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【発明の名称】 配線基板の製造方法及び電子デバイスの製造方法
【発明者】 【氏名】木村 里至
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】降旗 栄道
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】丸茂 実
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】必要な部分のみに金属層を析出させるとともに、簡単な製造プロセスで配線を形成することにある。

【解決手段】配線基板の製造方法は、(a)基板10の第1及び第2の領域12,14に界面活性剤18を設けること、(b)基板10の第2の領域14に真空紫外放射22を照射することによって、基板10における第2の領域14の原子間結合を分解すること、(c)基板10を洗浄することによって、界面活性剤18における第2の領域14に設けられた部分を除去すること、(d)界面活性剤18における第1の領域12に残された部分に、触媒30を設けること、(e)触媒30に金属層34を析出させることによって、金属層34からなる配線を第1の領域12に沿って形成すること、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板の第1及び第2の領域に界面活性剤を設けること、
(b)前記基板の前記第2の領域に真空紫外放射を照射することによって、前記基板における前記第2の領域の原子間結合を分解すること、
(c)前記基板を洗浄することによって、前記界面活性剤における前記第2の領域に設けられた部分を除去すること、
(d)前記界面活性剤における前記第1の領域に残された部分に、触媒を設けること、
(e)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第1の領域に沿って形成すること、
を含む配線基板の製造方法。
【請求項2】
(a)基板の第1及び第2の領域に界面活性剤を設けること、
(b)前記基板の前記第2の領域に真空紫外放射を照射することによって、前記基板における前記第2の領域の原子間結合を分解すること、
(c)前記基板を洗浄することによって、前記界面活性剤における前記第2の領域に設けられた部分を除去すること、
(d)前記基板の前記第2の領域に触媒を設けること、
(e)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第2の領域に沿って形成すること、
を含む配線基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法において、
前記基板は、C−C、C=C、C−F、C−H、C−Cl、C−N、C−O、N−H、O−H結合の少なくともいずれか1つを有する配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記基板は、少なくともC=C結合を有し、
前記真空紫外放射は、少なくともC=C結合を分解できる性質を有する配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記真空紫外放射の光源は、Xeガスが封入されたエキシマランプである配線基板の製造方法。
【請求項6】
(a)第1及び第2の領域を有する基板の前記第1の領域に、液滴吐出方式を適用することによって界面活性剤を設けること、
(b)前記界面活性剤に触媒を設けること、
(c)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第1の領域に沿って形成すること、
を含む配線基板の製造方法。
【請求項7】
(a)第1及び第2の領域を有する基板の前記第1の領域に、液滴吐出方式を適用することによって界面活性剤を設けること、
(b)前記基板の前記第2の領域に触媒を設けること、
(c)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第2の領域に沿って形成すること、
を含む配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の配線基板の製造方法において、
前記液滴吐出方式はインクジェット方式である配線基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記基板の前記第1及び第2の領域の表面電位は、負電位である配線基板の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記(a)工程前に、前記基板をアルカリ洗浄することをさらに含む配線基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記(a)工程で、前記界面活性剤として、カチオン系界面活性剤を使用する配線基板の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求11のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記触媒を設ける工程で、前記基板を塩化錫を含む溶液に浸漬し、次いで塩化パラジウムを含む触媒液に浸漬することによって、前記触媒としてのパラジウムを析出させる配線基板の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記触媒を設ける工程で、前記基板を錫−パラジウムを含む触媒液に浸漬し、前記基板から錫を除去することによって、前記触媒としてのパラジウムを析出させる配線基板の製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の配線基板の製造方法を含み、
集積回路を有する半導体チップを前記配線基板に実装すること、及び、前記配線基板を回路基板に電気的に接続することをさらに含む電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板に配線を形成する方法として、サブトラクティブ法やアディティブ法が知られている。サブトラクティブ法では、フレキシブル基板の全面に金属層を形成し、金属層上にフォトレジストをパターニングして形成し、フォトレジストをバリヤとして金属層をエッチングする。アディティブ法では、フレキシブル基板上にフォトレジストをパターニングして形成し、フォトレジストからの開口部にめっき処理によって金属層を析出させる。
【0003】
これらの方法によれば、フォトレジストを最終的に除去する点、さらにサブトラクティブ法では金属層の一部を除去する点において、資源及び材料の消費が課題となっていた。また、フォトレジストの形成及び除去工程が必要となるので、製造工程数が多いことが課題となっていた。さらに、配線の寸法精度がフォトレジストの解像度に依存するため、より高精度の配線を形成するには限界があった。
【0004】
本発明の目的は、必要な部分のみに金属層を析出させるとともに、簡単な製造プロセスで配線を形成することにある。
【特許文献1】特開平10−65315号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る配線基板の製造方法は、
(a)基板の第1及び第2の領域に界面活性剤を設けること、
(b)前記基板の前記第2の領域に真空紫外放射を照射することによって、前記基板における前記第2の領域の原子間結合を分解すること、
(c)前記基板を洗浄することによって、前記界面活性剤における前記第2の領域に設けられた部分を除去すること、
(d)前記界面活性剤における前記第1の領域に残された部分に、触媒を設けること、
(e)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第1の領域に沿って形成すること、
を含む。本発明によれば、界面活性剤を真空紫外放射の照射によってパターニングし、触媒を界面活性剤上に設ける。これによって、所定のパターン形状に沿って必要な部分のみに、金属層を析出させることができる。そのため、例えばレジスト層などでマスクを形成する必要もなく、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
(2)本発明に係る配線基板の製造方法は、
(a)基板の第1及び第2の領域に界面活性剤を設けること、
(b)前記基板の前記第2の領域に真空紫外放射を照射することによって、前記基板における前記第2の領域の原子間結合を分解すること、
(c)前記基板を洗浄することによって、前記界面活性剤における前記第2の領域に設けられた部分を除去すること、
(d)前記基板の前記第2の領域に触媒を設けること、
(e)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第2の領域に沿って形成すること、
を含む。本発明によれば、界面活性剤を真空紫外放射の照射によってパターニングし、触媒を界面活性剤上に設ける。これによって、所定のパターン形状に沿って必要な部分のみに、金属層を析出させることができる。そのため、例えばレジスト層などでマスクを形成する必要もなく、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
(3)この配線基板の製造方法において、
前記基板は、C−C、C=C、C−F、C−H、C−Cl、C−N、C−O、N−H、O−H結合の少なくともいずれか1つを有してもよい。
(4)この配線基板の製造方法において、
前記基板は、少なくともC=C結合を有し、
前記真空紫外放射は、少なくともC=C結合を分解できる性質を有してもよい。
(5)この配線基板の製造方法において、
前記真空紫外放射の光源は、Xeガスが封入されたエキシマランプであってもよい。
(6)本発明に係る配線基板の製造方法は、
(a)第1及び第2の領域を有する基板の前記第1の領域に、液滴吐出方式を適用することによって界面活性剤を設けること、
(b)前記界面活性剤に触媒を設けること、
(c)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第1の領域に沿って形成すること、
を含む。本実施の形態によれば、界面活性剤を液滴吐出方式を適用してパターニングし、触媒を界面活性剤上に設ける。これによって、所定のパターン形状に沿って必要な部分のみに、金属層を析出させることができる。そのため、例えばレジスト層などでマスクを形成する必要もなく、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
(7)本発明に係る配線基板の製造方法は、
(a)第1及び第2の領域を有する基板の前記第1の領域に、液滴吐出方式を適用することによって界面活性剤を設けること、
(b)前記基板の前記第2の領域に触媒を設けること、
(c)前記触媒に金属層を析出させることによって、前記金属層からなる配線を前記第2の領域に沿って形成すること、
を含む。本実施の形態によれば、界面活性剤を液滴吐出方式を適用してパターニングし、触媒を界面活性剤を避けて設ける。これによって、所定のパターン形状に沿って必要な部分のみに、金属層を析出させることができる。そのため、例えばレジスト層などでマスクを形成する必要もなく、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
(8)この配線基板の製造方法において、
前記液滴吐出方式はインクジェット方式であってもよい。これによれば、インクジェットプリンタ用に実用化された技術を応用することによって、高速かつインクを無駄なく経済的に設けることができる。
(9)この配線基板の製造方法において、
前記基板の前記第1及び第2の領域の表面電位は、負電位であってもよい。
(10)この配線基板の製造方法において、
前記(a)工程前に、前記基板をアルカリ洗浄することをさらに含んでもよい。これによれば、基板をアルカリ洗浄することによって基板面上の電位ムラを均一にすることができるので、簡単な製造プロセスで表面電位を安定化することができる。
(11)この配線基板の製造方法において、
前記(a)工程で、前記界面活性剤として、カチオン系界面活性剤を使用してもよい。
(12)この配線基板の製造方法において、
前記触媒を設ける工程で、前記基板を塩化錫を含む溶液に浸漬し、次いで塩化パラジウムを含む触媒液に浸漬することによって、前記触媒としてのパラジウムを析出させてもよい。
(13)この配線基板の製造方法において、
前記触媒を設ける工程で、前記基板を錫−パラジウムを含む触媒液に浸漬し、前記基板から錫を除去することによって、前記触媒としてのパラジウムを析出させてもよい。
(14)本発明に係る電子デバイスの製造方法は、
上記配線基板の製造方法を含み、
集積回路を有する半導体チップを前記配線基板に実装すること、及び、前記配線基板を回路基板に電気的に接続することをさらに含む。本発明によれば、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0007】
(第1の実施の形態)
図1(A)〜図11(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法を示す図である。本実施の形態では、無電解めっきを適用して配線基板を製造する。
【0008】
(第1例)
図1(A)〜図4(B)は、本実施の形態の第1例を示す図である。図1(A)〜図2(B)は無電解めっきの各工程を説明する図であり、図3(A)〜図4(B)は無電解めっきの各工程における基板を模式的に示す図である。
【0009】
基板(シート)10はフレキシブル基板であってもよい。フレキシブル基板として、FPC(Flexible Printed Circuit)と呼ばれるものや、COF(Chip On Film)用基板又はTAB(Tape Automated Bonding)用基板を使用してもよい。基板10は、有機系材料(例えば樹脂)で形成されている。基板10として、ポリイミド基板又はポリエステル基板を使用してもよい。基板10は有機質の原子間結合を含む。基板10は、C−C、C=C、C−F、C−H、C−Cl、C−N、C−O、N−H、O−H結合の少なくともいずれか1つを有していてもよい。基板10は、少なくともC=C結合を有していてもよい。本実施の形態では、基板10の一方の面に配線を形成する。あるいは、基板10の両方の面に配線を形成してもよい。基板10は、第1及び第2の領域12,14を有する(図1(C)及び図3(D)参照)。第1及び第2の領域12,14は、基板10における配線形成面の領域である。
【0010】
図3(A)に示すように、基板10として、その表面電位(液中表面電位)が負電位であるものを使用してもよい。有機系材料の場合、基板10の表面電位は負電位であることが多い。
【0011】
図1(A)及び図3(B)に示すように、基板10をアルカリ洗浄してもよい。こうすることによって、基板10の第1及び第2の領域12,14の表面電位のムラを負電位に均一化することができる。具体的には、基板10をアルカリ溶液(例えば水酸化ナトリウム1wt%〜10wt%濃度)16に室温下において10分〜60分程度浸漬し、その後水洗してもよい。アルカリ洗浄によって基板10の表層部が加水分解されている場合、表層部は加水分解層となるが、この表層部も負電位であり洗浄前より電位は均一化する。
【0012】
なお、上述のアルカリ洗浄によって、基板10のクリーニング及び表面粗化処理を同時に行うことができる。これによれば、金属層(配線)の密着性の向上を図ることができる。
【0013】
図1(B)及び図3(C)に示すように、基板10の第1及び第2の領域12,14に界面活性剤18を設ける。基板10の一方の面の全部に界面活性剤18を設けてもよい。本例では、界面活性剤18は陽イオン化する性質を有する。界面活性剤18として、カチオン系界面活性剤(カチオン界面活性剤及びそれと同等の性質を有するもの)を使用してもよい。本例では、基板10の第1及び第2の領域12,14の表面電位は負電位であるので、カチオン系界面活性剤を使用すると、基板10の負電位を中和又は正電位に反転させることができる。なお、界面活性剤を使用することによって、基板10の性質に依存することなく自由に表面電位の調整を行うことができ、また、表面電位を均一にして安定した電位面を形成することができる。
【0014】
図1(B)に示す例では、基板10を界面活性剤溶液20に浸漬させる。具体的には、基板10を、アルキルアンモニウムクロライド系のカチオン界面活性剤溶液に室温下で1分〜10分ほど浸漬させた後、純水で水洗する。その後、基板10を室温雰囲気下において充分に乾燥させる。
【0015】
図1(C)及び図3(D)に示すように、第1及び第2の領域12,14に設けられた界面活性剤18のうち、第2の領域14に設けられた部分を除去する。すなわち、界面活性剤18を第1の領域12に沿って残すようにパターニングする。
【0016】
本例では、基板10の第2の領域14に真空紫外放射(VUV;vacuum ultraviolet radiation)22を照射する。詳しくは、光源24と基板10の間にマスク26を配置し、マスク26を介して真空紫外放射22を基板10に照射する。真空紫外放射22は、マスク26のパターン28によって遮蔽され、それ以外の領域を透過する。真空紫外放射22が照射されると、基板10の第2の領域14の原子間結合が(化学的に)分解される。本例では、基板10の第2の領域14は機械的に掘削されるわけではない。これによれば、真空紫外放射22は基板10の原子間結合を分解する作用が主であり、基板10を掘削する場合に比べてエネルギーを低パワー化できる。これによって、例えば、基板10に対して熱ひずみが発生するのを防止することができる。また、基板10の一部が飛散して他の部分に付着するのを防止することができる。
【0017】
ここで、本例において、第1の領域12は金属層(配線)が形成される領域であり、所定のパターン形状をなしている。第2の領域14は、基板10の面における第1の領域12の反転形状をなす。
【0018】
真空紫外放射22の波長は100nm〜200nm(例えば100nm〜180nm)であってもよい。真空紫外放射22は、有機質の原子間結合を分解可能な性質(例えば波長)を有する。真空紫外放射22は、基板10の少なくともC=C結合を分解可能な性質(例えば波長)を有していてもよい。基板10の原子間結合(C−C、C=C、C−F、C−H、C−Cl、C−N、C−O、N−H、O−H結合のいずれか少なくとも1つ)の全部を分解可能な性質(例えば波長)を有していてもよい。光源24として、Xeガスが封入されたエキシマランプを使用してもよい(波長172nm)。ランプを使用すれば、レーザ生成のための集光レンズ及びレーザによるスキャン時間が不要となるので、製造プロセスの簡略化を図ることができる。
【0019】
具体的には、図1(C)に示すように、基板10の配線形成面上にマスク26を配置する。マスク26は、フォトマスクであってもよいし、メタルマスクであってもよい。例えば、マスク26として、真空紫外放射用高純度石英ガラス(真空紫外放射の透過率80%以上)に、クロムによるパターンが形成されたものを使用する。図1(C)ではマスク26は基板10の上方に間隔をあけて配置されているが、実際にはマスク26は基板10に接触させて配置する。光源24、マスク26及び基板10は、窒素雰囲気中に配置する。窒素雰囲気中であれば、真空紫外放射22は減衰することなく、10mm程度の距離まで照射される。基板10自体が持つ弾性力及び反りによって、基板10とマスク26が均一に接触しない場合には、マスク26の外周をホルダによって押さえ、かつ、基板10の裏面をマスク26と同じサイズ分の面積でマスク26側に押し付けてもよい。光源24は、可能な限り基板10に接近させる(例えば10mm以下)。光源24としては、例えば、エキシマVUV/03洗浄装置(メーカー名;ウシオ電機株式会社、型番;UER20−172A/B、ランプ仕様;Xeガスを封入した誘電体バリア放電エキシマランプ)を使用する。基板10の材料がポリイミドからなる場合、出力を10mW程度として10分間程度の照射を行う。本例では、基板10の一方の面に真空紫外放射22を照射するが、基板10の両面に配線を形成する場合には基板10の各面に順次又は同時に真空紫外放射22を照射すればよい。
【0020】
真空紫外放射22の照射後、基板10に対して洗浄(例えば湿式洗浄)を行う。こうして、基板10の原子間結合の分解部分を除去する。すなわち、洗浄によって、第2の領域14上の界面活性剤18を除去する。洗浄の方式としては、基板10を洗浄液に浸漬させてもよいし、基板10にシャワーを噴射してもよい。洗浄液として、アルカリ溶液(強アルカリ溶液又は弱アルカリ溶液)や純水を使用してもよい。シャワー方式としては、純水シャワー洗浄や高圧ジェット純水洗浄を適用してもよい。洗浄時に超音波振動を加えてもよい。洗浄を行うことによって、第1の領域12には界面活性剤18が残り、第2の領域14には界面活性剤18が除去されて基板10の表面が露出する。
【0021】
図2(A)及び図4(A)に示すように、界面活性剤18における第1の領域12に残された部分に、触媒(めっき触媒)30を設ける。触媒30は、無電解めっき液において金属層(めっき層)の析出を誘発するものであり、例えばパラジウムであってもよい。触媒30には、接着用の樹脂が含まれていなくてもよい。本例では、触媒30は、第2の領域14には設けられない。
【0022】
図2(A)に示す例では、基板10を、錫−パラジウムを含む触媒液32に浸漬させる。具体的には、基板10をPH1付近の錫−パラジウムコロイド触媒液で室温30秒〜3分浸漬させ、充分に水洗する。錫−パラジウムコロイド粒子は、負の電荷を持ち、界面活性剤18(カチオン系界面活性剤)に吸着される。その後、触媒活性化のために、基板10をホウフッ化酸を含む溶液に室温で30秒〜3分浸漬した後、水洗する。こうすることで、錫コロイド粒子を除去して、パラジウムのみを界面活性剤18(カチオン系界面活性剤)に析出させることができる。
【0023】
図2(B)及び図4(B)に示すように、触媒30に金属層34を析出させる。触媒30は界面活性剤18上に設けられ、界面活性剤18は第1の領域12に沿って露出するので、金属層34を第1の領域12に沿ったパターン形状に形成することができる。金属層34は1層から形成してもよいし、複数層から形成してもよい。金属層34の材料は限定されないが、例えば、Ni、Au、Ni+Au、Cu、Ni+Cu、Ni+Au+Cuのいずれかであってもよい。析出させる金属層34の材料に応じて触媒を選択すればよい。
【0024】
図2(B)に示す例では、硫酸ニッケル六水和物が主体のめっき液36(温度80℃)に基板10を1分〜3分程度浸漬し、0.1〜0.2μm程度の厚みのニッケル層を形成する。あるいは、塩化ニッケル六水和物が主体のめっき液(温度60℃)に基板10を3分〜10分程度浸漬し、0.1〜0.2μm程度の厚みのニッケル層を形成してもよい。本例によれば、触媒30が第1の領域12に沿って設けられているので、レジスト層などでマスクを形成しなくても、金属層34を基板10の第1の領域12に沿って選択的に形成することができる。
【0025】
本例によれば、界面活性剤18を真空紫外放射22の照射によってパターニングし、触媒30を界面活性剤18上に設ける。これによって、所定のパターン形状に沿って必要な部分のみに、金属層34を析出させることができる。そのため、例えばレジスト層などでマスクを形成する必要もなく、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
【0026】
(第2例)
図5(A)及び図5(B)は、本実施の形態の第2例を示す図である。本例では、図3(A)〜図3(D)に示すように界面活性剤18を第1の領域12に設けた後、触媒38を基板10の第2の領域14に設ける。すなわち、基板10の表面のうち、界面活性剤18から露出する第2の領域14に、触媒38を設ける。本例では、第2の領域14は金属層(配線)が形成される領域であり、所定のパターン形状をなしている。
【0027】
例えば、基板10を、正の電荷を持つ塩化錫を含む溶液に浸漬し、次いで塩化パラジウムを含む触媒液に浸漬させることにより、基板10の第2の領域14(負電位部分)にパラジウムを析出させることができる。なお、基板10をこの触媒液に1分〜5分浸漬した後、純水で水洗してもよい。
【0028】
その後、図5(B)に示すように、触媒38に金属層40を析出させる。触媒38は第2の領域14上に設けられているので、金属層40を第2の領域14に沿ったパターン形状に形成することができる。
【0029】
なお、本例のその他の詳細は、上述の例で説明した内容を適用することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図6(A)〜図10(B)は、本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法を示す図である。本実施の形態では、液滴吐出方式を適用することによって、界面活性剤をパターニングする。
【0031】
(第1例)
図6(A)〜図7(B)は無電解めっきの各工程を説明する図であり、図8(A)〜図9(B)は無電解めっきの各工程における基板を模式的に示す図である。
【0032】
図8(A)に示すように、基板10として、その表面電位が負電位であるものを用意する。図6(A)に示すように、基板10をアルカリ溶液(例えば無機アルカリ溶液)62に浸漬することによってアルカリ洗浄を行ってもよい。こうすることで、図8(B)に示すように、基板10の第1及び第2の領域12,14の表面電位のムラを負電位に均一化することができる。アルカリ洗浄の工程の詳細は、第1の実施の形態の第1例において説明した通りである。
【0033】
図6(B)及び図8(C)に示すように、液滴吐出方式を適用することによって、基板10の第1の領域12に界面活性剤64を設ける。すなわち、液滴(界面活性剤64)を、液滴吐出部66から基板10の表面に直接的に所定のパターン形状になるように吐出させる。これによれば、界面活性剤64を選択的に設けることができ、レジスト層などでマスクを形成する必要もないので、製造プロセスが簡単である。液滴は、少なくとも一部に界面活性剤64を含み、例えば界面活性剤64をコアとし、その表面が樹脂(接着材料)などでコーティングされていてもよい。あるいは、液滴は、界面活性剤64のみから構成されていてもよい。液滴吐出方式は、インクジェット方式であってもよいし、ディスペンサ塗布方式であってもよく、液滴を吐出する形態であれば限定されない。インクジェット方式によれば、インクジェットプリンタ用に実用化された技術を応用することによって、高速かつインク(界面活性剤64)を無駄なく経済的に設けることができる。インクジェットヘッドとしては、圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ、あるいは、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプなどを使用することができる。
【0034】
本例では、界面活性剤64は陽イオン化する性質を有する。界面活性剤64として、カチオン系界面活性剤を使用してもよい。本例では、基板10の第1及び第2の領域12,14の表面電位は負電位であるので、カチオン系界面活性剤を使用すると、基板10の表面電位は、第1の領域12が中和状態又は正電位となり、第2の領域14が負電位となる。
【0035】
図7(A)及び図9(A)に示すように、触媒68を基板10の第2の領域14に設ける。すなわち、基板10のうち、界面活性剤64から露出する第2の領域14に、触媒68を設ける。触媒68は第1の領域12には設けられない。本例では、第2の領域14は金属層(配線)が形成される領域であり、所定のパターン形状をなしている。触媒を得るために、基板10を塩化錫を含む溶液に浸漬し、次いで塩化パラジウムを含む触媒液70に浸漬させてもよい。具体的には、第1の実施の形態の第2例において説明した通りである。
【0036】
その後、図7(B)及び図9(B)に示すように、触媒68に金属層72を析出させる。触媒68は第2の領域14上に設けられているので、金属層72を第2の領域14に沿ったパターン形状に形成することができる。なお、図7(B)に示すように、金属層の析出は、基板10を所定の無電解めっき液74に浸漬させることによって行ってもよく、具体的には第1の実施の形態の第1例において説明した通りである。
【0037】
本例によれば、界面活性剤64を液滴吐出方式を適用してパターニングし、触媒68を界面活性剤64を避けて設ける。これによって、所定のパターン形状に沿って必要な部分のみに、金属層72を析出させることができる。そのため、例えばレジスト層などでマスクを形成する必要もなく、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
【0038】
なお、本例のその他の詳細は、上述の実施の形態で説明した内容を適用することができる。
【0039】
(第2例)
図10(A)及び10(B)は、本実施の形態の第2例を示す図である。本例では、図8(A)〜図8(C)に示すように界面活性剤64を液滴吐出方式によって吐出させた後、界面活性剤64に触媒76を設ける。界面活性剤64は第1の領域12に設けられているので、触媒68も第1の領域12に設けられる。触媒68は第2の領域14には設けられない。本例では、第1の領域12は金属層(配線)が形成される領域であり、所定のパターン形状をなしている。本例では、基板10の表面電位は、第1の領域12が(カチオン系)界面活性剤64によって中和状態又は正電位となり、第2の領域14が基板10の表面の露出によって負電位となる。触媒を得るために、基板10を錫−パラジウムを含む触媒液に浸漬させてもよい。具体的には、第1の実施の形態の第1例において説明した通りである。
【0040】
その後、図10(B)に示すように、触媒76に金属層78を析出させる。触媒76は第1の領域12上に設けられているので、金属層78を第1の領域12に沿ったパターン形状に形成することができる。
【0041】
なお、本例のその他の詳細は、上述の例で説明した内容を適用することができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図11は、本発明の第3の実施の形態に係る電子デバイスの製造方法を説明するための図であり、詳しくは、配線基板を有する電子デバイスの一例が示されている。
【0043】
配線基板1には、所定のパターン形状をなす金属層(図11では省略)が形成されている。集積回路を有する半導体チップ80を配線基板1に(例えばフェースダウン)実装してもよい。半導体チップ80(集積回路)は、金属層に電気的に接続されている。こうして、半導体チップ80と、配線基板1と、を含む半導体装置3を製造してもよい。その後、配線基板1(又は半導体装置3)を回路基板82に電気的に接続する。こうして、電子デバイスを製造することができる。なお、配線基板1は図11の矢印に示すように屈曲させてもよい。
【0044】
回路基板82が電気光学パネルである場合、電子デバイスは電気光学装置である。電気光学装置は、液晶装置、プラズマディスプレイ装置、エレクトロルミネセンスディスプレイ装置などであってもよい。本実施の形態によれば、簡単かつ短時間の製造プロセスで、材料の無駄を少なくし、低コストかつ高精度に配線を形成することができる。
【0045】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1(A)〜図1(C)は、本発明の第1の実施の形態の第1例を示す図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、本発明の第1の実施の形態の第1例を示す図である。
【図3】図3(A)〜図3(D)は、本発明の第1の実施の形態の第1例を示す図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、本発明の第1の実施の形態の第1例を示す図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明の第1の実施の形態の第2例を示す図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、本発明の第2の実施の形態の第1例を示す図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、本発明の第2の実施の形態の第1例を示す図である。
【図8】図8(A)〜図8(C)は、本発明の第2の実施の形態の第1例を示す図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は、本発明の第2の実施の形態の第1例を示す図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、本発明の第2の実施の形態の第2例を示す図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1…配線基板 3…半導体装置 10…基板 11…表層部 12…第1の領域
14…第2の領域 16…アルカリ溶液 18…界面活性剤 20…界面活性剤溶液
22…真空紫外放射 24…光源 26…マスク 28…パターン 30…触媒
32…触媒液 34…金属層 38…触媒 40…金属層 64…界面活性剤
66…液滴吐出部 68…触媒 70…触媒液 72…金属層 76…触媒
78…金属層 80…半導体チップ 82…回路基板
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成16年2月4日(2004.2.4)
【代理人】 【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一

【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫

【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄

【公開番号】 特開2005−223063(P2005−223063A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−28117(P2004−28117)