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【発明の名称】 防水型電子機器
【発明者】 【氏名】荒井 俊一
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】▲高▼橋 和俊
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】電極端子の保持固定能力、防水性及びその耐久性を確保することのできる防水型電子機器を提供する。

【解決手段】本発明の防水型電子機器100は、筐体101の内部に配置されたモジュール105に導電接続されるとともに筐体の外側に露出する電極端子104と、筐体と電極端子との間に配置された絶縁部材103とを有し、筐体と絶縁部材との間に配置された外周側防水パッキン111と、絶縁部材と電極端子との間に配置された内周側防水パッキン112と、筐体と絶縁部材の対向面上に形成された、絶縁部材を筐体に対して軸線方向に位置決めするように係合する外周側係合手段113と、絶縁部材と電極端子の対向面上に形成された、電極端子を絶縁部材に対して軸線方向に位置決めするように係合する内周側係合手段114とを有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配置されたモジュールに導電接続されるとともに前記筐体の外側に露出する電極端子と、前記筐体と前記電極端子との間に配置された絶縁部材とを有する防水型電子機器において、
前記筐体と前記絶縁部材との間に配置された外周側防水パッキンと、
前記絶縁部材と前記電極端子との間に配置された内周側防水パッキンと、
前記筐体と前記絶縁部材の対向面上に形成された、前記絶縁部材を前記筐体に対して軸線方向に位置決めするように係合する外周側係合手段と、
前記絶縁部材と前記電極端子の対向面上に形成された、前記電極端子を前記絶縁部材に対して軸線方向に位置決めするように係合する内周側係合手段と、
を有することを特徴とする防水型電子機器。
【請求項2】
前記外周側防水パッキンと前記内周側防水パッキンとが軸線方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の防水型電子機器。
【請求項3】
前記外周側防水パッキン及び前記内周側防水パッキンは、前記外周側係合手段及び前記内周側係合手段に対して軸線方向の異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防水型電子機器。
【請求項4】
前記外周側防水パッキンの外径は、前記筐体の外端側の開口内径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の防水型電子機器。
【請求項5】
前記内周側防水パッキンの外径は、前記絶縁部材の外端側の開口内径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防水型電子機器。
【請求項6】
前記外周側係合手段と前記内周側係合手段は、軸線方向の異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防水型電子機器。
【請求項7】
前記筐体は、前記絶縁部材及び前記電極端子を挿通させるパイプ状部材を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防水型電子機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は防水型電子機器に係り、特に、センサ電極やデータ入出力端子などに用いることのできる電極端子を備えた防水型電子機器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水中カメラ、ダイビングコンピュータ、ダイバーズウォッチなどの防水型電子機器においては、導電金属で覆われた筐体の外面の一部に金属製の電極端子を露出させ、この電極端子を収容するように構成された絶縁部材を筐体との間に介在させてなる電極端子構造を備えている(例えば、以下の特許文献1参照)。この電極端子構造は、例えば、電極端子と筐体との間の導通の有無を検出することによって筐体が水中にあるか否かを知るための水検知センサの検出端子として用いられることがあり、また、筐体の内部に収容されたモジュールにデータを取り込んだり、モジュールからデータを取り出したりするための入出力端子として用いられることもある。
【0003】
上記のような防水型電子機器における電極端子構造は、例えば、図5に示すように、筐体1の側面に貫通孔1aを形成し、この貫通孔1aにパイプ部材2をろう付けなどによって接合固定し、このパイプ2の内部に筒状のプラスチックなどで構成される絶縁部材3と、この絶縁部材3内に配置された電極端子4とを圧入固定してなる。電極端子4の内端部4aは、筐体1に収容されたモジュール5内に設置された回路基板6に対して、ばねや導電ゴムなどの導通部材7を介して導電接続されている。また、電極端子4の外端部4bは、絶縁部材3とともに筐体1の外面上に露出している。この場合、パイプ部材2と絶縁部材3との間、並びに、絶縁部材3と電極端子4との間の防水性は、絶縁部材3の圧縮弾性変形により得られる密着状態である程度確保できるが、防水性をさらに高めるために、筐体1の内部において、パイプ部材2、絶縁部材3及び電極端子4の内端部に接着剤8を塗布することが多い。
【特許文献1】実開昭61−173095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の電極端子構造においては、電極端子4の固定力不足や絶縁部材3の変形による経時的な防水性の劣化などの構造的な問題点が指摘されていた。
【0005】
例えば、絶縁部材3の半径が小さくなると、絶縁部材3の充分な圧縮弾性変形を得ることができないので充分な防水性を得ることができず、また、絶縁部材3の変形も生じやすくなるため、絶縁部材3の締め代が甘くなりやすく、電極端子4にガタが生じたり、外圧により電極端子4がモジュール5に当接して応力を与えたり、内圧により電極端子4が脱落したり、或いは、防水性の経時的な劣化度合が大きくなったりすることがわかっている。さらに、絶縁部材3は、モジュール5に導電接続するための導通部材7の接触圧にも大きな影響を受けることが判明している。例えば、導通部材7の接触圧が大きいと、絶縁部材3がクリープ変形して電極端子構造の防水性が低下しやすくなる傾向がある。
【0006】
一方、従来の電極端子構造では、上記のような問題点を抱えた絶縁部材3による防水性を補強するために上記の接着剤8を塗布しているわけであるが、この接着剤8は、落下衝撃や温度変化による割れや経時的な品質劣化が生じやすく、充分な耐久性を有するものではなかった。また、接着剤8を用いると、修理などのアフターサービス時において、接着剤8をきれいに除去できないなど、作業が難しくなるという問題点もある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、種々の阻害要因を克服することのできる新規構造を採用することにより、電極端子構造における電極端子の保持固定能力、防水性及びその耐久性を確保することのできる防水型電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明の防水型電子機器は、筐体の内部に配置されたモジュールに導電接続されるとともに前記筐体の外側に露出する電極端子と、前記筐体と前記電極端子との間に配置された絶縁部材とを有する防水型電子機器において、前記筐体と前記絶縁部材との間に配置された外周側防水パッキンと、前記絶縁部材と前記電極端子との間に配置された内周側防水パッキンと、前記筐体と前記絶縁部材の対向面上に形成された、前記絶縁部材を前記筐体に対して軸線方向に位置決めするように係合する外周側係合手段と、前記絶縁部材と前記電極端子の対向面上に形成された、前記電極端子を前記絶縁部材に対して軸線方向に位置決めするように係合する内周側係合手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、筐体と絶縁部材の間及び絶縁部材と電極端子の間にそれぞれ外周側防水パッキン及び内周側防水パッキンが介在していることにより、絶縁部材の圧縮弾性変形特性に依存せずに防水性が得られるように構成されているため、電極端子構造の径寸法が小さくなっても、或いは、モジュールなどに対する導電接触圧が径方向に加わっても、防水性を充分に確保できるとともに、経時的な防水性の劣化を低減することができる。また、従来構造のように防水性や支持固定力を得るために接着剤を塗布する必要がないので、落下時に衝撃を受けたり、温度変化が生じたりしても、上記内外のパッキンにより防水性が低下することがなく、また、アフターサービスも容易になる。さらに、外周側係合手段と内周側係合手段により、電極端子が筐体に対して軸線方向に確実に保持固定されるため、電極端子の固定力不足により、電極端子が内部構造に外力を伝えてしまったり、筐体より脱落してしまったりすることを防止できる。
【0010】
本発明において、前記外周側防水パッキンと前記内周側防水パッキンとが軸線方向の異なる位置に配置されていることが好ましい。これによれば、筐体と絶縁部材との間、及び、絶縁部材と電極端子との間で防水性を得るための応力発生部位が軸線方向に異なることにより、絶縁部材の撓みを利用して軸線方向の異なる複数の位置において密閉状態が得られるため、全体として防水性をより確実に得ることができる。また、軸線方向の異なる位置にてパッキンによる応力が発生しているため、絶縁部材のクリープ変形によるガタが生じにくくなることから、電極端子の支持安定性をより高めることができる。
【0011】
本発明において、前記外周側防水パッキン及び前記内周側防水パッキンは、前記外周側係合手段及び前記内周側係合手段に対して軸線方向の異なる位置に配置されていることが好ましい。これによれば、防水パッキンによる防水構造が係合手段による係合時の各部材の一時的変形により影響を受けることにより密閉性の不良が生じて防水性が低下すること、或いは、防水パッキンにより生ずる密着力によって係合手段の係合状態の不良が生じて位置決め保持性能が低下することを防止できる。
【0012】
具体的には、電極端子構造を組み立てる際に外周側係合手段及び内周側係合手段による係合状態を実現させるためには、絶縁部材の外周側係合手段及び内周側係合手段が設けられている部分の少なくとも一部を一時的に変形(拡径変形若しくは縮径変形)させる必要があるが、外周側防水パッキン及び内周側防水パッキンは、上記の変形部分とは異なる位置に配置されているため、絶縁部材の変形による防水性の低下を防止することができる。
【0013】
なお、例えば、外周側防水パッキン及び内周側防水パッキンの軸線方向の位置と、外周側係合手段及び内周側係合手段の軸線方向の位置とが少なくとも一部重なったり、或いは、相互に近接したりしている場合には、その重なる領域若しくはその近傍において絶縁部材と電極端子との間、或いは、筐体と絶縁部材との間に締め代を設けることにより、防水パッキンによる密着力を確保することができるため、防水機能を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記外周側防水パッキンの外径(外力が加わっていないときの外径)は、前記筐体の外端側の開口内径よりも小さいことが好ましい。これによれば、外周側防水パッキンを装着した絶縁部材を筐体に外側から組み込む場合や、絶縁部材を組み込む前に筐体の内部に外側から外周側防水パッキンを挿入する場合において、組込時における防水パッキンの好ましくない変形を防止できるとともに、パッキンにグリスなどの潤滑剤を塗布したときでも、筐体の外端部に潤滑剤が付着することを防止できる。なお、外周側防水パッキンが防水機能を果たすためには、組立完了後の外周側防水パッキンの位置における筐体の内径が外周側防水パッキンの外径よりも小さいことが必要である。
【0015】
本発明において、前記内周側防水パッキンの外径は、前記絶縁部材の外端側の開口内径よりも小さいことが好ましい。これによれば、内周側防水パッキンを装着した電極端子を絶縁部材に外側から組み込む場合や、電極端子を組み込む前に絶縁部材の内部に外側から内周側防水パッキンを挿入する場合において、組込時における防水パッキンの好ましくない変形を防止できるとともに、パッキンにグリスなどの潤滑剤を塗布したときでも、絶縁部材の外端部に潤滑剤が付着することを防止できる。なお、内周側防水パッキンが防水機能を果たすためには、組立完了後の内周側防水パッキンの位置における絶縁部材の内径が内周側防水パッキンの外径よりも小さいことが必要である。
【0016】
本発明において、前記外周側係合手段と前記内周側係合手段は、軸線方向の異なる位置に設けられていることが好ましい。これによれば、外周側係合手段と内周側係合手段の軸線方向の位置が異なることにより、それぞれの係合状態を確実に保持することができ、係合部分のガタや係合部分における絶縁部材のクリープ変形を防止することができ、電極端子の軸線方向の固定力を高めることができる。
【0017】
なお、外周側係合手段の軸線方向の位置と内周側係合手段の軸線方向の位置とが一部重なっていたり、きわめて接近していたりする場合には、筐体と絶縁部材との間、或いは、絶縁部材と電極端子との間に締め代を設けることにより、係合手段の係合不良を防止することができるので、電極端子の軸線方向の固定力を高めることができる。
【0018】
本発明において、前記筐体は、前記絶縁部材及び前記電極端子を挿通させるパイプ状部材を有することが好ましい。パイプ状部材を設けることで、筐体の他の部分の壁が薄い場合でも、絶縁部材及び電極端子に対する軸線方向の支持範囲を充分に確保することができる。また、パイプ状部材を設けることで、電極端子構造を収容する筐体の貫通部の内面の表面粗さを容易に低減することができるため、筐体と絶縁部材との間の防水性を高めることができるとともに、製造コストの低減を図ることも可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、防水型電子機器において、電極端子の軸線方向の保持固定力、電極端子周りの防水性及びその耐久性を確保することができるという優れた効果を奏し得る。また、接着剤の塗布が不要となるので、アフターサービスも容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係る防水型電子機器100の一部を示す部分断面図である。この防水型電子機器100は、筐体101の内部にモジュール105が収容されている。図示例では、このモジュール105によって所定の計時機能や表示機能が実現されるダイバーズウォッチが構成されている。
【0021】
筐体101は導電性素材、例えば、ステンレス鋼などの金属素材で構成されている。筐体101の側面には貫通孔101aが形成されている。この貫通孔101aは、外端側の開口内径が大きく、内端側の内径が小さい段付孔形状を有する。そして、この貫通孔101aにパイプ状部材102がろう付けなどにより固定されている。パイプ部材102もまた金属などの導電性素材により構成されている。パイプ状部材102は、上記段付孔形状の貫通孔101aに対応した段付状の外周面形状を有し、外側から貫通孔101aに挿入された状態で固定されている。
【0022】
なお、パイプ状部材102を設けることなく、筐体101とパイプ状部材102に相当する貫通孔構造とを一体に構成することもできる。したがって、以下の実施形態の説明では、筐体101とパイプ状部材102とを区別して記述するが、本発明においては、筐体101の一部にパイプ状部材102が含まれるものとして扱うこととする。したがって、以下の筐体101若しくはパイプ状部材102の記載は、そのまま「筐体」と置き換えることにより、本発明に関する上記の記述に対応させることができる。
【0023】
パイプ状部材102の内部には、筒状の絶縁部材103が挿通された状態で配置されている。この絶縁部材103は絶縁体であればよいが、特に、ある程度の柔軟性及び弾性を有する点で合成樹脂により構成されることが好ましく、特に、吸水率が低く、柔軟性、耐熱性、弾性をバランス良く備えている点でポリエステル樹脂やフッ素樹脂などの熱可塑性樹脂で構成されることが望ましい。絶縁部材103は、外端側が内径、外径共に大きく、内端側が内径、外径共に小さい段付形状を備えている。
【0024】
絶縁部材103の内部には、電極端子104が挿通された状態で配置されている。電極端子104は軸状に構成されている。具体的には、外端部の外径は大きく、それよりも内端部側の外径は小さくなって内端部(軸線Xの伸びる方向(以下、単に「軸線方向」という。)の内端側)に向けて軸状に伸びている。内端部には内側接点104aが設けられ、この内側接点104aはばねや導電ゴムなどの導通部材107を介してモジュール105内の回路基板106に導電接続されている。電極端子104の外端部には拡大された頭部形状を有する外部接点104bが設けられ、外部に露出している。
【0025】
上記の電極端子構造は、防水型電子機器100が水中に入っているか否かを検出する水検知スイッチの検出電極として上記電極端子104を用いるものとなっている。ここで、絶縁部材103及び電極端子104は周囲の筐体101よりもやや外側に突出するように設けられている。これは、防水型電子機器100が水中にあるときには、水を介して筐体101と電極端子104が確実に導通し、しかも、防水型電子機器100が水中から出たときには迅速に水が流れて筐体101と電極端子104の導通状態が解消されるようにするためである。なお、上記の電極端子構造は、上記の水検知スイッチのほか、バッテリーへの給電端子やデータの入出力端子として用いることもできる。また、これらの複数の機能を兼用する電極端子としても構成できる。
【0026】
上記のように構成された電極端子構造においては、パイプ状部材102と絶縁部材103との間に外周側防水パッキン111が配置されている。外周側防水パイプ111は絶縁部材103を取り巻くように環状に構成されている。この外周側防水パッキン111は、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴムで構成されている。外周側防水パッキン111は、パイプ状部材102の外端側の外径が大きくなっている部分に当接するように配置されている。具体的には、パイプ状部材102の内周面が外端側に向いた段差を有するように段付状に構成され、ここに対向する絶縁部材103の外周面には、内端側に向いた段差を有するように段付状に構成され、これらの段差によって構成される断面矩形の空間内に外周側防水パッキン111が圧縮状態にて収容されている。
【0027】
また、絶縁部材103と電極端子104の間には、内周側防水パッキン112が配置されている。この内周側防水パッキン112は電極端子104を取り巻くように環状に構成されている。内周側防水パッキン112は、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴムで構成されている。この内周側防水パッキン112は、絶縁部材103及び電極端子104のうち、内端側にある、内径及び外径が小さくなっている部分に当接するように配置されている。具体的には、電極端子104の外周面が軸線方向に見て部分的に縮径することによって構成される断面矩形の空間内に内周側防水パッキン112が圧縮状態にて収容されている。
【0028】
本実施形態では、パイプ状部材102と絶縁部材103との間、及び、絶縁部材103と電極端子104との間にそれぞれ防水パッキンが介在しているため、絶縁部材の弾性変形によって防水性を確保していた従来構造と較べると、防水性をさらに高めることができると同時にその耐久性を向上させることができる。これは、支持機能が要求されることにより形状精度や剛性を高めなければならない比較的硬質の絶縁部材103に較べると、このような制約のない防水パッキン111,112は、弾性変形領域を大きくとることができ、しかも、弾性特性の耐久性を容易に高めることができるためである。
【0029】
また、外周側防水パッキン111と、内周側防水パッキン112とは、軸線方向の異なる位置に配置されている。これによって、外周側防水パッキン111によりパイプ状部材102と絶縁部材103との間に発生する密着力と、内周側防水パッキン112により絶縁部材103と電極端子104との間に発生する密着力とが軸線方向の異なる場所にて生ずることになるため、上記の電極端子構造において、軸線方向の異なる2箇所にて上記の密着力が発生し、これによって防水性が確保されることになることから、防水性を高めることができる。また、軸線方向の異なる場所においてそれぞれ上記の密着力に起因する支持力が電極端子104に対して及ぼされるので、電極端子104の支持姿勢が安定し、ガタの発生などが防止されるとともに、電極端子104に対する支持固定力を高めることができる。
【0030】
本実施形態では、パイプ状部材102及び絶縁部材103には外周側係合手段113が設けられている。この外周側係合手段113は、両者の対向面上、すなわちパイプ状部材102の内周面上と絶縁部材103の外周面上に設けられ、それぞれ相互に軸線方向に係合する係合構造(段差面同士の係合やフック構造など)によって構成されている。この外周側係合手段113は、絶縁部材103をパイプ状部材102に対して軸線方向両側(外端側及び内端側)に移動しないように係止する機能を有する。より具体的には、絶縁部材103をパイプ状部材102に対して軸線方向内端側に移動しないように係止する内端方向係合部113aと、絶縁部材103をパイプ状部材102に対して軸線方向外端側に移動しないように係止する外端方向係合部113bとを有する。図示例では、絶縁部材103はパイプ状部材102に対して外端側から挿入されるように構成されており、外端方向係合部113bは、内端方向係合部113aよりも外端側に設けられている。
【0031】
また、絶縁部材103及び電極端子104には内周側係合手段114が設けられている。この内周側係合手段114は、両者の対向面上、すなわち絶縁部材103の内周面上と電極端子104の外周面上に設けられ、それぞれ相互に軸線方向に係合する係合構造(段差面同士の係合やフック構造など)によって構成されている。この内周側係合手段114は、電極端子104を絶縁部材103に対して軸線方向両側(外端側及び内端側)に移動しないように係止する機能を有する。より具体的には、電極端子104を絶縁部材103に対して軸線方向内端側に移動しないにように係止する内端方向係合部114aと、電極端子104を絶縁部材103に対して軸線方向外端側に移動しないように係止する外端方向係合部114bとを有する。なお図示例では、内端方向係合部114aは、内端側にも存在するが、外端側において設けられた絶縁部材103及び電極端子104の段差面同士の当接部にも構成されている。
【0032】
本実施形態において、外周側係合手段113は、外周側防水パッキン111に対して軸線方向の異なる位置に配置されていることが好ましい。これは、外周側防水パッキン111の収容空間の形状を安定させることができるため、防水性をより確実に得ることができるとともに、係合構造によるパッキンの噛み込みなども防止できるからである。これと同様の理由により、内周側係合手段114も、内周側防水パッキン112に対して軸線方向の異なる位置に配置されていることが好ましい。
【0033】
また、外周側係合手段113は、内周側防水パッキン112に対して軸線方向異なる位置に配置されていることが好ましい。これによって、内周側防水パッキン112により生ずる密着力によって外周側係合手段113(特に、絶縁部材103における係合構造)に部分的な変形が生ずるといったことがなくなり、外周側係合手段113により絶縁部材103を軸線方向により確実に位置決め保持できるようになる。また、外周側係合手段113では、少なくとも外端方向係合部113bを係合させるために絶縁部材103の当該係合部分を一時的に変形させる必要があるが、この一時的な変形部分と内周側防水パッキン112の収容部とが異なる位置にあるため、内周側防水パッキン112による防水構造が上記の一時的な変形によって影響を受けるといったことを防止できる。
【0034】
さらに、内周側係合手段114は、外周側防水パッキン111に対して軸線方向の異なる位置に配置されていることが好ましい。これによって、外周側防水パッキン111により生ずる密着力によって内周側係合手段114(特に、絶縁部材103における係合構造)に部分的な変形が生ずるといったことがなくなり、内周側係合手段114により電極端子104を軸線方向により確実に位置決め保持できるようになる。また、内周側係合手段114では、少なくとも外端方向係合部114bを係合させるために絶縁部材103の当該係合部分を一時的に変形させる必要があるが、この一時的な変形部分と外周側防水パッキン111の収容部とが異なる位置にあるため、外周側防水パッキン111による防水構造が上記の一時的な変形によって影響を受けるといったことを防止できる。
【0035】
図2及び図3は、本実施形態における電極端子構造の組立手順を示す組立工程図である。本実施形態では、筐体101にパイプ状部材102を接合固定してから、図2に示すように、絶縁部材103をパイプ状部材102の内部に外側から挿入して組み込む。このとき、外周側防水パッキン111を図示のように予め絶縁部材103の外周面上に装着した状態で絶縁部材103をパイプ状部材102内に挿入する。ただし、外周側防水パッキン111を予めパイプ状部材102の内周面上に挿入配置した状態で絶縁部材103を挿入してもよい。いずれの場合でも、外周側防水パッキン111の表面にグリスやオイルなどの潤滑剤を塗布した状態で挿入すると、容易に組込作業を行うことができる。ここで、外周側防水パッキン111の外径(図示のように外力を受けていない状態における外径)D1が、パイプ状部材102の外端部の開口内径D2よりも小さく構成されているため、組込時における防水パッキンの好ましくない変形を防止できるとともに、組込時において潤滑剤がパイプ状部材102に付着することを防止できる。
【0036】
パイプ状部材102の内周面には、外端側から軸線方向内端側に向けて徐々に縮径するように段差が設けられており、また、絶縁部材103の外周面には、外端側から軸線方向内端側に向けて徐々に縮径するように段差が設けられているため、この段差構造がガイドとなって外周側防水パッキン111及び絶縁部材103の組込位置及び姿勢が自動的に整合する。実際には、パイプ状部材102の内周面と絶縁部材103の外周面との間には所定の締め代が設定され、これによって絶縁部材103が圧縮変形してパイプ状部材102に密着固定されるように構成されることが好ましい。また、上記の組込過程においては、絶縁部材103の外端部が一時的に縮径方向に変形することにより、外周側係合手段113の係合状態が得られる。最終的に外周側係合手段113が完全に係合した状態になると、絶縁部材103はパイプ状部材102の内部において軸線方向両側に保持固定された状態となる。
【0037】
次に、図3に示すように、電極端子104を絶縁部材103の内部に挿入して組み込む。このとき、内周側防水パッキン112を図示のように予め電極端子104の外周面上に装着した状態で電極端子104を絶縁部材103内に挿入する。ただし、内周側防水パッキン112を予め絶縁部材103の内周面上に挿入配置した状態で電極端子104を挿入してもよい。いずれの場合でも、内周側防水パッキン112の表面にグリスやオイルなどの潤滑剤を塗布した状態で挿入すると、容易に組込作業を行うことができる。ここで、内周側防水パッキン112の外径(図示のように外力を受けていない状態における外径)D3が、絶縁部材103の外端部の開口内径D4よりも小さく構成されているため、組込時における防水パッキンの好ましくない変形を防止できるとともに、組込時において潤滑剤が絶縁部材103に付着することを防止できる。
【0038】
絶縁部材103の内周面には、外端側から軸線方向内端側に向けて徐々に縮径するように段差が設けられており、また、電極端子104の外周面には、外端側から軸線方向内端側に向けて徐々に縮径するように段差が設けられているため、この段差構造がガイドとなって内周側防水パッキン112及び電極端子104の組込位置及び姿勢が自動的に整合する。実際には、絶縁部材103の内周面と電極端子104の外周面との間には所定の締め代が設定され、これによって絶縁部材103が圧縮変形して電極端子104に密着固定されるように構成されることが好ましい。また、上記の組込過程においては、絶縁部材103の内端部が一時的に拡径方向に変形することにより、内周側係合手段114の係合状態が得られる。最終的に内周側係合手段114が完全に係合した状態になると、電極端子104は絶縁部材103の内部において軸線方向両側に保持固定された状態となる。
【0039】
なお、上記実施形態において、電極部材104は単一部材で構成されたものとしたが、複数の部材を適宜に連結若しくは接合して構成することもできる。例えば、電極端子104に止め輪を嵌着し、この止め輪と絶縁部材103が係合することによって内周側係合手段114が構成されるようにしてもよい。
【0040】
次に、図4を参照して、本発明に係る別の防水型電子機器200の構造について説明する。この実施形態では、筐体201、パイプ部材202、絶縁部材203、電極端子204、モジュール205、回路基板206、導通部材207を備えており、これらの各部材の基本構成は、以下に説明する点を除いて先に説明した実施形態と同様である。また、外周側防水パッキン211と内周側防水パッキン212が設けられている点、並びに、内端方向係合部213a及び外端方向係合部213bを備えた外周側係合手段213と、内端方向係合部214a及び外端方向係合部214bを備えた内周側係合手段214とが設けられている点でも、先の実施形態と同様である。
【0041】
本実施形態では、外周側防水パッキン211と内周側防水パッキン212とが軸線方向の異なる位置に配置されている点では先の実施形態と同様であるが、外周側防水パッキン211の軸線方向の配置領域と、外周側係合手段213の軸線方向の形成範囲と、内周側係合手段214の軸線方向の形成範囲とが相互に重なるように構成されている点で、先の実施形態とは異なる。なお、内周側防水パッキン212は、上記の外周側防水パッキン211、外周側係合手段213及び内周側係合手段214のいずれに対しても軸線方向に離れた位置に設定されている。
【0042】
より具体的に述べると、外周側防水パッキン211は、外周側係合手段213の内端方向係合部213aの軸線方向の位置と、外端方向係合部213bの軸線方向の位置との間に収容配置されている。また、外周側防水パッキン211は、内周側係合手段214の内端方向係合部214aの軸線方向の位置と重なる位置に収容配置されている。さらに、外周側防水パッキン211の軸線方向の位置は、外周側係合手段213の外端方向係合部213b及び内周側係合手段214の外端方向係合部214bの軸線方向の位置に近接している。
【0043】
本実施形態では、外周側防水パッキン211、外周側係合手段213及び内周側係合手段214が軸線方向に重なる位置にあるか、或いは、相互にきわめて近接した位置にあるため、相互の応力及び変形に関する影響をなくすことはできない。しかし、これらが設けられている領域(外端側の領域)において、絶縁部材203と電極端子204とは半径方向に締め代Sを有するように構成されている。すなわち、この領域において、外力を受けていないときの絶縁部材203の内径は、外力を受けていないときの電極端子204の外径より半径方向に締め代Sだけ小さく構成されている。
【0044】
この締め代Sを設けることで、絶縁部材203と電極端子204とが相互に半径方向に密接するとともに、絶縁部材203が径方向外側に変形することによりパイプ状部材202と絶縁部材203とが相互に半径方向に密接する。したがって、外周側防水パッキン211による防水性を充分に維持確保することができるとともに、外周側係合手段213及び内周側係合手段214による軸線方向の位置決め保持機能も充分に確保できる。
【0045】
尚、本発明の防水型電子機器は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、ダイバーズウォッチなどの携帯型電子機器を例示して説明を行っているが、本発明の防水型電子機器は、水中カメラ、水中コンピュータ、潜水艇、水中用ヒータ、水中用温度センサなど、防水構造を必要とするものであれば、携帯型電子機器に限らず、如何なる電子機器であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る実施形態の防水型電子機器100の部分断面図。
【図2】同実施形態の組立時の様子を示す説明断面図。
【図3】同実施形態の組立時の様子を示す説明断面図。
【図4】異なる実施形態の防水型電子機器200の部分断面図。
【図5】従来の防水型電子機器の部分断面図。
【符号の説明】
【0047】
100…防水型電子機器、101…筐体、102…パイプ状部材、103…絶縁部材、104…電極端子、105…モジュール、106…回路基板、107…道通部材、111…外周側防水パッキン、112…内周側防水パッキン、113…外周側係合手段、113a…内端方向係合部、113b…外端方向係合部、114…内周側係合手段、114a…内端方向係合部、114b…外端方向係合部、S…締め代
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成16年2月4日(2004.2.4)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100107076
【弁理士】
【氏名又は名称】藤綱 英吉

【識別番号】100107261
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 修

【公開番号】 特開2005−223072(P2005−223072A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−28193(P2004−28193)