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【発明の名称】 挿入実装電子部品の半田接合方法及び電力変換装置の製造方法
【発明者】 【氏名】井上 哲志
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】坂本 善次
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】鈴木 伊知郎
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】大城 大
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】良好な半田形状を形成し得る挿入実装電子部品の半田接合方法及び、この半田接合方法を利用した電気的信頼性が高い電力変換装置の製造方法を提供すること。

【解決手段】制御端子160を有する半導体モジュール10と冷却チューブ20とを交互に積層してなる半導体積層ユニット2と、制御端子160を挿入して半田接合するためのスルーホール部400を有する制御基板40とを有する電力変換装置を製造する方法に関する。制御端子160の軸方向において半田材料との濡れ性が良好な半田制御層を外表面に有する制御部52bを形成する制御部形成工程と、半導体積層ユニット2を作製するユニット作製工程と、半導体積層ユニット2を配置する部品配置工程と、スルーホール部400に制御端子160を半田接合する接合工程とを実施する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板のスルーホール部に挿入した挿入実装電子部品の外部端子であるリードを、鉛フリー半田を用いて半田接合する挿入実装電子部品の半田接合方法において、
上記リードの軸方向において、上記挿入実装部品の本体側に位置した付け根部と隣接して、該付け根部の外表面よりも上記鉛フリー半田との濡れ性が良好な半田制御層を外表面に有する制御部を形成する制御部形成工程と、
上記プリント配線基板の実装面を基準にして、上記制御部が軸方向に所定長さだけ突出するよう、上記スルーホール部に上記リードを挿入して上記挿入実装電子部品を配置する部品配置工程と、
該部品配置工程の後、上記実装面の裏面である半田接合面側から上記鉛フリー半田を供給して、上記リードを上記スルーホール部に半田接合する接合工程とを実施することを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項2】
請求項1において、上記部品配置工程において、上記実装面を基準として上記制御部が軸方向に突出する上記所定長さは、0mmを超えて2mm以下であることを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面にニッケル−リンメッキ被膜よりなるNi−Pメッキ層を設けてなり、上記半田制御層は、上記Ni−Pメッキ層の表面に配設した半田メッキ被膜よりなることを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項4】
請求項1又は2において、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面に上記リードをなす金属材料の素地を露出しており、上記半田制御層は、上記リードをなす金属材料の素地の表面に配設したNi−Pメッキ被膜よりなることを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、上記プリント配線基板に配置した上記挿入実装電子部品において、上記半田接合面から突出する上記制御部の軸方向の突出長さが、0mmを超えて2mm以下となるように、上記リードの先端部を除いて上記制御部を形成することを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項6】
外部端子としてリードを有する平板状の半導体モジュールと扁平管形状の冷却チューブとを交互に積層してなる半導体積層ユニットと、上記リードを挿入して半田接合するためのスルーホール部を有するプリント配線基板とを有する電力変換装置の製造方法において、
上記リードの軸方向において、上記半導体モジュールの本体側に位置した付け根部と隣接して、該付け根部の外表面よりも半田材料との濡れ性が良好な半田制御層を外表面に有する制御部を形成する制御部形成工程と、
上記冷却チューブと、該冷却チューブの長手方向と上記リードの軸方向とが略直交するように配置した上記半導体モジュールとを交互に積層することにより、隣り合う上記冷却チューブの間から上記リードが突出している上記半導体積層ユニットを作製するユニット作製工程と、
上記プリント配線基板の実装面を基準にして、上記制御部が軸方向に所定長さだけ突出するよう、上記スルーホール部に上記リードを挿入して上記半導体積層ユニットを配置する部品配置工程と、
上記実装面の裏面である半田接合面側から上記半田材料を供給して、上記スルーホール部に上記リードを半田接合する接合工程とを実施することを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、上記半導体モジュールは、電力用半導体素子を収容してなり、上記リードは、上記電力用半導体素子の動作を制御する制御端子であることを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、上記半田材料は、鉛フリー半田であることを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項において、上記部品配置工程において、上記実装面を基準として上記制御部が軸方向に突出する上記所定長さは、0mmを超えて2mm以下であることを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項において、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面にニッケル−リンメッキ被膜よりなるNi−Pメッキ層を設けてなり、上記半田制御層は、上記Ni−Pメッキ層の表面に配設した上記半田材料よりなる半田メッキ被膜であることを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項11】
請求項6〜9のいずれか1項において、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面に上記リードをなす金属材料の素地を露出しており、上記半田制御層は、上記リードをなす金属材料の素地の表面に配設したNi−P被膜であることを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれか1項において、上記プリント配線基板に配置した上記半導体積層ユニットにおいて、上記半田接合面から突出する上記制御部の軸方向の突出長さが、0mmを超えて2mm以下となるように、上記リードの先端部を除いて上記制御部を形成することを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入実装電子部品の半田接合方法及び、この半田接合方法を利用した電力変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリント配線基板にスルーホールを穿孔しておき、このスルーホールにリードを挿入して半田接合を行う電子部品の実装方法がある。この実装方法では、例えば、鉛−スズ共晶半田等の共晶半田を用いて、リードをスルーホールに半田接合する場合がある。しかし、この鉛−スズ共晶半田は、含有する鉛が自然環境に対して影響を及ぼすおそれがある。そこで、鉛を含有しない、例えばSn−Ag系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系等のSn基鉛フリー半田などの鉛フリー半田への代替が、社会的に強く要請されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、DC−DCコンバータ回路やインバータ回路等の電力変換回路は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である交流モータに通電する駆動電流を生成するのに用いられることがある。一般に、電気自動車やハイブリッド自動車等では、交流モータを駆動する電流が非常に大きいため、複数の電力用半導体素子を並列使用した電力変換回路を用いることがある。
そこで、例えば、電力変換回路を構成する各電力用半導体素子を均一性高く冷却できるように、冷却用媒体(冷媒)の供給及び排出を担う一対のヘッダ間に多数の扁平冷却チューブを配置し、該扁平冷却チューブの間に電力用半導体素子を挟持した冷却チューブ並列型の電力変換装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−66783号公報
【特許文献2】特開2002−26215号公報
【0005】
しかしながら、上記従来の鉛フリー半田の半田接合では、次のような問題がある。すなわち、いわゆる鉛フリー半田は、上記共晶半田と比べて、半田付けに要する熱量が大きく、その熱量制御には高精度が要求されるため、良好な接合状態を得るのが容易でないという問題がある。例えば、半田付けするときの熱量が不足すると、上記スルーホール内において溶融半田が十分に回り込まないおそれがあり、熱量が過大であると、上記スルーホールから外部への溶融半田の落ち込みが生じ、スルーホール内の半田の量が不足するおそれがある。
【0006】
特に、積層構造を呈する電力変換装置について、上記各電力用半導体素子が有するリードを、プリント配線基板のスルーホールに挿入して半田接合するに当たっては、上記の問題がさらに顕在化するおそれがある。上記積層構造の電力変換装置では、その積層方向の寸法精度を高く実現することが困難であるため、その寸法誤差を吸収すべく上記リードの断面形状に対して上記プリント配線基板のスルーホールの内径を大きくする場合があるからである。
【0007】
それ故、上記積層構造の電力変換装置のリードを、プリント配線基板のスルーホールに半田接合する場合には、従来の上記共晶半田を利用しても、上記スルーホール内において良好な半田形状を実現するのが容易でない。ましてや、上記共晶半田と比べて熱量制御が難しい上記鉛フリー半田を用いる場合には、この問題がさらに顕在化するおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、良好な半田形状を形成し得る挿入実装電子部品の半田接合方法及び、この半田接合方法を利用した電気的信頼性が高い電力変換装置の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、プリント配線板のスルーホール部に挿入した挿入実装電子部品の外部端子であるリードを、鉛フリー半田を用いて半田接合する挿入実装電子部品の半田接合方法において、
上記リードの軸方向において、上記挿入実装部品の本体側に位置した付け根部と隣接して、該付け根部の外表面よりも上記鉛フリー半田との濡れ性が良好な半田制御層を外表面に有する制御部を形成する制御部形成工程と、
上記プリント配線基板の実装面を基準にして、上記制御部が軸方向に所定長さだけ突出するよう、上記スルーホール部に上記リードを挿入して上記挿入実装電子部品を配置する部品配置工程と、
該部品配置工程の後、上記実装面の裏面である半田接合面側から上記鉛フリー半田を供給して、上記リードを上記スルーホール部に半田接合する接合工程とを実施することを特徴とする挿入実装電子部品の半田接合方法にある(請求項1)。
【0010】
上記第1の発明の挿入実装電子部品の半田接合方法では、上記制御部形成工程において、少なくとも上記付け根部を残して、上記リードの外表面に上記鉛フリー半田との濡れ性が良好な半田制御層を設けた上記制御部を形成する。
そのため、後工程である上記接合工程では、供給した上記鉛フリー半田が、上記制御部を超えて上記付け根部を浸食するように流動するおそれを抑制できる。また、上記鉛フリー半田が、上記制御部の中途で流動を停止し、滞留するおそれを少なくできる。
【0011】
すなわち、上記半田接合方法では、上記制御部により上記鉛フリー半田の流動制御を積極的に行っている。それ故、上記接合工程において上記鉛フリー半田に与える熱量を大きめに設定しても上記制御部を超えて流動するおそれが少なく、さらに、熱量を大きくすることで、上記制御部の途中での滞留を未然に回避することができる。
このように、上記制御部を設けた上記リードを半田接合する際には、上記鉛フリー半田に供給する熱量の調整範囲を拡大して、その熱量制御を容易にすることができる。
【0012】
加えて、上記部品配置工程では、上記実装面を基準として上記制御部が所定長さだけ突出するように上記挿入実装電子部品を上記プリント配線基板に配置する。
そのため、上記接合工程では、上記半田接合面側から流動してくる上記鉛フリー半田が、上記実装面の手前で流動を停止し、上記スルーホール部の途中で滞留するおそれが少ない。さらにまた、上記実装面側に流動してきた上記鉛フリー半田が、上記実装面を大きく超えて上記付け根部に向けて浸食するおそれも少ない。
それ故、上記半田接合方法によれば、上記実装面において、上記所定長さと略一致した形成高さを呈する高品質の半田形状を実現し得るのである。
【0013】
したがって、上記第1の発明の挿入実装電子部品の半田接合方法によれば、接合信頼性が高い半田接合を実現することができる。
なお、上記プリント配線基板の表面のうちの上記実装面は、上記挿入実装電子部品を配置する側の表面をいい、上記半田接合面は、その裏面に当たる半田を供給する側の面である。但し、上記プリント配線基板の両面に、上記挿入実装電子部品を配置する場合には、上記実装面及び上記半田接合面は、個々の上記挿入実装電子部品について規定できる。すなわち、ある挿入実装電子部品に着目すると、この挿入実装電子部品を配置する側の表面が上記実装面となり、その裏面が上記半田接合面となる。
【0014】
第2の発明は、外部端子としてリードを有する平板状の半導体モジュールと扁平管形状の冷却チューブとを交互に積層してなる半導体積層ユニットと、上記リードを挿入して半田接合するためのスルーホール部を有するプリント配線基板とを有する電力変換装置の製造方法において、
上記リードの軸方向において、上記半導体モジュールの本体側に位置した付け根部と隣接して、該付け根部の外表面よりも半田材料との濡れ性が良好な半田制御層を外表面に有する制御部を形成する制御部形成工程と、
上記冷却チューブと、該冷却チューブの長手方向と上記リードの軸方向とが略直交するように配置した上記半導体モジュールとを交互に積層することにより、隣り合う上記冷却チューブの間から上記リードが突出している上記半導体積層ユニットを作製するユニット作製工程と、
上記プリント配線基板の実装面を基準にして、上記制御部が軸方向に所定長さだけ突出するよう、上記スルーホール部に上記リードを挿入して上記半導体積層ユニットを配置する部品配置工程と、
上記実装面の裏面である半田接合面側から上記半田材料を供給して、上記スルーホール部に上記リードを半田接合する接合工程とを実施することを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項6)。
【0015】
上記第2の発明の電力変換装置の製造方法では、上記制御部形成工程において、少なくとも上記付け根部を残して、上記リードの外表面に上記半田材料との濡れ性が良好な半田制御層を設けてなる上記制御部を形成する。
そのため、後工程である上記接合工程では、上記半田材料が、上記制御部を超えて上記付け根部を浸食するように流動するおそれを抑制できる。また、上記半田材料が、上記制御部の中途で流動を停止し、滞留するおそれを少なくできる。
【0016】
すなわち、上記半田接合方法では、上記制御部により上記半田材料の流動制御を積極的に行っている。それ故、上記接合工程において上記半田材料に与える熱量を大きめに設定しても上記制御部を超えて流動するおそれが少なく、さらに、熱量を大きくすることで、上記制御部の途中での滞留を未然に回避することができる。
【0017】
加えて、上記部品配置工程では、上記実装面を基準として上記制御部が所定長さだけ突出するように上記挿入実装電子部品を上記プリント配線基板に配置する。
そのため、上記接合工程では、上記半田接合面側から流動してくる上記鉛フリー半田が、上記実装面の手前で流動を停止し、上記スルーホール部の途中で滞留するおそれが少ない。さらにまた、上記実装面側に流動してきた上記半田材料が、上記実装面を大きく超えて上記付け根部に向けて浸食するおそれも少ない。
それ故、上記半田接合方法によれば、上記実装面において、上記所定長さと略一致した形成高さを呈する高品質の半田形状を実現し得るのである。
【0018】
特に、上記電力変換装置は、上記半導体モジュールと上記冷却チューブとを交互に積層する上記ユニット作製工程により得た上記半導体積層ユニットを、上記プリント配線基板に実装したものである。この半導体積層ユニットでは、隣り合って積層した上記冷却チューブの各隙間から、該冷却チューブの長手方向と略直交するように上記リードが突出している。それ故、上記リードの位置精度を、特に、上記半導体積層ユニットの積層方向において十分に確保することは限界がある。
【0019】
そこで、上記半導体積層ユニットに組み合わせる上記プリント配線基板では、例えば、上記リードを挿入するための上記スルーホール部の内径を大きく設定しておき、上記リードの寸法誤差を吸収する場合がある。しかし、一般に、上記リードの断面形状に対して上記スルーホール部の内径を大きくすると、適正な半田形状を得ることが難しくなる。
そのため、上記第1の発明の半田接合方法を適用し、上記リードに設けた上記制御部により溶融半田の流動を積極的に制御することが、上記電力変換装置の製造方法において特に有効となる。それ故、上記電力変換装置の製造方法によれば、上記半導体積層ユニットを構成する上記半導体モジュールの上記リードが、上記プリント配線基板に対して確実に半田接合された電気的信頼性の高い電力変換装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記第1の発明における上記鉛フリー半田としては、Sn−Ag系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系等のSn基鉛フリー半田を用いることができる。その他、上記Sn基鉛フリー半田以外にも、Sn半田等の鉛フリー半田を用いることもできる。
【0021】
また、上記部品配置工程において、上記実装面を基準として上記制御部が軸方向に突出する上記所定長さは、0mmを超えて2mm以下であることが好ましい(請求項2)。
上記プリント配線基板の上記実装面から突出する上記制御部の突出長さを、上記のごとく0mmを超えて2mm以下の範囲とした場合には、上記リードと上記スルーホール部とを接合する半田形状の上記実装面を基準とした形成高さを、およそ上記所定長さと略一致した適正な高さとすることができる。
【0022】
また、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面にニッケル−リンメッキ被膜よりなるNi−Pメッキ層を設けてなり、上記半田制御層は、上記Ni−Pメッキ層の表面に配設した半田メッキ被膜よりなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記リードの外表面の上記Ni−Pメッキ層を介在すれば、上記半田メッキ被膜よりなる上記半田制御層を効率良く形成することができる。
そして、上記半田メッキ被膜よりなる上記半田制御層は、上記付け根部の外表面をなす上記Ni−Pメッキ層と比べて、上記鉛フリー半田との濡れ性が格段に良好である。そのため、上記半田制御層を有する上記制御部によれば、上記接合工程において供給した上記鉛フリー半田を確実性高く流動制御することができる。
なお、上記半田メッキ被膜としては、鉛−スズ共晶半田等の共晶半田よりなるものであっても、鉛フリー半田よりなるものであっても良い。さらに、上記半田メッキ被膜を形成する半田材料は、半田接合に用いるものと同一組成のものであっても、異なる組成のものであっても良い。
【0023】
また、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面に上記リードをなす金属材料の素地を露出しており、上記半田制御層は、上記リードをなす金属材料の素地の表面に配設したNi−Pメッキ被膜よりなることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記半田制御層をなす上記Ni−Pメッキ被膜は、上記リードをなす金属材料の素地表面と比べて、上記鉛フリー半田との濡れ性が格段に良好である。そのため、上記半田制御層を有する上記制御部によれば、上記接合工程において供給した上記鉛フリー半田を確実性高く流動制御することができる。
【0024】
また、上記プリント配線基板に配置した上記挿入実装電子部品において、上記半田接合面から突出する上記制御部の軸方向の突出長さが、0mmを超えて2mm以下となるように、上記リードの先端部を除いて上記制御部を形成することが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記リードの先端側においても上記鉛フリー半田の流動制御を行うことができる。そして、上記スルーホール部と上記リードとの半田接合において、さらに良好な半田形状を実現して、接合信頼性をさらに高めることができる。
【0025】
上記第2の発明においては、上記半導体モジュールは、電力用半導体素子を収容してなり、上記リードは、上記電力用半導体素子の動作を制御する制御端子であることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記半導体積層ユニットを構成する上記電力用半導体の上記各制御端子を、上記プリント配線基板に確実性高く半田接合して、電気的な信頼性の高い上記電力変換装置を作製することができる。
【0026】
また、上記半田材料は、鉛フリー半田であることが好ましい(請求項8)。
この場合には、一般的に、例えば、鉛−スズ共晶半田等の共晶半田と比べて、半田接合に要する熱量が大きく、その熱量の制御が容易でないため、良好な半田形状を得るのが難しい。
そのため、上記リードに上記制御部を設け、この制御部により上記半田材料の流動制御を積極的に実施する上記第2の発明によれば、上記熱量の調整範囲を拡大でき、良好な半田形状を得やすくできる。
【0027】
なお、上記鉛フリー半田としては、Sn−Ag系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系等のSn基鉛フリー半田を用いることができる。その他、上記Sn基鉛フリー半田以外にも、Sn半田等の鉛フリー半田を用いることもできる。
【0028】
また、上記部品配置工程において、上記実装面を基準として上記制御部が軸方向に突出する上記所定長さは、0mmを超えて2mm以下であることが好ましい(請求項9)。
上記プリント配線基板の上記実装面を基準として、上記制御部の突出長さを上記のごとく0mmを超えて2mm以下の範囲とした場合には、上記リードと上記スルーホール部とを接合する半田形状の上記実装面を基準とした形成高さを、適切な高さとすることができる。
【0029】
また、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面にニッケル−リンメッキ被膜よりなるNi−Pメッキ層を設けてなり、上記半田制御層は、上記Ni−Pメッキ層の表面に配設した上記半田材料よりなる半田メッキ被膜よりなることが好ましい(請求項10)。
【0030】
この場合には、上記リードの外表面に設けた上記Ni−Pメッキ層を介在すれば、上記制御部をなす上記半田制御層を効率良く形成することができる。
そして、上記半田メッキ被膜よりなる上記半田制御層は、上記付け根部の外表面をなす上記Ni−Pメッキ層と比べて、上記半田材料との濡れ性が格段に良好である。そのため、上記半田制御層を有する上記制御部によれば、上記接合工程において上記半田材料を確実性高く流動制御することができる。
【0031】
また、上記リードは、銅又は銅を主成分とした合金よりなると共に、その外表面に上記リードをなす金属材料の素地を露出しており、上記半田制御層は、上記リードをなす金属材料の素地の表面に配設したNi−Pメッキ被膜であることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記リードの外表面に配設した上記Ni−Pメッキ被膜は、上記付け根部の外表面と比べて、上記半田材料との濡れ性が格段に良好である。そのため、上記半田制御層を有する上記制御部によれば、上記接合工程において上記半田材料よりなる溶融半田を確実性高く流動制御することができる。
【0032】
また、上記プリント配線基板に配置した上記半導体積層ユニットにおいて、上記半田接合面から突出する上記制御部の軸方向の突出長さが、0mmを超えて2mm以下となるように、上記リードの先端部を除いて上記制御部を形成することが好ましい(請求項12)。
この場合には、上記リードの先端側においても上記半田材料の流動制御を行うことができる。そして、上記スルーホール部と上記リードとの半田接合において、さらに良好な半田形状を実現して、接合信頼性をさらに高めることができる。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
本例の挿入実装電子部品5の半田接合方法について、図1〜図7を用いて説明する。
本例の挿入実装電子部品5の半田接合方法は、図1に示すごとく、プリント配線板40のスルーホール部400に挿入した挿入実装電子部品5の外部端子であるリード52を、鉛フリー半田を用いて半田接合する方法に関する。
本例の挿入実装電子部品5の半田接合方法では、図2に示すごとく、リード52の軸方向において挿入実装部品5の本体50側に位置した付け根部52aと隣接して、該付け根部52aの外表面よりも鉛フリー半田との濡れ性が良好な半田制御層526(図4)を外表面に有する制御部52bを形成する制御部形成工程と、図5に示すごとく、プリント配線基板40の実装面401を基準にして、制御部52bが軸方向に所定長さL1だけ突出するよう、スルーホール部400にリード52を挿入して挿入実装電子部品5を配置する部品配置工程と、該部品配置工程の後、実装面401の裏面である半田接合面402側から鉛フリー半田を供給して、リード52をスルーホール部400に半田接合する接合工程とを実施する。
以下に、この内容について詳しく説明する。
【0034】
本例の挿入実装電子部品5は、図2及び図3に示すごとく、MOSFET、IGBTなどの電力用半導体素子(以下、適宜、電力用半導体素子5と記載する。)である。この電力用半導体素子5は、半導体の素子構造を樹脂モールドしてなり、樹脂モールド部分としての本体50から突出する3本のリード52を有すると共に、本体50の背面に放熱板51を有してなる。
【0035】
各リード52は、図2及び図3に示すごとく、その長手方向において上記本体50に近い幅広部520と、先端側のピン先部521とを有してなる。幅広部520は、ピン先部521よりも幅広に形成してある。そして、ピン先部521と幅広部520との間には、リード52の断面積が急激に拡大する棚部522を形成してある。
なお、本例の電力用半導体素子5の各リード52は、銅線よりなり、図4に示すごとく、その外表面にはM1=4〜8μm厚さのニッケル−リンメッキ被膜よりなるNi−Pメッキ層525を設けてなる。
【0036】
プリント配線基板40は、図1に示すごとく、電力用半導体素子5を含む電子部品を挿入実装するように、そのリード52を挿入するためのスルーホール部400を少なくとも3箇所、穿孔してなる。プリント配線基板40の表面のうちの一方の表面は、電力用半導体素子5を配置する実装面401を構成し、他方の表面は、実装面401から挿入したリード52をスルーホール部400に半田接合するための半田接合面402を構成している。
なお、本例のプリント配線基板40では、図5に示すごとく、スルーホール部400の内周面と、プリント配線基板40の実装面401及び半田接合面402におけるスルーホール部400の周縁部とに、M3=40μm厚の銅箔層405を一体的に設けてある。
【0037】
ここで、本例のスルーホール部400は、図1に示すごとく、リード52のピン先部521の断面形状の外接円よりも大径に、かつ、幅広部520の断面形状の外接円よりも小径に形成してある。つまり、実装面401側からスルーホール部400に挿入したリード52は、実装面401に上記棚部522を係合した状態で、挿入方向の位置決めがなされる。
【0038】
次に、上記プリント配線基板40に上記電力用半導体素子5を実装する際、該電力用半導体素子5のリード52をスルーホール部400に半田接合する方法について具体的に説明する。
上述したように、この半田接合方法では、図2に示すごとく、リード52の軸方向において本体50側に位置した付け根部52aと隣接して、該付け根部52aの外表面よりも鉛フリー半田との濡れ性が良好な半田制御層526(図4参照。)を外表面に有する制御部52bを形成する制御部形成工程と、図5に示すごとく、実装面401を基準にして制御部52bが軸方向に所定長さL1だけ突出するよう、スルーホール部400にリード52を挿入して電力用半導体素子5を配置する部品配置工程と、該部品配置工程の後、半田接合面402側から鉛フリー半田を供給して、リード52をスルーホール部400に半田接合する接合工程とを実施する。
【0039】
上記制御部形成工程は、溶融半田を満たした半田槽(図示略)を用いて行う。ここでは、半田槽の溶融半田中に、ピン先部521側からリード52を浸漬(ディップ法)する。具体的には、図4に示すごとく、軸方向において棚部522から本体50側にG1=8mmずれた位置(点線abで示す位置。)と、溶融半田の液面高さとを略一致させる。そうすると、リード52の軸方向における実線abからピン先部521に渡って、リード52の外表面に半田メッキ被膜よりなる半田制御層526を形成することができる。なお、本例では、M2=6μm厚さの半田制御層526を形成した。
【0040】
なお、本例では、上記半田制御層526を形成するための半田としては、半田接合に用いる鉛フリー半田と同じSn−Ag−Cu半田を用いた。半田制御層526を形成する半田と、半田接合用の半田とは、同じ材質の半田であっても、異なる材質の半田であってもよい。また、鉛−スズ共晶半田等の共晶半田を用いて、上記半田制御層526を形成することもできる。
【0041】
本例の制御部形成工程では、上記のように半田制御層526を形成した後、さらに、リード52の先端側の半田メッキ被膜を、酸などの溶液により除去する処理を実施した。図4に示すごとく、棚部522からピン先部521側にG2=0mmずれた位置(点線bcで示す位置。)からリード52の先端までの先端部52cの外表面について、上記の剥離処理を実施すれば、実線abから実線bcまでの範囲のみに半田制御層526を有する上記制御部52bを形成できる。また、これにより、リード52のうち、制御部52bに対して先端側に隣接する先端部52cでは、その外表面としてNi−Pメッキ層525(図5参照。)が露出する。
【0042】
なお、本例の制御部形成工程における制御部52bの形成方法に代えて、リード52の外表面の一部に、半田との濡れ性を低下させる処理を施しておき、その後、制御部52bに半田メッキ被膜を形成することもできる。すなわち、制御部52bを形成する部分を除くリード52の外表面に上記の処理を施しておけば、その後に実施するディップ法等では、上記制御部52bのみに半田メッキ被膜を効率良く形成することができる。この場合には、リード52の軸方向における実線abから実線bcの範囲のみに、選択的に半田メッキ被膜よりなる半田制御層526を形成でき、上記制御部形成工程を効率良く実施することができる。なお、ここで、上記半田との濡れ性を低下させる処理としては、酸化処理や、半田との濡れ性が低いCrメッキ処理などがある。
【0043】
次に、上記部品配置工程を実施し、プリント配線基板40の実装面401側に、電力用半導体素子5を配置する。この工程では、図1に示すごとく、実装面401と棚部522とが係合するまで、スルーホール部400にリード52を挿入する。
ここで、上記制御部形成工程では、図4に示すごとく、棚部522を基準位置として本体50側にG1=1mmずれた位置(実線abで示す位置。)から先端側に向かってG2=2.6mmずれた位置(実線bcで示す位置。)までの範囲に上記制御部52bを形成してある。
【0044】
したがって、図1に示すごとく、実装面401と棚部522とが係合するように、スルーホール部400にリード52を挿入する本例の部品配置工程を実施すると、図5に示すごとく、リード52において軸方向の中間部分をなす制御部52bは、実装面401側にL1=1mm突出する。また、本例のプリント制御基板40の基板厚さT1=1.6mmであることから、制御部52bは、半田接合面402側にL2=1mm突出する。
【0045】
上記部品配置工程の後、リード52をスルーホール部400に半田接合する接合工程を実施する。この工程では、図5に示すごとく、半田接合面402側からスルーホール部400に向けて、鉛フリー半田を供給しながらレーザ光を照射する。
本例では、鉛フリー半田としてSn基鉛フリー半田であるSn−Ag−Cu半田を用い、その半田線材65をスルーホール部400に接近させる。同時に、波長680μmのレーザ光を発射するレーザ発振器61と集光レンズ611とを含む半導体レーザ装置6を用いてレーザ光を照射し、半田線材65を溶融させて、スルーホール部400内に溶融半田を供給した。
【0046】
レーザ照射により溶融した鉛フリー半田は、スルーホール部400とリード52との間隙に回り込む。ここで、半田接合するリード52の外表面のうち、半田メッキ層526よりなる制御部52bの外表面は、その両端側に隣接する付け根部52a及び先端部52cの外表面をなすNi−Pメッキ層525と比べて、格段に鉛フリー半田との濡れ性が良好である。
【0047】
そのため、本例の接合工程によれば、半田接合面402側から実装面401側に向かって、スルーホール部400内で溶融半田を均一性高く流動させることができる。さらに、図5に示すごとく、実装面401側及び半田接合面402側では、制御部52bが突出する位置(L1或いはL2として図示する位置。)で溶融半田の流動を抑止できる。それ故、図6に示すごとく、実装面401及び半田接合面402の両面側において、制御部52bの突出長さL1或いはL2と略一致した形成高さを呈する品質の高い半田形状650を得ることができる。
【0048】
以上のように、本例の半田接合方法では、電力用半導体素子5のリード52について、その軸方向の所定の範囲に、鉛フリー半田との濡れ性が良好な制御部52bを形成する。そして、この制御部52bが、プリント配線基板40の両面401、402側に所定の長さL1、L2だけ突出する状態で、上記接合工程を実施する。この制御部52bによれば、溶融半田の流動を積極的に制御し、特に、実装面401側への過度な流動(溶融半田の落ち込み、垂れ等。)を抑止できる。そのため、鉛フリー半田に十分な熱量を供給して、溶融半田の流動不足による滞留を回避して、適切な半田形状を形成できる。
【0049】
以上の内容を換言すれば次のように表現される。すなわち、本例のごとく制御部52bにより溶融半田の流動制御を積極的に行えば、半田接合時の適切な熱量範囲を拡大して熱量制御を容易にできる。
このような効果は、従来の共晶半田と比べて融点が高いために半田接合時に必要となる熱量が大きい一方、熱量が過大であるときに溶融半田の垂れや落ち込み等を生じやすいため、その熱量制御が難しい鉛フリー半田の場合に特に有効である。
なお、本例では、Sn−Ag−Cu半田を用いたが、これに代えて、Sn−Ag半田や、Sn−Cu半田等のSn基鉛フリー半田や、Sn半田等の鉛フリー半田を用いた場合にも本例の半田接合方法が有効となる。
【0050】
なお、本例では、制御部52bの形成範囲を、リード52の軸方向における中間位置としたが、これに代えて、図4中の実線abからリード52先端までの全範囲に渡って制御部52bを形成することもできる。半田接合面402を鉛直方向上方に位置させたプリント配線基板40について半田接合を実施する場合には、半田接合面402からリード52先端に向けての溶融半田の流動は、重力の作用により抑止し得る。
それ故、付け根部52aと制御部52bと先端部52cとよりなる本例のリード52に代えて、先端部52cを廃止し、付け根部52aと制御部52bとによるリード52としても、本例とほぼ同様に、信頼性の高い半田接合を行うことができる。
【0051】
さらになお、本例では、Ni−Pメッキ層525(図4)を外表面に有するリード52について、その外表面に、半田メッキ被膜よりなる半田制御層526を有する制御部52bを設けた。付け根部52a、先端部52cの外表面をなす上記Ni−Pメッキ層525に代えて、Sn、Au、Ag、Pt、Pd等よりなるメッキ層を配設することもできる。
【0052】
さらに、付け根部52a及びトップ部52cの外表面をなすNi−Pメッキ層525を廃止し、リード52の金属素地を露出させる一方、制御部52bの外表面層としてNi−Pメッキ被膜よりなる半田制御層526を形成することも良い。銅や、銅合金等よりなるリード52の金属素地の表面に比べれれば、Ni−Pメッキ被膜は、格段に半田との濡れ性が良好であるため、この場合には、Ni−Pメッキ被膜よりなる層が上記半田制御層526として有効に作用する。
【0053】
なお、図7に示すごとく、本体50の裏面509が、プリント配線基板40の実装面401との接合面として構成された電力用半導体素子5について、上記半田接合方法を適用することもできる。なお、このような電力用半導体素子5は、本体50の側面から突出するリード52が、その途中で直角に屈曲してスルーホール部400に挿入されるように構成される。
【0054】
そして、この電力用半導体素子5では、上記棚部522(図4参照。)に代わる基準位置522bに基づいて、制御部52bを精度良く形成することができる。
この電力用半導体素子5では、実装面401と接合用の裏面509を含む平面(図7中、点線cで示す平面。)が、各リード52を切断する面が基準位置522bとなる。そして、この基準位置522bは、電力用半導体素子5をプリント配線基板40に実装した際、その実装面401の表面と略一致する位置である。
それ故、この基準位置522bを基準として制御部52bを所定の範囲に形成すれば、実装面401からの制御部52bの突出長さL1、或いは、半田接合面402からの制御部52bの突出長さL2を精度良く管理することができる。
【0055】
(実施例2)
本例の電力変換装置1の製造方法について、図8〜図13を用いて説明する。
本例の電力変換装置1の製造方法は、図8に示すごとく、外部端子としてリード(以下、制御端子160と記載。)を有する平板状の半導体モジュール10と扁平管形状の冷却チューブ20とを交互に積層してなる半導体積層ユニット2と、上記制御端子160を挿入して半田接合するためのスルーホール部400を有するプリント配線基板(以下、制御基板40と記載。)とを有する電力変換装置1を製造する方法に関する。
【0056】
この電力変換装置1の製造方法では、図9に示すごとく、制御端子160の軸方向において、半導体モジュール10の本体側に位置した付け根部52aと隣接して、該付け根部52aの外表面よりも半田材料との濡れ性が良好な半田制御層(図示略)を外表面に有する制御部52bを形成する制御部形成工程と、図12に示すごとく、冷却チューブ20と、該冷却チューブ20の長手方向と制御端子160の軸方向とが略直交するように配置した半導体モジュール10とを交互に積層することにより、隣り合う冷却チューブ20の間から制御端子160が突出している半導体積層ユニット2を作製するユニット作製工程と、制御基板40の実装面401を基準にして、上記制御部52bが軸方向に所定長さL1(図9)だけ突出するよう、スルーホール部400に制御端子160を挿入して半導体積層ユニット2を配置する部品配置工程と、実装面401の裏面である半田接合面402側から半田材料を供給して、スルーホール部400に制御端子160を半田接合する接合工程とを実施する。
【0057】
本例は、実施例1における電力用半導体素子を、上記半導体積層ユニット2に置き換えたものである。そして、実施例1における3本のリードは、本例では、半導体モジュール10毎に5本ある多数の制御端子160に相当する。
そこで、以下の本例の説明では、電力変換装置1についての特有の内容を詳しく説明すると共に、実施例1と重複する内容については説明を省略する。
【0058】
まず、本例の電力変換装置1について説明する。この電力変換装置1は、図8に示すごとく、例えば、電気自動車用の走行モータ(図示略)に通電する駆動電流を生成するための装置である。そして、この電力変換装置1は、上記のごとく制御基板40及び電力バスバー(図示略)を組み付けた半導体積層ユニット2のほか、コンデンサやリアクトル等から構成される図示しない電力回路等を有してなる。
【0059】
上記電力変換装置1では、図8に示すごとく、半導体積層ユニット2の表面202側に当たる側面には、制御端子160が突出している。そして、半導体積層ユニット2の表面202側には、制御基板40を配置してある。
また、半導体積層ユニット2の裏面201に当たる側面には、半導体モジュール10の電力端子150が突出している。そして、電力変換装置1では、この裏面201側には、電力端子150と電気的に接続する電力バスバー(図示略)を配置してある。
【0060】
本例の電力用半導体モジュール10は、図10及び図11に示すごとく、電力用半導体素子であるIGBT素子11と、モータの回転を滑らかにするために必要なフライホイールダイオード素子12とを相互に対面する一対の電極放熱板15の間に配置したモジュールである。
【0061】
そして、この電力用半導体モジュール10は、モールド樹脂13を用いて、一対の電極放熱板15と上記各素子11、12とを一体的に成形し、モジュール化してなる。本例では、電力用半導体モジュール10の両面側に電極放熱板15が露出するように樹脂成形してあり、この露出した電極放熱板15をIGBT素子11等の放熱面として利用している。
【0062】
電力用半導体モジュール10は、同図に示すごとく、その外部端子として、各電極放熱板15と一体的に形成された電力端子150と、モールド樹脂13中に埋設して保持した5本一組の制御端子160とを有してなる。そして、本例の電力用半導体モジュール10では、電極放熱板15と平行な面内において、電力端子150と制御端子160とを対向配置してある。
そのため、図8に示すごとく、この電力用半導体モジュール10を用いた本例の半導体積層ユニット2では、その裏面201側に電力端子150が突出すると共に、表面202側に制御端子160が突出する。
【0063】
上記半導体積層ユニット2は、図12に示すごとく、冷媒の流路をなす扁平管形状の冷却チューブ20と、電力変換回路を構成する平板状の電力用半導体モジュール10とを交互に積層してなる多層積層構造のものである。本例の半導体積層ユニット2では、隣り合わせで積層した冷却チューブ20の間隙に、それぞれ2個の電力用半導体モジュール10を並列配置してある。
冷却チューブ20は、内部を冷媒の流路を有する扁平管形状をなす中空管(図8参照。)である。この冷却チューブ20は、図12に示すごとく、その両端部付近の扁平表面210に、ヘッダ管240を接続するための貫通穴(図示略)を穿孔してなる。
【0064】
本例の半導体積層ユニット2は、同図に示すごとく、上記冷媒の供給、排出のための冷媒ヘッダとして供給用のヘッダ部241と排出用のヘッダ部242とを有している。本例では、隣り合って積層した冷却チューブ20の間隙に配置したヘッダ管240により、上記各ヘッダ部241、242を形成した。
なお、ヘッダ管240としては、長さ方向に伸縮可能なアルミ材よりなるベローズ管状のものを用い、その両端部を冷却チューブ20の扁平表面にろう付け接合してある。そして、各冷却チューブ20の端部は、キャップ状を呈する封止部材23を用いて封止してある。
【0065】
本例の電力変換装置1は、図12に示すごとく、相互に対面する保持プレート310及び挟圧プレート320を有する支持構造を有してなる。この支持構造は、保持プレート310と挟圧プレート320との間で積層方向の荷重を作用した状態で半導体積層ユニット2を保持するように構成してある。このように半導体積層ユニット2に対して積層方向の荷重を作用させると、冷却チューブ20と電力用半導体モジュール10との間に適切な当接荷重を作用できる。そして、冷却チューブ20と電力用半導体モジュール10との間で接触面積を確保して、両者間の熱伝導を促進することができる。
【0066】
さらに、本例の電力変換装置1では、積層方向の荷重を作用した半導体積層ユニット2において、相互に密着させた冷却チューブ20と電力用半導体モジュール10との間には、図示しないセラミック板とシリコングリス層を配置してある。このセラミック板は、両者間の電気的な絶縁性を確保するのに有効であり、上記シリコングリス層は、熱伝導率を向上するために役立つ。
【0067】
なお、上記の電力変換装置1は、図12に示すごとく、上記保持プレート310及び上記挟圧プレート320の外表面のうち半導体積層ユニット2の表面202側に面する表面に、制御基板40の取り付け面311、321を有している。本例の電力変換装置1は、取り付け面311、321に穿孔したねじ孔312に、制御基板40をビス止めするように構成してある。
ここで、本例では、上記のごとくビス止めした制御基板40と、半導体積層ユニット2の表面202との間に、所定の間隙W1(図9参照。本例では、W1=9mm)が形成されるように、上記各取り付け面311、321を構成してある。
【0068】
次に、上記の電力変換装置1を製造する方法について説明する。
本例の製造方法では、まず、上記ユニット作製工程を実施する。この工程では、図12に示すごとく、冷却チューブ20と、該冷却チューブ20の長手方向と制御端子160の軸方向とが略直交するように配置した半導体モジュール10とを交互に積層することにより、隣り合う冷却チューブ20の間から制御端子160が突出している半導体積層ユニット2を作製する。
【0069】
具体的には、ヘッダ管240を用いて冷却チューブ20をはしご状に組み立てると共に、各冷却チューブ20の両端に封止部材23を装着する。そして、冷却チューブ20に対して、ヘッダ管240及び封止部材23をろう付け接合する。その後、同図に示すごとく、隣り合う冷却チューブ20の間隙に電力用半導体モジュール10を配置するに当たっては、ベローズ状のヘッダ管240を積層方向に伸ばしておき、上記の間隙を拡げた状態で電力用半導体モジュール10を配置する。
【0070】
その後、上記保持プレート310と上記挟圧プレート320との組み合わせを利用して、積層方向の両側から半導体積層ユニット2を挟み込むようにして、これらの部材を組み付ける。このように組み立てることで、半導体積層ユニット2に積層方向の圧縮荷重を作用させてヘッダ管240を積層方向に縮め、冷却チューブ20と電力用半導体モジュール10とを密着させることができる。
【0071】
次に、作製した上記半導体積層ユニット2について、その制御端子160に制御部52b(図9参照。)を形成する上記制御部形成工程を実施する。本例では、溶融半田を満たした半田槽(図示略)を用い、いわゆるディップ法により全ての制御端子160について、一括して制御部52bを形成した。
この工程では、溶融半田の液面と、半導体積層ユニット2の表面202とを略平行に保ちながら、上記液面と上記表面202との間隔がW2=8mmとなるまで(図9中の点線abが液面と略一致するまで。)半導体積層ユニット2を近付けていく。このようなディップ法を行えば、各制御端子160について、半導体積層ユニット2の表面202を基準として先端側W2=8mmの位置(図9)から先端に渡って半田メッキ被膜よりなる半田制御層(図示略)を有する制御部52bを形成できる。
【0072】
なお、ディップ法により、半導体積層ユニット2に組み込んだ全ての半導体モジュール10の制御端子160に、制御部52bを一括形成する本例の制御部形成工程に代えて、各制御端子160について1本ずつ制御部52bを設けることもできる。さらに、半導体積層ユニット2に組み込む前の部品としての半導体モジュール10について、個別に制御部52bを形成することもできる。
【0073】
次に、上記の部品配置工程を実施する。この工程では、図12及び図13に示すごとく、制御基板40の各スルーホール部400に、各制御端子160を挿入したうえで、電力変換装置1の上記取り付け面311、321に制御基板40をビス止めする。
ここで、上記のごとく、ビス止めした制御基板40と、半導体積層ユニット2の表面202との間隙はW1=9mm(図9)である。一方、上記のごとく、各制御端子160の制御部52bは、上記表面202を基準として、先端方向にW2=8mmずれた位置から先端までの範囲に形成してある。
したがって、ビス止めした制御基板40の実装面401を基準とすると、制御端子160の制御部52bは、半導体積層ユニット2側に(W1−W2)、すなわち1mm突出する。
【0074】
次に、制御基板4をビス止めした上記電力変換装置1について、その制御端子160を半田接合する上記半田接合工程を実施する。この工程では、ビス止めした制御基板40の半田接合面402を鉛直方向の上方に向けて電力変換装置1を保持し、制御端子160を挿入配置した各スルーホール部400に半田材料を供給して半田接合を実施する。本例では、半導体レーザを照射して半田材料を溶融させ、この溶融半田を接合箇所に供給することにより各スルーホール部400と各制御端子160とを半田接合した。
【0075】
なお、本例では、上記半田材料としては、Sn基鉛フリー半田であるSn−Ag−Cu半田を用いた。これに代えて、Sn−Ag半田や、Sn−Cu半田等のSn基鉛フリー半田や、Sn半田等の鉛フリー半田や、共晶半田を用いた場合にも本例の製造方法が有効となる。
【0076】
なお、電力変換装置1の電力端子150には、半田接合により、図示しない電力バスバーを接合することができる。この場合には、本例と同様の制御部52bを各電力端子150に設け、該制御部52bを利用して溶融半田の流動を制御すれば、本例の制御端子160と同様に信頼性の高い半田接合を実現できる。
さらになお、電力端子150と上記電力バスバーとの接合方法を、半田接合に代えて溶融接合とする場合には、例えば、上記部品配置工程の前工程として、上記の溶融接合を行うことができる。
【0077】
本例の電力変換装置の製造方法では、実施例1の半田接合方法と同様、上記制御部形成工程を実施する。この工程では、少なくとも半導体モジュール10側の付け根部52aを残して、半田材料との濡れ性が良好な半田制御層を、制御端子160の外表面に有する制御部52bを形成する。
【0078】
そして、上記の部品配置工程では、制御基板40の実装面401を基準として制御部52bが所定長さ(W1−W2)=1mmだけ突出するように電力変換装置1を制御基板40に配置する。
そのため、後工程として行う上記接合工程では、半田接合面402側から流動してくる溶融半田が、実装面401を大きく超えて付け根部52aに向けて浸食するおそれが少ない。さらに、流動してくる溶融半田が、実装面401の手前で流動を停止し、スルーホール部400の途中で滞留するおそれも少ない。
【0079】
それ故、本例の電力変換装置の製造方法によれば、実装面401を基準とした制御部52bの突出長さ(W1−W2)=1mmと略一致した形成高さを呈する信頼性の高い半田形状を実現し得る。
このように、本例の電力変換装置1の製造方法では、制御端子160に設けた制御部52bにより積極的に溶融半田の流動を制御することで、信頼性の高い半田接合を実現している。
【0080】
特に、本例の電力変換装置1は、半導体モジュール10と冷却チューブ20とを交互に積層するユニット作製工程により得た半導体積層ユニット2を、制御基板40に実装したものである。
ここで、本例の制御基板40では、半導体積層ユニット2における制御端子160の積層方向の位置ばらつきを吸収できるように、制御端子160の断面形状に対してスルーホール部400の内径を大きめに設定してある。
【0081】
この場合には、スルーホール部400の内周面と制御端子160の外周面との隙間が大きく、適正な半田形状を得ることが難しくなるため、本例のごとく、制御部52bにより溶融半田の流動を積極的に制御することの作用効果が特に有効になる。このような作用効果は、高精度な熱量制御を必要とする鉛フリー半田の場合のみならず、鉛−スズ半田共晶等を用いる場合であっても、非常に有効である。
【0082】
したがって、電力変換装置1の製造方法によれば、半導体積層ユニット2を構成する半導体モジュール10の制御端子160が、制御基板40に対して確実に半田接合された電気的信頼性の高い電力変換装置1を得ることができる。
【0083】
(比較例1)
本例は、実施例1を基にして、半田接合するリード52について制御部がない例である。この内容について、図14及び図15を用いて説明する。
図14は、半田接合する際に与えた熱量が大き過ぎた場合の例である。また、図15は、半田接合する際に与えた熱量が不足した例である。
【0084】
一般に、鉛フリー半田は、鉛−スズ共晶半田等の共晶半田との比較において、半田接合する際に与えるべき熱量が大きく、かつ、適正な熱量の範囲が狭小で、熱量の制御が容易ではない。
半田接合する際に与えた熱量が大きすぎると、図14に示すごとく、溶融半田が、プリント配線基板の実装面401側に過度に流動するおそれが高い。この場合には、プリント配線基板40の半田接合面402側の半田の絶対量が不足気味になるため、良好な半田形状が得られない。
【0085】
一方、半田接合する際の熱量が不足すると、図15に示すごとく、溶融半田が、半田接合面402側から実装面401側へ流動せず、スルーホール部400の途中で滞留するおそれが高い。この場合には、プリント配線基板40の実装面401側の半田の絶対量が不足気味になるため、良好な半田形状が得られない。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施例1における、プリント配線基板に挿入実装電子部品を配置した様子を示す説明図。
【図2】実施例1における、挿入実装電子部品としての電力用半導体素子を示す正面図。
【図3】実施例1における、挿入実装電子部品としての電力用半導体素子を示す側面図。
【図4】実施例1における、リードにおける制御部近傍を拡大して示す拡大図(図2におけるB部分の拡大図。)。
【図5】実施例1における、スルーホール部とリードとの関係を示す説明図(図1におけるA−A線矢視断面図を上下反転して図示したもの。)。
【図6】実施例1における、スルーホール部とリードとの接合箇所の断面構造を示す拡大断面図。
【図7】実施例1における、挿入実装電子部品のその他の配置方法を説明する説明図。
【図8】実施例2における、電力変換装置の断面構造を示す断面図。
【図9】実施例2における、制御基板のスルーホール部に挿入された制御端子を示す説明図(図8におけるC部分の拡大図。)。
【図10】実施例2における、半導体モジュールの上面図。
【図11】実施例2における、半導体モジュールの断面構造を示す断面図。
【図12】実施例2における、半導体積層ユニットを示す正面図。
【図13】実施例2における、制御基板を示す正面図。
【図14】比較例1における、スルーホール部とリードとの接合箇所の断面構造を示す拡大断面図その1。
【図15】比較例1における、スルーホール部とリードとの接合箇所の断面構造を示す拡大断面図その2。
【符号の説明】
【0087】
1 電力変換装置
10 電力用半導体モジュール
150 電力端子
160 制御端子
2 半導体積層ユニット
20 冷却チューブ
240 ヘッダ管
241、242 ヘッダ部
40 プリント配線基板、制御基板
400 スルーホール部
401 実装面
402 半田接合面
52 リード
52a 付け根部
52b 制御部
526 半田制御層
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成16年3月8日(2004.3.8)
【代理人】 【識別番号】100079142
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 祥泰

【識別番号】100110700
【弁理士】
【氏名又は名称】岩倉 民芳

【公開番号】 特開2005−252198(P2005−252198A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−64549(P2004−64549)