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【発明の名称】 多層配線基板、多層配線基板を備えたモジュール、および、電子機器
【発明者】 【氏名】菅谷 康博
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電子部品株式会社内

【氏名】中谷 誠一
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】田儀 裕佳
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】朝日 俊行
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】西山 東作
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】表層に微細配線を有する多層配線基板を簡便に製造して提供すること。

【解決手段】少なくとも2層の配線層を含むコア多層配線板50と、コア多層配線板の表面50および裏面のうちの一方の面の略全面に密着され、配線パターン16を有するコネクタシート10とを備えた多層配線基板100である。コネクタシート10は、配線パターンが形成された表面とそれに対向する裏面とを有するシート状基体12と、シート状基体12を厚さ方向に貫通する導電性部材14とから構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層の配線層を含むコア多層配線板と、
前記コア多層配線板の表面および裏面のうちの一方の面の略全面に密着され、配線パターンを有するコネクタシートと
を備え、
前記コネクタシートは、
前記配線パターンが形成された表面と、前記表面に対向する裏面を有するシート状基体と、
それぞれが前記シート状基体を厚さ方向に貫通する、複数の導電性部材と
から構成されている、多層配線基板。
【請求項2】
前記コア多層配線板は、有機樹脂と補強材と金属層とから構成されており、
前記コネクタシートの前記シート状基体は、樹脂を含む材料から構成されている、請求項1に記載の多層配線基板。
【請求項3】
前記有機樹脂は、エポキシ樹脂であり、
前記補強材は、ガラス布基材である、請求項2に記載の多層配線基板。
【請求項4】
前記コネクタシートを構成する材料は、樹脂と無機フィラーとを含む材料である、請求項1から3の何れか一つに記載の多層配線基板。
【請求項5】
前記コネクタシートと前記コア多層配線板との熱膨張係数は、実質的に同一である、請求項4に記載の多層配線基板。
【請求項6】
前記コネクタシートは、前記コア多層配線板の前記表面および前記裏面のうちの一方の面のみに貼り付けられている、請求項5に記載の多層配線基板。
【請求項7】
前記コネクタシートは、前記コア多層基板の層数をさらに一層多くする機能を有している、請求項6に記載の多層配線基板。
【請求項8】
前記コネクタシートの前記配線パターンには、厚さの異なる配線ラインが含まれている、請求項1から7の何れか一つに記載の多層配線基板。
【請求項9】
前記厚さの異なる配線ラインは、グランドラインである、請求項8に記載の多層配線基板。
【請求項10】
前記グランドラインは、信号ラインの間に配置されている、請求項9に記載の多層配線基板。
【請求項11】
前記コネクタシートにおける前記配線パターンの配線断面形状は、表面に露出している上底の長さが、下底の長さよりも長い逆台形形状をしている、請求項1から10の何れか一つに記載の多層配線基板。
【請求項12】
前記コネクタシート上には、電子部品が載置されている、請求項1から11の何れか一つに記載の多層配線基板。
【請求項13】
前記電子部品の少なくとも一種は、半導体素子である、請求項12に記載の多層配線基板。
【請求項14】
前記コネクタシートには、受動部品が形成されている、請求項1から12の何れか一つに記載の多層配線基板。
【請求項15】
前記コネクタシートの前記表面および前記裏面の少なくとも一方は、接着性を有している、請求項1から14の何れか一つに記載の多層配線基板。
【請求項16】
前記1から15の何れか一つに記載の多層配線基板と、
前記多層配線基板に含まれている前記コネクタシート上に載置された電子部品と
を備えた、モジュール。
【請求項17】
少なくとも2層の配線層を含む第1コア多層配線板と、
少なくとも2層の配線層を含む第2コア多層配線板と、
前記第1コア多層配線板および前記第2コア多層配線板における上面の略全面に密着され、配線パターンを有する1枚のコネクタシートと
を備えたモジュール。
【請求項18】
前記第1コア多層配線板は、第1の厚さを有し、
前記第2コア多層配線板は、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する、請求項17に記載のモジュール。
【請求項19】
前記第1コア多層配線板は、第1の層数を有し、
前記第2コア多層配線板は、前記第1の層数と異なる第2の層数を有する、請求項17に記載のモジュール。
【請求項20】
前記第1コア多層配線板は、前記第1の層数が2である両面配線板であり、
前記第2コア多層配線板は、前記2の層数が4以上の多層配線板である、請求項17に記載のモジュール。
【請求項21】
前記第1コア多層配線板は、樹脂を含む材料から構成されており、
前記第2コア多層配線板は、セラミック材料から構成されている、請求項17に記載のモジュール。
【請求項22】
前記コネクタシートは、樹脂と無機フィラーとを含む材料から構成されている、請求項21に記載のモジュール。
【請求項23】
前記1枚のコネクタシートのうち前記第1コア多層配線板に対応する部位と、前記第1コア多層配線板との熱膨張係数は、実質的に同一であり、かつ、
前記1枚のコネクタシートのうち前記第2コア多層配線板に対応する部位と、前記第2コア多層配線板との熱膨張係数は、実質的に同一である、請求項22に記載のモジュール。
【請求項24】
さらに、第3コア多層配線板を備え、
前記1枚のコネクタシートは、前記第3コア多層配線板の上面の略全体に密着されている、請求項17に記載のモジュール。
【請求項25】
前記1枚のコネクタシート上には、電子部品が載置されている、請求項17から24の何れか一つに記載のモジュール。
【請求項26】
前記コネクタシートには、受動部品が形成されている、請求項17から25の何れか一つに記載のモジュール。
【請求項27】
外面と内面とを有する筐体と、
前記内面の少なくとも一部に密着され、配線パターンを有するコネクタシートと、
前記コネクタシート上に載置された電子部品と
を備えた、電子機器。
【請求項28】
前記コネクタシートは、
表面と、前記表面に対向する裏面を有するシート状基体と、
それぞれが前記シート状基体を厚さ方向に貫通する、複数の導電性部材と
から構成されており、さらに、
前記コネクタシートは、樹脂と無機フィラーとを含む材料から構成されている、請求項27に記載の電子機器。
【請求項29】
前記電子機器は、携帯用電子機器である、請求項27または28に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線基板、多層配線基板を備えたモジュール、および、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、高機能化に伴って、電子機器を構成する半導体素子の多ピン化および各種部品の小型化が進み、それらを搭載するプリント基板の配線数と密度は飛躍的に増加している。特に、半導体素子から引き出されるリード数・端子数が急速に増加したことによって、それらを接続する配線量が増え、その結果、プリント基板の片面および両面の配線だけでは不足し、それゆえ、内部にも配線を行う多層プリント配線基板(以下、「多層配線基板)と称する)の需要が大きくなってきている。
【0003】
多層配線基板としては、図1に示すようなガラス−エポキシ多層基板が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。図1に示したガラス−エポキシ多層基板500は、補強材としてのガラス織布にエポキシ樹脂を含浸させて硬化させた絶縁層150と、絶縁層150の両面に形成された配線パターン151とから構成されている。配線パターン151は、銅箔からなり、配線パターン151上にも絶縁層150が形成されている。ガラス−エポキシ多層基板500には、貫通孔(スルーホール)152が形成されており、貫通孔152の内壁には、メッキ法によって銅層153が形成されている。また、ガラス−エポキシ多層基板150の最上層には、銅箔からなる配線パターン154が形成されている。図1に示したガラス−エポキシ多層基板150は、めっきスルーホール法による多層配線基板とも呼ばれる。
【0004】
さらなる高密度配線を実現するために、ビルドアップ法を用いたビルドアップ多層プリント配線基板(以下、「ビルドアップ基板」と称する。)が開発されている(例えば、特許文献2参照)。ビルドアップ基板は、例えばガラス−エポキシ多層基板(図1参照)をコア基板として、コア基板の上に、配線パターンを形成した絶縁層を積み上げ、そして、ビアによって上下層間の配線パターンを接続することによって形成された基板である。ビルドアップ基板では、下層の配線パターンと上層の配線パターンとの必要な箇所をビアを介して接続することができるので、接続するビアの空間が小さくなり、その結果、ビアの径を小さくし、ライン幅・間隔を微細にすることが可能となり、高密度配線を実現することができる。
【0005】
ビルドアップ基板の層間を接続するビアは、通常、メッキによって形成されるが(例えば、特許文献2参照)、メッキを用いずに、導電性ペーストを用いてビアを形成するビルドアップ基板も開発されている。導電性ペーストを用いたビルドアップ基板で、コア基板がなく、すべての層をビルドアップ層としたものとして、例えば、ALIVHTM(特許文献3参照)およびBitTM(特許文献4)がある。なお、関連する技術が開示された公報として特許文献5がある。
【特許文献1】特開平9−148738号公報
【特許文献2】特開平8−213757号公報
【特許文献3】特開平6−268345号公報
【特許文献4】特開平8−111574号公報
【特許文献5】特開平11−17300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラス−エポキシ多層基板は、安価に製造することができるというメリットがあるが、高密度配線を作製することが難しく、小型で、多ピンの半導体デバイス(例えば、BGA、CSP、ベアチップなど)をガラス−エポキシ多層基板に高密度実装するのは技術的に非常に困難である。当該半導体デバイスを含む電子機器の電気特性を向上させるには、短距離配線が必要であり、単位面積当たりの配線量が非常に多くなり、その増加する配線量を処理するためには、多層配線基板は、ファインパターンかつマイクロビアを有し、ビアの配置の自由度の大きいものが必要であるところ、めっきスルーホール法による多層配線基板では、ビアの径が大きくビア形成に多くのスペースを必要とし、配線パターンのファイン化に対し、ビアの数や配置が制限され、配線の自由度が小さいという問題がある。
【0007】
一方で、ビルドアップ基板は、めっきスルーホール法による多層配線基板と比べて、高密度配線を作製することが容易であるので、小型で、多ピンの半導体デバイスを高密度実装するのに適しているものの、安価に製造することは難しく、めっきスルーホール法による多層配線基板と比べて非常にコスト高となっている。これは、各ビルドアップ層を作製する工程が多くなればなるほど製造工程が増えることや、ファインパターンを得るために表面を平滑化する必要が生じること等に起因している。
【0008】
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、高密度でファインピッチの配線パターンを有する多層配線基板を低コストで実現することが可能な多層配線基板を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような多層配線基板を備えたモジュール及びモジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の多層配線基板は、少なくとも2層の配線層を含むコア多層配線板と、前記コア多層配線板の表面および裏面のうちの一方の面の略全面に密着され、配線パターンを有するコネクタシートとを備え、前記コネクタシートは、前記配線パターンが形成された表面と、前記表面に対向する裏面を有するシート状基体と、それぞれが前記シート状基体を厚さ方向に貫通する、複数の導電性部材とから構成されている。
【0010】
ある好適な実施の形態において、前記コア多層配線板は、有機樹脂と補強材と金属層とから構成されており、前記コネクタシートの前記シート状基体は、樹脂を含む材料から構成されている。
【0011】
ある好適な実施の形態において、前記有機樹脂は、エポキシ樹脂であり、前記補強材は、ガラス布基材である。
【0012】
前記コネクタシートを構成する材料は、樹脂と無機フィラーとを含む材料であることが好ましい。
【0013】
前記コネクタシートと前記コア多層配線板との熱膨張係数は、実質的に同一であることが好ましい。
【0014】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートは、前記コア多層配線板の前記表面および前記裏面のうちの一方の面のみに貼り付けられている。
【0015】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートは、前記コア多層基板の層数をさらに一層多くする機能を有している。
【0016】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートの前記配線パターンには、厚さの異なる配線ラインが含まれている。
【0017】
前記厚さの異なる配線ラインは、グランドラインであることが好ましい。
【0018】
前記グランドラインは、信号ラインの間に配置されていることが好ましい。
【0019】
前記コネクタシートにおける前記配線パターンの配線断面形状は、表面に露出している上底の長さが、下底の長さよりも長い逆台形形状をしていることが好ましい。
【0020】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシート上には、電子部品が載置されている。
【0021】
ある好適な実施の形態において、前記電子部品の少なくとも一種は、半導体素子である。
【0022】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートには、受動部品が形成されている。
【0023】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートの前記表面および前記裏面の少なくとも一方は、接着性を有している。
【0024】
本発明のモジュールは、上記多層配線基板と、前記多層配線基板に含まれている前記コネクタシート上に載置された電子部品とを備えている。
【0025】
本発明の他のモジュールは、少なくとも2層の配線層を含む第1コア多層配線板と、少なくとも2層の配線層を含む第2コア多層配線板と、前記第1コア多層配線板および前記第2コア多層配線板における上面の略全面に密着され、配線パターンを有する1枚のコネクタシートとを備えている。
【0026】
ある好適な実施の形態において、前記第1コア多層配線板は、第1の厚さを有し、前記第2コア多層配線板は、前記第1の厚さと異なる第2の厚さを有する。
【0027】
ある好適な実施の形態において、前記第1コア多層配線板は、第1の層数を有し、前記第2コア多層配線板は、前記第1の層数と異なる第2の層数を有する。
【0028】
ある好適な実施の形態において、前記第1コア多層配線板は、前記第1の層数が2である両面配線板であり、前記第2コア多層配線板は、前記2の層数が4以上の多層配線板である。
【0029】
ある好適な実施の形態において、前記第1コア多層配線板は、樹脂を含む材料から構成されており、前記第2コア多層配線板は、セラミック材料から構成されている。
【0030】
前記コネクタシートは、樹脂と無機フィラーとを含む材料から構成されていることが好ましい。
【0031】
前記1枚のコネクタシートのうち前記第1コア多層配線板に対応する部位と、前記第1コア多層配線板との熱膨張係数は、実質的に同一であり、かつ、前記1枚のコネクタシートのうち前記第2コア多層配線板に対応する部位と、前記第2コア多層配線板との熱膨張係数は、実質的に同一であることが好ましい。
【0032】
さらに、第3コア多層配線板を備え、前記1枚のコネクタシートは、前記第3コア多層配線板の上面の略全体に密着されていてもよい。
【0033】
ある好適な実施の形態において、前記1枚のコネクタシート上には、電子部品が載置されている。
【0034】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートには、受動部品が形成されている。
【0035】
本発明の電子機器は、外面と内面とを有する筐体と、前記内面の少なくとも一部に密着され、配線パターンを有するコネクタシートと、前記コネクタシート上に載置された電子部品とを備えている。
【0036】
ある好適な実施の形態において、前記コネクタシートは、表面と、前記表面に対向する裏面を有するシート状基体と、それぞれが前記シート状基体を厚さ方向に貫通する、複数の導電性部材とから構成されており、さらに、前記コネクタシートは、樹脂と無機フィラーとを含む材料から構成されている。
【0037】
ある好適な実施の形態において、前記電子機器は、携帯用電子機器である。
【発明の効果】
【0038】
本発明の多層配線基板によると、コア多層配線板と、コア多層配線板の表面および裏面のうちの一方の面の略全面に密着され、配線パターンを有するコネクタシートとを備え、コネクタシートは、シート状基体と、前記シート状基体を厚さ方向に貫通する複数の導電性部材とから構成されているので、ビルドアップ多層プリント基板と比べて、簡便に多層配線基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本願発明者は、安価で、かつ、微細配線を行うことができる多層配線基板の開発に取り組み、そのような多層配線基板を開発するに際して、まず、ガラス−エポキシ多層基板およびビルドアップ基板との利点と欠点とを見直してみた。図2は、典型的なガラス−エポキシ多層基板510の構成を模式的に示す断面図であり、図3は、典型的なビルドアップ基板520の構成を模式的に示す断面図である。
【0040】
図2に示したガラス−エポキシ多層基板510は、ガラス織布とエポキシ樹脂とからなる絶縁層50と、絶縁層50の両面に形成された銅箔層51とから構成されており、つまり、絶縁層50と銅箔層51との積層体55となっている。この積層体55には、ドリルによってスルーホール52が形成されており、スルーホール52の内壁には、銅からなるメッキ層53が形成されている。積層体55の最上層には、配線パターンを構成する銅箔層54が形成されており、銅箔層54の上には、メッキ層53が積層している。
【0041】
ガラス−エポキシ多層基板510は、長年の研究開発によって製造方法も確立しており、また、大量に製造されるので、ビルトアップ基板と比較すると、非常に安価である。一方で、配線厚さが厚いため、微細配線を行うことが難しい。例えば、銅箔層54の厚さを18.35μm程度まで薄くすることができても、メッキ層53の厚さが最低でも約20μmあるので、どうしても配線の厚さが大きくなってしまう。この配線厚では、端子ピッチが約0.5mm〜約0.3mmというレベルの半導体素子を実装できる多層配線基板を作製することは難しい。また、ガラス−エポキシ多層基板510の絶縁層50には、ガラス織布が使用されているので、平滑処理をしなければ、その表面はガラス織布の影響で凹凸があり、表面の山と谷との間で5μm程度以上のうねりがある。うねりがあると、露光の関係上、微細配線を形成することが困難である一方で、精度の高い平滑処理をすると、その分、コストが高くなる。
【0042】
また、上述したように、ガラス−エポキシ多層基板510にはスルーホール52が形成されているので、高密度の配線を形成した場合において、スルーホール52が配線スペースを阻害するので、引き回したい配線を迂回させる必要が生じ、その結果、配線長が長くなる。また、CADによる自動配線も困難となり、さらに、高密度配線に対応したドリル加工が困難になることに伴って、ドリル加工に要するコスト比率が高くなってしまう。加えて、スルーホール52上には、電子部品を実装することが困難であるので、その分、実装面積の有効利用ができなくなり、高密度実装を阻害してしまう。
【0043】
したがって、微細ピッチな半導体素子を実装するためには、図3に示すようなビルトアップ基板520を用いることが一般的である。図3に示したビルトアップ基板520では、ガラス−エポキシ多層基板510をコア基板として、その両面に、絶縁層60と配線層(メッキ層)61とから構成されたビルドアップ層が形成されている。配線層61の層間接続は、ビア62によって行われている。図3に示したビルトアップ基板520は、コア基板510が4層、ビルドアップ層が2層からなる2+4+2タイプである。
【0044】
上述したように、ビルトアップ基板520の場合、微細配線・高密度配線を形成することが可能であり、微細ピッチな半導体素子を実装できるプリント基板を作製することができるが、コストが高くなってしまう。これは、ビルトアップ基板520を製造するには、ビルドアップ層の形成、研磨、メッキ処理などの多くの工程を実行する必要があり、結果として製造コストが高くなってしまうからである。また、微細ピッチな半導体素子が実装される面だけでなく、両面に同じ層数のビルドアップ層を形成する必要があり、これもコスト高につながっている。両面に同じ層数のビルドアップ層を形成するのは、そうしないと、基板のそりが大きくなってしまい、不良となってしまうからである。
【0045】
なお、全層がビルドアップ層からなるビルトアップ基板(例えば、ALIVHTM、BitTM)の場合、スルーホールがないことにより配線の設計自由度が向上すること等のメリットを享受できるものの、コア基板の部分を含めて、数多くのビルドアップ層を形成する必要があり、したがって、全層ビルドアップの技術を用いても、コスト高の問題は根本的には解消できない。
【0046】
さらに説明を続けると、今日、システムLSIのような微細ピッチなベアチップ半導体素子をフィリップチップ実装する場合、プリント基板の表層には、ライン/スペース(L/S)で30μm/30μmレベルの配線パターンが要求されているので、そのようなファインな配線パターンを有するプリント基板は、高価となり、製品全体のコストを押し上げてしまっている。コスト高の関係上、安価な製品にはフィリップチップ実装工法が依然として普及しておらず、EMC問題が発生しような半導体素子でもワイヤボンディングによる実装などが実行されることが多い。
【0047】
図3に示したビルドアップ基板やALIVHTM基板を用いたときに、ライン/スペース(L/S)で40μm/40μmレベルのファインラインを表層に形成しようとしても、従来のサブトラクティブ法のみでは限界がある。特にベアチップ半導体実装を行う場合、配線のトップ幅を十分に確保できず、その結果、バンプ接続する際に不具合が発生することがあった。一方、ソフトエッチやアディティブ法を用いてファインラインを表層に形成すると、図3に示したビルドアップ基板、ALIVHTM基板ともコスト高になり、基板コストの上昇の問題をもたらしていた。
【0048】
このような検討の中、本願発明者は、コア基板510を積極的に利用しながら、微細配線パターンを有するシート部材をコア基板510上に搭載すれば、簡便に微細配線を形成することが可能であることを想到し、本発明に至った。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0049】
(実施の形態1)
図4および図5を参照しながら、本発明の実施の形態1に係る多層配線基板100について説明する。図4は、本実施の形態の多層配線基板100の断面構成を模式的に示している。図5は、コネクタシート10の断面構成を模式的に示している。
【0050】
本実施の形態の多層配線基板100は、少なくとも2層の配線層51を含むコア多層配線板20と、コア多層配線板20の表面の略全面に密着され、配線パターン16を有するコネクタシート10とから構成されている。コネクタシート10は、配線パターン16が形成された表面10aと、表面10aに対向する裏面10bを有するシート状基体12と、複数の導電性部材14とから構成されており、各導電性部材14は、シート状基体12を厚さ方向11に貫通している。なお、裏面10b側にも配線パターンを形成してもよい。
【0051】
コア多層配線板(以下「コア基板」とも称する。)20は、有機樹脂と補強材と金属層(50、51、52、53)とから構成されている。本実施の形態において、コア基板20は、ガラス−エポキシ多層基板(例えば、FR−4基板)であり、ここで、コア基板20を構成する有機樹脂はエポキシ樹脂であり、補強材はガラス布基材である。図4に示した例では、コア基板20の内層となる配線層51は銅箔からなり、コア基板20には、Cuメッキ層が形成されたスルーホール52が形成されている。このメッキスルーホール52は、メッキによって充填することもできるし、スルーホールの間隙を全てを充填しなくてもよい。また、コア基板20の外層となるメッキ層53も銅からなる。本実施の形態における配線層51およびメッキ層53のライン/スペース(L/S)は、100μm/100μmルールレベル(例えば、100μm/100μm以上)である。これは、今日、典型的な安価なFR−4に使用されるライン/スペース(L/S)に相当する。なお、本実施の形態では、コア基板20として、配線層が4層からなるコア多層配線板を用いたが、さらに安価な2層だけのコア両面基板を用いることも可能である。
【0052】
コネクタシート10は、多層配線基板100の層数を、コア基板20の層数よりも多くする機能を有するシート部材である。図4に示した例では、コア基板の層数は4であるの対し、コネクタシート10によって、多層配線基板100の層数は5となっている。本実施の形態のコネクタシート10に形成された配線パターン16のライン/スペース(L/S)は、50μm/50μmよりも小さく、例えば、40μm/40μmとなっている。つまり、本実施の形態の多層配線基板100においては、コア基板20上にコネクタシート10を密着させることによって、基板の表層に、多ピンの半導体素子を実装可能なファインピッチの配線を存在させている。
【0053】
コネクタシート10を構成するシート状基体12は、樹脂を含む材料から構成されている。シート状基体12の厚さTは、例えば20〜100μm程度であり、本実施の形態では、約25〜約50μmである。本実施の形態では、シート状基体12として、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂)と無機フィラーとを含むコンポジット材料から形成された基板を用いている。ここでは、コンポジット材料の樹脂として、熱硬化性樹脂を用いている。なお、無機フィラーを実質的に用いずに、専ら熱硬化性樹脂のみからシート状基体12を構成することも可能である。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂などであり、無機フィラーを添加する場合、その無機フィラーは、例えば、Al、SiO、MgO、BN、AlNなどである。無機フィラーの添加により、種々の物性を制御することができるので、無機フィラーを含むコンポジット材料からシート状基体12を形成することが好適である。
【0054】
コネクタシート10の表面10aと裏面10bとの電気的導通は、配線パターン16に電気的に接続された導電性部材14によって確保されている。本実施の形態では、導電性部材14は、シート状基体12に貫通孔(スルーホール)を形成した後、その貫通孔に導電性ペーストを埋めることによって形成している。導電性ペーストは、例えば、液状熱硬化性樹脂と導電性金属粉末からなる。コネクタシート10の厚さ方向11の電気的導通を確保できるならば、導電性ペーストを利用した手法の他、金属線を挿入する手法、又は、金属ボールを埋設する手法、またはその他の手法(例えば、コア基板20と同様に、レーザー等で穴加工した後、スルーホールメッキを形成する手法)を用いて導電性部材14を形成してもよい。
【0055】
本実施の形態では、コネクタシート10は、コア基板20の片面にのみ貼り付けられている。これは、コネクタシート10の物性を調整することにより、基板のそりの発生を抑えることよって実現されている。つまり、本実施の形態の構成では、コネクタシート10を構成する材料として、無機フィラーが含まれており、そして、その無機フィラーによって、コネクタシート10とコア基板20との両者の熱膨張係数を実質的に同一に(例えば、接着硬化させた後の冷却工程でのTg(ガラス転移温度)前後の熱膨張係数値を含めて約30%以内)することができ、そり発生を防止することができるからである。この点、コア基板20の片面だけにビルトアップ層(60,61)を形成すると、基板のそりの問題が発生する図3に示したビルトアップ基板520と異なる。なお、両者の熱膨張係数が違う場合でも、例えば弾性率が低いシート状基体12を用いて、コネクタシート10がコア基板20にそりを生じさせるための力(張力)を、コア基板20の強度に対して弱くし、それによって、片面のみにコネクタシート10を形成しても、コア基板20にそりが生じないようにすることもできる。この場合、両者の熱膨張係数差が50%以内でもそりを抑制できる場合がある。一例を挙げると、コア基板20の弾性率を20GPa以上の大きな値にすることによって、そりを抑制することができる。本実施の形態では、コア基板20の片面のみにコネクタシート10を配置したが、コア基板20の両面にコネクタシート10を配置することも可能である。
【0056】
詳細は後述するが、本実施の形態のコネクタシート10の配線パターン16は、転写によって形成されるので、コネクタシート10の配線パターン16に、厚さの異なる配線ラインを容易に含めることができる。図6に示した多層配線基板100は、信号ライン16sと、信号ライン16sよりも厚さが厚いグランドライン(GND)16gとが形成されたコネクタシート10を備えている。グランドライン16gは、信号ライン16sの間に配置されており、これによって、クロストークを抑制することができる。本実施の形態では、信号ライン16sの厚さは12μm以下にしており、一方、グランドライン16gの厚さは18μm以上にしている。信号ライン16sの厚さを12μm以下にすることによって、薄い金属層となり、微細なパターンを形成するのが容易になる。また、グランドライン16gの厚さは18μm以上にすることによって、信号ライン間の干渉を顕著に減少させることができる。また、信号ライン16sの間にグランドライン16gを配置することによって、少なくとも3dB程度信号の抑圧をすることができる。
【0057】
コネクタシート10上には電子部品(特に、半導体素子)を実装することができる。図7は、コネクタシート10上に電子部品30が実装された多層配線基板100を示している。なお、図7に示した例のコア基板20では、図2に示した基板510のように、スルーホール52、メッキ層53、銅箔層54を示している。
【0058】
図7に示すように、コネクタシート10上には、電子部品30(32,34)が載置されており、本実施の形態では、電子部品30として、半導体素子(例えば、半導体パッケージ、ベアチップ)32および受動部品(例えば、チップコンデンサ、チップインダクタ、チップ抵抗など)34がコネクタシート10上に配置されている。電子部品30は、コネクタシート10を介してコア基板20の配線層(51、53、54)に電気的に接続されている。より詳細には、電子部品30が有する端子は、コネクタシート10の表面10aに位置する配線パターン16に接続されており、配線パターン16に接続された導電性部材14がコア基板20の配線層(53,54)に電気的に接続している。
【0059】
本実施の形態のコネクタシート10とコア基板20との電気的な接続は、コネクタシート10の裏面10bに露出している導電性部材14と、コア基板20の配線層(53、54)とを例えば半田に接続することによって行うことができる。また、半田接続とは別に、コネクタシート10の裏面10bに接着性を持たせて、その接着性によって接続させることも可能である。コネクタシート10の裏面10bに接着性を付与するには、当該裏面10bに接着剤を塗布したり、当該裏面10bに接着層を形成すればよい。なお、電子部品30が載置されるコネクタシート10の表面10aに、接着性を付与することも可能である。
【0060】
本実施の形態の多層配線基板100に電子部品30が実装されている場合、多層配線基板100はそれ自体でモジュールとなる。図7に示したモジュール(100)では、コア基板20上に第1の表面実装部品30(チップ部品34)が載置されており、コネクタシート10上に第2の表面実装部品30(半導体素子32、チップ部品34)が載置されている。ここで、コネクタシート10は、樹脂を含む材料から構成されたシート状基体12と、シート状基体12の表面10aと裏面10bとを電気的に接続する接続部材(導電性部材またはビア)14と、接続部材14に電気的に接続された配線パターン16とから構成されている。第2の表面実装部品30として、端子ピッチが125μm以下の半導体素子32をコネクタシート10上に実装させることも可能である。なお、コア基板20上に半導体素子32が載置されていてもよい。
【0061】
本実施の形態では、コア基板20として安価なガラス−エポキシ多層基板を用いており、コア基板20の表面は、ガラス織布の存在に起因して、5μm以上のうねり度を有している。ここで「うねり度」とは、基板の表面における凸の最頂点と凹の最深部との間の深さを意味し、JIS B0631 3.2.6における「うねりモチーフの最大深さ(maximum depth of waviness)」に対応する。また、コア基板20における外層の配線層(53,54)の厚さは、メッキ層53と銅箔層54との両方をあわせて、例えば18μm以上である。したがって、安価なガラス−エポキシ多層基板のコア基板20の表面に微細な配線を形成することは難しい。
【0062】
一方、コネクタシート10は、コア基板20と独立して形成されるので、コネクタシート10に微細な配線を形成することは容易であり、本実施の形態では、コネクタシート10の配線パターン16は、ピッチが200μm以下の配線パターン部分を含んでいる。また、後述するように、本実施の形態のコネクタシート10の配線パターン16は、転写法によって形成されているので、薄い銅箔を配線パターン16に利用することができ、微細なパターンを形成するのに適している。コネクタシート10の配線パターン16の厚さは、例えば10μm以下にすることができる。
【0063】
なお、コア基板20のうねり度が5μm以上であると、微細パターンを有するビルトアップ層(60,61)を形成することは困難であるが、本実施の形態の場合、配線パターン16が形成されたコネクタシート10をコア基板20の上に配置すればよいので、下地のコア基板20の凹凸(うねり度)は、市販購入できるある程度の品質のものであればそれほど影響しない。コネクタシート10のうねり度は、例えば3μm以下にすることができるが、すでに配線パターン16が形成されたコネクタシート10をコア基板20上に密着させるので、コネクタシート10のうねり度自体はそれほど問題とはならないが、本実施の形態では、コネクタシート10のうねり度を3μm以下にすることが可能である。なお、平滑処理を施してうねり度が5μm未満のコア基板20であっても、コネクタシート10を好適に適用することができる。なぜなら、表面が平滑なコア基板20上にビルトアップ層(60,61)を形成するよりも、コア基板20上にコネクタシート10を貼り付ける方がより簡便であり、コストを低くすることができるからである。
【0064】
本実施の形態では、コア基板(例えば、FR−4基板)20に、低弾性(弾性率が0.1〜5GPa)の特性を有するコネクタシート10を積層している。これにより、コネクタシート10上に実装される半導体素子32は、ワイヤーボンディングによる実装を支障なくできるとともに、フリップチップ実装を行う際に、幅広い手法を採用することができる。例えば、半導体素子の電極部と電極部接続用電極とをバンプを介して直接に接合する場合、弾性率が0.1〜5GPaであるコネクタシート10を表層に含む多層配線基板100を用いれば、半導体素子32と多層配線基板100(またはコア基板20)との熱膨張差に起因して発生する応力をコネクタシート10によって緩和することができるので、接続信頼性を維持することができる。したがって、この構成によれば、安価であり、かつ信頼性の高い半導体モジュールを実現することができる。
【0065】
本実施の形態の構成によれば、コア基板20の表面(または裏面)の略全面にコネクタシート10を密着させることによって、ビルドアップ法を用いなくても、配線基板の表層に、高密度でファインピッチの配線パターン16を簡便に形成することができる。その結果、高密度でファインピッチの配線パターン16を有する多層配線基板100を低コストで実現することができる。ここで、「略全面」とは、コア多層配線板20の表面(又は裏面)の大半(例えば、面積で80%以上)のことをいい、典型的には、コア多層配線板20の表面(又は裏面)の面積と、コネクタシート10の密着面の面積とは一致する。
【0066】
また、ビルドアップ基板520では、基板のソリ防止のために、コア基板510の表面と裏面との両方に同数層のビルドアップ層(60,61)を形成しなければならかったので、無駄が多かった。これに対し、本実施の形態では、コア基板20の片面にのみコネクタシートを設けても、基板のそりの問題を解消することができるので、ビルドアップ基板520のときのような無駄を防止することができる。
【0067】
さらに、コネクタシート10に形成される配線層16は転写によって形成されるため、配線形成に自由度がある。例えば、トップ幅が十分に確保されたファインラインや、厚みの異なる配線を形成することができる。特に、ファインライン(L/S=40/40レベル)では、信号間の干渉が問題となるので、信号ライン16s間にグランドライン16gを入れる場合があるが、グランドライン16gの厚みを増やすことによって、信号干渉を効果的に防ぐことができる。
【0068】
加えて、実質的にコネクタシート10を密着させる工程だけで、多層配線基板100を得ることができるので、基本的に、多層配線基板100を作製する上で、メッキ工程、エッチング工程が不要となり、基板メーカーでなくても多層配線基板100を作製することができるという新たな側面も有している。すなわち、ビルトアップ基板と異なり、実質的に転写のみで配線パターンを形成することができる利点も有している。
【0069】
次に、図8(a)から(c)を参照しながら、本実施の形態のコネクタシート10の製造方法を説明する。
【0070】
まず、図8(a)に示すように、離型フィルム18上にシート状基体12を形成した後、シート状基体12を貫通する導電性部材14を形成する。本実施の形態では、シート状基体12に貫通孔(スルーホール)を形成し、その貫通孔に導電性ペーストを埋めることによって、導電性部材14を形成している。導電性ペーストは、例えば、液状熱硬化性樹脂と導電性金属粉末からなる。導電性ペーストを埋めて導電性部材14を形成する手法の他、金属線を挿入する手法、又は、金属ボールを埋設する手法を用いて導電性部材14を形成してもよい。
【0071】
導電性部材14は、シート状基体12の表面(または裏面)の1平方センチメートル(1cm)当たり、例えば1000本以上にすることができ、一例を挙げると、400〜2500本を形成することができる。導電性部材14の形状(表面に露出している形状)は、例えば、円形であるが、他の形状(楕円形、長円形、矩形など)でも構わない。本実施の形態では、導電性部材14の形状は円形であり、直径φは約0.05〜0.2mmであり、ピッチ間隔は約0.1〜0.5mmである。
【0072】
コネクタシート10の片面に配置された離型フィルム18は、シート状基体12(ひいてはコネクタシート10)の取り扱いを容易にするために設けられている。離型フィルム18なしでもコネクタシート10の製造を行うことはできるものの、シート状基体12の裏面が接着性を有している場合、当該裏面に接する離型フィルム18によって、シート状基体12の接着性を気にせずに、シート状基体12を取り扱うことができて便利である。また、離型フィルム18はシート状基体12から容易に剥がすことができるので、シート状基体12の接着性を利用したい場合には、離型フィルム18をただシート状基体12から剥がせばよい。離型フィルム18は、例えば、PE、PET、PPS、PENから構成されている。なお、離型フィルム18は、Cu箔、Al箔などのような金属フィルムから構成することも可能である。
【0073】
次に、図8(b)に示すように、キャリアシート(転写形成材)40上に形成された配線パターン16を、シート状基体12に転写する。配線パターン16は、キャリアシート40上に金属層(例えば、銅箔)を形成し、その金属層を所定のマスクを用いてエッチングすれば得ることができる。キャリアシート40は例えば金属箔(銅箔またはアルミ箔)や樹脂シートからなる。配線パターン16およびキャリアシート40の厚さは、それぞれ、3〜50μm程度および25〜200μm程度である。
【0074】
転写工程を実行すると、図8(c)に示すように、配線パターン16を有するコネクタシート10を得ることができる。その後、離型フィルム18を剥がして、コネクタシート10をコア基板20上に密着させればよい。
【0075】
図8(a)から(c)に示した転写工程において、シート状基体12は未硬化状態(例えば、B−ステージ状態)であるので、転写工程は、1回だけでなく、複数回行うことができる。このことを図9(a)から(d)を参照しながら説明する。
【0076】
まず、図9(a)に示すように、導電性部材(ビア)14が形成されたシート状基体12の上方に、信号ライン16sを含む第1の配線パターンが形成されたキャリアシート40を配置し、信号ライン16sを含む第1の配線パターンを、シート状基体12に転写する。このようにして、図9(b)に示すように、上記転写によって形成されたコネクタシート10Aの上方に、キャリアシート40’を配置する。キャリアシート40’には、グランドライン16gを含む第2の配線パターンが形成されており、グランドライン16gが信号ライン16sの間に位置するように、キャリアシート40’はコネクタシート10A上に配置される。
【0077】
そして、図9(c)に示すように、キャリアシート40’をシート状基体12上に貼り付けて、グランドライン16gを信号ライン16sの間に埋設する。その後、キャリアシート40’を取り除くと、図9(d)に示すように、信号ライン16sの間にグランドライン16gが配置されたコネクタシート10Bが得られる。なお、ここでは、上述の効果を得るために、グランドライン16gの厚さは、信号ライン16sの厚さよりも厚くしている。
【0078】
このコネクタシート10Bをコア基板20の上に搭載すれば、図10に示すように、本実施の形態の多層配線基板100となる。なお、図10では、コア基板20の構成は省略している。図10に示した構成において、コネクタシート10Bの配線パターンのライン/スペース(L/S)は、50μm/50μmとなっている。すなわち、信号ライン16sの幅Lが50μmであり、一方、信号ライン16sとグランドライン16gとの間隔(スペース)が50μmである。ここでは、グランドライン16gの幅も50μmである。そして、信号ライン16sの厚さが12μmである一方で、グランドラインの厚さは24μmとしてある。
【0079】
図10に示したように、ライン/スペース(L/S)が50μm/50μmまたはそれ以下の構成で、グランドライン16gの厚さを信号ライン16sの厚さよりも厚くすると、信号間クロストークを低減させる効果を得ることができる。したがって、信号干渉の多い箇所に、図9(a)から(d)に示すようにしてグランドライン16gを形成すれば、容易にその対策(クロストーク対策)を行うことができ非常に便利である。
【0080】
なお、図11(a)に示すように、信号ライン16sと略同じ厚さのグランドライン16gを信号ライン16sの間に入れることもできるが、GNDラインの抑圧効果の理由により、図10に示した構成の方がクロストーク防止の効果が高い。また、図11(b)に示すように、ライン/スペース(L/S)が100μm/100μmまたはそれ以上の構成の場合は、GNDラインの厚みを変えても相互干渉に及ぼす影響は殆ど見られないとの理由により、図10に示した構成の方がクロストーク防止の効果が高い。
【0081】
なお、図10および図11(a)および(b)に示した構成では、グランドライン16gを2回目の転写で形成したが、これに限らず、2回目(または3回目以降)の転写で信号ライン16sを形成することも可能である。また、配線パターン(グランドライン16g、信号ライン16sなど)に限らず、受動部品(例えば、膜素子)を転写することも可能である。例えば、図9(b)に示した符号「16g」が、抵抗素子やコンデンサの受動部品である場合、図9(b)から(d)に示す転写工程によって、受動部品をコネクタシート10に内蔵させることができる。なお、図9(a)に示したキャリアシート40に、信号ライン16sを含む配線パターンとともに受動部品を設けておき、一回の転写工程で受動部品をコネクタシート10に導入することもできる。コネクタシート10に受動部品を内蔵させた場合、コネクタシート10に新たな機能を付与することができ、そして、実装面積の有効利用を図ることができるという効果を得ることができる。
【0082】
転写工程直後のコネクタシート10は、未硬化状態(B−ステージ)であるので、コア基板20に密着して積層した際にコネクタシート10をキュアして、硬化状態(C−ステージ)にすればよい。また、転写工程の後、未硬化状態のコネクタシート10をキュアし、次いで、硬化状態のコネクタシート10をコア基板20上に密着して積層することも可能である。
【0083】
また、転写の方法によっては、コネクタシート10にいろいろなタイプの配線パターンを形成することができる。以下、図12から図14を参照しながら、これらについて説明する。
【0084】
図12(a)から(c)は、断面が台形形状の配線パターン16をコネクタシート10に形成する工程を示している。ここでは、図12(c)に示すように、コネクタシート10の表面に露出している上底の長さLが下底の長さL’よりも長い逆台形形状の配線パターン16を形成する。
【0085】
まず、図12(a)に示すように、断面台形形状の配線パターン16が設けられたキャリアシート40を、導電性部材14が形成されたシート状基体12の上方に配置する。次に、図12(b)に示すように、キャリアシート40をシート状基体12の表面に接触させて、配線パターン16を転写する。最後に、図12(c)に示すように、キャリアシート40を取り除くと、断面が逆台形形状の配線パターン16を有するコネクタシート10を得ることができる。
【0086】
図12(c)に示した構成によれば、配線トップ幅(L)を十分に確保できるという利点を得ることができる。例えば、コネクタシート10におけるライン/スペース(L/S)として50μm/50μmレベル未満(例えば、30μm/30μm)を実現する場合に、図12(c)に示した配線パターン16によって、例えば30μmの配線トップ幅(L)を確実に確保できることが容易となり、そして、30μmの配線トップ幅(L)を確実に確保できることは、バンプ接続を行う上で非常に好ましい。本実施の形態における配線トップ幅Lと配線ダウン幅L’との比は、例えば、1:0.8〜0.6であり、図12(c)に示した例では、配線トップ幅Lが30μmのときに、配線ダウン幅L’は20μmである。なお、バラツキの無い配線形成が可能であれば、ボトム幅が狭くなることによる問題点は特にない。
【0087】
また、転写の方法によっては、図13(a)および(b)に示すように、配線パターン16を意図的に凸状に形成することも可能である。すなわち、図13(a)に示すように、キャリアシート40とシート状基体12との間に隙間が生じるように、配線パターン16の転写を行うと、図13(b)に示すように、配線パターン16の上部がシート状基体12の表面から飛び出した凸部15aを形成することができる。
【0088】
さらに、図14(a)および(b)に示すようにすれば、意図的に、コネクタシート10の表面に凹部15bを形成することも可能である。
【0089】
まず、図14(a)に示すように、凸部40aが設けられたキャリアシート40における凸部40a上に、金属層41および配線パターン16が形成されたキャリアシート40を用意し、そのキャリアシート40をシート状基体12の上方に配置する。ここで、凸部40aおよびキャリアシート40は例えば銅からなり、一体形成されており、金属層41は、例えばクロム(Cr)からなり、剥離層として機能する。
【0090】
次に、キャリアシート40をシート状基体12に接触させて、配線パターン16を転写させると、金属層41と配線パターン16との間で剥離が生じ、キャリアシート40の凸部40aの高さにほぼ相当する深さを有する凹部15bが形成されたコネクタシート10を得ることができる。凹部15bが形成されたコネクタシート10は、例えば、バンプ接続を用いたフィリップチップ実装を行う上で、位置合わせが容易である等の利点を有している。
【0091】
(実施の形態2)
次に、図15から図17を参照しながら、本発明の実施の形態2の構成について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態1の構成の改変例である。なお、本実施の形態においては、説明の簡略化のため、上記実施の形態1で説明した内容と同様のものについては省略または簡略化するものとする。
【0092】
上記実施の形態1では、1つのコア基板20上にコネクタシート10を配置したが、2つ又はそれ以上のコア基板20上にコネクタシート10を配置させることも可能である。以下、さらに説明する。
【0093】
図15は、少なくとも2層の配線層(51,53)を含む第1コア基板20Aと、少なくとも2層の配線層71を含む第2コア基板20Bと、コネクタシート10とを備えた多層配線基板(モジュール)200である。コネクタシート10は、第1コア基板20Aおよび第2コア基板20における上面の略全面に密着されている。図15に示した例において、第1コア基板20Aは、樹脂を含む材料から構成されており、一方、第2基板は、セラミック材料から構成されている。詳細に述べると、第1コア基板20Aは、上記実施の形態1でも示したガラス−エポキシ多層基板(例えば、FR−4基板)であり、一方、第2コア基板20Bは、セラミック多層基板(例えば、アルミナ多層基板)である。
【0094】
本実施の形態における第1コア基板20Aは、貫通メッキスルーホール(52)を有する構造のFR−4基板であり、コア基板20Aの厚みは、300μm〜800μm程度である。メッキスルーホールのピッチルールは500μmであり、ドリル径は250μmφであり、そして、ランド径は450μmφ等のルールが用いられる。配線層(51,53)の厚さは、通常、50μm〜200μm程度であるが、本実施の形態では、配線層の厚さが100μm厚の4層板を用いている。コア基板20Aは、曲げ弾性率で、通常20GPa〜30GPa程有の剛性を有しているが、本実施の形態では、剛性の高い30GPaの物性値を有するコア基板20Aを採用している。
【0095】
一方、本実施の形態における第2コア基板20Bは、アルミナ多層基板である。図15に示したアルミナ多層基板は、アルミナからなる絶縁層70と、絶縁層70上に形成された配線層71と、配線層71の層間接続を行うビア72とから構成されている。配線層71には、例えば、アルミナ焼成温度で同時に焼結されるモリブデン電極が用いられている。アルミナ多層基板の場合、配線パターンは印刷形成されるので、半導体素子の実装部である表層は、通常は、別途焼き付けて形成する。一方、本実施の形態では、コネクタシート10を用いてファインな表層配線部を形成することが可能である。なお、本実施の形態のようにコア基板20Bとしてアルミナ基板を採用するときは、消費電力が大きい半導体素子を実装することが想定されていることが多い。これは、アルミナ基板の熱伝導率は20〜30W/m・Kと、通常のプリント基板と比較して桁違いに大きく、それゆえ、消費電力が大きい半導体素子を実装した際に、放熱性、均熱性(すなわち、局所的に熱が偏ることを回避できること)の観点から有利に働くからである。
【0096】
本実施の形態の構成では、2つのコア基板20A、20Bを1枚のコネクタシート10によって多層化しており、このようなことは、ビルトアップ基板(例えば、図3参照)では実行できないことである。そして、単なる多層化にとどまらず、2つのコア基板20A、20Bを連結しているので、2つのコア基板20A、20Bを含めたモジュール200を実現することができ、たとえば配線の設計自由度などを大幅に向上させることが可能となる。
【0097】
また、図15に示すように、コア基板20Aとコア基板Bとの厚みが異なる場合であっても、コネクタシート10を用いれば、特に問題なく、コア基板20Aおよびコア基板Bの表層(半導体素子の実装部)に、ファインな配線パターン16を簡便に形成することができる。これは、コア基板20Aとコア基板20Bとの配線層数が異なる場合でも同様である。したがって、コア基板20Aとして、4層よりもさらに安価な2層の基板(両面配線基板)を用い、コア基板20として、4層またはそれ以上の基板を用いることも可能である。
【0098】
加えて、放熱性等の向上を考えてコア基板20Bだけにアルミナ基板を用いることができることは、基板材料の選択自由度を大きくする。また、コア基板20Aの部分を安価な基板で処理できることを意味し、その結果、低コスト化を図ることができるという効果を得ることができる。そして、本実施の形態のコネクタシート10は、樹脂と無機フィラーとを含む材料から構成されているので、無機フィラーによって、部位ごとに熱膨張係数を調節することができる。したがって、1枚のコネクタシート10のうちコア基板20Aおよび20Bに対応する部位の熱膨張係数を、それぞれ、コア基板20Aおよび20Bの熱膨張係数と実質的に同一することが可能である。コネクタシート10は、熱硬化性樹脂を含む材料から形成されていることが好ましく、この熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂からなる群から選らばれた少なくとも1種の樹脂である。このような材料からなるコネクタシート10を含む多層配線板200によれば、半導体素子に形成されている電極部と電極部接続用電極とを、電極部の表面および電極部接続用電極の表面に含まれる金属層によって直接に接合しても、半導体素子と配線基板の熱膨張差に起因して発生する応力を緩和することができる。また、熱硬化性樹脂を含む材料が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物10〜25重量%と、無機フィラー75〜90重量%とから構成されていることが好ましい。なぜならば、無機フィラーが75重量%よりも少ないと、絶縁層の熱膨張係数が高くなり、かつ熱伝導性が低下するので、そのような絶縁層を含む配線基板は、半導体装置の配線基板として適さない場合が発生し得るからであり、無機フィラーが90重量%よりも多いと、熱硬化性樹脂の量が少なくなることにより、硬化することによって絶縁層となるシート状物の成形がしづらくなり、また成形されたシート状物が破れ易い場合が生じ得るからであり、あるいは、コア基板との密着力が低下する場合が生じ出るからである。したがって、無機フィラーの含有率は75〜90重量%であることが好ましい。
【0099】
なお、本実施の形態の構成では、コア基板20Aをガラス−エポキシ多層基板とし、コア基板20Bをアルミナ基板としたが、これに限らず、例えば、コア基板20BをALIVHTM基板にすることも可能である。また、コア基板20A、20Bは、異なる基板に限らず、同種の基板(例えば、ガラス−エポキシ多層基板)であってもよい。さらに、2つのコア基板20A、20Bに限定されず、3つのコア基板にわたって、コネクタシート10を配置させることも可能である。
【0100】
コネクタシート10上には、上記実施の形態1と同様に、電子部品(例えば、半導体素子、受動部品)を載置することができ、それによって、モジュールを構成することができる。半導体チップのフリップチップ実装に必要なAuめっき処理は、例えば、コネクタシート10を硬化させてから、Niメッキを下地層として無電界金メッキ法にて行うことができる。また、コネクタシート10内に受動部品を形成することも可能である。本実施の形態のコネクタシート10では、シート状基体12の両面に、配線パターン16、17を形成している。換言すると、本実施の形態のコネクタシート10は、上下面側だけでなく、下面側にも1層の配線パターン(配線層)を設けている。シート状基体12の上面および下面にそれぞれ配線パターン16、17を設けた構成の場合、転写法によって、両面にファインラインを形成することができるので、配線設計の自由度がさらに高い多層配線基板を実現することができる。なお、シート状基体12の片面のみに配線パターン16を形成したコネクタシート10を用いて、本実施の形態の多層配線基板200を構築することも可能である。
【0101】
加えて、本実施の形態の多層配線基板200では、コア基板20Aと20Bとの連結部80において、屈曲させることが可能である。すなわち、コア基板20Aと20Bとの連結部80では、可撓性のあるコネクタシート10によって両者(コア基板20A、20B)を連結しているので、コネクタシート10の可撓性を利用して、折り曲げることができる。したがって、多層配線基板200に屈曲部または折り曲げ部を設けて、多層配線基板200の形状を屈曲させたり折り曲げたりすることは、多層配線基板200を、あたかも、一種のフレキシブルリジッド基板のように使用することができ、それゆえ、フレキシブルリジッド基板が用いられる用途に応用できる可能性を秘めている。なお、フレキシブルリジッド基板の場合、その製法上、数多くの不要部分(特に、フレキシブル部分)を廃棄しなければならないが、本実施の形態の多層配線基板200の場合、フレキシブルリジッド基板のように数多くの不要部分を廃棄する必要はないので、その点でも利点を有している。
【0102】
本実施の形態の構成によれば、安価なコア基板(例えば、FR−4、アルミナ多層基板)に、ファインラインを形成したコネクタシート10を積層、貼り付けることによって、表層にファインラインを有する多層配線基板200を簡便に実現することができる。これにより、パッド電極が狭ピッチである半導体素子がフリップチップ実装されたモジュール(半導体モジュール)あるいは、半導体素子がワイヤーボンディング実装されたモジュール(半導体モジュール)を実現することができる。さらに、本実施の形態の構成によると、消費電力の異なる複数の半導体素子をコネクタシート10を用いて効果的に形成することができるので便利である。消費電力の異なる半導体素子とは、例えば、消費電力が2W程度のIC(集積回路)と、消費電力が0.1Wの以下のIC(集積回路)である。なお、本実施の形態では、消費電力の異なる複数種の半導体素子の実装体を想定して、異なるコア基板(20A、20B)を採用したが、同種の複数の半導体素子の実装体を想定して、同種のコア基板を用いた半導体モジュールを構築してもよい。
【0103】
次に、図16(a)から(c)を参照しながら、本実施の形態の多層配線基板200の製造方法について簡単に説明する。
【0104】
まず、図16(a)に示すように、導電性部材14が形成されたシート状基体10の両面に、それぞれ、キャリアシート40Aに形成された配線パターン16およびキャリアシート40Bに形成された配線パターン17を転写する。
【0105】
上記転写工程によって形成されたコネクタシート10を、図16(b)に示すように、コア基板20Aおよびコア基板20Bの上方に配置する。その後、コネクタシート10を、コア基板20Aおよびコア基板20Bの上面に密着させれば、本実施の形態の多層配線基板200を得ることができる。
【0106】
なお、コネクタシート10における配線パターン(16、17)の形成は、銅箔付きコンポジットシートを用いたサブトラクティブ法によって配線のパターニングを行うことにより実行してもよい。ただし、サブトラクティブ法を用いると、銅配線の形状が台形になるため、例えばライン/スペース(L/S)が30μm/30μmの場合においてトップ幅25μmを確保したいときに、配線のトップ幅を十分に確保することが困難となる。そのため、ファインラインを形成する場合には、銅箔厚みを9μm以下に薄くすることが望ましい。より望ましくは、そのような困難性が少ない転写法によって形成する。
【0107】
コネクタシート10の配線パターン16又は17を良好に形成できるのであれば、転写法の具体的な手法は特に限定されない。例えば、めっきによる剥離層が形成された厚い銅箔をキャリアシート40して配線用銅箔がパターニングされたものを用いてもよいし、あるいは、ポリエチレンフタレート(PET)フィルムやポリイミド(PI)フィルムをキャリアシート40して、接着層を介して銅箔配線がパターニングされたものを用いることもできる。通常、パッドピッチが60μmであるベアの半導体チップをフリップチップ実装するためには配線基板の表層として、ライン/スペース=30μm/30μmが必要とされる。例えばバンプを介して半導体チップのパッド電極とコネクタシート10の配線部と接続するためには、配線のトップ幅として25μm以上が望まれる。転写形成材の銅箔配線のパターニングはサブトラクティブ法で形成されるが、転写によってコネクタシートに形成することによって逆台形の配線断面構造となり、容易に配線トップ幅を確保する事が出来る。
【0108】
本実施の形態では、コア基板20A、20B上にコネクタシート10を配置したが、コア基板に限定されず、配線基板に電子部品が実装されて回路が形成された各種モジュール(例えば、カメラモジュールなど)の上にも、コネクタシート10を配置することが可能である。図17は、配線基板(マザーボード)21と、第1モジュール(ここでは、GPSモジュール)と、第2モジュール(ここでは、カメラモジュール)との上に、コネクタシート10を密着させた構成例(210)を示している。この構成例210には、屈曲可能な連結部80が存在しているので、図18に示すように、コネクタシート10を折り曲げて、屈曲部82を有する構成220にすることも可能である。なお、屈曲部82は、1つに限らず、場合よっては複数個形成することも可能である。
【0109】
また、図19に示すように、コア基板(マザーボード)21から延ばしたコネクタシート10を電子機器230の筐体231内に配置することも可能である。コネクタシート10は可撓性を有しているので、筐体231内の部材(232、232、234)を避けて、効率的に筐体231の空間を利用しながら、配置させることができる。この例では、コネクタシート10に湾曲部83が形成されている。
【0110】
筐体231内の部材232は、例えば電池であり、そして、部材233は、例えば記録媒体(ハードディスクなど)である。部材234は、板状部材(例えば回路基板、板状のモジュールなど)である。コネクタシート10には、表面および裏面ともに配線層を形成することが可能であるので、図19に示すように、コネクタシート10の表面および裏面の両方に電子部品(24、25、26、27、28)が載置されている。電子部品(24、25、26、27、28)は、能動部品(例えば半導体素子)、受動部品(例えばチップ部品)、モジュール(例えば、GPSモジュール、カメラモジュールなど)である。コネクタシート10を用いることにより、筐体231内の空間を有効利用できるので、電子機器の小型化を進めることができたり、電子機器の設計自由度を上げたりすることが可能となる。
【0111】
(実施の形態3)
上記実施の形態1および2では、コア基板20(20A、20B、あるいは、モジュール22、23)とコネクタシート10とを組み合わせて、多層配線基板100(または、200、210、220)を構築したが、電子機器の筐体とコネクタシート10とを組み合わせることも可能である。図20から図22を参照しながら、以下、説明を続ける。
【0112】
図20は、携帯用電子機器である携帯電話300の外観形状を側面から示している。図20に示した携帯電話300は、筐体(310、320)と、表示部330と、アンテナ360とから構成されている。この例の携帯電話は、折り畳みタイプの構成を有しており、第1の筐体部310と、第2の筐体部320とからなり、第1の筐体部310と第2の筐体部320とはヒンジ部350によって連結されている。第1の筐体部310には、ボタン340と、アンテナ360とが取り付けられており、第2の筐体部320には表示部(例えば、液晶表示部、有機EL表示部)が設けられている。なお、この携帯電話300の構成は例示であり、折り畳みでないタイプのもの(例えば、ストレートタイプ、レボルバータイプなど)であってもよい。
【0113】
図20に示した携帯電話300における第1の筐体部310を、X−X’線で切断した断面構成を、図21および図22に示す。図21は、本実施の形態の電子機器(携帯電話300)の構成を示しており、図22は、本実施の形態の構成と対比するための比較例である。
【0114】
図21に示した構成では、第1の筐体部310の内面に、コネクタシート10が密着されて形成されており、コネクタシート10の上に電子部品30が搭載されている。コネクタシート10の構成は、上記実施の形態1および2で示した通りであり、シート状基体12と、導電性部材14と、配線パターン16から構成されている。
【0115】
この例において、第1の筐体部310内には、比較的大きな部材(例えば、電池)370と、配線基板(例えば、キーボード用基板)342とが配置されており、第1の筐体部310は、持ちやすいように底面側を湾曲させた形状となっている。なお、キーボード用基板342は、弾性部材(例えばバネ)344を介してボタン340と接続されている。
【0116】
図20に示した構成によれば、コネクタシート10上に電子部品30を実装して、第1の筐体部310内に配置しているので、比較的大きな部材(例えば、電池)370が存在していても、設計自由度を比較的多くとることができる。具体的には、部材370が存在しているのに、厚さT1のような薄い筐体を実現することができる。
【0117】
一方で、図22に示した比較例のように、通常のプリント基板(リジッド基板)380上に電子部品30を実装して、第1の筐体部310内に配置した場合には、設計の自由度は制限されてしまい、図21に示した厚さT1の筐体の実現は無理であり、厚さT1よりも厚いT2で、不要なスペース315がある筐体となってしまう。
【0118】
今日、携帯電話のモデルチェンジのスピードは極めて早くなっており、そのモデルチェンジにより、筐体の設計変更も比較的頻繁に行われる。また、携帯電話の購買意欲をユーザーに訴える観点からは、筐体の形状も非常に重要な要素になっており、それゆえ、配線基板、回路部品の寸法にあわせて筐体の形状を決定する場合だけでなく、筐体の形状にあわせて、配線基板、回路部品の寸法を決定しなければならない場合も発生してきている。ここで、図22に示すような通常のプリント基板380を用いた場合では、筐体の形状に合わなければ、回路基板の設計を一からやり直さなければならない場合が発生するが、図21に示した構成の場合、設計自由度が高いので、筐体の形状の変化に、十分に対応できることが多い。その意味で、図21に示した構成は、非常に好適である。
【0119】
コネクタシート10と筐体310とは密着しているので、両者の熱膨張係数をそろえることが好ましいが、その場合には、コネクタシート10中に含有する無機フィラーによって調整を行うことができるので、その点でも、本実施の形態の構成の利点は大きい。
【0120】
本実施の形態の構成は、携帯用電子機器のうち、実装面積の厳しい制限がある携帯電話に好適に適用されるが、もちろん、他の携帯用電子機器(例えば、PDA、デジタルカメラなど)にも好適に用いることができる。
【0121】
以上、本発明を好適な実施の形態により説明してきたが、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。また、前記各実施の形態における記述は本発明の限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、各実施の形態の構成および改変例を相互に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、表層に微細配線を有する多層配線基板を簡便に製造して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】従来のガラス−エポキシ多層基板500の断面構成を模式的に示す図
【図2】ガラス−エポキシ多層基板510の構成を模式的に示す断面図
【図3】ビルトアップ基板520の構成を模式的に示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1に係る多層配線基板100の断面構成を模式的に示す図
【図5】本発明の実施の形態1に係るコネクタシート10の断面構成を模式的に示す図
【図6】本発明の実施の形態1に係る多層配線基板100の断面構成を模式的に示す図
【図7】本発明の実施の形態1に係るモジュール100の断面構成を模式的に示す図
【図8】(a)から(c)は、コネクタシート10を製造する方法を説明するための工程断面図
【図9】(a)から(d)は、複数回の転写工程を説明するための工程断面図
【図10】コネクタシート10Bをコア基板20上に搭載した構成を示す断面図
【図11】(a)および(b)は、コネクタシート10をコア基板20上に搭載した構成を示す断面図
【図12】(a)から(c)は、断面が台形形状の配線パターン16をコネクタシート10に形成する工程を説明するための工程断面図
【図13】(a)および(b)は、配線パターン16を意図的に凸状に形成する工程を説明するための工程断面図
【図14】(a)および(b)は、コネクタシート10の表面に意図的に凹部15bを形成する工程を説明するための工程断面図
【図15】本発明の実施の形態2に係る多層配線基板200の構成を模式的に示す断面図
【図16】(a)から(c)は、多層配線基板200の製造方法を説明するための工程断面図
【図17】本発明の実施の形態2に係るモジュール210の構成を模式的に示す断面図
【図18】本発明の実施の形態2に係るモジュール220の構成を模式的に示す断面図
【図19】本発明の実施の形態2に係る電子機器230の構成を模式的に示す断面図
【図20】携帯電話300の外観形状を示す側面図
【図21】図20中のX−X’線で切断した断面図
【図22】図21に示した構成の比較例を表す図
【符号の説明】
【0124】
10 コネクタシート
12 シート状基体
14 導電性部材
16 配線パターン
16s 信号ライン
16g グランドライン
17 配線パターン
18 離型フィルム
20 コア基板(コア多層配線板)
30 電子部品
32 半導体素子
34 受動部品(チップ部品)
40 キャリアシート
41 金属層(剥離層)
50 絶縁層
51 銅箔層(配線層)
52 スルーホール
53 メッキ層
54 銅箔層(配線層)
55 積層体
60 絶縁層
61 配線層(メッキ層)
62 ビア(IVH)
70 絶縁層
71 配線層
72 ビア
80 連結部
82 屈曲部
83 湾曲部
100 多層配線基板
200 多層配線基板(モジュール)
210,220 モジュール
230 電子機器
300 携帯用電子機器(携帯電話)
500,510 ガラス−エポキシ多層基板
520 ビルトアップ基板
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年1月23日(2004.1.23)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100103355
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 智康

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【公開番号】 特開2005−209904(P2005−209904A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−15264(P2004−15264)