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【発明の名称】 多層配線板の製造方法
【発明者】 【氏名】湯浅 円
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友ベークライト株式会社内

【要約】 【課題】層間接合が良好で、導体回路の凹凸がなく平坦性に優れる多層配線板の製造方法を提供する。

【解決手段】導体回路101cを有する絶縁層101aと、前記導体回路上に前記絶縁層を貫通して突出するように形成された突出先端部に半田層101cを有する導体ポスト101bと、前記絶縁層の前記半田層が突出する面に、前記半田層を覆うように形成された接着剤層101dとを有する配線基板101を、重ね合わせた積層体102より、多層配線板105を製造する方法において、相対して第1の熱盤103aと第2の熱盤103bとを有する加熱加圧装置の第1の熱盤上に、前記積層体を載置し、前記第1の熱盤と前記第2の熱盤とを、前記積層体における半田層とそれに相対する導体回路とが非接触である間隔104に調整して、加熱する工程を有する多層配線板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体回路を有する絶縁層と、前記絶縁層を貫通して突出するように、前記導体回路上に形成され、少なくとも突出先端部に半田層を有する導体ポストと、前記絶縁層の前記半田層が突出する面に、前記半田層を覆うように形成された接着剤層とを有する配線基板を、重ね合わせた積層体より、多層配線板を製造する方法において、
相対して第1の熱盤と第2の熱盤とを有する加熱加圧装置の第1の熱盤上に、前記積層体を載置し、前記第1の熱盤と前記第2の熱盤とを、前記積層体における半田層とそれに相対する導体回路とが非接触である間隔に調整して、加熱する工程を有することを特徴とする多層配線板の製造方法。
【請求項2】
前記加熱温度は、前記半田層が溶融する温度である請求項1に記載の多層配線板の製造方法。
【請求項3】
前記半田層が加熱により溶融し、前記第1の熱盤と第2の熱盤との間隔を、前記導体回路と接合する多層配線板の厚みに調整する工程を有する請求項2に記載の多層配線板の製造方法。
【請求項4】
加圧して冷却する工程を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の多層配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の多層配線板の製造方法としては、従来では、配線板上に絶縁層及び導体回路を形成し、層間接続を繰り返すビルドアップ工法が適用されているが、工数が多いため生産性に限界があり、また、製造歩留まりに問題があった。一方、一括多層工法は、積み重ねた配線板を1回の加熱加圧の工程により、一括で層間接続を行うことが出来るため、生産性および製造歩留まり性が高い工法である。
【0003】
その工法の一つとして、半田を有する層間接続用ポストが形成された複数枚の配線板を一括積層する際に、半田を溶融する温度まで加熱した後に各層間を接続するために加圧する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。しかし、加熱加圧装置の熱盤上に前記複数枚の配線板を載置して加熱しただけでは、前記複数枚の配線板の上下で温度分布が生じる上に、上下の温度分布により前記複数枚の配線板に反りが発生し、加圧する前に部分的に層間が接続して接合不良となる。
【0004】
それ以外に、前記配線板を複数枚重ね合わせる際に、圧力により各層間を接続する方法がとられている(例えば、特許文献2参照。)。圧力による接合では、多層配線板となる接続用基板に形成された層間接続用導体ポストが被接続基板の接続位置に接続した後も加圧し続けることなり、高圧においては導体回路に凹凸等のうねりを発生させる。これは、層間接続用導体ポストの高さばらつきにも関係しており、層間接続用導体ポストが高い部分では圧力が集中するため、上記と同じく導体回路に凹凸を発生させる可能性がある。また、多層配線板を形成する最適な圧力は、配線板の接着剤の粘度、導体回路及び絶縁層の剛性、層間接続用導体ポストの密度等により変化するため、その都度に最適な条件を見出さなければならないため、歩留まりの低下を招く。
【特許文献1】特開2001−158447号公報
【特許文献2】特開2000−101253号公報(第8項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたもので、層間接合が良好で、導体回路の凹凸がなく平坦性に優れる多層配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
1. 導体回路を有する絶縁層と、前記絶縁層を貫通して突出するように、前記導体回路上に形成され、少なくとも突出先端部に半田層を有する導体ポストと、前記絶縁層の前記半田層が突出する面に、前記半田層を覆うように形成された接着剤層とを有する配線基板を、重ね合わせた積層体より、多層配線板を製造する方法において、相対して第1の熱盤と第2の熱盤とを有する加熱加圧装置の第1の熱盤上に、前記積層体を載置し、前記第1の熱盤と前記第2の熱盤とを、前記積層体における半田層とそれに相対する導体回路とが非接触である間隔に調整して、加熱する工程を有することを特徴とする多層配線板の製造方法、
2. 前記加熱温度は、前記半田層が溶融する温度である第1項に記載の多層配線板の製造方法、
3. 前記半田層が加熱により溶融し、前記第1の熱盤と第2の熱盤との間隔を、前記導体回路と接合する多層配線板の厚みに調整する工程を有する第2項に記載の多層配線板の製造方法、
4. 加圧して冷却する工程を有する第1項乃至第3項のいずれかに記載の多層配線板の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、層間接合の不良を発生することなく、また、導体回路に凹凸がなく、歩留まりの高い良好な多層配線板を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、導体回路を有する絶縁層と、前記絶縁層を貫通して突出するように、前記導体回路上に形成され、少なくとも突出先端部に半田層を有する導体ポストと、前記絶縁層の前記半田層が突出する面に、前記半田層を覆うように形成された接着剤層とを有する配線基板を、重ね合わせた積層体より、多層配線板を製造する方法において、相対して第1の熱盤と第2の熱盤とを有する加熱加圧装置の第1の熱盤上に、前記積層体を載置して製造する際に、前記第1の熱盤と前記第2の熱盤とを、前記積層体における半田層とそれに相対する導体回路とが非接触である間隔に調整して、加熱する工程を有することを特徴とする多層配線板の製造方法であり、好ましくは、前記半田層が加熱により溶融後に、前記第1の熱盤と第2の熱盤との間隔を、前記半田層が前記導体回路と接合する多層配線板の厚みに調整することで、良好な層間接合が得られ、また、各配線基板板上に回路うねりを抑制することができるものである。更には、層間接合後に、加圧して冷却する工程を行うことにより、より平坦性に優れる多層配線板の製造することができるものである。
【0009】
以下に、図面を用いて本発明による多層配線板の製造方法の実施の形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されることはない。
本発明に用いられる配線基板101は、図1(A)に示すように、絶縁層101aの少なくとも一方の面に導体回路101cが形成され、また、絶縁層101aを貫通して突出するように、導体回路101c上に形成され、少なくとも突出先端部に半田層101eを有する層間接続用導体ポスト101bを有するものであれば、どのようなものでもよい。例えば、ポリイミド樹脂からなる絶縁層101aと、銅箔との2層構造体からなる基板から、サブトラクティブ方法により導体回路101cを形成して、前記絶縁層101aをレーザーなどにより、ビアホールを形成し、前記ビアホールに電気メッキなどにより層間接続用導体ポスト101bを形成したものなどが挙げられる。あるいは、金属板上にアディティブ法により導体回路101cを形成して、導体回路101c側に絶縁層101aを形成しても良く、この場合は、金属板を除去することにより導体回路101cが絶縁層101aに埋め込まれているので好ましい。
【0010】
ここで、層間接続用導体ポスト101bとは、第1の配線基板と、対となる第2の配線基板との層間を接続することができる層間接続用金属より構成されるポスト状の導体層のことである。前記層間接続用金属としては、銅、ニッケルおよび半田などを挙げることができ、中でも、電気抵抗が低い銅が好ましい。また、層間接続用ポストが層間接合用金属と同じ半田のみで構成しても良く、この場合は工程の短縮ができるため好ましい。
【0011】
配線基板101の層間接続用導体ポスト101bが露出する側に接着剤層101dを形成する(図1(A))。この場合、接着剤層に用いる接着剤は、各配線基板の密着性を向上することができる上に、多層配線板を製造するにあたって、半田接合において加熱により前記半田層を溶融させる際に半田の表面清浄化機能を有しているものであれば良い。
【0012】
次に、上記で得た配線基板101を複数枚用いて位置あわせを行い積層体102を形成する(図1(B))。位置あわせの方法としては、ピンラミネーションや、CCDカメラを用いた方法などが挙げられる。特に、CCDカメラを用いる際には、各配線基板101に位置決めマーク(図示無し)を設置しておき、CCDカメラで、光学的に測定して、層間接続できるように任意の場所へ配線基板101を移動させ、各配線基板101を重ね合わせることにより、高精度な位置決めを行うことができるため好ましい。
【0013】
続いて、本発明における多層配線板の製造方法を、図1(C)を用いて詳細に説明する。積層工程で使用する第1の熱盤103aと第2の熱盤103bを有する加熱加圧装置の熱盤103は、第1の熱盤103bと第2の熱盤103aとが相対する位置に平行に設置されており、この1対の熱盤の平行度は、加熱加圧する工程において保持されるものである。
【0014】
まず、第1の熱盤103a上に積層体102を載置する。次に、第1の熱盤103aと第2の熱盤103bとの間隔104が、前記第1の熱盤103aと前記第2の熱盤103bとを、積層体102におけるそれぞれの半田層101eとそれらに相対する導体回路102cとが非接触である間隔に調整する(図1(C))。この状態から、第1の熱盤103a及び第2の熱盤103bを任意の温度まで加熱する。任意の温度は、積層体102に使用している半田の融点以上であることが好ましい。
【0015】
加熱中は積層体102と、第1の熱盤103aおよび第2の熱盤103bとは接触しているのみの状態であるため、積層体102は第1の熱盤103aからの加熱だけでなく、第2の熱盤103bからの加熱も加わる。そのため、積層体102内部に上下の温度分布が発生しない上に、積層体102の反りが抑制される。積層体102の層間接続用導体ポスト101bに形成されている半田層101eが溶融しても、対となる導体回路101cに接触しないため、この後の加圧工程において、良好な層間接合を得ることができる。
【0016】
次に、積層体102の層間接続用導体ポスト101bを、対となる配線基板に接合するように加圧して多層配線板105を得る(図1(D))。加圧の方法としては、得られる多層配線板105の厚みと、間隔104の厚みが同等になるように、第1の熱盤103aまたは第2の熱盤103bあるいは両方の熱盤を調整する。
ここで、積層する工程において圧力により制御をすると、層間接続用導体ポスト101bが、対となる導体回路101cに接続された後も加圧し続けることになり、層間接像導体ポスト101bによって導体回路101cに負荷がかかることになる。微細な導体回路101cであるほど、この負荷が許容できず、導体回路101cに凹凸が発生する。また、導体回路101cの剛性、層間接続用導体ポスト101bの密度、接着剤層101dの粘度により圧力は変化してしまうため、その都度、最適な条件に圧力を調整することが好ましい。
【0017】
次に、上記で得た多層配線板105を冷却するが、この際に、上下の熱盤103を加圧して冷却することが好ましい。第1の熱盤103aおよび第2の熱盤103bは、使用する温度と共に熱膨張や収縮が発生することから、圧着工程において目的の厚みになるように間隔104を制御していても、次の冷却工程において第1の熱盤103aおよび第2の熱盤103bは収縮し、場合によっては、第2の熱盤103bと多層配線板105は接触しなくなり、接続不良や多層配線板105の不均一な厚み分布が発生することがある。
この接続不良や不均一な厚み分布を防止する上で、前記冷却工程において間隔104の調整から荷重の調整に替えることにより、第1の熱盤103aおよび第2の熱盤103bの熱膨張、収縮の影響を受けることなく、多層配線板105と第1の熱盤103aおよび第2の熱盤103bを接触させることができるため、接合不良なく、厚み分布が発生しない多層配線板を製造することができる。
【0018】
本発明における間隔104の制御の方法としては、例えば、ボールネジにより第1の熱盤103aもしくは第2の熱盤103bを移動させる方式では、ネジの回転数とボールネジの駆動量により間隔104を制御することができる。また、ピックアップゲージ、レーザーセンサー等によって平行平板間の間隔104を測定し、測定値をコントローラにフィードバックさせて制御する方法も挙げられる。この場合は、間隔104を実際に測定していることになるため好ましい。
【0019】
なお、図1で示した前記多層配線板の製造方法の例においては、配線基板101を3枚重ねる例を示したが、4枚以上重ねることで、より層数の多い多層配線板を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における多層配線板の製造方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
101a 絶縁層
101b 層間接続用導体ポスト
101c 導体回路
101d 接着剤層
101 配線基板
102 積層体
103a 第1の熱盤
103b 第2の熱盤
104 間隔
105 多層配線板
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号
【出願日】 平成16年3月3日(2004.3.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−251951(P2005−251951A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−59874(P2004−59874)