて、金属パターンにより構成される回路の高密度化や、実装部品の高密度実装化を図るために、穴開け工程を更に有していてもよい。穴開け工程は、回路配線のより一層の高密度化及び実装部品の高密度実装化を図る場合、基材の両面に回路配線を形成したり、回路配線を形成した複数の基材を積層したりするなど、回路基板の多層化も当然行われることから、層間の導通を確保する手段として、プリント配線板にスルーホール等の形成のために行われるものである。
穴開け工程においては、通常、プリント配線基板の製造時にスルーホールビア形成等の穴開けに使用される方法であれば、何れの方法についても使用可能である。また、形成される穴の形態や多きさ等の詳細については、適宜設定することができる。
【0211】
穴を形成するための加工方法としては、ドリル加工や、近年、利用が多くなされている炭酸ガスレーザー、UVレーザー、エキシマレーザー等のレーザーを利用した加工方法も用いることができる。レーザー加工は、極めて微細な加工を高精度に行えるという点において非常に優れている。レーザー加工する際には、貫通穴の内部壁にスミアが残ってしまうことがあるため、貫通穴形成後に、化学薬品処理やプラズマ処理等によってスミア除去を行うことが好ましい。但し、本発明により金属パターンが形成された材料が、TAB用途として使用される場合には、ICを実装する為の穴開け加工は、ドリルを用いて行うことが好ましい。
【0212】
本発明の金属パターン形成方法において、穴開け工程は如何なる段階で行ってもよい。例えば、金属パターンの形成を行った後に行ってもよいし、グラフトポリマーがパターン状に形成される前に行ってもよいし、グラフトポリマーがパターン状に形成された後に行ってもよい。但し、穴開け後に穴に後述する導電化処理をする必要がある場合には、グラフトポリマーがパターン状に形成された後に、穴開け工程を行うことが好ましい。この理由は、穴へのメッキと同時にグラフトポリマーパターンへのメッキを同時に行うことができるからである。
【0213】
《導電化処理工程》
本発明においては、上記した穴開け工程の後に、当該工程により形成された穴に導電化処理を行う工程を有してもよい(導電化処理工程)。なお、本工程は、上記した他の工程とは別個独立に行ってもよく、また、他の工程(前記無電解メッキ工程など)が本工程を兼ねていてもよい。
本工程において、上記穴開け工程によって形成された穴の導電化は、穴内部に導電材料を埋め込むことにより行われる。この導電材料としては、具体的には、例えば、銅、ニッケル、クロム、チタン、アルミ、モリブデン、タングステン、亜鉛、錫、インジウム、金、銀、等の金属単体、又は、これらの合金(ニクロムなど)などの金属材料;ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子材料;グラファイト、導電性セラミックなどの非金属無機導電材料;等が挙げられる。
【0214】
導電材料を穴に埋め込む方法としては、無電解メッキ法又は塗布法が挙げられる。この理由は、無電解メッキ法や塗布法が、穴の内面のような微細空間にも比較的均一かつ容易に導電性を形成可能とするためである。
具体的には、例えば、穴に金属材料を埋め込み導電化処理を行う場合には、特に好適には、触媒を穴内部に付与して、化学的な金属メッキ法(無電解メッキ法)を行う。この無電解メッキは、上述した無電解メッキ工程において、グラフトポリマーに無電解メッキ処理をする際に同時に行うことが好都合である。
【0215】
また、穴内部を導電性高分子材料で埋め込み導電化処理を行う場合には、無電解メッキ法や塗布法を採用する。無電解メッキ法では、適切な酸化剤を穴内部に付与した後に、ピロールやチオフェンモノマーを含む溶液、例えば、ピロール溶液に、基材を浸漬すればよい。塗布法では、ポリピロールやポリ1,4ジオキシチオフェンなどの導電性高分子を溶媒に溶解した溶液を用い、この溶液を基材上に設けられたグラフト層及び穴上に塗布すればよい。
【0216】
また、穴内部をグラファイトなどの非金属無機導電材料で埋め込み導電化処理を行う場合には、触媒を用いない無電解メッキ法が好適に採用される。グラファイトメッキを例に挙げて説明すれば、穴の表面を、前処理液で処理した後に、グラファイト分散液に積層体を浸漬すればよい。このプロセスに採用可能なグラファイトメッキ液の代表例としては、メック社のグラファイトメッキ液であるダイレクトプレーティング(登録商標)が挙げられる。このグラファイトメッキ液は、前処理液(メックSプロセス SP−6560)と、グラファイト分散液(メックSプロセス SP−6601)とがセットになったものである。
【0217】
《防錆処理》
本発明においては、形成された金属パターンに対して、防錆処理を施すことができる。
本発明に適用可能な防錆処理としては、通常、プリント配線基板の製造時に使用されている防錆処理の方法が何れも使用可能である。例えば、基板上に亜鉛をメッキをする方法、フラックスを塗布する方法、ソルダーレジストを塗布する方法などを用いることができる。
【0218】
《その他の処理》
炭酸ガスレーザーにより、金属パターン形成された後に、金属ごと基材に穴開け等の加工が行われる場合には、基材上に形成された金属膜(金属パターン)の表面処理と表面形状が、炭酸ガスレーザーの吸収に大きく影響を及ぼすことが多い。このため、金属膜の表面をCZ処理等で粗すことにより表面積を増し、炭酸ガスレーザーの吸収を増大させてもよい。ここで、CZ処理とは、具体的には、銅等により構成される金属膜を形成した基材を、ギ酸と塩酸の混合液に浸漬した後、水洗し処理液を洗い落とし、当該金属膜の表面を粗す処理である。その処理時間としては、好ましくは、2分間以上10分間未満である。
【0219】
以下では、本発明の金属パターン形成方法により得られる金属パターンについて説明する。
本発明により形成される金属パターンは、表面の凹凸が100nm以下の基材上に、局所的に金属膜を設けた金属パターンであって、該基材と該金属膜との間の密着性が良好である事を特徴とする。即ち、基材表面が平滑でありながら、基材と金属膜との密着性に優れることを特徴とする。
なお、表面の凹凸は、基材又は形成後の金属パターンを基材平面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値である。
また、基材と金属膜との密着性の値は、金属パターンの表面に、銅板(0.1mm)をエポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト、チバガイギー社製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C6481(1994年度版)に基づき90度剥離実験により得られた値である。
【0220】
一般的な金属パターンにおいては、基材表面の凹凸、即ち、金属膜との界面の凹凸を100nm以下とすることで、高周波特性に優れた金属パターンを得ることができる。ところが、従来の金属パターンは、基材表面の凹凸を減らすと、基材と金属膜との密着性が低下してしまうため、やむを得ず基材表面を種々の方法により粗面化し、その上に金属膜を設けるといった手法が取られていた。そのため、従来の金属パターンにおける界面の凹凸は、1000nm以上であることが一般的であった。
しかし、本発明により形成される金属パターンは、金属膜と、基材に直接化学結合しているポリマーとが、ハイブリッド状態であるために、基材と金属膜との密着性を維持することが可能となったものである。
本発明により形成される金属パターンにおいては、表面の凹凸が100nm以下の基材を選択することを特徴とし、より好ましくは25〜100nm、さらに好ましくは50〜100nmの範囲で選択される。
このように、本発明により形成される金属パターンは、基材界面の凹凸を最小限に留めながらも、基材と金属膜との密着性に優れたものである。
【実施例】
【0221】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0222】
[実施例1]
(ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の合成)
窒素下にてN−メチルピロリドン(30ml)中に4、4’−ジアミノジフェニルエーテル(5.75g:28.7mmol)を溶解させ室温にて約30分間撹拌した。
この溶液に3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(9.25g:28.7mmol)を0℃にて加え5時間撹拌した。反応液を再沈してポリイミド前駆体を得た。GPCによる分子量(Mw)は2.8万であった。測定条件の詳細は、以下の通りである。また、更に1H−NMR、FT−IRによりその構造を確認した。
【0223】
−重量平均分子量(Mw)の測定−
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
<試料> 試料0.01gを、2ccのテトラヒドロフランに溶解し、ろ過して調製した。
<標準ポリスチレン> 東ソー社製の標準ポリスチレンTSKスタンダードを使用した。<装置> 東ソー社製の高速ゲル浸透クロマトグラム(HCL−8220GPC)
<カラム> 東ソー社のTSK−gel(GMX)
<測定温度>40℃ 流速:1cc/分
【0224】
(ポリイミド基板の作製)
上記手法で合成したポリアミック酸をDMAc(和光純薬(株)社製)に溶かし20wt%の溶液とした。ガラス基板に該溶液をロッドバー#36を用いて塗布、100℃で5分間乾燥、250℃で30分間加熱して固化させ、ガラス基板から剥がすことでポリイミド基板(厚さ15μm)を得た。
【0225】
(パターン形成)
上記手法で作成したポリイミドフィルムに、下記組成からなる塗布液をロッドバー#18を用いて塗布してパターン形成材料Aを得た。なお、基材上に形成された膜の膜厚は0.8μmだった。
【0226】
<塗布液の組成>
・重合性基含有ポリマー(合成方法は下記に示す) 0.25g
・シクロヘキサノン 8.0g
【0227】
<上記重合性基含有ポリマーの合成方法>
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーAを120.3g得た。
【0228】
次に、1000ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド40gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。モノマーA12.58g、メタクリル酸27.52g、V−601(和光純薬製)0.921gのN,N−ジメチルアセトアミド40g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。室温まで、反応溶液を冷却した後、水3.5Lに投入し、高分子化合物を析出させた。析出した高分子化合物を濾取、水で洗浄、乾燥し高分子化合物を30.5g得た。得られた高分子化合物をポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、重量平均分子量を測定した結果、124,000であった。
200ml三口フラスコに得られた高分子化合物26.0g、p−メトキシフェノール0.1gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド60g、アセトン60gに溶解し、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)60.4gを滴下ロート用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液を濃塩酸17mlを溶解させた水2Lに投入し重合性基含有ポリマーを析出させた。析出した重合性基含有ポリマーを濾取、水で洗浄、乾燥し15.6g得た。
【0229】
得られた膜に1.5kW高圧水銀灯を使用し1分間パターン露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、相互作用性領域が形成されたグラフトパターン材料Aを得た。
【0230】
(無電解メッキ)
グラフトパターン材料Aを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴に40℃で20分間浸漬し、金属パターンAを得た。
【0231】
<無電解メッキ浴成分>
・OPCカッパ−H T1(奥野製薬(株)製) 6mL
・OPCカッパ−H T2(奥野製薬(株)製) 1.2mL
・OPCカッパ−H T3(奥野製薬(株)製) 10mL
・水 83mL
【0232】
[実施例2]
実施例1で作製された金属パターンを、更に、下記組成の電気メッキ浴にて15分間電気メッキし、金属パターンBを得た。
【0233】
<電気メッキ浴の組成>
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
【0234】
[実施例3]
実施例1で作製したポリイミド基板をアクリル酸(10質量%)及び過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4、0.01質量%)を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、上記の1.5kWの高圧水銀灯を使用し、30分間光照射した。光照射後、得られたフィルムをイオン交換水でよく洗浄し、アクリル酸がグラフトされた基板を得た。
次に、水1リットルと、N−エチル−N’(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩40gと、N−ヒドロキシスクシンイミド6gと、からなる水溶液を調製し、そこにアクリル酸がグラフトされた基板を1時間浸漬し、エステル変換を行った。その後、更に、2−ニトロベンジルフェノール6gを加え、反応させて、光分解性官能基を有するポリマーからなるパターン形成層を有するパターン形成材料Cを得た。
【0235】
得られたパターン形成材料Cを波長400nmの青色光を発するレーザ(ビーム径20μm)にて像様に露光し、相互作用性領域が形成されたグラフトパターン材料Cを得た。
【0236】
(無電解メッキ)
得られたパターン形成材料Cを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、金属パターンCを得た。
【0237】
[実施例4]
実施例1で作成したポリイミドフイルムを、t−ブチルアクリレート溶液(30質量%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG))に浸漬し、アルゴン雰囲気下で1.5kW高圧水銀灯を使用し30分間露光をした。光照射後に得られたフィルムをプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)で良く洗浄し、ポリ−t−ブチルアクリレートがグラフトされたパターン形成材料Dを得た。
【0238】
得られたパターン形成材料Cの上に下記組成の溶液を塗布した。なお、得られた膜の膜厚は0.5μmだった。
・トリフェニルスルホニウムトリフラート 0.05g
・メチルエチルケトン(MEK) 1g
【0239】
次に、得られた膜に400W高圧水銀灯を使用し1分間パターン露光をし、90℃、2分間後加熱を行った。その後に得られた膜をメチルエチルケトン(MEK)にて洗浄し、露光部の官能基が吸着性基に変換した、相互作用性領域が形成されたグラフトパターン材料Dが得られた。
【0240】
(無電解メッキ方法)
得られたパターン形成材料Dを、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄したその後、実施例1と同一の無電解メッキ浴にて40℃で20分間無電解メッキし、金属パターンDを得た。
【0241】
[実施例5]
実施例1と同様の工程により、ポリイミド基材の一方の面(表面)にパターン状の相互作用性領域を形成し、更に、他方の面(裏面)に関して同様にしてパターン状の相互作用性領域を形成し、基材両面にパターン状の相互作用性領域が形成されたグラフトパターン材料Eを得た。その後、実施例1と同様にして無電解メッキを行い、更に実施例2と同様にして電気メッキを行い、ポリイミド基材の両面がメッキされた、金属パターンEを得た。
【0242】
[実施例6]
実施例2で得られた金属パターンに対して、下記組成の硫酸亜鉛浴を用いて、液温40℃、電流密度15A/dm2の条件で、亜鉛メッキを1分間行い、金属パターンFを得た。なお、本実施例で行った亜鉛メッキは防錆処理である。
【0243】
<硫酸亜鉛浴組成>
・硫酸 70g/L
・亜鉛 20g/L
【0244】
[実施例7]
実施例5で作製した、基材両面にパターン状の相互作用性領域が形成されたグラフトパターン材料Eと同様に作製したグラフトパターン材料Gに、基板の両面に形成されたグラフトパターンが繋がるようにNCドリルにて穴開け処理を行った。
【0245】
次に、穴開け処理を行った後のグラフトパターン材料Gを、下記組成の液Aに5分間浸漬した。
<液Aの組成>
・塩化第一すず 10g
・塩酸 40mL
・水 1000mL
次に、下記組成の液Bに10分間浸漬した。
<液Bの組成>
・塩化パラジウム 0.1g
・塩酸 1mL
・水 1000mL
【0246】
その後、実施例1と同様の方法により無電解メッキを10分間行い、基材の両面(表裏)に金属パターン、及び基材両面の金属パターンを繋ぐスルーホールを形成した。次いで、実施例2と同様の方法により電気メッキを15分間行い金属パターンGを得た。
【0247】
〔評価〕
(金属パターンの細線幅の測定)
実施例1〜7で得られた金属パターンを、光学顕微鏡(商品名:OPTI PHOTO−2、(株)ニコン製)を用いて細線幅を測定した。測定結果を下記表1に示す。
【0248】
(金属膜厚の測定)
実施例1〜7で得られた金属パターンを、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察し、形成された金属膜の厚みを測定した。測定は、1つのサンプルにつき、3点を測定した平均を表す。測定結果を下記表1に示す。
【0249】
(基板界面の凹凸の評価)
実施例1〜7で得られた金属パターンを、ミクロトームを用いて基板平面に対して垂直に切断し、断面をSEMにより観察することで、基板界面の凹凸を確認することができる。次に、この基板界面において、1つのサンプルについてランダムな観測点を3点をとり、それぞれの観測点における最大山高さと最低谷深さとの差を凹凸の大きさとし、3点の平均値を求めた。測定結果を下記表1に示す。
【0250】
(密着性の評価)
実施例1〜7で得られた金属パターンの表面に銅板(0.1mm)をエポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト、チバガイギー社製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C6481(1994年度版)に基づき90度剥離実験を行った。測定結果を下記表1に示す。
【0251】
(耐熱性の評価)
実施例1〜7で得られた金属パターンが形成された材料を、300℃で1時間加熱した。次いで、金属パターンの表面を、水で湿らせた布(BEMCOT、旭化成工業社製)を用いて手で往復50回摺擦した。摺擦後に、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて、その表面を10万倍で観察し以下、評価基準により耐熱性を評価した。
−評価基準−
○:変化無し
×:金属パターンの剥がれ等の変化あり
【0252】
【表1】


【0253】
表1の結果によれば、本発明の金属パターン形成方法により得られた金属パターンでは、そのいずれもが、従来の技術では困難であった幅30μm以下の細線が形成されていることがわかった。また、これらの細線幅は、グラフトパターン(相互作用性領域)の形成方法、露光条件により変化することが確認された。このように、本発明によれば、目的に応じた所望の細線幅を有する金属パターンを得ることが可能になる。
さらに、本発明の金属パターン形成方法により得られた金属パターンは、そのいずれもが、膜界面の凹凸が総て100μm以下であり、表面平滑性に優れるとともに、基板と金属膜との密着性、耐熱性にも優れていることがわかった。
なお、実施例7については、細線幅、金属膜厚、金属界面の凹凸、密着性、耐熱性に優れていると共に、基材の両面に形成された金属パターンについても電気的に繋がっていることが確認された。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
【出願日】 平成16年6月1日(2004.6.1)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志

【公開番号】 特開2005−311268(P2005−311268A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−163786(P2004−163786)