| 【発明の名称】 |
フレキシブル配線基板或いはフレキシブルフラットケーブルとコネクタとの接続部 |
| 【発明者】 |
【氏名】市川 雅照 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会社フジクラ内
|
| 【要約】 |
【課題】純錫或いは錫系合金によって電解めっき処理されたフレキシブル配線基板(以下FPC)或いはフレキシブルフラットケーブル(以下FFC)の銅配線端子部とコネクタとを嵌合した接続部において、特にコネクタのピン部によって押付けられたFPCの銅配線端子部等のめっき皮膜から急激に発生するウイスカーを、比較的簡単な手段で防止できる接続部を提供すること、また、めっき処理に前記錫系合金を用いる場合の鉛による環境問題をなくすことを目的とする。
【解決手段】純錫或いは鉛を含まない錫系合金による電解めっき処理が施されたFPC或いはFFCの銅配線端子部と、コネクタを嵌合して接続する接続部であって、前記コネクタの導体部にはピン部が形成され、このピン部と前記銅配線端子部の接触部分に液状樹脂を注入し、硬化部を形成したFPC或いはFFCとコネクタとの接続部とすることによって、解決される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 純錫或いは鉛を含まない錫系合金による電解めっき処理が施されたフレキシブル配線基板或いはフレキシブルフラットケーブルの銅配線端子部とコネクタを嵌合して接続する接続部であって、前記コネクタの導体部にはピン部が形成されこのピン部と前記銅配線端子部の接触部分に、液状樹脂が注入され硬化部を形成したことを特徴とするフレキシブル配線基板或いはフレキシブルフラットケーブルとコネクタとの接続部。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、純錫或いは鉛を含まない錫系合金による電解めっき処理されたフレキシブル配線基板或いはフレキシブルフラットケーブルの銅配線端子部と、ピン部を有するコネクタとを嵌合して接続した接続部に関するものである。 【背景技術】 【0002】 電子機器等に用いられる配線基板や部品等は、多くが銅や銅合金を配線として使用され、これ等を他の配線基板等と電気的に接続する場合、コネクタ接続も多く行なわれている。このようなコネクタ接続する場合には、配線とコネクタの接触抵抗を低くして導通不良をなくすために銅配線端子に表面処理が通常行なわれている。例えば、金、錫−鉛合金等による電解めっき処理である。しかしながら、金めっきはコスト的に高くなる問題があり、また鉛を含む合金によるめっき処理では、鉛が溶出して環境を汚染する問題が指摘されており、鉛フリー化が望まれている。このために、純錫めっきや鉛を含まない錫合金系のめっきが検討されている。しかし純錫めっきや鉛を含まない錫合金めっきの場合には、銅配線端子部をコネクタと嵌合して使用すると、コネクタのピンによって押付けられた箇所の周辺のめっき皮膜から、ウイスカーと称する髭状の結晶が急速に発生してくることが確認されている。このような現象は、純錫めっきや鉛を含まない錫系合金めっきにおいて顕著であることも解ってきた。さらに前記の現象は模擬実験によると、めっき皮膜を塑性変形させた後にも一定以上の圧力がかかっている時に起こる現象であることが確認された。このようなウイスカーの成長は、銅配線間等での短絡を生じて電子機器等のトラブルに繋がり好ましくない。 【0003】 このような、ピンが設けられたコネクタとの嵌合によって生じるウイスカーの問題を解決する技術が望まれているが、実用的な解決策は見いだされていないのが現状である。例えば特許文献1に見られるように、本発明者等が提案した錫を主成分とした錫−銅系合金を電解めっき処理により、銅或いは銅合金上に形成した錫−銅系合金の電解めっき皮膜に熱処理を施す方法によりウイスカーの発生を抑制することができるが、このような熱処理を施しためっき皮膜であっても、ピンを有するコネクタと嵌合させて長期間使用するとその接触部分からウイスカーが発生し、これを完全に防止することは難しいことが解った。そこで、これ等の問題点を解決できる技術を検討している。 【特許文献1】特開2003−193289号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 よって本発明が解決しようとする課題は、純錫或いは錫系合金によって電解めっき処理されたフレキシブル配線基板(以下FPC)或いはフレキシブルフラットケーブル(以下FFC)の銅配線端子部とコネクタとを嵌合した接続部において、特にコネクタのピン部によって押付けられたFPCの銅配線端子部等のめっき皮膜から急激に発生するウイスカーを、比較的簡単な手段で防止できる接続部を提供すること、まためっき処理に前記錫系合金を用いる場合の鉛による環境問題をなくすことを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、純錫或いは鉛を含まない錫系合金による電解めっき処理が施されたFPC或いはFFCの銅配線端子部と、コネクタを嵌合して接続する接続部であって、前記コネクタの導体部にはピン部が形成され、このピン部と前記銅配線端子部の接触部分に液状樹脂を注入し、硬化部を形成したFPC或いはFFCとコネクタとの接続部とすることによって、解決される。 【発明の効果】 【0006】 以上の本発明によれば、純錫或いは鉛を含まない錫系合金による電解めっき処理が施されたFPC或いはFFCの銅配線端子部と、コネクタを嵌合して接続する接続部において、前記コネクタの導体部に形成されたピン部と前記銅配線端子部の接触部の周辺に、液状樹脂が注入されて硬化部が形成されているので、コネクタのピン等によって押付けられたFPCやFFCの銅配線端子部の周辺のめっき皮膜から急激に発生するウイスカーを、比較的簡単な手段で防止した接続部とすることができる。また前記錫系合金は、鉛を含まない錫系合金であるから鉛による環境問題もない。さらに、前記純錫或いは鉛を含まない錫系合金の電解めっき処理が、前記コネクタの導体部にも施されることによって、コネクタの導体部のめっき層からのウイスカーの発生を防止できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、純錫或いは鉛を含まない錫系合金による電解めっき処理が施されたFPC或いはFFCの銅配線端子部と、コネクタを嵌合して接続する接続部であって、前記コネクタの導体部にはピン部が形成されこのピン部と前記銅配線端子部の接触部分に液状樹脂を注入し、硬化部を形成したFPC或いはFFCとコネクタとの接続部に関するものである。このような構造の接続部とすることによって、コネクタ嵌合による接続部のウイスカーの発生を比較的簡単に防止できる。 【0008】 図2(a)および(b)は、FPCの銅配線端子部(以下FPC端子部)とコネクタを接続する場合の概略を示す図面である。このコネクタはZIF(ゼロインサーションフォース)型コネクタと称され、電子機器類の配線用として多く使用されているコネクタである。この型のコネクタは、コネクタにFPC或いはFFCが挿入された後に、スライダでピンに押付けられる構造となっている。1はFPC端子部であり、ポリイミド樹脂等のベースフィルム2と同様の材料からなるカバーレイフィルム3の間に、銅導体4が配線されたものである。そして銅導体4がコネクタと接続される部分はカバーレイフィルム3が除去され、純錫や錫系合金の電解めっき層5が形成される。またFPC端子部1の下側にはコネクタと確実に嵌合させるためのプラスチック等からなる補強材6が配置されている。一方コネクタ7は、銅等の金属から製造されるコネクタ導体部8がプラスチック等のコネクタハウジング9中に配置されている。そして通常コネクタ導体部8にも錫系合金等のめっき層が施される。またコネクタ導体部8にはその先端部分に、FPC端子部1の銅導体4と接触導通するためのピン部10が形成されている。このため、コネクタに嵌合されたFPC端子部1の銅導体4とピン部10との接触部の周辺は、常に押し圧が加わることになる。その結果、FPC端子部1の銅導体4やコネクタ導体部8のピン部10の純錫、錫系合金のめっき層5、5′には、ウイスカーが急激に発生して成長することになる。そして成長したウイスカーは、銅配線間等の短絡の原因になる。 【0009】 このようなウイスカーの発生を防止するため本発明では、熱硬化型の液状樹脂や常温硬化型(2液混合型)を、FPC端子部1の銅導体4とコネクタ導体部8のピン部10が接触する部分の周辺部に注入することによって、防止できることを見いだした。図1を用いて説明する。図1は、FPC端子部1の銅導体4がコネクタ7に嵌合されたときの、コネクタ導体部8のピン部9の周辺部分を拡大した概略を示している。5は銅導体4上に施された鉛を含まない錫−銅合金のめっき層である。また5′はコネクタ導体部8に施された純錫めっき層である。コネクタの導体部8は、錫−銅合金めっき層5上からピン部10によって押付けられて接触し導通している。本発明のコネクタ接続部は、このような状態のピン部10周辺に熱硬化型の液状樹脂や常温硬化型の液状樹脂を注入し、硬化部11を形成しウイスカーが成長しようとする空間をなくしたものである。このことによって、ピン部10周辺に発生するウイスカーを抑制し成長することを防止できる。そして前記液状樹脂の注入は、コネクタの導体部8のピン部10の頂点から少なくとも10μm程度の範囲に形成すれば良いことが解った。なお、実際には微細な空間に液状樹脂を注入するので、FPC端子部1の銅導体4とコネクタ導体部8によって形成される空間の殆どが充填された状態になる。そして注入された液状樹脂は、硬化されて硬化部11を形成する。 【0010】 具体的には、前記液状樹脂の注入方法としては、注射針等によって注入される。また、硬化方法としては、常温硬化型の場合はそのまま放置すればよく、熱硬化型の場合はオーブンでの加熱や温風を当てることによって行なわれる。これは前述したように、液状樹脂が注入され硬化された硬化部11はピン部10頂点から少なくとも10μm程度の範囲に形成すれば良いためである。このような液状樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂のような熱硬化型樹脂や2液混合型の常温硬化型樹脂が使用される。特に常温硬化型のものが、取り扱い上から好ましい。このような構成のFPC端子部1とピン部10を有するコネクタ7との接続部とすることにより、ウイスカーが急激に発生することを抑制し、さらにウイスカーが成長することを防止できる。以上はFPC端子部の場合について説明したが、FPCのみならずFFCの銅配線端子部に用いた場合にも同様に効果があり、実用的なコネクタ接続部とすることができる。 【0011】 このように鉛を含まない錫系合金によって、FPC或いはFFCの銅配線端子部或いはコネクタの導体部を電解めっきしたものとすれば、鉛による環境問題を解決できることになる。錫−銅合金や錫−ビスマス合金は鉛の問題はないが、ウイスカーの発生が比較的顕著に生成する錫系合金であるが、本発明を適用することによってウイスカーの発生を抑制し、その成長を防止することができることが確認された。例えば錫系合金が、錫と10wt%以下の銅からなる錫−銅系合金においてもウイスカーの発生を抑制することができる。なお錫−鉛系合金においても、本発明の接続部はウイスカーの発生を抑制する効果がある。 【0012】 また純錫や鉛を含まない錫系合金の電解めっきを、FPCおよびFFCの銅配線端子部とコネクタの導体部の両方に施した場合にも、前記液状樹脂を注入し硬化部を形成させることによって、前記めっき皮膜から急激に発生するウイスカーを、比較的簡単な手段で防止した接続部とすることができる。このようにFPCやFFCの端子部の銅導体並びにコネクタ導体部にめっきが施された場合にも効果があることにより、市販のコネクタをそのまま使用できるので、実用的なコネクタ接続部とすることができる。まためっき処理に鉛を含まない錫系合金を用いれば、鉛による環境問題も生じないので好ましい。 【実施例】 【0013】 表1に記載した電解めっき層が5μm厚さに設けられ、5mmピッチで配線されたFPC並びにFFC端子部の銅導体と、コネクタ導体部にも前記と同様の電解めっきが施されたZIF型コネクタを嵌合し、コネクタ導体部のピン部にFPCおよびFFCの端子部が接触する接続部の周辺に、封止用液状エポキシ樹脂(日本合成化工社のアクメックス)を注入・硬化させて、FPCおよびFFCとコネクタとの接続部を作製した。これを室温で1000時間放置した後、前記接続部におけるウイスカーの発生の有無を調べた。観察はコネクタ中の硬化部を形成した樹脂を除去し、光学顕微鏡によって観察した。銅導体側のめっき層或いはコネクタ導体部側のめっき層のいずれにも、ウイスカーの発生が殆ど見られなかったものを○印で、どちらかにでもウイスカーの発生が見られたものを×印で示した。結果を表1に示した。 【0014】 【表1】
【0015】 表1から明らかなとおり、実施例1〜3および7に示したFPCの例では、FPC端子部の銅導体に錫−銅合金(Sn−Cu合金)めっき、錫−銀合金(Sn−Ag合金)或いは純錫(純Sn)めっきを施し、コネクタの導体部にはSn−Cu合金めっき或いは純Snめっきを施した4通りの組合せにおいて、樹脂硬化部を形成したものはウイスカーの発生が殆ど見られなかった。また実施例4〜6および8のFFCの場合は、FFC端子部の銅導体にSn−Cu合金、錫−ビスマス合金(Sn−Bi合金)めっき或いは純Snめっきを施し、コネクタの導体部にはSn−Cu合金めっき或いは純錫めっきを施した3通りの組合せにおいても、樹脂硬化部を形成した場合にはウイスカーの発生が殆ど見られなかった。また参考例1として示した、通常よく使用される錫−鉛合金(Sn−Pb合金)めっきでは、コネクタの導体部にSn−Cu合金めっきを施した場合にも、ウイスカーの発生は殆ど見られないが鉛の問題は避けられない。これに対して、比較例1〜8に示した場合には樹脂硬化部を形成しないので、Sn−Cu合金、Sn−Ag合金、Sn−Bi合金めっき或いは純Snめっきの組合せを変えても、いずれにもウイスカーの発生が見られた。 【産業上の利用可能性】 【0016】 以上説明した接続部は、純錫や錫系合金によって電解めっき処理されたFPC或いはFFCの銅配線端子部にピン部を有するコネクタを嵌合しても、ウイスカーを発生することが殆どないので、種々の用途に使用される実用的なコネクタ接続部である。 【図面の簡単な説明】 【0017】 【図1】FPC端子部とピン部を有するコネクタの断面を示す概略断面図である。 【図2】図1におけるピン部を拡大した概略断面図である。 【符号の説明】 【0018】 1 FPC端子部 2 ベースフィルム 3 カバーレイフィルム 4 1の銅導体部 5、5′ めっき層 6 補強材 7 コネクタ 8 コネクタの導体部 9 コネクタハウジング 10 ピン部 11 樹脂硬化部
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005186 【氏名又は名称】株式会社フジクラ 【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号
|
| 【出願日】 |
平成16年3月5日(2004.3.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078824 【弁理士】 【氏名又は名称】増田 竹夫
|
| 【公開番号】 |
特開2005−252064(P2005−252064A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月15日(2005.9.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−62071(P2004−62071) |
|