| 【発明の名称】 |
配線基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】水野 幹久
【氏名】佐々木 勇一
【氏名】井上 誠
【氏名】矢沢 健児
【氏名】舘野 安夫
【氏名】宮内 貞一
【氏名】高橋 研
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| 【要約】 |
【課題】GHz帯の高周波信号を低損失で伝送することができる配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板10は、絶縁体12と、該絶縁体12中に分散された磁性ナノ粒子11とからなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁体と、該絶縁体中に分散された磁性ナノ粒子とからなることを特徴とする配線基板。 【請求項2】 前記磁性ナノ粒子が、超常磁性を有することを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 【請求項3】 前記磁性ナノ粒子が、80℃以下にブロッキング温度を持つ超常磁性ナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 【請求項4】 前記磁性ナノ粒子の体積充填率が60%以下であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 【請求項5】 前記磁性ナノ粒子が、元素Fe,Co,Ni,Mn,Sm,Nd,Tb,Al,Pd、Pt、前記元素の金属間化合物、前記元素の二元合金、前記元素の三元合金、あるいは添加元素としてSi,N,Mo,V,W,Ti,B,C,Pの少なくとも1つを含む前記元素,前記金属間化合物,前記二元合金,前記三元合金、Fe酸化物、Fe以外の前記元素の少なくとも1つをさらに含むFe系酸化物、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Mg−Mn系フェライト、ガーネットからなる群から選択される材料からなることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 【請求項6】 前記磁性ナノ粒子が、液相合成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 【請求項7】 前記絶縁体が、高分子材料、セラミック、ガラスまたはこれらの複合体であることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。 【請求項8】 前記絶縁体が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂若しくはシアネート樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の配線基板。 【請求項9】 前記絶縁体が、アルミナ系セラミック、窒化アルミニウム系セラミック、窒化ケイ素系セラミック、窒化ホウ素系セラミックまたはこれらの複合体であることを特徴とする請求項7に記載の配線基板。 【請求項10】 前記絶縁体が、シリカガラス、シリコンマイカガラス、水晶ガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラスまたはこれらの複合体であることを特徴とする請求項7に記載の配線基板。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、GHz帯の高周波回路素子を搭載する高周波用の配線基板に関し、特に、低損失で信号伝送することができる配線基板に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、情報処理の高速化、高速高密度な情報通信への要求により、高周波用半導体素子を作動させる信号の高周波化が著しい。例えば、現在コンピュータのCPUに用いられるLSIチップは最高数GHzのクロック周波数で動作している。また、将来の発展が大いに期待されている衛星放送や携帯電話、携帯端末などのモバイル通信には、GHz帯の高周波信号が使用されている。 【0003】 高周波回路では、導体配線と配線基板において損失を生じ、特に配線基板における損失が深刻になってきている。これらは、信号伝送時に発熱やノイズ、高消費電力等の問題となって現れる。すなわち、高周波域の素子に使用される配線基板の材料は、GHz帯の高周波信号を低損失で伝送できる材料であることが望まれる。 【0004】 特性インピーダンスZ0(Ω)の配線を電圧V(V)で駆動した場合、伝送損失P(W)は、次式(1)で表され、大きな特性インピーダンスZ0を示す配線は、低損失で信号伝送することができる。 【0005】 P=V2/Z0 ・・・(1) 【0006】 一方、特性インピーダンスZ0は、次式(2)のように配線基板材料の比透磁率μrと比誘電率εrとの比の二乗根に比例する。 【0007】 Z0=(L/C)1/2 ∝ (μr /εr)1/2 ・・・(2) (ここで、Lは配線の単位長さあたりのインダクタンス、 Cは単位長さあたりの電気容量を表す。) 【0008】 従来、大きな特性インピーダンスZ0を示す低損失配線基板として、低誘電率材料を用いた配線基板が提案されてきた(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、配線基板の低比誘電率εr化によって特性インピーダンスZ0を増大させて低損失化が達成される。 【0009】 低誘電率材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(εr≒2.1)等のフッ素樹脂があり、これを多孔質化するとさらに低い誘電率が達成できる。例えば、80%の空孔をもつ多孔質ポリテトラフルオロエチレン樹脂においては、εr≒1.1である。 【0010】 【特許文献1】特開平6−53357号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 しかしながら、多孔質フッ素樹脂で形成された配線基板は、機械的強度が極めて弱く、また熱に対する寸法安定性が非常に低いため、実用化が困難であった。 また、原理的に比誘電率εrは1よりも小さくなることができないため、従来の配線基板の低損失化策には限界があった。 【0012】 本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、GHz帯の高周波信号を低損失で伝送することができる配線基板を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0013】 発明者らは、配線基板の誘電特性のみでなく、磁気特性に新たに着目した。すなわち、低誘電率(εr)化だけでなく、高透磁率(μr)化を同時に行うことにより低損失化を図るべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。 【0014】 すなわち、前記課題を解決するために提供する本発明は、絶縁体と、該絶縁体中に分散された磁性ナノ粒子とからなることを特徴とする配線基板である。 【0015】 ここで、前記磁性ナノ粒子は、超常磁性を有することが好ましい。 さらに、前記磁性ナノ粒子は、80℃以下にブロッキング温度を持つ超常磁性ナノ粒子であることが好適である。 【0016】 また、前記磁性ナノ粒子の体積充填率は60%以下であることが好ましい。 【0017】 前記磁性ナノ粒子は、元素Fe,Co,Ni,Mn,Sm,Nd,Tb,Al,Pd、Pt、前記元素の金属間化合物、前記元素の二元合金、前記元素の三元合金、あるいは添加元素としてSi,N,Mo,V,W,Ti,B,C,Pの少なくとも1つを含む前記元素,前記金属間化合物,前記二元合金,前記三元合金、Fe酸化物、Fe以外の前記元素の少なくとも1つをさらに含むFe系酸化物、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Mg−Mn系フェライト、ガーネットからなる群から選択される材料からなることが好ましい。 また、前記磁性ナノ粒子は、液相合成されたものが好適である。 【0018】 前記絶縁体は、高分子材料、セラミック、ガラスまたはこれらの複合体であることが好ましい。 【0019】 また、前記絶縁体は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂若しくはシアネート樹脂であるとよい。 【0020】 また、前記絶縁体は、アルミナ系セラミック、窒化アルミニウム系セラミック、窒化ケイ素系セラミック、窒化ホウ素系セラミックまたはこれらの複合体であるとよい。 【0021】 また、前記絶縁体は、シリカガラス、シリコンマイカガラス、水晶ガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラスまたはこれらの複合体であるとよい。 【発明の効果】 【0022】 本発明によれば、配線基板は高い比透磁率μrを有するとともに、低い比誘電率εrを有することができ、GHz帯においても良好な低伝送損失を示すことが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0023】 以下に、本発明に係る配線基板の実施の形態について説明する。 図1に、本発明に係る配線基板の断面図を示す。 配線基板10は、絶縁体12と、絶縁体12中に分散された磁性ナノ粒子11とから構成される。 【0024】 磁性ナノ粒子11は、粒子サイズがナノオーダーの磁性微粒子であり、ブロッキング温度Tbを持ち超常磁性を示すことが好ましい。とくに、80℃以下にブロッキング温度Tbを持つ超常磁性ナノ粒子であることが好ましい。なお、ブロッキング温度Tbを80℃以下に持つこととするのは、配線基板の使用温度として−10〜80℃の温度範囲で高い比透磁率μrを確保するためである。 【0025】 ここで、ブロッキング温度Tbについて若干説明する。 磁性微粒子の自発磁化は、微粒子の磁気異方性エネルギーEによりその向きが保たれる。ここで、磁気異方性エネルギーEは、次式のように磁性微粒子の磁気異方性定数Kと体積Vとの積で表されるが、自発磁化は熱エネルギーkBTによって、その向きを変える可能性がある。ここで、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。 【0026】 E = K・V 【0027】 環境温度が高くなり、熱エネルギーkBTが磁気異方性エネルギーEと同程度あるいはそれ以上に大きい場合、自発磁化の方向は絶えず熱的に活性化され、振動し、残留磁化が消失する。一方、温度低下に伴い、熱エネルギーkBTが磁気異方性エネルギーEよりも十分に小さくなると、自発磁化方向の振動は抑制され、残留磁化が現れはじめる。ブロッキング温度Tbとは、その残留磁化が現れ始める温度のことである。 【0028】 また、磁性ナノ粒子11は、元素Fe,Co,Ni,Mn,Sm,Nd,Tb,Al,Pd、Pt、前記元素の金属間化合物、前記元素の二元合金、前記元素の三元合金、あるいは添加元素としてSi,N,Mo,V,W,Ti,B,C,Pの少なくとも1つを含む前記元素,前記金属間化合物,前記二元合金,前記三元合金、Fe酸化物、Fe以外の前記元素の少なくとも1つをさらに含むFe系酸化物、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Mg−Mn系フェライト、ガーネットからなる群から選択される材料からなることが望ましい。 【0029】 磁性ナノ粒子11は、気相あるいは液相合成されたものがあり、好ましくは液相合成されたものである。 液相合成法とは、金属塩、有機金属などを液中に溶解させ、還元あるいは分解などにより、粒子を析出させる方法であり、公知の液相合成法として、共沈法、アルコール還元法、有機金属化合物の熱分解、逆ミセル法、超音波法、エレクトライド還元法がある。一般に、液相合成された磁性ナノ粒子11は、その表面を有機安定化剤で被覆された分散溶液として得られる。 【0030】 また、液相合成によれば、合成条件の選択により、粒径のコントロールが可能である。さらに、合成後のサイズ選択的析出により、粒径分布を制御することもできる。サイズ選択的析出法とは、磁性ナノ粒子分散溶液に凝集剤を滴下することにより、径の大きな粒子を選択的に沈殿させる方法である。凝集剤として、磁性ナノ粒子分散溶液の溶媒と混和でき、且つ有機安定化剤の溶解度が異なる溶媒が選択される。 【0031】 磁性ナノ粒子11は、磁性材料種によって磁気異方性定数Kの値が異なる。例えば、Coの場合はK=4.5×105 J/m3、Feの場合はK=4.7×104 J/m3、FePtの場合はK=6.6×106 J/m3、Fe3O4の場合はK=8.7×103J/m3である。 そのため、最適な粒径は、磁性材料種によって適宜決定される。例えば、Coナノ粒子の平均粒径は8nm以下、Feナノ粒子の平均粒径は25nm以下、FePtナノ粒子の平均粒径は4nm以下、Fe3O4ナノ粒子の平均粒径は30nm以下がよい。 【0032】 また、本発明に使用される磁性ナノ粒子11は、粒径分布の標準偏差が平均粒径の30%以下、好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である。標準偏差が小さいほど、ブロッキング温度Tbの分布が狭くなり、大きな比透磁率μrを示す。一方、標準偏差が平均粒径の30%よりも大きい場合、ブロッキング温度Tbの分布が広すぎるため、比透磁率μrは小さくなる。例えば、−10〜80℃の温度範囲で比透磁率μrは10よりも小さくなってしまう。 【0033】 絶縁体12は、高分子材料、セラミック、ガラスまたはこれらの複合体で形成される。 【0034】 高分子材料は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂若しくはシアネート樹脂である。 【0035】 セラミックは、アルミナ系セラミック、窒化アルミニウム系セラミック、窒化ケイ素系セラミック、窒化ホウ素系セラミックである。または、これらのセラミックの複合体であってもよい。 【0036】 ガラスは、シリカガラス、シリコンマイカガラス、水晶ガラス、石英ガラス、硼珪酸ガラスである。または、これらのガラスの複合体であってもよい。 【0037】 絶縁体12中に分散された磁性ナノ粒子11の体積充填率は60%以下であることが好ましい。磁性ナノ粒子11の充填率が60%を超える場合、配線基板10の機械的強度が低下し、変形しやすくなる。そのため、配線基板10の製造工程中に歪みを生じてしまい、配線基板10を用いて半導体装置を製造する際の位置合わせが難しくなる。これは、配線の接続不良等の原因となるため、問題である。また、絶縁体12中に分散された磁性ナノ粒子11の体積充填率は5%以上であることが好ましい。磁性ナノ粒子11の体積充填率が5%未満の場合、配線基板10は充分な比透磁率μrを示さない。 【0038】 以上の構成により、配線基板10は、高い比透磁率μrを有するとともに、低い比誘電率εrを有し、GHz帯の高周波領域において低損失で信号伝送することができる。 【0039】 ここで、本発明の配線基板10が磁気特性と誘電特性を両立する原理について、以下に説明する。 (1)比透磁率μrについて 配線基板10の比透磁率μrは磁性ナノ粒子11が寄与する。 配線基板の比透磁率μrの温度依存性は、次式(3)で表される。なお、χrは配線基板の比磁化率、Msは磁性ナノ粒子の飽和磁化、Vaveは粒子の平均体積、xは配線基板中粒子の体積充填率、kBはボルツマン定数、μ0は真空の透磁率である。 【0040】 μr(T) = χr(T) + 1 = (Ms2Vavex)/(3kBTμ0) + 1 ・・・(3) 【0041】 図2に、式(3)に基づいたCoナノ粒子(粒径7nm)の比透磁率μrと温度Tとの関係を示す。−10〜80℃の温度範囲において、比透磁率μrが10以上であることが理解される。 【0042】 ここで、ブロッキング温度Tbは、式(4)のように磁性材料の磁気異方性定数Kと体積Vの積に比例する。すなわち、ブロッキング温度Tbが磁性材料種、粒径に依存することを意味する。 【0043】 Tb ∝ K・V ・・・(4) 【0044】 本発明の配線基板に使用する磁性ナノ粒子11について、適切な磁性材料種、粒径、粒径分布を選択することにより、ブロッキング温度Tbを調整することが可能であり、このことにより比透磁率μrを目的の大きさに制御することが可能である。 例えば、ブロッキング温度Tbを80℃以下に分布するようにすると、本発明の配線基板は、−10〜80℃の温度範囲において、比透磁率μrを10以上とすることが可能である。 【0045】 GHz帯の高周波域において、ヒステリシス損失或いは渦電流損失のため、比透磁率μrが10よりも小さくなってしまうことが懸念される。しかしながら、本発明で使用される磁性ナノ粒子群においては、ブロッキング温度Tbが80℃以下に分布しており、ヒステリシス損失を示さない。また、表皮深さ(skin depth)以下の微細な粒子群が絶縁体中に分散した構造のため、配線基板の抵抗率は充分に大きく、渦電流損失を示さない。 【0046】 周波数を増していくと、磁性微粒子はある周波数で自然共鳴を起こし、透磁率は急激に減少してしまう。そのため、本発明の配線基板において良好な低伝送損失を維持するためには、自然共鳴周波数以外の周波数帯で使用する必要がある。 【0047】 ここで、磁性微粒子が自然共鳴を起こす周波数fは、次式のように磁性微粒子の異方性磁界Hkに比例する。 【0048】 f ∝ Hk 【0049】 例えば、Coナノ粒子の場合(Hk=5.1×105 A/m)はf≒20GHz、Feナノ粒子の場合(Hk=4.4×104 A/m)はf≒2GHz、FePtナノ粒子の場合(Hk=9.2×106 A/m)はf≒300GHz、Fe3O4ナノ粒子の場合(Hk=2.7×104 A/m)はf≒1GHzである。 以上の点に留意すれば、磁性ナノ粒子は高い比透磁率μrを有する。 【0050】 (2)比誘電率εrについて 配線基板10の比誘電率εrは絶縁体12及び磁性ナノ粒子11の両者が寄与する。 絶縁体12は上記のように、低比誘電率εrおよび低誘電損失を示す材料が使用される。例えば、ポリテトラフルオロエチレンは比誘電率εr=2.1であり、誘電正接は1×10−4(1MHz測定)である。 絶縁体12中に磁性ナノ粒子11を充填した場合の誘電特性は、充填しない場合とは異なる。しかしながら、磁性ナノ粒子11の体積充填率が60%以下である場合、配線基板10として必要な誘電特性、例えば、比誘電率εrが5以下を維持することが可能である。 【0051】 以上のように、本発明の配線基板は、高い比透磁率μrを有するとともに、低い比誘電率εrを有することができ、GHz帯においても良好な低伝送損失を示すことが可能となる。 【0052】 以下に、本発明に係る配線基板の製造方法について説明する。 本発明に係る配線基板の製造は、つぎの手順で行うとよい。 (s11)溶媒中に磁性ナノ粒子を分散させる。 (s12)該分散液に絶縁体材料を混入させる。 (s13)該溶液を攪拌しながら溶媒を蒸発させて黒色の残留固形物を得る。 (s14)該残留固形物を圧縮成形することにより配線基板を得る。 【0053】 液相合成された磁性ナノ粒子は、その表面を有機安定化剤で被覆された分散溶液として得られるので、ステップs11を省略して、その分散溶液をそのままステップs12の分散液として使用できる。 【0054】 また、ここで使用する絶縁体は、高分子材料、セラミック、ガラスまたはこれらの複合体のいずれでもよく、ステップs12における絶縁体材料の混入は、高分子材料を溶媒中に溶解させる方法でよい。 【0055】 また、本発明に係る配線基板の製造は、この他につぎの手順で行うとよい。 (s21)磁性ナノ粒子表面に絶縁体材料成分を被覆させて、溶媒中に分散させる。 (s22)該溶液を攪拌しながら溶媒を蒸発させて黒色の残留固形物を得る。 (s23)該残留固形物を圧縮成形し、加熱焼成することにより配線基板を得る。 【0056】 ここで使用する絶縁体材料は、セラミックまたはガラスからなるものが好ましく、ステップs21における絶縁体材料成分の被覆は、ゾルゲル法などによるとよい。 上記いずれの製造方法でも、図1に示す構成の配線基板を得ることができる。 本発明の配線基板は、ストリップ線路、マイクロストリップ線路、あるいはその他の回路のための基板として用いることができる。 【実施例】 【0057】 以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 (実施例1) 実施例1における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:アルコール還元法により合成した、オレイン酸被覆Fe3O4ナノ粒子のトルエン分散溶液を用いた。Fe3O4ナノ粒子の平均粒径は16nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の19%であった。 (ii)絶縁体材料:粉末状のポリテトラフルオロエチレン(平均粒径:25μm)を用いた。 【0058】 (2)配線基板の形成方法 Fe3O4ナノ粒子トルエン分散溶液中に、粉末状のポリテトラフルオロエチレンを混入した。ここで、Fe3O4ナノ粒子とポリテトラフルオロエチレンの体積比率は30:70とした。 次に、溶液を60℃に保ち、ホモジナイザーを用いて攪拌しながらトルエンを蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形することにより、配線基板を作製した。 【0059】 作製した配線基板について、比透磁率μrを測定した。その結果を図3に示す。 ブロッキング温度Tbは5℃付近であり、−10〜80℃の温度範囲では、比透磁率μrは10以上を示した。また、比誘電率εrは5以下の値を示した。 一方、比較例として、粉末状のポリテトラフルオロエチレンのみを用いて作製した配線基板は、μr=1、εr =2.1を示した。 【0060】 (3)伝送線路の形成方法 次いで、上記で得られたFe3O4ナノ粒子を含む配線基板に配線を埋め込み、上面下面にグラウンドを蒸着することによりストリップ線路を形成し(図4(a))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、−10〜80℃の温度範囲において、比較例の配線基板における特性インピーダンスZ0の2倍以上の値であった。したがって、式(1)より、実施例1の配線基板は、より低損失で信号伝送できることが確認された。 【0061】 なお、実施例1の配線基板の比透磁率μrは温度依存性があり、図3に見られるように温度によって異なる値を示した。 ここで、比透磁率μrの温度依存性を抑えるには、異なる粒子径、粒子径分布を有する複数のFe3O4ナノ粒子を適切な割合で混ぜ合わせるとよい。これを磁性ナノ粒子として使用した基板は、任意の温度範囲において、温度による比透磁率μrの変化を抑えることが可能となる。 【0062】 (実施例2) 実施例2における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:アルコール還元法により合成した、オレイン酸被覆Mn−Zn系フェライトナノ粒子のトルエン溶液を用いた。Mn−Zn系フェライトナノ粒子の平均粒径は10nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の29%であった。 (ii)絶縁体材料:粉末状のポリテトラフルオロエチレン(平均粒径:25μm)を用いた。 【0063】 (2)配線基板の形成方法 Mn−Zn系フェライトナノ粒子トルエン分散溶液中に粉末状のポリテトラフルオロエチレンを混入した。ここで、Mn−Zn系フェライトナノ粒子とポリテトラフルオロエチレンの体積比率は40:60とした。 次に、溶液を60℃に保ち、ホモジナイザーを用いて攪拌しながらトルエンを蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形することにより、配線基板を作製した。 【0064】 作製した配線基板について、比透磁率μrを測定した。その結果を図5に示す。 ブロッキング温度Tbは30℃付近であり、−10〜80℃の温度範囲では、比透磁率μrは10以上を示した。また、比誘電率εrは5以下の値を示した。 【0065】 (3)伝送線路の形成方法 次いで、上記で得られたMn−Zn系フェライトナノ粒子を含む配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、伝送線路の特性インピーダンスZ0は、−10〜80℃の温度範囲において、上記比較例の配線基板における特性インピーダンスZ0の2倍以上の値であった。したがって、式(1)より、実施例2の配線基板は、より低損失で信号伝送できることが確認された。 【0066】 (実施例3) 実施例3における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:熱分解法により合成した、オレイン酸被覆Fe50Co50ナノ粒子のトルエン分散溶液を用いた。Fe50Co50ナノ粒子の平均粒径は12nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の17%であった。 (ii)絶縁体材料:粉末状のポリテトラフルオロエチレン(平均粒径:25μm)を用いた。 【0067】 (2)配線基板の形成方法 Fe50Co50ナノ粒子トルエン分散溶液中に、粉末状のポリテトラフルオロエチレンを混入した。ここで、Fe50Co50ナノ粒子とポリテトラフルオロエチレンの体積比率は20:80とした。 次に、溶液を60℃に保ち、ホモジナイザーを用いて攪拌しながらトルエンを蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形することにより、配線基板を作製した。 【0068】 作製した配線基板について、比透磁率μrを測定した。その結果を図6に示す。 ブロッキング温度Tbは20℃付近であり、−10〜80℃の温度範囲では、比透磁率μrは40以上を示した。また、比誘電率εrは5以下の値を示した。 【0069】 (3)伝送線路の形成方法 次いで、上記で得られたFe50Co50ナノ粒子を含む配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、−10〜80℃の温度範囲において、上記比較例の配線基板における特性インピーダンスZ0の4倍以上の値であった。したがって、式(1)より、実施例3の配線基板は、より低損失で信号伝送できることが確認された。 【0070】 (実施例4) 実施例4における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:アルコール還元法により合成した、トリオクチルホスフィン被覆Coナノ粒子のトルエン分散溶液を用いた。Coナノ粒子の平均粒径は7.0nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の10%であった。 (ii)絶縁体材料:シリカガラスを用いた。 【0071】 (2)配線基板、伝送線路の形成方法 Coナノ粒子トルエン分散溶液にエタノールを加えた後、遠心分離によりCoナノ粒子の黒色沈殿を分離した。 ついで、この沈殿を、水とアミノプロピルトリエトキシシランの混合溶液中に混入し、攪拌し、この溶液にテトラエトキシシランを加えることにより、SiO2被覆Coナノ粒子の分散水溶液を得た。ここで、得られたSiO2被覆Coナノ粒子のSiO2被覆層は厚み約3nmであった。 次に、得られた分散溶液を、減圧下100℃に保ち、水を蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形し、窒素雰囲気下500℃で焼成することにより、配線基板を作製した。 作製された配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、低損失で信号伝送できることが確認された。 【0072】 (実施例5) 実施例5における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:アルコール還元法により合成した、オレイン酸被覆Fe3O4ナノ粒子のトルエン分散溶液を用いた。Fe3O4ナノ粒子の平均粒径は16nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の19%であった。 (ii)絶縁体材料:ポリスチレンを用いた。 【0073】 (2)配線基板、伝送線路の形成方法 Fe3O4ナノ粒子トルエン分散溶液に、ポリスチレンを混入、溶解させた。ここで、Fe3O4ナノ粒子とポリスチレンの体積比率は30:70とした。 次に、溶液を攪拌しながら、減圧下60℃に保ち、トルエンを蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形することにより、配線基板を作製した。 作製された配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、低損失で信号伝送できることが確認された。 【0074】 (実施例6) 実施例6における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:アルコール還元法により合成した、トリオクチルホスフィン被覆Coナノ粒子のトルエン分散溶液を用いた。Coナノ粒子の平均粒径は7.0nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の10%であった。 (ii)絶縁体材料:ポリテトラフルオロエチレンを用いた。 【0075】 (2)配線基板、伝送線路の形成方法 Coナノ粒子トルエン分散溶液に、ペルフルオロテトラデカン酸(=フルオロカーボン系界面活性剤)およびペルフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(フルオロカーボン系溶媒)を混入後、溶液を激しく攪拌した。 ついで、溶液を分液ロートに移し、トルエンを除去することにより、ペルフルオロテトラデカン酸被覆Coナノ粒子のペルフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン分散溶液を得た。 次に、得られた分散溶液中に、ポリテトラフルオロエチレンを混入、溶解させた。ここで、Coナノ粒子とポリテトラフルオロエチレンの体積比率は30:70とした。 その後、溶液を攪拌しながら、減圧下100℃に保ち、ペルフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフランを蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形することにより、配線基板を作製した。 作製された配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、低損失で信号伝送できることが確認された。 【0076】 (実施例7) 実施例7における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:スン(Sun)らによりScience, 2000, v. 287, p. 1989に記載された方法に従って合成した、オレイン酸およびオレイルアミン被覆FePtナノ粒子のヘキサン分散溶液を用いた。FePtナノ粒子の平均粒径は2.9nm、粒度分布の標準偏差は平均粒径の10%であった。 (ii)絶縁体材料:シリカガラスを用いた。 【0077】 (2)配線基板、伝送線路の形成方法 FePtナノ粒子ヘキサン分散溶液にエタノールを加えた後、遠心分離によりFePtナノ粒子の黒色沈殿を分離した。 ついで、この沈殿を、水とアミノプロピルトリエトキシシランの混合溶液中に混入し、攪拌し、この溶液にテトラエトキシシランを加えることにより、SiO2被覆FePtナノ粒子の分散水溶液を得た。ここで、得られたSiO2被覆FePtナノ粒子のSiO2被覆層は厚み約1nmであった。 次に、得られた分散溶液を、減圧下100℃に保ち、水を蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形し、窒素雰囲気下800℃で焼成することにより、配線基板を作製した。 作製された配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、低損失で信号伝送できることが確認された。 【0078】 (実施例8) 実施例8における、使用材料、配線基板の形成方法、伝送線路の形成方法を以下に示す。 (1)使用材料 (i)磁性ナノ粒子:アルコール還元法により合成した、オレイン酸被覆Coナノ粒子のトルエン分散溶液を用いた。Coナノ粒子の平均粒径は7.0nm、粒径分布の標準偏差は平均粒径の10%であった。 (ii)絶縁体材料:アルミナを用いた。 【0079】 (2)配線基板、伝送線路の形成方法 Coナノ粒子トルエン分散溶液にエタノールを加えた後、遠心分離によりCoナノ粒子の黒色沈殿を分離した。 ついで、この沈殿を、水とアミノプロピルトリエトキシシランの混合溶液中に混入し、攪拌し、この溶液にテトラプロポキシアルミニウムを加えることにより、アルミナ被覆Coナノ粒子の分散水溶液を得た。ここで、得られたアルミナ被覆Coナノ粒子のアルミナ被覆層は厚み約3nmであった。 次に、得られた分散溶液を、減圧下100℃に保ち、水を蒸発させて黒色の残留固形物を得た。 ついで、黒色の残留固形物を圧縮成形し、窒素雰囲気下500℃で焼成することにより、配線基板を作製した。 作製された配線基板に蒸着法によりマイクロストリップ線路を形成し(図4(b))、伝送線路の特性インピーダンスZ0を評価した結果、低損失で信号伝送できることが確認された。 【図面の簡単な説明】 【0080】 【図1】本発明に係る配線基板の実施の形態における構成を示す断面図である。 【図2】Coナノ粒子(粒径7nm)の比透磁率μrと温度Tとの関係図である。 【図3】実施例1の配線基板の比透磁率μrの温度依存性を示す図である。 【図4】伝送線路を形成した本発明の配線基板の断面図である。 【図5】実施例2の配線基板の比透磁率μrの温度依存性を示す図である。 【図6】実施例3の配線基板の比透磁率μrの温度依存性を示す図である。 【符号の説明】 【0081】 10…配線基板、11…磁性ナノ粒子、12…絶縁体
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002185 【氏名又は名称】ソニー株式会社 【識別番号】592259129 【氏名又は名称】高橋 研
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| 【出願日】 |
平成17年1月14日(2005.1.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090527 【弁理士】 【氏名又は名称】舘野 千惠子
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| 【公開番号】 |
特開2005−286306(P2005−286306A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月13日(2005.10.13) |
| 【出願番号】 |
特願2005−7887(P2005−7887) |
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