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【発明の名称】 高周波モジュール
【発明者】 【氏名】八十岡 興祐
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【要約】 【課題】高周波モジュールにおいて、導電性材料の選択や導電層の構造に依存しない不要放射対策を施して不要放射の外部への放射量を低減させること。

【解決手段】ベースプレート2と、導体カバー1との間で形成される空間内に基板3を有する高周波モジュールにおいて、導体カバー1とベースプレート2との間の隙間の所定の位置に介在させたそれぞれ無端の導電性エラストマー4aと、導電性エラストマー4bとの間隔を波長の1/4程度に設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、導体カバーとの間で形成される空間内に基板を有する高周波モジュールにおいて、
前記導体カバーと前記ベースプレートとの間の隙間の所定の位置に介在させた第1、第2の導電性エラストマーを備え、
前記基板から放射される不要電磁波の波長をλ0とするとき、前記第1の導電性エラストマーと、前記第2の導電性エラストマーとの間隔が略λ0/4に設定されたことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
ベースプレートと、導体カバーとの間で形成される空間内に基板を有する高周波モジュールにおいて、
前記導体カバーと前記ベースプレートとの間の隙間の所定の位置に介在させた導電性エラストマーを備え、
前記基板から放射される不要電磁波の波長をλ0とするとき、前記所定の位置が導体カバーのエッジから内側に略λ0/2の位置に設定されたことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項3】
前記導体カバーの端面と、前記ベースプレートの端面とが略同じ位置にあることを特徴とする請求項2に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
ベースプレートと、導体カバーとの間で形成される空間内に基板を有する高周波モジュールにおいて、
前記導体カバーと前記ベースプレートとの間の隙間の所定の位置に介在させた導電性エラストマーと、
前記導体カバーの端面の端から前記導電性エラストマーまでの間の隙間を埋める比誘電率εSの誘電体と、
を備え、
前記基板から放射される不要電磁波の波長をλ0とするとき、前記所定の位置が導体カバーのエッジから内側に略λ0/[2√(εS)]の位置に設定されたことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項5】
前記導体カバーの端面と、前記ベースプレートの端面とが略同じ位置にあることを特徴とする請求項4に記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュールに関するものであり、特に、電磁波の不要放射の放射量を低減させる高周波モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波モジュールなどの内部で発生した電磁波による不要放射を抑圧するためには、高周波モジュール全体をアルミなどの金属導体で覆ったり、あるいは、この金属導体で覆われた導体カバーと高周波回路が搭載された基板との間の隙間に導電性ガスケットなどの導電性被覆材を挿入するなどしていた。また、電波吸収体を使用して不要放射の放射量を低減させる手法なども併用されていた。
【0003】
ところが、周波数が極めて高くなると、高周波モジュールなどを遮蔽する導体カバーと高周波回路が搭載された基板との間の僅かな隙間でさえも高周波の漏洩や放射の問題が生ずることがある。上述の導電性ガスケットなどの導電性被覆材は、このような隙間を塞いで、不要放射の放射量を低減させるものとして、高周波モジュールにはよく用いられていた。
【0004】
一方、導電性被覆材は、通過する電磁波に対して自身表面で生ずる反射現象や、内部での吸収作用を利用して、外部への不要放射を抑制するようにしている。しかしながら、実際には、導電性被覆材には様々な角度で電磁波が進入するため、これらの電磁波のすべてを効果的に反射させることが困難であった。また、導電性被覆材の吸収特性もある程度の帯域に制限されるので、進入した電磁波を広帯域に減衰させることも困難であった。
【0005】
このような状況下において、芯材となる物体の表面上に導電性の異なる複数の材料を用いて形成された複数の導電層からなる導電性被覆材の開示例がある(特許文献1)。この特許文献1に示された導電性被覆材は、電磁波を各層で繰り返し反射させることにより、内部に透過する電磁波のエネルギーを減少させ、電磁波の不要放射を抑制するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−124654号公報(図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された導電性被覆材のように、材料の組成や導電層の構造に特徴を持たせた導電性被覆材を用いる手法では、各層に用いられる材料そのものが高価であり、また、異なる導電材料を何層にも積層する必要があるので、導電性被覆材のコストが上昇してしまうといった問題点があった。また、導電性材料や導電層の構造には周波数選択性があるので、不要放射を抑制したい周波数帯に依存して最適な導電性材料の選択が必要となり、あるいは最適な導電層の設計が必要となり、導電性被覆材の開発に多大な時間と多大なコストを投資しなければならないといった問題点があった。
【0008】
また、周波数の利用率が向上している状況や、海外を含めた電波法の規格が厳格化する状況に鑑みれば、従来のように、上述したような「物」に対する対策だけでは、規格値に対する設計マージンが不足するといった問題点も存在する。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、導電性材料の選択や導電層の構造に依存しない不要放射対策を施して、不要放射の外部への放射量を低減させた高周波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる高周波モジュールは、ベースプレートと、導体カバーとの間で形成される空間内に基板を有する高周波モジュールにおいて、前記導体カバーと前記ベースプレートとの間の隙間の所定の位置に介在させた第1、第2の導電性エラストマーを備え、前記基板から放射される不要電磁波の波長をλ0とするとき、前記第1の導電性エラストマーと、前記第2の導電性エラストマーとの間隔が略λ0/4に設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる高周波モジュールによれば、第1の導電性エラストマーから外側を見たインピーダンスが略無限大となるように第1の導電性エラストマーと第2の導電性エラストマーとの間隔を略λ0/4に設定するようにしているので、不要電磁波の外部への放射を低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる高周波モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる高周波モジュール端部の断面構造を示す模式図である。同図に示す構造は、不要な高周波信号(不要電磁波)の放射量を低減させるための構造である。同図において、ベースプレート2には、高周波回路などが形成された基板3が搭載されている。また、基板3の上部には基板3を遮蔽する導体カバー1が備えられている。さらに、ベースプレート2と導体カバー1は、接合部7で互いに対面しており、接合部7の周辺に段差部8や溝(図示せず)を有している。接合部7の内側で、ベースプレート2と導体カバー1の間の隙間の所定の位置には、無端(周方向に端面を有さない)の導電性エラストマー4aが導体カバー1とベースプレート2との間の隙間を塞ぐ目的で挿入されている。また、導電性エラストマー4aの外側には導電性エラストマー4bが同様な目的で挿入されている。
【0014】
なお、図1では、基板3はベースプレート2上にあるように図示しているが、必ずしもベースプレート2上にある必要はない。また、導電性エラストマー4a、4bは、例えばシリコン系樹脂材料を基材として、銀、銀めっきされた銅、銀めっきされたアルミニウムなどの磁性体を含有させて構成される。導電性エラストマー4a、4bは無端であることが好適であるが、必ずしも無端でなくても良く、断面が円形や角形や異形などの形状で細長い導電性エラストマーの両端面を互いに接触させたり、あるいは当該両端面を波長に比して充分に短い間隔で近接配置しても良いことは言うまでもない。導体カバー1とベースプレート2は、接合部7で互いに対面して、ねじ結合や接着結合によって互いに固定される。導体カバー1は基板3を収容するための空間が形成されている。
【0015】
基板3には、例えば、電圧制御発振器(VCO)、逓倍器、増幅器などの高周波回路が形成される(図示省略)。これらの回路は、高周波信号を生成して高周波モジュール内の他の回路や高周波モジュールの外部にある所定の回路に、所望周波数の高周波信号を伝送する。例えば、高周波モジュールが無線通信装置の一部分を構成する場合、高周波モジュールは外部の所定の回路に対して、所望周波数の高周波信号を送信電波として出力する。その一方で、これらの高周波モジュール内部の回路では、自身が発生させた高周波信号の一部が不要電磁波として高周波モジュールの内部に放射される。例えば、高周波モジュールがVCOの発振信号から所望周波数の高周波信号を得る場合に、当該発振信号を逓倍させてから増幅処理を行うものがある。このような高周波モジュールの内部では、VCOの発振信号の周波数帯で不要電磁波が放射されることがある。
【0016】
ところで、導電性エラストマーは、内部空間と外部空間とを効果的に遮蔽するため、一般的に、圧縮性の性質を有するものが用いられる。図1に示す高周波モジュールの例であれば、導体カバー1とベースプレート2との間の隙間を塞ぐために、導電性エラストマー4aを挿入している。
【0017】
しかしながら、導電性エラストマー4aを挿入していたとしても、上述したように、高周波モジュールの内部に放射された不要電磁波の一部は、導電性エラストマー4aを通過して外部に漏洩してしまう。このような漏洩電磁波は、出力レベルが所定レベル以下となるように、海外を含めた電波法の規格で規定されている。例えば、不要波の発振源からの出力信号を、−41.2[dBm]以下となるような規定する必要がある。そこで、この漏洩電磁波を低減させるために挿入させたものが導電性エラストマー4bである。
【0018】
まず、導電性エラストマー4bの挿入効果を定性的に説明すれば、導電性エラストマー4aから高周波モジュールの外部を見たインピーダンスが略無限大になるように導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間を所定の長さに設定することで、基板3上の高周波回路から高周波モジュールの外部に向かう不要電磁波を低減させるようにしている。
【0019】
つぎに、導電性エラストマー4bの挿入効果を定量的に説明する。図2は、導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間をモデル化した図である。同図に示すように、導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間を線路長がLの分布定数線路で示している。同図において、線路長Lは導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間の距離である。また、Z0は導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間の空間(誘電率ε0)のインピーダンスであり、ZLは導電性エラストマー4bのインピーダンスであり、Zは端子T1,T2(導電性エラストマー4aの位置に相当)右方向を見たインピーダンスである。
【0020】
このように定義したとき、端子T1,T2から右方向を見たインピーダンスZは、一般的に次式で表せる。
【0021】
Z=Z0×[ZL+jZ0tan(β0L)]/[Z0+jZLtan(β0L)] ・・・(1)
式(1)において、β0は位相定数である。また、空間を伝搬する不要電磁波の波長をλ0とすれば、β0=(2π/λ0)で表せる。
【0022】
導電性エラストマー4bは非常に導電性の高い成分で生成されているので、導電性エラストマー4bのインピーダンスに相当する式(1)におけるZLを、ZL=0とおけば、式(1)は次式のようになる。
【0023】
Z=jZ0tan(β0L) ・・・(2)
【0024】
また、式(2)において、図1に示すように、導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間の距離を略λ0/4に設定すれば、式(2)において、L=λ0/4とおけばβ0L=π/2となるので、Z=∞となる。つまり、導電性エラストマー4aから外側を見たインピーダンスは無限大になる。このことは、高周波モジュールの内部に放射された不要電磁波のうち、導電性エラストマー4aの方向に向かう成分を低減させていることを意味している。
【0025】
このように、この実施の形態の高周波モジュールは、簡単な構造で自身の内部に放射された不要電磁波の外部への放射を効果的に低減させることができる。なお、製作上の関係で、例えば、図1に示す導電性エラストマー4bの外側に導体カバー1とベースプレート2とを挟む空間が存在するならば、さらにλ/4の位置に導電性エラストマーを挿入しても構わない。このような構造にすれば、不要電磁波の外部への放射をさらに低減させることができる。
【0026】
以上説明したように、この実施の形態の高周波モジュールによれば、導体カバーとベースプレートとの間の隙間の所定の位置に介在させた導電性エラストマー4aと、導電性エラストマー4bとが基板から放射される不要電磁波を2段階に渡って遮蔽するとともに、導電性エラストマー4aから外側を見たインピーダンスが略無限大となるように導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間隔を略λ0/4に設定しているので、高周波モジュールの内部に放射された不要電磁波のうち導電性エラストマー4aの方向に向かう成分を低減させることができる。
【0027】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2にかかる高周波モジュール端部の断面構造を示す模式図である。同図に示す構造は、不要電磁波の放射量を低減させるための他の構造であり、またその低減方法を示すものである。実施の形態1では、導電性エラストマー4aから外部方向の略λ0/4の位置に他の導電性エラストマー4bを挿入させる構造を採用したが、実施の形態2では、導電性エラストマー4bを用いずに、導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離を略λ0/2に設定しているところに特徴がある。なお、その他の構成については実施の形態1と同一あるいは同等であり、これらの部分には、同一符号を付して示している。
【0028】
図3において、ベースプレート2には、高周波回路などが形成された基板3が搭載されている。また、基板3の上部には基板3を遮蔽する導体カバー1が備えられている。さらに、ベースプレート2と導体カバー1との間の隙間の所定の位置には、無端の導電性エラストマー4aが導体カバー1とベースプレート2との間の隙間を塞ぐ目的で挿入されている。また、上述したように、導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離は略λ0/2に設定されている。なお、導電性エラストマー4aの端面の位置とベースプレート2の端面の位置とは必ずしも同程度の位置になくてもよいが、図2に示すように同程度の位置にある方がより好ましい。また、図3では、基板3がベースプレート2上にあるように図示しているが、実施の形態1と同様に、必ずしもベースプレート2上にある必要はない。ベースプレート2と導体カバー1との接合部7における、両者間の隙間は、導電性エラストマー4aの厚みよりも狭くする。
【0029】
この実施の形態では、導電性エラストマーを用いずに実施の形態1と同様に高周波モジュールの内部に放射された不要電磁波による外部への漏洩成分を低減させるようにしている。定性的に説明すれば、実施の形態1と同様であり、導電性エラストマー4aから高周波モジュールの外部を見たインピーダンスが略無限大になるように導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間を所定の長さに設定することで、基板3上の高周波回路から高周波モジュールの外部に向かう不要電磁波を低減させるようにしている。
【0030】
つぎに、実施の形態1と同様に導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離を略λ0/2に設定することの効果を定量的に説明する。
【0031】
まず、導電性エラストマー4aから右方向を見たインピーダンスZは、式(1)において、L=λ0/2とおけばβ0L=πとなり、tan(β0L)=0となることから、次式のようになる。
【0032】
Z=ZL ・・・(3)
【0033】
また、導体カバー1とベースプレート2との間は開放状態なので、ZL≒∞であり、式(3)から、Z≒∞となる。したがって、実施の形態1と同様に、導電性エラストマー4aから外側を見たインピーダンスは無限大であり、実施の形態1と同様な効果を得ることができる。
【0034】
以上説明したように、この実施の形態の高周波モジュールによれば、導電性エラストマー4aから外側を見たインピーダンスが略無限大となるように、導体カバー1の端面の端から内側に略λ0/2の位置に導電性エラストマー4aを介在させているので、高周波モジュールの内部に放射された不要電磁波のうち導電性エラストマー4aの方向に向かう成分を低減させることができる。
【0035】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3にかかる高周波モジュール端部の断面構造を示す模式図である。同図に示す構造は、不要電磁波の放射量を低減させるための実施の形態2とは異なる他の構造であり、またその低減方法を示すものである。実施の形態2では、導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離を略λ0/2に設定していたが、この実施の形態では導体カバー1とベースプレート2との間に誘電体シート6が挿入されるとともに、導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離が若干短く(λ0/[2√(εS)])設定されているところに特徴がある。導電性エラストマー4aと導体カバー1の側壁内側面との距離は、波長に比して充分に小さい。
なお、その他の構成については実施の形態1と同一あるいは同等であり、これらの部分には、同一符号を付して示している。
【0036】
図4において、ベースプレート2には、高周波回路などが形成された基板3が搭載されている。また、基板3の上部には基板3を遮蔽する導体カバー1が備えられている。さらに、ベースプレート2と導体カバー1との間の隙間の所定の位置には、無端の導電性エラストマー4aが導体カバー1とベースプレート2との間の隙間を塞ぐ目的で挿入されている。また、上述したように、導体カバー1とベースプレート2との間に、誘電率ε=εS×ε0(εS:比誘電率)の誘電体シート6が挿入され、導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離は略λ0/[2√(εS)]に設定されている。なお、導電性エラストマー4aの端面の位置とベースプレート2の端面の位置とは必ずしも同程度の位置になくてもよいが、図3に示すように同程度の位置にある方がより好ましい。また、図4では、基板3がベースプレート2上にあるように図示しているが、実施の形態1,2と同様に、必ずしもベースプレート2上にある必要はない。
【0037】
つぎに、実施の形態2と同様に導電性エラストマー4aと導体カバー1の端面の端との間の距離を略λ0/[2√(εS)]に設定することの効果を定量的に説明する。
【0038】
まず、導電性エラストマー4aから右方向を見たインピーダンスZは、式(1)を参照して次式で表すことができる。
Z=Z1×[ZL+jZ1tan(β1L)]/[Z1+jZLtan(β1L)] ・・・(4)
【0039】
式(4)において、Z1は比誘電率εSの誘電体シート6の特性インピーダンスであり、β1は誘電体シート6内を伝搬する不要電磁波の位相定数である。
【0040】
また、誘電体シート6内を伝搬する不要電磁波の波長をλ1とすれば、
β1=(2π/λ1) ・・・(5)
で表せる。
【0041】
また、不要電磁波の空間での波長λ0と比誘電率εSの誘電体媒質中での波長λ1との間には、次式の関係がある。
【0042】
λ1=λ0/√(εS) ・・・(6)
【0043】
したがって、導電性エラストマー4aから右方向を見たインピーダンスZは、式(4)において、L=λ0/[2√(εS)]とおき、式(5)および式(6)の関係を用いれば、β1L=πとなり、tan(β1L)=0となることから、次式のようになる。
【0044】
Z=ZL ・・・(7)
【0045】
また、導体カバー1とベースプレート2との間は開放状態なので、ZL≒∞であり、式(7)から、Z≒∞となる。したがって、実施の形態1、2と同様に、導電性エラストマー4aから外側を見たインピーダンスは無限大であり、実施の形態1、2と同様な効果を得ることができる。
【0046】
以上説明したように、この実施の形態の高周波モジュールによれば、導体カバーの端面の端から導電性エラストマーまでの間の隙間を比誘電率εSの誘電体を挿入し、導電性エラストマー4aから外側を見たインピーダンスが略無限大となるように、導体カバー1の端面の端から内側に略λ0/[2√(εS)]の位置に導電性エラストマー4aを介在させているので、高周波モジュールの内部に放射された不要電磁波のうち導電性エラストマー4aの方向に向かう成分を低減させることができる。
なお、導電性エラストマーと誘電体シート6の端面までの距離Aが、波長λに比して無視し得ない大きさを持っていても良い。この場合は、導体カバー1の側壁におけるベースプレート2との対向面に挿入する誘電体シートの幅Bとの間で、A=(B/2√(εS))−Bの関係が成立するように、距離Aと幅Bを設定すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる高周波モジュールは、レーダ装置や無線通信装置などに使用される高周波モジュールに適用することができ、特に、これらの装置において、EMIとして要求される規格値に対する設計マージンの確保に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる高周波モジュール端部の断面構造を示す模式図である。
【図2】導電性エラストマー4aと導電性エラストマー4bとの間をモデル化した図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかる高周波モジュール端部の断面構造を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態3にかかる高周波モジュール端部の断面構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1 導体カバー
2 ベースプレート
3 基板
4a,4b 導電性エラストマー
6 誘電体シート
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【出願日】 平成16年3月5日(2004.3.5)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明

【公開番号】 特開2005−252066(P2005−252066A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−62088(P2004−62088)