トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 導電接続構造体
【発明者】 【氏名】松下 清人
【住所又は居所】滋賀県甲賀郡水口町泉1259 積水化学工業株式会社内

【氏名】沖永 信幸
【住所又は居所】滋賀県甲賀郡水口町泉1259 積水化学工業株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と電子部品とが導電性微粒子を介して接続されてなる導電接続構造体であって、電子部品の一辺の長さが少なくとも10mm以上、且つ配線基板と電子部品との線膨張係数の差が5ppm以上、導電性微粒子は、樹脂からなる基材粒子の最外層が400℃以下の融点を有する金属又は合金からなり、粒子径が10〜2000μmであることを特徴とする導電接続構造体。
【請求項2】
基材粒子のK値が2000〜5000N/mm2、20℃において10%の圧縮変形状態から解放した際の基材粒子の回復率が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の導電接続構造体。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる熱膨張係数を有する配線基板と電子部品及び/又は半導体装置とが、導電性微粒子を介して接続された導電接続構造体に関し、特に、熱膨張係数の差によって発生する応力を緩和して接続不良を防止することが可能な導電接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSI等の電気回路を製造する際に、配線基板や回路素子等の電極同士の接続にはハンダ付けによる方法が用いられてきた。しかし、電子機器の多機能化、高性能化による電子部品の集積化が進むにつれて、ハンダ付けによる接続では、生産効率の悪さ、高密度配線の接続の困難さ等の問題があった。
これを解決するために、ハンダボールを用いて電極同士を接続するBGA(ボールグリッドアレイ)等の技術が開発された。この技術によれば、基板や回路素子等の電極上に設けられたハンダボールを高温で溶融して電極同士を接続するため高生産性、高接続信頼性を両立した電気回路を構成することが可能となった。
【0003】
しかしながら、半導体装置や電子部品とこれらが実装される配線基板との間の線膨張係数に差がある場合、長期間にわたり導電接続構造体を使用した際、温度変化等による半導体装置や電子部品とこれらが実装される配線基板との間に生じる歪応力を吸収しきれずに接続不良が発生する場合があった。
特に近年、配線基板、半導体装置及び電子部品等の大型化により、これらの問題が顕著になってきた。すなわち、線膨張係数が異なると基板端部に発生する歪みは、基板の大きさに比例して大きくなるため、接続不良が発生しやすくなるためである。
【0004】
また、近年の電気回路は高密度化や多層化等によって更に高性能化の一途をたどっており、電気回路の高密度化によって電極同士の接続部の面積が減少するために接続部の強度が低下し、外環境変化による歪みや伸縮等から生じる応力によって接続部が断線しやすくなるという問題があった。さらに、電気回路の多層化により、層間の距離を一定に維持する必要があるという問題もあった。
【0005】
これらを解決する手段として、電気回路の電極間の接続部等に生じる応力の緩和については、接続部をアンダーフィル樹脂等により補強することが行われており(特許文献1参照)、上記技術では接続信頼性の向上には一定の効果を示すが、塗布、硬化工程には手間がかかり、また工程が増えることにより費用が増大するという問題があった。
一方、電気回路の層間距離の維持については、例えば、銅の周りにハンダをコーティングしたボールを用いる方法が開示されている(特許文献2参照)。この技術では、ハンダのように溶融しない銅が支えとなり、層間の距離を維持することはできるが線膨張係数の差により生じる応力を緩和することができず、部品の破壊や接続不良が発生するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開20002−2048号公報
【特許文献2】特開平11−74311号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑み、電気回路中に発生する応力を緩和することが出来る導電接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、配線基板と電子部品とが導電性微粒子を介して接続されてなる導電接続構造体であって、電子部品の一辺の長さが少なくとも10mm以上、且つ配線基板と電子部品との線膨張係数の差が5ppm以上、導電性微粒子は、樹脂からなる基材粒子の最外層が400℃以下の融点を有する金属又は合金からなり、粒子径が10〜2000μmである導電接続構造体である。
請求項2記載の発明は、基材粒子のK値が2000〜5000N/mm2、20℃において10%の圧縮変形状態から解放した際の基材粒子の回復率が80%以上である請求項1記載の導電接続構造体である。
【0009】
以下に本発明を詳述する。
本発明の導電性微粒子は、樹脂からなる基材粒子の最外層が融点が400℃以下の金属又は合金から形成された導電性微粒子である。
上記導電性微粒子としては、さらに基材粒子と融点が400℃以下の金属又は合金からなる最外層との間に1層以上の金属又は合金からなる下地層が設けられていても良い。
【0010】
上記最外層を形成する400℃以下の融点を有する金属又は合金としては、特に限定されず、例えば、錫、鉛、ビスマス等の金属が挙げられ、これらのうち好適に用いられるものとしては、例えば、Sn/Pb、Sn/Pb/Ag、Sn/Zn、Sn/Ag、Sn/Sb、Sn/Cu、Su/Ag/Cu、Pb/Ag、Zn/Al、Au/Si、Au/Sn、Sn/Bi/Pb、In/Bi/Sn、Sn/Pb/Cu、Sn/Pb/Ag等のいわゆるハンダと称される合金であり、特に好ましくは、Sn/Pb、Sn/Ag、Sn/Cu、Sn/Ag/Cuである。
【0011】
上記下地層を形成する金属又は合金としては、特に限定されず、通常のリフロー温度においても溶融せず安定に存在するものであれば特に限定されず、電気特性、機械的性質等に優れる点から、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム、珪素、Fe/Ni合金、Ni/Co/Fe合金等が挙げられ、これら金属は1種が単独で用いられても良いし、2種以上からなる合金組成として用いられていても良い。
【0012】
上記の如く樹脂微粒子の表面に設けられる金属又は合金からなる層の数は、1層からなるものであってもよく、多層からなるものであってもよい。金属層が多層からなる場合には、層ごとに異なる金属からなるものであってもよい。例えば、ポリスチレン樹脂からなる樹脂微粒子の表面に、ニッケル層を設け、更にその上に銅層やスズ層を設けるといった構成等が挙げられる。
【0013】
上記最外層を形成する金属又は合金の金属層の厚さは0.01〜500μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜100μmである。金属層の厚さが500μmを超えると基材粒子を形成する樹脂層の歪みや応力を緩和する効果が減少する傾向になり好ましくない。 また、金属又は合金からなる下地層の厚さとしては特に限定されないが、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.01〜50μmである。100μmを超えると、凝集しやすくなるためである。
【0014】
上記各金属層の厚さは以下の方法で測定した。すなわち、導電性微粒子を断面研磨用樹脂に埋め込み、研磨用樹脂が硬化した後断面研磨をした。直径部断面があらわれた導電性微粒子を選び、その金属部分の厚さをCCDマイクロスコープにより測定し金属の厚さとした。
【0015】
上記基材粒子を構成する樹脂としては、特に限定されず、例えばスチレン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等を重合した物が挙げられる。これら単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。尚、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを表す。
【0016】
また基材粒子を構成する樹脂成分として、粒子の強度を上げることが出来るため架橋性単量体を加えることが好ましい。架橋単量体としては、特に限定されず、例えばジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、その他(メタ)アクリル酸誘導体、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。これら架橋性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
これら粒子の製造方法は特に限定されないが、懸濁重合、シード重合、乳化重合などの一般的な重合方法によって粒子を得ることができる。
【0017】
上記基材粒子の粒子径としては特に限定されないが、10〜1500μmであることが好ましい。10μm未満であると、金属層を形成する際に凝集しやすく、単粒子とし難くなることがあり、1500μmを超えると、金属層がひび割れを起こして、基材粒子から剥離し易くなることがある。さらに好ましくは、50〜1000μmである。
【0018】
上記導電性微粒子の粒子径は、10〜2000μmである。10μm未満であると、金属層を形成する際に凝集しやすく、単粒子とし難くなることがあり、2000μmを超えると、金属層がひび割れを起こして、基材粒子から剥離し易くなることがあるためである。さらに好ましくは、50〜1500μmである。
【0019】
上記基材微粒子の粒子径は次の方法で測定した。すなわち、拡大表示した円上の3点を指定することでその円の直径を自動的に計測する機能を有するCCDマイクロスコープ(VH−7000、キーエンス社製)を使い粒子径を測定した。基材粒子を拡大表示し、その最も外側(直径となる部分)を測定し粒子径とした。
【0020】
本発明の基材粒子は、K値が2000〜5000N/mm2、20℃において10%の圧縮変形状態から解放した際の基材粒子の回復率が80%以上であるのが好ましい。
【0021】
次に、上記したK値について説明する。
【0022】
ラウンダウーリフシッツ理論物理学教程「弾性理論」(東京図書1971年発行)42頁によれば、半径がそれぞれR、R’の二つの弾性球体の接触問題は次式により与えられる。
【0023】
h=F2/3[D2(1/R+1/R’)]1/3 …(1)
D=(3/4)[(1−σ2)/E+(1−σ’2)/E’] …(2)
ここに、hはR+R’で両球の中心間の距離の差、Fは圧縮力、E、E’は二つの弾性球の弾性率、σ、σ’は弾性球のポアッソン比を表す。
【0024】
一方、球を剛体の板に置き換えて、かつ両側から圧縮する場合、R’→∞、E》E’とすると、近似的に次式が得られる。
【0025】
F=(21/2/3)(S3/2)(E・R1/2)(1−σ2) …(3)
ここにSは圧縮変形量を表す。この式を変形すると容易に次式が得られる。
【0026】
K=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2 …(4)
よって、K値を表す式:K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2 …(5)が得られる。
【0027】
このK値は球体の硬さを普遍的かつ定量的に表すものである。このK値を用いることにより、基材微粒子の好適な硬さを定量的、かつ一義的に表すことが可能となる。
【0028】
従って、基材微粒子は、K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2〔ここに、F、Sはそれぞれ基材微粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)、圧縮変位(mm)であり、Rは基材微粒子の半径(mm)である〕で定義されるKの値が10%圧縮歪において2000N/mm2〜5000N/mm2の範囲であり、且つ圧縮変形後の回復率が20℃において80%以上のものが好適に使用される。
【0029】
そして、10%圧縮歪におけるK値は2000N/mm2〜5000N/mm2の範囲が好ましく、この範囲内にある基材粒子を用いることにより、例えば、電極接続構造体を作製するときに、電極間の層間距離を所定の距離に保つことが出来、線膨張率の差により生じる応力を緩和することが出来る。
【0030】
K値が5000N/mm2を超える場合、粒子が硬すぎて、応力緩和効果が不十分となり、その結果接合不良となる場合がある。K値が2000N/mm2を下回る場合、この導電性微粒子を二つの電極間に挟んで接合する際にかかる圧力により、しばしば圧縮変形が過大となり、電極間の距離が短くなったり、電極同志が直接に接触するという接合不良を起こす場合がある。
【0031】
本発明の基材粒子は、圧縮変形後の回復率が、20℃において80%以上であるのが好ましく、回復率が80%を下回る場合、塑性変形を起こしてしまい、応力緩和効果が不十分となり、その結果接合不良となる場合があり好ましくない。
【0032】
上記K値ならびに圧縮変形後の回復率の測定は、微小圧縮試験器を用いて測定され、詳細は特開平5−36306に記載されている方法により測定される。
【0033】
本発明の接続構造体としては、通常使用される電子部品と配線基板とからなるものであれば特に限定されず、一般に使用されるものでよく、さらにMCM、HIC等の回路モジュール等も挙げられる。
上記電子部品としては特に限定されず、半導体装置、半導体パッケージ、コンデンサー、抵抗、コイル、各種センサ、及びスイッチ等の機構部品が挙げられる。
配線基板としては、特に限定されず、一般に使用されるものが使用できる。その中でも本発明では、電子部品の一片の長さが少なくとも10mm以上、配線基板と電子部品との線膨張係数の差が5ppm以上のものである場合に良好な結果が得られる。
【0034】
上記一辺の長さが10mm未満、又は線膨張係数の差が5ppm未満の基板、電子部品の場合においても良好な結果を得ることが出来る。また、接続される端子又は導電性微粒子の径が50μm未満の場合は、最外層の400℃以下の融点を有する金属又は合金からなる最外層を溶融して接続する際に溶融部分が端子等からはみ出したりして信頼性が低下する場合がある。
【0035】
本発明ので導電接続構造体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、従来から行われている、ハンダボール等を用いて行われているBGA、FC等の方法により製造され得る。
【発明の効果】
【0036】
本発明の導電接続構造体は、上述の通り、基材粒子が樹脂からなり最外層が400℃以下の融点を有する金属又は合金からなる導電性微粒子により接続されてなるので線膨張率の差によって発生する応力による接続不良を防止することが出来る。特に、被接合体の1辺が10mm以上と大きな部品であっても、線膨張率の差が5ppm以上であっても、更に、接続部の大きさが10〜2000μmであっても接続不良を防止することが出来る。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
ジビニルベンゼンを懸濁重合し、篩いによる粒子径選別にて樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径は550μm、K値は3500N/mm2、回復率は95%であった。この粒子に導電下地層としてニッケルメッキ層を形成させた後に、硫酸銅200g/L、酸、光沢剤を含むメッキ液を用いて銅メッキを行った。電気メッキは、水平バレルメッキ装置を用いて、陰極電流密度0.3A/dm2で2時間メッキを行い、5μmの金属層を有する基材粒子を得た。このようにして得られた基材粒子に、Sn濃度25g/L、Ag濃度0.5g/L、酸、光沢剤を含むメッキ液を用いて、銅表面に電気メッキを行った。電気メッキは、水平バレルを用いて、陰極電流密度0.3A/dm2で4時間行い、基材粒子の外周面に20μmのSn−Agハンダ層を有する粒子径が600μmの導電性微粒子1を得た。得られた導電性微粒子を用いて、線膨張率が7ppm、縦横が21mm厚さ1.2mmの半導体チップ付セラミック基板部品に、上記で得られた導電性微粒子を用いて1mm間隔で400個の電極端子を設けてデバイスを作成し、線膨張係数が14ppmのガラスエポキシ基板に実装し、導電接続構造体を作成した。作成した導電接続構造体を1サイクルが−25℃×30分と125℃×30分の冷熱サイクル試験を1000回行い、不良の発生状況を観察した。結果を表1に示した。
【0039】
(比較例1)
実施例1において、粒子径600μmのハンダ粒子を用いる以外は実施例1と同様に行った。
【0040】
(比較例2)
比較例1において、アンダーフィルを施す以外は、実施例1と同様に行った。
【0041】
【表1】



【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
【出願日】 平成16年4月22日(2004.4.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−311129(P2005−311129A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−127057(P2004−127057)