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【発明の名称】 配線基板、及び配線基板の製造方法
【発明者】 【氏名】伊藤 達也
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内

【要約】 【課題】本発明では、コア基板を有さず、導体層と誘電体層とが積層される配線基板において、その電気的特性などの品質向上に適した配線基板、およびその製造方法を提供することを課題とする。

【解決手段】コア基板を有さず、かつ両主表面が誘電体層にて構成されるよう、導体層と誘電体層とが積層されるとともに、少なくとも一方の主表面をなす誘電体層の開口内に形成された金属端子パッドを有する配線基板であって、金属端子パッドPD1は、前記開口内に露出面を有し、かつ該露出面の裏面で配線基板1内部の導体層M1とビア接続されるパッド本体と、該パッド本体の外縁から配線基板1の内層方向に、前記開口の壁部に沿って形成される壁面導体部と、にて構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両主表面が誘電体層にて構成されるよう、導体層と誘電体層とが積層されるとともに、少なくとも一方の主表面をなす前記誘電体層の開口に形成された金属端子パッドを有する配線基板であって、
前記金属端子パッドは、前記開口に露出面を有し、かつ該露出面の裏面で前記配線基板内部の前記導体層とビア接続されるパッド本体と、該パッド本体の外縁から前記配線基板の内層方向に、前記開口の壁部に沿って形成される壁面導体部と、にて構成されることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
コア基板を有さず、かつ両主表面が誘電体層にて構成されるよう、導体層と誘電体層とが積層されるとともに、少なくとも一方の主表面をなす前記誘電体層の開口に形成された金属端子パッドを有する配線基板の製造方法であって、
製造時における補強のために支持体を用いて、該支持体の主表面に第一誘電体層を形成し、該第一誘電体層の所定位置に開口を貫通形成し、該開口の壁部および底部を含む領域を覆うように前記金属端子パッドとなるべき被覆導体部を形成する金属端子パッド形成工程と、
前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層に、前記被覆導体部のうち、前記開口の底部を覆う部位と接続するビア導体を形成するビア導体形成工程と、
前記配線基板を構成すべき残部の導体層および誘電体層を積層させる積層工程と、
前記積層工程後に、前記支持体を除去する支持体除去工程と、
がこの順で行われることを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器における高機能化並びに軽薄短小化の要求により、ICチップやLSI等の電子部品では高密度集積化が急速に進んでおり、これに伴い、電子部品を搭載するパッケージ基板には、従来にも増して高密度配線化及び多端子化が求められている。
【0003】
このようなパッケージ基板としては、現状において、ビルドアップ多層配線基板が採用されている。ビルドアップ多層配線基板とは、補強繊維に樹脂を含浸させた絶縁性のコア基板(FR−4等のガラスエポキシ基板)のリジッド性を利用し、その両主表面上に、高分子材料からなる誘電体層と導体層とが交互に配されたビルドアップ層を形成したものである。このようなビルドアップ多層配線基板では、ビルドアップ層において高密度配線化が実現されており、一方、コア基板は補強の役割を果たす。そのため、コア基板は、ビルドアップ層と比べて非常に厚く構成され、またその内部にはそれぞれの主表面に配されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(例えば、スルーホール導体と呼ばれる)が厚さ方向に貫通形成されている。ところが、使用する信号周波数が1GHzを超える高周波帯域となってきた現在では、そのような厚いコア基板を貫通する配線は、大きなインダクタンスとして寄与してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、そのような問題を解決するため、特許文献1に示されるような、コア基板を有さず、高密度配線化が可能なビルドアップ層を主体とした配線基板が提案されている。このような配線基板では、コア基板が省略されているため、全体の配線長が短く構成され、高周波用途に供するのに好適である。このような配線基板を製造するためには、段落0012〜0029及び図1〜4に記載されているように、ビルドアップ層の機械的強度を補償するために金属板を用いて、該金属板上にビルドアップ層を形成した後、金属板をエッチングすることにより薄膜のビルドアップ層のみを得る。そして、このビルドアップ層が配線基板とされる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−26171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述のように、ビルドアップ層の機械的強度を補償するために金属板を支持基板として形成する場合、金属板は、従来のコア基板のように、ビルドアップ層の層面内領域に対して全面被覆する形でないので、外力を受けた際、ビルドアップ層における導体層と絶縁体層との界面付近に応力が集中しやすくなるという問題がある。特に、図4の模式図に示すように、金属パッド層が表面露出した形であると、絶縁体層との接着面積が少ないがために、応力集中した際、特にクラックやデラミ等の欠陥が発生しやすい領域となる。
【0007】
上記のように、ビルドアップ層における導体層と絶縁体層との界面近傍にクラックやデラミ等の欠陥が発生すると、ビルドアップ層に求められる電気的特性などの品質を所望のものとできず、その欠陥が過大なものとなれば、製品化された多層配線基板は不良品として取り扱われることになり、歩留まりの低下を招く。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、コア基板を有さず、ビルドアップ層を多層配線層とする多層配線基板を対象とし、そのビルドアップ層の電気的特性などの品質向上に適した多層配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び作用・発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板は、
両主表面が誘電体層にて構成されるよう、導体層と誘電体層とが積層されるとともに、少なくとも一方の主表面をなす前記誘電体層の開口に形成された金属端子パッドを有する配線基板であって、
前記金属端子パッドは、前記開口に露出面を有し、かつ該露出面の裏面で前記配線基板内部の前記導体層とビア接続されるパッド本体と、該パッド本体の外縁から前記配線基板の内層方向に、前記開口の壁部に沿って形成される壁面導体部と、にて構成されることを特徴とする。
【0010】
上記本発明の特徴は、図1に示すように、導体層と誘電体層とが積層される配線基板において、その主表面のうち少なくとも一方に、図2に示すような導体構造を有する導体パターンが形成されるという点にある。この導体構造は金属端子パッドとして形成されるものであり、図2は、その金属端子パッドを拡大した断面図である。金属端子パッドPDは、下部誘電体層Baに形成された開口に露出面を有し、かつその裏面で形成すべき配線基板内部の導体層とビア接続されるパッド本体PDaと、該パッド本体PDaの外縁から、形成されるべき配線基板の内層方向に延びてなる延長導体部(壁面導体部)PDbと、にて構成される導体構造をなす。この導体構造は、下部誘電体層Baと密着して形成される上部誘電体層Bb内のビア導体VAと、パッド本体PDaの中央上部において接続されている。また、図2に示すパッド本体PDaの下面は、外部基板への接続を担うパッド面として機能する。
【0011】
図4は、従来の金属端子パッド(以下、パッドとも言う)の断面を示すものである。図4の金属端子パッドPDは、図2に示す本発明の金属端子パッドPDのパッド本体PDaのみからなる導体構造を有している。この場合、パッド導体構造と誘電体層との界面、特に図のA,Bの破線内の界面では、内部応力が集中する傾向がある。従って、図のAの領域においては、パッドと密着する誘電体層に、パッドと誘電体層との界面を起点にして、図のように配線基板の内層方向に伸びるクラックが発生しやすい。また、Bの領域においては、パッドPDの壁面から誘電体層Baのはがれ(デラミネーションまたはデラミとも言う)が発生しやすい。これらのクラックやはがれは、配線基板製造時の積層工程時や積層後における加熱冷却によって、熱膨張率の低いパッドと熱膨張率の高い誘電体層とがそれぞれの熱膨張率に基づいて膨張収縮を繰り返すことによって、両者の界面に内部応力が加えられて生じるものである。
【0012】
また、図1のようなコア基板を有さない配線基板を製造する積層工程では、パッドの露出面側が、ある程度のリジッド性を有する支持体と密着し、積層されるビルドアップ層等を支持している場合が多い。この場合、積層工程においては、リジッド性を有する支持体が誘電体層の膨張収縮によって生じる内部応力を支持しているが、この支持体は積層工程後、除去されてしまう。このとき、図のBの領域には、積層工程で生じた内部応力に加えて、支持体が支持していた応力の一部も加わるため、この領域のパッドと誘電体層との界面では、図4のようなはがれなどを生じやすい状態となる。また、その際、Bの領域に集中した応力の一部はAの領域にも伝わり、Aの領域においても応力が増し、クラック等が発生する場合もある。
【0013】
ところが本発明によれば、パッド構造が、従来のパッドよりも誘電体層の密着面積が広くなるように形成されている。これにより、パッドに集中する応力は分散され、クラックやはがれを効果的に防止することができる。また、図4において、クラックを発生しやすい領域であったAの領域には、導体部(壁面導体部)PDbがパッド本体PDaの外縁から配線基板の内層方向に伸びる形で形成されている。この導体部PDbは、特に応力が集中するAの領域に加わる内部応力を効果的に分散し、クラックの発生を防止することができる。また、支持体除去時に増す応力にも耐え易い構造となる。なお、壁面導体部PDbは、少なくともパッド本体PDaの端部(外縁部)から配線基板の内層方向に延びる導体部分が形成されていれば、上記効果を得ることができる。ただし、図2のように、パッド本体PDa側とは逆側の端部において、基板の積層方向に対して垂直に外側に向けて伸びている部分が形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明のパッド構造と接続するビア導体は、図2に示すように上記パッド本体PDaの中央部で接続されるとともに、壁面導体部PDbと接触していない構造を有する。この構造によれば、パッド構造が対称に形成されるため、内部応力の分散のバランスが取りやすく、パッドの非対称構造に基づく局所的な応力の発生が生じ得ない。従って、クラック、はがれ等の防止に好適である。なお、ビア導体と壁面導体部との間は誘電体が形成されているが、この領域は他に比べて導体部が密集しているため、クラック等は発生しにくい状態にある。したがって、ビア導体と壁面導体部との間の領域を、導体で充填しておく必用はない。
【0015】
また、本発明の配線基板は、前記壁面導体部は、前記パッド本体とは逆側の端部が、鉤型形状をなすことを特徴としても良い。
【0016】
これにより、パッドと誘電体層との密着面積をさらに大きく形成することが可能となり、さらなる内部応力の分散を図ることができる。壁面導体部PDb(図2)は、形成されるべき配線基板の内層方向に伸びて形成されるが、上層の導体と近接しすぎるとクロストーク等の不具合を生じかねない。従って、配線基板の内層方向に壁面導体部を形成するにも限界があるため、パッドと誘電体層との密着面積をさらに大きくするためには、壁面導体部のパッド本体とは逆側の端部を鉤型形状とし、鉤型形状の爪部分の導体部を面方向(形成される配線基板の側面側方向)に延長することで、更なる密着面積の拡大が可能となる。ただし、壁面導体部の鉤型形状の爪部分(壁面導体部の面方向に延びた部分)が、パッドの露出面に近接しすぎると、外部からの電磁的な影響を受けやすくなる可能性があるため、その形成位置については考慮される必要がある。
【0017】
また、本発明の配線基板は、コア基板を有さないことを特徴とするものであってもよい。コア基板を有さない配線基板は、薄く形成されることを特徴とするものである。このような配線基板においては特に、クラックやはがれ等に効果を有する上記パッド構造は、配線基板の強度を増すという意味において有効である。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の配線基板の製造方法は、
コア基板を有さず、かつ両主表面が誘電体層にて構成されるよう、導体層と誘電体層とが積層されるとともに、少なくとも一方の主表面をなす前記誘電体層の開口に形成された金属端子パッドを有する配線基板の製造方法であって、製造時における補強のために支持体を用いて、該支持体の主表面に第一誘電体層を形成し、該第一誘電体層の所定位置に開口を貫通形成し、該開口の壁部および底部を含む領域を覆うように前記金属端子パッドとなるべき被覆導体部を形成する金属端子パッド形成工程と、前記第一誘電体層上に形成された第二誘電体層に、前記被覆導体部のうち、前記開口の底部を覆う部位と接続するビア導体を形成するビア導体形成工程と、前記配線基板を構成すべき残部の導体層および誘電体層を積層させる積層工程と、前記積層工程後に、前記支持体を除去する支持体除去工程と、がこの順で行われることを特徴とする。
【0019】
上記本発明の配線基板の製造方法は、上記本発明の配線基板の金属端子パッド(上記パッド本体と上記壁面導体部とからなる)を形成する金属端子パッド形成工程を有することを特徴とするものである。金属端子パッド形成工程の内容を具体的に述べると、製造時における補強のための支持体の主表面に第一誘電体層を形成し、該誘電体層の所定位置に開口を貫通して設け、前記支持体と密着するパッド本体と、該パッド本体から前記開口の壁面に沿って形成される壁面導体部とからなる金属端子パッドを形成するというものである。以下、本発明の配線基板の製造方法の一実施形態を、図5〜8を用いて簡単に説明する。
【0020】
まず、図5に示すように、工程1,2にて形成された、配線基板の積層時における補強のための支持体(図では、FR−4等のガラスエポキシ基板2と下地誘電体層3と金属箔密着体5とからなる)9の主表面に、工程3にて第一誘電体層B1(図1)となるべき第一誘電体シート31を形成する。このとき支持体9は、配線基板の積層後に除去されるものを対象とし、例えば、図に示されている上下に引き剥がし可能な金属箔密着体を備える支持体や、エッチング除去可能な金属板等であっても良い。
【0021】
次いで、図6において、工程4で該第一誘電体シート31にパッドを形成するための開口を貫通形成するとともに、工程5にて、該開口の底部と壁部とを覆うように導体を形成することで、上記金属端子パッドとなるべき被覆導体部11aを形成することができる。このとき、例えば、電解めっき処理によって該被膜導体部11aを形成すれば、上記パッド本体PDaと壁面導体部PDb(図2)とを同時に形成できるため、効率的に配線基板を製造することができる。
【0022】
工程6では被覆導体部11aおよび第一誘電体シート31上に第二誘電体シート32を形成し、該第二誘電体シート32にはビア用の開口(以下、ビア用開口ともいう)を、開口底部を覆ってなる導体部(図2のパッド本体PDa)が露出するように形成する。このとき形成されるビア用開口は、パッド本体PDa(図2)の中央部を露出させるように形成されることで、該ビア用開口に形成されるべきビア導体21と被膜導体部11aとからなる導体構造は、パッド中心に対して対称に形成することができる。これにより、パッドをなす被膜導体部11aの構造の非対称性によって、内部応力が局所的に集中することを防ぐことができ、クラックやはがれの発生を防ぐことができる。
【0023】
図7では、工程7,8では周知のビルドアップ法に基づきビルドアップ層10を積層するとともに、図7の工程9および図8の工程10,11では、支持体を含む配線基板の不要部分を除去する。これにより上記した本発明の配線基板を形成することができ、ひいてはその量産も可能となる。なお、上記配線基板の製造方法の詳細は後述する。
【0024】
また、本発明の配線基板の製造方法は、
前記金属端子パッド形成工程は、前記第一誘電体層の主表面において、前記開口及びその近傍を除く領域をマスク材により覆い、めっき処理により前記被膜導体部を選択的に形成することを特徴としても良い。
【0025】
これによれば、上記した図6の工程4,5において、パッドを形成するための開口の底部および壁部を導体にて覆う処理を、めっき処理によって行うことができる。これにより、上記パッド本体および壁部導体部とを同時に形成することができるため、金属端子パッドとなるべき被覆導体部を効率的に形成することができる。また、このときマスク材にて被覆しない領域を、パッド形成用の開口およびその近傍(開口の壁部をなす第一誘電体層の主表面)とすることで、図6に示す工程4のめっきレジスト6のようなパターンのマスクが形成され、第一誘電体層の金属端子パッドの壁部導体部を、開口面に沿って鉤型状に形成することが可能となる。
【発明の実施の形態】
【0026】
図1は、本発明の配線基板1の断面構造の概略を表す図である。配線基板1は、コア基板を有さず、且つ高分子材料からなる誘電体層(B1〜B4)と導体層(M1〜M4)とが積層された積層体を有する。該積層体の第一主表面MP1は、電子部品を搭載するための搭載面とされ、主表面にはソルダーレジストSRからなる第四誘電体層B4が形成されており、その開口からは第四導体層M4をなす導体パターンが露出している。該導体パターンは、電子部品等と接続する第二金属端子パッドPD2をなすものである。その露出面上には電子部品と接続するための、ハンダで構成された周知のハンダバンプFBが形成され、突起状の金属端子をなしている。また、第二主表面MP2は、マザーボードや外部基板等と接続するための接続面とされ、第一誘電体層B1が形成されており、その開口には第一金属導体層M1をなす導体パターンが露出して形成され、外部基板への接続を担う第一金属端子パッドPD1をなしている。
【0027】
この第一金属端子パッドPD1は、図2に示す金属端子パッドPDと同じ導体構造を有している。該金属端子パッドPDは、パッド本体PDaと、該パッド本体PDaの外縁から配線基板の内層方向に延び、パッド本体PDaとは逆側の端部が鉤型形状をなす壁面導体部PDbとからなる導体構造を有している。この導体構造は、図2の上部誘電体層Bbに形成されたビア導体VAとパッド本体PDaの中央上部で接続している。パッド本体PDaの下部は、外部基板への接続を担うパッド面として機能する。
【0028】
また、図1に戻り、金属導体層M2、M3には、導体パターンCLが形成されており、誘電体層B1〜B3内には異なる金属導体層間を接続するためのビア導体VAが埋設形成されている。そして、導体パターンCL及びビア導体VAにより、電気導通路(例えばハンダバンプFBから金属端子パッドPD1への)が形成される。なお、誘電体層B1〜B3は、例えばエポキシ樹脂を主成分とする材料にて構成することができ、また導体パターンCL、ビア導体VA及び金属端子パッドPDは、例えば銅を主成分とする材料にて構成することができる。
【0029】
以上のような配線基板1は、図3に示すように、第二金属端子パッドPD2に、めっき表面層NMを介してはんだバンプFBが形成され、配線基板は該ハンダバンプFBを介して電子部品ICと接続される。このとき、電子部品IC下の隙間がアンダーフィル材UFにて充填される。また、第一主表面MP1には、補強枠(スティフナー)STが設置されてもよい。これにより、図1に示す配線基板1は、図3に示す半導体装置100となる。
【0030】
上述したような本発明の配線基板における第一金属端子パッドPD1(図1)は、通常の金属端子パッドが図4のパッド本体PDaのみからなるのに対し、それに加えて側壁導体部PDbをも含むパッド導体構造をなしていることを特徴としている。このようなパッド導体構造によれば、パッドと誘電体層との密着面が通常のパッドが形成された場合よりも広くなり、パッドに集中する応力は分散される。従って、パッド導体構造と第一誘電体層との密着面を起点に発生するクラックやはがれ(デラミネーション)を、効果的に防止することができる。通常のパッドの場合は、図4に示すように、パッドPDと誘電体層をなす誘電体シート30との界面を起点にクラックやはがれが生じ易かった。
【0031】
なお、本発明は、図1に示す配線基板に限定されるものではなく、請求項の記載に基づく技術的範囲を逸脱しない限り、種々の変形ないし改良を付加することができる。
【0032】
以下、本発明の実施形態である配線基板の製造方法の一例を、図5〜図8を用いて説明する。なお、本発明の配線基板の製造方法は、積層時に用いる支持基板を積層後に除去する配線基板の製造方法に対して、適用することが可能である。以下で説明する本発明の製造方法は、積層体と支持基板との分離を剥離によって行うことを特徴とする支持基板を有さない配線基板の製造方法に基づくものである。
【0033】
まず、図5に示すように、工程1では、製造時における補強のための支持基板2上に下地誘電体シート3を形成する。支持基板2は、下地誘電体シート3が密着するものであれば特には限定されないが、例えばFR−4等のガラスエポキシ基板(上述のようにコア基板に用いられる材料である)にて構成することができる。また、下地誘電体シート3も、特には限定されないが、後述する誘電体シートと同材料、例えばエポキシを主成分とする材料にて構成することもできる。
【0034】
次に、工程2では、下地誘電体シート3の主表面上に、該主表面に包含されるよう配され、2つの金属箔5a、5bが密着してなる金属箔密着体5を配す。これにより、支持基板2と下地誘電体シート3と金属箔密着体5とからなる、積層形成時の支持体9が形成される。なお、金属箔密着体5は、半硬化状態の下地誘電体シート3上に配すようにすることができる。これにより、以降の工程で金属箔密着体5の下側金属箔5aが下地誘電体シート3から剥れない程度の密着性を得ることができる。また、金属箔密着体5は、例えば2つの銅箔を金属メッキ(例えばCr)を介して密着させたものを用いることができる。このような金属箔密着体5は、剥離が可能となる。
【0035】
工程3では、金属箔密着体5を包むように、第一誘電体層B1の下部領域B1aとなるべき第一誘電体シート31を形成する。そして、該第一誘電体シート31は、金属箔密着体5(上側金属箔5b)とともに、金属箔密着体5の周囲領域にて下地誘電体シート3と密着して、金属箔密着体5を封止する。なお、誘電体シートの形成は、例えば周知の真空ラミネーション法を用いることができる。
【0036】
次に、図6に示すように、工程4では、第一誘電体シート31に、図1の金属端子パッドPD1が形成されるべきパッド用開口を、例えば周知のフォトビアプロセスにより貫通形成する。この場合、第一誘電体シート31は、少なくとも感光性を有する必用があり、例えば感光性樹脂フィルムであるプロビコートフィルム(日本ペイント株式会社製)等を用いることができる。また、第一誘電体シート31の主表面側の露出面全面に無電解めっき処理によって無電解めっき層11bを形成した上で、図6に示すようにパッド用開口及びその周部を除く領域を、めっきレジスト6でマスクする。
【0037】
工程5では、このめっきレジスト6をマスクとして電解めっき処理を行った上で、めっきレジスト6を除去し、次いで電解めっき層をめっきレジスト(図示なし)によりマスクして、マスクされていない領域の無電解めっき層11bを除去し、めっきレジスト層(図示なし)を除去する。これにより、図のような導体構造を有する導体パターン11aが露出して形成される。このように形成された導体パターン11aは、第一誘電体シート31のパッド用開口の壁部の側面側と上面側とを覆うように形成され、この壁部を覆っている壁面導体部は鉤型形状をなしている。この導体パターン11aの導体構造は、図1の第一導体層M1に属する第一金属端子パッドPD1をなすものであり、図6の工程5に示す導体パターン11aと上側金属箔5bとの接触面が、マザーボードや他の配線基板と接続するための接続面となる。
【0038】
工程6では、導体パターン11aを包むように第二誘電体シート32をラミネート(貼り合わせ)形成する。これにより、該第二誘電体シート32と第一誘電体シート31とにてなる図1の第一誘電体層B1となるべき誘電体領域が形成される。また、第二誘電体シート32には、導体パターン11aの導体構造の中央部分が露出して現れる、ビア用開口が形成される。該ビア用開口は、例えば周知のレーザ加工で形成することができる。この場合、ビア用開口が形成される誘電体シートは、少なくとも熱硬化性を有し、かつ硬化処理が施されていることが好ましい。また、上述したように周知のフォトビアプロセスにより形成することも可能である。
【0039】
次に図7に示すように、工程7では、ビア用開口に第一ビア導体21が形成されるとともに、該第一ビア導体21と接続する第二導体層M2(図1)をなす導体パターン12が、第二誘電体シート上に形成される。なお、ビア導体は、形成されたビア用開口を、例えば周知のセミアディティブ法における無電解メッキによって充填することにより得ることができる。また、導体層の形成も、上述したセミアディティブ法により形成することができる。
【0040】
工程8では、導体パターン12上に、第二誘電体層B2となるべき第三誘電体シート33を形成するとともに、該第三誘電体シート33内にビア導体22を形成する。次いで、第三誘電体シート33およびビア導体22からなる露出面上に、第三導体パターン13、第四誘電体シート34、第四導体パターン14、第5誘電体シート35を順次積層形成する。このとき、第四導体パターン14は、図1に示す電子部品搭載側の第二金属端子パッドPD2をなすものであり、該第四誘電体シート14内にはビア導体23が形成される。さらに、第五誘電体シート35にはパッド接続用開口が形成され、第四導体パターン14を露出させる。これらは、周知のビルドアップ法等により行うことができ、この工程8により、積層シート体10が形成される。なお、本実施形態では、積層シート体10は、金属箔密着体5及び誘電体シート31〜35にて構成されているが、誘電体シートの数はこれに限られることはない。以上により、下地誘電体シート3の主表面上に、該主表面に包含されるよう配された金属箔密着体5と、該金属箔密着体5を包むよう形成され、かつ該金属箔密着体5の周囲領域にて下地誘電体シート3と密着して該金属箔密着体5を封止する第一誘電体シート31と、を有する積層シート体10が形成される。
【0041】
なお、上記積層工程において積層される誘電体シート31〜35は、例えばエポキシを主成分とする材料にて構成することができ、導体パターン11a,12〜14、およびビア導体21〜23は、例えば銅を主成分として構成することができる。
【0042】
また、本実施形態では、積層シート体10の上側の露出した主表面が電子部品搭載側となるように形成されている。したがって、積層シート体10の上側主表面をなす誘電体シート35は、図1のようにソルダーレジストSRにて形成される。
【0043】
工程8の後、次の工程9に移る前に、例えば、電解めっき処理により、第二金属端子パッドをなす導体パターン14のそれぞれの露出表面にメッキ表面層7を形成する。電解メッキ処理は、例えば電解Ni−Auメッキ又は電解Sn(ハンダ)メッキを用いることができる。また、このメッキ表面層7は、アルカリ性のエッチング液に対して耐性を有するため、以降の工程で、導体パターン14を保護する保護層等を形成する必要がなくなる。
【0044】
工程9では、積層シート体10は、金属箔密着体5上の領域のみが、配線基板1(図1参照)となるように、該当領域以外を除去する。この除去処理は、例えば、金属薄密着体の両端部を含むA1−A1´断面およびA2−A2´断面で、下地誘電体シート3及び支持基板2ごと、例えばブレード刃等により切断することで行う。このような切断面を設けて切断処理を行えば、後述する金属薄5aと金属薄5bとの引き剥がしが容易に行えるため有効である。このようにして、金属箔密着体5の上下の領域に形成された積層部分(以下、配線積層部ともいう)のみが残る。これにより、誘電体シート31〜35の残余部分が、配線基板1となるべき配線積層部10´を構成する誘電体層31´〜35´となる。
【0045】
次に図8に示すように、工程10では、配線積層部10´を支持基板2から、片方の金属箔(上側金属箔5b)が付着した状態で、金属箔密着体5における2つの金属箔5a、5bの界面にて剥離する。
【0046】
そして、工程11に示すように、工程10にて配線積層部10´を支持基板2から剥離した後に、該配線積層部10´の第一誘電体シート31が構成する主表面に付着した金属箔5bを除去する。このとき露出した導体パターン11a(図1の第一金属端子パッドPD1)は、そのまま接続端子となる。また、導体パターン14(図1の第二金属端子パッドPD2)の露出面には、めっき表面層7を介してはんだバンプFBを形成する。これにより、図1に示す配線基板1が得られる。なお、上記製造方法では、マザーボードや他の配線基板と接続するための金属端子パッド側から積層形成されているが、電子部品IC側から積層形成されてもよく、この場合、電子部品搭載面側に、導体パターン11aのようなパッド導体構造が形成される。
【0047】
なお、工程11において、金属箔5bの除去は、例えばエッチングにより行うことができる。金属箔5bが除去された第一誘電体シート31の主表面には、内部に第一金属端子パッドPD1が露出して現れる。第一導体パターン11a(図1の第一金属端子パッドPD1)がCuを主成分として形成されていた場合は、金属箔5bのエッチングによりその表面は多少エッチングされる。つまり、完成した配線基板は、コア基板を有さず、かつ両主表面が誘電体層にて構成されるよう、高分子材料からなる誘電体層31´〜35´(図1の誘電体層B1a,B1b,B2,B3,B4)と導体パターン11a,12,13,14(図1の導体層M1〜M4)とが積層されるとともに、上述したパッド導体構造を有する第一導体パターン11a(図1の第一金属端子パッドPD1)は、第一主表面MP1をなす第一誘電体層31´(図1の誘電体層B1a)の第二主表面側に導体パターン11aの露出面がエッチングされて、第一誘電体層31の第二主表面には凹部(パッド用開口)が形成され、その凹部に表れる新たな露出面を接続端子パッドとするとともに、その露出面の裏面側においてビア導体21(図1のビア導体VA)と接続する構成となる。
【0048】
また、配線積層部10´の金属薄5b側の主表面を凹凸の無い平坦面として形成したい場合は、例えば上側金属箔5bを、Ti,Cr,Al,Ag,Sn等のうちの少なくとも1つ以上の金属材料からなる金属薄膜層として形成しても良い。つまり、金属箔密着体5をなす2つの金属箔5a、5bのうち、支持基板2を除去(この場合、2つの金属箔の剥離によって除去される)したときに配線積層部に付着して残る金属箔5bが、第一ビア導体または第一導体層(金属端子パッド)とは異なる金属材料からなることを特徴とするように形成されてもよい。金属薄膜層に、第一金属端子パッドPD1とエッチング選択比が異なるもの、特には大きいものを用いることで、該金属薄膜層をエッチングする際に、金属端子パッド表面がエッチングされることがなくなる。従って、金属薄膜層の除去面を完全なフラット面として得ることができる。上記実施形態の場合、配線積層部10´の金属薄5b側の主表面を凹凸の無い平坦面として形成できる。
【0049】
なお、積層シート体10に含まれる配線積層部10´を、上記の配線積層部10´が連続的に複数個連なったものとすることができる。これにより、複数の配線基板を同時に形成することができる。
【0050】
また、本発明は、図1をに示す配線基板に限定されるものではなく、請求項の記載に基づく技術的範囲を逸脱しない限り、種々の変形ないし改良を付加することができる。例えば、金属板を積層時の支持基板として用い、積層後に金属板を除去して形成されることを特徴とする配線基板の製造方法(例えば特許文献1)に対しても適用することが可能である。上記実施形態を第一実施形態とした上で、以下、図9〜図11にて、金属板を支持基板とした場合の、本発明の配線基板の製造方法を、第二実施形態として説明する。
【0051】
図9のように、支持基板2である金属板(たとえば、銅板)を用意し(工程1)、その直上に第一誘電体層31´を形成し、金属端子パッドをなす導体パターン11aを形成する(工程3)。このとき、導体パターン11aは、上記第1実施形態の工程4,5(図6)に示す処理と同様の処理により形成可能である。次いで、図10では、導体パターン11aとするためのビア開口を形成するとともに(工程4)、開口を導体で充填し、第二導体層を形成し(工程5)、周知のビルドアップ法にて配線積層部10を形成する(工程6)。図11では、まず支持基板2を、例えばウェットエッチング等によって除去して金属端子パッドをなす導体パターン11aを露出し(工程7)、導体パターン11aとは逆側に形成された、電子部品との接続端子となる金属端子パッドに、はんだバンプFBを形成する(工程8)。工程3〜6は、上記第一実施形態における工程5〜8と同様の処理での行うことが可能であり、本発明の特徴である図2に示す導体構造を有する金属端子パッドを支持基板(支持体)上に形成することができる。したがって、上記第一実施形態と同様に、第二実施形態においても本発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の配線基板の位置実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の金属端子パッドの導体構造を示す断面図。
【図3】図1の配線基板1を用いた半導体装置
【図4】従来の金属端子パッドの導体構造を示す断面図。
【図5】本発明の第一実施形態である配線基板の製造方法の工程を表す図
【図6】図5に続く図
【図7】図6に続く図
【図8】図7に続く図
【図9】本発明の第二実施形態である配線基板の製造方法の工程を表す図
【図10】図9に続く図
【図11】図10に続く図
【符号の説明】
【0053】
1 配線基板
2 支持基板
3 下地誘電体シート
5 金属箔密着体
10 積層シート体
11a 第一導体パターン
21 第一ビア導体
31 第一誘電体シート
32 第二誘電体シート
【出願人】 【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号
【出願日】 平成16年2月27日(2004.2.27)
【代理人】 【識別番号】100095751
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 正倫

【公開番号】 特開2005−244108(P2005−244108A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−55101(P2004−55101)