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【発明の名称】 多層配線基板
【発明者】 【氏名】鶴ヶ崎 正人
【住所又は居所】鹿児島県鹿児島市南栄3丁目1番地 株式会社渕上ミクロ内

【氏名】枦川 博行
【住所又は居所】鹿児島県鹿児島市南栄3丁目1番地 株式会社渕上ミクロ内

【要約】 【課題】金、銀のような貴金属ではなく、卑金属を全部又は一部の素材とするような接続層を有している多層配線基板の構成を提供する。

【解決手段】バンプ2を介して導体層を2層以上積層したことによる多層配線基板3において、バンプ2と導体層の金属パターン2とが、錫11、又は錫と金、又は銀の一方又は双方との合金の状態による接続層1によって接続されており、特に、前記合金の状態による接続層1を形成するために、バンプ2、金属パターン2の何れか一方に錫11を鍍金し、他方に金、又は銀の一方又は双方12を鍍金したうえで、バンプ2と金属パターン2とを熱圧着するか、又はバンプ2と金属パターン2の双方に対し、錫と金、又は銀の一方又は双方との合金による鍍金を行い、バンプ2と金属パター2とを熱圧着することに基づき、製造コストにおいて有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンプを介して導体層を2層以上積層したことによる多層配線基板において、バンプと導体層の金属パターンとが、錫、又は錫と金、又は銀の一方又は双方との合金の状態による接続層によって接続されていることに基づく多層配線基板。
【請求項2】
合金の状態によって、固溶体が形成されていることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
【請求項3】
バンプ、金属パターンの何れか一方に錫を鍍金し、他方に金、又は銀の一方又は双方を鍍金したうえで、バンプと金属パターンとを熱圧着したことに基づく請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項4】
バンプと金属パターンの双方に対し、錫と金、又は銀の一方又は双方との合金による鍍金を行い、バンプと金属パターンとを熱圧着したことに基づく請求項1記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項5】
金と錫との重量比を4対1としたことによる請求項4記載の多層配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、2層以上の導体層をバンプを介して接合している多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層配線基板においては、バンプと導体層における金属パターンとの熱圧着による接合が行われている。
【0003】
大抵の場合、バンプ及び金属パターン自体は、銅(Cu)を素材としているが、銅同士は、熱圧着による接合力が極めて弱く、このため、銅の表面に他の金属を鍍金したうえで、当該他の金属同士の接合が行われている。
【0004】
そして、前記他の金属として、導電性において優れると共に、酸化し難い傾向を有し、かつバンプ及び金属パターンにそれぞれ鍍金を行ったうえで、熱圧着によって接着し易い金属として、金、銀が採用されており、しかも、通常金又は銀の何れか一方によるバンプと金属パターンとの接続層が採用されていた。
【0005】
確かに、バンプ及び金属パターンの素材である銅と、金、銀とが相互に固溶し易い傾向にあり、かつ鍍金を行った場合における金同士、又は銀同士の接着の程度は決して脆弱ではない。
【0006】
しかしながら、金、銀の単独又は双方の合金は、素材として軟弱であり、機械的な強度が不十分である(この点は、近年歯の治療に使用される金属として、純然たる金、銀が採用されていないことに照らしても明らかである。)。
【0007】
他方、前記のような鍍金及び接合の素材として、金、銀のような貴金属以外の卑金属を採用することについては、これまで全く想定されていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−144206号公報
【特許文献2】特許第3251785号公報
【特許文献3】特開2002−359471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、多層配線基板において、バンプと金属パターンとの接続層において、卑金属を採用することによって、製造コスト上有利な接続層を形成し得るような構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の構成は、バンプを介して導体層を2層以上積層したことによる多層配線基板において、バンプと導体層の金属パターンとが、錫、又は錫と金、又は銀の一方又は双方との合金の状態による接続層によって接続されていることに基づく多層配線基板からなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、接続層の素材の全て又は一部にて錫を採用することにより、接続層の製造コスト、ひいては多層配線基板の製造コストを低下させると共に、バンプ、及び金属層の各鍍金層同士の接着においても十分な剥離強度を形成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の多層配線基板の接続層は、
(1)錫のみの場合、
(2)錫と金、銀の一方又は双方との合金の場合
との2タイプの何れかによって構成されている。
【0013】
前記(1)の構成について説明するに、錫は、イオン化傾向が小さく、かつ常温において酸化し難い傾向を有する一方、バンプ、金属パターンの素材である銅との間にて相互に固溶し合い(尚、銅と錫との固溶体による合金は、通常青銅と言われている。)、良好な接着力を呈すること、更にはバンプ、金属パターンにそれぞれ錫を鍍金したうえで、バンプと金属パターンとを熱圧着した場合、良好な剥離強度を呈することに由来している。
【0014】
前記(2)の構成を採用するのは、バンプと金属パターンとの接続層として従来使用されていた金、銀の長所、即ち、酸化し難く、かつ良好な導電性を有しており、しかも、前記のように鍍金し、かつ熱圧着を行った場合において、優れた剥離強度などを発揮し得る一方、前記のように、錫を採用した場合の長所も発揮されると共に、錫と金、銀の一方又は双方との間においても、固溶体による合金を形成し、当該合金においても高度の剥離強度を発揮し得ることに由来している。
【0015】
特に、金と錫との合金は、所謂金ろうとして使用されることを考慮するならば、双方の合金がバンプと金属パターンとの熱圧着においても良好な接着力を呈することは極めて自然な帰結と言うべきである。
【0016】
従来バンプと金属パターンの接続層の金属として、従来錫を採用することが全く考慮されていないが、錫は、製造コストにおいて安価でありながら、接続層として、金、銀に準ずる性能を有しており、この点において本願発明の構成は画期的なものというべきである。
【0017】
因みに、各銅板(但し、3.2m×70mmの帯状)に対し、約1μmの厚さにて、それぞれ金、及びパラジウムの電解鍍金を行ったうえで、295℃、−23kgf/cmによる熱圧着を10分間行うことによって、重量比を約5対3とする金とパラジウムとによる接続層について、銅板から100μm/secのスピードにて引き離すのに要する力を、所謂ツィザーピールテストによって10個のサンプルを用いて測定したところ、平均約5.55g重の力が必要とするような剥離強度を得ることができた。
【0018】
これに対し、前記各銅板に対し、約1μmの厚さにてそれぞれ錫の電解鍍金を行ったうえで、同様の条件にて熱圧着を行い、同じように、ツィザーピールテストによる剥離強度を測定したところ、平均約37.17g重という測定結果が得られ、金とパラジウムとの合金による接続層よりも、強力な剥離強度が得られることが判明している。
【0019】
以下前記(2)の構成に関する接続層による製造方法、及び当該製造方法に基づく錫の合金による接続層の剥離強度について説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1は、図1(a)、(b)に示すように、バンプ2と金属パターン2の一方に対し、錫11を鍍金し、他方に対し、金、銀の一方又は双方12を鍍金したうえで、図1(c)に示すように、バンプ2と金属パターン2とを熱圧着するという製造方法によって、接続層1を形成していることを特徴としている。
【0021】
前記実施形態に記載した試験例と同じように、各同一規格の銅板に対し、約1μmの厚さにてそれぞれ金、及び錫11の電解鍍金を行ったうえで、実施形態と同様の条件による熱圧着を行い、重量比を約7対2とする金と錫11との合金による接続層1を形成した。
【0022】
当該接続層1について実施形態の場合と同一条件によるツィザーピールテストによって、10個のサンプルについて測定したところ、平均約11.71g重の剥離強度を呈しており、金とパラジウムとの合金による接続層1よりも良好な剥離強度が示されている。
【実施例2】
【0023】
実施例2は、図2(a)、(b)に示すように、バンプ2と金属パターン2の双方に対し、錫と金、銀の一方又は双方との合金13による鍍金したうえで、図2(c)に示すように、バンプ2と金属パターン2とを熱圧着するという製造方法によって、接続層1を形成していることを特徴としている。
【0024】
即ち、前記(2)の構成の内、当初からバンプ2、及び金属パターン2に錫と金、銀の一方又は双方とによる合金13を鍍金したうえで熱圧着している訳である。
【0025】
このように当初から合金を鍍金による場合に、実施例1と同様の規格の各銅板に対し、同様の条件による熱圧着を行い、同様の条件によるツィザーピールテストによって、10個のサンプルを用いて測定したところ、金対錫11の重量比が1対1の場合、4対1の場合、1対4の場合に、平均剥離強度はそれぞれ6.63、21.61、5.78であることが判明した。
【0026】
即ち、実施形態の項において測定した金とパラジウムの合金による接続層1と略対比した場合、重量比1対1、又は1対4の場合には、略同一レベルの剥離強度を呈しており、重量比4対1の場合には、明らかに優れた剥離強度を示している。
【0027】
このような場合、たとえ金とパラジウムとの合金による接続層1を同一レベルであるとしても、製造コストが安価である点において錫11と金の合金の場合の方が明らかに有利である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、金属パターンとバンプとの間に接続層を設けたことによる多層配線基板3に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1による接合の形成状態を示す断面図であり、(a)は、バンプ又は金属パターンの何れか一方に対し、錫が鍍金された状態を示しており、(b)は、バンプ又は金属パターンの他方に対し、金、銀の一方又は双方が鍍金された状態を示しており、(c)は、各鍍金が行われた金属層を熱圧着することによって、合金の状態による接続層が形成されている状況を示す。
【図2】実施例2による接続層の形成状態を示す断面図であり、(a)、(b)は、バンプ、及び金属パターンの双方に対し、錫と、金、銀の一方又は双方との合金による鍍金が行われた状態を示しており、(c)は、各鍍金が行われた金属層を熱圧着することによって、合金の状態による接続層が形成されている状況を示す。
【符号の説明】
【0030】
1:接続層
11:錫
12:金、銀の一方又は双方
13:錫と金、銀の一方又は双方とによる合金
2:銅を素材とするバンプ又は金属パターン
3:基板
【出願人】 【識別番号】591245141
【氏名又は名称】株式会社渕上ミクロ
【住所又は居所】鹿児島県鹿児島市南栄3丁目1番地
【出願日】 平成16年4月23日(2004.4.23)
【代理人】 【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人

【公開番号】 特開2005−311191(P2005−311191A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−128656(P2004−128656)