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【発明の名称】 フレキシブルプリント配線基板
【発明者】 【氏名】栗田 智晴
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社綜合研究所内

【氏名】服部 貴洋
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社綜合研究所内

【氏名】小松 和憲
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社内

【氏名】中島 直士
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社綜合研究所内

【氏名】伊藤 武
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社綜合研究所内

【要約】 【課題】各種性能に優れたフレキシブルプリント配線基板を提供すること。

【解決手段】基材フィルム層、導体層、接着剤層、カバーフィルム層を必須の構成成分とするフレキシブルプリント配線基板において、接着剤層にエポキシ樹脂で架橋されたポリエステルポリウレタン樹脂を含むフレキシブルプリント配線基板が提供される。基材フィルム層は、好ましくはポリアミドイミド樹脂であり、カバーフィルム層は、好ましくはポリイミド樹脂である。本発明によれば、接着剤が特定され、また特定の層構成が採用されることにより、微細なパターンの回路を形成しても高品質が達成可能なフレキシブルプリント配線基板が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム層、導体層、接着剤層、カバーフィルム層を含むフレキシブルプリント配線基板であって、
該接着剤層が、エポキシ樹脂で架橋されたポリエステルポリウレタン樹脂を含有し、該エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂を必須成分とし、しかもポリエステルポリウレタン樹脂が以下の(1)、(2)の条件を満たす、フレキシブルプリント配線基板。
(1)ポリエステル成分の酸成分100モル%のうち、テレフタル酸含有量およびイソフタル酸含有量の合計が70モル%〜100モル%であり、
(2)イソシアネート成分がヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
【請求項2】
前記接着剤層におけるポリエステルポリウレタン樹脂100重量部に対して、ノボラック型エポキシ樹脂またはその残基が5〜70重量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはその残基が5〜70重量%の割合で含まれる、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項3】
前記接着剤層におけるポリエステルポリウレタン樹脂100重量%に対して、さらに酸無水物化合物またはその残基を1〜20重量%含む、請求項2に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項4】
回路ピッチが150μm以下であり、回路線幅が100μm以下のパターンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項5】
前記カバーフィルム層がポリイミド樹脂フィルムまたはポリアミドイミド樹脂フィルムである、請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項6】
前記カバーフィルム層がポリイミド樹脂フィルムである、請求項5に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項7】
前記ポリイミド樹脂のジアミン成分のうち、5〜70モル%がp−フェニレンジアミンである、請求項6に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項8】
前記基材フィルム層がポリイミド樹脂フィルムまたはポリアミドイミド樹脂フィルムである、請求項1〜7のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項9】
前記基材フィルム層がポリアミドイミド樹脂フィルムである、請求項8に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【請求項10】
請求項9に記載のフレキシブルプリント配線基板であって、前記ポリアミドイミド樹脂の酸成分100モル%のうちに、70〜90モル%のトリメリット酸無水物、5〜25モル%の3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、および5〜25モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含み、
前記ポリアミドイミド樹脂のジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミンを含む、フレキシブルプリント配線基板。
【請求項11】
前記導体層が、接着剤を介さずに直接前記基材フィルム層の上に積層されている、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線基板(以下、「FPC」ともいう。)に関する。なお、フレキシブルプリント配線基板は、フレキシブルプリント回路基板、フレキシブルプリント基板などと呼ばれることもある。
【0002】
本発明は、マイグレーション性、耐熱性、寸法安定性、接着性などに優れたフレキシブルプリント配線基板に関するものである。さらに詳しくは、金属箔にポリアミドイミド樹脂溶液を連続的に塗布、乾燥してなる、耐熱性、寸法安定性、接着性等に優れ、かつ、加湿下でも絶縁性、半田耐熱性の低下や、マイグレーション性の低下の少ないフレキシブルプリント配線基板に関する。
【0003】
本明細書及び特許請求の範囲において「フレキシブルプリント配線基板」とは、金属箔と樹脂層とから形成された積層体である。フレキシブルプリント配線基板は、従来から、例えば、フレキシブル金属張積層体を用いてサブトラクティブ法などの従来公知の方法により製造され、必要に応じて、導体回路を部分的、或いは全面的にカバーレイフィルムやスクリーン印刷インキ等を用いて被覆した、いわゆるフレキシブル回路板(FPC)、フラットケーブル、テープオートメーティッドボンディング(TAB)用の回路板などを総称している。
【背景技術】
【0004】
従来から、ポリマーフィルムの上に金属箔を積層した柔軟性の金属張積層体を用いたFPCが知られている。たとえば、特許文献1(特開平2−131933号公報)、特許文献2(特開平8−250860号公報)、特許文献3(特開2000−273430号公報)、および特許文献4(国際公開WO03/072639号公報)は、ポリマーフィルムの上に金属箔を積層した金属張積層体を記載している。
【0005】
従来のフレキシブルプリント配線基板は、ポリイミドフィルムと金属箔とをエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化型の接着剤によって貼りあわせたものであった。この熱硬化型の接着剤で貼りあわせたフレキシブル金属張積層体から形成されるフレキシブルプリント基板は、接着剤に起因して基材(樹脂フィルム層)の熱膨張率が高くなる為、熱寸法安定性に劣り、又、耐湿性に劣る為、加湿処理後、絶縁性、半田耐熱性が低下するという問題点があった。更には、熱寸法安定性に劣るがゆえに、様々な加熱工程において、フレキシブル金属張積層体やそれを回路加工したフレキシブルプリント基板が、カールしたり、或いは、耐湿性に劣るがゆえに、エッチング工程などの湿式工程時、基板にカールやねじれ等が生じて、結果として、回路形成工程やフレキシブルプリント基板への実装工程で、歩留まりが悪くなるという問題点があった。
【0006】
これらの問題を解決する為に、接着剤無しで絶縁基板に直接、金属箔を形成する技術が検討されてきた(所謂二層フレキシブル金属張積層体である)。例えば、特許文献5(特開平02−98994号公報)にはポリイミドフィルムにスパッター法で、特許文献6(特開昭62−181488号公報)には蒸着法で、特許文献7(特開昭57−18357号公報)にはイオンプレーティング法でそれぞれ金属薄層(シード層)を形成した後、メッキにより導体層の形成を行う技術が提案されている。しかしながら、いずれの方法も製造コストが高いという欠点をかかえており、又、シード層形成時にピンホールが発生したり、ポリイミドフィルムと導体との接着性が不十分である等という問題点があった。
【0007】
より安価に接着剤層のない高性能なフレキシブルプリント基板を提供する為に、特許文献8(特開昭57−50670号公報)などにおいてはポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸系溶液を金属箔に直接塗布し、金属箔上で脱水反応/ポリイミド化することで、フレキシブル金属張積層体を成型する方法が提案されている。しかしながら、このような方法で得られたフレキシブル金属張積層体は、樹脂の吸湿率が高いことなどに起因して、加湿処理後の絶縁性能が悪く、高電圧が負荷されるような用途(例えばディスプレイ周辺部品で使用されるフレキシブルプリント基板)では信頼性(耐マイグレーション性)に劣るという問題点があった。又、加湿後、半田耐熱性も低下する為、鉛フリー半田(Ag−Sn−Bi系、Ag−Sn−Cu系等)への適用が制限されたり、或いは、特に湿式工程や湿度の高い雰囲気下において、基板にカールやねじれなどが生ずる為、回路形成工程や実装工程での歩留まりが悪くなるという問題点があった。加えて、前駆体であるポリアミック酸の場合、樹脂を溶解したワニスを保存しておくと加水分解が進行し、分子量が低下したりゲル状に固まってしまう等の課題があった。
【0008】
以上の様に、従来の技術においては、ポリアミドイミド樹脂のワニス安定性に優れ、寸法安定性、耐熱性に優れ、又、加湿下でも半田耐熱性や絶縁性の低下がなく、かつ、どのような雰囲気でも(加湿下や加熱下)反りやねじれの無い二層タイプのフレキシブルプリント基板に供するフレキシブル金属張積層体はないというのが実状であった。
【0009】
また、FPC用の絶縁フィルムとしては、ポリイミド樹脂などが従来使用されている。例えば、特許文献9(特開平7−41588)および特許文献10(特開平11−156936)においては、FPC用の絶縁フィルムとして使用されるポリイミドフィルムが記載されている。
【0010】
しかしながら、これらの絶縁フィルムは接着剤との間の接着性が良好ではないという欠点があった。また、絶縁フィルムと金属箔と接着剤とを組み合わせて得られるFPCにおいては、絶縁フィルムの性質・性能、金属箔の性質・性能、および接着剤の性質・性能のそれぞれの単独の性質・性能からは、FPCとしての性能を予測することが極めて困難であり、FPCの開発においては、実際に各種材料を組み合わせて評価しないとFPCとしての要求性能が満足されるか否かが予想できないという特殊な事情があった。
【0011】
このため、汎用的な従来の接着剤がFPCに使用できるかどうかは、当業者にとって予想することが極めて困難であった。例えば、基材フィルム層、金属箔層、接着剤層、および絶縁フィルム層の4層から構成されるFPCの場合であれば、その4層全体として、FPCの性能を満足する必要があった。そして、基材フィルム層と接着剤層との間の接着力が充分でない場合にはFPCとしての性能を満たすことができず、金属箔層と接着剤層との間の接着力が充分でない場合にもFPCとしての性能を満たすことができず、絶縁フィルム層と接着剤層との間の接着力が充分でない場合にもFPCとしての性能を満たすことができない。また、その4層の材料それぞれ単独が良好な性能を有する材料であっても、その4層のうちの1つの層と他の層との間に物性のばらつきがある場合には、FPCとしては重大な欠陥を生じてしまう場合もある。
【0012】
従って、FPCに必要とされる要求性能を満たすためには、4層(または基材層と金属箔層との間に接着剤層を設ける場合には5層)の材料のそれぞれに性能の優れた材料を選択するだけでは足りず、1層目の材料と他の層の材料との相互作用、2層目の材料と他の層の材料との相互作用、3層目の材料と他の層の材料との相互作用、4層目の材料と他の層の材料との相互作用、および5層の場合には、5層目の材料と他の層の材料との相互作用のすべてを考慮する必要があり、適切な層構成を設計することは、当業者に極めて困難であった。
【0013】
例えば、特許文献11(特開平11−116930)においては、ポリエステル・ポリウエレタンタイプの接着剤が記載されているが、このような接着剤が、FPC用の絶縁フィルムとして使用できるかどうかは当業者が容易に予想できることではなかった。
【0014】
このため、例えば、特許文献3(特開2000−273430号公報)に記載されるようなNBR系の接着剤がFPC用の接着剤として使用されているが、このタイプの接着剤においては、特に微細なパターンが形成される回路を有するFPCにおいて、FPCとしての各種要求品質についての充分な性能を確保することが困難であった。
【特許文献1】特開平2−131933
【特許文献2】特開平8−250860
【特許文献3】特開2000−273430
【特許文献4】国際公開WO03/072639
【特許文献5】特開平2−98994
【特許文献6】特開昭62−181488
【特許文献7】特開昭57−18357
【特許文献8】特開昭57−50670
【特許文献9】特開平7−41558
【特許文献10】特開平11−156936
【特許文献11】特開平11−116930
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の課題を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、各種性能に優れたFPCを提供することを目的とする。具体的には、本発明は、マイグレーション性能に優れ、特に配線の太さが細い場合および配線の間隔が狭い場合のマイグレーション性能に優れたFPCを提供することを目的とする。また本発明は、接着性に優れるFPCを提供することを目的とする。そして本発明は、これらの各種性能のバランスに優れるFPCを提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、とりわけ、微細なパターンが形成された回路においても高信頼性が要求されるプラズマディスプレイまたは携帯電話などのように高品質が要求される回路基板にも使用できる、フレキシブルプリント配線基板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究した結果、従来にはない、マイグレーション性、接着性の各特性を同時に満足する、FPCの開発に成功したものである。即ち、本発明によれば、以下のFPCが提供される。
【0018】
[1] 基材フィルム層、導体層、接着剤層、カバーフィルム層を含むフレキシブルプリント配線基板であって、
該接着剤層が、エポキシ樹脂で架橋されたポリエステルポリウレタン樹脂を含有し、該エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂を必須成分とし、しかもポリエステルポリウレタン樹脂が以下の(1)、(2)の条件を満たす、フレキシブルプリント配線基板。
(1)ポリエステル成分の酸成分100モル%のうち、テレフタル酸含有量およびイソフタル酸含有量の合計が70モル%〜100モル%であり、
(2)イソシアネート成分がヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
【0019】
[2] 前記接着剤層におけるポリエステルポリウレタン樹脂100重量部に対して、ノボラック型エポキシ樹脂またはその残基が5〜70重量%、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはその残基が5〜70重量%の割合で含まれる、上記項[1]に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0020】
[3] 前記接着剤層におけるポリエステルポリウレタン樹脂100重量%に対して、さらに酸無水物化合物またはその残基を1〜20重量%含む、上記項[2]に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0021】
[4] 回路ピッチが150μm以下であり、回路線幅が100μm以下のパターンを含む、上記項[1]〜[3]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0022】
[5] 前記カバーフィルムがポリイミド樹脂フィルムまたはポリアミドイミド樹脂フィルムである、上記項[1]〜[4]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0023】
[6] 前記カバーフィルムがポリイミド樹脂フィルムである、上記項[5]に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0024】
[7] 前記ポリイミド樹脂のジアミン成分のうち、5〜70モル%がp−フェニレンジアミンである、上記項[6]に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0025】
[8] 前記基材フィルム層がポリイミド樹脂フィルムまたはポリアミドイミド樹脂フィルムである、請求項[1]〜[7]のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0026】
[9] 前記基材フィルム層がポリアミドイミド樹脂フィルムである、上記項[8]に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【0027】
[10] 上記項[9]に記載のフレキシブルプリント配線基板であって、前記ポリアミドイミド樹脂の酸成分のうちに、70〜90モル%のトリメリット酸無水物、5〜25モル%の3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、および5〜25モル%の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含み、
前記ポリアミドイミド樹脂のジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミンを含む、フレキシブルプリント配線基板。
【0028】
[11] 前記導体層が、接着剤を介さずに直接前記基材フィルム層の上に積層されている、上記項[1]に記載のフレキシブルプリント配線基板。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、各種性能に優れたFPCが提供される。具体的には、本発明のFPCは、マイグレーション性能に優れ、特に配線の太さが細い場合および/または配線の間隔が狭い場合のマイグレーション性能に優れる。また本発明のFPCは、接着性に優れる。そしてこれらの各種性能のバランスに優れる点は、従来技術からは容易に達成できなかった本発明の効果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明のフレキシブルプリント配線基板(FPC)の実施の形態を説明する。
【0031】
(積層構成)
本発明のFPCは、FPCとして採用され得る任意の積層構成とすることができる。例えば、基材フィルム層、金属箔層、接着剤層、およびカバーフィルム層の4層から構成されるFPCとすることができる。また例えば、基材フィルム層、接着剤層、金属箔層、接着剤層、およびカバーフィルム層の5層から構成されるFPCとすることができる。
【0032】
さらに、必要に応じて、上記のFPCを2つもしくは3つ以上積層した構成とすることもできる。
【0033】
例えば、上記4層タイプのFPCまたは5層タイプのFPCを複数積層し、必要に応じて、FPCとFPCとの間を接着剤で接着することが可能である。より具体的には、例えば、第1のFPCの基材フィルム層、第1のFPCの金属箔層、第1のFPCの接着剤層、第1のFPCのカバーフィルム層、第1のFPCと第2のFPCとを接着する接着剤層、第2のFPCの基材フィルム層、第2のFPCの金属箔層、第2のFPCの接着剤層、および第2のFPCのカバーフィルム層の合計9層が順に積層された構成とすることができる。
【0034】
また例えば、上記4層タイプのFPCまたは5層タイプのFPCを2つの基材フィルム層の底部どうしを接着剤層により接着して、背中合わせに張り合わせた形態にすることもできる。この場合、例えば、上記4層タイプのFPCを用いれば、
第1のFPCのカバーフィルム層、
第1のFPCの接着剤層、
第1のFPCの金属箔層、
第1のFPCの基材フィルム層、
第1のFPCと第2のFPCとの基材フィルムどうしを接着する接着剤層、
第2のFPCの基材フィルム層、
第2のFPCの金属箔層、
第2のFPCの接着剤層、および
第2のFPCのカバーフィルム層
の合計9層が順に積層された構成とすることができる。
【0035】
また、例えば、上記5層タイプのFPCを用いれば、
第1のFPCのカバーフィルム層、
第1のFPCのカバーフィルム側の接着剤層、
第1のFPCの金属箔層、
第1のFPCの基材フィルム側の接着剤層、
第1のFPCの基材フィルム層、
第1のFPCと第2のFPCとの基材フィルムどうしを接着する接着剤層、
第2のFPCの基材フィルム層、
第2のFPCの基材フィルム側の接着剤層、
第2のFPCの金属箔層、
第2のFPCのカバーフィルム側の接着剤層、および
第2のFPCのカバーフィルム層
の合計11層が順に積層された構成とすることができる。
【0036】
また、第1のFPCの基材フィルム側の接着剤層または第2のFPCの基材フィルム側の接着剤層が省略された合計10層の積層構成、すなわち、上記4層タイプのFPCと5層タイプのFPCとを背中合わせに接着した形態としてもよい。
【0037】
(基材フィルム)
本発明のFPCにおいて、基材フィルムとしては、従来からFPCの基材として使用されている任意の樹脂フィルムが使用可能である。
【0038】
基材フィルムの樹脂としては、ハロゲンを含む樹脂を用いてもよく、ハロゲンを含まない樹脂を用いてもよい。環境問題の観点から、好ましくは、ハロゲンを含まない樹脂であるが、難燃性の観点からは、ハロゲンを含む樹脂を用いることもできる。
【0039】
基材フィルムは、好ましくは、ポリイミドフィルムまたはポリアミドイミドフィルムである。より好ましくは、ポリアミドイミドフィルムである。
【0040】
ポリイミドフィルムは、その樹脂成分としてポリイミド樹脂を主成分とする。樹脂成分のうち、90重量%以上がポリイミドであることが好ましく、95重量%以上がポリイミドであることがより好ましく、98重量%以上がポリイミドであることがさらに好ましく、99重量%以上がポリイミドであることが特に好ましい。ポリイミド樹脂としては、従来公知の任意の樹脂を使用することができる。ポリイミド樹脂は、繰り返し単位中にイミド結合を有する樹脂であり、例えば、テトラカルボン酸の無水物(例えば、ピロメリット酸無水物)とジアミン(例えば、ジアミノジフェニルエーテル)とを反応させて合成される。
【0041】
ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂がN−メチル−2−ピロリドンに不溶な場合は、その前駆体であるポリアミック酸)の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3から2.5dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.8から2.0dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が低すぎる場合にはフィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が不十分となる場合があり、また、高すぎる場合には溶液粘度が高くなる為、成形加工が困難となることがある。
【0042】
ポリアミドイミドフィルムは、その樹脂成分としてポリアミドイミド樹脂を主成分とする。樹脂成分のうち、90重量%以上がポリアミドイミドであることが好ましく、95重量%以上がポリアミドイミドであることがより好ましく、98重量%以上がポリアミドイミドであることがさらに好ましく、99重量%以上がポリアミドイミドであることが特に好ましい。
【0043】
ポリアミドイミド樹脂は、主鎖の繰り返し単位中にイミド結合とアミド結合とを有する樹脂である。ポリアミドイミド樹脂としては、従来公知の任意の樹脂を使用することができる。ポリアミドイミド樹脂の合成方法としては、代表的には、無水トリメリット酸とジイソシアネートとを反応させるイソシアネート法と、無水トリメリット酸クロライドとジアミンとを反応させる酸クロライド法とが知られているが、いずれの方法で製造されたポリアミドイミド樹脂も本発明に使用可能である。以下に、本発明において特に好ましいポリアミドイミド樹脂を説明する。
【0044】
好ましいポリアミドイミド樹脂は10%の濃度でアミド系溶媒に溶解可能であり、そのワニスを5℃で1ヶ月保管した時の溶液粘度の変化率((1ヵ月後の溶液粘度−初期溶液粘度)/初期溶液粘度)の絶対値が3.0以下であり、かつ、樹脂の吸湿率(25℃、90%RH、24時間)が2.0%以下である。ノンハロゲン系であることがより好ましい。
【0045】
本明細書中でアミド系溶剤に可溶であるとは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンのいずれかの単独溶媒もしくはこれらの少なくとも1種を20重量%以上含有する混合有機溶媒のいずれか一つに10重量%以上溶解することを言う。好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%である。
【0046】
なお、溶解したか否かの判定は、樹脂が固体状である場合には、200mlビーカーに80メッシュを通過する樹脂粉末を規定重量添加し、25℃で24時間静かに攪拌した後の溶液を目視で判定する。なお、すでに溶剤溶解体である場合には特定濃度に希釈した溶液を25℃で24時間静置し、ゲル化、不均一化、白濁、析出のいずれもがなかったものを溶解していると判定する。
【0047】
ポリアミドイミド樹脂を溶解したワニスは5℃で1ヶ月保管した時の溶液粘度の変化率((1ヵ月後の溶液粘度−初期溶液粘度)/初期溶液粘度)の絶対値が3.0以下であるものが望ましい。溶液粘度変化率は上述のアミド系溶剤に10重量%で溶解したワニスの溶解直後の溶液粘度をB型粘度計により25℃において測定し、そのワニスを5℃で1ヶ月間保管後、もう一度B型粘度計を用いて25℃における溶液粘度を測定する。その測定値より溶液粘度の変化率を決定する。この変化率の絶対値は2.0以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、0.20以下が最も好ましい。溶液粘度の変化率が3.0を超えるということは、ワニスの保存安定性が良くないために、ワニス製造後すぐに金属箔に塗布しなくてはならず、後述するフレキシブル金属張積層体を製造しにくくなる。
【0048】
ポリアミドイミド樹脂の吸湿率(25℃、90%RH、24時間)は2.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.8%以下であり、さらに好ましくは1.5%以下である。ここで吸湿率は長さ及び幅が50±1mmの樹脂フィルムを用いて以下の方法で測定した値を言う。測定には5枚の試料を用いる。
(1)50±2℃に保った恒温槽中で試料を24時間放置する。
(2)試料が互いに接触しない様に、試料を秤量瓶に入れ、秤量瓶の蓋(以下単に蓋と言う)を開けたまま25℃、90%RHの条件で24時間静置する(試料表面の塵は羽毛又は毛筆で払う)。
(3)秤量瓶を蓋で素早く密栓し、デシケータ中室温で1時間放置する。
(4)秤量瓶と試料の合計重量を測定し(W1とする)、次にそこから試料を素早く取り出して秤量瓶のみの重量(W0)を測定する。
(5)秤量瓶の中に再度試料を入れて、蓋を開放したまま100±5℃に保った恒温機中で1時間乾燥する。
(6)秤量瓶を蓋で素早く密栓し、デシケータ中室温で1時間放置する。
(7)秤量瓶と試料の合計重量を測定し(W3とする)、次にそこから素早く試料を取り出して秤量瓶のみの重量(W4)を測定する。
(8)次の式によって吸湿率WA(%)を算出する。
【0049】
WA=[{(W1−W0)−(W3−W4)}/(W1−W0)]×100
吸湿率が1.5重量%を超えると、フレキシブル金属張積層体の加湿下でのカールが大きくなり、それを用いて加工したフレキシブルプリント基板も加湿下でカールが大きくなったり、微細なハンダ付け等の加工をする際の寸法精度が悪くなることがある。更には、加湿処理後の半田耐熱性、絶縁性(線間絶縁抵抗の経時安定性、線間絶縁破壊電圧の経時安定性)も低下する可能性もある。
【0050】
溶液安定性が良く、ノンハロゲンで吸湿率の低いポリアミドイミド樹脂は、例えば、ポリマー鎖の繰り返し単位を、有機溶剤に不溶な、或いは、有機溶剤に対する溶解性の乏しい、複数のポリイミド骨格、及び、ポリアミドイミド骨格とし、各々の繰り返し単位を互いに相溶する範囲で共重合する方法などにより製造することができる。
【0051】
一つの実施態様は、下記一般式(1)、一般式(2)、及び、一般式(3)を構成単位として含み、一般式(1)、一般式(2)、及び、一般式(3)の各構成単位のモル比が、式(1)/式(2)=1/99〜99/1モル比、好ましくは、式(1)/式(2)=30/70〜70/30モル比で、かつ、{式(1)+式(2)}/式(3)=30/70〜1/99モル比、好ましくは、{式(1)+式(2)}/式(3)=20/80〜5/95モル比、を満足する共重合ポリアミドイミドである。式(1)と式(2)のモル比を比較した場合、式(1)の成分が少ないと吸湿率が高くなる傾向にあり、式(1)の成分が多いとフィルム等に成形した時の相溶性が悪くなることがあり、力学特性や熱寸法安定性(熱膨張係数)が悪くなる傾向にある。又、{式(1)+式(2)}と式(3)を比較した場合、{式(1)+式(2)}が30モル比を超えると溶剤溶解性に乏しく、1モル%未満では、溶剤溶解性に加え、吸湿特性が悪くなることがある。
【0052】
一般式(1);
【0053】
【化1】


(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。又、Yは直結(ビフェニル結合)、或いは、エーテル結合(−O−)を示す。)
一般式(2);
【0054】
【化2】


(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。)
一般式(3);
【0055】
【化3】


(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。)
好ましい例としてはポリアミドイミド樹脂の酸成分100モル%のうちに、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂である。
【0056】
また、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂も好ましい。
【0057】
一つの実施態様は、下記一般式(4)、一般式(5)、及び、一般式(6)を構成単位として含み、一般式(4)、一般式(5)、及び、一般式(6)の各構成単位のモル比が、式(4)/式(5)=1/99〜99/1モル比、好ましくは、式(4)/式(5)=30/70〜70/30モル比で、かつ、{式(4)+式(5)}/式(6)=50/50〜1/99モル比、好ましくは、{式(4)+式(5)}/式(6)=30/70〜5/95モル比、を満足する共重合ポリアミドイミドである。式(4)と式(5)のモル比を比較した場合、式(4)の成分が少ないと吸湿率が高くなる傾向にあり、式(4)の成分が多いとフィルム等に成形した時の相溶性が悪くなることがあり、力学特性や熱寸法安定性(熱膨張係数)が悪くなる傾向にある。又、{式(4)+式(5)}と式(6)のモル比を比較した場合、{式(4)+式(5)}の成分量が多いと熱膨張係数が高くなるが溶剤溶解性が低下する傾向にあり、{式(4)+式(5)}の成分量が少ないと、溶剤溶解性、及び、吸湿特性が悪くなることがある。
【0058】
一般式(4);
【0059】
【化4】


(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。又、Zは、−OC(O)−R’−COO−を示す。但し、R’は二価のアルキレン基、或いは、芳香族残基を示す。)
一般式(5);
【0060】
【化5】


(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。)
【0061】
【化6】


一般式(6);
(式中、RおよびRは同じであっても異なっていてもよく、それぞれ水素もしくは炭素数1〜4のアルキル基、又は、アルコキシ基を示す。)
好ましい実施態様としてはポリアミドイミド樹脂の酸成分100モル%のうちに、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂である。
【0062】
また、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂も良い。
【0063】
さらに、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂も良い。
【0064】
ポリアミドイミド樹脂の製造は、従来公知の通常の手順で合成することができる。例えば、イソシアネート法、酸クロリド法、低温溶液重合法、室温溶液重合法などであるが、製造コストや未反応の官能基(カルボキシル基)を少なくするという観点から、特に、好ましい製造法は脱炭酸反応により、ポリマーが得られるイソシアネート法である。
【0065】
前記の一般式(1)、(2)、(4)、(5)で示されるポリイミド骨格を、ポリマー中に導入する為に用いる原料(酸成分、及びジアミン成分)としては、以下に示すようなものがあげられる。
【0066】
酸成分としては、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、或いは、下記一般式(7)で示される様なアルキレングリコールビス(トリメリテート)、ビスフェノールビス(トリメリテート)等の一無水物、二無水物、エステル化物などが単独、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
【0067】
一般式(7);
【0068】
【化7】


(式中、R’はアルキレン基、或いは、二価の芳香族残基を示す。)
また、ジアミン成分としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、或いは、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、或いは2種以上の混合物を用いることができる。
【0069】
又、上記以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で以下に示す、酸成分、ジアミン成分を共重合することも可能である。
【0070】
酸成分としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸などの一無水物、二無水物、エステル化物などが単独、或いは2種以上の混合物として用いることができる。
【0071】
ジアミン成分としてはp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,6−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、或いはこれらに対応するジイソシアネートなどの単独或いは2種以上の混合物を用いることができる。
【0072】
上記の一般式(3)、(6)で示されるポリアミドイミド骨格を、ポリマー中に導入する為に用いる原料(酸成分、及びジアミン成分)としては、以下に示すようなものが挙げられる。
【0073】
酸成分としては、トリメリット酸、或いは、その一無水物、エステル化物などが、単独或いは混合物として、又、ジアミン成分としては、前記のポリイミド骨格と同様のジアミン、或いは、対応するジイソシアネートの単独、或いは混合物があげられる。
【0074】
又、上記以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で以下に示す、酸成分、ジアミン成分を共重合することも可能である。
【0075】
酸成分としては、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4’−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸等の一無水物、エステル化物などが単独、或いは、2種以上の混合物として、又、ジアミン成分としては、前記のポリイミド骨格と同様のジアミン、或いは、対応するジイソシアネートの単独、或いは、2種以上の混合物があげられる。
【0076】
尚、上記の好ましい樹脂においては、ポリマー鎖中にハロゲン化合物を含まないことが一つの特徴であるが、これは、例えば、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジブロモ−4,4’−ジアミノビフェニル等のハロゲン元素含有のモノマーを用いないということを意味する。もちろん、ハロゲン元素を含んだモノマーを使用しても、溶剤可溶化、低熱膨張化等、本発明の目的を達成できることがあるが、この場合は、環境問題等から使用できる用途は限られてくる為、好ましくない。
【0077】
ポリアミドイミド樹脂の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3から2.5dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.8から2.0dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が低すぎる場合にはフィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が不十分となる場合があり、また、高すぎる場合には溶液粘度が高くなる為、成形加工が困難となることがある。
【0078】
また、ポリアミドイミド樹脂を製造する際に、吸湿特性、耐熱性、絶縁性、寸法安定性(熱膨張係数)、溶剤溶解性等、本発明の目的を損なわない範囲で、酸成分としてアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−4,4’−ジカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸などの脂肪族や脂環族のジカルボン酸、ポリカルボン酸、及びこれらの一無水物や二無水物、エステル化物などを用いてもよく、又、ジアミン成分として、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサン−1,4−ジアミン、ジアミノシロキサンなどの脂肪族や脂環族ジアミン、或いは、これらに対応するジイソシアネートを単独あるいは2種以上の混合物として用いても良い。又、これら酸成分、ジアミン成分の組み合わせで別途重合した樹脂を混合して使用することもできる。
【0079】
ポリアミドイミド樹脂には、末端を封鎖するための末端封止用モノマーを使用しても良い。例えば、無水フタル酸、安息香酸等のモノカルボン酸やモノ無水物、或いは、アニリン、フェニルイソシアネート等のモノアミン、モノイソシアネート等が使用できる。
【0080】
酸成分とジアミン成分のモルバランスとしては、酸/アミンの比率が1.1〜0.9モル比の範囲が好ましく、より好ましくは、やや酸成分が過剰になる、1.00〜1.05モル比の範囲である。又、酸成分中の無水物の純度は、95%、好ましくは99%以上のものを用いることが好ましい。
【0081】
ポリアミドイミド樹脂のイミド結合のベンゼン核に対する吸光度比は、0.9以上であることが好ましい。より好ましくは1.0以上である。上限は特に限定されないが溶剤溶解性の点から5.0未満が好ましい。イミド結合の吸光度が0.9未満の場合は、樹脂の吸湿特性が低下し、フレキシブルプリント基板の線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性、及び、加湿処理後の半田耐熱性が悪くなる傾向にある。なお、ここで言う吸光度比とは以下の測定方法により決定する。日立製作所製の270−3型赤外分光光度計を用い、サンプルとして、樹脂フィルムの表面(金属箔に接していない面)を削りとった粉末状のサンプルを用い、KBr法で測定する。国際公開WO03/072639号公報の図2に示されるように吸光度1380cm−1のイミドの吸収の吸光度(a)および1500cm−1のベンゼン核の吸収の吸光度(b)をピークボトム間で引いたベースラインからの高さとして求め、吸光度比(b/a)を算出する。なお、測定の際は、ベンゼン核の吸収の吸光度の絶対値が0.5〜0.7の範囲であり、かつ、ベースラインからの高さが吸光度で0.2以上となるように、サンプル濃度調整および粉砕を行なう。
【0082】
基材フィルムの樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)中のイオン性不純物は2mg/kg以下であることが好ましい。より好ましくは1.5mg/kg以下であり、さらに好ましくは1mg/kg以下である。下限は特に限定されないが0mg/kgにできるだけ近い方が好ましい。イオン性不純物が2mg/kgを超えると後述する加湿後の半田耐熱性/絶縁性が低下する場合がある。イオン性不純物は基材フィルムを1cm×1cmに切断した後、5gを石英ビーカーにとり、超純水50mlを加え、オートクレーブで120℃×20時間加熱処理し、得られたサンプル(抽出した純水)のNa、K、Liについて、原子吸光法で元素定量した値とする。
【0083】
基材フィルムの樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)の酸価は150μeq/g以下であることが好ましい。より好ましくは130μeq/g以下であり、さらに好ましくは120μeq/g以下である。酸価が150μeq/gを越えると、樹脂の吸湿特性が低下し、フレキシブルプリント基板の線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性、及び、加湿処理後の半田耐熱性が悪くなる傾向にある。酸価の下限は、フレキシブルプリント基板の線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性、或いは、加湿処理後の半田耐熱性という観点からは特には無いが、低すぎると接着強度が低下する傾向にある。この下限値は、後述の耐熱性樹脂フィルム層の不溶率の値により異なり、特に、不溶率が高い場合は、5μeq/g以上が好ましい。これは、不溶率が高い程、樹脂フィルム層の架橋度が高くなり、結果として、弾性率等の機械的特性が変わってくる傾向にあり、これが接着性に影響を及ぼす為と考えられる。
【0084】
基材フィルムの樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)において、酸価や、イミド結合の吸光度は、重合温度や重合時間等の重合条件によってもコントロールできるが、一般には、酸成分とジアミン成分のモルバランス、末端封止剤の使用、或いは、酸成分中の無水物基の量(モノマー純度、水分のコントロール)等により、コントロールできる。
【0085】
基材フィルムの樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)のガラス転移温度は250℃以上であることが好ましい。より好ましくは280℃以上であり、さらに好ましくは300℃以上である。上限は特に限定されないがワニス安定性の点で450℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると半田耐熱性の低下する恐れがある。ガラス転移温度は樹脂フィルムをサンプルとして熱機械分析の引張荷重法により測定(荷重:1g、サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm、昇温速度:10℃/分、雰囲気:窒素)する。なおフィルムは、窒素中、昇温速度10℃/分で、一旦、変曲点まで昇温し、その後室温まで冷却したフィルムについて測定を行なう。
【0086】
(ポリアミドイミド樹脂溶液)
ポリアミドイミド樹脂の溶液を製造するための溶媒としては、環境への配慮からハロゲン元素を含まない有機溶媒、すなわちノンハロゲン系有機溶媒が好ましい。かかる有機溶媒の典型例としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどで、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンである。これら溶媒が重合溶媒として使用された場合は、そのまま後述するフレキシブル金属張積層体を製造するための溶液として使用できる。
【0087】
また、これらの一部をトルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤で置き換えることも可能である。
【0088】
また、必要ならば、フレキシブル金属張積層体、或いはフレキシブルプリント基板の諸特性、たとえば、機械的特性、電気的特性、滑り性、難燃性などを改良する目的で、本発明の上記耐熱性樹脂溶液に、他の樹脂や有機化合物、及び無機化合物を混合させたり、あるいは反応させてもよい。たとえば、滑剤(シリカ、タルク、シリコーン等)、接着促進剤、難燃剤(リン系やトリアジン系、水酸化アルミ等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等)、メッキ活性化剤、有機や無機の充填剤(タルク、酸化チタン、フッ素系ポリマー微粒子、顔料、染料、炭化カルシウム等)、その他、シリコーン化合物、フッ素化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のような樹脂や有機化合物、或いはこれらの硬化剤、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機化合物をこの発明の目的を阻害しない範囲で併用することができる。
【0089】
こうして得られるポリアミドイミド樹脂溶液(ワニス)中のポリアミドイミド樹脂の濃度は、広い範囲から選択できるが、一般には5〜40重量%程度、特に8〜20重量%程度とするのが好ましい。該濃度が上記範囲を外れると、塗工性が低下する傾向にある。
【0090】
基材フィルムの樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)の吸湿寸法変化率は15ppm/%RH以下であることが好ましい。より好ましくは12ppm/%RH以下であり、さらに好ましくは10ppm/%RH以下である。下限は特に限定されず0ppm/%RHに近いものほど好ましいが、製造の容易性などの観点からは、0.1ppm/%RH以上であることが好ましく、1ppm/%RH以上であることがより好ましく、5ppm/%RH以上であることがさらに好ましい。吸湿寸法変化率は15ppm/%RHを超えると加湿時でのフレキシブル金属張積層板やフレキシブルプリント配線板のカールが大きくなったり、回路加工時の歩留まりが低下したりする場合がある。吸湿寸法変化率は以下のような方法により測定する。
【0091】
(1) IPC−FC 241(IPC−TM−650、2.2.4(c))に準じて金属張積層板の一定の位置に穴をあけ、25℃65%で4時間調湿し、穴間距離を測長する。
【0092】
(2) 金属張積層板の金属層を塩化第二鉄で前面除去(エッチング)し、得られた樹脂フィルムを相対湿度が20%、40%、65%、90%の各雰囲気下で、25℃で24時間調湿する。
【0093】
(3) IPC−FC 241(IPC−TM−650、2.2.4(c))に準じて、樹脂フィルムの穴間距離を測長し、(1)の金属箔積層体の穴間距離を基準に寸法変化率を求める。
【0094】
(4) (3)の寸法変化率を各相対湿度に対しプロットし、その湿度に対する傾きを吸湿寸法変化率とする。
【0095】
基材フィルムの熱膨張係数は30ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは25ppm/℃以下であり、さらに好ましくは20ppm/℃以下である。下限は特に限定されないが金属箔の熱膨張係数とのずれが大きくなると積層体に歪みが蓄積される傾向にある為5ppm/℃以上が好ましい。ここで熱膨張係数はTMA(熱機械分析/理学株式会社製)引張荷重法によりフレキシブル金属張積層体の金属箔をエッチング除去した樹脂フィルム層を用いて測定(荷重:1g、サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm、昇温速度:10℃/分、雰囲気:窒素、測定温度範囲;100℃〜200℃)する。なおフィルムは、窒素中、昇温速度10℃/分で、一旦、変曲点まで昇温し、その後室温まで冷却したフィルムについて測定を行なうものとする。
【0096】
熱膨張係数が大き過ぎると寸法安定性が低下し、それにより(フレキシブル金属積層体の成型加工時に発生する内部歪みが大きくなるため)フレキシブル金属積層体のカール、特に、常態、或いは、フレキシブル金属積層体を加熱した時(放湿した時)のカールが大きくなる場合があり、結果として、それを加工したフレキシブルプリント配線基板も、常態、或いは加熱時にカールが大きくなり易い。
【0097】
ポリアミドイミド樹脂としては酸成分を100モル%のうちに、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(または3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン)を含む樹脂、あるいは酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(または3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン)を含む樹脂が耐熱性、寸法安定性、接着性等に優れ、かつ、加湿下でも絶縁性、半田耐熱性の低下や、カール、寸法変化の少ないフレキシブルプリント基板用のフレキシブル金属張積層体を安価に製造できる点で最も好ましい。
【0098】
基材フィルムは、樹脂成分以外に、必要に応じて、任意の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、従来からFPCの基材に使用されている任意の添加剤(例えば、難燃剤など)が使用可能である。
【0099】
基材フィルム層の厚さは、FPCの性能を発揮するのに支障がない限り特に限定されない。好ましくは絶乾後の厚さとして、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。また、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、フィルム強度等の機械的性質やハンドリング性に劣る場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合にはフレキシブル性などの特性や加工性(乾燥性、塗工性)等が低下する場合がある。
【0100】
(FPCの基材フィルム側の接着剤)
本発明のFPCにおいては、基材フィルム側の接着剤、すなわち、基材フィルムと導体層との間の接着剤を用いてもよく、また、基材フィルムと導体層との間の接着剤を用いずに、基材フィルムの上に導体層を直接積層してもよい。基材フィルムと導体層との間に接着剤を用いると、その接着剤に起因してFPCの性能が低下する場合があるので、直接積層することが好ましい。しかし、基材フィルムと導体層との間の接着性が充分でない場合には、接着剤を用いることが好ましい。
【0101】
基材フィルムと導体層との間に接着剤層を用いる場合、接着剤としては、FPC用の接着剤として従来公知の接着剤が使用可能である。例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアクリル系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤等が使用可能である。
【0102】
中でも、ポリエステルポリウレタン系接着剤が好ましく使用され得る。より好ましくは、後述するカバーフィルム側の接着剤として説明される接着剤である。具体的には、接着剤に好ましい樹脂は、例えば、エポキシ樹脂で架橋されたポリエステルポリウレタン樹脂である。ここで、好ましくは、ポリエステル成分の酸成分100モル%のうち、テレフタル酸およびイソフタル酸の合計量が70モル%〜100モル%である。また好ましくは、ポリエステルポリウレタン樹脂のうちのイソシアネート成分がヘキサメチレンジイソシアネートを含む。またまた好ましくは、ポリエステルポリウレタン樹脂の酸価は100〜1000 当量/10gである。また好ましくは、ポリエステルポリウレタン樹脂の数平均分子量は、8000〜100000である。また好ましくは、上記エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂の混合物である。
【0103】
好ましい実施態様では、カバーフィルム側の接着剤として後述する接着剤を、基材フィルム側の接着剤として使用することができる。
【0104】
1つの実施態様では、後述するカバーフィルム側の接着剤と同一の接着剤を、基材フィルム側の接着剤として使用することができる。
【0105】
基材フィルムと導体層との間に接着剤が用いられる場合、接着剤層の厚さは、FPCの性能を発揮するのに支障がない限り特に限定されない。絶乾後の厚さとして、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、充分な接着性が得られにくい場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合には加工性(乾燥性、塗工性)等が低下する場合がある。
【0106】
(導体層)
本発明に用いる導体層としては、回路基板に使用可能な任意の導電性材料が使用可能である。例えば、金属箔が使用可能である。金属箔としては、任意の従来公知のものが使用可能である。材質としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、スチール箔、及びニッケル箔などを使用することができ、これらを複合した複合金属箔や亜鉛やクロム化合物など他の金属で処理した金属箔についても用いることができる。好ましくは、銅箔である。
【0107】
金属箔の厚みについては特に限定はないが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは、3μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、回路の充分な電気的性能が得られにくい場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合には回路作製時の加工能率等が低下する場合がある。
【0108】
金属箔は、通常、リボン状の形態で提供されている。本発明のFPCを製造する際に使用される金属箔の形態は特に限定されず、リボン状の形態の金属箔を用いる場合、その長さは特に限定されない。また、リボン状の金属箔の幅も特に限定されないが、一般には25〜300cm程度、特に50〜150cm程度であるのが好ましい。
【0109】
(FPCのカバーフィルム側の接着剤層)
本発明のFPCの接着剤層は、エポキシ樹脂で架橋されたポリエステルポリウレタン樹脂を含有する。ここで、このエポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む。
【0110】
ここで、上記ポリエステルポリウレタン樹脂は、エポキシ樹脂により架橋される前の状態において、以下の(1)、(2)の条件を満たす:
(1)ポリエステル成分の酸成分100モル%のうち、テレフタル酸含有量およびイソフタル酸含有量の合計が70モル%〜100モル%であり、
(2)イソシアネート成分がヘキサメチレンジイソシアネートを含む。
【0111】
(酸成分)
ポリエステルポリウレタン樹脂のポリエステル成分の酸成分としては、テレフタル酸またはイソフタル酸が使用される。テレフタル酸またはイソフタル酸のいずれかを単独で使用してもよく、テレフタル酸およびイソフタル酸の両方を併用してもよい。
【0112】
ポリエステルポリウレタン樹脂のポリエステル成分の酸成分は、テレフタル酸の含有量およびイソフタル酸の含有量の合計が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上であり、特に好ましくは100モル%である。テレフタル酸およびイソフタル酸の配合量が少な過ぎる場合には、耐熱性が低下し易い。
【0113】
ポリエステルポリオールの二塩基酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸以外に、必要に応じて、公知の各種二塩基酸を併用することもできる。例えば、以下の二塩基酸が使用可能である:
オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族二塩基酸。
【0114】
芳香族二塩基酸が、耐熱性の点で好ましい。また、接着性と耐熱性とのバランスをとるために、脂肪族二塩基酸を用いることも好ましい。特に、オルソフタル酸、2,6−ナフタル酸、アジピン酸が望ましい。
【0115】
(グリコール成分)
ポリエステルポリオールのグリコール成分としては、任意のグリコールが使用可能である。例えば、以下のグリコールが使用可能である:
エチレングリコ−ル、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール。
【0116】
上記グリコールのうち、エチレングリコ−ル、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ルが好ましい。
【0117】
また、ポリエーテルポリオールをグリコールとして用いることも好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルが挙げられる。
【0118】
(イソシアネート)
ポリエステルポリウレタン樹脂のポリウレタン成分のイソシアネート成分は1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(本明細書中、単に「ヘキサメチレンジイソシアネート」と記載する)を含む。イソシアネート成分100モル%のうち、ヘキサメチレンジイソシアネートが50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましく、90モル%以上であることがいっそう好ましく、95モル%以上であることがひときわ好ましく、100モル%であることが特に好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートの配合量が少な過ぎる場合には、接着性が低下し易い。
【0119】
ポリエステルポリウレタン樹脂の有機ジイソシアネート成分としては、必要に応じて、ヘキサメチレンジイソシアネ−トに加えて、公知の任意のイソシアネートを併用することができる。具体的には、例えば、以下のイソシアネートが挙げられる:
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート。
【0120】
(酸価)
ポリエステルポリウレタン樹脂の酸価は、特に限定されない。酸価は、好ましくは0.5当量/10g以上であり、より好ましくは2当量/10g以上であり、さらに好ましくは4当量/10g以上である。また、好ましくは1000当量/10g以下であり、ひとつの実施態様では100当量/10g未満である。酸価が大き過ぎる場合には、半製品の貯蔵安定性が低下しやすく、また、樹脂の耐水性、耐アルカリ性などが低下しやすい。酸価が小さ過ぎる場合には、耐熱性が低下し易い。
【0121】
(数平均分子量)
ポリエステルポリウレタン樹脂の数平均分子量は、特に限定されない。好ましくは1000以上であり、より好ましくは2000以上であり、さらに好ましくは4000以上である。また、好ましくは100000以下であり、1つの実施態様では8000未満である。数平均分子量が大き過ぎる場合には、樹脂の合成が困難になりやすく、また粘度が上昇して樹脂の取扱い性が低下しやすい。数平均分子量が小さ過ぎる場合には、耐屈曲性が低下し易く、接着性も低下し易い。
【0122】
ポリエステルポリウレタン樹脂の原料として使用されるポリエステルポリオールの数平均分子量は、800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また、50000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましい。
【0123】
ポリエステルポリウレタン樹脂中において、ポリエステル成分、すなわちポリエステルポリオールが占める割合は、20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましく、70重量%以上であることがいっそう好ましい。75重量%以上であることが特に好ましい。また、95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましい。ポリエステルポリオールが少なすぎる場合には、屈曲性が低下しやすく、逆に多すぎる場合には、耐熱性が低下しやすい。
【0124】
従って、ポリエステルポリウレタン樹脂の数平均分子量と、ポリエステルポリオールの数平均分子量との比については、ポリエステルポリウレタン樹脂の数平均分子量を100%として、ポリエステルポリオールの数平均分子量が20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることがいっそう好ましい。75%以上であることが特に好ましい。また、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。
【0125】
(エポキシ樹脂)
上記接着剤において、ポリエステルポリウレタン樹脂は、エポキシ樹脂を用いて架橋反応させる。ここで、エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂を併用する。
【0126】
エポキシ樹脂の配合量については、ポリウレタン中のカルボキシル基とすべてのエポキシ樹脂中のグリシジル基の総和の当量比が1対0.5〜1対5となるように配合することが好ましく、より好ましくは1対1〜1対3である。エポキシ樹脂が少なすぎる場合には架橋度が低くなりやすく、そのため、耐熱性が低下する場合がある。また多すぎる場合には、FPCの最終製品に残存する未反応エポキシ樹脂の量が増えやすく、残存未反応エポキシ樹脂により耐熱性などの性能が低下する場合がある。
【0127】
ノボラック型エポキシ樹脂の例としては、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、臭素化フェノールノボラックグリシジルエーテル、および臭素化クレゾールノボラックグリシジルエーテルなどが挙げられる。臭素化ノボラック型エポキシ樹脂が、難燃性の点で好ましく使用される。
【0128】
ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは100以上であり、より好ましくは150以上である。また、好ましくは1000以下であり、より好ましくは700以下である。
【0129】
ノボラック型エポキシ樹脂の配合量は、ポリエステルウレタン樹脂の固形分100重量部に対して、好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは10重量部以上であり、さらに好ましくは20重量部以上であり、特に好ましくは25重量部以上である。また、好ましくは70重量部以下であり、より好ましくは65重量部以下であり、さらに好ましくは60重量部以下であり、特に好ましくは55重量部以下である。
【0130】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、およびブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0131】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは200以上であり、より好ましくは400以上である。また、好ましくは1000以下であり、より好ましくは800以下である。
【0132】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合量は、ポリエステルウレタン樹脂の固形分100重量部に対して、好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは10重量部以上であり、さらに好ましくは20重量部以上であり、特に好ましくは25重量部以上である。また、好ましくは70重量部以下であり、より好ましくは65重量部以下であり、さらに好ましくは60重量部以下であり、特に好ましくは55重量部以下である。
【0133】
ノボラック型エポキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との配合比は特に限定されないが、好ましくは、ノボラック型エポキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との合計重量のうちにノボラック型エポキシ樹脂が20重量%以上となるように配合される。より好ましくは、30重量%以上であり、さらに好ましくは、40重量%以上である。また、好ましくは、80重量%以下であり、より好ましくは、70重量%以下であり、さらに好ましくは、60重量%以下である。
【0134】
必要に応じて、接着剤には、ノボラック型エポキシ樹脂およびビスフェノールA型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を用いてもよい。具体的には、以下のエポキシ樹脂が例示される:
ビスフェノールSジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイド。
【0135】
(硬化剤)
エポキシ樹脂の硬化反応を触媒する硬化剤としては、従来公知の任意のエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。
ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトリアミン、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどのアミン系化合物、トリフェニルホスフィンなどの塩基性化合物、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、ジシアンジアミド等が挙げられる。これらを単独または2種以上混合して用いても良い。酸無水物が好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸やエチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)がより好ましい。
【0136】
酸無水物を用いる場合、その配合量は、ポリエステルポリウレタン樹脂の固形分100重量部に対して、好ましくは、1重量部以上であり、より好ましくは、3重量部以上であり、さらに好ましくは、5重量部以上である。また、好ましくは、20重量部以下であり、より好ましくは、15重量部以下であり、さらに好ましくは、10重量部以下である。
【0137】
酸無水物を用いる場合、酸無水物はエポキシと反応してカルボシキシル基を一部生成するので、酸無水物の使用により樹脂の酸価を調整することもできる。すなわち、酸無水物は、単なる硬化剤としてのみならず、酸価を調整する機能をも果たすことができる。
【0138】
硬化触媒としてイミダゾール誘導体を用いる場合、その配合量は、ポリエステルポリウレタン樹脂の固形分100重量部に対して、好ましくは、0.01重量部以上であり、より好ましくは、0.1重量部以上である。また、好ましくは、5重量部以下であり、より好ましくは、3重量部以下であり、さらに好ましくは、1重量部以下である。使用量が少なすぎる場合には、十分にエポキシ樹脂を硬化できない場合がある。多すぎる場合には、最終製品に残存する硬化剤が製品の性能に悪影響を与える場合がある。必要に応じてさらにアクリル系含リンモノマー等の接着向上剤を配合しても良い。
【0139】
(ガラス転移温度)
接着剤に用いるポリエステルポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは−20℃以上であり、より好ましくは−10℃以上であり、さらに好ましくは0℃以上である。また、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは40℃以下であり、さらに好ましくは35℃以下であり、特に好ましくは、30℃以下である。ガラス転移温度が低すぎる場合には、耐熱性が充分に得られにくい。ガラス転移温度が高すぎる場合には、接着力が充分に得られにくい。
【0140】
(無機充填材)
接着剤には、必要に応じて無機充填材を添加してもよい。使用可能な無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物等の金属水酸化物、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム等の無機塩、カーボンブラック等が挙げられる。これらの無機充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。例えば、水酸化アルミニウムを用いれば、難燃性を改良することができる。
【0141】
無機充填材は、必要に応じて表面処理されたものであってもよい。表面処理剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、クロロシランのようなシラン化合物等が挙げられる。
【0142】
無機充填材の添加量は樹脂成分の固形分100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、30重量部以上がさらに好ましく、50重量部以上が特に好ましい。500重量部以下が好ましく、300重量部以上がより好ましく、200重量部以下がさらに好ましく、150重量部以上が特に好ましい。少なすぎる場合には、充填材の添加効果が得られにくく、多すぎる場合には、接着剤の粘度が上昇して作業性が低下する場合がある。
【0143】
無機充填材の粒径は好ましくは20μm以下であり、より好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下である。また好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上であり、さらに好ましくは0.5μm以上である。粒径が大きすぎる場合には、配線パターンに悪影響を与える場合があり、粒径が非常に小さいものは入手が困難となる場合がある。
【0144】
接着剤には、必要に応じて、FPC用接着剤に使用されることが従来公知の任意の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤、イオン捕捉剤などを添加することができる。
【0145】
カバーフィルムと導体層との間の接着剤層の厚さは、FPCの性能を発揮するのに支障がない限り特に限定されない。好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、充分な接着性が得られにくい場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合には加工性(乾燥性、塗工性)等が低下する場合がある。
【0146】
また、導体層がエッチングなどにより除去されている部分については、接着剤がカバーフィルムと基材フィルム(または基材フィルム側接着剤)との間を接着することになる。この部分の接着剤の厚さは、上述したカバーフィルムと導体層との間の接着剤層の厚さに、導体層の厚さを加えた厚さとなる。
【0147】
(カバーフィルム)
カバーフィルムとしては、FPC用の絶縁フィルムとして従来公知の任意の絶縁フィルムが使用可能である。例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの各種ポリマーから製造されるフィルムが使用可能である。より好ましくは、ポリイミドフィルムまたはポリアミドイミドフィルムであり、さらに好ましくは、ポリイミドフィルムである。
【0148】
カバーフィルムの樹脂としては、ハロゲンを含む樹脂を用いてもよく、ハロゲンを含まない樹脂を用いてもよい。環境問題の観点から、好ましくは、ハロゲンを含まない樹脂であるが、難燃性の観点からは、ハロゲンを含む樹脂を用いることもできる。
【0149】
ポリイミドフィルムは、その樹脂成分としてポリイミド樹脂を主成分とする。樹脂成分のうち、90重量%以上がポリイミドであることが好ましく、95重量%以上がポリイミドであることがより好ましく、98重量%以上がポリイミドであることがさらに好ましく、99重量%以上がポリイミドであることが特に好ましい。ポリイミド樹脂としては、従来公知の任意の樹脂を使用することができる。
【0150】
具体的には、ポリイミドフィルムとしては、下記繰り返し単位を有するものが好ましい。
【0151】
【化8】


、Rは二価の有機残基である。
【0152】
ポリイミドは、前駆体であるポリアミック酸を合成する低温溶液重合法など従来公知の方法により重合することができる。又、ポリイミドが有機溶剤に可溶な場合は、イソシアネート法、溶液中でポリアミック酸を化学的、あるいは熱的に脱水重合させる溶液重合法などでも製造することができる。
【0153】
本発明で用いるポリイミド樹脂の溶液を製造するための溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどで、好ましくはジメチルアセトアミドである。また、生成するポリアミック酸が可溶な場合は、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、ジグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤も使用可能であり、特にジグライムが好ましい。これらの溶剤は2種以上の混合系での使用も可能である。
【0154】
使用されるモノマーは以下のとおりである。
【0155】
酸成分としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、アルキレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸、3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸などの一無水物、二無水物、エステル化物などが単独、或いは2種以上の混合物として用いることができる。
【0156】
酸成分のうち好ましい態様は50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%がピロメリット酸であるポリイミドであり、この範囲とすることで寸法安定性、屈曲性、カール(反り)などの良好なFPCを製造できる。
【0157】
また、アミン成分としては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,6−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、或いはこれらに対応するジイソシアネートなどの単独或いは2種以上の混合物を用いることができる。
【0158】
前記ポリイミド樹脂のジアミン成分の内、好ましい態様は、5〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%、更に好ましくは、15〜40モル%がp−フェニレンジアミンであるポリイミドであり、この範囲とすることで、寸法安定性、カール(反り)、吸湿特性(加湿時の絶縁性、カールなど)などの良好なFPCを製造できる。p−フェニレンジアミンが5モル%以下ではこれらの特性の効果が少なくなることがあり、又、70モル%を超えると屈曲特性が悪くなることがある。
【0159】
上記の様にして得られた樹脂溶液は、そのまま加熱により、或いは、化学量論以上の脱水剤(脂肪族酸無水物;無水酢酸、芳香族酸無水物など)と触媒量の第3級アミン(トリエチルアミン、ピリジン、キノリンなど)を混合させて化学的及び/又は熱的にイミド化を行いポリイミドとする。溶液は、エンドレスベルトやフィルムなどのキャリア上にキャストし、50℃〜150℃程度の温度で脱溶剤後、自己支持性のフィルムとし、剥離してから、ピンテンター方式などの加熱炉でMD及び/又はTD方向に延伸しながら、50℃〜600℃の温度で熱処理することでポリイミドフィルムとすることができる。
【0160】
ポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂がN−メチル−2−ピロリドンに不溶な場合は、その前駆体であるポリアミック酸)の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3から2.5dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.8から2.0dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が低すぎる場合にはフィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が不十分となる場合があり、また、高すぎる場合には溶液粘度が高くなる為、成形加工が困難となることがある。
【0161】
ポリアミドイミドフィルムは、その樹脂成分としてポリアミドイミド樹脂を主成分とする。樹脂成分のうち、90重量%以上がポリアミドイミドであることが好ましく、95重量%以上がポリアミドイミドであることがより好ましく、98重量%以上がポリアミドイミドであることがさらに好ましく、99重量%以上がポリアミドイミドであることが特に好ましい。
【0162】
また、具体的には、ポリアミドイミドフィルムとしては、従来公知の任意の樹脂フィルムを使用することができる。特に、上記基材フィルムについて説明されたフィルムが好ましく使用可能である。具体的には、例えば、ポリアミドイミド樹脂の酸成分100モル%のうちに、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%を含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂が好ましい。
【0163】
また、酸成分としてトリメリット酸無水物70〜90モル%と、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%と、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物5〜25モル%とを含み、ジアミン成分として3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネートを含むポリアミドイミド樹脂も好ましい。
【0164】
ポリアミドイミド樹脂の分子量は、N−メチル−2−ピロリドン中(ポリマー濃度0.5g/dl)、30℃での対数粘度にして0.3から2.5dl/gに相当する分子量を有するものが好ましく、より好ましくは0.8から2.0dl/gに相当する分子量を有するものである。対数粘度が低すぎる場合にはフィルム等の成型物にしたとき、機械的特性が不十分となる場合があり、また、高すぎる場合には溶液粘度が高くなる為、成形加工が困難となることがある。
【0165】
ポリアミドイミド樹脂のイミド結合のベンゼン核に対する吸光度比は、0.9以上であることが好ましい。より好ましくは1.0以上である。上限は特に限定されないが溶剤溶解性の点から5.0未満が好ましい。イミド結合の吸光度が0.9未満の場合は、樹脂の吸湿特性が低下し、フレキシブルプリント基板の線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性、及び、加湿処理後の半田耐熱性が悪くなる傾向にある。吸光度比は、上述した方法で測定される。
【0166】
カバーフィルムの樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)中のイオン性不純物は2mg/kg以下であることが好ましい。より好ましくは1.5mg/kg以下であり、さらに好ましくは1mg/kg以下である。下限は特に限定されないが0mg/kgにできるだけ近い方が好ましい。イオン性不純物が2mg/kgを超えると後述する加湿後の半田耐熱性/絶縁性が低下する場合がある。イオン性不純物は上述した方法で測定される。
【0167】
カバーフィルムの樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)の酸価は150μeq/g以下であることが好ましい。より好ましくは130μeq/g以下であり、さらに好ましくは120μeq/g以下である。酸価が150μeq/gを越えると、樹脂の吸湿特性が低下し、フレキシブルプリント基板の線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性、及び、加湿処理後の半田耐熱性が悪くなる傾向にある。酸価の下限は、フレキシブルプリント基板の線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性、或いは、加湿処理後の半田耐熱性という観点からは特には無いが、低すぎると接着強度が低下する傾向にある。この下限値は、後述の耐熱性樹脂フィルム層の不溶率の値により異なり、特に、不溶率が高い場合は、5μeq/g以上が好ましい。これは、不溶率が高い程、樹脂フィルム層の架橋度が高くなり、結果として、弾性率等の機械的特性が変わってくる傾向にあり、これが接着性に影響を及ぼす為と考えられる。
【0168】
カバーフィルムの樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)において、酸価や、イミド結合の吸光度は、重合温度や重合時間等の重合条件によってもコントロールできるが、一般には、酸成分とジアミン成分のモルバランス、末端封止剤の使用、或いは、酸成分中の無水物基の量(モノマー純度、水分のコントロール)等により、コントロールできる。
【0169】
カバーフィルムの樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)のガラス転移温度は250℃以上であることが好ましい。より好ましくは280℃以上であり、さらに好ましくは300℃以上である。上限は特に限定されないがワニス安定性の点で450℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると半田耐熱性の低下する恐れがある。ガラス転移温度は樹脂フィルムをサンプルとして熱機械分析の引張荷重法により測定(荷重:1g、サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm、昇温速度:10℃/分、雰囲気:窒素)する。なおフィルムは、窒素中、昇温速度10℃/分で、一旦、変曲点まで昇温し、その後室温まで冷却したフィルムについて測定を行なう。
【0170】
カバーフィルムの樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)の吸湿寸法変化率は15ppm/%RH以下であることが好ましい。より好ましくは12ppm/%RH以下であり、さらに好ましくは10ppm/%RH以下である。下限は特に限定されず0ppm/%RHに近いものほど好ましいが、製造の容易性などの観点からは、0.1ppm/%RH以上であることが好ましく、1ppm/%RH以上であることがより好ましく、5ppm/%RH以上であることがさらに好ましい。吸湿寸法変化率は15ppm/%RHを超えると加湿時でのフレキシブル金属張積層板やフレキシブルプリント配線板のカールが大きくなったり、回路加工時の歩留まりが低下したりする場合がある。吸湿寸法変化率の測定方法は上述したとおりである。
【0171】
カバーフィルムの熱膨張係数は30ppm/℃以下であることが好ましい。より好ましくは25ppm/℃以下であり、さらに好ましくは20ppm/℃以下である。下限は特に限定されないが金属箔の熱膨張係数とのずれが大きくなると積層体に歪みが蓄積される傾向にある為5ppm/℃以上が好ましい。
【0172】
熱膨張係数が大き過ぎると寸法安定性が低下し、それにより(フレキシブル金属積層体の成型加工時に発生する内部歪みが大きくなるため)フレキシブル金属積層体のカール、特に、常態、或いは、フレキシブル金属積層体を加熱した時(放湿した時)のカールが大きくなる場合があり、結果として、それを加工したフレキシブルプリント配線基板も、常態、或いは加熱時にカールが大きくなり易い。
【0173】
カバーフィルムの樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)のガラス転移温度は250℃以上であることが好ましい。より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。上限は特に限定されないがワニス安定性等の点で450℃未満が好ましい。ガラス転移温度が低すぎる場合には半田耐熱性が低下する場合がある。
【0174】
カバーフィルムは、樹脂成分以外に、必要に応じて、任意の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、従来からFPCの基材に使用されている任意の添加剤(例えば、難燃剤など)が使用可能である。
【0175】
カバーフィルム層の厚さは、FPCの性能を発揮するのに支障がない限り特に限定されない。絶乾後の厚さとして、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。また、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。厚さが薄すぎる場合には、フィルム強度等の機械的性質やハンドリング性に劣る場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合にはフレキシブル性などの特性や加工性(乾燥性、塗工性)等が低下する場合がある。
【0176】
なお、カバーフィルムには、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施す事ができる。
【0177】
(FPCの製造方法)
本発明のFPCは、上述した各層の材料を用いる以外は、従来公知の任意のプロセスを用いて製造することができる。
【0178】
好ましい実施態様では、カバーフィルム層に接着剤層を積層した半製品(以下、「カバーフィルム側半製品」という)を製造する。他方、基材フィルム層に金属箔層を積層して所望の回路パターンを形成した半製品(以下、「基材フィルム側2層半製品」という)または基材フィルム層に接着剤層を積層し、その上に金属箔層を積層して所望の回路パターンを形成した半製品(以下、「基材フィルム側3層半製品」という)を製造する(以下、基材フィルム側2層半製品と基材フィルム側3層半製品とを合わせて「基材フィルム側半製品」という)。このようにして得られたカバーフィルム側半製品と、基材フィルム側半製品とを貼り合わせることにより、4層または5層のFPCを得ることができる。
【0179】
(基材フィルム側半製品の製造法)
基材フィルム側半製品は、例えば、
(A)前記金属箔にポリアミドイミド樹脂の溶液を塗布し、塗膜を初期乾燥する工程
(B)(A)で得られた金属箔と初期乾燥塗膜との積層物を熱処理・乾燥する工程(以下、「熱処理・脱溶剤工程」という)
を含む製造法により得られる。
【0180】
熱処理・脱溶剤工程時の温度や時間の条件は、好ましくは、熱処理・脱溶剤工程終了後、塗布した樹脂層の不溶率が1%以上になるように行う。不溶率が1%未満では、耐熱性樹脂の組成によっては、フレキシブル金属張積層板、及び、それを回路加工したフレキシブルプリント基板の半田耐熱性、絶縁性、特に、加湿処理後の半田耐熱性、絶縁性(線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性)が不十分となる場合がある。
【0181】
特に、本発明においては、使用する耐熱性樹脂の特性以外にも、耐熱性樹脂フィルム層が、ある程度の架橋構造を保つことが一つのポイントになっており、その代替メジャーである不溶率を1%以上とすることで、加湿処理後の半田耐熱性や絶縁性(線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性)に優れるフレキシブル金属張積層体を得ることができる。これは、
・架橋反応により吸湿特性に悪影響を及ぼすカルボキシル基等の官能基が低減すること、
・架橋反応により、樹脂フィルム層の物理的耐熱性が向上すること、
等の効果であるものと考えられる。
【0182】
なお不溶率とは、金属箔を除いた部分の樹脂層のみをN−メチル−2−ピロリドン中0.5重量%濃度の溶液で100℃、2時間溶解した後の樹脂層の不溶分を示し、下式で示されるものである。
【0183】
不溶率(%)=[Mi/Mf]×100
(式中、Miは不溶分の重量(g)を示し、Mfは樹脂フィルムの重量(g)を示す。)
不溶率の上限は、使用するポリアミドイミド樹脂の酸価によって異なるが、通常は99%以下、好ましくは85%以下である。特に使用する樹脂の酸価が低い場合、99%以上の不溶率では、接着強度が低下する傾向にある。
【0184】
尚、形成される耐熱性樹脂フィルム層が溶剤に可溶な場合、溶剤に可溶な部分の酸価は5〜150μeq/gである。5μeq/g以下では接着強度が低くなる傾向にあり、150μeq/g以上では、線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性が悪くなる傾向にある。
【0185】
具体的な熱処理温度は(Tg+50)℃以下が望ましい。又、生産性から熱処理・脱溶剤温度の下限は(Tg−250)℃であることが好ましい。ここで、Tgは、摂氏で表したポリアミドイミド樹脂のガラス転移点を示す。
【0186】
(回路の形成)
金属箔層における回路の形成は、従来公知の方法を用いることができる。アクティブ法を用いてもよく、サブトラクティブ法を用いてもよい。好ましくは、サブトラクティブ法である。
【0187】
回路の配線のパターンは、任意のパターンが可能である。特に、細かい配線パターンを含む回路においても本発明のFPCは高いレベルの性能を示すので、細かい配線パターンを含む回路において特に本発明のFPCは有利である。
【0188】
具体的には、細かい配線パターンの部分において、回路の配線の太さは、300μm以下とすることが可能であり、配線の太さを150μm以下とすることも可能であり、配線の太さを100μm以下とすることも可能であり、配線の太さを70μm以下とすることも可能であり、好ましくは50μm以下である。配線の太さは、配線の電気的性能などの観点からは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上である。
【0189】
細かい配線パターンの部分において、配線の間隔は、300μm以下とすることが可能であり、150μm以下とすることも可能であり、100μm以下とすることが可能であり、70μm以下とすることも可能であり、好ましくは50μm以下である。配線の間隔は、配線の電気的性能などの観点からは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上である。
【0190】
細かい配線パターンの部分において、配線の太さと配線間隔との和(回路ピッチ)は、600μm以下とすることが可能であり、300μm以下とすることも可能であり、200μm以下とすることも可能であり、150μm以下とすることも可能である。回路ピッチは、配線の電気的性能などの観点からは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは20μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上であり、特に好ましくは100μm以上である。
【0191】
得られた基材フィルム側半製品は、そのままカバーフィルム側半製品との貼り合わせに使用されてもよく、また、離型フィルムを貼り合わせて保管した後にカバーフィルム側半製品との貼り合わせに使用してもよい。
【0192】
得られた基材フィルム側半製品は、熱寸法安定性に優れるため、カールの生じにくい半製品となる。例えば、加湿後(40℃、90%RH、24時間)のカールの曲率半径が70mm以上である半製品を得ることができ、また、加熱後(100℃、1時間)のカールの曲率半径が70mm以上である半製品を得ることができる。
【0193】
(カバーフィルム側半製品の製造法)
カバーフィルム側半製品は、例えば、カバーフィルムに接着剤を塗布して製造される。必要に応じて、塗布された接着剤における架橋反応を行うことができる。好ましい実施態様においては、接着剤層を半硬化させる。
【0194】
得られたカバーフィルム側半製品は、そのまま基材側半製品との貼り合わせに使用されてもよく、また、離型フィルムを貼り合わせて保管した後に基材フィルム側半製品との貼り合わせに使用してもよい。
【0195】
(基材フィルム側半製品とカバーフィルム側半製品との貼り合わせ)
基材フィルム側半製品とカバーフィルム側半製品とは、それぞれ、例えば、ロールの形態で保管された後、貼り合わされて、FPCが製造される。貼り合わせる方法としては、任意の方法が使用可能であり、例えば、プレスまたはロールなどを用いて貼り合わせることができる。また、加熱プレス、または加熱ロ−ル装置を使用するなどの方法により加熱を行いながら両者を貼り合わせることもできる。
【0196】
例えば、半製品における接着剤層が未硬化状態もしくは半硬化状態のものであれば、貼り合わせの際に加熱を行うことにより接着剤層の架橋反応を進めて硬化させることが可能であり、接着剤層が完全硬化した最終製品を容易に得ることができる。
【0197】
得られた最終製品は、熱寸法安定性に優れるため、カールの生じにくい製品となる。例えば、加湿後(40℃、90%RH、24時間)のカールの曲率半径が70mm以上である製品を得ることができ、また、加熱後(100℃、1時間)のカールの曲率半径が70mm以上である製品を得ることができる。
【0198】
(用途)
本発明のFPCは、従来FPCが使用されてきた各種製品に使用可能である。特に、細い配線が必要とされる用途、および配線の間隔を狭くする必要がある用途に好適に使用可能である。例えば、配線の太さが100μm以下の製品に好適である。また例えば、配線の間隔が300μm以下の製品に好適であり、配線の間隔が150μm以下の製品により好適であり、配線の間隔が100μm以下の製品にさらに好適である。従って、配線の太さと配線間隔との和(回路ピッチ)が狭い用途に好適に使用することができる。回路ピッチが600μm以下の製品に好適であり、回路ピッチが300μm以下の製品により好適であり、回路ピッチが200μm以下の製品にさらに好適であり、回路ピッチが150μm以下の製品に特に好適である。
【0199】
また、本発明のFPCは、マイグレーション性が非常に優れているので、高電圧が付加される用途にも好適に使用可能である。例えば、100V以上の電圧が付加される用途に使用可能であり、150V以上の電圧が付加される用途にも使用可能であり、200V以上の電圧が付加される用途にも使用可能である。
【0200】
本発明のFPCが使用される具体的な最終製品の例としては、例えば、プラズマディスプレイなどが挙げられる。
【0201】
通常、高電圧が負荷される様な用途に使用されるフレキシブルプリント配線基板、例えば、プラズマディスプレイなどのディスプレイ周辺に使用されるフレキシブルプリント配線基板としては、加湿下でも線間絶縁抵抗が1.0×1010Ω以上、線間絶縁破壊電圧が1.0KV以上の、絶縁信頼性を保つ必要があり、従来のフレキシブルプリント配線板では絶縁信頼性不足であったが、本発明のフレキシブルプリント配線基板は、この様な用途でも優れた信頼性を発現する。なおここで言う線間絶縁破壊電圧、線間絶縁抵抗の経時安定性とは、フレキシブルプリント基板の導体回路に100V以上の電圧を負荷した状態で、加熱・加湿処理した後の、各値の常態での値に対する比較値である。
【実施例】
【0202】
以下に、本発明の非限定的な実施例を記載する。
【0203】
ポリエステル樹脂及びポリエステルポリウレタン樹脂の各測定評価項目は以下の方法に従った。尚、ポリエステルポリウレタン樹脂の各測定評価項目は下記合成例によって得られた溶液を120℃で1時間乾燥する事で溶剤を除去し得られた固体を以下の方法に従って各測定を行った。
【0204】
(1)樹脂組成;重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
【0205】
(2)数平均分子量;テトラヒドロフランを溶離液としたウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)150cを用いて、カラム温度35℃、流量1ml/分にてGPC測定を行なった結果から計算して、ポリスチレン換算の測定値を得た。ただしカラムは昭和電工(株)shodex KF−802、804、806を用いた。
【0206】
(3)ガラス転移温度;サンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、200℃まで、昇温速度20℃/分にて測定した。ガラス転移温度はベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
【0207】
(4)酸価の測定 ;サンプル0.2gを20cmのクロロホルムに溶解し、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、樹脂10g当たりの当量(eq/10g)を求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
【0208】
(ポリエステルの合成例)
温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器にテレフタル酸83部、イソフタル酸83部、1,6−ヘキサンジオール118部、テトラブチルチタネート0.07部を仕込み、4時間かけて230℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつエステル化反応を行った。続いてこれを20分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を240℃まで昇温し、更に1mmHg以下で30分間後期重合を行いポリエステルを得た。この様にして得られたポリエステルの特性値は以下の通りであった。
【0209】
樹脂組成
酸成分: テレフタル酸 50モル%
イソフタル酸 50モル%
グリコール成分: 1,6−ヘキサンジオール 100モル%
数平均分子量: 1400
ガラス転移温度: 10℃
酸価: 6当量/t
(ポリエステルポリウレタンの合成例)
温度計、撹拌機および蒸留管を具備した反応容器にポリエステルの合成例により得られたポリエステル100部、トルエン100部を仕込み、100℃にて樹脂を溶解した。その後130℃まで温度を上昇させ、トルエン60部を蒸留し、トルエン及び水の共沸により反応系の脱水を行った。その後、系内を60℃まで冷却し、メチルエチルケトン40部、ネオペンチルグリコール5部を仕込み60℃にて30分撹拌した。その後、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート15部を仕込み、60℃にて30分撹拌を行った。続いてジブチルチンジラウレート0.2部を加え、80℃に昇温し反応させ、反応終了後、メチルエチルケトン100部を加え固形分濃度を40%に調整し、目的とするポリエステルポリウレタンを得た。この様にして得られたポリエステルポリウレタンの特性値は以下の通りであった。
【0210】
数平均分子量: 4200
ガラス転移温度: 12℃
酸価: 5当量/t
(接着剤の合成例)
温度計、撹拌機、還流式冷却管を具備した反応容器にポリエステルポリウレタンの合成例で得られたポリエステルポリウレタン溶液を250部、メチルエチルケトンを114部、硬化剤としてBREN−S(日本化薬(株)社製 臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂)を20部、YDB400(東都化成(株)社製臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を15部、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を5部、リカシッドTMTA−C(新日本理化(株)社製グリセロール トリス アンヒドロトリメリテート)を3部、添加剤としてカヤマーPM2(日本化薬(株)社製アクリル系含燐モノマー)を2部仕込み、50℃にて溶解後、硬化触媒として2E4MZ(四国化成工業(株)社製2−エチル−4−メチルイミダゾール)を1.0部、難燃剤として水酸化アルミニウムを30部を仕込み、十分撹拌し、目的とする接着剤溶液を得た。
【0211】
(ポリエーテルポリウレタンの比較合成例)
温度計、撹拌機および蒸留管を具備した反応容器に数平均分子量が1000のポリプロピレングリコール100部、トルエン100部を仕込み、100℃にて樹脂を溶解した。その後130℃まで温度を上昇させ、トルエン55部を蒸留し、トルエン及び水の共沸により反応系の脱水を行った。その後、系内を60℃まで冷却し、メチルエチルケトン45部、ネオペンチルグリコール3部を仕込み60℃にて30分撹拌した。その後、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート32部を仕込み、60℃にて30分撹拌を行った。続いてジブチルチンジラウレート0.2部を加え、80℃に昇温して反応させ、反応終了後、メチルエチルケトン112.5部を加え固形分濃度を40%に調整し、ポリエーテルポリウレタンを得た。この様にして得られたポリエーテルポリウレタンの特性値は以下の通りであった。
【0212】
数平均分子量: 12000
ガラス転移温度: −30℃
酸価: 3当量/t
(接着剤の比較合成例)
温度計、撹拌機、還流式冷却管を具備した反応容器にポリエーテルポリウレタンの合成例で得られたポリエーテルポリウレタン溶液を250部、メチルエチルケトンを73.5部、エポキシ樹脂としてBREN−S(日本化薬(株)社製 臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂)を20部、YDB400(東都化成(株)社製臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を15部、硬化剤として3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を5部、リカシッドTMTA−C(新日本理化(株)社製グリセロール トリス アンヒドロトリメリテート)3部を仕込み、50℃にて溶解後、硬化触媒として2PHZ−CN(四国化成工業(株)社製イミダゾール系化合物)を0.6部、C11Z−A(四国化成工業(株)社製2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン)を0.4部、難燃助剤として三酸化アンチモン5部を仕込み、十分撹拌し、接着剤溶液を得た。
【0213】
(銅張積層板の製造)
a)基材ポリアミドイミド樹脂の合成
反応容器に無水トリメリット酸153.7g(80モル%)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物38.7g(12モル%)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(純度99%)23.5g(8モル%)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート264.3g(100モル%)、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン−7 1.5g及びN−メチル−2−ピロリドン(純度99.9%)2230gを加え、窒素気流下、100℃まで昇温し、100℃で2時間反応させた。次いで、150℃で1時間反応させた後、N−メチル−2−ピロリドン1307g(ポリマー濃度10重量%)を加え、室温まで冷却した。
【0214】
b)銅張積層板の製造
上記で得られたポリアミドイミド樹脂溶液を、厚み18μmの電解銅箔(商品名「USLP−R2」、日本電解(株)製)にナイフコーターを用いて、脱溶剤後の厚みが25μmになるようにコーティングした。次いで、120℃の温度で3分乾燥し、初期乾燥されたフレキシブル金属張積層体を得た。
【0215】
次いで、上記の初期乾燥された積層体を外径16インチのアルミ管に、塗工面が外側になるよう巻き取り、真空乾燥機で200℃×24hr(減圧度は溶剤の揮発により、10〜100Paの間で変動させた)乾燥し、さらにイナートオーブンで窒素下での加熱(流量;20L/分);280℃×3hr加熱処理した。(塗膜中の溶剤は完全に除去されていた。)
(絶縁フィルムの製造)
a)絶縁フィルム用ポリイミド樹脂の合成
攪拌機、還流冷却器、及び窒素導入缶を備えた容器中において、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル170g(0.85モル)、及び、p−フェニレンジアミン16g(0.15)モルをN,N−ジメチルアセトアミド1600gに溶解し、5℃付近まで冷却し、完全に溶解するまで攪拌した。次いで、ピロメリット酸二無水物218g(0.1モル)を徐々に加え、窒素雰囲気下で約10時間攪拌した。その後、室温になるまで攪拌し、ポリアミド酸の溶液を得た。
【0216】
b)ポリイミド樹脂フィルムの製造
上記ポリアミド酸溶液に30gの無水酢酸とトリエチルアミンを加え、ガラス板上にアプリケーターで塗付後、100℃で10分乾燥後、塗膜を剥離し、その塗膜を支持枠に固定し200℃で3分、300℃で1分、450℃で1分加熱し、厚さ25μmの絶縁フィルムを得た。
【0217】
c)絶縁フィルムの製造
合成例、比較合成例の接着剤をコンマコーターで上記ポリイミド樹脂フィルムに乾燥後の厚さが25μmになる様に塗工し、80℃で3分、150℃で3分乾燥して、絶縁フィルムを得た。
【0218】
(実施例1)
感光レジストを上記フレキシブル金属張積層体の銅箔表面に積層し、マスクフィルムにて露光焼付け、現像し、必要なパターン(IPC−FC241あるいはJIS Z 3197記載の評価パターン)を転写した。次いで、40℃の35%塩化第二銅液を用いて銅箔をエッチング除去し、回路形成に用いたレジストをアルカリにより除去して回路加工を行なった。
【0219】
次いで、電気的接続の為に必要な部分をあらかじめ金型にて打ち抜き・穴あけ加工した上記絶縁フィルムを、回路面に接着剤層が接触するように重ねあわせ、プレスラミネート(160℃×4分、圧力20Kgf/cm(196.133N/cm))、アフターキュアー(100℃×16hr)して、フレキシブルプリント配線基板を得た。
【0220】
(比較例1)
実施例1と同様な方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。ただし絶縁フィルムとして比較合成例で得た接着剤を用いたものを使用した。
【0221】
フレキシブルプリント配線基板の評価は以下のように行なった。
【0222】
a)耐マイグレーション性の評価
表1に示す内容のJIS Z 3197規定のくし型電極(パターンのピッチのみ表1の内容に変更)を用いて、85℃、85%RHの雰囲気下で、1500時間連続通電(DC100V)して作製した経時サンプルの線間絶縁抵抗値(DC500V±5V印加、1分間保持後)をJIS C 5016の方法で測定した。
【0223】
【表1】


b)接着性の評価
上記フレキシブルプリント配線基板積層板を幅3mmの短冊上に切り出し、IPC−FC241(IPC−TM−650,2.4.9(A))に従い、銅箔面と絶縁フィルムとの接着強度を測定した。
【0224】
c)評価結果
評価結果を以下の表に示す。
【0225】
【表2】


以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0226】
上述したとおり、本発明によれば、各種性能に優れたFPCが提供されるので、本発明はFPCを必要とする製品に関する産業において極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
【出願日】 平成16年2月27日(2004.2.27)
【代理人】 【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策

【識別番号】100062409
【弁理士】
【氏名又は名称】安村 高明

【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹

【公開番号】 特開2005−244136(P2005−244136A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−55570(P2004−55570)