| 【発明の名称】 |
フレキシブルプリント配線基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】篠田 辰規 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会社フジクラ内
【氏名】市川 雅照 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会社フジクラ内
【氏名】味村 彰治 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会社フジクラ内
【氏名】杉山 秀一 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会社フジクラ内
【氏名】千艘 智充 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会社フジクラ内
|
| 【要約】 |
【課題】配線回路を形成した銅張積層板と接着剤付カバーレイフィルムとを貼り合わせ、これをキュアーしたフレキシブルプリント配線基板の耐マイグレーション性を、比較的簡単な方法によって向上させることを目的とするものである。
【解決手段】配線回路を形成した銅張積層板と接着剤付カバーレイフィルムとを貼り合わせ、これをキュアーしたFPCを純水中に浸漬或いは洗浄した後、乾燥したFPCとすることによって、解決される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 配線回路を形成した銅張積層板と接着剤付カバーレイフィルムとを貼り合わせ、これをキュアーしたフレキシブルプリント配線基板を、純水中に浸漬或いは洗浄した後乾燥したことを特徴とするフレキシブルプリント配線基板。 【請求項2】 前記純水中での浸漬或いは洗浄が、60℃以上で少なくとも8時間であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、耐マイグレーション性に優れたフレキシブルプリント配線基板に関するものである。 【背景技術】 【0002】 フレキシブルプリント配線基板(FPC)は、通常銅貼り積層板(CCL)の銅層をエッチング処理等の方法により銅配線回路を形成した後、例えば前記銅配線回路の必要部分が露出するように開口部分を形成した接着剤付カバーレイフィルム(CL)と貼り合わせ、これをキュアーすることによって製造されている。そしてキュアー方式としては、ホットプレス方式やホット・コールドプレス方式が知られている。これらの方式は、通常CCLの銅配線回路の必要部分が露出するように開口部分を形成したCLを重ね合わせた両側に、セパレート用フィルムを接触させ、それらの上からホットプレス成形等を行なうものである。しかしながらこのような製造方式で製造されたFPCは、長時間使用しているとFPCの配線回路を構成している銅線と水分或いは前記CCLやCLに使用されているポリイミドフィルム、接着剤等の絶縁材料中の不純物イオンが、銅の溶出を促進しこれが銅化合物等となって成長して銅マイグレーションを発生する。そしてこれが導電性を有するようになると銅配線間やFPCの層間で短絡を生じる。このため銅表面に種々の被膜等を形成する等して、銅マイグレーションが生じない手段が種々考えられている。 【0003】 例えば特許文献1には、FPC用の銅箔に銅マイグレーションを生じさせないために、銅箔表面に特定量の銅、亜鉛および炭素を含有する炭素含有銅−亜鉛被覆層を形成すること、さらにはその上にクロメート処理を施すことによって、銅マイグレーションを防止しようとするものであるが、FPCで回路形成前にこのような処理をすると、回路形成時に未処理の部分ができてしまい、また回路形成後にこのような処理を施すことは、製造工程が複雑になるため製造コストをアップさせ実用的とは言えない。 【特許文献1】特開2003−124589号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 よって本発明が解決しようとする課題は、配線回路を形成した銅張積層板(以下CCL)と接着剤付カバーレイフィルム(以下CL)とを貼り合わせ、これをキュアーしたフレキシブルプリント配線基板(以下FPC)の耐マイグレーション性を、比較的簡単な方法によって向上させることを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、配線回路を形成した銅張積層板と接着剤付カバーレイフィルムとを貼り合わせ、これをキュアーしたFPCを、純水中に浸漬或いは洗浄した後乾燥したFPCとすることによって、解決される。 【0006】 また請求項2に記載されるように、前記純水中での浸漬或いは洗浄が、60℃以上で少なくとも8時間であるFPCとすることによって、解決される。 【発明の効果】 【0007】 以上のように、配線回路を形成したCCLとCLとを貼り合わせ、これをキュアーしたFPCを、純水中に浸漬或いは洗浄した後、乾燥したFPCとすることによって、また好ましくは、前記純水中での浸漬或いは洗浄が、60℃以上で少なくとも8時間の処理を行なったFPCとしたので、比較的簡単な方法によって、銅マイグレーションによる配線間や層間での短絡等を防止することができ、実用的なFPCを提供できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、配線回路を形成した銅張積層板と接着剤付カバーレイフィルムとを貼り合わせ、これをキュアーしたFPCを、純水中に浸漬或いは洗浄した後乾燥したFPCとしたので、銅マイグレーションの発生原因となる不純物等が除去され、耐マイグレーション性に優れたFPCとすることができる。 【0009】 前記銅マイグレーションは、FPCの配線回路を構成している銅線と水分或いは前記CCLやCLに使用されているポリイミドフィルム、接着剤等の絶縁材料中の不純物イオンが、銅の溶出を促進しこれが銅化合物等となって成長して導電性を有するようになり、これが銅配線間やFPCの層間で短絡を生じるようになる。このため前述のように、銅表面に種々の被膜等を形成したりして、銅マイグレーションが生じないようにしている。本発明は、銅の溶出の原因となる化学物質の除去に関する。例えばホットプレス方式によるFPCの製造方法は、通常熱板の間に、FPCを構成するCLとCCLを複数枚重ね合わせ、その両側にセパレート用フィルムを接触させ、それらの上からクッション材を介してプレスするものである。そしてCLには、CCLの必要な銅配線回路部分に対応した開口が形成されるようになっている。また通常の製造条件としては、大気中或いは真空雰囲気中で、温度150〜200℃、圧力が1〜6MPaで、50〜200分程度で加圧成形される。そして前記セパレート用フィルムとしては、通常ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂やスチレン系樹脂が、耐熱性、離型性等から使用されている。本発明は、このようにして作製されたFPCを、純水中に浸漬或いは洗浄した後乾燥させ、銅の溶解を引起す不純物イオンを除去するものである。 【0010】 製造されたFPCを純水中に浸漬或いは洗浄することによって、例えばポリイミドフィルム等の絶縁材料中の不純物イオン等を除去することができる。前記不純物イオンは、例えば硫酸イオン、リン酸イオン、塩化物イオン等である。このような処理を行なうことによって、耐マイグレーション性が向上し絶縁抵抗値が低下するという問題も解決される。例えば純水中に8時間程浸漬することによって、前記効果が得られる。より具体的には、得られたFPCを1000時間以上連続使用しても銅マイグレーションが発生せず、絶縁抵抗値も2×108Ω程度を維持するFPCを、比較的簡単な方法によって得ることができる。また前記洗浄処理は、製造されたFPCに対して純水を一定時間以上噴霧する等して絶縁材料中の不純物イオンを除去するもので、このような方法によっても前述と同様の効果を得ることができる。さらに乾燥処理は、100℃に加熱したり或いは真空(常温)引きしたりすることによって、FPC中の水分量が0.5vol%程度となるように行なえばよい。なお前記純水は蒸留水、イオン交換水などで、伝導率が10μS/cm(或いは10−5S/cm)以下の純水を用いるのが好ましい。 【0011】 そして好ましくは、前記純水を用いる浸漬或いは洗浄は、請求項2に記載されるように、60℃以上の純水を用い、少なくとも8時間浸漬或いは洗浄処理したFPCとすることによって、銅マイグレーションを生成する不純物等が比較的短い時間で除去され、耐マイグレーション性に優れ絶縁抵抗値を低下させることもないFPCとすることができる。また、前記浸漬等の処理温度を高くするほど或いは処理時間を長くするほど、耐マイグレーション性が向上される。すなわち、不純物イオンを殆ど含まない純水にFPCを浸漬することにより、水分がFPC中に浸透してFPC中の不純物イオンを溶解し、FPCの水分の不純物イオンと純水とのイオン濃度の差によって、不純物イオンが純水中に拡散され除去される。このようにして得られたFPCは、1000時間以上連続使用しても、銅マイグレーションが発生せず、絶縁抵抗値も4.3×108Ω程度を維持するものである。 【実施例】 【0012】 表1に記載する実施例並びに比較例によって、本発明の効果を確認した。すなわち、線幅並びに回路幅80μmの櫛形銅回路が形成されたポリイミド樹脂をベースフィルムとするCCLと、ポリイミドフィルムにエポキシ樹脂系の接着剤層を設けたCLを貼り合わせてFPCを作製し、このFPCを85℃、60℃並びに40℃の純水中にそれぞれの時間浸漬した後、乾燥処理を行なって試料とした。この試料についてマイグレーション試験および絶縁抵抗値の測定を行なった。前記マイグレーション試験および絶縁抵抗値の測定は、温度が85℃、湿度85%RHにおいて、50Vの電圧を1000時間印加した試料について測定したものである。なお比較のために、純水中に浸漬しない場合のFPCも用意した。 【0013】 【表1】
【0014】 表1から明らかなとおり、本発明のFPCは、60℃以上の純水中に少なくとも8時間浸漬させることによって、1000時間経ってもマイグレーションを発生せず、絶縁抵抗値も2×108Ω以上を有するFPCである。すなわち、実施例1および2に示したように85℃の純水中に8時間或いは12時間浸漬させたFPCは、1000時間を経ても銅マイグレーションは見られず、絶縁抵抗値も4.3×108Ω以上であった。また実施例3および4に記載するように、60℃の純水中に8時間或いは12時間浸漬したFPCも、1000時間を経ても銅マイグレーションを発生せず、絶縁抵抗値も2.6×108Ω以上のものであった。 【0015】 これに対して、比較例として示した例の場合は、例えば比較例6のように85℃の純水中に浸漬しても、時間が4時間では十分なイオン性不純物の除去が行なわれず、1000時間経過後銅マイグレーションが発生していた。また絶縁抵抗値も、比較例1で示した浸漬処理を行なわない場合と殆ど変わらない4.8×107Ωであった。また、比較例2、3および4に示したように40℃の純水中の浸漬では、浸漬時間を12時間としても1000時間で銅マイグレーションが発生し、絶縁抵抗値もそれぞれ、3.8×107Ω、4.1×107Ωおよび4.0×107Ωと、比較例1と大差がなかった。さらに、比較例5に示したように、60℃の純水に4時間浸漬した場合も、銅マイグレーションが発生し、絶縁抵抗も5.2×107Ωと比較例1と同様であった。 【産業上の利用可能性】 【0016】 以上のように、耐マイグレーション性に優れたFPCを比較的簡単な方法で処理して得ることができるので、電子機器類を長期間に渡って安定使用できる実用的なFPCを提供できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005186 【氏名又は名称】株式会社フジクラ 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号
|
| 【出願日】 |
平成16年3月8日(2004.3.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078824 【弁理士】 【氏名又は名称】増田 竹夫
|
| 【公開番号】 |
特開2005−252180(P2005−252180A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月15日(2005.9.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−64268(P2004−64268) |
|