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【発明の名称】 高周波シールド回路及び高周波モジュール
【発明者】 【氏名】土地 亨
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大信号を伝送する高周波大信号ライン、この高周波大信号ラインに沿いその両側に設けられた第1及び第2の接地ライン、この第1または第2の接地ラインをはさみ上記高周波大信号ラインの側とは反対側に設けられた小信号を伝送する高周波小信号ラインが表面側に形成され、接地パターンが裏面側に形成され、上記の両接地ラインと上記接地パターンとを電気的に導通する複数のスルーホールが貫通形成された誘電体基板と、上記誘電体基板と平行に上記高周波大信号ラインを覆う天板、この天板の両端に上記誘電体基板と垂直にその一端が結合された第1及び第2の側壁板、上記の両側壁板の他端に上記スルーホールの形成位置に対応させ設けられた複数の突起部を有し、この突起部が上記スルーホールに圧入され上記誘電体基板に固定される金属カバーとを備えたことを特徴とする高周波シールド回路。
【請求項2】
上記金属カバーには、上記第1及び第2の側壁の上記複数の突起部の中央位置に上記誘電体基板の垂直方向に上記側壁を貫通する貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波シールド回路。
【請求項3】
上記請求項2に記載の高周波シールド回路と、この高周波シールド回路が上記金属カバーに形成された貫通穴と上記誘電体基板に形成されたスルーホールとを通してネジ止めされる金属ケースとを備えたことを特徴とする高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、シールド構造を要する高周波シールド回路、例えば高出力増幅器と低雑音増幅器が近接して存在する送受信回路など、及びこの回路を金属ケースに収納した高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
高出力増幅器と低雑音増幅器が近接して存在する送受信回路などは、高出力増幅器部で増幅された高出力の信号が低雑音増幅器部へリークした場合に回路の誤動作等を招くため、高出力増幅器と低雑音増幅器との間は十分にシールド性を確保しておく必要がある。そのために、例えば高出力増幅器の回路上に金属カバーを配置し、高出力増幅器で増幅された高出力の信号の放射を抑えるといった処置が必要となる。
【0003】
高周波回路基板上に金属カバーを取付ける際は、通常、金属カバーの側壁部が基板表面上のGNDパターンと接触するようにネジを用いて固定される。基板表面上のGNDパターンはスルーホールによって基板裏面の接地導体と導通しており、そのスルーホールは、GNDパターンが高周波回路の動作周波数にとって十分GNDに見えるように密な間隔で配置されている。また、金属カバー取付け用ネジを貫通させるための穴もスルーホールであることが多い。但し前記ネジ用貫通穴の径は、ネジをスムーズに通すためにネジの径よりも若干大きめに空けられている。
【0004】
金属カバーを基板上に取付ける際、取付け用ネジを金属カバー、基板を介して金属ケースのネジ穴に締め付けることにより、金属カバーの側壁部が基板表面のGNDパターンに強く押さえつけられことでシールド構造が達成される。また下記特許文献1のように、基板裏面にも回路が存在し、基板両面に金属カバーを取付ける際は、両方の金属カバーで基板を挟むようにしてネジにて締め付けることにより、金属カバーの側壁部と基板両面のGNDパターンとが接触するようになり、シールド構造が達成される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−188571号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に高周波で高出力な回路を有する高周波モジュールの場合、シールド構造をより強く保つ必要があり、そのために金属カバー取付け用のネジの数を増やして金属カバーと基板のGNDパターンとの密着性を上げて対処していた。しかし、取付け用ネジの数を増やすことにより取付けの工数が多くなるため、作業性が悪く、また作業コストもかかるといった弊害が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、取付け用ネジの数を減らしても金属カバーと基板のGNDパターンとの接触を強く保つことが出来るシールド構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る高周波シールド回路は、大信号を伝送する高周波大信号ライン、この高周波大信号ラインに沿いその両側に設けられた第1及び第2の接地ライン、この第1または第2の接地ラインをはさみ上記高周波大信号ラインの側とは反対側に設けられた小信号を伝送する高周波小信号ラインが表面側に形成され、接地パターンが裏面側に形成され、上記の両接地ラインと上記接地パターンとを電気的に導通する複数のスルーホールが貫通形成された誘電体基板と、上記誘電体基板と平行に上記高周波大信号ラインを覆う天板、この天板の両端に上記誘電体基板と垂直にその一端が結合された第1及び第2の側壁板、上記の両側壁板の他端に上記スルーホールの形成位置に対応させ設けられた複数の突起部を有し、この突起部が上記スルーホールに圧入され上記誘電体基板に固定される金属カバーとを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係る高周波シールド回路は、上記金属カバーに、上記第1及び第2の側壁の上記複数の突起部の中央位置に上記誘電体基板の垂直方向に上記側壁を貫通する貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係る高周波モジュールは、上記請求項2に記載の高周波シールド回路と、この高周波シールド回路が上記金属カバーに形成された貫通穴と上記誘電体基板に形成されたスルーホールとを通してネジ止めされる金属ケースとを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び2に記載の発明による高周波シールド回路では、突起部が基板のGNDパターン上のスルーホールと強く接触するため、金属カバーと基板のGNDパターンとの接触を強く保つことができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明による高周波モジュールでは、突起部内に形成されたネジ穴にネジを通して金属ケースと高周波シールド回路とを固定するため、シールド性能を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施例1.
以下、本発明に係る高周波モジュールのシールド構造を具体化した実施例を、図面を基に説明する。図1は高出力増幅器と低雑音増幅器が近接して存在する送受信回路を収納した高周波モジュールの主要部分を示すもので、1は高周波モジュールの金属ケース、2は表面に高周波回路、裏面に接地導体を持ち、裏面側を金属ケース1に接触させるようにして取付けられる誘電体基板、3は誘電体基板表面の高出力増幅器部を覆うように誘電体基板2を介して金属ケース1に取付けられる金属カバーである。この金属カバーは、上記誘電体基板と平行に上記高周波大信号ラインを覆う天板、この天板の両端に上記誘電体基板と垂直にその一端が結合された第1及び第2の側壁板、上記の両側壁板の他端に上記スルーホールの形成位置に対応させ設けられた複数の突起部3a(後述)を有している。4は金属カバー3を取付けるためのネジ、5は誘電体基板2表面の高周波回路部に使用されているチップ部品、6は誘電体基板2表面の高周波回路部の高出力増幅器部に使用されている中出力トランジスタである。
【0014】
7は誘電体基板2表面のGNDパターン、8は誘電体基板2表面のGNDパターンにあり、当該パターンを誘電体基板2の裏面の接地導体と導通させるスルーホール、9は誘電体基板2表面の高周波回路部の高出力増幅器部に使用されている高出力トランジスタ、10は誘電体基板2表面の送受信回路の送受を切り分けるためのサーキュレータ、11は誘電体基板2表面の高周波回路部の低雑音増幅器部に使用されている低雑音トランジスタ、12は誘電体基板2表面の高周波回路部の低雑音増幅器部に使用されているゲインブロック用トランジスタである。
【0015】
金属カバー3においては、その誘電体基板2表面のGNDパターンとの接触側に突起部3aがあり、突起部3aの間隔は誘電体基板2表面のGNDパターンにあるスルーホール8の間隔に合わせて形成されている。スルーホール8は誘電体基板2表面のGNDパターンが当該高周波回路の動作周波数において十分GNDとなり得るように出来るだけ密な間隔で配置されている。
【0016】
図2は、金属カバー3の突起部3aの拡大図(図1のA部の拡大図)であり、突起部3aの内部には、金属カバー3取付け用のネジ4用の貫通穴3bがある。突起部3aの根元の径であるB寸法はスルーホール8の径よりやや大きめとなっており、また突起部3aの先端の径であるC寸法はスルーホール8の径よりやや小さめとなっている。
【0017】
次に動作について図3を用いて説明する。図3は金属カバー3をネジ4を用いて取付ける場合の、当該箇所の断面を表しており、図中の符号は図1のものと同一であるのでここでは説明を省略する。
【0018】
金属カバー3をネジ4で取付ける際、ネジ4を金属カバー3の貫通穴3b、誘電体基板2のスルーホール8を介して金属ケース1のネジ穴に締めつけていくと、金属カバー3の突起部3aはスルーホール8に挿入(圧入)されていくが、突起部3aの先端の径であるC寸法はスルーホール8の径よりやや小さく、また突起部3aの根元の径であるB寸法はスルーホール8の径よりやや大きめとなっているため、突起部3aがスルーホール8に挿入されていくに従って食い込んでいくような形となり、突起部3aとスルーホール8が十分に密着することとなる。このことは、ネジ4の有る突起部3aだけではなく、ネジ4の無い突起部3aにも共通して言えることである。よって金属カバー3と誘電体基板2のGNDパターン7とは十分に接触することとなる。
【0019】
次に本発明の具体的な効果について説明する。ここでは、同じ高周波モジュールを複数台製作する場合を想定する。金属カバー3をネジ4で取付ける際、最初のモジュールではネジをネジ穴数ヶ所間隔でのみ使用する。(図1、図3はネジ穴1ヶ所おきでの実施例である。)金属カバー3の取付け後、電気性能を確認し回路のシールド性が不足しているようであれば、ネジ4の無い箇所にネジ4を追加していく。逆に十分なシールド性が得られているようであれば、ネジ4を徐々に削除していけばよい。このようにして、ネジ4の最適箇所が決まれば、残りのモジュールを製造する際は、最初からその箇所にのみネジ4を使用して金属カバー3を取付ければよい。こうして必要最低限のネジ本数と作業工数で済むこととなる。
【0020】
上記説明では、金属カバー3を用いていたが、金属カバー3に突起部3aを設ける加工コストが上がるようであれば、金属カバーの代わりに導電性樹脂を用いて成形したカバーや非導電性樹脂を用いて成形したものに導電性メッキを施したカバーを用いても同様の効果がえられる。
【0021】
図4は、上記実施例のシールド構造を有し、更に制御回路部15と電源回路部16、高周波信号用の同軸コネクタ17、制御信号及び電源供給用の多極コネクタ18を具備した高周波モジュールの一例である。それ以外の符号は図1と同じであるので、説明は省略する。また、通常は金属ケース1にはモジュール用カバーが取付けられているが、ここでは説明をわかり易くするために図への記載は省略してある。上記実施例シールド構造を設けることにより、高出力増幅器部で増幅された高周波信号が、制御回路15や電源回路16に悪影響を及ぼすことが無くなり、電気的に安定した性能を低コストで達成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る高周波モジュールのシールド構造の実施例を示す、高周波モジュールの主要部分を表した図である。
【図2】図1のA部の拡大図である。
【図3】金属カバーの突起部と誘電体基板のGNDパターン上のスルーホールとの関係を表した断面図である。
【図4】本発明に係る高周波モジュールの実施例を示す、制御回路部と電源回路部、高周波信号用の同軸コネクタ、制御信号及び電源供給用の多極コネクタを具備した高周波モジュールを表した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 金属ケース、 2 誘電体基板、 3 金属カバー、 4 ネジ、 5 チップ部品、 6 中出力トランジスタ、 7 GNDパターン、 8 スルーホール、 9 高出力トランジスタ、 10 サーキュレータ、 11 低雑音トランジスタ、 12 ゲインブロック用トランジスタ、 15 制御回路部、 16 電源回路部、 17 高周波信号用同軸コネクタ、 18 制御信号及び電源供給用多極コネクタ。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【出願日】 平成16年2月9日(2004.2.9)
【代理人】 【識別番号】100113077
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 省吾

【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦

【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子

【識別番号】100128060
【弁理士】
【氏名又は名称】中鶴 一隆

【公開番号】 特開2005−223267(P2005−223267A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−32240(P2004−32240)