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【発明の名称】 配線基板
【発明者】 【氏名】渡辺 徹
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】配線基板100は、基板本体1と、この基板本体1に互いにねじれの位置関係となるように配設された第1及び第2平面導体11,12とを有し、第1平面導体11及び第2平面導体12は、少なくとも一方が電気信号を伝達するものであり、互いに対向する幅広面にて挟まれた部分の寄生容量が小さくなるように、いずれか一方の幅広面を他方の幅広面に対して傾斜させている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路に使用される多層構造基板において、基板平面に対して幅広面が平行に形成された第1の平面導体と前記第1の平面導体に対して基板厚み方向において異なる位置に配設されており、且つ、前記第1の平面導体との交差部を有する第2の平面導体を有し、その交差部で前記第1の平面導体の幅広面と第2の平面導体の幅広面とが平行以外の角度で交差することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載する配線基板において、前記第1の平面導体の幅広面と前記第2の平面導体の幅広面とが交差角90度で交差することを特徴とする配線基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する配線基板において、基板内に凹部を有し、前記第1の平面導体及び前記第2の平面導体のいずれか一方が基板上及び基板内のいずれかに基板面に対して平行に形成され、他方が前記基板凹部の内壁面に形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項4】
請求項3に記載する配線基板において、前記凹部は、集積回路を収納するためのキャビティであることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は電子回路に使用される基板の配線パターンの引き回し手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の通信機器等に用いられる高周波回路においては小型化の要求が強く存在し、その結果、前記高周波回路を構成する回路基板においては非常に高い密度で部品の実装或いは配線が成されている。また積層基板は前記回路の小型化に非常に有効であり、事実積層基板内に高い密度で配線を行うことにより、大幅な回路の小型化が実現されている。
その反面、前記実装部品或いは前記配線同士の干渉が起こりやすいという問題点が存在する。この意図しない干渉は回路の特性劣化の原因となる。
【0003】
例えば、信号ラインと制御信号ライン或いは電源ラインとが干渉した場合、それらによって構成された不要ループが構成され、回路の動作が不安定となり、最終的に回路において予期しない異常発振を生ずるケースが考えられる。
この様に不要な信号ライン同士の干渉は回路本来の機能を阻害する要素が含まれており、回路を安定に動作させるためには回路設計時にこれらの要素を排除する事が必要である。
【0004】
これらの問題を解消するための手段として、従来以下の様な手段が提案されている。具体的な例として、信号の伝送線路周辺に形成される導体線路を前記信号ラインから離して形成する手段(特許文献1参照)、信号の伝送線路周辺に構成する誘電体基板の比誘電率を下げ、周辺の伝送線路或いは制御線路等との間に形成される寄生容量値を削減する手段(特許文献2参照)等が挙げられる。
【特許文献1】特開平5−327230号公報(第5−7頁、第1図)
【特許文献2】特開平7−307575号公報(第5−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述特許文献1の多層配線基板においては、信号ライン周辺の配線及び部品の実装密度が下がり、小型化が制限されるという未解決の問題がある。
また、上述特許文献2の多層回路基板においては、異なる誘電率を有する2種の基板材料を使用する必要があり、製造工程が複雑になると共にコストが高くなるという未解決の問題がある。
【0006】
本発明は上記に示す課題を解決するためのものであり、配線間に生ずる寄生容量を低減し、尚且つ高い実装密度を実現可能な配線基板を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の配線基板は、電子回路に使用される多層構造基板において、基板平面に対して幅広面が平行に形成された第1の平面導体と前記第1の平面導体に対して基板厚み方向において異なる位置に配設されており、且つ、前記第1の平面導体との交差部を有する第2の平面導体を有し、その交差部で前記第1の平面導体の幅広面と第2の平面導体の幅広面とが平行以外の角度で交差する構造を有する。
【0008】
この結果、第1の平面導体と第2の平面導体との対向部分の対向面積が減少し、第1の平面導体と第2の平面導体との間隔が狭い場合でも両平面導体間に発生する寄生容量を低減することが可能となり、このため、高い実装密度を維持したまま寄生容量を削減した配線基板を構成することが可能となる。
第2の発明の配線基板は、前記第1の発明の配線基板において、第1の平面導体の幅広面と第2の平面導体の幅広面とが交差角90度で交差した構造を有する。
【0009】
この結果、第1の平面導体と第2の平面導体との対向面積が最小となり、第1の平面導体と第2の平面導体との間隔が狭い場合でも両平面導体間に発生する寄生容量を低減することが可能となり、高い実装密度を維持したまま寄生容量を削減した配線基板を構成することが可能となる。
第3の発明の配線基板は、前記第1の発明または前記第2の発明の配線基板において、基板内に凹部を有し、前記第1の平面導体及び前記第2の平面導体のいずれか一方が基板上及び基板内のいずれかに基板面に対して平行に形成され、他方が前記基板凹部の内壁面に形成されており、且つ、前記第1の平面導体の幅広面と前記第2の導体の幅広面とが平行以外の角度で交差する構造で形成されている。
【0010】
この結果、第1の平面導体と第2の平面導体との対向面積が減少し、第1の平面導体と第2の平面導体との間隔が狭い場合でも前記電極間に発生する寄生容量を低減することが可能となり、高い実装密度を維持したまま寄生容量を削減した配線基板を構成することが可能となる。また、作製が容易となる。
第4の発明の配線基板は、前記第3の発明の配線基板において、前記凹部は、集積回路を収納するためのキャビティである。この結果、既存キャビティの内壁面を第2の平面導体の配設に利用出来、新たに基板に凹部を設ける必要が無く、高い実装密度を維持したまま寄生容量を削減し、尚且つコストダウンをする事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1はこの発明の第1の実施形態の配線基板を示す正面図である。また、図2は図1のA−A線に沿う矢視断面図である。また、図3は図1のB−B線に沿う矢視断面図である。図において、配線基板100は、図1の前後方向に対向する外壁面1a,1cと図1の左右方向に対向する外壁面1b,1dとを有する矩形平板状の基板本体1と、この基板本体1に形成された配線導体から構成されている。基板本体1は、第1の樹脂層2a、第1のグランド層4a及び第2の樹脂層2bが重ねて形成された三層の積層構造を成している。グランド層4は、基板本体1の全面にわたって第1の樹脂層2aと第2の樹脂層2bに挟まれて形成されている。
【0012】
基板本体1上面の第1の樹脂層2aの中央部には、図1の前後方向に対向する内壁面5a,5cと図1の左右方向に対向する内壁面5d,5bを有する矩形のキャビティ5が、グランド層4に達しない程度の深さに凹設されている。内壁面5da、5b、5c及び5dは、それぞれ基板本体1に垂直な面とされている。キャビティ5の底面中央には、集積回路としてのICチップ7が実装されている。
【0013】
第1の平面導体である2本の直線扁平帯状の信号ライン11が、キャビティ5の底面と概略同じ高さで、幅広面を基板本体1と平行にして、基板本体1の外壁面1aから侵入し第1の樹脂層2aを貫通し、キャビティ5の内壁面5aを貫通し、キャビティ5内に突出している。信号ライン11の先端11aは、内壁面5aの下端からキャビティ5内に突出し、後端11bは配線基板2の外壁面に設けられた接続端子11cに接続されている。信号ライン11の先端11aは、ICチップ7の近傍まで延び、ボンディングワイヤ8にてICチップ7と電気的に接続されている。
【0014】
キャビティ5の底面の四隅には、部分的に第2のグランド層4bが設けられている。第2のグランド層4bと第1のグランド層4aとは、ビアーホール4cによって電気的に接続されている。
第2の平面導体である電源供給ライン12は、カギ状に折れ曲がる3つの電極12A、12B及び12Cから構成されている。概略帯状の電極12Cが、幅広面を基板本体1と平行にして、外壁面1bの中央部から侵入し第1の樹脂層2aを貫通し、キャビティ5の内壁面5bから露出している。キャビティ5の内壁面5bから露出した電極12Cは、キャビティ5の内壁面5bに形成された電極12Bに接続されている。概略帯状の電極12Bは、電極12Cと接続する内壁面5bの中央部から、幅広面を内壁面5bに密着させて内壁面5bと内壁面5aとの角部まで延びている。電極12Bは、この角部で電極12Aと接続している。概略帯状の電極12Aは、幅広面を内壁面5aに密着させて基板本体1に平行な方向に延びている。
【0015】
内壁面5aに形成された電源供給ライン12の電極12Aから、内壁面5aに沿ってキャビティ5の底方向に向かって2本の枝部12aと12bが延びている。枝部12a,12bは、キャビティ5の底面に達した部分で折れ曲がりその先端部12c,12dはICチップ7の近傍まで延びている。枝部12a,12bの先端部12c,12dは、ボンディングボンディングワイヤ8にてICチップ7と電気的に接続されている。
【0016】
電源供給ライン12の電極12A及び12a,12bからなるコの字型G(図2)の部分は、2本の信号ライン11をまたぐように設けられている。
ICチップ7の上面に形成された接地電極と第2のグランド層4bとの間はボンディングワイヤ8で電気的に接続されている。
このように構成された配線基板100において、信号ライン11はICチップ7からの出力信号を外部に出力している。一方、電源供給ライン12は、ICチップ7に電圧又は電流を供給している。そして、信号ライン11と電源供給ライン12の電極12Aとは同一平面上に無く、且つ電極の幅広面が互いに平行とならない状態にある。
【0017】
本実施形態においては、第1の平面導体である信号ライン11と第2の平面導体である電源供給ライン12と間の寄生容量の削減を目的としている。ここで、寄生容量は数式1により求められる。
C=ε0・εr・S/d (数式1)
ここで、 ε0 : 真空中の誘電率
εr : 基板材料の比誘電率
S : 配線導体の対向する部分の面積
d : 対向する配線導体の間隔
数式1から第1の平面導体である信号ライン11と第2の平面導体である電源供給ライン12との間に発生する寄生容量Cは、対向する配線導体の間隔dを拡大するか、或いは配線導体の対向する部分の面積Sを縮小すれば小さくすることができる。
【0018】
すなわち、本実施形態においては、数式1の面積Sを小さくすることにより寄生容量の削減を図る。本実施形態においては、電源供給ライン12の電極12Aとは、電源供給ライン12の幅広面が信号ライン11の幅広面7に対して傾斜角度90度傾くように設けられている。すなわち、電源供給ライン12の電極12Aの幅広面が信号ライン11の幅広面7に対して垂直となるように設けられている。そのため、信号ライン11と電源供給ライン12との対向する部分の面積が最小となり、寄生容量を低減することができる。
【0019】
図4はこの発明の第2の実施形態の配線基板を示す正面図である。また、図5は図4のC−C線に沿う矢視断面図である。また、図6は図4のD−D線に沿う矢視断面図である。図において、本実施形態の配線基板2は、基板本体1の表面においては、ICチップ7を実装するためのキャビティ15の内壁面15a,15b,15c,15dが夫々傾斜している。各内壁面15a,15b,15c,15dは、夫々キャビティ15の開口部を広げる方向に、配線基板1の表面に対して角度θ(本実施形態においては約60度)傾斜している。つまり、キャビティ15の底面及び内壁面は、四角錐の中間部から頂点側の部分を削除し逆さまにした形状とされている。
【0020】
第2の平面導体である電源供給ライン22は、カギ状に折れ曲がる3つの電極22A、22B及び22Cから構成されている。概略帯状の電極22Cが、キャビティ15の深さの方向ほぼ1/2の高さで、幅広面を基板本体1と平行にして、外壁面1bの中央部から侵入し第1の樹脂層2aを貫通し、斜面とされた内壁面15bから露出している。キャビティ15の内壁面15bから露出した電極22Cは、斜面とされた内壁面15bに形成された電極22Bに接続されている。概略帯状の電極22Bは、電極22Cと接続する内壁面15bの中央部から、幅広面を内壁面15bに密着させて内壁面15bと内壁面15aとの角部まで延びている。電極22Bは、この角部で電極22Aと接続している。概略帯状の電極22Aは、幅広面を内壁面15aに密着させて基板本体1に平行な方向に延びている。
【0021】
内壁面15aに形成された電源供給ライン22の電極22Aから、斜面とされた内壁面15aに沿ってキャビティ15の底方向に向かって2本の枝部22aと22bが延びている。枝部22a,22bは、キャビティ15の底面に達した部分で折れ曲がりその先端部22c,22dはICチップ7の近傍まで延びている。先端部22c,22dは、ボンディングワイヤ8にてICチップ7と電気的に接続されている。
【0022】
本実施の形態においては、キャビティ15の各内壁面が斜めに形成されている。そして、電源供給ライン22は、この斜めの内壁面15a,15bに沿って形成されている。従って、信号ライン11と電源供給ライン22の電極22Aは、互いにねじれの位置関係にあるが、信号ライン11の幅広面に対して、電源供給ライン22の電極22Aの幅広面は、所定の角度傾いて形成されている。ここで、ねじれの位置関係とは、同一平面上になく且つ平行でない2つの直線体(棒状体、細長平板状のものを含む)の関係を言う。
【0023】
本実施の形態においては、電源供給ライン22の電極22Aと信号ライン11の対向する面積は、いずれか一方の幅広面を他方の幅広面に対して60度傾斜しているので、寄生容量を削減する効果は若干落ちる。しかしながら、キャビティ15の内壁面が開口部側で広がるような斜面とされているので、電源供給ライン22を印刷によって基板本体1に形成する際、容易に作成することができる。
【0024】
なお、本実施の形態においては、キャビティ15の内壁面15a,15b,15c,15dは約60度傾斜しているが、製作のみを考慮すると45度が最も製作し易い。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、キャビティ5或いはキャビティ15の内壁面に電源供給ライン5が設けられているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、電源供給ライン5は、例えば、配線基板1に形成された溝の内壁面に設けられてもよい。
【0025】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、第2の平面導体である電源供給ライン12及び22は、ICチップ7に電力を供給するものであるが、第2の平面導体は、電源供給ラインに限らず例えば、ICチップ7に制御信号を与えるものであってもよいし、さらには、単なる導体であっても概略同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施形態の配線基板を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う矢視断面図である。
【図4】この発明の第2の実施形態の配線基板を示す正面図である。
【図5】図4のC−C線に沿う矢視断面図である。ま
【図6】図4のD−D線に沿う矢視断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 基板本体、5,15 キャビティ、7 ICチップ(集積回路)、11 信号ライン(第1の平面導体)、12,22 電源供給ライン(第2の平面導体)。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【代理人】 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也

【識別番号】100075579
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 嘉昭

【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 秀▲てつ▼

【公開番号】 特開2005−223136(P2005−223136A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−29436(P2004−29436)