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【発明の名称】 電磁波吸収体
【発明者】 【氏名】平田 元之
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区扇町5番1号 昭和電工株式会社研究開発センター(川崎)内

【氏名】宇都宮 正英
【住所又は居所】埼玉県秩父市下影森1505番地 昭和電工株式会社電子材料事業部内

【要約】 【課題】実質的にハロゲンを含まず柔軟性、耐薬品性、強度に優れた電磁波吸収材を提供する。

【解決手段】(A)1分子中に少なくとも1個以上のカルボキシル基またはその誘導体を有する化合物及び(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ化合物及び(C)軟磁性粉を含むことを特徴とする組成物を加熱架橋させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物及び(C)軟磁性粉を含むことを特徴とする電磁波吸収材料組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁波吸収材料組成物から(C)軟磁性粉を除いた成分100質量部に対し、(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物を25〜99質量部、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を1〜50質量部含むことを特徴とする電磁波吸収材料組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の電磁波吸収材料から(C)軟磁性粉を除いた成分100質量部に対し、(C)軟磁性粉を200〜900質量部含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波吸収材料組成物。
【請求項4】
(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物がゴム状高分子である請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収材料組成物。
【請求項5】
(C)軟磁性粉がアモルファス金属、軟磁性金属またはフェライト化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波吸収材料組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の電磁波吸収材料組成物を架橋反応させて得られた電磁波吸収体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の電磁波吸収材料組成物を架橋反応させて得られた電磁波吸収シート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波吸収材料に関し、特に、電子機器等に好適に使用可能な電磁波吸収材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの進展により、電子機器の小型化、高周波数化が年々進歩しつつある。このような電子機器の小型化、高周波数化に伴って、それらの構造的な要因に基づき、電磁干渉、電磁妨害等の問題が年々深刻になりつつあるため、それらへの有効な対策が強く望まれている。
【0003】
上記問題への対策の一つとして、電磁波吸収体の利用が考えられている。電磁波吸収体は、通常は柔軟性を有するシート形状で製造され、電磁波放射源に貼り付ける、巻きつける等の方法で、電磁波によるノイズを減少させている。このため、電磁波吸収体は、通常、電磁波吸収シート、ノイズ抑制シート等と称されている。
【0004】
このような電磁波吸収体として塩素化ポリエチレンに軟磁性粉を混合したもの(特許文献1)が知られているが、その廃棄焼却時にハロゲン系ガスを発生するという問題がある。またハロゲンを含まないゴムとしてNBRやEPRをベースポリマーとして用いた電磁波吸収体も知られている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、これらいずれの電磁波吸収体においても、構成ポリマーに加硫する際に用いられる加硫剤により適用対象物(電子機器等)が汚染されたり、電磁波吸収体を構成する軟磁性粉に悪影響を与えたりする傾向がある。このため、上記した電磁波吸収体は加硫せずに用いられている。このため従来の電磁波吸収体においては種々の問題が総じており、例えば、強度が不充分であったり、耐薬品性に劣ったり、ブロッキングの問題を生じたり、耐熱性に劣ったりする傾向がある。
【0006】
また、シリコーンゴムを用いた電磁波吸収体(特許文献3)も提案されているが、該シリコーンゴム中の不純物が、適用対象たる電子機器等へ悪影響を与える場合がある。
【0007】
【特許文献1】特開2001−028491号公報
【特許文献2】特開2001−200117号公報
【特許文献3】特開2001−119189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術における問題を解消することが可能な電磁波吸収体を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、充分な電磁波吸収特性、柔軟性を有し、強度や耐薬品性に優れ、かつ、耐熱性が良好な電磁波吸収体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物と多官能エポキシ化合物を用い、これに軟磁性粉を添加した組成物を加熱硬化させることで、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、例えば下記[1]〜[8]に関する。
【0012】
[1] (A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物及び(C)軟磁性粉を含むことを特徴とする電磁波吸収材料組成物。
【0013】
[2] [1]に記載の電磁波吸収材料組成物から(C)軟磁性粉を除いた成分100質量部に対し、(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物を25〜99質量部、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を1〜50質量部含むことを特徴とする電磁波吸収材料組成物。
【0014】
[3] [1]に記載の電磁波吸収材料から(C)軟磁性粉を除いた成分100質量部に対し、(C)軟磁性粉を200〜900質量部(好ましくは300〜900質量部)含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の電磁波吸収材料組成物。
【0015】
[4] (A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物がゴム状高分子である[1]〜[3]のいずれかに記載の電磁波吸収材料組成物。
[5] (A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物がゴム状高分子である[1]〜[4]のいずれかに記載の電磁波吸収材料組成物。
【0016】
[6](C)軟磁性粉がアモルファス金属、軟磁性金属またはフェライト化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の電磁波吸収材料組成物。
【0017】
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の電磁波吸収材料組成物を架橋反応させて得られた電磁波吸収体。
【0018】
[8] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の電磁波吸収材料組成物を架橋反応させて得られた電磁波吸収シート。
【発明の効果】
【0019】
上述したように本発明によれば、好ましくは実質的にハロゲンを含まず(より好ましくはハロゲン原子が0.2質量%以下であり)柔軟性、耐薬品性、強度に優れた電磁波吸収体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
【0021】
(電磁波吸収体)
【0022】
本発明の電磁波吸収材料組成物は、(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物及び(C)軟磁性粉を含む組成物である。
【0023】
本発明の電磁波吸収体は、例えば(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物、(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物及び(C)軟磁性粉を含む組成物を加熱硬化することにより得ることができる。
【0024】
((A)成分)
(A)成分の1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物としては、ある程度以上の分子量を有している高分子化合物が望ましい。分子量としては重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)として1万、好ましくは2万以上、より好ましくは5万以上である。但し、あまり高分子量でも軟磁性粉を配合しにくくなるため、重量平均分子量として100万以下、より好ましくは50万以下であることが望ましい。
【0025】
また、(A)成分はゴム状高分子化合物であることが好ましい。この場合、得られた電磁波吸収体は適度な柔軟性を有するため、種々の形状の電磁波発生源に密着して装着することが可能となる。ここに、「ゴム状高分子化合物」とは、常温でいわゆるゴム状弾性を示す高分子化合物を言う(Tgが0℃以下のものが好ましい。ここで、TgはDSCで測定したものである(JIS K7121))。
【0026】
(A)成分の化合物としては、少なくとも1個の二重結合を有する一塩基カルボン酸またはそのエステル(例えばアクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル)の単独重合物及び他のモノマーとの共重合物やその水添物、少なくとも1個の二重結合を有する二塩基酸(例えばマレイン酸)ならびにそのその酸無水物(例えば無水マレイン酸、無水ハイミック酸)と他のモノマーの共重合物、ポリカルボン酸とポリオールを反応させたもの、エポキシ化合物に多価カルボン酸を付加させたもの、水酸基を有する化合物に酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。
【0027】
共重合可能な他のモノマーとしてはエチルアクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレートの様なメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等のエチレン性不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。
【0028】
(A)成分化合物の具体例としては酸変性エチレンアクリルゴムであるベイマックG,ベイマックGLS、ベイマックHVG(三井・デュポンポリケミカル(株)製)やアクリロニトリル・ブタジエン・メタクリル酸共重合体であるニポール1072、ニポール1072J、ニポールDN631(日本ゼオン(株)製)やその水添物、2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いることができる。
【0029】
((B)成分)
本発明に用いる(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物は、上記した(A)成分との反応性を有する限り特に制限されない。ハンドリングのしやすさ、入手の容易性の点からは、この(B)成分として、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、ポリサルファイド型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロサイクリックエポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、及びテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、エチレン・グリシジルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体であるボンドファースト2B、7B(住友化学(株)製)や難燃性も有する燐を含んだエポキシ樹脂であるエピクロン(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して用いることができる。
【0030】
(カルボキシル基を持たないゴム成分)
本発明の電磁波吸収材料組成物には必要に応じてカルボキシル基を持たないゴム成分としてNBR、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレン、EPR,EPDM、ウレタンゴム、オレフィン系、スチレン系等の熱可塑性エラストマー等のカルボキシル基を持たないゴムやエポキシ化合物として1分子中に1個のエポキシ基を持つエポキシ化合物を用いることができる。これらのカルボキシル基を持たないゴム成分および/又は1分子中に1個のエポキシ基を持つエポキシ化合物の量は、本発明の組成物の特性を実質的に阻害しない限り特に制限されないが、強度、耐熱性の点からは、上記した(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して、カルボキシル基を持たないゴム成分および/又は1分子中に1個のエポキシ基を持つエポキシ化合物を、それらの合計量で、15質量部以下(更には10質量部以下)の量で用いることが好ましい。
【0031】
(組成)
本発明の(A)1分子中に2個以上の、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物の量は、電磁波吸収材料組成物の全重量から(C)軟磁性粉の重量を差し引いた重量を100質量部とし、それに対し、25〜99質量部が好ましい。25質量部未満では引張強度、耐薬品性が不充分となる傾向が生じ易くなる。また、99質量部を超えても引張強度、耐薬品性が低下する傾向が生じ易くなる。
【0032】
本発明の(B)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物の量は、電磁波吸収材料組成物の全重量から(C)軟磁性粉の重量を差し引いた重量を100質量部とし、それに対し、50〜1質量部が好ましい。50質量部を超えると柔軟性が失われる傾向が生じ易くなる。1質量部未満では架橋密度が低下するため、引張強度、耐薬品性が不充分となる傾向が生じ易くなる。
【0033】
((C)軟磁性粉)
本発明において、「軟磁性粉」とは、強磁性材料であり、高透磁率、低保磁力のものの粉を言う。本発明に用いる(C)軟磁性粉は、高周波域で優れた透磁率を有することが好ましく、1MHz〜10GHzの高周波域において、透磁率の最大値が50以上であることがより好ましい。このような透磁率は各種導波管において測定することができる。より具体的には例えば、この軟磁性粉としては、パーマロイ、センダスト、Fe−Si、Fe−Si−Cr、カーボニル鉄、またFe−Si−B系をはじめとするアモルファス軟磁性金属等を用いることができる。また、酸化物系のフェライトすなわちMn−Znフェライト、Ni−Znフェライト等が使用できるが、特に上記例に限定されず、幅広く軟磁性粉を使用できる。
【0034】
軟磁性粉の形状は、特に制限されないが球状、粒状、偏平状の粉末が使用できる。これら軟磁性粉は単独または2種以上混合して用いることができる。
【0035】
軟磁性粉の粒度は特に制限されないが、レーザー回折式粒度分布測定機で平均粒度D50=1〜500μm、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは、10〜80μmの粒度のものが使用できる。なお、D50は質量基準のメジアン径を示す。
【0036】
また、偏平状の粉末が使用される場合、走査型電子顕微鏡で測定した軟磁性粉末の平均厚さtは0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、更に望ましくは0.1〜2μmのものが使用できる。また、レーザー回折式粒度分布測定機での平均粒度D50と走査型電子顕微鏡で測定した粉末の平均厚さtから算出した平均アスペクト比=D50/tは、1〜1000、好ましくは5〜200、更に好ましくは10〜100のものが使用できるが、特に上記例に限定されない。
【0037】
本発明の組成物中の(C)軟磁性粉の量は、電磁波吸収材料組成物の全重量から(C)軟磁性粉の重量を差し引いた重量を100質量部とし、それに対し、100重量部あたり200〜900質量部(更には300〜900質量部)が好ましい。この軟磁性粉の量が200質量部未満では電磁波吸収特性が不充分となり、900質量部を超えると柔軟性が失われる傾向が生じ易くなる。
【0038】
(添加剤)
本発明の組成物には必要に応じて、酸化防止剤、老化防止剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、硬化剤、溶剤等を添加することができる。これらの添加剤の量は、本発明の組成物の特性を実質的に阻害しない限り特に制限されないが、難燃剤は臭素を含まないものが好ましく、燐を含んだ化合物であるポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンなどや熱膨張性黒鉛、金属水和物などを用いることができる
【0039】
(触媒)
本発明の電磁波吸収材料組成物を硬化させる際には、必要に応じて、各種の触媒を使用することができる。ハンドリング、均一な反応の点からは、この触媒は、熱硬化触媒であることが好ましい。
【0040】
(熱硬化触媒(E))
本発明においては、電磁波吸収材料組成物を硬化させることが可能である限り、使用すべき熱硬化触媒(E)は特に制限されない。本発明においては、熱硬化触媒(E)としては、第一アミン、第二アミン、第三アミン等のアミン類、該アミン類の塩化物等のアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、環状脂肪族酸無水物、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物等の酸無水物類、ポリアミド類、イミダゾール、トリアジン化合物等の窒素含有複素環化合物類、有機金属化合物等が好適に使用可能である。これらの触媒は単独で用いてもよく、必要に応じて2種類以上組み合わせた混合物として用いてもよい。
【0041】
(製造方法)
本発明の電磁波吸収材料組成物の製造方法は特に制限されない。例えば、該組成物を構成する各成分を混合して、本発明の電磁波吸収材料組成物を製造するに際しては、ニーダー、ミキシングロール、インテンシブミキサー等の混練機を用いても良く、また溶剤に溶解、分散させても良い。
【0042】
(成形方法)
本発明の電磁波吸収材料組成物の加工・成形方法は特に制限されない。本発明の電磁波吸収材料組成物を所望の形状に加工するには、ロール、押出成形、プレス成形、射出成形等の成形方法あるいは溶剤に溶解、分散させた電磁波吸収材料組成物を塗布乾燥させる等の方法を使用することができる。必要に応じて、これらの成形法を組み合わせても良い。
【0043】
また、成形後の電磁波吸収材料組成物を架橋させるには、組成物を加熱炉に入れる、ないしは熱プレスで加圧しながら硬化させる等の任意の方法を採用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
【0045】
<実施例1>
表1に示す配合にて、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物(A)としてベイマックG(三井・デュポンポリケミカル社製):97g、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)としてフレップ60(東レ・ファインケミカル社製):3g、硬化剤として2−アミノイミダゾール イソシアヌル酸付加物であるキュアゾール2MA−OK(四国化成(株)):0.15gをトルエン400gに溶解し、これに軟磁性粉(C)として平均粒度D50=20μm、平均厚さ1μm、平均アスペクト比=20のセンダスト扁平粉を700g添加、攪拌、混合し電磁波吸収材料組成物のトルエン分散/溶液を得た。
【0046】
この電磁波吸収材料組成物分散/溶液をシリコーンコートPETフイルム(フィルム部分の厚さ25μm;三菱ポリエステル(株)社製、商品名:MRF25)のシリコーンコート面に塗布し80℃で7分乾燥させた後、シリコーンコートPETフイルムから剥離し、表1の組成の電磁波吸収材料組成物を得た。
【0047】
この電磁波吸収材料組成物を熱プレス(圧力:5MPa)中で150℃、1時間架橋させ、厚さ100μmのシート状の電磁波吸収体サンプルを得た。
【0048】
<比較例1>
実施例1のベイマックGの代わりにカルボキシル基を有しないベイマックD(三井・デュポンポリケミカル社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波吸収体サンプルを得た。ここで用いた配合は、下記の表1に示した。
【0049】
<比較例2>
エポキシ化合物、硬化剤を用いなかった以外は、実施例1と同様にして電磁波吸収材料組成物を得た。これを常温(加熱架橋しない)でプレス(圧力:5MPa)し、厚さ100μmのフィルム状の電磁波吸収体サンプルを得た。
【0050】
<実施例2、比較例3〜4>
表1の組成の電磁波吸収材料組成物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、それぞれの電磁波吸収体サンプルを得た。
【0051】
<実施例3〜8>
表3に示す組成にて、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物(A)としてベイマックG(三井・デュポンポリケミカル社製)および/またはニポール1072J(日本ゼオン(株)製)、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物(B)としてフレップ60(東レ・ファインケミカル社製)および/またはEPICLON 850S(大日本インキ化学工業社製)、硬化剤としてジアミノイミダゾール イソシアヌル酸付加物であるキュアゾール2MA−OK(四国化成(株))、難燃剤として、水酸化アルミニウム(ハイジライトH−43STE、昭和電工(株))、ポリ燐酸アンモニウム(エキソリットAP422、クラリアントジャパン社製)、熱膨張性黒鉛(微粉TEG、住金エアー・ウオーターケム社製)、軟磁性粉(C)として平均粒度D50=20μm、平均厚さ1μm、平均アスペクト比=20のセンダスト扁平粉を用いて、実施例1と同様にして、それぞれの厚さ100μmのシート状の電磁波吸収体サンプルを得た。
【0052】
<比較例5〜6>
表3に示す組成の電磁波吸収材料組成物を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、それぞれの厚さ100μmのシート状の電磁波吸収体サンプルを得た。
【0053】
<電磁波吸収体の評価>
サンプルの物性を以下のように評価、試験した。
【0054】
(1)電磁波吸収率
ネットワークアナライザ(ヒューレッドパッカード社製HP8510)に接続された特性インピーダンス50Ωのマイクロストリップライン直上に、50mm×50mm×0.1mm厚とした電磁波吸収体シートを乗せ、Sパラメーターの透過損失S21から、電磁波吸収率を評価した。上記方法で測定した3GHzにおける各試料のS21の値を表2および表4に示す。
【0055】
(2)柔軟性
厚さ100μmの試料を180度に折り曲げた(すなわち、ヘアピンのように折り曲げた)際の、折り曲げ部近傍における割れ、クラックの有無を目視で観察し、以下のように判定した。
【0056】
○:クラック発生せず。
×:割れ、長さ500μm以上のクラック発生
【0057】
(3)耐薬品性
厚さ100μmのサンプルを室温でトルエンに18時間浸漬し、サンプル表面を観察し、該表面の溶解の有無を判定した。すなわち、サンプル表面に凹凸が生じたり、トルエン中に粉が出て来ていないか観察し、判定した。
【0058】
(4)引張強度
厚さ100μm、幅15mm、長さ120mmのサンプルを、23℃の恒温室で引っ張り試験機(東洋ボールドウィン製:テンシロンUTM−III 500型)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離100mmの条件で引張り破断強度を測定した。結果を表2および表4に示す。
【0059】
【表1】


【0060】
【表2】


【0061】
【表3】


【0062】
【表4】


【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝大門1丁目13番9号
【出願日】 平成16年8月17日(2004.8.17)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬

【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次

【識別番号】100089901
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 一男

【識別番号】100082898
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 雅也

【公開番号】 特開2005−252221(P2005−252221A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−237356(P2004−237356)