トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 電波吸収体
【発明者】 【氏名】佐野 幸司

【氏名】今井 功

【氏名】入江 正樹

【氏名】白井 宏

【氏名】渡辺 康夫

【氏名】佐々木 晃一

【要約】 【課題】従来の電波吸収体より軽く、マイクロ波、ミリ波吸収特性が高く、かつ、不燃性を有する電波吸収体を提供する。

【解決手段】電波反射材層4の片面又は両面に誘電体層2を積層した電波吸収体において、前記誘電体層をTiO2を主成分とする泡構造のセラミックス多孔体で形成した。当該誘電体層の骨格に占める当該主成分材料は50vol%以上であり、また誘電体層の気孔率は50〜95%である。当該誘電体層の表面には光触媒層を積層している。当該光触媒層は可視光光触媒特性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波反射材層の片面又は両面に誘電体層を積層した電波吸収体において、前記誘電体層をTiO2を主成分とする泡構造のセラミックス多孔体で形成したことを特徴とする電波吸収体。
【請求項2】
前記誘電体層の表面に光触媒層を積層したことを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
【請求項3】
前記誘電体層の表面にTiO2よりも誘電率の低いものからなるコーティング層を積層したことを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
【請求項4】
前記誘電体層が1層又は積層した複数層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項5】
前記誘電体層の骨格に占めるTiO2が50vol%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項6】
前記誘電体層の気孔率が50〜95%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項7】
前記誘電体層の気孔率が1層の中で電波反射材層に向って小さくなるように傾斜していることを特徴とする請求項6記載の電波吸収体。
【請求項8】
前記誘電体層の誘電率を気孔率の調整により制御したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項9】
前記誘電体層の誘電率をTiO2の抵抗値の調整により制御したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項10】
前記誘電体層の厚さが1〜100mmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項11】
前記光触媒層の厚さが10〜200μmであることを特徴とする請求項2、4〜10のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項12】
前記光触媒層が可視光光触媒特性を有することを特徴とする請求項2〜11のいずれか記載の電波吸収体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか記載の電波吸収体がマイクロ波、ミリ波用であることを特徴とする電波吸収体。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか記載の電波吸収体が2〜110GHz用であることを特徴とする電波吸収体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、内外壁、仕切りボード、床、天井等の建材、その他に使用されて電波(周波数が数THz程度以下の電磁波)、特にマイクロ波(300MHz〜30GHz)、ミリ波(30〜300GHz)を吸収する電波吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
電波需要の急増に伴う周波数の逼迫に対処するため、マイクロ波、ミリ波技術の研究開発が進められている。
マイクロ波、ミリ波技術の早期実用化が期待される分野として、超高速無線LAN、自動車レーダ、高速道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)等が挙げられる。
そして、これらのシステムを実現するために、さまざまな電磁波遮蔽技術の研究開発が進められている。
【0003】
従来、これらの技術の中で、電波吸収材の研究開発が電磁波遮蔽には有効な技術と考えられており、カーボン等の導電性材料をはじめとして、フェライト等の磁性材料やSiCセラミックス等の誘電体材料からなる電波吸収体が知られている。
又、最近では、TiO2(酸化チタン(IV)、二酸化チタン、チタニア)に注目した研究開発もでてきており、今後、マイクロ波、ミリ波吸収材として注目される材料と考えられている。
【0004】
しかし、フェライトを主成分とする電波吸収体では、かさ密度が5.3g/cm3であり、面積1m角、肉厚25mmのボードの場合、130kg/pとかなり重量が大きくなることに加えて、単一材料ではマイクロ波、ミリ波を吸収する効果が得られない。
【0005】
又、TiO2セラミックスからなる電波吸収体は、バルクでは比重が大きく(かさ比重4.27g/cm3)、重量が大きくなる。
軽量化のため、合成樹脂との複合化も考えられるが、せっかくのセラミックスの代表的特性である不燃性を生かせず、室内用の建材として使用できない。
【特許文献1】特開2000−261181号公報
【特許文献2】特開2001−262732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の電波吸収体より軽く、単一材料でマイクロ波、ミリ波吸収特性が高く、かつ、不燃性を有する電波吸収体の提供を主課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の電波吸収体は、電波反射材層の片面又は両面に誘電体層を積層した電波吸収体において、前記誘電体層をTiO2を主成分とする泡構造のセラミックス多孔体で形成したことを特徴とする。
ここで、泡構造とは、球形の多数の気孔が隣接する構造をいい、気孔は、連通気孔、閉気孔、開気孔のいずれであってもよく、又、それらが混じり合ったものでもよい。
【0008】
第2の電波吸収体は、第1のものにおいて、前記誘電体層の表面に光触媒層を積層したことを特徴とする。
【0009】
又、第3の電波吸収体は、第1のものにおいて、前記誘電体層の表面にTiO2よりも誘電率の低いものからなるコーティング層を積層したことを特徴とする。
【0010】
一方、前記誘電体層が1層又は積層した複数層からなることが好ましい。
【0011】
前記誘電体層の骨格に占めるTiO2が50vol%以上であることが好ましい。
【0012】
前記誘電体層の気孔率が50〜95%であることが好ましい。
【0013】
前記誘電体層の気孔率が1層の中で電波反射材層に向って小さくなるように傾斜していることが好ましい。
【0014】
前記誘電体層の誘電率を気孔率の調整により制御したものであることが好ましい。
【0015】
前記誘電体層の誘電率をTiO2の抵抗値の調整により制御したものであってもよい。
【0016】
前記誘電体層の厚さが1〜100mmであることが好ましい。
【0017】
前記光触媒層の厚さが10〜200μmであることが好ましい。
【0018】
前記光触媒層が可視光光触媒特性を有することが好ましい。
【0019】
上述した電波吸収体がマイクロ波、ミリ波用であることが好ましい。
【0020】
又、上述した電波吸収体が2〜110GHz用であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の電波吸収体によれば、誘電体層が泡構造のセラミックス多孔体からなるので、従来の電波吸収体に比べて飛躍的に軽量化することができ、かつ、建材としての強度を確保することができる。
又、誘電体層がセラミックスからなるので、不燃性を有するものとすることができる。
【0022】
第2の電波吸収体によれば、第1のものの作用効果の他、光触媒の浄化機能により、表面層の清浄度を保持することができる。
【0023】
又、第3の電波吸収体によれば、第1のものの作用効果の他、誘電体層の表面を保護したり、装飾したりすることができると共に、誘電体層が空気(誘電率:1)と接触するよりも、アルミナ(誘電率:3〜4)等のコーティング層と接触する方が境界部で反射が生じ難くなるので、電波吸収効率を向上させることができる。
【0024】
一方、誘電体層が積層した複数層からなることにより、吸収周波数の広帯域化及び斜入射特性を向上させることができる。
【0025】
誘電体層の骨格に占めるTiO2が50vol%以上であることにより、軽量かつ高強度で、マイクロ波、ミリ波吸収特性を得ることができる。
【0026】
誘電体層の気孔率が50〜95%(50%以上95%以下)であることにより、十分に軽量かつ高強度で、マイクロ波、ミリ波吸収特性を得られる。
【0027】
誘電体層の気孔率が1層の中で電波反射材層に向って小さくなるように傾斜していることにより、1層の中で誘電率の傾斜を設けることができ、電波を誘電体層内に取り込み易くすることができる。
【0028】
誘電体層の誘電率を気孔率の調整により制御したものとすることにより、複素比誘電率を所望の値にすることができる。
【0029】
一方、誘電体層の誘電率をTiO2の抵抗値の調整により制御したものとすることにより、複素比誘電率を所望の値にすることができる。
【0030】
又、誘電体層の厚さが1〜100mm(1mm以上100mm以下)であることにより、誘電体層としての効果が得られる。
【0031】
他方、光触媒層の厚さが10〜200μm(10μm以上200μm以下)であることにより、光触媒としての十分な能力を得ることができる。
【0032】
又、光触媒層が可視光光触媒特性を有することにより、自然光や電灯光等の紫外線及び可視光範囲の光触媒特性があるため、より光触媒効果がアップし、更に清浄効果を増すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
電波反射材層としては、金属板、金属箔のように、全面を覆うことができるような構成(開口部無し)のものでもよいし、孔明き金属板、金属メッシュ、金属被覆したメッシュのように、一部分を覆うことができるような構成(開口部有り)のものでもよい。
【0034】
コーティング層を形成するものとしては、多孔質のアルミナ、合成樹脂、紙、セメント等が挙げられる。
【0035】
複数層からなる誘電体層は、個別に成形した成形体を接合用スラリーを介在して積層し、乾燥、焼成(仮焼を含む)して製造される。
【0036】
誘電体層の骨格に占めるTiO2が50vol%未満であると、重量が重くなり、マイクロ波、ミリ波吸収特性が得られない。
誘電体層の骨格に占めるTiO2は、70vol%以上がより好ましい。
誘電体層の骨格の組成成分としては、TiO2以外に、SiC(炭化ケイ素)、Al23(アルミナ)等の誘電物質、フェライト粉等の磁性物質、金属粉、カーボン繊維等の導電性物質が挙げられる。
【0037】
誘電体層の気孔率が、50%未満であると、建材としての軽量化が不可能であり、95%を超えると、建材としての強度を保持できない。
誘電体層の気孔率は、70〜95%がより好ましく、電波吸収特性及び軽量化の面から75〜90%が最も好ましい。
【0038】
誘電体層の気孔率の傾斜は、連続的、断続的のいずれであってもよい。
【0039】
誘電体層の気孔率の調整は、誘電体層を作製する際における起泡剤の添加割合、攪拌条件を勘案して行う。
【0040】
又、誘電体層の抵抗値の調整は、誘電体層を形成するTiO2以外の成分の割合の他、誘電体層を作製する際における焼成温度又は還元雰囲気におけるアニール処理温度を勘案して行う。
【0041】
誘電体層の厚さが、1mm未満であると、十分な強度が得られず、100mmを超えると、誘電体層として過剰能力であり、不必要な肉厚であるといえる。
誘電体層の厚さは、1〜50mmがより好ましい。
【0042】
光触媒層の厚さが、10μm未満であると、光触媒として十分な能力を得ることができず、200μmを超えると、光触媒層と誘電体層との密着力が低下すると共に、光触媒層自体の強度保持ができない上、表面にでない部分は光触媒としての機能を果たさない。
光触媒層の厚さは、50〜150μmがより好ましい。
可視光光触媒としては、市販されている粉末であればいずれも使用できる。
【実施例1】
【0043】
図1は、本発明に係る電波吸収体の実施例1を示す概念的な断面図である。
【0044】
この電波吸収体1は、内外壁、床、天井等のように、電波が一方向から入射する場所に電波吸収建材として使用するためのものであり、TiO2を主成分とする泡構造のセラミックス多孔体からなる板状の誘電体層2の電波入射面である表面(図1においては左側面)に、可視光光触媒特性を有する光触媒層3を積層すると共に、裏面(図1においては右側面)に、電波反射材層4を積層した3層構造となっている。
【0045】
上記誘電体層2は、次のようにして作製されたものである。
先ず、平均粒径0.2μmのTiO2100重量部、イオン交換水30重量部、及び分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム0.05重量部をポットミルにて1昼夜混合してスラリーを調製した。
次に、このスラリーに、起泡剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル1重量部、ゲル化主剤としてポリエチレンイミン4重量部、及び硬化剤としてエポキシ樹脂1重量部を攪拌機で混合攪拌しながら空気を導入して泡立て、泡状のスラリーを調製した。
次いで、この泡状のスラリーを型に鋳込み、3時間ほど経過すると、ゲル化が十分に進行しゲル化体となった。
次に、ゲル化体を型から取り出し、60℃の温度で一昼夜乾燥して成形体(乾燥体)を得た。得られた成形体は、球形状の多数の気孔の隣接するもの同士が連通孔を介して互いに連通する三次元網目状の骨格構造を有していた。
次いで、成形体を空気中において1300℃の温度で4時間焼成して泡構造のTiO2セラミックス多孔体を得た。
得られた泡構造のTiO2セラミックス多孔体は、寸法が縦500mm、横500mm、厚さ25mmであり、気孔率が85%、かさ密度が0.64g/cm3、平均気孔径が約200μmで、気孔の最大径が約700μmであり、曲げ強さが約4MPaであった。
【0046】
前記光触媒層3は、次のようにして誘電体層2の表面に積層されたものである。
先ず、平均粒径1.0μmで、可視光光触媒特性を有するTiO2粉末(東芝セラミックス(株)製)と市販の無機系接着剤(Al23・SiO2系)を適量混合し、必要に応じて希釈溶剤や添加剤も混入することにより、光触媒層3を形成する塗料を調製した。
次に、この塗料を所定の厚さで誘電体層2の表面に塗布し、大気中において50℃の温度で、3時間程度乾燥後、やはり大気中において150℃の温度で1時間程度加熱処理した。
積層された光触媒層3の厚さは、約100μmであった。
【0047】
又、電波反射材層4は、次のようにして誘電体層2の裏面に積層されたものである。
先ず、厚さ0.05mmのアルミ箔を用意した。
次に、光触媒層3の調製に使用したのと同じ無機系接着剤を用い、アルミ箔を誘電体層2の裏面に接合した。
次いで、乾燥、加熱処理を光触媒層3の積層と同等の条件で行った。
実際は、光触媒層3と電波反射材層4の積層における乾燥、加熱処理を同時に行った。
【実施例2】
【0048】
図2は、本発明に係る電波吸収体の実施例2を示す概念的な断面図である。
【0049】
この電波吸収体5は、仕切りボード等のように、電波が二方向から入射する場所に電波吸収建材として使用するためのものであり、TiO2を主成分とする泡構造のセラミックス多孔体からなる板状を呈し、電波の入射面である表面に可視光光触媒特性を有する光触媒層6を積層した2枚の誘電体層7を、裏面間に電波反射材層8を介在して積層した5層構造となっている。
【0050】
誘電体層7、光触媒層6、及び電波吸収材層8の構成及び積層手段は、実施例1のものとほぼ同様であるので、その説明を省略する。
【0051】
実施例1、2の電波吸収体1,5は、図3に示すように、50〜70GHzのミリ波帯域で20dB以上の電波吸収能力を示し、図3に併記したAl23セラミックスからなる電波吸収体の10倍以上の電波吸収能力があることが分る。
このような高い電波吸収特性を示した理由として、誘電体層2,7の主成分であるTiO2に高い電波吸収能力があることと、泡構造をなす気孔中の大気が誘電体として機能することで、更に電波吸収特性を高めたものと考えられる。
又、フェライトを主成分とした電波吸収体では、かさ密度が5.3g/cm3であるのに対し、本発明品では、かさ密度が0.64g/cm3であり、ほぼ10分の1の軽量化が達成された。
【0052】
ここで、W−band(70〜110GHz)においてTiO2を主成分とする誘電体層の気孔率を変化させたときの複素比誘電率との関係を調べたところ、Al23を主成分とするもののそれを併記する図4に示すようになった。
図4から、いずれのものも気孔率の増加に伴い、複素比誘電率の実部が減少することが分かる。
【実施例3】
【0053】
図5は、本発明に係る電波吸収体の実施例3を示す概念的な断面図である。
【0054】
この電波吸収体9は、内外壁、床、天井等のように、電波が一方向から入射する場所に電波吸収建材として使用するためのものであり、TiO2を主成分とする泡構造のセラミックス多孔体からなる板状の誘電体層10の裏面(図5においては右側面)に、電波反射材層11を積層した2層構造となっている。
【0055】
実施例3の電波吸収体において、反射率が零になる複素比誘電率を結んだ線(無反射曲線)上に気孔率84%、85%、87%及び91%のTiO2を主成分とする誘電体の測定値をプロットした結果は、気孔率80%のAl23を主成分とする誘電体のそれを併記する図6に示すようになった。
図6から、気孔率85%のTiO2を主成分とする誘電体が、無反射曲線の3次の解近傍にプロットできることが分る。
【0056】
又、気孔率85%のTiO2を主成分とする誘電体の厚みを変化させたときの反射減衰量は、気孔率80%のAl23を主成分とする誘電体のそれを併記する図7に示すようになった。
図7から、厚み1.7mmのとき、25dBを超える吸収を示すことが分る。
【0057】
一方、TiO2を主成分とする誘電体の焼成温度を1200℃、1300℃及び1500℃と変えたときの気孔率と導電率との関係を調べたところ、図8に示すようになった。
図8から、焼成温度が高くなると、導電率が大きくなることが分る。
【0058】
又、同一誘電体を1300℃及び1500℃の2条件で焼成したときの複素比誘電率(5.8GHz)は、図9に示すようになった。
図9から、焼成温度を変えることにより、複素比誘電率も変化できることが分る。
【0059】
更に、1300℃及び1500℃の2条件で焼成した誘電体の厚みを変化させたときの反射減衰量をシミュレートした結果、図10に示すようになった。
図10から、無反射曲線に近い位置に複素比誘電率がプロットされた1300℃の温度で焼成した誘電体は、厚み33.5mmのとき、25dBを超える吸収を示すことが分る。
【0060】
更に又、1300℃の条件で焼成した気孔率85%の誘電体をN2(窒素ガス)雰囲気において温度を変えてアニール処理したときの抵抗率は、図11に示すようになった。
図11から、アニール処理温度をコントロールすることにより、TiO2を主成分とする誘電体の抵抗率を制御可能であることが分る。
【0061】
以上のことから、TiO2を主成分とする誘電体は、高温焼成又は還元焼成により酸素欠陥を生成し、n型半導体化する。
そして、上記欠陥量を制御することにより、抵抗値(複素比誘電率)を可変し得ることが分る。
【0062】
なお、上述した各実施例においては、電波吸収体1,5,9を板状の電波吸収建材として使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、棒状、柱状、その他の形状の電波吸収建材として使用してもよい。
又、電波吸収体1,5,9は、建材以外のものとして使用してもよい。
更に、電波吸収体1,5,9は、誘電体層2,7の電波入射面に光触媒層3,6を積層する場合に限らず、誘電体層2,7の電波入射面に多孔質のアルミナ、合成樹脂、紙、セメント等のコーティング層を積層するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る電波吸収体の実施例1を示す概念的な断面図である。
【図2】本発明に係る電波吸収体の実施例2を示す概念的な断面図である。
【図3】本発明に係る電波吸収体の実施例3を示す概念的な断面図である。
【図4】本発明に係る電波吸収体の実施例1,2の電波吸収能力を示す説明図である。
【図5】気孔率を変化させたときの複素比誘電率との関係を示す説明図である。
【図6】無反射曲線上に誘電体の測定値をプロットした結果を示す説明図である。
【図7】誘電体の厚みを変化させたときの反射減衰量をシミュレートした結果を示す説明図である。
【図8】焼成温度を変化させた誘電体の気孔率と導電率との関係を示す説明図である。
【図9】焼成温度を変えた誘電体の複素比誘電率を示す説明図である。
【図10】誘電体の厚みを変化させたときの反射減衰量をシミュレートした結果をす説明図である。
【図11】誘電体をN2 雰囲気において温度を変えてアニール処理したときの抵抗率を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
2 誘電体層
3 光触媒層
4 電波反射材層
6 光触媒層
7 誘電体層
8 電波反射材層
10 誘電体層
11 電波反射材層
【出願人】 【識別番号】000221122
【氏名又は名称】東芝セラミックス株式会社
【出願日】 平成16年9月10日(2004.9.10)
【代理人】 【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂

【識別番号】100064296
【弁理士】
【氏名又は名称】高 雄次郎

【公開番号】 特開2005−244160(P2005−244160A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−263550(P2004−263550)