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【発明の名称】 プリント基板のリターン経路チェック方法およびプリント基板のパターン設計CAD装置
【発明者】 【氏名】房安 浩嗣
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】▲浜▼田 清司
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】三村 詳一
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】入来院 美代子
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】高速に、チェックミスすることなくリターン経路をチェックできるプリント基板のリターン経路チェック方法およびプリント基板のパターン設計CAD装置を提供する。

【解決手段】プリント基板のパターン設計CAD装置は、プリント基板配線情報を参照して、信号配線パターンを検出する信号配線パターン検出部22と、該信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、信号配線パターンから第1判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出して、ガードグランドが第1判別規定値GLまでの距離内に存在しないガードグランド不存在区間を特定し、該ガードグランド不存在区間において、信号配線パターンから第1判別規定値GLより大きい第2判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出するガードグランド検出部23と、ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、ガードグランドのエラー有りと判定するリターン経路判定部25などで構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板の配線情報を参照して、信号配線パターンを検出するステップと、
該信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、信号配線パターンから予め定めた第1判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出するステップと、
ガードグランドが第1判別規定値GLまでの距離内に存在しないガードグランド不存在区間を特定するステップと、
第1判別規定値GLより大きい第2判別規定値GUを設定するステップと、
該ガードグランド不存在区間において、信号配線パターンから第2判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出するステップと、
ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことを特徴とするプリント基板のリターン経路チェック方法。
【請求項2】
ガードグランド不存在区間において、不連続なガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在する場合、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載のプリント基板のリターン経路チェック方法。
【請求項3】
ガードグランド不存在区間の長さをLとし、ガードグランド不存在区間の境界における信号配線パターンからガードグランドまでの距離をGとして、
L≦2×√(GU−G)が成立する場合、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載のプリント基板のリターン経路チェック方法。
【請求項4】
プリント基板は、信号配線パターンが存在する配線層と、グランドプレーンが存在するグランド層とを含む多層プリント基板であって、
ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、該ガードグランドと接続したグランドがグランド層に存在していなければ、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことを特徴とする請求項1記載のプリント基板のリターン経路チェック方法。
【請求項5】
第1判別規定値GLは、プリント基板のパターン設計における最小線間距離で設定することを特徴とする請求項1記載のプリント基板のリターン経路チェック方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載されたプリント基板のリターン経路チェック方法をコンピュータで実行するためのプログラムを記録した記録媒体。
【請求項7】
プリント基板の配線情報を参照して、信号配線パターンを検出するための信号配線パターン検出部と、
該信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、信号配線パターンから予め定めた第1判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出して、ガードグランドが第1判別規定値GLまでの距離内に存在しないガードグランド不存在区間を特定し、該ガードグランド不存在区間において、信号配線パターンから第1判別規定値GLより大きい第2判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出するためのガードグランド検出部と、
ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、ガードグランドのエラー有りと判定するためのリターン経路判定部とを備えることを特徴とするプリント基板のパターン設計CAD装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の配線設計に関し、特に、プリント基板の不要輻射ノイズの発生を防止するEMC(Electro-Magnetic Compatibility)対策に対応したプリント基板のリターン経路チェック方法およびプリント基板のパターン設計CAD(Computer Aided Design)装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルAV機器、情報機器等の電子機器の不要輻射ノイズを低減するためには、まずノイズ源である回路基板の配線経路を把握することが大切である。従来のプリント基板CADでは、配線エラーを検出する場合、クロック配線パターンの配線経路が、EMC設計条件に違反しているかを、目視等の人手で検出し、違反箇所の配線経路を修正していた。
【0003】
しかしながら、上記のようなプリント基板CADでは、EMC設計エラーの検出を人手に依存していたため、検出漏れが発生しやすく、また、検出には時間を要するといった課題があった。
【0004】
この解決策として、プリント基板CADでのパターン形状の認識技術の発展によって、信号配線に隣接してグランド属性のガードパターンであるガードグランドが存在するかを検出することが可能となってきた。一般的な検出方法としては、信号配線からガードグランド判別規定値以内にガードグランドが存在しない配線区間が存在すると、エラーとすることが考えられる。
【0005】
関連する先行技術として、下記のものが挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2002−16337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようなガードグランド検出方法では、図8に示すように、ガードグランド判別規定値Gを小さくすると、信号配線パターン31にパッドやビア等が配置される部分のガードグランドの広がり部分43を、ガードグランドの途切れとしてエラー判別し、また、ガードグランド判別規定値Gを大きくすると、エラーであるガードグランドの短い途切れ44をOK判別してしまうという課題がある。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑み、従来の方法に比べ格段に高速に、チェックミスすることなくリターン経路をチェックできるプリント基板のリターン経路チェック方法およびプリント基板のパターン設計CAD装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法は、プリント基板の配線情報を参照して、信号配線パターンを検出するステップと、
該信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、信号配線パターンから予め定めた第1判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出するステップと、
ガードグランドが第1判別規定値GLまでの距離内に存在しないガードグランド不存在区間を特定するステップと、
第1判別規定値GLより大きい第2判別規定値GUを設定するステップと、
該ガードグランド不存在区間において、信号配線パターンから第2判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出するステップと、
ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明のチェック方法において、ガードグランド不存在区間において、不連続なガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在する場合、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことが好ましい。
【0011】
また本発明のチェック方法において、ガードグランド不存在区間の長さをLとし、ガードグランド不存在区間の境界における信号配線パターンからガードグランドまでの距離をGとして、
L≦2×√(GU−G)が成立する場合、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことが好ましい。
【0012】
また本発明のチェック方法において、プリント基板は、信号配線パターンが存在する配線層と、グランドプレーンが存在するグランド層とを含む多層プリント基板であって、
ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、該ガードグランドと接続したグランドがグランド層に存在していなければ、ガードグランドのエラー有りと判定するステップとを含むことが好ましい。
【0013】
また本発明のチェック方法において、第1判別規定値GLは、プリント基板のパターン設計における最小線間距離で設定することが好ましい。
【0014】
上記チェック方法は、コンピュータで実行するためのプログラムとして記録媒体に記録可能である。
【0015】
さらに、本発明に係るプリント基板のパターン設計CAD装置は、プリント基板の配線情報を参照して、信号配線パターンを検出するための信号配線パターン検出部と、
該信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、信号配線パターンから予め定めた第1判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出して、ガードグランドが第1判別規定値GLまでの距離内に存在しないガードグランド不存在区間を特定し、該ガードグランド不存在区間において、信号配線パターンから第1判別規定値GLより大きい第2判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出するためのガードグランド検出部と、
ガードグランド不存在区間において、ガードグランドが第2判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、ガードグランドのエラー有りと判定するためのリターン経路判定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
こうした手法によって、ガードグランドの広がり部分とガードグランドの短い途切れの双方をチェックミスすることなく、高速にチェックできる。そのため、信号配線とガードグランドからなる高周波電流ループから発生する電磁波を抑制するためのEMC対策を効率よく実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るEMC設計CAD装置の一例を示すブロック図である。図2は、本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法の一例を示すフローチャートである。図3は、ガードグランド検出の様子を説明するための部分平面図である。
【0018】
まず図1において、EMC設計CAD装置は、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイなどの入出力装置11と、演算プロセッサなどの回路パターン設計用コンピュータ12と、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、メモリなどの記憶装置13と、ガードグランド検出手段21等を含む回路パターン設計用プリント基板CADプログラム14などで構成される。
【0019】
ガードグランド検出手段21は、信号配線パターン検出部22、ガードグランド検出部23、プレーングランド検出部24、リターン経路判別部25などを備える。
【0020】
信号配線パターン検出部22は、設計対象であるプリント基板の配線情報を参照して、個々の信号配線パターンを検出する。こうした配線情報は、プリント基板の設計データとして記憶装置13などに格納されている。
【0021】
ガードグランド検出部23は、信号配線パターン検出部22によって検出された個々の信号配線パターンを長手方向に沿ってトレースし、信号配線パターンの両サイドにおいて当該信号配線パターンのリターン経路となるガードグランドが存在するか否かを検出する。このときサーチ範囲を限定するための第1ガードグランド判別規定値GLを予め定めておき、信号配線パターンの中心線から第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。
【0022】
続いて、ガードグランド検出部23は、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在する区間と、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在しない区間とを特定して、前者をガードグランドOK区間、後者をガードグランドNG区間と定義する。そして、ガードグランドNG区間においてサーチ範囲をより拡大するために、第1ガードグランド判別規定値GLより大きい第2ガードグランド判別規定値GUを設定しておいて、信号配線パターンの中心線から第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。
【0023】
リターン経路判別部25は、ガードグランドNG区間においてガードグランドが第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内に存在しない場合、ガードグランドのエラー有りと判定する。こうしたエラー判定結果は、ディスプレイなどの入出力装置11を介して使用者に表示したり、他のプログラムに通知してもよい。
【0024】
なお、設計対象であるプリント基板が、信号配線パターンが存在する配線層とグランドプレーンが存在するグランド層とを含む多層プリント基板である場合、信号配線パターンのリターン経路がビアホール等を介してグランド層でのグランドプレーンに形成されている可能性がある。そこで、プレーングランド検出部24は、配線層でのガードグランドが不連続である場合、該ガードグランドと接続したグランドがグランド層に存在しているか否かを検出する。
【0025】
次に、図2のフローチャートを説明する。まずステップa1において、信号配線パターン検出部22は、設計対象であるプリント基板の配線情報を参照して、個々の信号配線パターンを抽出する。図3(a)に示すパターン例では、信号配線パターン31が検出される。
【0026】
次にステップa2において、第1ガードグランド判別規定値GLを設定する。第1ガードグランド判別規定値GLは、図3(a)に示すように、信号配線パターン31の中心線を基準として両サイドのサーチ範囲を規定するものであり、好ましくはプリント基板のパターン設計における最小線間距離に設定する。
【0027】
次にステップa3において、ガードグランド検出部23は、信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、ステップa4において、信号配線パターンから第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。全てのトレース区間において、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドが存在していれば、当該信号配線パターンのリターン経路が確保されていることになり、ステップa5に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0028】
一方、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドが存在していない区間がある場合には、ステップa10に移行して、ガードグランド検出部23は、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在する区間をガードグランドOK区間と定義し、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在しない区間をガードグランドNG区間と定義する。
【0029】
図3(a)に示すパターン例では、ガードグランド32が信号配線パターン31から遠ざかるように屈曲して、第1ガードグランド判別規定値GLを超えた部分と、ガードグランド32が連続していない部分とが存在しており、これらの部分を含む区間がガードグランドNG区間35に相当する。また、ガードグランド32が第1ガードグランド判別規定値GLを超えていない部分を含む区間がガードグランドOK区間に相当する。
【0030】
次にステップa11,a12において、第1ガードグランド判別規定値GLより大きくなるように第2ガードグランド判別規定値GUを設定する。第2ガードグランド判別規定値GUは、図3(b)に示すように、ガードグランドNG区間35においてサーチ範囲をより拡大して、ガードグランド32の屈曲部分を包含するように設定することが好ましく、これによりガードグランド32の不連続部分だけを抽出することができる。第2ガードグランド判別規定値GUは、ガードグランドNG区間の長さに応じて適宜変更してもよく、例えば、第1ガードグランド判別規定値GLをパターン設計の最小線間距離として0.2mmに設定した場合、第2ガードグランド判別規定値GUは10mm程度に設定される。
【0031】
次にステップa13において、ガードグランド検出部23は、ガードグランドNG区間の範囲で再トレースを行なって、信号配線パターンから第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。ガードグランドNG区間において、第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドが無い区間がある場合、ステップa15に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラー有りと判定して、入出力装置11を介して使用者に表示し、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0032】
一方、ステップa13で、ガードグランドNG区間において第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドが存在している場合、ステップa14に移行する。ステップa14では、ガードグランドNG区間において、ガードグランドが連続しているか否かを検出する。ガードグランドが連続していれば、当該信号配線パターンのリターン経路が確保されていることになり、ステップa5に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0033】
一方、ステップa14において、ガードグランドNG区間においてガードグランドが不連続である場合、当該信号配線パターンのリターン経路が欠落していることになり、ステップa15に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラー有りと判定して、入出力装置11を介して使用者に表示し、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0034】
図3(b)に示すパターン例では、ガードグランドNG区間A35aにおいて、ガードグランド32は途切れることなく連続し、かつ第2ガードグランド判別規定値GUを超えていないことから、ガードグランドのエラーなしと判定される。一方、ガードグランドNG区間B35bにおいて、ガードグランド32は存在していないことから、ガードグランドのエラー有りと判定される。
【0035】
以上のように、大小2つのガードグランド判別規定値GL,GUを採用し、さらにガードグランドの連続性を判定することによって、信号配線パターンのリターン経路を確実にチェックすることができる。
【0036】
なお、第1実施形態として、第2ガードグランド判別規定値GUがガードグランドNG区間の長さに応じて設定する場合を例として説明したが、第2ガードグランド判別規定値GUが信号配線パターンを流れる信号周波数または信号電流に応じて設定する場合についても同様の効果を有する。
【0037】
(実施の形態2)
図4は、本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法の他の例を示すフローチャートである。図5は、ガードグランド検出の様子を説明するための部分平面図である。本実施形態においても、図1に示したEMC設計CAD装置を使用する。
【0038】
本実施形態では、図4のステップb14においてガードグランドの連続性を数値比較によって判定している。
【0039】
まず図4のステップb1において、信号配線パターン検出部22は、設計対象であるプリント基板の配線情報を参照して、個々の信号配線パターンを抽出する。図5に示すパターン例では、信号配線パターン31が検出される。
【0040】
次にステップb2において、第1ガードグランド判別規定値GLを設定する。第1ガードグランド判別規定値GLは、図3(a)と同様に、信号配線パターン31の中心線を基準として両サイドのサーチ範囲を規定するものであり、好ましくはプリント基板のパターン設計における最小線間距離に設定する。
【0041】
次にステップb3において、ガードグランド検出部23は、信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、ステップb4において、信号配線パターンから第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。全てのトレース区間において、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドが存在していれば、当該信号配線パターンのリターン経路が確保されていることになり、ステップb5に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0042】
一方、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドが存在していない区間がある場合には、ステップb10に移行して、ガードグランド検出部23は、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在する区間をガードグランドOK区間と定義し、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在しない区間をガードグランドNG区間と定義する。
【0043】
図3(a)と同様に、ガードグランド32が信号配線パターン31から遠ざかるように屈曲して、第1ガードグランド判別規定値GLを超えた部分と、ガードグランド32が連続していない部分とが存在しており、これらの部分を含む区間がガードグランドNG区間35に相当する。また、ガードグランド32が第1ガードグランド判別規定値GLを超えていない部分を含む区間がガードグランドOK区間に相当する。
【0044】
次にステップb11,b12において、第1ガードグランド判別規定値GLより大きくなるように第2ガードグランド判別規定値GUを設定する。第2ガードグランド判別規定値GUは、図3(b)と同様に、ガードグランドNG区間35においてサーチ範囲をより拡大して、ガードグランド32の屈曲部分を包含するように設定することが好ましく、これによりガードグランド32の不連続部分だけを抽出することができる。第2ガードグランド判別規定値GUは、ガードグランドNG区間の長さに応じて適宜変更してもよく、例えば、第1ガードグランド判別規定値GLをパターン設計の最小線間距離として0.2mmに設定した場合、第2ガードグランド判別規定値GUは10mm程度に設定される。
【0045】
次にステップb13において、ガードグランド検出部23は、ガードグランドNG区間の範囲で再トレースを行なって、信号配線パターンから第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。ガードグランドNG区間において、第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドが無い区間がある場合、ステップb15に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラー有りと判定して、入出力装置11を介して使用者に表示し、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0046】
一方、ステップb13で、ガードグランドNG区間において第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドが存在している場合、ステップb14に移行する。ステップb14では、図5に示すように、ガードグランドNG区間の長さをLとし、ガードグランドNG区間の境界における信号配線パターンからガードグランドまでの距離をGとして、L≦2×√(GU−G)が成立する場合、ステップb15に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラー有りと判定して、入出力装置11を介して使用者に表示し、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0047】
一方、ステップb14において、L>2×√(GU−G)が成立する場合、ステップb5に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0048】
図5は、ガードグランド32がガードグランド端点X36a、Y36bで途切れている場合を示し、その途切れ長さLが、2×√(GU−G)と等しくなったときに、端点X,Yは、信号配線パターン31とXY間の中央線37との交点を中心とした半径GUの半円上に存在する。また、L>2×√(GU−G)のとき、端点X,Yは半径GUの半円外に存在するため、ガードグランドは不連続であり、ガードグランドエラーとなる。さらに、L≦2×√(GU−G)のときには、端点X,Yは半径GUの半円内に存在するため、ガードグランドの不連続が検出できない。そこで、ガードグランドNG区間の長さLと2×√(GU−G)とを比較して、ガードグランドNG区間の長さLが大きい場合には、ガードグランドの広がりと判断できて、エラーなしとなる。ガードグランドNG区間の長さLの方が短い場合は、ガードグランドの短い途切れと判断できて、ガードグランドエラーとなる。
【0049】
以上のように、大小2つのガードグランド判別規定値GL,GUを採用し、さらにガードグランドNG区間の長さLと、ガードグランドNG区間の境界における信号配線パターンからガードグランドまでの距離Gとを数値比較することによって、信号配線パターンのリターン経路を確実にチェックすることができる。
【0050】
(実施の形態3)
図6は、本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法の第3の例を示すフローチャートである。図7は、ガードグランド検出の様子を説明するための概略斜視図である。本実施形態においても、図1に示したEMC設計CAD装置を使用する。
【0051】
設計対象であるプリント基板が、信号配線パターンが存在する配線層とグランドプレーンが存在するグランド層とを含む多層プリント基板である場合、信号配線パターンのリターン経路がビアホール等を介してグランド層でのグランドプレーンに形成されている可能性がある。
【0052】
本実施形態では、配線層でのガードグランドが不連続である場合、プレーングランド検出部24が、該ガードグランドと接続したグランドがグランド層に存在しているか否かを検出している。
【0053】
まず図6のステップc1において、信号配線パターン検出部22は、設計対象であるプリント基板の配線情報を参照して、個々の信号配線パターンを抽出する。図7に示すパターン例では、2つのIC38を接続している信号配線パターン31が検出される。
【0054】
次にステップc2において、第1ガードグランド判別規定値GLを設定する。第1ガードグランド判別規定値GLは、図3(a)と同様に、信号配線パターン31の中心線を基準として両サイドのサーチ範囲を規定するものであり、好ましくはプリント基板のパターン設計における最小線間距離に設定する。
【0055】
次にステップc3において、プレーングランド判別規定値GPGを設定する。プレーングランド判別規定値GPGは、図7に示すように、信号配線パターン31が存在する配線層51を基準として、多層基板の積層方向へのサーチ範囲を規定するものであり、例えばサーチすべき層の識別記号または配線層51からの距離で設定する。
【0056】
次にステップc4において、プレーングランド検出部24は、当該信号配線パターンが存在する配線層からプレーングランド判別規定値GPGまでの範囲内にあるプレーングランドを抽出する。
【0057】
次にステップc5において、ガードグランド検出部23は、信号配線パターンの長手方向に沿ってトレースし、ステップc6において、信号配線パターンから第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。全てのトレース区間において、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドが存在していれば、当該信号配線パターンのリターン経路が確保されていることになり、ステップc7に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0058】
一方、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内でガードグランドが存在していない区間がある場合には、ステップc10に移行して、ガードグランド検出部23は、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在する区間をガードグランドOK区間と定義し、第1ガードグランド判別規定値GLまでの距離内にガードグランドが存在しない区間をガードグランドNG区間と定義する。
【0059】
図3(a)と同様に、ガードグランド32が信号配線パターン31から遠ざかるように屈曲して、第1ガードグランド判別規定値GLを超えた部分と、ガードグランド32が連続していない部分とが存在しており、これらの部分を含む区間がガードグランドNG区間35に相当する。また、ガードグランド32が第1ガードグランド判別規定値GLを超えていない部分を含む区間がガードグランドOK区間に相当する。
【0060】
次にステップc11,c12において、第1ガードグランド判別規定値GLより大きくなるように第2ガードグランド判別規定値GUを設定する。第2ガードグランド判別規定値GUは、図3(b)と同様に、ガードグランドNG区間35においてサーチ範囲をより拡大して、ガードグランド32の屈曲部分を包含するように設定することが好ましく、これによりガードグランド32の不連続部分だけを抽出することができる。第2ガードグランド判別規定値GUは、ガードグランドNG区間の長さに応じて適宜変更してもよく、例えば、第1ガードグランド判別規定値GLをパターン設計の最小線間距離として0.2mmに設定した場合、第2ガードグランド判別規定値GUは10mm程度に設定される。
【0061】
次にステップc13において、ガードグランド検出部23は、ガードグランドNG区間の範囲で再トレースを行なって、信号配線パターンから第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドの有無を検出する。ガードグランドNG区間において、第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドが無い区間がある場合、ステップc15に移行する。
【0062】
一方、ステップc13で、ガードグランドNG区間において第2ガードグランド判別規定値GUまでの距離内でガードグランドが存在している場合、ステップc14に移行する。ステップc14では、ガードグランドNG区間において、ガードグランドが連続しているか否かを検出する。ガードグランドが連続していれば、当該信号配線パターンのリターン経路が確保されていることになり、ステップc7に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0063】
一方、ステップc14において、ガードグランドNG区間においてガードグランドが不連続である場合、当該信号配線パターンのリターン経路が欠落していることになり、ステップc15に移行する。
【0064】
ステップc15では、プレーングランド検出部24は、ステップc4で抽出されたプレーングランドをサーチ対象として、ガードグランドNG区間において該ガードグランドと接続したプレーングランドが存在しているか否かを検出する。こうしたプレーングランドが存在してれば、当該信号配線パターンのリターン経路が確保されていることになり、ステップc7に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラーなしと判定して、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0065】
図7に示すパターン例では、配線層51におけるガードグランド32は不連続であるが、プレーングランド判別規定値GPGの範囲内にあるグランド層52における隣接プレーングランド40にビア41を経由して接続されていることから、リターン経路42が確保されており、ガードグランドのエラーなしと判定される。
【0066】
一方、ステップc15において該ガードグランドと接続したプレーングランドが存在していない場合、ステップc16に移行して、リターン経路判別部25はガードグランドのエラー有りと判定して、入出力装置11を介して使用者に表示し、リターン経路チェックルーチンは終了する。
【0067】
以上のように、大小2つのガードグランド判別規定値GL,GUを採用し、さらに別の層に存在するプレーングランドを考慮しながらガードグランドの連続性を判定することによって、信号配線パターンのリターン経路を確実にチェックすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法およびパターン設計CAD装置によって、ガードグランドの広がり部分とガードグランドの短い途切れの双方をチェックミスすることなく、高速にチェックできる。そのため、信号配線とガードグランドからなる高周波電流ループから発生する電磁波を抑制するためのEMC対策を効率よく実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るEMC設計CAD装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】ガードグランド検出の様子を説明するための部分平面図である。
【図4】本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法の他の例を示すフローチャートである。
【図5】ガードグランド検出の様子を説明するための部分平面図である。
【図6】本発明に係るプリント基板のリターン経路チェック方法の第3の例を示すフローチャートである。
【図7】ガードグランド検出の様子を説明するための概略斜視図である。
【図8】従来のガードグランド検出方法を説明するための部分平面図である。
【符号の説明】
【0070】
11 入出力装置
12 回路パターン設計用コンピュータ
13 記憶装置
14 回路パターン設計用プリント基板CADプログラム
21 ガードグランド検出手段
22 信号配線パターン検出部
23 ガードグランド検出部
24 プレーングランド検出部
25 リターン経路判定部
31 信号配線パターン
32 ガードグランド
34 ガードグランドOK区間
35 ガードグランドNG区間
35a ガードグランドNG区間A
35b ガードグランドNG区間B
36a ガードグランド端点X
36b ガードグランド端点Y
37 XY間の中央線
38 IC
39 グランドプレーン
40 隣接プレーングランド
41 ビア
42 リターン経路
43 ガードグランド広がり部分
44 ガードグランド途切れ部分
45 半径判別規定値の半円
51 配線層
52 グランド層
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【代理人】 【識別番号】100086405
【弁理士】
【氏名又は名称】河宮 治

【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫

【公開番号】 特開2005−223120(P2005−223120A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−29049(P2004−29049)