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【発明の名称】 フレキシブルプリント配線板用層間絶縁膜、その製造方法およびフレキシブルプリント配線板
【発明者】 【氏名】越後 良彰
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社内

【氏名】繁田 朗
【住所又は居所】京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株式会社内

【氏名】飯島 朝雄
【住所又は居所】東京都豊島区南大塚三丁目32番1号 株式会社ノース内

【氏名】大沢 健治
【住所又は居所】東京都豊島区南大塚三丁目32番1号 株式会社ノース内

【氏名】遠藤 仁誉
【住所又は居所】東京都豊島区南大塚三丁目32番1号 株式会社ノース内

【氏名】小林 和好
【住所又は居所】石川県能美郡根上町赤井町は86番地 ソニーケミカル株式会社根上事業所内

【氏名】花村 賢一郎
【住所又は居所】石川県能美郡根上町赤井町は86番地 ソニーケミカル株式会社根上事業所内

【要約】 【課題】回路形成面との接着性および電気的、機械的、熱的信頼性を確保しつつ、層間絶縁膜としての厚みを十分に薄くし、多層型フレキシブルプリント配線板の厚み方向の配線密度を向上させ、かつフレキシブルプリント配線板としての平坦性を確保できる層間絶縁膜およびその製造方法、ならびに該絶縁膜を用いたフレキシブルプリント配線板を提供すること。

【解決手段】厚み5μm以上125μm以下の支持体フィルムの一方の面に厚み1μm以上10μm以下の第1ポリイミド層を有し、他方の面に厚みが10μmを超え50μm以下の第2ポリイミド層を有してなる層間絶縁膜、および該絶縁膜が使用されたフレキシブルプリント配線板。支持体フィルムの両面にポリイミド前駆体溶液を塗工し、乾燥後、150℃以上400℃以下の温度で熱イミド化して第1ポリイミド層および第2ポリイミド層を形成する上記層間絶縁膜の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み5μm以上125μm以下の支持体フィルムの一方の面に厚み1μm以上10μm以下の第1ポリイミド層を有し、他方の面に厚みが10μmを超え50μm以下の第2ポリイミド層を有してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用層間絶縁膜。
【請求項2】
支持体フィルムが非熱可塑性のポリイミドからなり、第1ポリイミド層および第2ポリイミド層が熱圧着性を有するポリイミドからなることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板用層間絶縁膜。
【請求項3】
第1ポリイミド層または第2ポリイミド層の少なくとも一方の層上に厚み20μm以上150μm以下の離型フィルムが積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブルプリント配線板用層間絶縁膜。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の層間絶縁膜が使用されたフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
支持体フィルムの両面にポリイミド前駆体溶液を塗工し、乾燥後、150℃以上400℃以下の温度で熱イミド化して第1ポリイミド層および第2ポリイミド層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の層間絶縁膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の製造のために使用される層間絶縁膜およびその製造方法ならびにフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属箔回路を多層で有する多層型フレキシブルプリント配線板は、基層上に金属箔回路が形成されてなるプリント回路板に層間絶縁膜が積層され、さらに金属箔回路形成および層間絶縁膜形成が繰り返されてなっている。
【0003】
プリント回路板としては、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも片面に金属箔が熱圧着性のポリイミド層を介して積層されてなるフレキシブル金属箔積層体が知られている(例えば、特許文献1〜6)。そのようなフレキシブルプリント配線板においては、特に、非熱可塑性ポリイミド層の両面に金属箔を有する場合、耐熱性ポリイミド層の両面に熱圧着性ポリイミド層を有する構造の積層体が、回路(金属箔回路)を層間で絶縁状態に保持するための層間絶縁膜として機能している。層間絶縁膜における熱圧着性ポリイミド層の厚みは、一般的には両面ともに同一の値に設定され、さらに最も典型的には2〜10μmの範囲から選択されていた。
【0004】
しかしながら、そのような層間絶縁膜を、金属箔回路が多層で形成されてなる多層型フレキシブルプリント配線板の製造に使用した場合、層間絶縁膜と回路形成面との接着性を確保することが難しく、また多層型フレキシブルプリント配線板の平坦性を確保することが難しかった。さらには、層間絶縁膜として電気的、機械的、熱的信頼性を確保しつつ、層間絶縁膜としての厚みを十分に薄くし、多層型フレキシブルプリント配線板の厚み方向の配線密度を向上させることは、困難であった。例えば、厚み方向の配線密度を高くするために層間絶縁膜の熱圧着性ポリイミド層の厚みを単に薄くしただけでは、金属箔回路の埋め込み性が低下し、その周辺に空隙・気泡が発生して層間絶縁膜としての電気的、機械的および熱的信頼性が低下し易かった。
【特許文献1】特開2000−103010号公報
【特許文献2】特開2001−270033号公報
【特許文献3】特開2001−270034号公報
【特許文献4】特開2001−270035号公報
【特許文献5】特開2001−270037号公報
【特許文献6】特開2001−270039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、本発明の目的は、回路形成面との接着性および層間絶縁膜としての電気的、機械的、熱的信頼性を確保しつつ、層間絶縁膜としての厚みを十分に薄くし、多層型フレキシブルプリント配線板の厚み方向の配線密度を向上させ、かつフレキシブルプリント配線板としての平坦性を確保できる層間絶縁膜およびその製造方法、ならびに該絶縁膜を用いたフレキシブルプリント配線板を提供することである。
【0006】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の厚みを有する熱可塑性ポリイミド層をポリイミドフィルムの両面に積層した3層構造体により目的とする層間絶縁膜が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、厚み5μm以上125μm以下の支持体フィルムの一方の面に厚み1μm以上10μm以下の第1ポリイミド層を有し、他方の面に厚みが10μmを超え50μm以下の第2ポリイミド層を有してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板用層間絶縁膜、および該層間絶縁膜が使用されたフレキシブルプリント配線板に関する。
【0008】
本発明はまた、支持体フィルムの両面にポリイミド前駆体溶液を塗工し、乾燥後、150℃以上400℃以下の温度で熱イミド化して第1ポリイミド層および第2ポリイミド層を形成することを特徴とする上記層間絶縁膜の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の層間絶縁膜は、回路形成面との接着性および層間絶縁膜としての電気的、機械的、熱的信頼性に優れている。
また本発明の層間絶縁膜は厚みが十分に薄いので、該層間絶縁膜を使用した多層型フレキシブルプリント配線板は厚み方向の配線密度が向上し、かつフレキシブルプリント配線板としての平坦性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のフレキシブルプリント配線板用層間絶縁膜は、図1に示すように、支持体フィルム3の一方の面に第1ポリイミド層1を有し、他方の面に第2ポリイミド層2を有してなり、第2ポリイミド層2の厚みが第1ポリイミド層1より大きい。詳しくは、第1ポリイミド層の厚みは1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上9μm以下、より好ましくは2μm以上6μm以下であり、第2ポリイミド層の厚みは10μmを超え50μm以下、好ましくは11μm以上50μm以下、より好ましくは12μm以上35μm以下である。
【0011】
本発明においては第1および第2ポリイミド層の厚みを上記のように異ならせしめることにより、前記目的を有効に達成できる。すなわち、回路形成面との接着性および層間絶縁膜としての電気的、機械的、熱的信頼性を確保しつつ、層間絶縁膜としての厚みを十分に薄くし、多層型フレキシブルプリント配線板の厚み方向の配線密度を向上させ、かつフレキシブルプリント配線板としての平坦性を確保できる。第1ポリイミド層の厚みが1μm未満であると、金属箔との接着強度が低下する。第1ポリイミド層の厚みが10μmを超えたり、または第2ポリイミド層の厚みが50μmを超えると、層間絶縁膜としての厚みが十分に薄くならないため、該層間絶縁膜を用いた多層型フレキシブルプリント配線板の厚み方向の配線密度が低下する。第2ポリイミド層の厚みが10μm以下であると、回路形成面との接着性が低下する。また、金属箔回路の埋め込み性が低下し、その周辺に空隙・気泡が発生するため、層間絶縁膜としての電気的、機械的および熱的信頼性が低下する。
【0012】
第1ポリイミド層および第2ポリイミド層はいずれも熱圧着性を有するポリイミドからなり、詳しくは、ガラス転移温度300℃未満、特に180〜300℃、好ましくは200〜270℃のポリイミドからなることが望ましい。本明細書中、熱圧着性とは、ポリイミド層に対して所定の熱圧条件で金属箔を積層したとき、該金属箔が室温下においてもポリイミド層に対して一体不可分に保持され得る特性をいうものとする。所定の熱圧条件とは通常、350℃、40kgf/cm×60分である。
【0013】
本明細書中、ガラス転移温度はTMA(TAインスツルメント社製TMA2940型)によって測定された値を用いている。しかしながら、上記装置によって測定されなければならないというわけではなく、上記装置と同様の原理に従って測定可能な装置であれば、いかなる装置によって測定されてもよい。
【0014】
第1ポリイミド層および第2ポリイミド層を構成するポリイミドは芳香族ポリイミドであることがさらに好ましい。芳香族ポリイミドは、下記一般式(I);
【化1】


で表される。
【0015】
式(I)中、Rは4価の芳香環含有基を表し、炭素数1〜3のアルキル基およびパーフルオロアルキル基等の置換基を有していても良い。Rの具体例として例えば、
【化2】


が挙げられ、好ましくは
【化3】


が挙げられる。
【0016】
の具体例中、Xは2価の有機基を表し、rは0または1の整数を表す。Xの具体例として例えば、
【化4】


が挙げられ、好ましくは
【化5】


が挙げられる。
【0017】
式(I)中、Rは2価の芳香環含有基を表し、炭素数1〜3のアルキル基およびパーフルオロアルキル基、ならびにカルボキシル基等の置換基を有していても良い。Rの具体例として例えば、
【化6】


が挙げられ、好ましくは
【化7】


が挙げられる。
【0018】
の具体例中、Yは2価の有機基を表し、sは0または1の整数を表す。Yの具体例として例えば、
【化8】


が挙げられ、好ましくは
【化9】


が挙げられる。Yの具体例中、tは1〜3の整数、好ましくは2を表し、uは1〜8の整数、好ましくは3〜7を表す。
【0019】
式(I)中、nは正の整数を表す。
【0020】
上記のような芳香族ポリイミドからなる第1ポリイミド層および第2ポリイミド層は、例えば、支持体フィルムの両面にポリイミド前駆体溶液を塗工し、乾燥後、熱イミド化して形成することができる。
【0021】
ポリイミド前駆体とは、加熱によってイミド化が起こり、ポリイミドが形成される化合物であり、そのような化合物であれば如何なるものも用いることができる。
【0022】
そのようなポリイミド前駆体として、例えば、下記一般式(II);
【化10】


(式中、R、Rおよびnは前記式(I)においてと同様である)で表されるポリアミック酸を用いることができる。ポリアミック酸は通常、ポリアミック酸と溶媒からなるポリイミド前駆体溶液として使用される。
【0023】
ポリイミド前駆体溶液を構成する溶媒としては特に制限されず、例えば、非プロトン性極性溶媒、エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物が挙げられる。
【0024】
非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド等が挙げられる。
エーテル系化合物としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール等が挙げられる。
水溶性アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール等が挙げられる。
【0025】
これらの溶媒は2種以上を混合して用いることができる。これらの溶媒のうち、特に好ましい例としては、単独溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられ、また、混合溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンとメタノール、N−メチル−2−ピロリドンと2−メトキシエタノール等の組み合わせが挙げられる。
【0026】
ポリイミド前駆体溶液としてのポリアミック酸溶液は、下記一般式(III);
【化11】


(式中、Rは前記式(I)においてと同様である)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(IV);
【化12】


(式中、Rは前記式(I)においてと同様である)で表される芳香族ジアミンとを、上記溶媒、例えば非プロトン性極性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0027】
上記一般式(III)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンの二無水物等が挙げられる。これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物は2種類以上を混合して用いることもできる。
【0028】
本発明において、特に好ましい芳香族テトラカルボン酸二無水物として、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸を用いることが出来る。これらは単独または混合して用いることができる。
【0029】
上記構造式(IV)で示される芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス(p−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(m−アミノフェニル)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエート、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(m−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(p−アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,4−ビス(m−アミノフェニル)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(p−アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,5−ビス(m−アミノフェニル)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(p−アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン、1,7−ビス(m−アミノフェニル)テトラデカフルオロヘプタン等が挙げられる。これらの芳香族ジアミンは2種類以上を混合して用いることもできる。
【0030】
本発明において、特に好ましい芳香族ジアミンとして、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼンを用いることが出来る。これらは単独または混合して用いることができる。
【0031】
上記反応において、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの割合は、ジアミン1モルに対してテトラカルボン酸二無水物1.1〜0.9モルが好ましく、より好ましくはジアミン1モルに対しテトラカルボン酸二無水物が1.07〜0.93モルである。また、反応温度は、−30〜80℃が好ましく、−20〜70℃がより好ましい。
【0032】
また上記反応において、モノマー及び溶媒の混合順序は特に制限はなくいかなる順序でもよい。溶媒として混合溶媒を用いる場合は、個々の溶媒に別々のモノマーを溶解又は懸濁させておき、それらを混合し、撹拌下、所定の温度と時間で反応させることによっても、ポリアミック酸溶液が得られる。このポリイミド前駆体の溶液は2種類以上混合して用いることもできる。
【0033】
ポリイミド前駆体溶液を製造するに際しては、上記溶媒に可溶なポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等、他の耐熱性樹脂を混合することができる。さらに、接着性(密着性)向上やフィルム物性を向上させるため、シランカップリン剤や各種界面活性剤を微量添加することもできる。
【0034】
第1ポリイミド層および第2ポリイミド層の形成方法における好ましい一実施形態について詳しく説明する。
具体的には、まず、上記ポリイミド前駆体溶液を後述の支持体フィルムの一方の表面上に、熱硬化後の層厚が前記第1ポリイミド層厚み範囲内になるように塗工し、もう一方の表面上に熱硬化後の層厚が前記第2ポリイミド層厚み範囲内となるように塗工する。
【0035】
第1および第2ポリイミド層の塗工順序は特に制限されず、片面ずつ塗工し、いずれの層の塗工を先に行っても良いし、または両面同時に行っても良い。
また、第1および第2ポリイミド層の熱硬化後の厚みが前記範囲内になる限り、ポリイミド前駆体溶液は、1のポリイミド層の形成に際し、複数回に分けて塗工し、最後にこれらを熱硬化してもよい。
【0036】
また、組成や重合度等の異なる2種類以上のポリイミド前駆体溶液を用いてもよく、例えば、第1ポリイミド層形成用溶液と第2ポリイミド層形成用溶液のポリイミド前駆体組成を異ならしめ、厚みだけでなく、組成等も異なる第1および第2ポリイミド層を形成してもよいし、または1のポリイミド層の形成に際し、2種類以上のポリイミド前駆体溶液を用いて2層以上の多層構造としてもよい。
【0037】
ポリイミド前駆体溶液の塗工に際しては、工業的には、コーティング機械として、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクターブレードコータ等が使用できる。
【0038】
塗工後は、通常、乾燥を行って、前駆体層を形成する。乾燥温度は溶媒を除去できる限り、特に制限されず、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。前駆体層中には、ポリイミド前駆体の合成条件、乾燥条件、その他の理由等により、部分的にイミド化されたものが存在していても特に支障はない。
【0039】
乾燥後は、加熱によって十分にイミド化を行い、熱硬化させて、第1および第2ポリイミド層を得る。加熱温度はイミド化が起これば特に制限はなく、通常は、150℃以上400℃以下、特に200℃以上350℃以下が好適である。熱硬化は、製造ラインに加熱ゾーンを設ける方法等により行うことができる。
【0040】
支持体フィルムは厚み5μm以上125μm以下、好ましくは7μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下を有するものである。支持体フィルムの厚みが5μm未満であると、強度が不足し、積層時に破壊する恐れがある。厚みが125μmを超えると、層間絶縁膜としての厚みが十分に薄くならないため、該層間絶縁膜を用いた多層型フレキシブルプリント配線板の厚み方向の配線密度が低下する。
【0041】
支持体フィルムは、第1ポリイミド層および第2ポリイミド層の形成時においてそれらの層の平面性を確保できる程度の耐熱性と、層間絶縁膜使用時における該支持体フィルムと第1ポリイミド層および第2ポリイミド層との接着性とを有する限り、いかなる材料からなっていてもよく、好ましくは非熱可塑性ポリイミドからなっている。本発明でいう非熱可塑性ポリイミドは熱圧着性を有しないポリイミドであり、好ましくはガラス転移温度300℃以上、特に350℃以上の芳香族ポリイミドである。
【0042】
そのような芳香族ポリイミドは、nが上記ガラス転移温度を有する程度の値であること以外、前記一般式(I)と同様の式で表される。
【0043】
支持体フィルムを構成する前記一般式(I)の芳香族ポリイミドの好ましいRおよびRは、第1ポリイミド層および第2ポリイミド層においてと同様である。
【0044】
支持体フィルムはその片面または両面に厚み5μm以下の熱可塑性ポリマー層が予め積層されていてもよい。
【0045】
支持体フィルムとしては、例えば、カプトンH(デュポン社製)、ユーピレックスS, VT(宇部興産社製)として市販されているものを使用することができる。
【0046】
本発明においては、上記の様にして得られた少なくとも3層構造を有する層間絶縁膜の少なくとも一方の面、すなわち第1ポリイミド層または第2ポリイミド層の少なくとも一方の層上に、離型フィルムを積層することが出来る。離型フィルムは、本発明の層間絶縁膜をフレキシブルプリント配線板の製造のためにレイアップする際に、層間絶縁膜から剥離される。離型フィルムを予め積層しておくことにより、多層構造を有する層間絶縁膜(積層フィルム)のカールがより低減化されるので、レイアップの際の取り扱いがより簡便となる。
【0047】
離型フィルムとしてはいかなるものを用いても良いが、シリコーン粘着剤が積層されたポリプロピレンフィルム、TPXフィルム、ポリエステルフィルムなどが好ましく用いられる。離型フィルムの厚さは、フィルムベースのもので20μm以上150μm以下、特に30μm以上80μm以下が好ましいが、必要に応じて適宜の厚さのものが使用される。また離型フィルムの変わりに離型用の樹脂がコートされた離型紙を用いても良い。
【0048】
離型フィルムと層間絶縁膜との積層は加圧ロール等を用いて行うことができる。この際必要に応じて加熱しても良い。
【0049】
本発明において、層間絶縁膜は、フレキシブルプリント回路板、例えば、ポリイミド基板上に直接的あるいは耐熱性接着層を介して間接的に銅などの金属箔回路が形成されてなる金属回路板に適用され、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。
【0050】
層間絶縁膜が、例えば、ポリイミド基板上に直接的に銅箔回路が形成されてなるフレキシブルプリント回路板に適用される場合について、図2を用いて簡単に説明する。図2は、層間絶縁膜を用いて作成された多層型フレキシブルプリント配線板の一実施形態を示す概略構成図であり、ポリイミド基板5と銅箔回路6からなるフレキシブルプリント回路板7に対して、前記図1と同様の本発明の層間絶縁膜4が適用されて、フレキシブルプリント配線板10が得られる態様を示している。なお、図2における図1と同様の記号は図1においてと同様の部材を示すため、それらの説明は省略する。
【0051】
図2に示すように、本発明の層間絶縁膜4を、例えば厚み5〜20μmの銅箔を使用して回路パターン6を形成したフレキシブルプリント回路板7に適用する場合、層間絶縁膜4の第2ポリイミド層2をフレキシブルプリント回路板7の回路形成面に重ねあわせ、250〜400℃、好ましくは300〜350℃の温度、10〜100kg/cm2、好ましくは30〜50kg/cm2圧力で5〜60分間程度圧着し、回路板7における回路パターン6のライン間スペースを第2ポリイミド層2で充填して、多層型フレキシブルプリント配線板10を製造できる。
【0052】
図2においては、第1ポリイミド層1上に回路パターン6'がさらに形成されているが、このときさらにまた該パターン6'の上に層間絶縁膜を適用してもよい。そのような回路パターンの形成および層間絶縁膜の適用は所望により繰り返して行っても良い。なお、回路パターン(銅箔)6'の形成は通常、銅箔の粗面が第1ポリイミド層に接触するように行われる。図2中、銅箔の粗面は波線で表すものとする。
【0053】
また図2においては、基板5の両面に回路パターン6が形成され、それぞれの回路形成面の上に層間絶縁膜4が適用されているが、これに限定されるものではなく、基板5の片面にのみ回路パターン6が形成され、該回路形成面の上にのみ層間絶縁膜4が適用されていてもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
熱可塑性ポリイミド前駆体溶液の製造
<参考例1>
三つ口・フラスコに窒素ガス気流下、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル160.19g(0.80mol)、N−メチル−2−ピロリドン1000gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて上記内容物を30分間攪拌した後、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物165.04g(0.53mol)、および3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物73.47g(0.23mol)を加え、70℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、ポリアミック酸からなる均一な熱可塑性ポリイミド前駆体溶液を得た。これをTPI−1とする。
【0055】
<参考例2>
三つ口・フラスコに窒素ガス気流下、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル112.13g(0.56mol)、1,3−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゼン70.16g(0.24mol)、N−メチル−2−ピロリドン1000gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて上記内容物を30分間攪拌した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物223.61g(0.76mol)を加え、70℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、ポリアミック酸からなる均一な熱可塑性ポリイミド前駆体溶液を得た。これをTPI−2とする。
【0056】
<参考例3>
三つ口・フラスコに窒素ガス気流下、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン233.87g(0.80mol)、N−メチル−2−ピロリドン1000gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて上記内容物を30分間攪拌した後、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物223.61g(0.76mol)を加え、70℃の湯浴中で1時間攪拌を行い、ポリアミック酸からなる均一な熱可塑性ポリイミド前駆体溶液を得た。これをTPI−3とする。
【0057】
層間絶縁膜の製造
<実施例1>
上記熱可塑性ポリイミド前駆体溶液TPI−1を、厚み25μmのカプトンH(東レデュポン社製)の両面に熱硬化後の厚みが夫々3μm、17μmとなるように塗工した。塗工はバーコーターを用いて片面ずつ、3μm厚の層(第1ポリイミド層)、17μm厚の層(第2ポリイミド層)の順に行い、夫々の面を塗工後、2枚の外形30cm×40cm、内形26cm×36cm、厚み1mmのSUS製型枠にはさんで固定し、熱風オーブン中で80℃×30分、ついで130℃×20分乾燥した後、室温下に取り出した。乾燥後、80℃から250℃まで8時間かけて昇温した後、250℃で1時間熱処理を行い、厚み45μmの層間絶縁膜を得た。
【0058】
<実施例2>
塗工基材を厚み25μmのユーピレックスS(宇部興産社製)とし、熱硬化後の第1および第2ポリイミド層の厚みを夫々3μm、20μmとする他は実施例1と同様に行い、厚み48μmの層間絶縁膜を得た。
【0059】
<実施例3>
熱可塑性ポリイミド前駆体溶液をTPI−2とする他は実施例2と同様に行い、厚み48μmの層間絶縁膜を得た。
【0060】
<実施例4>
熱可塑性ポリイミド前駆体溶液をTPI−3とする他は実施例2と同様に行い、厚み48μmの層間絶縁膜を得た。
【0061】
<比較例1>
熱硬化後の第1および第2ポリイミド層の厚みをいずれも5μmとする他は実施例1と同様に行い、厚み35μmの層間絶縁膜を得た。
【0062】
<比較例2>
熱硬化後の第1および第2ポリイミド層の厚みをいずれも8μmとする他は実施例2と同様に行い、厚み41μmの層間絶縁膜を得た。
【0063】
<Tg測定>
各実施例および比較例におけるポリイミド層をガラス基板上に単独で形成したこと以外、上記と同様に形成し、当該層のTgを測定した。
【0064】
詳しくは、熱可塑性ポリイミド前駆体溶液TPI−1を、ガラス基板に熱硬化後の厚みが3μmとなるように塗工した。塗工後、熱風オーブン中で80℃×30分、ついで130℃×20分乾燥した後、室温下に取り出した。乾燥後、80℃から250℃まで8時間かけて昇温した後、250℃で1時間熱処理を行った。得られたポリイミド層をTMAによるTg測定に共した。
また他の溶液を用いて所定厚みの層を形成したこと以外、上記と同様の方法でTgを測定した。各層のTgを以下にまとめて示す。例えば、TgTPI−1/3は溶液TPI−1で形成した熱硬化後の厚み3μmのポリイミド層のガラス転移温度を示す。
【0065】
TgTPI−1/3=235℃
TgTPI−1/5=235℃
TgTPI−1/8=235℃
TgTPI−1/17=234℃
TgTPI−1/20=234℃
TgTPI−2/3=251℃
TgTPI−2/20=249℃
TgTPI−3/3=241℃
TgTPI−3/20=240℃
【0066】
<評価>
フレキシブルプリント配線板の製造
両面に3μmの熱可塑性ポリイミド層を有する総厚み25μmの3層ポリイミドフィルム(宇部興産社製;ユーピレックスVT)の両面に厚み12μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル社製、F2−WS)を350℃、40kgf/cm×60分の条件で積層し、両面銅箔のフレキシブル銅箔積層体を得た。なお、銅箔は粗面がポリイミドフィルムと接触するように積層した。この積層体の銅箔上に、乾燥後の厚みが約20μmとなるように感光性インキを均一に塗布し、80℃で30分間プリベークして溶媒を除去した。このプリベーク膜を露光し、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー式現像装置で30℃、吐出圧力1.5Kgf/cm2、2〜3分現像を行った後、水を用いてリンスした。ついで塩化鉄(III)水溶液からなるエッチング液を使用して配線が形成されない部分の銅箔をエッチングにより除去し、最後にエッチングレジストを除去し、50μmライン/スペースのパターンを形成し、フレキシブルプリント回路板(FPC)を得た。
【0067】
このようにして得られたフレキシブルプリント回路板の両面に、実施例または比較例で得られた層間絶縁膜を積層した。いずれの層間絶縁膜も第2ポリイミド層がフレキシブルプリント回路板の回路形成面と接触するように積層した。さらにその積層体の外側(両面;第1ポリイミド層)に厚み12μmの電解銅箔(古河サーキットフォイル社製、F2−WS)を、粗面を層間絶縁膜側に向けて積層し、全体を350℃、40kg/cm2×60分の条件で熱圧着して積層し、4層の銅層を有する多層型フレキシブルプリント配線板を得た。
【0068】
このようにして得られた多層型フレキシブルプリント配線板について、回路埋め込み性および接着強度を評価した。
評価方法
(1)回路埋め込み性
多層型フレキシブルプリント配線板の最外層の銅箔を、塩化鉄(III)水溶液を用いてエッチング除去した後、目視および断面のSEM撮影によって観察し、空隙・気泡の存在が確認されなかったものを○、確認されたものを×とした。
【0069】
(2)接着強度
多層型フレキシブルプリント配線板における50μmライン/スペースのパターン(内部の回路形成面)と層間絶縁膜との接着力をテンシロンテスター(インテスコ社製;精密万能材料試験機2020型)を用いて測定した。
接着力を測定するに際しては、上記基板を幅10mmに切断し、一方の面を粘着剤が両面に塗布された両面粘着テープによってアルミニウム板に固定した。そして、この状態でもう一方の面の最外層の銅箔と、該銅箔に隣接する層間絶縁膜とを180°方向に50mm/分間の速度で該層間絶縁膜に隣接する回路形成面から剥離することによって、接着強度を求めた。
【0070】
【表1】


【0071】
表中では以下の略称を用いた。
PI:ポリイミド
TPI:熱可塑性ポリイミド
【0072】
表から明らかなように、実施例1〜4で得られた層間絶縁膜から作成された多層型フレキシブルプリント配線板は、回路埋め込み性および接着強度がともに優れており、これらの層間絶縁膜は層間絶縁膜としての信頼性が高いことを示している。
これに対して、比較例1および2で得られた層間絶縁膜から作成された多層型フレキシブルプリント配線板は、回路埋め込み性および接着強度がともに劣っており、これらの層間絶縁膜は層間絶縁膜としての信頼性に欠けることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の層間絶縁膜の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の層間絶縁膜を用いて作成された多層型フレキシブルプリント配線板の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
1;第1ポリイミド層、2;第2ポリイミド層、3;支持体フィルム、4;層間絶縁膜、5;基板、6;6';金属箔、7;フレキシブルプリント回路板、10;フレキシブルプリント配線板。

【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市東本町1丁目50番地
【識別番号】598023090
【氏名又は名称】株式会社ノース
【住所又は居所】東京都豊島区南大塚三丁目32番1号
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】ソニーケミカル株式会社
【住所又は居所】東京都品川区大崎一丁目11番2号 ゲートシティ大崎イーストタワー8階
【出願日】 平成16年3月5日(2004.3.5)
【代理人】 【識別番号】100086405
【弁理士】
【氏名又は名称】河宮 治

【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣

【公開番号】 特開2005−252093(P2005−252093A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−62631(P2004−62631)