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【発明の名称】 光ファイバ内蔵回路基板とその製造方法及びそれを用いた携帯型無線通信機器
【発明者】 【氏名】留河 悟
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】冨田 佳宏
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】中桐 康司
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】辛島 靖治
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】是永 継博
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】日比野 邦男
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】屈曲時における信号の伝送損失を抑制することができる光ファイバ内蔵回路基板とその製造方法及びそれを用いた携帯型無線通信機器を提供する。

【解決手段】電気絶縁基材(2a-2c)と、電気絶縁基材(2a,2c)表面及び各々の電気絶縁基材(2a-2c)間に形成された導体配線回路(3)と、電気絶縁基材(2b,2c)に内蔵された光ファイバ(6)と、光ファイバ(6)の外周の少なくとも一部に、光ファイバ(6)から漏れた光を反射する光反射部(7)とを備えている光ファイバ内蔵回路基板(1)とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1層以上の電気絶縁基材と、前記電気絶縁基材表面及び各々の前記電気絶縁基材間に形成された導体配線回路と、前記電気絶縁基材に内蔵された光ファイバとを備えた光ファイバ内蔵回路基板であって、
前記光ファイバの外周の少なくとも一部に、前記光ファイバから漏れた光を反射する光反射部を更に備えていることを特徴とする光ファイバ内蔵回路基板。
【請求項2】
前記光反射部の少なくとも一部は、金属で形成されている請求項1に記載の光ファイバ内蔵回路基板。
【請求項3】
前記光反射部の少なくとも一部は、前記導体配線回路を兼ねている請求項1に記載の光ファイバ内蔵回路基板。
【請求項4】
前記光反射部の少なくとも一部は、導電性樹脂組成物で形成されている請求項1に記載の光ファイバ内蔵回路基板。
【請求項5】
未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁基材に、貫通溝又は有底溝からなる光ファイバ収容部を形成し、
前記光ファイバ収容部に光ファイバを嵌め込み、
前記光ファイバから漏れた光を反射する光反射部の構成材料を前記光ファイバに接触させ、かつ、前記電気絶縁基材の上下面に金属箔を積層した状態で、熱プレスにより加熱、加圧処理することにより、前記熱硬化性樹脂を前記光ファイバ収容部の内壁と前記光ファイバとの間に流入させるとともに硬化させ、
前記金属箔をパターニングして導体配線回路を形成する光ファイバ内蔵回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記光反射部の構成材料は、金属を含み、
前記光反射部の構成材料を前記光ファイバに接触させる際、前記光ファイバ及び前記電気絶縁基材の上下部に前記金属からなる金属箔を載置し、
前記導体配線回路を形成する際、前記光ファイバに面する前記金属箔の少なくとも一部を残すようにパターニングすることにより、前記光反射部の少なくとも一部を形成する請求項5に記載の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記光反射部の構成材料は、金属を含み、
前記光反射部の構成材料を前記光ファイバに接触させる際、前記金属を前記光ファイバの少なくとも一部上に蒸着させる請求項5に記載の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記光反射部の構成材料は、導電性樹脂組成物を含み、
前記光反射部の構成材料を前記光ファイバに接触させる際、前記光ファイバの少なくとも一部を覆うようにして、前記導電性樹脂組成物を前記光ファイバ収容部の内壁と前記光ファイバとの間に充填する請求項5に記載の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法。
【請求項9】
第1回路基板を内蔵する本体部と、第2回路基板を内蔵する蓋部と、前記本体部と前記蓋部とを折りたたみ可能に連結するヒンジ部とを備えた携帯型無線通信機器であって、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間で信号を伝送するためのコネクタ部として、前記ヒンジ部内に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ファイバ内蔵回路基板を更に備えていることを特徴とする携帯型無線通信機器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを内蔵した回路基板とその製造方法及びそれを用いた携帯型無線通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯型無線通信機器の普及が進み、この携帯型無線通信機器で送受信されるデータ容量は増大している。そのため、携帯型無線通信機器には、大容量のデータを高速で送受信できるように、高周波で動作する大規模集積回路(LSI)が使用されている。そして、前記LSIを複数備えた回路基板は、LSI間に信号を伝送させるため、高い周波数の信号に対し正確なスイッチングを可能とする等の特性が要求される。このような背景の中、従来の回路基板における銅配線等の導体配線では、信号伝送できるデータ容量に限界が生じ、システム性能の向上が阻害されつつある。従って、LSI間を光ファイバ等の光伝送路で信号を伝送する方式が検討されており、従来の導体配線に加え、広帯域性、低電磁波障害性(低EMI性)、高密度性等の特徴を有する光伝送路を備えた回路基板が必要不可欠の技術であると考えられている。このような回路基板の例として、電気絶縁材料の内部に光ファイバを内蔵した回路基板(光ファイバ内蔵回路基板)が、例えば特許文献1等に提案されている。
【0003】
他方、携帯電話等の携帯型無線通信機器では、近年、キーボタン等を有する本体部と、表示部等を有する蓋部と、本体部と蓋部とを折りたたみ可能に連結するヒンジ部とを備えた通信機器(以下、「折りたたみ式携帯通信機器」という)が広く使用されている。この折りたたみ式携帯通信機器では、折りたたんだ状態において、ヒンジ部が略180度の角度で屈曲されている。
【特許文献1】特開2000−340907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ファイバは屈曲時に信号の伝送損失(以下、単に「伝送損失」という)が大きくなる、つまり屈曲性に劣るという問題点を有している。図8は代表的な単芯構造の光ファイバを用いた光(信号)の伝送方式を示す模式図である。図8に示すように、光ファイバ100は光101を伝送するコア層102と、コア層102の外周に形成されたクラッド層103とからなる。そして、コア層102及びクラッド層103は、伝送される光101がコア層102とクラッド層103との間104で全反射するように、それらの屈折率に差を設けて形成されている。しかし、この光ファイバ100を屈曲させると、屈曲部において光101の進入角度θが大きくなり、光101が全反射せずに一部が漏れるため、伝送損失が大きくなる。
【0005】
図9には代表的な単芯構造の光ファイバとして、コア層及びクラッド層にそれぞれポリメチルメタクリレート樹脂(コア径:486μm)及びフッ素樹脂(クラッド径:500μm)を用いたプラスチック光ファイバにおける屈曲時の信号の伝送特性を示す。図9において、横軸はプラスチック光ファイバの屈曲半径、縦軸は屈曲させていない場合と比較した伝送損失の大きさを示している。図9に示すように、従来のプラスチック光ファイバでは、屈曲半径が15mm以下となった場合に、伝送損失が非常に大きくなることがわかる。前述した折りたたみ式携帯通信機器において、ヒンジ部の内部に設けられた回路基板には、10mm以下の屈曲半径を許容する屈曲性が要求される場合もあるため、従来の光ファイバ内蔵回路基板を折りたたみ式携帯通信機器のヒンジ部の内部に設けた場合は、折りたたまれた状態における使用時に、伝送損失が大きくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、屈曲時における伝送損失を抑制することができる光ファイバ内蔵回路基板とその製造方法及びそれを用いた携帯型無線通信機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板は、1層以上の電気絶縁基材と、前記電気絶縁基材表面及び各々の前記電気絶縁基材間に形成された導体配線回路と、前記電気絶縁基材に内蔵された光ファイバとを備えた光ファイバ内蔵回路基板であって、前記光ファイバの外周の少なくとも一部に、前記光ファイバから漏れた光を反射する光反射部を更に備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法は、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁基材に、貫通溝又は有底溝からなる光ファイバ収容部を形成し、前記光ファイバ収容部に光ファイバを嵌め込み、前記光ファイバから漏れた光を反射する光反射部の構成材料を前記光ファイバに接触させ、かつ、前記電気絶縁基材の上下面に金属箔を積層した状態で、熱プレスにより加熱、加圧処理することにより、前記熱硬化性樹脂を前記光ファイバ収容部の内壁と前記光ファイバとの間に流入させるとともに硬化させ、前記金属箔をパターニングして導体配線回路を形成する。
【0009】
本発明の携帯型無線通信機器は、第1回路基板を内蔵する本体部と、第2回路基板を内蔵する蓋部と、前記本体部と前記蓋部とを折りたたみ可能に連結するヒンジ部とを備えた携帯型無線通信機器であって、前記第1回路基板と前記第2回路基板との間で信号を伝送するためのコネクタ部として、前記ヒンジ部内に、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を更に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板によれば、光ファイバの外周の少なくとも一部に、光ファイバから漏れた光を反射する光反射部を備えているため、光ファイバを屈曲した際に光ファイバから光が漏れた場合でも、光反射部で光を反射させることにより、再び光を光ファイバの内部に閉じ込めることが可能となる。これにより、屈曲時における伝送損失を抑制することができる。
【0011】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法によれば、光ファイバを電気絶縁基材に内蔵させる際、光反射部の構成材料を光ファイバに接触させた状態で行うため、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を容易に製造することができる。
【0012】
本発明の携帯型無線通信機器によれば、本体部の第1回路基板と蓋部の第2回路基板との間で信号を伝送するためのコネクタ部として、ヒンジ部内に、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を備えているため、折りたたまれた状態においても、伝送損失が小さい携帯型無線通信機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板は、1層以上の電気絶縁基材と、電気絶縁基材表面及び各々の電気絶縁基材間に形成された導体配線回路と、電気絶縁基材に内蔵された光ファイバとを備えている。電気絶縁基材は特に限定されないが、アラミド不織布又はガラス織布20重量%以上〜70重量%以下と、熱硬化性樹脂30重量%以上〜80重量%以下とを少なくとも含んでいるものが好適に使用できる。この場合、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アラミドエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシアネート樹脂から選ばれた少なくとも一つを含んでいることが好ましい。また、電気絶縁基材の厚みは、300〜1000μmが好ましい。導体配線回路は公知の方法で形成することができ、例えば、電気絶縁基材上に熱プレス等により接着させた金属箔を、公知のフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより形成することができる。電気絶縁基材に内蔵される光ファイバは、特に限定されず、公知のガラスファイバやプラスチックファイバ等が使用できる。また、背景技術で説明した単芯構造の光ファイバ(図8参照)だけでなく、多芯構造の光ファイバやグレーデッドインデックス型の光ファイバ等も使用することができる。なお、単芯構造の光ファイバを用いた場合は、コア径が270〜980μm、クラッド径が300〜1000μmのものを使用するのが好ましい。
【0014】
そして、本発明の光ファイバ内蔵回路基板は、前記構成に加え、光ファイバの外周の少なくとも一部に、光ファイバから漏れた光を反射する光反射部を更に備えている。これにより、光ファイバを屈曲した際に光ファイバから光が漏れた場合でも、光反射部で光を反射させることにより、再び光を光ファイバの内部に閉じ込めることが可能となる。したがって、屈曲時における伝送損失を抑制することができる。なお、光反射部は、光ファイバの外周の少なくとも一部に設けられていればよく、例えば、使用される機器においてあらかじめ屈曲箇所がわかっている場合は、その屈曲箇所近傍にのみ光反射部を設けてもよい。また、光反射部の厚みは、3〜35μmが好ましい。
【0015】
また、本発明の光ファイバ内蔵回路基板に使用される光反射部の少なくとも一部は、金属で形成されていることが好ましい。これにより、光ファイバから漏れた光を確実に反射することができる。使用できる金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム、チタン、シリコン、パラジウム、モリブデン等が好ましく、光反射部の形成方法は、後述するように金属箔のパターニングや金属の蒸着等の手段を用いることができる。また、本発明の光ファイバ内蔵回路基板に使用される光反射部の少なくとも一部は、導体配線回路を兼ねていることが好ましい。これにより、光ファイバ上のスペースを有効利用できるため、配線の高密度化が可能となる。
【0016】
また、本発明の光ファイバ内蔵回路基板に使用される光反射部の少なくとも一部は、導電性樹脂組成物で形成されていてもよい。この構成でも、光ファイバから漏れた光を確実に反射することができる。導電性樹脂組成物としては、例えば導電性粉と熱硬化性樹脂の複合材が好適に使用できる。導電性粉としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、鉛及び錫から選択された少なくとも1種類を含むものが好適に使用できる。また、前記金属の合金や、前記金属上に別の金属がめっきされたもの等も好適に使用できる。また熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ナフタレン樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が挙げられ、これらを適宜組み合わせることもできる。
【0017】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法は、まず、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁基材に、ドリル等の機械加工やレーザー等の熱加工等の手段を用いて、貫通溝又は有底溝からなる光ファイバ収容部を形成する。次に、この光ファイバ収容部に光ファイバを嵌め込み、光反射部の構成材料を光ファイバに接触させ、かつ、電気絶縁基材の上下面に金属箔を積層した状態で、熱プレスにより加熱、加圧処理することにより、熱硬化性樹脂を光ファイバ収容部の内壁と光ファイバとの間に流入させるとともに硬化させる。そして、金属箔をパターニングして導体配線回路を形成する。このように、本発明の光ファイバ内蔵回路基板の製造方法は、光ファイバを電気絶縁基材に内蔵させる際、光反射部の構成材料を光ファイバに接触させた状態で行うため、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を容易に製造することができる。
【0018】
また、前記製造方法において、光反射部の構成材料として金属を含む場合は、光反射部の構成材料を光ファイバに接触させる際、光ファイバ及び電気絶縁基材の上下部に前記金属からなる金属箔を載置し、導体配線回路を形成する際、光ファイバに面する金属箔の少なくとも一部を残すようにパターニングすることにより、光反射部の少なくとも一部を形成してもよい。この方法によっても、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を容易に製造することができる。
【0019】
また、前記製造方法において、光反射部の構成材料に金属を含む場合の別の製造方法として、光反射部の構成材料を光ファイバに接触させる際、前記金属を光ファイバの少なくとも一部上に蒸着させてもよい。この方法によっても、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を容易に製造することができる。また、この方法は、金属を蒸着して光ファイバに接触させているので、光反射部が光ファイバにより密接した形で製造することが可能となる。
【0020】
また、前記製造方法において、光反射部の構成材料として導電性樹脂組成物を含む場合は、光反射部の構成材料を光ファイバに接触させる際、光ファイバの少なくとも一部を覆うようにして、前記導電性樹脂組成物を光ファイバ収容部の内壁と光ファイバとの間に充填してもよい。この方法によっても、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を容易に製造することができる。
【0021】
本発明の携帯型無線通信機器は、第1回路基板を内蔵する本体部と、第2回路基板を内蔵する蓋部と、本体部と蓋部とを折りたたみ可能に連結するヒンジ部とを備え、更に、第1回路基板と第2回路基板との間で信号を伝送するためのコネクタ部として、ヒンジ部内に、本発明の光ファイバ内蔵回路基板を備えている。これにより、折りたたまれた状態においても、伝送損失が小さい携帯型無線通信機器を提供することが可能となる。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について適宜図面を参照して説明する。参照する図1は、第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の断面図である。
【0023】
図1に示すように、第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板1は、電気絶縁基材2a,2b,2cと、電気絶縁基材2a,2cの表面及び電気絶縁基材2a,2b,2cのそれぞれの基材間に形成された導体配線回路3と、上下の導体配線回路3を電気的に接続する導電ビアホール4及びめっきスルーホール5と、電気絶縁基材2b,2cに内蔵された光ファイバ6と、光ファイバ6の上下部に設けられた光反射部7とを備えている。また、光ファイバ6は、コア6aとクラッド6bとからなる単芯構造を有しており、光反射部7は、クラッド6bの外周の一部である上下部に接触して設けられている。これにより、光ファイバ6を屈曲した際にクラッド6bから光が漏れた場合でも、光反射部7で光を反射させることにより、再び光をコア6aに閉じ込めることが可能となる。
【0024】
また、光反射部7は、導体配線回路3を兼ねているため、光ファイバ6上のスペースを有効に利用して配線を高密度化することができる。なお、光反射部7は、光ファイバ6の全長に亘って設ける必要はなく、例えば、使用される機器においてあらかじめ屈曲箇所がわかっている場合は、その屈曲箇所近傍にのみ光反射部7を設けてもよい。また、本実施形態では、光ファイバが内蔵されている電気絶縁基材と内蔵されていない電気絶縁基材とを同じ厚みとしたが、光ファイバの径が大きい場合は、光ファイバが内蔵されている電気絶縁基材のみを厚くして形成してもよい。
【0025】
次に、第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板1の製造方法について適宜図面を参照して説明する。参照する図2は、光ファイバ内蔵回路基板1の製造方法の一部を示す断面図である。
【0026】
まず、未硬化状態の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を含有する電気絶縁基材10を用意する(図2A)。続いて、電気絶縁基材10に、ドリル等の機械加工やレーザー等の熱加工により、貫通溝からなる光ファイバ収容部11を形成する(図2B)。ここで、光ファイバ収容部11の長さ及び幅は、使用する光ファイバが収容できる大きさに形成すればよい。次に、光ファイバ収容部11に光ファイバ12を嵌め込み(図2C)、光ファイバ12及び電気絶縁基材10の上下部に銅箔等の金属箔13を積層する(図2D)。そして、熱プレスにより加熱、加圧処理することにより、前記熱硬化性樹脂を光ファイバ収容部11の内壁11aと光ファイバ12との間(隙間11b)に流入させるとともに硬化させる。熱プレスの条件は、隙間11bが埋まるような条件とするのが好ましい。例えば、前記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有する電気絶縁基材を用いた場合は、温度:150〜250℃、圧力:0.1〜10MPa、時間:10分〜2時間とすればよい。なお、使用する電気絶縁基材の特性上、隙間11bが埋まるような条件に設定できない場合は、隙間11bにあらかじめ樹脂組成物の接着剤を充填しておけばよい。
【0027】
続いて、金属箔13をフォトリソグラフィー法等の手段により所望の形状にパターニングして、導体配線回路14を形成する(図2E)。この際、光ファイバ12の上下部に配置された金属箔13の少なくとも一部を残すようにパターニングする。これにより、導体配線回路14を兼ねた光反射部15が得られる。更に、多層化する場合は、図2Fに示すように、光ファイバ12が内蔵された電気絶縁基材10の上下に、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含有する電気絶縁基材16を配置し、更にその上下に金属箔13を配置して、熱プレス等により熱圧着させればよい。なお、導電ビアホール4(図1参照)は公知の方法で形成でき、例えば、レーザー等により形成されたビアホールに導電性ペーストを充填したあと、圧縮することにより形成できる。また、めっきスルーホール5(図1参照)も公知の方法で形成でき、例えば、レーザー等により形成されたスルーホールの内壁を銅めっき処理することにより形成できる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について適宜図面を参照して説明する。参照する図3は、本発明の第2実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の断面図である。第2実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板は、第1実施形態の構成に加え、光ファイバの外周の一部に導電性樹脂組成物からなる光反射部を更に備えている。以下、図1と同一の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0029】
図3に示すように、第2実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板20は、光ファイバ6の上下部に、第1実施形態で説明した光反射部7(図1参照)と同様に形成された第1光反射部21と、光ファイバ収容部22の内壁22aと光ファイバ6との間(隙間22b)に充填された導電性樹脂組成物からなる第2光反射部23とを有している。これにより、光ファイバ6を屈曲した際にクラッド6bから光が漏れた場合でも、第1光反射部21及び第2光反射部23で光を反射させることにより、再び光をコア6aに閉じ込めることが可能となる。なお、光ファイバ内蔵回路基板20の製造方法は、第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板1の製造方法で参照した図2において、図2Cまでの工程を同様に行った後、図4に示すように、導電性樹脂組成物を隙間11bに印刷法等の手段により充填して、図2D以降の工程を同様に行えばよい。
【0030】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について適宜図面を参照して説明する。参照する図5は、本発明の第3実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の断面図である。第3実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板は、第1実施形態の構成において、光反射部として、金属箔からなる光反射部の替わりに、真空蒸着等の手段により蒸着された金属からなる光反射部を有している。それ以外の構成要素は第1実施形態と同様なので、図1と同一の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0031】
図5に示すように、第3実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板30は、光ファイバ6の外周の一部にアルミニウム等の金属が蒸着され、この蒸着された金属層を光反射部31として備えている。これにより、光ファイバ6を屈曲した際にクラッド6bから光が漏れた場合でも、光反射部31で光を反射させることにより、再び光をコア6aに閉じ込めることが可能となる。
【0032】
次に、第3実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板30の製造方法について適宜図面を参照して説明する。参照する図6は、光ファイバ内蔵回路基板30の製造方法の一部を示す断面図である。
【0033】
まず、未硬化状態の熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を含有する電気絶縁基材40を用意する(図6A)。続いて、電気絶縁基材40に、ドリル等の機械加工やレーザー等の熱加工により、有底溝からなる光ファイバ収容部41を形成する(図6B)。ここで、光ファイバ収容部41の長さ、幅及び溝高さは、使用する光ファイバが収容できる大きさに形成すればよい。次に、光ファイバ収容部41に光ファイバ42を嵌め込み(図6C)、光ファイバ42上の一部にアルミニウム等の金属を真空蒸着等により蒸着し、光反射部43を形成する(図6D)。この際、金属層の厚みが薄い場合は電気めっき等で厚みを増やすことも可能である。そして、電気絶縁基材40の上下面に銅箔等の金属箔44を積層する(図6E)。続いて、熱プレスにより加熱、加圧処理することにより、前記熱硬化性樹脂を光ファイバ収容部41の内壁41aと光ファイバ42との間に流入させるとともに硬化させた後、金属箔44をフォトリソグラフィー法等の手段により所望の形状にパターニングして、導体配線回路45を形成する(図6F)。以降の工程は第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板1の製造方法と同様である。なお本実施形態では、光ファイバ収容部として有底溝を形成したが、貫通溝を形成して光ファイバを嵌め込み、光ファイバの下部(蒸着された金属層の反対側)に第1実施形態と同様に、金属箔からなる光反射部を形成してもよい。
【0034】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について適宜図面を参照して説明する。参照する図7は、本発明の第4実施形態に係る携帯型無線通信機器の概略斜視図である。
【0035】
図7に示すように、第4実施形態に係る携帯型無線通信機器50は、キーボタン51等を有する本体部52と、表示部53等を有する蓋部54と、本体部52と蓋部54とを折りたたみ可能に連結するヒンジ部55とを備えている。また、本体部52及び蓋部54の内部には、それぞれ第1回路基板56及び第2回路基板57が設けられている。更に、ヒンジ部55内に、第1回路基板56と第2回路基板57との間で信号を伝送するためのコネクタ部として、前述した第1〜第3実施形態のいずれかに係る光ファイバ内蔵回路基板58を備えている。これにより、携帯型無線通信機器50は、屈曲時における伝送損失が小さい本発明の光ファイバ内蔵回路基板58をコネクタ部として備えているため、折りたたまれた状態においても、伝送損失を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の光ファイバ内蔵回路基板は、屈曲させて利用する用途の回路基板として有用である。特に折りたたみ式携帯通信機器を初めとする携帯型無線通信機器等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の製造方法の一部を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の製造方法の一部を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る光ファイバ内蔵回路基板の製造方法の一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る携帯型無線通信機器の概略斜視図である。
【図8】従来の光ファイバを用いた光(信号)の伝送方式を示す模式図である。
【図9】従来の光ファイバにおける屈曲時の信号の伝送特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0038】
1,20,30,58 光ファイバ内蔵回路基板
2a,2b,2c,10,16,40 電気絶縁基材
3,14,45 導体配線回路
6,12,42 光ファイバ
7,15,31,43 光反射部
11,22,41 光ファイバ収容部
11a,22a,41a 内壁
13,44 金属箔
21 第1光反射部
23 第2光反射部
50 携帯型無線通信機器
52 本体部
54 蓋部
55 ヒンジ部
56 第1回路基板
57 第2回路基板
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年4月23日(2004.4.23)
【代理人】 【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ

【公開番号】 特開2005−311192(P2005−311192A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−128678(P2004−128678)