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【発明の名称】 基板又は電子部品の抜取防止構造及び携帯機
【発明者】 【氏名】橋本 匡史
【住所又は居所】愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内

【氏名】吉田 豊
【住所又は居所】愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内

【氏名】阿部 喜
【住所又は居所】愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内

【要約】 【課題】車両の不正使用に対するセキュリティ性を向上することができる基板又は電子部品の抜取防止構造及び携帯機を提供する。

【解決手段】電子IDキー1のケース内部には、各種電装部品が実装された基板8が収容されている。ケース2は上部ケース3と下部ケース5とを組み付けてなり、上部ケース3の内面にはボス部7が形成されている。基板8は、ボス部7の先端に一体形成したカシメ部9によって上部ケース3に対し再取付不可能な状態で固定されている。各ボス部7の根元には、上部ケース3の内面を凹設することによって上部ケース3の外壁が所定量薄くなった薄肉部10が形成されている。基板8を上部ケース3から無理に取り外すと、上部ケース3が薄肉部10で破損して上部ケース3に破損孔が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を実装した基板又は電子部品自身がケースの内部に取着状態で収容され、前記ケースに取り付けられた前記基板又は電子部品の抜取防止構造であって、
前記基板又は電子部品が抜き取られたときに、その抜取りを判別可能な状態で前記ケースの少なくとも一部を破損する破損機構を備えたことを特徴とする基板又は電子部品の抜取防止構造。
【請求項2】
前記破損機構は、
前記ケースの外壁に形成され、再取付不可能な状態で前記基板又は電子部品が取り付けられる取付部と、
前記ケースの外壁を他の部位よりも薄くすることで前記ケースに形成された薄肉部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板又は電子部品の抜取防止構造。
【請求項3】
前記取付部は、前記ケースの外壁に形成した基部と、前記基部に一体形成して前記基板の取り外しを規制する固定部とからなるとともに、
前記基板又は電子部品は、前記固定部によって再取付不可能な状態で前記ケースに取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の基板又は電子部品の抜取防止構造。
【請求項4】
前記取付部は、前記ケースの外壁に形成した基部と、前記基部に螺着可能なネジ部とからなるとともに、
前記基板又は電子部品は、該基板又は電子部品を間に挟んだ状態で前記ネジ部を前記基部に螺着することで前記ケースに取り付けられ、螺着状態の前記ネジ部を前記基部に接着することで再取付不可能な状態となることを特徴とする請求項2に記載の基板又は電子部品の抜取防止構造。
【請求項5】
前記破損機構は、
前記ケースとは別部品で該ケースの一部分を構成する外付部品と、
前記基板及び電子部品の一方と前記ケースの一部とを間に挟んだ状態で前記外付部品に螺着可能であり、その螺着状態では再螺着不可能な状態で固定されるネジ部と、
前記外付部品の外壁を他の部位よりも薄くすることで前記外付部品に形成された薄肉部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板又は電子部品の抜取防止構造。
【請求項6】
前記破損機構は、
前記ケースを構成する複数のケース部品を互いに組み付けるために、組をなすケース部品の一方の側に形成された嵌め込み式の係合部と、
前記係合部に形成され、再取付不可能な状態で前記基板又は電子部品が取り付けられる溝部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板又は電子部品の抜取防止構造。
【請求項7】
電子部品が実装された基板又は電子部品自身と、前記基板又は電子部品が取付固定されたケースとを備え、前記電子部品を介し所定装置との間で信号のやり取りを行って前記所定装置を動作させる携帯機において、
前記基板又は電子部品が抜き取られたときに、その抜取りを判別可能な状態で前記ケースの少なくとも一部を破損する破損機構を備えたことを特徴とする携帯機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装した基板又は電子部品自身のケースからの不正抜取りを防ぐ基板又は電子部品の抜取防止構造及び携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両操作の利便性を向上するために電子IDキーシステムが車両に搭載されている。電子IDキーシステムは、電子IDキーから発信されるキー固有のIDコードと、車両に登録されたIDコードとを照合し、コードが一致すればドアロックの施錠・解錠、ステアリングロックの解錠、エンジン始動の許可、ラッゲージ開操作等を可能とするシステムである。
【0003】
電子IDキーのケース内には、各種素子が実装された基板や、その素子に電力を供給する電池等が内蔵されている。電子IDキーのケースは上部ケースと下部ケースとからなり、上部ケース及び下部ケースの組付構造としては例えばスナップフィットが用いられている。電池交換は、上部ケースと下部ケースとを固定しているスナップフィットの係合を外し、上部ケースと下部ケースとを分解することによって行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常のケース構造では、上部ケースと下部ケースとを分解したとき、電池の他に基板も外部に露出した状態となる。ところで、ケースはスナップフィットによる固定のみで組み付けられていることから、盗難者が車両の不正使用を目的にケースを分解して基板を抜き取る可能性があり、基板を抜き取った後に再び上部ケースと下部ケースとを組み付けておけば、基板が抜き取られたことをキー所有者は瞬時に分からない。従って、ケースが分解されて基板を盗まれると車両が不正使用されるおそれがあるので、何らかの対応策が望まれていた。
【0005】
本発明の目的は、車両の不正使用に対するセキュリティ性を向上することができる基板の抜取防止構造及び携帯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明では、電子部品を実装した基板又は電子部品自身がケースの内部に取着状態で収容され、前記ケースに取り付けられた前記基板又は電子部品の抜取防止構造であって、前記基板又は電子部品が抜き取られたときに、その抜取りを判別可能な状態で前記ケースの少なくとも一部を破損する破損機構を備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、基板又は電子部品がケースから不正に抜き取られたときには、その基板抜取りが判別可能な状態でケースの一部が破損する。このように、基板又は電子部品が抜き取られた際にそれが判別可能であれば、盗難者が抜取りを試みてもその抜取りが気付かれることをおそれて、抜取りを諦めることになる。従って、基板又は電子部品が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用に対するセキュリティ性が向上する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記破損機構は、前記ケースの外壁に形成され、再取付不可能な状態で前記基板又は電子部品が取り付けられる取付部と、前記ケースの外壁を他の部位よりも薄くすることで前記ケースに形成された薄肉部とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、請求項1に記載の作用に加え、破損し易い部分(薄肉部を有する取付部)に再取付不可能な状態で基板又は電子部品を取り付けるので、基板又は電子部品を無理にケースから取り外すとケースが薄肉部で破損することになり、抜取痕跡がケースの外観に残る。従って、盗難者はケースに抜取痕跡が残ることをおそれて抜取りを諦めることになり、基板又は電子部品が不正に抜き取られる可能性が一層低くなる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記取付部は、前記ケースの外壁に形成した基部と、前記基部に一体形成して前記基板の取り外しを規制する固定部とからなるとともに、前記基板又は電子部品は、前記固定部によって再取付不可能な状態で前記ケースに取り付けられていることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、基板又は電子部品をケースから無理に取り外そうとすると、その際に加わる力が固定部を介して薄肉部に働き、基板又は電子部品が取り外された際にはケースが薄肉部で破損する。従って、盗難者はケースに抜取痕跡が残ることをおそれて抜取りを諦めることになり、基板又は電子部品が不正に抜き取られる可能性が一層低くなる。また、基部と固定部とが一体であるので、取付部を一部品で形成することになり、基板をケースに再取付不可能な状態で取り付けるときに別部品を用いずに済み、部品点数の増加が防げる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記取付部は、前記ケースの外壁に形成した基部と、前記基部に螺着可能なネジ部とからなるとともに、前記基板又は電子部品は、該基板又は電子部品を間に挟んだ状態で前記ネジ部を前記基部に螺着することで前記ケースに取り付けられ、螺着状態の前記ネジ部を前記基部に接着することで再取付不可能な状態となることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、基板又は電子部品をケースから無理に取り外そうとすると、その際に加わる力がネジ部を介して薄肉部に働き、基板又は電子部品が取り外された際にはケースが薄肉部で破損する。従って、盗難者はケースに抜取痕跡が残ることをおそれて抜取りを諦めることになり、基板又は電子部品が不正に抜き取られる可能性が一層低くなる。また、基板又は電子部品のケースへの固定構造には手に入り易いネジ部を用いるので、抜取防止構造が安価に済む。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載において、前記破損機構は、前記ケースとは別部品で該ケースの一部分を構成する外付部品と、前記基板及び電子部品の一方と前記ケースの一部とを間に挟んだ状態で前記外付部品に螺着可能であり、その螺着状態では再螺着不可能な状態で固定されるネジ部と、前記外付部品の外壁を他の部位よりも薄くすることで前記外付部品に形成された薄肉部とを備えたことを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、基板又は電子部品をケースから無理に取り外そうとすると、その際に加わる力がネジ部を介して外付部品の薄肉部に伝わり、基板又は電子部品が取り外された際には外付部品が薄肉部で破損して、外付部品がケースから下に落ちる。従って、盗難者はケースに抜取痕跡が残ることをおそれて抜取りを諦めることになり、基板又は電子部品が不正に抜き取られる可能性が一層低くなる。また、基板又は電子部品が取り外されたことが認識し易くなり、盗難に対するセキュリティ性向上に寄与する。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記破損機構は、前記ケースを構成する複数のケース部品を互いに組み付けるために、組をなすケース部品の一方の側に形成された嵌め込み式の係合部と、前記係合部に形成され、再取付不可能な状態で前記基板又は電子部品が取り付けられる溝部とを備えたことを要旨とする。
【0017】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、破損し易い部分(係合部)に再取付不可能な状態で基板又は電子部品を取り付けるので、基板又は電子部品を無理にケースから取り外すとケース部品が係合部で破損することになり、ケース部品同士を再び組み付けることが不可能となる。従って、盗難者はケース部品を再組付けできない状態に陥ることをおそれて抜取りを諦めることになり、基板又は電子部品が不正に抜き取られる可能性が一層低くなる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、電子部品が実装された基板又は電子部品自身と、前記基板又は電子部品が取付固定されたケースとを備え、前記電子部品を介し所定装置との間で信号のやり取りを行って前記所定装置を動作させる携帯機において、前記基板又は電子部品が抜き取られたときに、その抜取りを判別可能な状態で前記ケースの少なくとも一部を破損する破損機構を備えたことを要旨とする。この発明によれば、請求項1と同様の作用が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、盗難者が基板又は電子部品を不正に抜き取ろうとしても、基板又は電子部品が無理に取り外されるとケースが破損するので、キー所有者に抜取りを認識させることが可能となり、この破損をおそれて不正抜取りが生じ難くなって、車両の不正使用に対するセキュリティ性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した基板の抜取防止構造及び携帯機の第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0021】
図1は電子IDキー1の部分断面図であり、図2は基板固定のためにカシメ部9を形成するときの説明図である。携帯機としての電子IDキー1は車両(所定装置)に向けてIDコードを乗せた信号を発信するキーであり、車両との間でIDコードが一致すれば車両の各種動作(ドアロックの施錠・解錠、ステアリングロック施錠・解錠、エンジン始動の許可等)が許可される。電子IDキー1は樹脂製のケース2を備え、このケース2は互いに略同一形状の上部ケース3及び下部ケース5からなる。
【0022】
上部ケース3にはケース周縁に沿って複数(図1では1つのみ図示)のスナップフィット部4が形成され、下部ケース5にはスナップフィット部4が係止可能な嵌合溝6が形成されている。上部ケース3及び下部ケース5は、スナップフィット部4を嵌合溝6に接着剤を用いずに組み付けるスナップフィット構造(嵌め込み式の組付構造)によって一体に組み付けられている。上部ケース3の内面には内方へ突出するボス部7が複数(図1では1箇所のみ図示)形成され、基板8はこのボス部7の部位で上部ケース3に固定されている。
【0023】
ボス部7の先端には、基板8を再取付不可能な状態で固定するカシメ部9が形成されている。カシメ部9はボス部7と一体となっており、ボス部7の先端をかしめることで形成される。即ち、図2に示すようにボス部7の先端部7aを基板8の孔部8aに挿通し、基板8からの突出部位に熱超音波等を加え、先端部7aの径を押し広げることでカシメ部9を形成して基板8を上部ケース3に固定する。なお、ボス部7及びカシメ部9が取付部、ボス部7が基部、カシメ部9が固定部に相当する。
【0024】
図1に示すように、各ボス部7の根元には、上部ケース3の内面を凹設することによって上部ケース3の外壁が所定量薄くなった薄肉部10が形成されている。薄肉部10は、ボス部7の根元全周に亘って形成され、基板8を上部ケース3から無理に取り外したときに破損可能な厚さに設定されている。基板8には、電子IDキー1を実現するに必要な電子部品(IC、トランスポンダ等)11が実装されている。上部ケース3及び下部ケース5の内面には、基板8を支持する支持部12が互いに組をなすように複数組形成されている。なお、ボス部7、カシメ部9及び薄肉部10が破損機構を構成する。
【0025】
さて、上部ケース3及び下部ケース5の組付構造にスナップフィット構造を用いた場合、ケース2を簡単に分解可能であり、しかもケース2を分解した状態では基板8が外部に露出してしまう。従って、盗難者が電子IDキー1を勝手に持ち出し、ケース2を分解してケース内の基板8を取り外し、その基板8を用いて車両が不正使用(盗難)されてしまう可能性も否定できない。さらに、基板8を抜いてケース2を再組付した電子IDキー1を元の場所に置いておけば、直ぐに車両盗難に気付かず、盗難後の対応が遅れてしまうことにもなる。
【0026】
しかし本例では、基板8を取り外そうとしても、基板8がカシメ部9によって上部ケース3に固定されていることから、基板8のみを上部ケース3から取り外すことはできない。基板8を上部ケース3から無理に取り外そうとすると、そのときに加わる力がカシメ部9を介して薄肉部10に伝わる。そして、基板8を取り外すと図3に示すように上部ケース3が薄肉部10で破損して上部ケース3に破損孔13が形成される。この破損孔13はボス部7が存在する全ての部位に形成される。
【0027】
このため、基板8が抜き取られた際には上部ケース3に破損孔13が形成されるので、盗難者が基板抜取りを試みたとしても、基板抜取りの際にできる破損孔13によって基板抜取りが気付かれることをおそれて、基板抜取りを諦めることになる。従って、基板8が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用(盗難)に対するセキュリティ性が向上する。また、キー所有者は電子IDキー1を見た時点で基板8の抜き取りを認識することが可能であり、抜取り後の対応が迅速にとれ、この観点からもセキュリティ性向上に寄与する。
【0028】
本実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)基板8を上部ケース3から無理に取り外すと上部ケース3が薄肉部10で破損し、上部ケース3には破損孔13が生じた状態となる。従って、基板8が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用(盗難)に対するセキュリティ性が向上する。また、基板8が抜き取られても、電子IDキー1を見た時点で基板抜取りが認識可能となり、その後の対応(例えば車両IDの変更、警察への通報等)が迅速に行えるので、車両盗難に対するセキュリティ性も向上する。
【0029】
(2)ボス部7の一部をかしめることカシメ部9を形成し、そのカシメ部9によって基板8を上部ケース3に再取付不可能な状態で取り付けた。従って、ボス部7とカシメ部9とは同一部材からなるので、この種の取付構造を採用する際に各々別々の部品を用いずに済み、部品点数の増加を防ぐことができる。
【0030】
(3)基板8はケース内部の支持部12により支持されているので、基板8がケース内部でガタつくことは殆どない。従って、上部ケース3の外壁に薄肉部10を形成しても、基板自身のガタつきで上部ケース3が薄肉部10で破損するような不具合は生じ難い。
【0031】
なお、第1実施形態の基板の抜取防止構造は、以下に変更してもよい。
・ 図4に示すように、基板8は複数(図4では1箇所のみ図示)のビス14によって上部ケース3に固定されている。ビス14はボス部7に形成されたネジ穴15に螺着され、そのネジ部分がネジ穴15に接着されている。即ち、ビス14のネジ部分に接着剤を塗布し、その状態でビス14をボス部7に螺着することによって、ビス14を接着状態でボス部7に螺着している。なお、ボス部7、薄肉部10及びビス14が破損機構に相当し、ビス14がネジ部に相当する。
【0032】
ここで、基板8を無理に取り外そうとすると、そのときに加わる力がビス14を介して薄肉部10に伝わり、基板8が上部ケース3から取り外されると上部ケース3が薄肉部10で破損して上部ケース3に破損孔13(図3参照)が形成される。従って、基板抜取りが気付かれることをおそれて盗難者は基板抜取りを諦めるので、基板8が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用(盗難)に対するセキュリティ性が向上する。また、簡単で安価に手に入るビス14を用いているので、基板8を再取付不可能な状態で上部ケース3に取り付ける構造が安価で済む。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図5及び図6に従って説明する。本例は基板8のケース2への取付構造が異なっており、他の基本的な構成は同じである。従って、本例では第1実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0034】
図5及び図6に示すように、上部ケース3の外面には複数(図5及び図6では1箇所のみ図示)の凹部20が形成され、その凹部20の中心位置にはケース内部を開口する開口部21が形成されている。各凹部20には、電子IDキー1を装飾するオーナメント22が取り付けられている。オーナメント22はその中心位置にネジ穴23が形成され、そのネジ穴23の周縁を囲むように薄肉部24が形成されている。薄肉部24は、オーナメント22の内面を周状に凹設することによって形成されている。
【0035】
基板8は、各オーナメント22にビス25を螺着することで上部ケース3に取り付けられている。即ち、基板8の孔部8aにビス25を挿通し、凹部20に位置決めしたオーナメント22にビス25を螺着することで基板8が上部ケース3に取り付けられる。ビス25は、一旦螺着したビス25が再度回転しないようにネジロック26によってオーナメント22に固定されている。なお、オーナメント22、薄肉部24及びビス25が破損機構、オーナメント22が外付部品、ビス25がネジ部に相当する。
【0036】
ここで、基板8を無理に取り外そうとすると、そのときに加わる力がビス25を介してオーナメント22の薄肉部24に伝わり、基板8が上部ケース3から取り外されると図6に示すようにオーナメント22が薄肉部24で破損して、オーナメント22の破損片22aが下に落ちる。このため、基板8が抜き取られた際にはオーナメント22の破損により上部ケース3の凹部20及び開口部21が外部に露出するので、盗難者が基板抜取りを試みたとしても基板抜取りが気付かれることをおそれて基板抜取りを諦める。従って、基板8が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用(盗難)に対するセキュリティ性が向上する。
【0037】
また、基板8が不正に抜き取られたときには、オーナメント22の破損片22aが下に落ちる。従って、基板8が盗難者によって上部ケース3から不正に抜き取られたとしても、オーナメント22の破損片22aによってキー所有者は基板抜取りの早期認識が可能であるので、その後の対応が迅速にとれることになり、セキュリティ性が一層向上する。
【0038】
上記実施形態によれば、(1)に記載の効果、即ち車両の不正使用に対するセキュリティ性向上に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(3)基板8が無理に上部ケース3から取り外されてオーナメント22が破損すると、オーナメント22の破損片22aが周囲に飛散するので、基板8の抜き取りが一層認識し易くなる。
【0039】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図7及び図8に従って説明する。なお、本例も第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0040】
図7及び図8に示すように、スナップフィット部4の内面根元には嵌込溝30(図7及び図8では1箇所のみ図示)が形成されている。嵌込溝30は上部ケース3の端縁3aを厚く形成するとともに、スナップフィット部4の根元付近に係止片31を突出形成することによってできる溝である。嵌込溝30は、係止片31の内面をスナップフィット部4に対し垂直面とし、係止片31の外面をテーパ面とすることで嵌め殺しとなっている。従って、基板8は嵌込溝30に一旦嵌め込まれると、再取付不可能な状態となる。なお、スナップフィット部4、嵌込溝30が破損機構に相当し、上部ケース3がケース部品、スナップフィット部4が係合部、嵌込溝30が溝部に相当する。
【0041】
ここで、基板8を無理に取り外そうとすると、そのときに加わる力がスナップフィット部4の根元に伝わり、基板8が上部ケース3から取り外されると図8に示すようにスナップフィット部4が根元で破損する。従って、上部ケース3にはスナップフィット部4が存在しなくなるので、上部ケース3及び下部ケース5を再度組み付けることは不可能であり、基板8だけを抜き取って上部ケース3及び下部ケース5を組付けて基板抜取りをカモフラージュするようなことが行えなくなる。
【0042】
このため、基板8が抜き取られた際にはケース組付けが不可能となるので、盗難者が基板抜取りを試みたとしても基板抜取りが気付かれることをおそれて、基板抜取りを諦めることになる。従って、基板8が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用(盗難)に対するセキュリティ性が向上する。また、例え基板8が抜き取られた場合であっても、電子IDキー1のケース2がバラバラの状態となるので、基板8が抜き取られたことが非常に分かり易いことから、その後の対応が迅速にとれることになり、セキュリティ性が一層向上する。
【0043】
上記実施形態によれば、(1)に記載の効果、即ち車両の不正使用に対するセキュリティ性向上に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(4)上部ケース3の破損し易い部分として、元々存在するスナップフィット部4を用いているので、部品を有効利用することができ、部品点数の増加や構造の複雑化が生じ難い。
【0044】
なお、第3実施形態の基板の抜取防止構造は、以下に変更してもよい。
・ 図9に示すように、基板8は熱カシメ部32によってスナップフィット部4の根元に固定されている。即ち、基板8を端縁3aに座した状態で上部ケース3に収容し、その状態で各スナップフィット部4の根元に熱を加えて熱カシメ部32を形成し、それによってできる嵌込溝30に基板8を嵌合して基板8を上部ケース3に固定する。このように、熱カシメを用いて基板8を上部ケース3に固定すれば、基板8は再取付不可能な状態で上部ケース3に取り付けられたことになる。
【0045】
この構成においても、基板8を無理に取り外そうとするとスナップフィット部4が根元で破損し、上部ケース3及び下部ケース5を再度組み付け不可能となり、基板抜取をカモフラージュすることができなくなる。従って、基板8が不正に抜き取られる可能性が低くなり、車両の不正使用(盗難)に対するセキュリティ性が向上する。ところで、スナップフィット部4の根元に係止片31を形成する構成では、上部ケース3を製造する金型を新たに用意する必要があるが、本例では熱カシメ部32を用いているので、上部ケース製造用の金型を大幅に設計変更する必要はない。
【0046】
なお、前記各記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ 第1実施形態において、ビス14の螺着先は、基板8の位置決めを兼ねるボス部7に限定されない。例えば、図10に示すように上部ケース3の外壁にネジ穴40を形成し、そこにビス14を螺着してもよい。
【0047】
・ 第1実施形態において、基板8の取付先はボス部7に限定されない。例えば、図11に示すように上部ケース3の内面のうち基板8の端縁に位置する部位に取付部41を形成し、その取付部41の根元全周に薄肉部10を形成する。そして、取付部41の先端側面に嵌め殺しの嵌合溝42を形成し、基板8の端縁を嵌合溝42に嵌合することで基板8を上部ケース3に取り付けてもよい。
【0048】
・ 第1実施形態において、ボス部7とカシメ部9とは一体であることに限らず、ボス部7とは別部品の固定部をボス部7に接着する構成を用いてもよい。
・ 第2実施形態において、外付部品は装飾用のオーナメント22に限らず、上部ケース3と別部品であれば、その部品機能は特に限定されない。
【0049】
・ 第1及び第2実施形態において、薄肉部10は周状(円環状)に形成することに限らず、一部分でもよい。
・ 第1〜第3実施形態において、ケース2からの抜取防止対象は基板8に限らず、トランスポンダやID等の電子部品11自身でもよい。
【0050】
・ 第1〜第3実施形態において、上部ケース3にスナップフィット部4を形成し、下部ケース5にスナップフィット部4を係合する嵌合溝6を形成したが、この組み合わせは逆でもよい。
【0051】
・ 第1〜第3実施形態において、基板8は上部ケース3に取り付けられることに限らず、下部ケース5に取り付けてもよい。
・ 第1〜第3実施形態において、ケース2は上部ケース3と下部ケース5との2分割構造に限らず、3分割以上であってもよい。
【0052】
・ 第1〜第3実施形態において、本例の基板8の取付構造の採用対象は電子IDキー1に限らず、例えば車両用電波キーや住宅用キーなど、基板8をケース2に対し取り付ける必要のあるものであれば特に限定されない。
【0053】
・ 第1〜第3実施形態において、各実施形態の特徴的構成を必要に合わせて適宜組み合わせてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0054】
(1)請求項3又は4において、前記基部は、前記基板又は電子部品のケース内での位置決めを行う座部である。この場合、ケース内の基板又は電子部品を座部によって位置決めすることができる。
【0055】
(2)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記ケースは、嵌め込み式の組付構造を用い複数のケース部品を組み付けてなる構成である。
(3)請求項6において、前記溝部は嵌め殺しとなっている。
【0056】
(4)請求項6において、前記溝部はカシメによって形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態における電子IDキーの部分断面図。
【図2】カシメ部を形成するときの説明図。
【図3】基板をケースから抜き取ったときの状態を示す部分断面図。
【図4】第1実施形態の別例を示す電子IDキーの部分断面図。
【図5】第2実施形態における電子IDキーの部分断面図。
【図6】基板をケースから抜き取ったときの状態を示す部分断面図。
【図7】第3実施形態における電子IDキーの部分断面図。
【図8】基板をケースから抜き取ったときの状態を示す部分断面図。
【図9】第3実施形態の別例を示す電子IDキーの部分断面図。
【図10】別例における電子IDキーの部分断面図。
【図11】別例における電子IDキーの部分断面図。
【符号の説明】
【0058】
1…携帯機としての電子IDキー、2…ケース、3…ケース部品としての上部ケース、4…破損機構及び係合部を構成するスナップフィット部、7…破損機構及び取付部(基部)を構成するボス部、8…基板、9…破損機構及び取付部(固定部)を構成するカシメ部、10…破損機構を構成する薄肉部、11…電子部品、14…破損機構及びネジ部を構成するビス、22…破損機構及び外付部品を構成するオーナメント、24…破損機構を構成する薄肉部、25…破損機構及びネジ部を構成するビス、30…破損機構及び溝部を構成する嵌込溝、41…取付部。
【出願人】 【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
【住所又は居所】愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地
【出願日】 平成16年2月9日(2004.2.9)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠

【公開番号】 特開2005−223299(P2005−223299A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−32716(P2004−32716)