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【発明の名称】 プリント配線板とその製造方法
【発明者】 【氏名】宮寺 一恵
【住所又は居所】群馬県伊勢崎市柴町今井236 日本シイエムケイ株式会社内

【氏名】塚田 依男
【住所又は居所】群馬県伊勢崎市柴町今井236 日本シイエムケイ株式会社内

【氏名】吉井 昇
【住所又は居所】群馬県伊勢崎市柴町今井236 日本シイエムケイ株式会社内

【氏名】森永 雅俊
【住所又は居所】群馬県伊勢崎市柴町今井236 日本シイエムケイ株式会社内

【氏名】柏葉 証
【住所又は居所】群馬県伊勢崎市柴町今井236 日本シイエムケイ株式会社内

【要約】 【課題】鉛フリーはんだで電子部品を実装する場合においても、実装不良等の不具合が発生することのないプリント配線板の提供。

【解決手段】鉛フリーはんだで電子部品を実装するプリント配線板であって、当該プリント配線板の含水率を0.2重量%以下とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛フリーはんだで電子部品を実装するプリント配線板であって、当該プリント配線板の含水率が、0.2重量%以下であることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
鉛フリーはんだで電子部品を実装するプリント配線板の製造方法であって、当該電子部品の実装前に、プリント配線板を脱湿処理して含水率を0.2重量%以下とすることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
当該脱湿処理が、配線パターン表面に表面処理膜を形成した後、ベーキング処理して行なうものであることを特徴とする請求項2記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
当該脱湿処理が、常温の真空乾燥処理であることを特徴とする請求項2記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
当該常温の真空乾燥処理を、還元ガス雰囲気内で行なうことを特徴とする請求項4記載のプリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛フリーはんだ処理等の高温処理によって発生する、電子部品の実装不良や層間剥離等の不具合を防止できるプリント配線板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品のはんだ付け等の高温処理時に問題となるものとして、プリント配線板の絶縁層に含まれている水分の膨張による電子部品の実装不良(パッド浮等)や、導体と絶縁層との界面剥離等が挙げられ、特に、吸湿し易いビルドアップ多層プリント配線板やフレキシブル基板(リジッドフレキ基板も含む)等においては、その脱湿手段が重要な要素となっている。
【0003】
このような問題を解決する手段として、導体面積の大きい電源及びグランド層にメッシュ状の開口部を設け、はんだ付け等の高温処理時に膨張した水分を当該開口部を通して外部に放出することによって、当該電源やグランド層と、隣接する絶縁層との界面剥離等の発生を防止する方法が既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、上記した吸湿し易いビルドアップ多層プリント配線板やフレキシブル基板等においては、電子部品を実装する前にベーキング処理を行ない、予めプリント配線板の含水率(ここでいう含水率とは、プリント配線板の重量に対する含水量の割合)を下げておくという手段も知られている。
【0005】
しかし近年では、電子部品の実装に鉛フリーはんだが使用されるようになり、当該鉛フリーはんだは、従来使用されていた錫−鉛系はんだと比較して実装温度が高い(例えば、約245〜260℃)ことから、以下のような問題が発生してきた。
【0006】
まず第一に、錫−鉛系のはんだを使用していたときには、プリント配線板の含水率を0.3重量%程度とすることで上記不具合を回避することができていたので、従来は、吸湿し易いビルドアップ多層プリント配線板やフレキシブル基板等にのみ脱湿処理を行なっていたが、鉛フリーはんだを使用する場合には、当該含水率では上記不具合を回避することができなかった。
【0007】
第二に、プリント配線板の表面処理として、金めっきやはんだ等を施すものに関しては、実装パッド等の表面が酸化することがないため、ベーキングによる脱湿処理が可能であるが、プリフラックスを施すものに関しては、実装パッド等の表面が酸化してしまうため、ベーキングによる脱湿処理が不可能であった。
【特許文献1】特開平3−108397号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記不具合を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、鉛フリーはんだで電子部品を実装する場合においても、実装不良等の不具合が発生することのないプリント配線板とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1に係る本発明は、鉛フリーはんだで電子部品を実装するプリント配線板であって、当該プリント配線板の含水率が、0.2重量%以下であることを特徴とするプリント配線板である。
【0010】
これにより、鉛フリーはんだで部品実装を行なった場合においても、電子部品の実装不良や層間剥離等の不具合が発生しないプリント配線板とすることができる。
【0011】
また、請求項2に係る本発明は、鉛フリーはんだで電子部品を実装するプリント配線板の製造方法であって、当該電子部品の実装前に、プリント配線板を脱湿処理して含水率を0.2重量%以下とすることを特徴とするプリント配線板である。
【0012】
これにより、鉛フリーはんだで部品実装を行なった場合においても、電子部品の実装不良や層間剥離等の不具合が発生しないプリント配線板を容易に得ることができる。
【0013】
また、請求項3に係る本発明は、請求項2に係る発明の脱湿処理を、配線パターン表面に表面処理膜を形成した後、ベーキング処理することにより行なうことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0014】
これにより、実装パッド等の表面を酸化させずに容易に脱湿処理することができる。
【0015】
また、請求項4に係る本発明は、請求項2に係る発明の脱湿処理を、常温の真空乾燥処理により行なうことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0016】
これにより、表面処理としてプリフラックス処理を施したプリント配線板においても、実装パッド等の表面を酸化させずに容易に脱湿処理をすることができる。
【0017】
また、請求項5に係る本発明は、請求項4に係る発明の常温の真空乾燥処理を、還元ガス雰囲気内で行なうことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0018】
これにより、長時間放置して、実装パッド等の表面に酸化膜が形成されたプリント配線板に対して、脱湿処理と当該酸化膜の除去を同時に行なうことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明プリント配線板に、鉛フリーはんだを用いて電子部品を実装すれば、従来生じていた、電子部品の実装不良や層間剥離等の不具合の発生を容易に防止することができ、また、本発明の製造方法によれば、上記不具合の発生を防止できるプリント配線板を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態を、図1乃至図3を用いて簡単に説明する。
【0021】
図1は第一の実施形態で、ベーキング処理により脱湿処理する本発明プリント配線板の製造例を示す概略工程説明図であり、まず、図1(a)に示したように、配線パターンやソルダーレジスト等が形成されたプリント配線板の当該ソルダーレジストから露出した配線パターン(実装パッド等)表面に、金めっき膜やはんだ膜の表面処理膜を形成する。
【0022】
次に、図1(b)に示したように、上記金めっき等が形成されたプリント配線板の外形加工を行なった後、図1(c)に示したように、オーブン等を用いたベーキング処理により、当該プリント配線板の脱湿処理(温度:120〜150℃、時間:1.5〜2.5h)を行なって、含水率を0.2重量%以下のプリント配線板を得る。
【0023】
そして図1(d)に示したように、この得られたプリント配線板に、鉛フリーはんだ(例えば、実装温度が245〜260℃)を用いたリフロー処理(予備加熱:175〜180℃、120±10秒、本加熱:230℃以上(ピーク温度260℃)、60±5秒)によって、部品実装を行なう。
【0024】
このように、配線パターン(実装パッド等)の表面が金めっき膜やはんだ膜で保護されているプリント配線板に対しては、ベーキングによる酸化の懸念がないため、ベーキング処理により、容易に含水率を0.2重量%以下にすることができる。
【0025】
続いて図2は第二の実施形態で、常温の真空乾燥処理により脱湿処理する本発明プリント配線板の製造例を示す概略工程説明図であり、まず、図2(a)に示したように、配線パターンやソルダーレジスト等が形成されたプリント配線板の外形加工を行なった後、図2(b)に示したように当該プリント配線板にプリフラックス処理を施す。
【0026】
次に、図2(c)に示したように、常温の真空乾燥処理(真空度:0.1MPa以下、処理時間:0.5〜16時間)を行なって、含水率を0.2重量%以下のプリント配線板を得る。
【0027】
そして図2(d)に示したように、この得られたプリント配線板に、鉛フリーはんだ(例えば、実装温度が245〜260℃)を用いたリフロー処理(予備加熱:175〜180℃、120±10秒、本加熱:230℃以上(ピーク温度260℃)、60±5秒)によって、部品実装を行なう。
【0028】
このように、プリフラックス処理を施したプリント配線板に対しては、脱湿処理として常温の真空乾燥処理を用いることにより、実装パッド等の表面を酸化させることなく、容易に含水率を0.2重量%以下にすることができる。
【0029】
図3は、常温の真空乾燥処理を還元ガス雰囲気内で行なう場合の本発明プリント配線板の製造例を示す概略工程説明図であり、図3(c)に示したように、常温の真空乾燥処理を還元ガス雰囲気内で行なう以外は図2と基本的に同一である。
【0030】
このように、還元ガス雰囲気内で常温の真空乾燥処理を行なうことにより、脱湿処理と同時に酸化膜を除去することができるので、プリフラックス処理したプリント配線板を長期間自然放置したことによって、実装パッド等の表面が酸化してしまった場合等に特に有利である。
【0031】
試験例1
絶縁層がFR−4からなる4層プリント配線板(以降これをサンプル1と呼ぶこととする)と、SEM−3からなる両面(2層)プリント配線板(以降これをサンプル2と呼ぶこととする)を用いて、含水率による不具合発生状況を試験観察した。
【0032】
まず、上記サンプル1、2をベーキング処理(温度:120℃、処理時間:2時間)して絶対乾燥状態(含水率0重量%)とし、次いで、当該絶対乾燥状態のサンプルに対して加湿処理(温度:40℃、湿度:90%)を行なうことによって、各サンプルで含水率が0.2重量%(7日間の加湿処理)のものと0.3重量%(30日間の加湿処理)のものを用意した。
【0033】
次いで、0時間、24時間、48時間、96時間常温放置(温度:25℃、湿度:60%)した各含水率のサンプル1、2に対してリフロー処理(予備加熱:180℃、125秒、本加熱:230℃以上(ピーク温度260℃)、60秒)を行ない、層間剥離(デラミネーション)やミーズリング等の不具合発生状況を観察した。この結果は表1のとおりであった。
【0034】
【表1】


【0035】
表1の結果から分かるように、サンプル1、2とも、含水率が0.2重量%の場合には不具合が発生せず、含水率が0.3重量%の場合には、いずれのサンプルにおいても不具合が発生することが確認できた。従って、鉛フリーはんだ処理等の高温処理を施す際に、プリント配線板の含水率を少なくとも0.2重量%以下とすることによって、上記不具合の発生を防止することが確認できた。
【0036】
試験例2
プリフラックス処理後、上記試験例1と同様の加湿処理を行なって、含水率を0.3重量%とし、次いで、上記試験例1と同様のリフロー処理を行なって、強制的に実装パッドを酸化させたサンプルに対して、還元ガス雰囲気内(ガス種:Ar−H2ガス(Ar:95%、H2:5%)、ガス圧力:1L/min)で、常温の真空乾燥処理(真空度:0.1MPa、処理時間:16時間)を行なった。その結果、含水率が0.18重量%で、且つ実装パッド上での共晶はんだの濡れ広がり性が良好であることが確認できた。従って、当該処理にて脱湿処理と同時に酸化膜も除去されたことが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】脱湿処理をベーキング処理で行なう本発明プリント配線板の製造例を示す概略工程説明図。
【図2】脱湿処理を常温の真空乾燥処理で行なう本発明プリント配線板の製造例を示す概略工程説明図。
【図3】還元ガス雰囲気内で常温の真空乾燥処理を行なう本発明プリント配線板の製造例を示す概略工程説明図。
【出願人】 【識別番号】000228833
【氏名又は名称】日本シイエムケイ株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿六丁目5番1号
【出願日】 平成16年3月8日(2004.3.8)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【公開番号】 特開2005−252120(P2005−252120A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−63389(P2004−63389)