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【発明の名称】 薄型基板用固定治具の再生方法
【発明者】 【氏名】牛越 陽子
【住所又は居所】長野県塩尻市大字広丘竪石2146−5 しなのポリマー株式会社内

【氏名】小松 博登
【住所又は居所】埼玉県さいたま市北区吉野町1丁目406番地1 信越ポリマー株式会社東京工場内

【要約】 【課題】弱粘着性層が耐久寿命となった際、弱粘着性層の少なくともその表面を化学的あるいは物理的に取り除き、平板を再利用することができる方法を提供する。

【解決手段】弱粘着性層3が耐久寿命となった際、該粘着性層3を溶剤溶解した後、再度弱粘着性層3を形成する。また、弱粘着性層3が耐久寿命となった際、該弱粘着性層3の表面を物理的に研磨・除去した後、残った弱粘着性層6の上に再度弱粘着性層8を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板の片面に弱粘着性層を形成した薄型基板用固定治具の再生方法であって、弱粘着性層を再生する際、該粘着性層を溶剤溶解した後、再度弱粘着性層を形成することを特徴とする薄型基板用固定治具の再生方法。
【請求項2】
平板の片面に弱粘着性層を形成した薄型基板用固定治具の再生方法であって、弱粘着性層を再生する際、該弱粘着性層の表面を物理的に研磨・除去した後、残った弱粘着性層の上に再度弱粘着性層を形成することを特徴とする薄型基板用固定治具の再生方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型フレキシブルプリント配線基板を載置、固定する薄型基板固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、生産性の向上や高信頼性により、近時、多くの電子機器に使用されている。近年、電子機器の小型化、軽量化に対応すべく、フィルム状の絶縁基板表面に導体パターンを備えたフレキシブルプリント配線基板(以下、FPCという)が多用されている。このFPCにおいては、上記導体パターン表面に電子部品を実装する、いわゆる表面実装方式が広く採用されている。
FPCは、通常、搭載する電子部品の配設位置等に応じて、クリームハンダ塗布工程等を経た後、このクリームハンダ塗布部に電子部品を搭載し、その後、これらを加熱してクリームハンダを溶融、硬化し、上記電子部品をFPCに接合する(特許文献1参照)。
【0003】
FPCは、フレキシブルであるが故に、また、最近の小型化の進行によっても、以上の各工程や、保管・移送等に際してその都度個別に取り扱うことは、繁雑であり、不安定でもあるので、剛性を有する板材(プレート)表面に弱粘着性接着剤層(弱粘着性層)を形成した薄型基板用固定治具を用いて、その弱粘着性層にFPCを装着して以上の各工程や、保管・移送等することが行われている。
【特許文献1】特開昭63−204695号公報
【0004】
薄型基板用固定治具の弱粘着性層は、表面の状態で粘着力が大きく変化する。特に長期的に使用を重ねると、薄型基板のエッジによる傷や、ごみの付着等により表面状態が粗面化され(図1)、耐久寿命を迎えていた。しかし、薄型基板用固定治具の平板は、アルミニウムやマグネシウム等の耐久寿命が長く剛性の高い材料が通常用いられ、弱粘着性層が機能しなくなっても使用できる状態である。特にマグネシウムは非常に高価なため、再使用を強く望まれている。
従来も一部で薄型基板用固定治具の再生が試みられてきたが、弱粘着性層をスクレーパー等により機械的に剥離して再生する方法が取られていて、この方法では、平板表面を傷つけてしまうばかりではなく、マグネシウムは削れかすを発火させる危険性があるため大きな問題となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、平板の片面に弱粘着性層を形成した薄型基板用固定治具において、弱粘着性層を再生する際、弱粘着性層の少なくともその表面を化学的あるいは物理的に取り除き、平板を再利用することができる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薄型基板用固定治具の再生方法は、弱粘着性層を再生する際、該粘着性層を溶剤溶解した後、再度弱粘着性層を形成することを特徴とする。
また、弱粘着性層を再生する際、該弱粘着性層の表面を物理的に研磨・除去した後、残った弱粘着性層の上に再度弱粘着性層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、薄型基板用固定治具の平板を傷付けたり削り取ったり等のダメージを与えないので、平板を繰り返し利用することができる。また、新たな弱粘着性層の粘着強度等の性状を元の弱粘着性層のものと異ならせることができ、FPCの仕様変更等にも適時に容易に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、薄型基板用固定治具の弱粘着性層表面を再生する際、該弱粘着性層の少なくとも表面を化学的あるいは物理的に取り除き、再度弱粘着性層を形成することによって、平板を再利用することを基本とする。
以下に、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態を示す説明図であって、(a)は、長期使用の結果、弱粘着性層を再生する薄型基板用固定治具、(b)は、(a)の弱粘着性層を溶剤を用いて溶解して得た平板、(c)は、平板上に再度弱粘着性層を形成して再生された薄型基板用固定治具を示す。
図2は、本発明の第二の実施の形態を示す説明図であって、(a)は、図1(a)と同様の、長期使用の結果、弱粘着性層が耐久寿命となった薄型基板用固定治具、(b)は、(a)の弱粘着性層の表面部分を物理的に取り除いて、表面部分の特に荒れた弱粘着性層を除去した状態、(c)は、平板上に残された弱粘着性層上に再度弱粘着性層を形成して再生された薄型基板用固定治具を示す。
【0009】
本発明の第一の実施の形態について説明する。
図1において、1は、平板2上に、長期使用の結果、表面が荒れて耐久寿命となった弱粘着性層3を有する耐久寿命となった薄型基板用固定治具である(a)。この耐久寿命となった薄型基板用固定治具1上の耐久寿命となった弱粘着性層3を、弱粘着性層は溶解し、平板には格別のダメージを与えない適宜の溶剤を用いて溶解除去して、平板2を得る(b)。平板2を清拭し、清拭した平板2上に、再度、新たな弱粘着剤層を適宜の手段により形成し、固化・硬度調整の加熱処理を施して新たな弱粘着性層4を形成して、再生薄型基板用固定治具5とする(c)。
弱粘着性層の表面は、鏡面に仕上げられていることが望ましい。
【0010】
清拭された平板上に形成される弱粘着性層は、平板全面を均一に覆うものであっても良いし、弱粘着性層が載置される電子部品に適合するパターン形状をなすものであっても良い。また、弱粘着性層に適宜の凹凸部が形成されても差し支えない。
清拭された平板上に弱粘着性層を形成するには、カレンダーロール法等により直接弱粘着剤層を形成することもでき、また、強度を有する支持シート上に弱粘着剤層を形成しておいて転写することもできる。さらには、弱粘着剤層に後熱処理を施す時期は、平板上に形成される前後を問わない。
【0011】
平板が金属である場合には、平板表面にカップリング剤入りの接着剤の薄層を形成した上に、FPCを接着する弱粘着性層を形成することが望ましい。
再生薄型基板用固定治具は、通例通り、新たな弱粘着性層4上にFPC(図示せず)が粘着・固定されて保管・移送され、また、FPCの所用個所にはクリームハンダ等が印刷等により配置され、フリップチップ(電子部品)が載置され、加熱処理されて、実装される。
平板2の材質としては、クリームハンダによる電子部品の実装のための加熱に耐え得る耐熱性を有する剛体であり、かつ、弱粘着性層を溶解する溶剤に犯されないものであれば、格別の制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ガラスエポキシ複合板、マグネシウム、マグネシウム合金などが好適なものとして挙げられる。
【0012】
新たな弱粘着剤層4を形成させる材質としては、耐熱性、耐寒性、自己密着性を有し、繰り返し粘着することができるものが望ましく、例えば、シリコーン、ポリイミドシリコーン、末端に硬化性官能基を有するフッ素化ポリエーテル骨格を有するフッ素系エラストマーを硬化せしめたものなど耐熱性の高いエラストマー材料が挙げられる。
カップリング剤としては、適宜のものを用いることができ、例えば、シランカップリング剤などが例示され得る。
弱粘着性層を化学的に溶解する溶剤としては、適宜のものを用いることができ、弱粘着性層がシリコーンを主体とするものである場合、例えば、C10〜C13のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸などが挙げられ、ドデカンないしガソリンで希釈して用いられる。ドデカンで希釈したものは、例えば、東京材料(株)から「ダイジェジル」の名称で市販されている。
なお、以上の説明では元の弱粘着性層の全てを溶解除去する例について説明してきたが、これに限られることなく、元の弱粘着性層を残した状態で再生操作に供することでも差し支えないことはいうまでもない。
【0013】
本発明の第二の実施の形態について説明する。
図2において、(a)は、図1(a)と同様の、平板2上に、長期使用の結果、表面が荒れて耐久寿命となった弱粘着性層3を有する耐久寿命となった薄型基板用固定治具である。この耐久寿命となった薄型基板用固定治具1上の耐久寿命となった弱粘着性層3の表面部分を物理的に研磨し、荒れた表面部分を除去し整える(b)。表面が整えられた弱粘着性層6の上に、新たな弱粘着剤層が形成され、接合熱処理、後熱処理を施して、新たな弱粘着性層7が形成され(c)、整えられた弱粘着性層6と新たな弱粘着性層7とが平板2上の新たな弱粘着性層8となり、全体で再生薄型基板用固定治具9を構成する。
【0014】
表面が荒れた弱粘着性層を物理的に研磨する方法としては、レーザーを照射して蒸発除去する方法や、サンドブラスト、ウェットブラスト、パフがけ等による方法が用いられ得る。中でも、レーザー照射による方法が、表面層の除去量をコントロールし易いので、好ましい。この際に、平板に弱粘着性層除去操作に伴うダメージが及ばないことに留意することが肝要である。
表面が荒れた弱粘着性層の除去量に格別の制限はないが、元の弱粘着性層の厚さの半分程度を目安とすると、除去操作をコントロールし易い。
表面が荒れた弱粘着性層を除去する際に、整えられた弱粘着性層の表面には細かな凹凸が存在することがあるが、未硬化の新たな弱粘着性層を積層することによって細かな凹凸は吸収されるので、格別問題となることはなく、却ってアンカー効果が期待できて接合強度が向上する利点もある。
【0015】
新たな弱粘着性層の材質は、元の弱粘着性層の材質と同じものである場合には、両者の接合がより容易になる利点があるが、それに限らず、例えば適用するFPCの仕様等の変更に適応するため等により、異なる材質のものとすることがより好ましいこともある。
なお、以上の説明では元の弱粘着性層が長期使用の結果、表面が荒れて耐久寿命となった弱粘着性層た例について説明してきたが、これに限られることなく、FPCの仕様変更等で弱粘着性層の変更が必要になった場合も、本件発明における「弱粘着性層を再生する際」に含めることとする。
【実施例1】
【0016】
[実施例1]
薄型基板用固定治具のアルミニウム平板の弱粘着性層がミラブル型のシリコーン樹脂KE−9510U(信越化学工業(株)製)からなる薄型基板用固定治具の弱粘着性層の粘着力が低下したため、薄型基板用固定治具をダイジェジルNC(発売元 東京材料(株))溶液に浸漬してシリコーン樹脂を分解させ、荒れた弱粘着性層を除去した。得られたアルミニウム平板を水洗後、再度元の弱粘着性層と同材質の弱粘着剤からなる未硬化のシリコーン樹脂シートを貼付け、加熱硬化一体化させ、再生薄型基板用固定治具を作製した。
得られた再生薄型基板用固定治具をFPCへの電子部品の実装工程に供したが、新品の薄型基板用固定治具と何ら遜色が認められなかった。
【0017】
[実施例2]
薄型基板用固定治具のアルミニウム平板の弱粘着性層がミラブル型のシリコーン樹脂KE−9510U(信越化学工業(株)製)からなる薄型基板用固定治具の弱粘着性層の粘着力が低下したため、レーザーを使用して耐久寿命となった弱粘着性層面をその厚みが半分程度になるまで研磨し、研磨した表面上に新たな弱粘着性層として先のKE−9510U(未硬化)からなるシートを貼付け、加熱硬化一体化させ、再生薄型基板用固定治具を作製した。
得られた再生薄型基板用固定治具をFPCへの電子部品の実装工程に供したが、新品の薄型基板用固定治具と何ら遜色が認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明により、薄板基板用固定治具の再生、弱粘着性層の交換が安価に、簡便に行えるようになり、さらには、FPCの仕様変更等に迅速・簡便に適応できるようにもなり、電子機器製造の分野における薄型基板用固定治具の利便性が格別に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す説明図であって、(a)は、長期使用の結果、弱粘着性層が耐久寿命となった薄型基板用固定治具、(b)は、(a)の弱粘着性層を溶剤を用いて溶解して得た平板、(c)は、平板上に再度弱粘着性層を形成して再生された薄型基板用固定治具を示す。
【図2】本発明の第二の実施の形態を示す説明図であって、(a)は、図1(a)と同様の、長期使用の結果、弱粘着性層が耐久寿命となった薄型基板用固定治具、(b)は、(a)の弱粘着性層の表面部分を物理的に取り除いて、表面部分の特に荒れた弱粘着性層を除去した状態、(c)は、平板上に残された弱粘着性層上に再度弱粘着性層を形成して再生された薄型基板用固定治具をしめす。
【符号の説明】
【0020】
1:(耐久寿命となった)薄型基板用固定治具
2:平板
3:(長期使用の結果、表面が荒れて耐久寿命となった)弱粘着性層
4:(新たな)弱粘着性層
5:再生薄型基板用固定治具
6:(表面が整えられた)弱粘着性層
7:(新たな)弱粘着性層
8:(新たな)弱粘着性層
9:再生薄型基板用固定治具
【出願人】 【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町4丁目3番5号
【出願日】 平成16年3月5日(2004.3.5)
【代理人】 【識別番号】100093735
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 鐘司

【識別番号】100105429
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 尚孝

【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎

【公開番号】 特開2005−252101(P2005−252101A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−62750(P2004−62750)