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【発明の名称】 高周波モジュール
【発明者】 【氏名】中村 守雄
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】キャップ装着による特性変動を抑えると同時に、基板からの放射を低減し、安定した特性の高周波モジュールを実現する。

【解決手段】モジュールの回路基板7における最上層および最下層にグランドパターン3を形成し、回路基板7における内層に高周波の伝送線路となる回路パターン6を形成する。この構成によって、回路基板7の表面からの電磁波の放射を大幅に低減することができ、キャップ取り付けによる特性変動を抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層以上の導体層により構成された多層基板を有し、前記多層基板の最上層および最下層の導体層に接地されたグランド層を形成し、高周波の伝送線路を前記多層基板の内層の導体層に形成したことを特徴とする高周波モジュール。
【請求項2】
前記多層基板の最上層の導体層にグランド層とは分離された部品実装用のパターンを形成し、前記多層基板の表面にチップ部品または半導体素子を実装し、前記多層基板の内層に形成された伝送線路により回路を構成したことを特徴とする請求項1記載の高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波回路基板と、半導体素子,チップ部品とから構成される高周波モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器の小型化、量産性向上のため、機能ごとに複数の部品を集約したモジュール化実装が進められている。
【0003】
送信アンプとして使用される高周波電力増幅モジュールは、電力増幅用の半導体素子、抵抗あるいは容量等のチップ部品、および高周波回路基板とから構成される。
【0004】
従来の高周波電力増幅モジュールの構成方法として、特許文献1に示されているモジュールの外観斜視図を図6に示す。
【0005】
図6において、1はチップ部品、2は半導体素子、3はグランドパターン、6は回路パターン、7は回路基板、8はリード端子、9は放熱板、10はキャップである。
【0006】
図6に示すモジュールでは、高周波増幅回路が形成された回路基板7が放熱板9に実装され、さらにモジュール外部への不要輻射を防ぐため、金属のキャップ10でシールドされた構成となっている。
【0007】
図7は図6の高周波回路基板の断面図であり、回路基板7の表面には、回路パターン6が形成され、半導体素子2と抵抗や容量等のチップ部品1が実装されている。回路基板7の裏面にはグランドパターン3が形成され、表面の回路パターンはマイクロストリップ線路として設計される。
【0008】
マイクロストリップ線路は、同軸ケーブルなどと同じ伝送線路の一種であり、誘電体層の片面(下側)に接地導体(グランド層)を有し、他方の面(上側)に導体の回路パターンが形成されている。マイクロストリップ線路の特性インピーダンスは、誘電体の材質や厚み、回路パターンの形状等から決まる。マイクロストリップ線路での電磁界は、回路パターンとグランド層との間の基板中だけでなく、基板面内や基板上面にも分布する。そのため回路パターンの近傍に導体が存在すると、電磁界が影響を受けることになり、特性インピーダンスも変動してしまう。
【0009】
モジュール周辺との影響を低減するため(シールド性を向上するため)、基板上部を金属キャップで被う構成が一般的であるが、キャップの装着により、所望の特性が得られないという問題が生じる場合があった。
【0010】
キャップ10の構造としては、薄い金属板を折り曲げ形成し、キャップ側面は内側に屈曲して突起部が設けられることが多い。一方、放熱板9の側面には、キャップ10に合わせて窪んだ取り付け部が設けられ、弾力的にキャップ10と嵌合するようになっている。放熱板9を設けない場合は、回路基板7に設けられた取り付け部とキャップ10が嵌合する。
【0011】
しかし、このキャップ10との接触が不十分であると、逆に特性が不安定になることがある。したがって、キャップ10や放熱板9の加工に精度が要求され、また、キャップ10を半田付けする工程が必要となるため、コストが上がるという問題があった。
【0012】
また、キャップ10は部分的にしか接地されていないため、モジュールの形状が大きい場合、キャップ面内での電位分布が無視できなくなり、充分なシールド効果が得られないため、特性を満足しないだけでなく、発振などの異常動作を引き起こすこともあった。
【0013】
さらに、キャップ10の装着により、マイクロストリップ線路の近傍に導体が存在することとなり、特性インピーダンスが影響を受けて、特性変動が生じてしまう。
【0014】
このようなキャップ10の装着による特性変動を抑える方法として、特許文献2に示されているものがある。構成方法は、マイクロストリップ線路の片側、または両側にマイクロストリップ線路に沿って延在する接地導体が設け、この接地導体によりマイクロストリップ線路の特性インピーダンスが固定され、キャップ装着による外部導体の影響を受け難くしている。図6では回路パターン3の傍に形成されたグランドパターン3が相当する。
【特許文献1】特開平11−220079号公報
【特許文献2】特開平11−177309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、マイクロストリップ線路の近傍に導体を接地した場合、設計値からの特性インピーダンスの変動が問題になる。キャップ装着による特性変動は抑えられるが、設計値からの変動が生じるため回路調整を困難にし、歩留まりを低下させることとなる。
【0016】
また、基板外形や部品実装からの制約もあり、マイクロストリップ線路に沿って、均一に接地導体を配置することも困難であり、不整合が生じ易い。さらに、根本的に高周波信号の伝送線路となる回路パターンは基板表面にあるため、基板表面から空中への電磁波の放射が無視できず、場合によっては放射波がキャップ内で共振し、特性に影響することもある。
【0017】
特に1〜2GHz以上の高周波帯では、線路途中でのパターンの折り曲げやパターン幅の変化により、特性インピーダンスが変化して不整合が生じたり、波長に対してパターンサイズが無視できなくなり、基板表面から電磁波の放射が生じ易くなる。
【0018】
以上のように従来のモジュールでは、キャップ装着によるシールドが不可欠であるが、キャップを装着することによって特性変動が問題になり、キャップ装着による特性変動を抑えれば、設計値とのズレが問題になる。また、基本的に従来のモジュールの構成では、基板表面からの放射を無視できないため、不安定要素は残ったままであった。
【0019】
本発明は、前記従来の技術に鑑み、キャップ装着による特性変動を抑えると同時に、基板からの放射を低減し、安定した特性の高周波モジュールを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の目的を達成するため、本発明に係る高周波モジュールは、高周波回路基板において、高周波信号の伝送線路となる回路パターンを基板の内層に形成し、基板表面はグランドパターンにより被った構成とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る高周波モジュールによれば、高周波信号を上下のグランド層に挟まれた基板内に閉じこめることになり、キャップ装着による特性変動を抑えると共に、基板からの放射も大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施形態1)
本実施形態では説明を簡略化するため1段構成の増幅器を例として説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態1である高周波モジュールの回路基板を示す図であって、回路基板は3層で形成され、図1(a)は回路基板の上層パターン、図1(b)は回路基板の内層パターン、図1(c)は回路基板の下層パターンをそれぞれ示している。図2は回路基板の断面を簡略化して示す断面図、図3はキャップを除いた実施形態1の高周波モジュールの斜視図である。
【0025】
なお、これらの図面では、接地や線路を接続するためのスルーホールは省略し、また図6,図7にて説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略するが、図中の4は実装パターン、5は端子用パターンを示す。
【0026】
回路基板7において、図1に示すように、高周波信号の伝送線路となる回路パターン6が図1(b)の内層に形成され、図1(a),図1(c)に示すように上層と下層とが共に、その大部分がグランドパターン3で被われており、一部にグランドパターン3とは切り離されたパターンがあるが、これは信号の入出力や電源供給用の端子の端子用パターン5である。
【0027】
また、回路基板7の表面にはチップ部品1および半導体素子2が実装されているが、基板表面には、これらの部品搭載用の実装パターン4が形成され、スルーホールにより内層の回路パターン6と接続されている。
【0028】
図中では省略しているが、グランドパターン3内には波長が無視できる短い間隔でスルーホールを配置し、下層のグランドパターン3に接地されていることが望ましい。さらに、素子近辺には、放熱性を高めるためサーマルビアが配置され、下層のグランドパターン3に接地されていることが望ましい。
【0029】
実施形態1によれば、高周波信号が伝送される回路パターンは上下をグランドパターン3に挟まれた回路基板7の内層に形成されているため、キャップの装着による特性変動は生じない。また、伝送される高周波信号は大部分が基板内部に閉じ込められているため、基板からの放射も大幅に低減することができる。したがって、キャップをなくすことも可能となる。
【0030】
また、モジュールを実装した場合、機器側でシールド板を取付けることもあるが、この場合もシールド板の影響を受けず、安定した特性を保つことができる。
【0031】
さらに、実施形態1によると、半導体素子を基板表面に実装しているが、基板表面の大部分がグランドの金属で被われているため、放熱板9を介しての熱放散だけでなく、基板表面からの放熱も有効であり、放熱性を改善することもできる。
【0032】
なお、実施形態1では、半導体素子はベアチップとして図示したが、パッケージに実装された状態でも同様の構成で同じく効果が得られる。
【0033】
(実施形態2)
図4は本発明の実施形態2である高周波モジュールの基板の断面図、図5は実施形態2のモジュール外観を示す斜視図である。なお、既述した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0034】
実施形態2では、表面実装タイプのモジュールに適用した場合を示す。基本構成は実施形態1と同じであるが、リード端子装着用の端子パターンを不要として、表面のグランドパターン3を増やすようにしている。そのため、シールド効果を向上することができる。
【0035】
さらに、実施形態2では基板層数を多くして5層構造にしている。すなわち、回路基板7における最上層および最下層に加え、中間層にもグランドパターン3を設けている。また、2層および4層には高周波信号の伝送線路となる回路パターン6が形成されている。
【0036】
半導体素子2はキャビティを設け、基板内層に実装されている。このような多層構造にしても層数によらず、基板表面をグランドパターン3で被うことにより、シールド効果を高めたモジュールを実現することができる。
【0037】
さらに、チップ部品で構成される受動素子を基板内層に内蔵したり、半導体素子に集積化して、表面の部品点数を減らすことにより、表層のグランドパターンの占有率を上げ、シールド効果を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、高周波回路基板と半導体素子、チップ部品とから構成される高周波モジュールに適用され、特にシールド効果を高め、特性を安定させることが要求される携帯電話等のマイクロ波帯の送信アンプとして使用される高周波電力増幅モジュールなどに用いて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態1である高周波モジュールの回路基板の各層のパターンを示す図であり(a)は最上層のパターン、(b)は内層のパターン、(c)は最下層のパターンを示す図
【図2】実施形態1の高周波モジュールにおける回路基板の断面図
【図3】実施形態1の高周波モジュールの斜視図
【図4】本発明の実施形態2である高周波モジュールにおける回路基板の断面図
【図5】実施形態2の高周波モジュールの斜視図
【図6】従来の高周波モジュールの分解斜視図
【図7】従来の高周波モジュールにおける回路基板の断面図
【符号の説明】
【0040】
1 チップ部品
2 半導体素子
3 グランドパターン
4 実装パターン
5 端子用パターン
6 回路パターン
7 回路基板
8 リード端子
9 放熱板
10 キャップ
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年1月23日(2004.1.23)
【代理人】 【識別番号】100112128
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 光威

【公開番号】 特開2005−209921(P2005−209921A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−15582(P2004−15582)