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【発明の名称】 多層フレキシブル回路基板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】赤 間 史 朗
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目12番15号 日本メクトロン株式会社内

【氏名】吉 村 良 一
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目12番15号 日本メクトロン株式会社内

【氏名】田 中 秀 明
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目12番15号 日本メクトロン株式会社内

【氏名】内 田 仁
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目12番15号 日本メクトロン株式会社内

【氏名】岡 野 高 治
【住所又は居所】東京都港区芝大門一丁目12番15号 日本メクトロン株式会社内

【要約】 【課題】バンプを用いて層間接続を行うケーブル付き多層FPCにおける層間絶縁樹脂の流れ出し防止のための障壁を簡単に形成する方法、および簡単に形成し得る構造の障壁を提供すること。

【解決手段】回路部分1と、この回路部分に接続されたケーブル部分2とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂Aを配することにより構成された多層構造である多層フレキシブル回路基板の製造方法において、前記多層フレキシブル回路基板における最外層導電層を構成する金属箔101上に、層間導電接続を行う導電突起B1および前記絶縁樹脂の流れ出しを防止する障壁Wを形成し、前記金属箔と前記絶縁樹脂とを積層して多層フレキシブル回路基板を形成するようにした方法、および障壁構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電突起による層間導電接続構造を有する多層フレキシブル回路基板の製造方法において、
フレキシブルなケーブル部分、およびこのケーブル部分が一体化された多層回路部分を有する内層回路基板を形成し、
前記内層回路基板に絶縁樹脂を介して積層される金属箔に、層間導電接続を行う導電突起および前記絶縁樹脂の流れ出しを防止する障壁を形成し、
前記金属箔および前記絶縁樹脂を前記内層回路基板に積層する
ことを特徴とする多層フレキシブル回路基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の多層フレキシブル回路基板の製造方法において、
前記障壁による前記絶縁樹脂の流れ出し防止が完了した後、
パターン形成のためのエッチング工程時に、前記障壁を同時にエッチング除去する
ことを特徴とする多層フレキシブル回路基板。
【請求項3】
回路部分と、この回路部分に接続されたケーブル部分とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂を配することにより構成された多層構造である多層フレキシブル回路基板において、
前記多層フレキシブル回路基板における最外層導電層を構成する金属箔上に設けられ、前記絶縁樹脂の流れ出しを防止する2列構成の障壁をそなえた
ことを特徴とする多層フレキシブル回路基板。
【請求項4】
回路部分と、この回路部分に接続されたケーブル部分とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂を配することにより構成された多層構造である多層フレキシブル回路基板において、
前記障壁は、前記絶縁樹脂が流れ得るように一部が開口している
ことを特徴とする多層フレキシブル回路基板。
【請求項5】
回路部分と、この回路部分に接続されたケーブル部分とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂を配することにより構成された多層構造である多層フレキシブル回路基板において、
前記金属箔における相互接続部分に、層間導電接続を行うための導電突起、この導電突起よりも大きな接続面積を有する前記導電突起に接続するための導電パッドが設けられた
ことを特徴とする多層フレキシブル回路基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回路部分およびこの回路部分に接続されたケーブル部分を有する多層フレキシブル回路基板およびその製造方法に係り、とくに導電突起により層間接続を行う多層フレキシブル回路基板(以下、多層FPCと略称する。)における層間絶縁用樹脂の流れ出し防止対策に関する。
【背景技術】
【0002】
多層回路基板は、金属箔で形成された所定数の導電層同士を層間絶縁樹脂により積層し形成する。そして、層間絶縁樹脂には、積層時にある程度流動して内層回路パターン間を埋め込んだ状態にする機能が求められている。
【0003】
このため、回路部分の内層を利用してケーブル部分を形成する多層FPCにおいて、最外層導電層と層間絶縁樹脂とを積層プレスによって積層する場合、層間絶縁樹脂に用いられる樹脂成分が流動し多層FPCの内層ケーブル部の上に流れ出す。
【0004】
図10は、この樹脂成分が流れ出した状態を示したものである。ケーブル付きの多層FPCは、内層多層基板1からケーブル2が引き出された構成となっている。そして、内層多層基板1の外層導電層10と多層FPCの最外層導電層11とを層間接続用突起12により接続し、導電層間を層間絶縁樹脂Aで充填している。この場合、層間絶縁樹脂Aがケーブル2を伝って流れ出し、内層多層基板1の端面からケーブル2に至る延び出し部分A’が形成される。
【0005】
図10における延び出し部分A’は、ケーブル2の屈曲による割れに起因する剥がれ、および仕上げ時の外観不良などの点で不具合である。
【0006】
層間絶縁樹脂Aの流れ出しを防止するため、特許文献1に示すような対策が提案されている。これは、基板相互間に介挿するシート接着剤の一部を熱硬化して壁を形成し、この壁により樹脂成分の流れ出しを抑えるものである。
【0007】
一方、回路基板の層間接続法として、特許文献2に示すように、接続しようとする2つの導電層の一方に設けた導電突起(バンプ)により接続するものがある。
【特許文献1】特開2002-141664号公報
【特許文献2】特開2001-326459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1記載の方法では、部分的に硬化させた樹脂自体を樹脂流出の防止壁として用いるため、放熱を伴う積層工程において、ある程度の樹脂の流動・流出は避けられない。特許文献1でも述べられているように、樹脂流出をさらに抑えるために、レジスト壁を追加することも示されているが、それだけ余分な工程が必要となりコスト的に不利である。
【0009】
また特許文献2では、導電突起により層間導通について説明しており、この方法によると、従来のNCドリル穴明けやレーザー穴明けを応用した方法に比較し、高密度な層間導通を低コストで行えるが、多層FPCにケーブル部上への絶縁樹脂の流れ出しに関する考慮はなされていない。
【0010】
本発明は、上述の点を考慮してなされたもので、バンプを用いて層間接続を行うケーブル付き多層FPCにおける層間絶縁樹脂の流れ出し防止のための障壁を簡単に形成する方法、および簡単に形成し得る構造の障壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的達成のため、本発明では、請求項1ないし5記載の発明を提供する。
【0012】
請求項1記載の発明は、導電突起による層間導電接続構造を有する多層フレキシブル回路基板の製造方法において、フレキシブルなケーブル部分、およびこのケーブル部分が一体化された多層回路部分を有する内層回路基板を形成し、前記内層回路基板に絶縁樹脂を介して積層される金属箔に、層間導電接続を行う導電突起および前記絶縁樹脂の流れ出しを防止する障壁を形成し、前記金属箔および前記絶縁樹脂を前記内層回路基板に積層することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の多層FPCの製造方法において、前記障壁による前記絶縁樹脂の流れ出し防止が完了した後、パターン形成のためのエッチング工程時に、前記障壁を同時にエッチング除去することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、回路部分と、この回路部分に接続されたケーブル部分とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂を配することにより構成された多層構造である多層FPCにおいて、前記多層FPCにおける最外層導電層を構成する金属箔上に設けられ、前記絶縁樹脂の流れ出しを防止する2列構成の障壁をそなえたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、回路部分と、この回路部分に接続されたケーブル部分とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂を配することにより構成された多層構造である多層FPCにおいて、前記障壁は、前記絶縁樹脂が流れ得るように一部が開口していることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、回路部分と、この回路部分に接続されたケーブル部分とを有し、前記回路部分は多層の金属箔間に絶縁樹脂を配することにより構成された多層構造である多層FPCにおいて、前記金属箔に、層間導電接続を行うための導電突起、この導電突起よりも大きな接続面積を有する前記導電突起に接続するための導電パッドを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上述のように構成したため、次のような効果を奏する。
【0018】
請求項1記載の発明によれば、ケーブル付き多層FPCにおける最外層導電層を構成する金属箔上に、層間導電接続を行う導電突起および前記絶縁樹脂の流れ出しを防止する障壁を形成したため、一工程で導電突起と障壁とを形成でき、特別な追加工程を必要とせず、簡単な工程で低コストに樹脂の流れ止め対策を施すことができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、絶縁樹脂の流動性がなくなった後、回路パターン形成のためのエッチングの際に併せて障壁を除去することにより、障壁のないケーブル付き多層FPCを提供することができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、障壁を2列構成にしたため、流れ止め効果をより確実なものとすることができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、障壁の一部が開口しているため、余った樹脂成分を障壁内に誘導することができ、障壁外への流れ出しを防止する効果が高められる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、導電突起と接合して電気的接続を行う導電パッドをより大きな接続面積を有するものとしたため、導電突起と導電パッドとの接続を確実に行うことができる。
【0023】
また、本発明による工程を繰り返すことにより、さらに層数を増したケーブル付き多層FPCを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1ないし図9を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明により構成されたケーブル付き多層FPCの縦断面図である。図1では、内層多層基板1におけるケーブル2と接続する端部に、外層導電層10b、FPCの最外層導電層11、およびこれら両者を接続する層間接続用突起12により障壁Wを形成している。
【0026】
この障壁Wは、基本的に層間絶縁樹脂Aのケーブル2の上への流れ出し防止を目的として設けられているが、導電性であるからグラウンド配線への接続に利用することができるとともに、FPCの強度向上に役立つものである。
【0027】
図2(a)ないし(h)は、図1に示したケーブル付きFPCの製造工程を示したものである。この工程では、図2(a)に示す3層構造の金属箔を用意する。この金属箔は、銅箔101、ニッケル箔102、銅箔103の3層により構成されている。銅およびニッケルを用いているのは、一方のみを選択的にエッチングするためである。そして、銅箔103は、後の工程でバンプを形成するために利用するものである。
【0028】
この3層構造の銅箔の両面に、フォトレジストを形成して露光・現像エッチングを施すことにより、銅箔103から図2(b)に示すようなバンプB1,B2を形成する。バンプB1は層間接続用であり、バンプB2は障壁用である。
【0029】
続いて図2(c)に示すように、ニッケル層102を選択的にエッチングして除去した上で、図2(d)に示すように層間絶縁接着シートAを真空ラミネートプレスする。層間絶縁接着シートAは、必要に応じて不要部分を予め刃型等で打ち抜き除去しておく。
【0030】
図2(e)ないし(h)は、このような処理がされて形成された、バンプおよび層間絶縁樹脂付きの銅箔を用いてケーブル付き多層FPCを製造する工程を示す。
【0031】
まず図2(e)の工程では、図2(d)までの工程による処理を経た銅箔を2枚用意し、内層FPC1の図示上下両面に、バンプB1,B2のある面を内層FPC1に対向させ、かつバンプB1,B2を内層FPC1のパッド10a,10bに位置合わせして当接し、これに続いて真空熱プレスおよびキュアを行う。
【0032】
この真空熱プレス時に、層間絶縁接着シートAが高温高圧により層間で流動状態になり、層間の空間を満たしていくが、障壁B2によりケーブル2に向かって流れることは防止される。図2(f)は、層間絶縁接着シートを真空熱プレスおよびキュアした後の状態を示している。
【0033】
続いて図2(g)に示すように、感光性レジストの形成、露光、現像、エッチングを行い、銅箔101における不要部分をエッチングにより除去する。これにより、ケーブル付きの多層FPCが形成される。
【0034】
次いで、図2(h)に示すように、ソルダーレジストRを形成してニッケルメッキ、金メッキ等による必要な表面処理層Gを形成した後、外形加工処理を行って製品となる。また、図2に示す障壁B2は、樹脂が流動性を有するときに必要とされるが、流れ止めを要しなくなった段階では、除去してもよい。
【0035】
図3は、図2の工程(f)までで形成した障壁B2を、回路パターンのエッチングの際に同時にエッチングにより除去した後の状態を示している。
【0036】
障壁B2をエッチングにより除去するには、図2に示した工程(f)の後、障壁B2の上にエッチングレジストを形成せずにエッチング液に対して露出しておく。これにより、回路パターンをエッチングするエッチング液の作用で、障壁B2も同時に除去される。
【0037】
図4は、図3に示した工程(g’)における回路パターンのエッチングと、障壁Wのエッチング除去とを同時に行い、次いでソルダーレジストRを形成し、さらに必要な表面処理部Gを加えた後、外形打抜きを行った状態を示している。これにより、図4(h’)に示す断面構造を持ったケーブル付きフレキシブル回路基板ができ上がる。他の工程(a)ないし(f)は、図2と同様であり、図示を省略している。
【0038】
図5は、図4(h’)におけるソルダーレジストRの形成範囲を、障壁Wの位置の手前まで、つまり層間絶縁接着シートAの上部までで止めた例を、工程(h’’)として示している。
【0039】
図6は、図2(e)の工程でラミネートされる3つの要素、つまり多層FPC1、銅箔101および層間絶縁接着シートAをそれぞれ平面状態で示したものである。
【0040】
銅箔101は、中央部に樹脂の流れ出し防止用の障壁B2が形成され、かつその近傍に層間接続用のバンプB1が形成されている。そして、多層FPC1は、左右が回路部分であって中央部にケーブル2の露出部があり、この露出部近傍にバンプB1の受けパッドP2が形成されている。層間絶縁樹脂シートAは、ケーブル露出部近傍が切り抜かれている。
【0041】
図7ないし図9は、銅箔101上におけるバンプの例を、B21ないしB26として示している。図7(a)は、基本的な形状を示しており、層間接続用のバンプB1の中間位置に、一重の樹脂流れ止め用の障壁となる連続形状の枠型のバンプB21を設けている。図7(b)では二重のバンプB22が示されており、図8(a)では不連続で一重形状のバンプB23が示され、図8(b)では不連続で二重形状のバンプB24が示されている。この不連続のバンプは、樹脂の粘性を利用して流れ止めをするものである。
【0042】
また、図9(a)では、二重形状で一方が連続、他方が不連続に形成されたバンプB25が示されている。そして、図9(b)では、連続形状のバンプの両側に開口を有する連続形状のバンプを組み合わせたバンプB26が示されている。この開口に連なるケーブル両側の部分は、流れ出た樹脂を収容する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明により製造したケーブル付き多層FPCの構成を示す側断面図。
【図2】図2(a)ないし(h)は、図1に示した回路基板の製造工程を示す側断面図。
【図3】図2(f)に示した回路基板から外層回路をエッチングにより形成する際、障壁B2も同時にエッチングにより除去して形成したケーブル付き多層FPCの構成を示す即断面図。
【図4】図3に示した回路基板にソルダーレジストを形成した状態を示す側断面図。
【図5】図3に示した回路基板にソルダーレジストを形成した状態の他の例を示す側断面図。
【図6】図1に示した回路基板に用いる銅箔、層間絶縁接着シートおよび内層多層基板の平面図。
【図7】本発明で用いる銅箔の構成例を示す平面図で、図7(a)は一重の連続型の流れ防止枠を有するものを示し、図7(b)は二重のものを示す。
【図8】本発明で用いる銅箔の構成例を示す平面図で、図8(a)は一重の不連続型の流れ防止枠を有するものを示し、図8(b)は二重のものを示す。
【図9】本発明で用いる銅箔の構成例を示す平面図で、図9(a)は連続型と不連続型の組み合わせによる流れ防止枠を有するものを示し、図9(b)は開口付き流れ防止枠を示す。
【図10】従来のケーブル付き多層FPCの側断面図。
【符号の説明】
【0044】
1 内層多層回路基板、2 ケーブル、10 パッド、11 最外層導電層、
12 層間接続用突起、101 銅箔、102 ニッケル層、103 銅箔。
A 層間絶縁接着シート、B バンプ、P パッド、W 障壁。
【出願人】 【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝大門1丁目12番15号
【出願日】 平成17年1月18日(2005.1.18)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100077609
【弁理士】
【氏名又は名称】玉真 正美

【識別番号】100088889
【弁理士】
【氏名又は名称】橘谷 英俊

【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和

【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘

【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康

【公開番号】 特開2005−277387(P2005−277387A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2005−10654(P2005−10654)