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【発明の名称】 配線基板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中田 昌和
【住所又は居所】東京都品川区東五反田2丁目17番1号 ソニーイーエムシーエス株式会社内

【氏名】水野 泰宏
【住所又は居所】東京都品川区東五反田2丁目17番1号 ソニーイーエムシーエス株式会社内

【要約】 【課題】複数層の導体パターンを有する配線基板において、層間接続の信頼性が高い配線基板及びその製造方法を提供する。

【解決手段】絶縁基材にビアホールを形成し、ビアホール内に層間接続時の加熱温度よりも高い融点を有する第2の金属からなる心材と、導体パターンを形成する金属と金属拡散を生じる第1の金属からなる表面層とを有するコート導電粒子を充填する。そして、加熱加圧することにより、コート導電粒子の導電粒子塊を形成するとともに、導体パターン金属と第1の金属との金属拡散層を形成し、この金属拡散層により複数層の導体パターンを電気的に接続させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる絶縁基材に、導体パターンを複数層有する配線基板において、
上記絶縁基材に設けられたビアホール内に充填されたコート導電粒子が加熱加圧されることにより形成された導電粒子塊と、
上記コート導電粒子を形成する金属と上記導体パターンを形成する金属との拡散により形成される該導電粒子塊と導体パターンとを電気的に接続する金属拡散層とを有し、
上記コート導電粒子は、層間接続時の加熱温度よりも高い融点を有する第2の金属からなる心材と、上記導体パターンを形成する金属と金属拡散を生じる第1の金属からなる表面層とを有する
ことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
上記コート導電粒子は、上記第2の金属からなる心材と、上記第1の金属からなる表面層との間に第3の金属からなる中間層を有し、
上記第3の金属は、上記第2の金属中への拡散速度が上記第2の金属中への上記第1の金属の拡散速度よりも小さい金属、及び/又はイオン化傾向が上記第1の金属と上記第2の金属との間に位置する金属である
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
上記熱可塑性樹脂は、上記第1の金属の融点よりも高い軟化点を有することを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
上記第1の金属は、スズ又はインジウムを含むものであるか、又は、スズ、銀、銅、亜鉛、鉛、アンチモン、ビスマス、パラジウム、インジウム及び金から選択される2つ以上の金属を含むものであることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項5】
上記第2の金属は、銅、銀、金、亜鉛、パラジウム及びニッケルから選択される1つ以上の金属を含むものであることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項6】
上記第1の金属は、上記コート導電粒子の質量の5質量%〜60質量%を占めることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項7】
上記第1の金属はスズであり、上記第2の金属は銅であることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項8】
上記第1の金属はスズであり、上記第2の金属は銀であり、上記第3の金属は銅であることを特徴とする請求項2記載の配線基板。
【請求項9】
熱可塑性樹脂からなる絶縁基材に、導体パターンを複数層有する配線基板の製造方法において、
上記絶縁基材にビアホールを形成する形成工程と、
上記ビアホール内に層間接続時の加熱温度よりも高い融点を有する第2の金属からなる心材と、上記導体パターンを形成する金属と金属拡散を生じる第1の金属からなる表面層とを有するコート導電粒子を充填する充填工程と、
加熱加圧することにより、上記コート導電粒子の導電粒子塊を形成するとともに、上記導体パターンの金属と上記第1の金属との金属拡散層を形成し、上記複数層の導体パターンを電気的に接続する接続工程と
を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項10】
上記接続工程では、所定時間、上記第1の金属の融点以上、且つ上記熱可塑性樹脂の軟化点未満の温度にて加圧し、上記所定時間後、上記熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度にて加圧することを特徴とする請求項9記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
上記コート導電粒子は、上記第2の金属からなる心材と、上記第1の金属からなる表面層との間に第3の金属からなる中間層を有し、
上記第3の金属は、上記第2の金属中への拡散速度が上記第2の金属中への上記第1の金属の拡散速度よりも小さい金属、及び/又はイオン化傾向が上記第1の金属と上記第2の金属との間に位置する金属である
ことを特徴とする請求項9記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
上記熱可塑性樹脂は、上記第1の金属の融点よりも高い軟化点を有することを特徴とする請求項9記載の配線基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数層の導体パターンを有する配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数層の導体パターンを有する配線基板の製造方法として、例えば下記特許文献1に開示された技術がある。この技術は、配線基板のビア内に導体パターンを形成する金属と合金を形成し得る第1の金属粒子と、層間接続時の加熱温度より高い融点を有する第2の金属粒子とを含むペーストを充填し、加熱加圧することにより配線基板を製造するものである。その際、充填されたペーストは、一体化した導電性組成物となり、複数層の導体パターンは、導体パターンを形成する金属と導電性組成物中の第1の金属とから形成された金属拡散層を介し、電気的に接続される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−110243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、導体パターンを形成する金属と拡散を生じる第1の金属と、層間接続時の加熱温度より高い融点を有する第2の金属との間で比重や大きさが異なるため、図10に示すようにビア内に2種の金属粒子101(101a及び101b)が均一に入っていない虞がある。図10は、第1の金属粒子101aと第2の金属粒子101bとが充填されたビアホールの断面を示しており、図10(a)のまま加熱加圧すると、図10(b)に示すように適当な金属拡散が生じないため接触不良を起こしてしまう。
【0005】
図10(a)において、領域A1は、第2の金属粒子101bが局在化し、第1の金属粒子101aが適正量よりも少ない状態にあり、領域B1は、第1の金属粒子101aが局在化し、第1の金属粒子101aが適正量よりも多い状態にあり、領域C1は、導体パターン近傍ではなく、ビアホールの中程で第1の金属粒子101aが局在化し、第1の金属粒子101aが適性量よりも多い状態にある。
【0006】
図10(b)は、加熱加圧することにより、上記領域A1、B1及びC1の場合における層間接続状態をそれぞれ領域A2、B2及びC2として示している。
【0007】
領域A1の状態のように金属拡散を生じる第1の金属粒子101aが適正量より少ない場合、金属拡散が起こらず、領域A2の状態のように導体パターン103との導通は、第2の金属粒子101bの接触のみとなり信頼性が低下してしまう。
【0008】
また、領域B1の状態のように第1の金属粒子101aが適正量より多い場合、領域B2の状態のように第1の金属粒子101aと接触する導体パターン103の金属拡散層の厚みが必要以上に厚くなる。しかし、この金属拡散層自体は脆いため、必要以上に厚い金属拡散層が形成すると接続信頼性を確保することが難しくなってしまう。
【0009】
また、領域C1の状態のように第1の金属粒子101aが局在化している場合、領域C2の状態のように第1の金属粒子101a同士が溶融や凝集を起こしてしまい、体積が著しく減少し、導体パターンとの接触が得られなくなり導通不良を起こす可能性がある。
【0010】
また、金属拡散を生じる第1の金属粒子101aを大きな粒子として用いることは、拡散不良による導電性の低下やビア内部のボイドによる信頼性の低下の一因となる。そして、この導電性及び信頼性の低下は、配線基板の高密度化によるビアの小径化が進むとさらに深刻なものとなる。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、複数層の導体パターンを有する配線基板において、層間接続の信頼性が高い配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上述した目的を達成するために、本発明は、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材に、導体パターンを複数層有する配線基板において、絶縁基材に設けられたビアホール内に充填されたコート導電粒子が加熱加圧されることにより形成された導電粒子塊と、導電粒子塊を形成するコート導電粒子を形成する金属と導体パターンを形成する金属との拡散により形成される該導電粒子塊と導体パターンとを電気的に接続する金属拡散層とを有している。ここで、コート導電粒子は、層間接続時の加熱温度よりも高い融点を有する第2の金属からなる心材と、導体パターンを形成する金属と金属拡散を生じる第1の金属からなる表面層とを有するものである。
【0013】
また、本発明は、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材に、導体パターンを複数層有する配線基板の製造方法において、絶縁基材にビアホールを形成し、ビアホール内に層間接続時の加熱温度よりも高い融点を有する第2の金属からなる心材と、導体パターンを形成する金属と金属拡散を生じる第1の金属からなる表面層とを有するコート導電粒子を充填する。そして、加熱加圧することにより、コート導電粒子の導電粒子塊を形成するとともに、導体パターン金属と上記第1の金属との金属拡散層により複数層の導体パターンを電気的に接続させ、導電粒子塊の空隙及び導体パターンと導電粒子塊との空隙に熱可塑性樹脂を流入させる。
【発明の効果】
【0014】
複数層の導体パターンを接続する層間接続材料であるコート導電粒子は、第2の金属からなる心材の表面に導体パターンの金属と金属拡散を生じる第1の金属がコーティングされていることにより、金属組成が導電粒子あたりほぼ同一となるため、ビアホール内の金属組成を局在化することなく均一化させることができる。これにより、コート導電粒子が接触した部分のみに金属間化合物層を形成させることができる。また、第1の金属はコーティングされているため、第1の金属が占める体積は粒子のように大きくならない。したがって、金属拡散により層間接続させた後、加熱加圧を急速に行っても体積収縮しにくいためボイドの発生が少ない。これらのことにより、ビアの接続信頼性が向上するとともに加熱加圧工程の効率を向上させることが可能となる。
【0015】
また、心材となる第2金属の表面に第3の金属からなる中間層を設けることにより、心材となる第2金属に対して表面層を形成する第1の金属が及ぼす影響を軽減することが可能となる。例えば、第2の金属に対して第1の金属が非常に容易に拡散してしまう場合、第1の金属と拡散しにくい第3の金属を第2の金属にコーティングすることにより、第2の金属に第1の金属が拡散しにくくなり、第1の金属は粒子外の導体パターンや導電粒子同士と効率的に金属拡散させることができる。また、第2の金属に対して直接第1の金属をコーティングしにくい場合にも、中間層である第3の金属をコーティングすることにより第1の金属のコーティングが可能となる。
【0016】
また、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材は、第1の金属の融点よりも高い軟化点を有し、層間接続工程の加熱加圧する際の温度を第1の金属の融点以上、且つ基材樹脂の軟化点未満の温度に制御することにより、導電粒子塊と導体パターンを形成する金属との金属拡散中に樹脂の軟化・流動が発生しないため、ビア内に基材樹脂が流れ込むことはない。これによりコート導電粒子が一体化した導電粒子塊の形成及び粒子と導体パターン間の金属拡散層の形成は、基材樹脂に阻害されることないため、安定した層間導通が得られる。そして、その後さらに加熱し、導体パターンとビア充填粒子間の空隙及びビア粒子同士の空隙に絶縁基材の樹脂を流入させることにより、層間接続の強度が補強されるため、金属拡散層が有する脆性が緩和し、信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の具体例として示す配線基板は、その製造過程において、層間の導体パターンを接続する層間接続部に、導体パターンを形成する金属と金属拡散を起こす金属がコーティングされたコート導電粒子を充填することにより、導体パターン間の接続に高い信頼性を得るものである。
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態における配線基板の製造方法をその工程順に示す断面図である。
【0019】
図1(a)に示すように、片面もしくは両面が粗化された銅箔等の金属箔1と、絶縁基材の熱可塑性樹脂フィルム2、例えば、厚さ25〜100μmの液晶ポリマー(LCP)などからなる熱可塑性樹脂フィルム2とを熱融着や接着等により貼り着け(図1(b))、金属箔1をエッチングすることにより、導体パターン3を形成する(図1(c))。
【0020】
ここで、熱可塑性樹脂フィルム2は、加熱プレスにより融着が可能であり、基板に部品をはんだづけする工程等に必要な耐熱性を有する樹脂からなっている。したがって、熱可塑性樹脂フィルム2には、液晶ポリマー以外に、例えば、結晶性ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK:融点334℃)、ポリフェニレンスルフィド(PPS:融点278℃)や、非晶性ポリマーであるポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルホン(PES)などの樹脂を用いることができる。また、金属箔1には、銅以外に、例えば銀、ニッケルなどの導電性を有するものを用いることができる。
【0021】
次に、図1(d)に示すように、図1(c)の熱可塑性樹脂フィルム2の導体パターン3側から所定の位置に炭酸ガスレーザを照射することにより、底部に導体パターン3が露出した有底ビアホール4を形成する。レーザによる有底ビアホール4の形成には、炭酸ガスレーザ以外にUV−YAGレーザ、エキシマレーザなどのレーザ光を用いることができる。また、必要であれば有底ビアホール4の形成後、できあがったビア底面をデスミア処理(スミア除去)してもよい。デスミア処理には、過マンガン酸塩などを用いたケミカルデスミア、又は、プラズマ、エキシマレーザなどを用いた物理デスミアを用いることができる。
【0022】
次に、図1(e)に示すように、基材に形成された有底ビアホール4にコート導電粒子5(層間接続材料)を充填する。具体的には、コート導電粒子5を有機溶剤に分散させペースト状にしたものを、有底ビアホール4に位置合わせした開口部を有するメタルマスクを用いて、有底ビアホール4内に印刷充填する。充填後は有機溶剤を乾燥する工程を加えてもよい。また、有底ビアホール4内へのペーストの充填は、先のスクリーン印刷を含む印刷法、ペーストをノズルから吐出させるディスペンス法、転写法でも可能である。なお、コート導電粒子粉を充填する前段でビアホール以外の部分を離型フィルムでマスキングを施すことが好ましい。また、ペースト化することなくコート導電粒子のみを散布法、振動法により充填することも可能である。
【0023】
なお、コート導電粒子5を充填する前に、ビア底面の導体パターン3をソフトエッチング、還元処理等をすることが好ましい。これにより、後述する層間接続時の固相拡散が一層良好に行われる。さらに、ソフトエッチング、還元処理等されたビア底面に、コート導電粒子5の表面層である第1の金属と金属拡散を起こし、且つ、酸化されにくい金属層を形成させてもよい。これにより、ビア底面とコート導電粒子5の表面層との間でさらに良好な金属拡散が生じる。
【0024】
コート導電粒子5は、導体パターン3を形成する金属と金属拡散を生じる第1の金属を、後述する層間接続時の加熱温度よりも高融点を有する第2の金属からなる心材表面に略均一にコーティングしたものである。第1の金属には、スズ及びインジウムのいずれかが含まれるか、スズ、銀、銅、亜鉛、鉛、アンチモン、ビスマス、パラジウム、インジウム及び金の少なくとも2種からなるはんだを使用することが好ましい。なお、はんだは、環境の観点より鉛を含まないことがより好ましい。また、第2の金属には、銅、銀、金、亜鉛、パラジウム及びニッケルのうち、1以上の金属が含まれる。また、第2金属からなる心材の表面に第1金属からなる表面層を形成する際、心材の表面を還元することが好ましい。これにより、コーティングが容易となるとともに導電性が向上する。この第1の金属からなる表面層は、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、物理蒸着法(PVD法)、電気めっき法、溶融法等により形成される。
【0025】
また、熱可塑性樹脂フィルム2は、第1の金属の融点よりも高い軟化点を有することが好ましい。なお、軟化点は、結晶性ポリマーではガラス転移点、液晶ポリマーでは液晶転移点、非結晶性ポリマーではプレス時に圧力をかけた際融着する温度を示すこととする。
【0026】
次に、片面に導体パターン3が形成され、有底ビアホール4内にコート導電粒子5が充填された片面導体パターンフィルム(図1(e))を、図1(f)に示すように、複数枚積層する。本実施形態では、下方側の2枚の片面導体パターンフィルムは導体パターン3が設けられた側を下側として、上方側の2枚の片面導体パターンフィルムは導体パターン3が設けられた側を上側として積層する。すなわち、中央の2枚の片面導体パターンフィルムを導体パターン3が形成されていない面同士に向かい合わせて積層し、残りの2枚の片面導体パターンフィルムは、導体パターン3が形成された面と導体パターン3が形成されていない面とを向かい合わせて積層する。
【0027】
このように積層された4枚の片面導体パターンフィルムは、上下両面から真空加熱プレス機により第1の金属の融点以上、且つ基材樹脂の軟化点未満の温度で加圧される。これにより、コート導電粒子5が一体化した導電粒子塊が形成されるとともに、コート導電粒子5と導体パターン3間の金属拡散層が形成される。この間、樹脂の軟化・流動が発生せず、ビア内に基材樹脂が流れ込むことはない。そして、その後基材樹脂の軟化点以上の温度で加熱することで、導体パターン3と導電粒子塊間の空隙及び導電粒子塊の空隙に絶縁基材樹脂を流入させるとともに、熱可塑性樹脂フィルム2同士を一体化させる。このような温度制御によれば、層間導通が確実に確保されてから基材樹脂が流入するため、ビア導通が阻害されることはなく、信頼性が高い層間接続を行うことができる。
【0028】
なお、真空加熱プレス機により制御される温度、圧力及び時間は、232〜350℃、2〜30MPa及び5〜30分の範囲である。
【0029】
上述のような製造方法により、図1(g)に示すような多層配線基板を得ることができる。この各片面導体パターンフィルムの樹脂は、同じ熱可塑性樹脂材料によって形成されているので、加熱により軟化し、加圧により確実に一体化する。
【0030】
なお、上記配線基板の製造方法では、金属箔1と熱可塑性フィルム2とを貼り着け、導体パターン3が片面に形成された片面導体パターンフィルムを複数枚積層させることとしたが、後述するように配線基板の外側両面に金属箔1を真空加熱プレス機により貼り着け、その後、導体パターン3を形成してもよい。
【0031】
次に、コート導電粒子5の表面層を形成する第1の金属にスズ、心材を形成する第2の金属に銅を用いた場合の層間接続メカニズムについて図2及び図3を参照し説明する。図2はビアホール内の状態を模式的に示す部分拡大図であり、図3は配線基板断面のSEM写真である。
【0032】
真空加熱プレス機による加熱前、図2(a)に示すように、ビアホール内には、銅からなる心材21の表面にスズからなる表面層22を有するコート導電粒子5が充填されている。そして、真空加熱プレス機を用いて、スズの融点(232℃)以上、且つ基材樹脂の軟化点未満の温度で加熱加圧する。これにより、接触しているコート導電粒子5の表面層のスズ同士が金属拡散するとともに、スズがコート導電粒子5の表面層から心材の銅へ拡散し、図2(b)に示すようなコート導電粒子5が一体化した導電粒子塊24が形成される。
【0033】
また、導電粒子塊24が形成されるとともに、導体パターン3と接しているコート導電粒子5は、導体パターン3に圧接されることにより、コート導電粒子5の表面層22のスズ成分と、導体パターン3を構成する銅とが相互に拡散し、導体パターン3とコート導電粒子5との界面に金属拡散層25を形成する。これにより、導体パターン3間の層間接続が導電粒子塊24を介して確保される。
【0034】
そして、さらに加熱加圧を続けることにより、図2(c)に示すように、加熱により軟化した熱可塑性樹脂フィルム2の樹脂が導体パターン3と導電粒子塊24との間の空隙及び導電粒子塊24内の空隙に浸入し、導電粒子塊ビアが補強される。これにより熱応力などによる温度衝撃等に対する機械的信頼性を確保することができる。
【0035】
図3は、上述した方法により製造された配線基板の断面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。図3(a)に示すように、導体パターン3間の接続は、コート導電粒子5により行われている。また、図3(b)に示すように、導体パターン3間には、コート導電粒子5間の金属拡散層5a及び導体パターン3の金属とコート導電粒子5との間の金属拡散層5bが形成されている。
【0036】
このように、複数層の導体パターンを接続する層間接続材料にコート導電粒子5を用いることにより、層間接続部となるビア内の金属組成は局在化することなく均一化する。また、コート導電粒子5の表面層22のスズは、他のコート導電粒子や導体パターンなどと接触した部分のみに金属拡散を起こすので、金属間化合物層の厚みは、必要量にコントロールされる。
【0037】
次に、図4に示すように第2の金属からなる心材41bと第1の金属からなる表面層41aとの間に、第3の金属からなる中間層41cを有するコート導電粒子41を用いた場合について説明する。なお、配線基板の製造方法は、コート導電粒子が異なる他は上記方法と同様である。
【0038】
コート導電粒子41は、第2の金属からなる心材41bの表面に中間層41cとなる第3の金属がめっきされ、さらにその中間層41cの表面に表面層41aとなる第1の金属がめっきされている。第1の金属には、スズ及びインジウムのいずれかが含まれるか、スズ、銀、銅、亜鉛、鉛、アンチモン、ビスマス、パラジウム、インジウム及び金の少なくとも2種からなるはんだを使用することが好ましい。なお、はんだは、環境の観点より鉛を含まないことがより好ましい。また、第2の金属は、銅、銀、金、亜鉛、パラジウム及びニッケルのうち、1以上の金属を含むことが好ましい。
【0039】
第3の金属は、上記第1及び第2の金属の組み合わせにより、上記第1及び第2の金属と異なる様々な金属を用いることができる。例えば、第2の金属に対して第1の金属が非常に容易に拡散してしまう場合、第1の金属と拡散しにくい第3の金属を第2金属にコーティングすることにより、第2の金属に第1の金属が拡散しにくくなり、第1の金属は粒子外の導体パターンや導電粒子同士と効率的に金属拡散させることができる。すなわち、第1の金属が第2の金属中へ拡散する拡散速度に比べ、第1の金属が第3の金属中へ拡散する拡散速度の方が小さくなるような金属を選択する。このような第3の金属を中間層41cに選ぶことにより、表面層41aの第1の金属が心材41bの第2の金属に拡散するのを防ぐことができる。
【0040】
また、第2の金属に対して直接第1の金属をコーティングしにくい場合にも、中間層である第3の金属をコーティングすることにより第1の金属のコーティングが可能となる。すなわち、中間層41cを形成する第3の金属のイオン化傾向が、第1の金属と第2の金属との中間に位置するように選択する。これにより、第1の金属と第2の金属とのイオン化傾向が大きく離れているために、第2の金属からなる心材41bの表面に第1の金属を直接めっきすることが困難な場合でも、中間層41cを介してめっきすることができる。
【0041】
ここで、コート導電粒子の心材を形成する金属に銅よりも硬度が小さい銀を用いた場合の層間接続メカニズムについて図4を参照し説明する。心材41bに銀を用いることにより、心材に銅を用いるよりも導体パターン3と導電粒子塊43間の空隙及び導電粒子塊43内の空隙を微小にし、さらに高い層間導電性を確保することを目的としている。
【0042】
コート導電粒子41は、表面層41aを形成する第1の金属にスズ、心材41bを形成する第2の金属に銀及び中間層41cを形成する第3の金属に銅を用いて形成されており、スズが銀中へ拡散する拡散速度に比べ、スズが銅中へ拡散する拡散速度の方が小さいため、銀からなる心材41bに表面層41aのスズが拡散しにくくなっている。
【0043】
真空加熱プレス機による加熱前、ビアホール内は、図4(a)に示すように、コート導電粒子41が充填されている。そして、真空加熱プレス機を用いて、スズの融点(232℃)以上、且つ基材樹脂の軟化点未満の温度で加熱加圧すると、接触しているコート導電粒子41の表面のスズ同士が金属拡散すると同時に、スズは銅からなる中間層41c及び銀からなる心材41bへ拡散を始め、図4(b)に示すように、粒子表面近傍にスズと銅及びスズと銀との金属拡散層42が形成される。また、ビアホール内には、一体化した導電粒子塊43が形成される。
【0044】
また、導電粒子塊43が形成されると同時に、導体パターン3と接しているコート導電粒子41は、導体パターン3に圧接されることにより、導電粒子塊43中のスズ成分と、導体パターン3を構成する銅とが相互に拡散し、導体パターン3との界面に金属拡散層44を形成し、層間の導通を確保する。
【0045】
また、心材41bに銅よりも硬度が小さい銀を用いているため、加圧時に銀粒子が変形し、導体パターン3と導電粒子塊43間の空隙及び導電粒子塊43内の微小な空隙が銅を心材とするよりも生じにくい。したがって、導体パターン3と導電粒子塊43間の空隙及び導電粒子塊43内の空隙に基材樹脂を浸入させなくても熱応力などによる温度衝撃に対する信頼性を確保することが可能となる。
【0046】
このように、コート導電粒子41は、表面層41aを形成する第1の金属にスズ、心材41bを形成する第2の金属に銀及び中間層41cを形成する第3の金属に銅を用いて形成されていることにより、イオン化傾向が大きく離れている銀とスズを直接めっきすることが可能となる。また、スズが銀中へ拡散する拡散速度に比べ、スズが銅中へ拡散する拡散速度の方が小さいため、銅の中間層は心材41b内へのスズの拡散を抑制し、導体パターンである銅との接続にスズを有効に使用できる。
【0047】
なお、上記配線基板の製造方法において、図2(f)に示すように片面導体パターンフィルムを積層させたが、層間接続が必要な多層配線基板や両面配線基板を得るための構成であれば、この層数や積層パターンに限定されるものではない。
【0048】
例えば、図5に示すように、導体パターンを形成するための銅箔が貼着された片面フィルム5aと、基材の片面に導体パターンが形成された片面導体パターンフィルム5bと、銅箔5cとを積層し、加熱プレスした後、両面の銅箔5cをパターニングして多層配線基板を得るものであってもよい。
【0049】
また、図6に示すように、片面導体パターンフィルム6aと、基材の両面に導体パターンが形成された両面基板6bとを積層し、加熱プレスして多層配線基板を得るものであってもよい。
【0050】
さらに、図7に示すように、基材の両面に導体パターンが形成された両面基板7aの両面に、ビアホール内にコート導電粒子を充填した樹脂フィルム7bを積層し、さらにその両面に銅箔7cを積層し、加熱プレスした後、両面の銅箔7cをパターニングして多層配線基板を得るものであってもよい。
【0051】
さらにまた、図8に示すように、ビアホール内にコート導電粒子を充填した樹脂フィルム8aの両面に、導体パターンを形成するための銅箔8bを積層し、加熱プレスした後、両面の銅箔8bをパターニングして両面配線基板を得るものであってもよい。
【0052】
また、図9に示すように、導体パターンを形成するための銅箔9aが貼着された片面フィルム9bと銅箔9cとを積層し、加熱プレスした後、両面の銅箔9a、9cをパターニングして両面配線基板を得るものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態における配線基板の製造方法をその工程順に示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態における配線基板の層間接続部におけるビアホール内の状態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における配線基板の断面のSEM写真である。
【図4】本発明の実施形態における配線基板の層間接続部におけるビアホール内の状態を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態における配線基板の他の積層方法を示す断面図である(その1)。
【図6】本発明の実施形態における配線基板の他の積層方法を示す断面図である(その2)。
【図7】本発明の実施形態における配線基板の他の積層方法を示す断面図である(その3)。
【図8】本発明の実施形態における配線基板の他の積層方法を示す断面図である(その4)。
【図9】本発明の実施形態における配線基板の他の積層方法を示す断面図である(その5)。
【図10】従来技術における配線基板の層間接続部におけるビアホール内の状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 金属箔、 2 熱可塑性樹脂フィルム、 3 導体パターン、 4 有底ビアホール、 5 コート導電粒子、 21 心材、 22 表面層、 23 金属拡散層、 24 導電粒子塊、 25 金属拡散層、 41 コート導電粒子、 42 金属拡散層、 43 導電粒子塊、 44 金属拡散層、 101 金属粒子、 102 絶縁基材、 103 導体パターン
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川6丁目7番35号
【出願日】 平成16年3月3日(2004.3.3)
【代理人】 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃

【識別番号】100086335
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 榮一

【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司

【公開番号】 特開2005−251949(P2005−251949A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−59673(P2004−59673)