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【発明の名称】 配線基板の表面処理方法、配線基板、電子部品実装配線基板およびはんだレベラー形成用析出型はんだ組成物
【発明者】 【氏名】久木元 洋一
【住所又は居所】兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内

【氏名】櫻井 均
【住所又は居所】兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内

【氏名】池田 一輝
【住所又は居所】兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内

【氏名】入江 久夫
【住所又は居所】兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内

【要約】 【課題】電極部分の濡れ性を改善し、高い接合強度が得られると共に、鉛を含まないはんだレベラーを用いる配線基板の表面処理方法、このはんだレベラー備えた配線基板および電子部品実装配線基板、さらにはんだレベラーを形成するための析出型はんだ組成物を提供することである。

【解決手段】錫粉末と、錫よりもイオン化傾向の小さい金属(ただし鉛を除く)の塩とを含む析出型はんだ組成物を基板表面に塗布し、これを加熱して基板表面に鉛フリーのはんだレベラーを形成する配線基板の表面処理方法である。この表面処理方法によって少なくとも電極部分が鉛フリーのはんだレベラーで表面処理されている配線基板、ならびに上記の方法によって鉛フリーのはんだレベラーで表面処理された電極部分にはんだにて電子部品が実装された、耐久性に優れた電子部品実装配線基板が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錫粉末と、錫よりもイオン化傾向の小さい金属(ただし鉛を除く)の塩とを含む析出型はんだ組成物を基板表面に塗布し、加熱して基板表面に鉛フリーのはんだレベラーを形成することを特徴とする配線基板の表面処理方法。
【請求項2】
前記金属塩が有機酸金属塩もしくは無機酸金属塩または金属錯塩である請求項1記載の表面処理方法。
【請求項3】
前記金属塩が銅塩である請求項1または2記載の表面処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理方法によって少なくとも電極部分に鉛フリーのはんだレベラーが形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理方法によって鉛フリーのはんだレベラーが形成された電極部分にはんだにて電子部品を実装したことを特徴とする電子部品実装配線基板。
【請求項6】
錫粉末と、錫よりもイオン化傾向の小さい金属(ただし鉛を除く)の塩とを含むことを特徴とする鉛フリーのはんだレベラー形成用析出型はんだ組成物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、析出型はんだ組成物を用いる配線基板の表面処理方法、ならびにこのはんだレベラーを備えた配線基板および電子部品実装配線基板、さらにはんだレベラーを形成するための析出型はんだ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配線基板(プリント配線板等)に電子部品をはんだ付けする場合、信頼性の観点から、はんだが配線基板に対して高い接合強度を有することが要求される。このために、配線基板、特に銅箔等の電極(パッド)部分を表面処理し、はんだに対する電極の濡れ性を改善することが従来より行われている。つまり、接合部がはんだ濡れ性に優れていると、接合強度もよく、製品歩留まりも高くなるのである。
【0003】
上記表面処理方法としては、以下のような方法が知られている。
(1)有機系または無機系のプリフラックスを使用して配線基板全面に保護皮膜を形成する。
(2)配線基板にはんだ膜を形成する方法であって、ホットエアーレベラー処理、マイクロソルダー印刷法などがある。
【0004】
プリフラックスは、空気や湿気の遮蔽効果に優れ、銅箔の酸化を防止するという点では優れているが、濡れ性の改善や接合強度の向上効果には劣っている。
【0005】
一方、ホットエアーレベラー処理は、溶融はんだ中に配線基板を浸漬させ、引き上げると同時にホットエアーを吹き付け、スルーホール内のはんだを吹き飛ばし、レジストが被覆されていない電極部分に薄いはんだ膜を形成する方法である。ホットエアーレベラー処理した配線基板としては、下記特許文献1に記載がある。
【0006】
この特許文献1は電子部品の接合に鉛フリーはんだを開示しているが、レベラーには鉛入りはんだは使用している。このため、環境面からも、レベラーにも鉛を含まない鉛フリーのはんだを使用することが求められている。ところが、例えばSn/Ag系はんだペーストをレベラーに使用した場合、融点が高くなるため、処理温度も高くなり、基板に悪影響を与えるおそれがあり、また濡れ性にも劣るという問題がある。また、ホットエアーレベラー処理は、レベラーの膜厚を均一に制御するのが困難であり、かつ接合強度の向上効果に劣っている。
【0007】
前記マイクロソルダー印刷法でレベラーを作成する場合、はんだペーストを極少量だけメタルマスクなどを用いて電極部分に印刷するものである。印刷はんだ量が少ないために、鉛を含まない鉛フリーのはんだ(例えばSn/Ag系はんだ等)では、濡れ性が鉛入りはんだに劣るため、電極中に不濡れ部分が発生しやすく、接合強度の向上効果に劣っている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−185120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、電極部分の濡れ性を改善し、高い接合強度が得られると共に、鉛を含まないはんだレベラーを用いる配線基板の表面処理方法、このはんだレベラー備えた配線基板および電子部品実装配線基板、さらにはんだレベラーを形成するための析出型はんだ組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記したホットエアーレベラー処理やマイクロソルダー印刷法の有する問題点に鑑み、これらに代わる新しいはんだレベラー形成方法を種々検討した結果、特定組成の析出型はんだ組成物を使用し、このはんだ組成物を基板表面に塗布し加熱するときは、はんだ成分が析出して、膜厚が均一ではんだとの濡れ性が良好なコーティング膜が得られ、これにより、はんだの接合強度が向上し、しかも鉛を含まないレベラー処理が可能になるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明にかかる配線基板の表面処理方法は、錫粉末と、錫よりもイオン化傾向の小さい金属(ただし鉛を除く)の塩とを含む析出型はんだ組成物を基板表面に塗布し、これを加熱して基板表面に鉛フリーのはんだレベラーを形成することを特徴とする。
【0012】
上記析出型はんだ組成物を使用すると、その塗布部位ではんだレベラーが析出するため、部分的に、すなわち前記基板表面のスルーホール部やチップリード部などの電極部分に前記はんだレベラーを形成するができる。
【0013】
前記金属塩は加熱すると、該塩中の金属が遊離し、イオン化傾向の差により錫金属と置換し同時に過剰の錫金属粉中に拡散してはんだ合金を形成する。前記金属塩の種類は特に限定されず、有機酸金属塩もしくは無機酸金属塩または金属錯塩が使用可能であり、また金属種の観点からは銅塩であるのが好ましい。
【0014】
本発明では、上記の表面処理方法によって少なくとも電極部分が鉛フリーのはんだレベラーで表面処理されていることを特徴とする配線基板、ならびに上記に記載の方法によって鉛フリーのはんだレベラーで表面処理された電極部分にはんだにて電子部品を実装した電子部品実装配線基板が提供される。
【0015】
また、本発明にかかる鉛フリーのはんだレベラー形成用析出型はんだ組成物は、錫粉末と、錫よりもイオン化傾向の小さい金属(ただし鉛を除く)の塩とを含むことを特徴とする。なお、本発明において、鉛フリーとは、鉛を実質的に含まないという意味である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定組成の析出型はんだ組成物を使用し、このはんだ組成物を基板表面に塗布し加熱するときは、はんだ成分が析出して、膜厚が均一ではんだとの濡れ性が良好なコーティング膜が得られ、しかもはんだの接合強度が向上するため、鉛を含まない表面処理が可能になるという効果がある。特に、本発明では、析出型はんだ組成物を使用しているため、電極部分のみに前記はんだレベラーを簡単に形成するができる。
従って、本発明にかかる配線基板、ならびに電子部品実装配線基板は、はんだ接合強度が向上することにより、耐久性が改善され、高い信頼性が得られると共に、製品歩留まりも向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明における析出型はんだ組成物は、錫粉末と、錫よりもイオン化傾向の小さい金属の塩とを含む。上記錫粉末は 金属錫粉末の他、例えば銀、銅、アンチモン、インジウム、ビスマスなどの金属を含有する錫合金(共晶)粉末であってもよい。このような錫合金(共晶)粉末としては、例えば錫−銀系、錫−銅系、錫−アンチモン系、錫−銀−銅系、錫−銀−インジウム系、錫−銀−ビスマス系などの合金粉末が挙げられる。また、錫合金粉末の場合、錫は合金粉末の組成中に約70質量%以上、好ましくは約80質量%以上、より好ましくは約90重量%以上の割合で含有されているのがよい。また、上記錫粉末の粒径は100μm以下、好ましくは60μm以下であるのがよく、粒径がこれよりも大きいとペーストの印刷が困難となる可能性がある。
【0018】
錫粉末と組み合わされる前記金属塩としては、例えば各種の有機酸金属塩、無機酸金属塩、金属錯塩などが挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して使用することができる。また、これらの金属塩における金属としては、鉛を除く、錫よりもイオン化傾向が小さい金属であって、例えば金、銀、銅、ビスマス、アンチモン、白金などが挙げられる。
【0019】
前記有機酸金属塩を形成する有機酸としては、種々の脂肪酸、樹脂酸、芳香族カルボン酸などが使用可能であり、具体的には、例えばステアリン酸、オクチル酸、ナフテン酸、アビエチン酸、安息香酸などが挙げられる。また、前記無機酸金属塩を形成する無機酸としては、例えば塩化銅等を形成する塩化水素などのハロゲン化水素、硝酸銀等を形成する硝酸、さらに硫酸、リン酸などが挙げられる。
【0020】
また、前記金属錯塩としては、種々の金属錯体(金属錯イオン)の塩が使用可能である。錯体としては、例えば前記した金属と、ホスフィン類、含窒素複素環化合物、またはチオール、チオエーテル若しくはジスルィド結合を有する化合物などとの錯体が好適に使用される。
【0021】
上記ホスフィン類としては、例えば下記一般式で表される化合物が適当であり、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリ(o−、m−又はp−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のアリールホスフィン類、またはトリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリベンジルホスフィン等のアルキルホスフィン類が好適に用いられる。
【化1】


【0022】
その中でも、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンが特に好適に用いられ、トリフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィンが最も好適に用いられる。
【0023】
前記含窒素複素環化合物としては、五員環もしくは六員環化合物またはこれらの誘導体が挙げられる。含窒素五員環化合物としては、例えばテトラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ピロール、インドール又はこれらアゾールの誘導体が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して使用することができる。
【0024】
テトラゾール及びその誘導体としては、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール、5−メルカプト−1−フェニルテトラゾール等が、トリアゾール又はベンゾトリアゾール及びその誘導体としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、5−メチルトリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、カルボキシベンゾトリアゾール、4−アミノベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、4−ニトロベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール等が例示される。
【0025】
イミダゾール又はベンズイミダゾール及びその誘導体としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−アミノイミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、イミダゾール−4−カルボン酸、ベンズイミダゾール、1−メチルベンズイミダゾール、2−メチルベンズイミダゾール、2−エチルベンズイミダゾール、2−ブチルベンズイミダゾール、2−オクチルベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2−トリフルオロメチルベンズイミダゾール、4−メチルベンズイミダゾール、2−クロロベンズイミダゾール、2−ヒドロキシベンズイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メチルチオベンズイミダゾール、5−ニトロベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール−5−カルボン酸等が例示される。
【0026】
ピラゾール又はインダゾール及びその誘導体としては、ピラゾール、3−メチルピラゾール、4−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−トリフルオロメチルピラゾール、3−アミノピラゾール、ピラゾール−4−カルボン酸、4−ブロモピラゾール、4−ヨードピラゾール、インダゾール、5−アミノインダゾール、6−アミノインダゾール、5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール等が例示される。チアゾール又はベンゾチアゾール及びその誘導体としては、チアゾール、4−メチルチアゾール、5−メチルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、2,4,5−トリメチルチアゾール、2−ブロモチアゾール、2−アミノチアゾール、ベンゾチアゾール、2−メチルベンゾチアゾール、2,5−ジメチルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、2−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メチルチオベンゾチアゾール等が例示される。オキサゾール又はベンゾオキサゾール及びその誘導体としては、イソオキサゾール、アントラニル、ベンゾオキサゾール、2−メチルベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾオキサゾール、2−クロロベンゾオキサゾール、2−ベンゾオキサゾリノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール等が例示される。
【0027】
ピロール又はインドール及びその誘導体としては、ピロール、2−エチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、ピロール−2−カルボキシアルデヒド、ピロール−2−カルボン酸、4,5,6,7−テトラヒドロインドール、インドール、2−メチルインドール、3−メチルインドール、4−メチルインドール、5−メチルインドール、6−メチルインドール、7−メチルインドール、2,3−ジメチルインドール、2,5−ジメチルインドール、2−フェニルインドール、5−フロロインドール、4−クロロインドール、5−クロロインドール、6−クロロインドール、5−ブロモインドール、4−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、4−メトキシインドール、5−メトキシインドール、5−アミノインドール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、インドール−3−カルボキシアルデヒド、インドール−2−カルボン酸、インドール−4−カルボン酸、インドール−5−カルボン酸、インドール−3−酢酸、3−シアノインドール、5−シアノインドール等が例示される。
【0028】
前記含窒素六員環化合物としては、例えばピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、フェナントロリンまたはこれらの誘導体などが挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して使用することができる。具体的には、例えばピリジン、2、2'−ビピリジル、ニコチン酸、ピリダジン、ピリミジン、ウラシル、ピラジン、1、3、5‐トリアジン、シアヌール酸、キノリン、8−ヒドロキシキノリン、イソキノリン、1,10−フェナントロリン等が好適に用いられる。
【0029】
前記チオール、チオエーテル若しくはジスルィド結合を有する化合物としては、例えばメタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオ−ル、1−ブタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、2−プロペン−1−チオ−ル、エタンジチオール、2−メルカプトエタノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、2−アミノエタンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、1,4−ベンゼンジチオール、トルエンジチオール、アミノベンゼンチオール、フェニルメタンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、L−システイン、硫化メチル、硫化エチル、硫化ジブチル、硫化ジビニル、硫化ジフェニル、硫化ジベンジル、二硫化ジメチル、二硫化ジエチル、二硫化メチルプロピル、ジチオジグリコール酸などが挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して使用することができる。
【0030】
前記金属錯塩を得るためには、前記錯体がカチオン性の場合、カウンターアニオンを必要とする。このようなカウンターアニオンとしては、例えば有機スルホン酸イオン、有機カルボン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
【0031】
前記有機スルホン酸としては、例えば下記一般式(A)、(B)又は(C)で表される有機スルホン酸から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
一般式(A):
【化2】



(R4は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数2〜18のアルキニル基を表し、X1は水酸基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル又はスルホン酸基を表し、nは0〜3の整数であって、X1はR4の任意の位置にあってよい)
一般式(B):
【化3】



(R5は炭素数1〜18のアルキル基であり、このアルキル基が炭素数1〜3であるとき、水酸基が任意な位置に置換してもよく、X2は塩素又はフッ素を表し、nは1以上でR5に結合し得る水素の数以下の整数であり、R5におけるX2の結合位置は任意であり、mは1〜3の整数である)
一般式(C):
【化4】


【0032】
上記有機スルホン酸としては、例えばメタンスルホン酸、メタンジスルホン酸、メタントリスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、2−ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ヘキサデカンスルホン酸、オクタデカンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、1−ヒドロキシプロパン−2−スルホン酸、3−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシブタンスルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、2−ヒドロキシヘキサン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシデカンスルホン酸、2−ヒドロキシドデカンスルホン酸、1−カルボキシエタンスルホン酸、2−カルボキシエタンスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸、アリルスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−又は3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、モノクロロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、パークロロエタンスルホン酸、トリクロロジフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、モノクロロジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、テトラクロロプロパンスルホン酸、トリクロロジフルオロエタンスルホン酸、モノクロロエタノールスルホン酸、ジクロロプロパノールスルホン酸、モノクロロジフルオロヒドロキシプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、フェノールスルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、アニソールスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、3−スルホプロピオン酸、スルホコハク酸、スルホメチルコハク酸、スルホフマル酸、スルホマレイン酸、2−スルホ安息香酸、3−スルホ安息香酸、4−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸、4−スルホフタール酸、5−スルホイソフタール酸、2−スルホテレフタール酸ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0033】
また前記カウンターアニオンとして使用される有機カルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、オクタン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロピオン酸等のハロゲン置換カルボン酸などが挙げられる。また、前記ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素が挙げられる。
【0034】
前記組成物中の前記錫粉末と、前記金属塩との比率(錫粉末の重量:金属塩の重量)は、通常99:1〜50:50程度、好ましくは97:3〜60:40程度とするのがよい。
【0035】
前記組成物中には、上記成分以外にフラックスや溶剤を混合することもできる。フラックスとしては、通常、錫−鉛系、錫−銀系、錫−銅系などのはんだ材料に使用されるフラックスを用いることができる。このフラックスは、樹脂、活性剤、溶剤などを含有する。また、前記溶剤としては組成物中の成分を溶解し、粘度や濃度を調整することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0036】
前記はんだ組成物を用いて配線基板上にはんだレベラーを形成するには、基板表面に前記はんだ組成物を塗布し加熱処理する。塗布は、基板表面の全体にべた塗りしてもよいが、スルーホール部やチップリード部などの電極部分のみにはんだレベラーを形成するのが、基板自体の設計の自由度を高めるうえで好ましい。電極部分のみはんだ組成物を塗布するには、例えばメタルマスクとスキージを用いる塗布方法(刷り込み印刷)を使用してもよく、あるいは基板表面に樹脂または金属のマスキング層を設けて、必要部分のみに塗布するようにしてもよい。
【0037】
塗布後、所定の温度で加熱してはんだ合金を析出させる。このとき、生成するはんだ合金は、電極を構成する銅との濡れ性が高いため、この電極の表面に選択的に付着してはんだレベラーが形成される。特に、前記錯塩を使用する場合には、電極の表面への選択性が向上する傾向にある。
【0038】
加熱温度は、組成物の組成などに応じて決定され、通常、150℃以上、好ましくは200〜250℃程度とするのがよい。また、加熱時間は、組成物の組成などに応じて決定され、通常、30秒〜10分程度、好ましくは1分〜5分程度であるのがよい。加熱後、配線基板を放冷し、電極以外にはんだ合金が残留しないように、残った合金成分などを溶剤などで洗い流す。かくして、厚さが60μm以下の薄いはんだ膜であるはんだレベラーが得られる。はんだレベラーの厚さは40μm以下であるのがより好ましい。
【0039】
はんだレベラー形成後、このはんだレベラーを介して電極上にはんだペーストを塗布し、加熱して電子部品のリードを接合する。また、はんだレベラーを介して電極上にはんだボールを載置し、加熱してはんだボールをリフローさせる。使用するはんだペーストやはんだボールは特に制限されるものではなく、従来より使用されている種々の組成のはんだ材料を使用して製造されたものがいずれも使用可能であり、例えばSn−Pb系、Sn−Ag系、Sn−Ni系などが挙げられるが、特に鉛フリーのはんだ材料を使用するのが好ましい。
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
(析出型はんだ組成物の調製)
錫粉末(Sn/Ag=96.5/3.5(質量比)、粒径:10μm)20質量%と、テトラキストリフェニルホスフィンメチルスルホン酸銅塩2質量%と、フラックス78質量%とを混合して析出型はんだ組成物を得た。
使用したフラックスは、ロジン樹脂(ロジンのペンタエリスリトールエステル、ハリマ化成(株)製のDS−100S)50質量%と、テルペン樹脂(日本石油製のB−3000)25質量%と、溶剤(ジブチルマレート)20質量%と、チキソ剤(硬化ひまし油)5質量%とからなる。
【0042】
(濡れ広がり試験)
ガラスエポキシ基板上に、大きさ0.4×2.4mmの電極(パッド、表面材質:Cu)の表面に、遠赤外リフロー加熱を4回(220度以上、最大250℃のリフロー加熱を2分間)繰り返して、酸化膜を作成した。
ついで、上記で得られたはんだペーストをステンシル(メタルマスク)で前記電極の表面に100μmの厚さで印刷し、遠赤外リフロー加熱装置を用いて最大250℃で加熱し、60℃のブチルカルビトールを入れた超音波洗浄機に浸漬して洗浄し、はんだレベラーを形成した。
しかる後、前記電極(0.4×2.4mm)の半分(0.4×1.2mm)にはんだペーストを印刷した。すなわち、図1に示すように、電極1の約半分にステンシルを用いて塗布厚150μmでSn-Ag系はんだペースト2を印刷し、遠赤外線リフロー加熱装置を用いて最大250℃で加熱した(リフローしたはんだペーストを符号3で示す)。
リフロー前後の未印刷長さをそれぞれXおよびYとしたとき、はんだペーストの濡れ広がり性を式:{(X−Y)/X}×100にて求めた。
【0043】
(接合強度試験)
ガラスエポキシ基板(パッド部:φ0.30mm、Cu/Ni-P/Auオーバーレジスト)の電極部に上記と同様にして、はんだレベラーを形成する表面処理を行った。すなわち、図2に示すように、基板4の電極5にはんだレベラー6を形成し、さらにその表面にフラックス7を塗布し、はんだボール8(Sn-Ag、φ0.76mm)を搭載し、170℃で40秒ついで240℃で過熱してリフローさせた後、60℃のブチルカルビトールを入れた超音波洗浄機に浸漬して洗浄し、接合したはんだボール9を得た。ついで、接合したはんだボール9の引っ張り強度を測定して、接合強度を求めた。なお、引っ張り強度は、DAGE社製DAGE−SERIES−4000Pを用いて、加熱式バンププル強度により求めた(30回の平均値)。
前記フラックス7は、ロジン樹脂として、ホルミル化ロジン(ハリマ化成(株)製のFG90)と不均化ロジン(ハリマ化成(株)製のG100F)と水添ロジン(理化ハーキュレス製のフォーラルAX)との混合物30質量%と、溶剤(ヘキシルカルビトール)65質量%と、チキソ剤(硬化ひまし油)5質量%とからなり、120℃で加熱溶融するものである。
【0044】
[比較例1]
実施例1におけるはんだレベラー処理に代えて、有機プリフラックスによる電極の表面処理を行った他は実施例1と同様にして試験した。この表面処理は、基板をエッチングした後、メック社製のR−4030を同社製のTH9500で3倍に希釈した希釈液に上記基板を浸漬し、その後室温で風乾することにより行った。
【0045】
[比較例2]
実施例1におけるはんだレベラー処理に代えて、無機プリフラックスによる電極の表面処理を行った他は実施例1と同様にして試験した。この表面処理は、基板をエッチングした後、三和研究所製のCuCoatIIIに40℃で60秒間浸漬し、水洗後、80℃で60秒間加熱することにより行った。
【0046】
[比較例3]
錫粉末(Sn/Ag=96.5/3.5(質量比)、粒径:20μm)88質量%と、フラックス12質量%とを混合してはんだペーストを調製した。
前記フラックスは、ロジン樹脂{ホルミル化ロジン(ハリマ化成(株)製のFG90)と不均化ロジン(ハリマ化成(株)製のG100F)}65質量%と、溶剤(ヘキシルカルビトール)30質量%と、チキソ剤(硬化ひまし油)5質量%とからなる。
得られたはんだペーストをステンシルで電極部に約30μm厚さに印刷し、遠赤外リフロー加熱装置を用いて最大250℃で加熱し、さらに60℃のブチルカルビトールを入れた超音波洗浄機に浸漬きして洗浄し、電極部の表面処理を行い、以下、実施例1と同様にして試験した。なお、塗布厚を30μmとしたのは、はんだペーストの金属含有量が多いためマスク厚が低下したためである。
【0047】
実施例1および比較例1〜3の各試験結果を表1に示す。なお、対照として、表面処理していない基板を用いて、同様にして試験した結果も併せて表1に示す。
【表1】


【0048】
表1から明らかなように、実施例1では、対照や比較例1〜3よりも、基板へのはんだペーストの濡れ性が改善され(不濡れ部分がなく)、濡れ広がり性にも優れているので、部品実装基板の歩留まりが向上することがわかる。また、接合強度も対照や比較例1〜3よりも向上しているので、部品実装基板の耐久性が向上するという効果がある。しかも、実施例1のはんだレベラーは鉛を含まない鉛フリーであるので、環境に悪影響を与えることが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例における濡れ広がり性の試験方法を示す概略説明図である。
【図2】実施例における接合強度の試験方法を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1:電極、2:はんだペースト、5:電極、6:はんだレベラー、7:フラックス、8:はんだボール
【出願人】 【識別番号】000233860
【氏名又は名称】ハリマ化成株式会社
【住所又は居所】兵庫県加古川市野口町水足671番地の4
【出願日】 平成16年1月23日(2004.1.23)
【代理人】 【識別番号】100104318
【弁理士】
【氏名又は名称】深井 敏和

【公開番号】 特開2005−209893(P2005−209893A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−15064(P2004−15064)