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【発明の名称】 樹脂組成物、それを用いた接着フィルム及び多層プリント配線板
【発明者】 【氏名】中村 茂雄
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の素株式会社内

【要約】 【課題】誘電特性に優れるシアネート化合物を含む樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層表面の平滑性の改善。

【解決手段】1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物及びラジカル重合性樹脂を含有する樹脂組成物を回路基板に被膜する工程、該樹脂組成物を光硬化する工程及び光硬化された樹脂組成物を熱硬化する工程を経て絶縁層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物及びラジカル重合性樹脂を含有する樹脂組成物を回路基板に被膜する工程、該樹脂組成物を光硬化する工程及び光硬化された樹脂組成物を熱硬化する工程を経て絶縁層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
ラジカル重合性樹脂が、ビニルベンジル化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ビスマレイミド化合物、アクリレート化合物及びメタアクリレート化合物からなる群より選択される1種以上である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
ラジカル重合性樹脂が、ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
ラジカル重合性樹脂が、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂組成物が、更に光重合開始剤を含有する請求項1〜4記載の製造方法。
【請求項6】
樹脂組成物が、更にエポキシ樹脂を含有する請求項1〜5記載の製造方法。
【請求項7】
樹脂組成物が、更にフェノキシ樹脂を含有する請求項1〜6記載の製造方法。
【請求項8】
樹脂組成物が、更に無機充填材を含有する請求項1〜7記載の製造方法。
【請求項9】
フェノキシ樹脂が、重量平均分子量が5000乃至100000のフェノキシ樹脂である請求項7記載の製造方法。
【請求項10】
樹脂組成物を回路基板に被膜する工程が、支持フィルム上に樹脂組成物が層形成されている接着フィルムをラミネートすることにより行われる請求項1〜9記載の製造方法。
【請求項11】
絶縁層上にメッキにより導体層を形成する工程を含む請求項1〜10記載の製造方法。
【請求項12】
成分(a)〜(c):
(a)1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物、
(b)ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物
(c)光重合開始剤
を含有する樹脂組成物。
【請求項13】
樹脂組成物が、更に成分(d)エポキシ樹脂を含有する請求項12記載の樹脂組成物。
【請求項14】
樹脂組成物が、更に成分(e)フェノキシ樹脂を含有する請求項12又は13記載の樹脂組成物。
【請求項15】
樹脂組成物が、更に成分(f)無機充填材を含有する請求項12〜14記載の樹脂組成物。
【請求項16】
成分(b)が、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である請求項12〜15記載の樹脂組成物。
【請求項17】
成分(e)が、重量平均分子量5000乃至100000のフェノキシ樹脂である請求項14〜16記載の樹脂組成物。
【請求項18】
樹脂組成物中の成分(a)と成分(b)の配合割合が、重量比で1:9乃〜9:1であり、成分(b)と成分(c)の配合割合が、重量比で100:0.5〜100:15である請求項12〜17記載の樹脂組成物。
【請求項19】
成分(a)〜(c):
(a)1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物、
(b)ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物
(c)光重合開始剤
を含有する樹脂組成物が支持フィルム上に層形成されている接着フィルム。
【請求項20】
樹脂組成物が、更に成分(d)エポキシ樹脂を含有する請求項19記載の接着フィルム。
【請求項21】
樹脂組成物が、更に成分(e)フェノキシ樹脂を含有する請求項19又は20記載の接着フィルム。
【請求項22】
樹脂組成物が、更に成分(f)無機充填材を含有する請求項19〜21記載の接着フィルム。
【請求項23】
成分(b)が、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である請求項19〜22記載の接着フィルム。
【請求項24】
成分(e)が、重量平均分子量5000乃至100000のフェノキシ樹脂である請求項21〜23記載の接着フィルム。
【請求項25】
樹脂組成物中の成分(a)と成分(b)の配合割合が、重量比で1:9乃〜9:1であり、成分(b)と成分(c)の配合割合が、重量比で100:0.5〜100:15である請求項19〜24記載の接着フィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関し、更に該製造方法に使用するのに好適な樹脂組成物及び接着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器、通信機器等に用いられるプリント配線板には、演算処理速度の高速化、配線の高密度化の要求が強まっている。それに伴い多層プリント配線板の製造方法として、回路基板の導体層上に有機絶縁層を交互に積み上げていくビルドアップ方式の製造技術が注目されている。現在ビルトアップ方式で使用されている絶縁樹脂としては、芳香族系エポキシ樹脂に活性水素を持つ硬化剤(例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、カルボン酸系硬化剤)を組み合わせたものが主に用いられている。これらの硬化剤で硬化させて得られる硬化物は、物性面でバランス良く優れるものの、エポキシ基と活性水素の反応によって極性の高いヒドロキシル基が発生することにより、耐湿性や誘電率、誘電正接などの電気特性の低下を招くというマイナス面がある。特に高周波領域で使用される多層プリント配線板では誘電正接の低い絶縁材料が求められているが、従来のエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁材料では誘電正接(1GHz、23℃)の値が0.03〜0.02程度とするのが限界であった。
【0003】
一方、熱硬化性のシアナト基を有するシアネート化合物が誘電特性に優れた硬化物を与えることは古くから知られており、シアネート化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物を回路基板の絶縁層に適用した例も知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、シアネート化合物を含む熱硬化性樹脂組成物で回路基板上に絶縁層を形成した場合、回路パターンの凹凸に由来する絶縁層表面の凹凸差が大きくなり、微細な回路形成が困難となっていた(図1参照)。従って、回路基板上に絶縁層を形成した際の絶縁層表面の平滑性に優れるシアネート化合物を含む熱硬化性樹脂組成物が求められていた。
【特許文献1】国際公開第03/099952号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は誘電特性に優れるシアネート化合物を含む樹脂組成物によりプリント配線板の絶縁層を形成する場合に、該樹脂組成物の硬化物により形成される絶縁層表面の平滑性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題の解決に当たって、樹脂組成物を回路基板に被膜しこれを熱硬化した場合、樹脂組成物が硬化する前に樹脂組成物が溶融し、硬化前の形状が維持されずに平滑性が損なわれる点に着目した。
【0006】
回路基板を樹脂組成物で被膜する方法としては、支持フィルム上に樹脂組成物を層形成した接着フィルムを用い、該接着フィルムの樹脂組成物層を回路基板上にラミネート(積層)する方法が広く用いられている。しかし、ボイド(void)を発生させることなく回路基板表面を被膜し、必要によりビアホールスルホールやスルーホールを穴埋めするにはラミネート時の加熱により樹脂組成物のある程度の溶融性が必要となり、平滑性の問題が顕著となる。そこで樹脂組成物の硬化速度を速め、硬化前の形状が溶融により損なわれる前に樹脂組成物を硬化させるという手段が考えられるが、硬化速度を速めた場合、樹脂組成物ワニスを支持体フィルム上で熱乾燥させてフィルム成形する際に硬化が進行しラミネート能力が損なわれたり、接着フィルムの保存安定性が損なわれたりするなどの問題が生じる傾向にある。
【0007】
そこで本発明者らは、硬化速度を速める手段によらずに上記課題を解決する手段を鋭意検討した結果、シアネート化合物を含む樹脂組成物中にラジカル重合性樹脂を配合し、回路基板に被膜した樹脂組成物を光硬化した後、更に熱硬化することで表面平滑性に優れる絶縁層が得られること見出し本発明を完成させた。すなわち本発明は以下の内容を含むものである。
【0008】
[1] 1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物及びラジカル重合性樹脂を含有する樹脂組成物を回路基板に被膜する工程、該樹脂組成物を光硬化する工程及び光硬化された樹脂組成物を熱硬化する工程を経て絶縁層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
[2] ラジカル重合性樹脂が、ビニルベンジル化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ビスマレイミド化合物、アクリレート化合物及びメタアクリレート化合物からなる群より選択される1種以上である上記[1]記載の製造方法。
[3] ラジカル重合性樹脂が、ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である上記[1]記載の樹脂組成物。
[4] ラジカル重合性樹脂が、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である上記[1]記載の樹脂組成物。
[5] 樹脂組成物が、更に光重合開始剤を含有する上記[1]〜[4]記載の製造方法。
[6] 樹脂組成物が、更にエポキシ樹脂を含有する上記[1]〜[5]記載の製造方法。
[7] 樹脂組成物が、更にフェノキシ樹脂を含有する上記[1]〜[6]記載の製造方法。
[8] 樹脂組成物が、更に無機充填材を含有する上記[1]〜[7]記載の製造方法。
[9] フェノキシ樹脂が、重量平均分子量が5000乃至100000のフェノキシ樹脂である上記[7]記載の製造方法。
[10] 樹脂組成物を回路基板に被膜する工程が、支持フィルム上に樹脂組成物が層形成されている接着フィルムをラミネートすることにより行われる上記[1]〜[9]記載の製造方法。
[11] 絶縁層上にメッキにより導体層を形成する工程を含む上記[1]〜[10]記載の製造方法。
[12] 成分(a)〜(c):
(a)1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物、
(b)ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物
(c)光重合開始剤
を含有する樹脂組成物。
[13] 樹脂組成物が、更に成分(d)エポキシ樹脂を含有する上記[12]記載の樹脂組成物。
[14] 樹脂組成物が、更に成分(e)フェノキシ樹脂を含有する上記[12]又は[13]記載の樹脂組成物。
[15] 樹脂組成物が、更に成分(f)無機充填材を含有する上記[12]〜[14]記載の樹脂組成物。
[16] 成分(b)が、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である請求項12〜15記載の樹脂組成物。
[17] 成分(e)が、重量平均分子量5000乃至100000のフェノキシ樹脂である上記[14]〜[16]記載の樹脂組成物。
[18] 樹脂組成物中の成分(a)と成分(b)の配合割合が、重量比で1:9乃〜9:1であり、成分(b)と成分(c)の配合割合が、重量比で100:0.5〜100:15である上記[12]〜[17]記載の樹脂組成物。
[19] 成分(a)〜(c):
(a)1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物、
(b)ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物
(c)光重合開始剤
を含有する樹脂組成物が支持フィルム上に層形成されている接着フィルム。
[20] 樹脂組成物が、更に成分(d)エポキシ樹脂を含有する上記[19]記載の接着フィルム。
[21] 樹脂組成物が、更に成分(e)フェノキシ樹脂を含有する上記[19]又は[20]記載の接着フィルム。
[22] 樹脂組成物が、更に成分(f)無機充填材を含有する上記[19]〜[21]記載の接着フィルム。
[23] 成分(b)が、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物である上記[19]〜[22]記載の接着フィルム。
[24] 成分(e)が、重量平均分子量5000乃至100000のフェノキシ樹脂である上記[21]〜[23]記載の接着フィルム。
[25] 樹脂組成物中の成分(a)と成分(b)の配合割合が、重量比で1:9乃〜9:1であり、成分(b)と成分(c)の配合割合が、重量比で100:0.5〜100:15である上記[19]〜[24]記載の接着フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、誘電特性に優れ、表面平滑性に優れた絶縁層をプリント配線板に導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における成分(a)「1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物」とは、1分子中に2以上のシアナト基を有し、かつ分子中に芳香環骨格を有するシアネート化合物をいう。1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物の好ましい例としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート[別名:2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン]、ポリフェノールシアネート[別名:オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、これらシアネート化合物の一部シアネート基がトリアジンと結合したプレポリマー等を挙げることが出来る。シアネート化合物は異なる種類のものを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0011】
本発明における樹脂組成物(100重量%)中の、「1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物」の配合割合は、10重量%以上が好ましく、30〜80重量%の範囲が更に好ましい。
【0012】
本発明において用いられる成分(b)「ラジカル重合性樹脂」としては、分子中に1個以上の炭素−炭素二重結合を有し、光によりラジカル重合が可能なものであれば特に限定されない。好ましいラジカル重合性樹脂としては、ビニルベンジル化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ビスマレイミド化合物、アクリレート化合物、メタアクリレート化合物等が挙げられる。シアネート化合物は異なる種類のものを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0013】
ビスマレイミド化合物としては、N,N’−エチレンジマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3‘−ジメチル-5,5’−ジエチルー4,4‘ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル等が挙げられる。
【0014】
アクリレート化合物又はメタクリレート化合物(以下、「(メタ)アクリレート化合物」と称することがある)としては、以下の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。以下、「(メタ)アクリレート」の用語はアクリレート及びメタアクリレートの双方を意味する。
メチル(メタ)アクリレート 、エチル(メタ)アクリレート 、プロピル(メタ)アクリレート 、ブチル(メタ)アクリレート 、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート 、シクロヘキシル(メタ)アクリレート 、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート 、デシル(メタ)アクリレート 、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート 、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート 、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート 、へプタデシル(メタ)アクリレート 、オクタデシル(メタ)アクリレート 、ノナデシル(メタ)アクリレート 、コシル(メタ)アクリレート 、エイコシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート 、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート 、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジフェニル−1−エチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチル−1−フェニル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート 、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート 、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート 、1,9−ノナンジオール(メタ)アクリレート 、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート 、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート 、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート 、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート 、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート 、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート 、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート 、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート 、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート 、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート 、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、イソデシル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、P−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェニルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート)、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸を反応させることにより得られる多官能のエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0016】
エポキシ化合物としては、特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0017】
(メタ)アクリレート化合物としては、特に、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物を酸無水物と反応して得られる多官能のエポキシ(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0018】
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0019】
ラジカル重合性樹脂としては、誘電特性に優れる(低誘電率、低誘電正接)ビニルベンジル化合物及びビニルベンジルエーテル化合物が特に好ましい。
【0020】
ビニルベンジルテール化合物としては、1分子中に2個以上のビニルベンジルエーテル基を有する芳香環又は脂環構造を有する化合物が好ましく用いられる。
【0021】
本発明におけるポリビニルベンジルエーテル化合物は、例えば、1分子中に2個以上のヒドロキシベンジル基を有する化合物(ポリフェノール化合物)をビニルベンジルハライドと反応させることによって得ることができる(特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報等参照)。
【0022】
ポリフェノール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、フェノールノボラック樹脂、フェノールとベンズアルデヒドの縮合物、ザイロック(Xylok)型フェノール樹脂等が挙げられる。これら化合物の芳香環はアルキル基、ハロゲンなどで置換されていてもよい。
【0023】
ビニルベンジルハライドとしては、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド及びこれらの任意の混合物等が挙げられる。
【0024】
代表的なポリビニルベンジルテール化合物としては、以下の式(1)で表されるものを挙げることができる(特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報等参照)。


式(1)中、Rはメチル基またはエチル基、Rは水素原子または1〜10の炭化水素基、Rは水素原子またはビニルベンジル基(但し、水素原子とビニルベンジル基のモル比は60:40〜0:100の範囲である)、nは2〜4の整数を表す。
【0025】
これらポリビニルベンジルエーテル化合物は特開平9−31006号公報、特開2001−181383号公報の記載に従って容易に製造することができる。
【0026】
市場で入手可能なものとしては昭和高分子(株)製V−1000X(硬化物のTg160℃、比誘電率2.7、誘電正接0.0045)、V−1100X(硬化物のTg171℃、比誘電率2.56、誘電正接0.0038)などが挙げられる。
【0027】
ビニルベンジル化合物としては、1分子中に2個以上のビニルベンジル基を有する芳香環又は脂環構造を有するビニルベンジル化合物が好ましく用いられる。
【0028】
本発明におけるビニルベンジル化合物は、例えば、(1)インデン化合物を、ビニルベンジルハライド及びアルカリ存在下に反応させる、ビニルベンジルハライド、炭素数2〜20のジハロメチル化合物及びアルカリ存在下に反応させる又はフルオレン化合物、ビニルベンジルハライド、炭素数2〜20のジハロメチル化合物及びアルカリ存在下に反応させることにより得ることができる(特開2003−277440号公報参照)。
また例えば、(2)フルオレン化合物と、ビニルベンジルハライド、アリルハライド又はプロパルギルハライドと、炭素数2〜20のジハロメチル化合物とをアルカリ存在下に反応させることにより得ることができる(特開2003−283076号公報、国際出願第02/083610号パンフレット参照)。
【0029】
上記(1)の方法において、原料として用いるインデン化合物としては例えば以下の式(2)で表されるインデン化合物が挙げられる。


R4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基及びアリール基から選択される1種以上の基を示す。
【0030】
ビニルベンジルハライドとしては、上記で記載したものが挙げられる。また炭素数2〜20のジハロメチル化合物としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタン等のアルキレンジハライド、o−キシリレンジクロライド、o−キシリレンジブロマイド、m−キシリレンジクロライド、m−キシリレンジブロマイド、p−キシリレンジクロライド、p−キシリレンジブロマイド、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルスルフィド、2,6−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,4−ビス(クロロメチル)ナフタレン等のジハロメチル化合物を挙げることができる。
【0031】
アルカリとしては、例えば、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0032】
特に好ましいポリビニルベンジル化合物としては、例えば以下の式(3)及び(4)で表されるものを挙げることができる。


式(3)中、R5〜R7はビニルベンジル基又は水素原子を表し(但しR5〜R7の少なくとも何れか1つはビニルベンジル基を表す)、R8は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基を表す。
【0033】


式(5)中、R9は炭素数2〜20の有機基(好ましくはアルキル基)、mは0〜20の整数を表す。
【0034】
市場で入手可能なものとしては昭和高分子(株)製ポリビニルベンジル樹脂、V−5000X(硬化物のTg154℃、比誘電率2.63、誘電正接0.0016)、V−6000X(硬化物のTg136℃、比誘電率2.59、誘電正接0.0013)などが挙げられる。
【0035】
ビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物としては、重量平均分子量1500乃至50000のビニルベンジル化合物及び/又はビニルベンジルエーテル化合物を好ましく用いることができる。重量平均分子量が1500未満であると、光硬化による樹脂組成物の粘度上昇が不十分となる場合があり、50000を超えるとシアネート化合物との相溶性が悪くなる場合がある。なお本発明において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定した値である。GPC法による重量平均分子量は、具体的には、測定装置として(株)島津製作所製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルムを用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
【0036】
本発明におけるラジカル重合性樹脂は、樹脂組成物中の芳香族系シアネート化合物とラジカル重合性樹脂の配合割合が、重量比で1:9乃〜9:1となる範囲で好ましく用いられ、更に好ましくは3:7乃〜8:2の範囲で用いられる。
【0037】
本発明における樹脂組成物(100重量%)中の、「ラジカル重合性樹脂」の配合割合は、10重量%以上が好ましく、20〜70重量%の範囲が更に好ましい。
【0038】
本発明における樹脂組成物(100重量%)中の、「1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物」及び「ラジカル重合性樹脂」の合計の配合割合は、10重量%以上が好ましく、20〜80重量%の範囲が更に好ましい。
【0039】
本発明のおける成分(c)「光重合開始剤」としては、特に制限はなく、例えばベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン、4―フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントンなどのチオキサントン類、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアルキルアントラキノン類、アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類などを挙げることができる。
【0040】
本発明における光重合開始剤は、樹脂組成物中のラジカル重合性樹脂と光重合開始剤の配合割合が、重量比で100:0.5〜100:15となる範囲で好ましく用いられ、更に好ましくは100:1〜100:10の範囲で用いられる。
【0041】
本発明における樹脂組成物は、芳香族系シアネート化合物以外の熱硬化性樹脂を含有していてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド化合物とジアミン化合物の重合物、ビスアリルナジド樹脂、ベンゾオキサジン化合物、ベンゾシクロブテン化合物等を挙げることができる。熱硬化性樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
なお、シアネート化合物は高温で比較的長時間の硬化を必要とするため、硬化温度を下げるためエポキシ樹脂(本発明における成分(d))と併用するのが好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ基はシアネート化合物のシアナト基と反応しオキサゾリン環を形成する反応が主反応となるため、熱硬化後に誘電正接を損ねるヒドロキシル基の発生や、同じく誘電正接を損ねるシアナト基の残存も抑制される。エポキシ樹脂としては、1分子中に2以上のエポキシ基を有する芳香族系エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。
【0043】
「1分子中に2以上のエポキシ基を有する芳香族系エポキシ樹脂」とは、1分子中に2以上のエポキシ基を有し、かつ分子中に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂をいう。1分子中に2以上のエポキシ基を有する芳香族系エポキシ樹脂の好ましい例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ変性ポリブタジエンさらにはこれらエポキシ樹脂の臭素化エポキシ樹脂やリン変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
本発明におけるエポキシ樹脂の配合割合は、エポキシ樹脂1分子中に存在するエポキシ基とシアネート化合物1分子中に存在するシアナト基の割合を1:0.5乃至1:3とするのが好ましい。具体的には、樹脂組成物中のエポキシ樹脂のエポキシ基当量とシアネート化合物のシアナト基当量の割合が1:0.5乃至1:3となる範囲で用いるのが好ましい。この範囲を外れると硬化後に残存する未反応のエポキシ基またはシアナト基により、十分に低い誘電正接値が得られない場合がある。なお、樹脂組成物中に「1分子中に2以上のエポキシ基を有する芳香族系エポキシ樹脂」以外のエポキシ基を有する化合物、「1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物」以外のシアナト基を有する化合物が含まれる場合は、これらの成分も含めてエポキシ基とシアナト基の割合を上記の範囲内とする。すなわち、樹脂組成物中に存在するエポキシ基とシアナト基の割合を1:0.5乃至1:3とするのが好ましい。
【0045】
本発明における樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含有していてもよい。なおシアネート化合物とエポキシ樹脂を含む樹脂組成物において、更にフェノキシ樹脂を配合することにより、硬化が促進され樹脂組成物の熱硬化性が向上する。フェノキシ樹脂は2官能エポキシ樹脂とビスフェノール化合物の反応生成物からなるポリマーであり、分子中に存在するヒドロキシル基がエポキシ基とシアナト基の硬化促進作用を示すため、比較的低い硬化温度で十分な硬化物性(耐熱性、低誘電正接等)を発揮することが可能になると考えられる。またフェノキシ樹脂の配合により、エポキシ樹脂硬化物の酸化剤による粗化性が向上し、メッキにより形成された導体層の密着性も向上する。
【0046】
また、末端に残存するエポキシ基を(メタ)アクリル酸で反応させたフェノキシ樹脂、またはヒドロキシル基の一部にイソシアネート基を有するメタクリレート化合物やアクリレート化合物を反応させたフェノキシ樹脂を使用することもでき、この場合これらフェノキシ樹脂はラジカル重合性樹脂としても機能する。
【0047】
フェノキシ樹脂の好ましい例としては、例えばビスフェノールAタイプのフェノトートYP50(東都化成(株)製)、E−1256(ジャパンエポキシレジン(株)製)の他、臭素化されたフェノキシ樹脂であるフェノトートYPB40(東都化成(株)製)などが挙げられる。特にビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が、耐熱性、耐湿性および硬化促進作用の点で好ましい。このようなフェノキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX4000)と各種ビスフェノール化合物との反応生成物からなるフェノキシ樹脂である、YL6742BH30、YL6835BH40、YL6953BH30、YL6954BH30、YL6974BH30、YX8100BH30を挙げることができる。これらのフェノキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
フェノキシ樹脂は、硬化促進作用のほか接着フィルムの可とう性を向上させこれらの取り扱いを容易にするとともに硬化物の機械的強度、可とう性も向上させる。フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量が5000乃至100000のフェノキシ樹脂を好ましく用いることができる。フェノキシ樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、上記の効果が十分でない場合があり、100000を超えるとエポキシ樹脂及び有機溶剤への溶解性が著しく低下し、実際上の使用が困難となる場合がある。
【0049】
フェノキシ樹脂の配合量については、その種類によっても異なるが、好ましくはシアネート化合物またはシアネート化合物とエポキシ樹脂との合計量100重量部に対し3〜40重量部の範囲で配合される。特に5〜25重量部の範囲で配合するのが好ましい。3重量部未満であると樹脂組成物の硬化促進作用が十分でない場合が生じ、樹脂組成物を回路基板にラミネート(積層)する際、あるいはラミネートした樹脂組成物を熱硬化する際、樹脂の流動性が大きくなりすぎて絶縁層厚が不均一となる傾向にある。また導体層形成のための硬化物の粗化性も得られ難い傾向にある。一方、40重量部を超えると、フェノキシ樹脂の官能基が過剰に存在することになり、十分に低い誘電正接値が得られない傾向にあり、更には接着フィルムを回路基板にラミネートする際の流動性が低すぎて回路基板に存在するビアホールやスルーホール内の樹脂充填が十分に行えなくなる傾向にある。
【0050】
本発明における樹脂組成物においては、必要により形成される絶縁層の熱膨張率を低下させるため、無機充填材を添加してもよい。
【0051】
無機充填材としては、シリカ、シリコン粒子、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。特にシリカが好ましい。無機充填材は平均粒径5μm以下のものが好ましい。平均粒径が5μmを超える場合、導体層に回路パターンを形成する際にファインパターンの形成を安定的行うのが困難になる場合がある。なお平均粒径は、株式会社 堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−500により測定することができる。また無機充填材は耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理してあるものが好ましい。
【0052】
無機充填材を添加する場合の添加量は、本発明におけるエポキシ樹脂組成物の特性や求める機能によっても異なるが、樹脂組成物を100重量%とした場合、通常5〜80重量%、好ましくは10〜75重量%、更に好ましくは20〜65重量%の範囲で配合される。
【0053】
本発明における樹脂組成物中において、成分(a)及び(b)に加え、成分(c)、(d)、(e)、(f)の何れか1成分以上が含まれる場合、これら成分の合計の配合割合は、好ましくは25重量%以上、更に好ましくは30重量%以上とすることができる。
【0054】
本発明における樹脂組成物は、必要により更に硬化時間を短縮する目的で、硬化触媒として用いられている有機金属化合物を添加してもよい。このような有機金属化合物としては、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅化合物、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛化合物、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト化合物などが挙げられる。有機金属化合物を添加する場合の添加量は通常シアネート化合物に対して金属換算で10〜500ppm、好ましくは25〜200ppmの範囲である。
【0055】
更に本発明における樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、添加剤を配合することができる。熱硬化性樹脂としては、希釈剤としての単官能エポキシ樹脂の他、脂環式多官能エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤としての酸無水物系化合物、ブロックイソシアネート樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。添加剤としては、シリコンパウダー、ナイロンパウダー、フッ素パウダー等の有機充填剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリコン系、フッ素系、高分子系の消泡剤又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、カーボンブラック等の着色剤等を挙げることができる。
【0056】
本発明における樹脂組成物はシアネート化合物が主要成分として配合されるため、耐熱性及び電気特性に優れた硬化物を形成する。例えば、高周波領域に用いられるプリント配線板で求められる誘電正接の条件(例えば、測定周波数1GHz及び温度23℃の条件で0.015以下)を満足させる硬化物を形成させることが可能である。
【0057】
本発明における接着フィルムは、上記に説明した樹脂組成物を有機溶剤に溶解して樹脂ワニスとした後、これを支持体であるベースフィルム(支持フィルム)上に塗布し、熱風吹き付け等の手段で溶剤を乾燥させることにより製造することができる。
【0058】
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
当業者、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。例えば30〜60重量%の有機溶剤を含むワニスを80〜100℃で3〜10分程度乾燥させることができる。樹脂組成物に残存する有機溶剤の量は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下とする。
【0060】
本発明の接着フィルムにおいては、好ましくは10〜200μm厚の支持フィルムに、エポキシ樹脂組成物層の厚みをラミネートする回路基板の導体厚以上で、好ましくは10〜150μmの範囲で層形成させる。
【0061】
熱硬化性樹脂組成物層の支持フィルムが密着していない面には支持フィルムに準じた保護フィルムをさらに層形成することができる。保護フィルムの厚みは1〜40μmとするのが好ましい。保護フィルムで保護することにより、エポキシ樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムはロール状に巻きとって貯蔵することもできる。
【0062】
支持フィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。支持フィルムにはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
【0063】
なおワニスの調製に用いる有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。これらの有機溶剤は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
回路基板に用いられる基板としては、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等を使用することができる。なお、本発明において回路基板とは上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層が交互に層形成してなる多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも本発明にいう回路基板に含まれる。なお導体層表面は黒化処理等により予め粗化処理が施されていてもよい。
【0065】
1分子中に2以上のシアナト基を有する芳香族系シアネート化合物及びラジカル重合性樹脂を含有する樹脂組成物を回路基板に被膜する工程は、樹脂組成物のワニスを作成し、これを直接回路基板に塗布することもできるが、好ましくは上記接着フィルムを作成し、これを回路基板にラミネートすることにより行うことができる。
【0066】
本発明における接着フィルムは真空ラミネーターにより好適に回路基板にラミネートすることができる。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、(株)日立インダストリイズ製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0067】
ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。ラミネートの条件は、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。ラミネート後、室温付近に冷却してから必要により支持フィルムを除去する。
【0068】
ラミネート工程を経た後、回路基板にラミネートされたエポキシ樹脂組成物を光硬化する。光硬化は活性光線を樹脂組成物に照射して行うことができる。なお支持フィルムが活性光線を透過する場合は、支持フィルムを通して活性光線を照射することができ、透過しない場合には、支持フィルムを除去した後に照射する。活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線(UV)を放射するものが好ましく用いられる。照射量は本発明の効果が発揮される範囲で適宜当業者が最適な量を設定すればよいが、好ましくは100〜5000mJ/cm、更に好ましくは300〜3000mJ/cmの範囲で照射することができる。
【0069】
このような光硬化工程を経た後、光硬化された樹脂組成物を熱硬化する。光硬化工程前に支持フィルムを除去していない場合は除去する。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましい条件は160℃〜200℃で30〜120分である。離型処理の施された支持フィルムを使用した場合には、熱硬化工程を経た後に支持フィルムを除去することもできる。
【0070】
このようにして得られる絶縁層の表面は、その凹凸差を4μm以下、好ましくは3μm以下とすることができ、平滑性に優れた絶縁層形成が可能である。
【0071】
このように樹脂組成物の硬化物で絶縁層が形成された後、必要に応じて該絶縁層にドリル、レーザー等により穴開けを行いビアホールやスルーホールを形成してもよい。
【0072】
絶縁層上に導体層を形成するには、乾式メッキ又は湿式メッキによることができる。乾式メッキとしては蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法が使用できる。湿式法の場合は、まず過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で硬化したエポキシ樹脂組成物層(絶縁層)の表面を粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。酸化剤としては特に過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。次いで無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。湿式法によれば、ビアホールやスルーホール壁面にも同時にメッキすることができる。導体層に回路形成する方法として具体的には、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。このような操作を繰り返し、ビルトアップ方式で導体層と絶縁層を交互に積層していくことで多層プリント配線板を製造することもできる。
【0073】
なお、上に記載した、被膜工程(ラミネート工程)、光硬化工程、熱硬化工程、穴開け工程、メッキ工程、回路形成工程等の各工程間において、必要に応じ、絶縁層の機械的研磨工程やプラズマ処理工程のようなその他の任意の工程が含まれていてもよい。
【0074】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0075】
ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)プリマセットBA230S75、シアネート当量約232、不揮発分75%のメチルエチルケトン(MEK)ワニス)40重量部、ビニルベンジル樹脂(昭和高分子(株)製 V−5000X、不揮発分65%のトルエンワニス)40重量部、ビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂ワニス(ジャパンエポキシレジン(株)製 YL6954BH30、重量平均分子量38000、不揮発分30%のMEK/シクロヘキサノンワニス)15重量部、コバルト(II)アセチルアセトナートの1%N,N−ジメチルホルムアミド溶液2重量部、さらに球型シリカ(平均粒径1.1μm)を40重量部添加し樹脂組成物ワニスを作製した。そのワニスを厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃で10分乾燥させ、接着フィルムを得た。
【実施例2】
【0076】
ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)プリマセットBA230S75、シアネート当量約232、不揮発分75%のMEKワニス)40重量部、ビニルベンジル樹脂(昭和高分子(株)製 V−5000X、不揮発分65%のトルエンワニス)20重量部、ビフェニル型エポキシ樹脂のアクリレート化物(日本化薬(株)製ZCA−251H、不揮発分70%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートワニス)10重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、ジャパンエポキシレジン(株)製 エピコート828EL)10重量部、ビフェニル骨格含有フェノキシ樹脂ワニス(ジャパンエポキシレジン(株)製 YL6954BH30、重量平均分子量38000、不揮発分30%のMEK/シクロヘキサノンワニス)20重量部、コバルト(II)アセチルアセトナートの1%N,N−ジメチルホルムアミド溶液3重量部、光重合開始剤0.7部(日本シイベルヘグナー(株)Speedcure3060)さらに球型シリカ(平均粒径1.1μm)を40重量部添加し樹脂組成物ワニスを作製した。そのワニスを厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃で10分乾燥させ、接着フィルムを得た。
【実施例3】
【0077】
ビスフェノールAジシアネートのプレポリマー(ロンザジャパン(株)プリマセットBA230S75、シアネート当量約232、不揮発分75%のMEKワニス)40重量部、Xylok型フェノール樹脂のビニルベンジルエーテル化物(昭和高分子(株)製SA−1X、不揮発分75%のトルエンワニス)40重量部、コバルト(II)アセチルアセトナートの1%N、N−ジメチルホルムアミド溶液4重量部、さらに球型シリカ(平均粒径1.1μm)を40重量部添加し樹脂組成物ワニスを作製した。そのワニスを厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80〜120℃で10分乾燥させ、接着フィルムを得た。
【0078】
<樹脂組成物の硬化挙動測定>
実施例1及び2で得られた接着フィルムの樹脂組成物層サンプル、及び該樹脂組成物層をアイグラフィックス(株)製コンベア式UV照射装置(EYE GRANDAGE)を用いて1000又は2000mJ/cm照射した後の樹脂組成物サンプルにつき、(株)ユー・ビー・エム社製型式Rheosol-G3000を用いて、樹脂組成物層の動的粘弾性を測定した。樹脂組成物層を直径20mm、厚さ2.3mm程度のタブレット(重量約1g)としたものを測定サンプルとしパラレルプレートを使用して、測定開始温度60℃とし、昇温速度5℃/分、測定間隔温度2.5℃、振動数1Hz/deg、100g静荷重一定の条件で測定を行った。実施例1の樹脂組成物層及びUV照射後の該樹脂組成物層の動的粘弾性測定結果を図2に、実施例2の樹脂組成物層及びUV照射後の該樹脂組成物層の動的粘弾性測定結果を図3に示す。観測された各サンプルの最低溶融粘度値を表1に示す。
【0079】
【表1】


【0080】
<樹脂組成物の表面平坦性評価>
導体厚35μm、ライン/スペース=160μm/160μmの櫛歯パターンのテストクーポンに実施例1及び2で得られた接着フィルムを熱プレス付き真空ラミネーターにより、温度110℃、圧力5kgf/cm(49×10N/m)、気圧5mmHg(6.7hPa)以下、加圧時間が30秒の条件で真空ラミネートし、その後温度110℃、圧力5kgf/cm(49×10N/m)で60秒間熱プレスを行った。次いでPETフィルムを剥離し、アイグラフィックス(株)製コンベア式UV照射装置(EYE GRANDAGE)を用いて2000mJ/cmの照光量で紫外線照射し、その後170℃で30分間加熱硬化させた。比較として紫外線照射せずに170℃で30分間加熱硬化させたサンプルを作製した。各サンプルの絶縁層表面の表面凹凸差を、レーザー干渉式表面形状測定器(Veeco社製、NT3300)により測定した。凹凸差(3回測定の平均値)の測定結果を表2に示す。またIPC−TM650 2.5.5.9に準じて比誘電率、誘電正接を測定した(23℃、測定周波数1GHz)。なお比誘電率、誘電正接の測定サンプルは、実施例1及び2の接着フィルムを、それぞれ真空ラミネーターにより複数回積層して厚さを1mmとし、アイグラフィックス(株)製コンベア式UV照射装置(EYE GRANDAGE)を用いて2000mJ/cmの照光量で紫外線を照射し、その後180℃で90分間加熱硬化したものを使用した。
【0081】
【表2】


【0082】
表2から、本発明の接着フィルム、製造法を用いて回路基板上に形成された絶縁層は表面平滑性に非常に優れ、かつ誘電特性にも優れることが分かる。
【0083】
<実施例4>
銅箔35μm、板厚0.2mmのFR4両面銅張積層板から回路基板を作製し、実施例1で得られた接着フィルムを熱プレス付き真空ラミネーターにより、温度110℃、圧力5kgf/cm(49×10N/m)、気圧5mmHg(6.7hPa)以下、加圧時間が30秒の条件で真空ラミネートし、次いで温度110℃、圧力5kgf/cm(49×10N/m)で60秒間熱プレスを行い回路基板両面にラミネートした。その後、PETフィルムを剥離し、アイグラフィックス(株)製コンベア式UV照射装置(EYE GRANDAGE)を用いて2000mJ/cmの照光量で紫外線照射し、170℃で30分加熱硬化させ絶縁層を形成した。該絶縁層にレーザーにより穴開けし、ビアホールを形成させた。次いで過マンガン酸塩のアルカリ性酸化剤で絶縁層表面を粗化処理し、無電解メッキ及び電解メッキにより導体層を形成した後、サブトラクティブ法に従って回路形成し4層プリント配線板を得た。その後、更に180℃で90分アニール(anneal)処理を行った。得られた4層プリント配線板の導体層のピール強度は0.7kgf/cmであった。なお、ピール強度測定は日本工業規格(JIS) C6481に準じて評価し、約30μmの導体メッキ厚で測定した。また得られた多層プリント配線板を260℃で60秒間はんだ浸漬し、はんだ耐熱性を観察したところ樹脂のデラミネーション、導体の剥がれ等の異常は観察されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の製造方法で得られるプリント配線板は芳香族系シアネート化合物を含有する樹脂組成物を使用するため絶縁層の誘電特性に優れるとともに、該樹脂組成物がラジカル重合性樹脂を含み、光硬化工程及び熱硬化工程を経ることで、形成される絶縁層の平滑性にも優れ、ファインパターンの回路形成が要求されるプリント配線板、特に多層プリント配線板の製造方法として好適に使用することができる。また該製造方法に用いられる本発明の樹脂組成物及び接着フィルムはこれらプリント配線板用の絶縁材料として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】回路基板上に形成された絶縁層の凹凸差を示す概念図である。
【図2】実施例1の樹脂組成物層及びUV照射後の該樹脂組成物層の動的粘弾性測定の結果である(△2000mJ/cm照射、□1000mJ/cm照射、○未照射)。
【図3】実施例2の樹脂組成物層及びUV照射後の該樹脂組成物層の動的粘弾性測定の結果である(□2000mJ/cm照射、○未照射)。
【出願人】 【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目15番1号
【出願日】 平成16年6月21日(2004.6.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−244150(P2005−244150A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−183138(P2004−183138)