| 【発明の名称】 |
セラミック多層基板の製造方法及び半導体装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中野 悟 【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【氏名】水野 嘉夫 【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【氏名】福田 順三 【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【氏名】仲 勝彦 【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
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| 【要約】 |
【課題】キャビティ付きのセラミック多層基板を、キャビティの底面部が凸状に反ることがなく、寸法精度良く製造できるようにする。
【解決手段】予め焼成した焼成済み基板12の両面に、キャビティ形成用の開口部14aが形成された1枚又は複数枚の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層・熱圧着して積層体を作製する。この後、積層体の両面に、低温焼成セラミックグリーンシート13の焼結温度では焼結しない高温焼結性セラミックで形成した拘束用グリーンシート15を積層・熱圧着する。この状態で、拘束用グリーンシート15を介して加圧しながら又は加圧せずに低温焼成セラミックグリーンシート13の焼結温度である800〜1000℃で焼成する。焼成後、焼成基板11の両面に付着した拘束用グリーンシート11の残存物(セラミック粉体)をブラスト処理、バフ研磨等により除去する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 予め焼成したセラミック基板(以下「焼成済み基板」という)の両面に、該焼成済み基板の焼結温度とほぼ同一温度又はそれよりも低い温度で焼結する前記焼成済み基板とは異種のセラミック材料で形成された1枚又は複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、 前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない拘束用グリーンシートを前記積層体の最外層に積層された前記未焼成のセラミックグリーンシートの両面にそれぞれ積層する工程と、 前記拘束用グリーンシートを介して前記積層体を加圧しながら又は加圧せずに前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度で拘束焼成して前記積層体を一体化する拘束焼成工程と、 前記拘束焼成工程後に前記拘束用グリーンシートの残存物を除去する工程とを含むことを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。 【請求項2】 前記焼成済み基板に前記未焼成のセラミックグリーンシートを積層する工程で、両者を仮止めすることを特徴とする請求項1に記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項3】 前記拘束用グリーンシートを前記積層体の最外層に積層された前記未焼成のセラミックグリーンシートに積層する工程で、両者を仮止めすることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項4】 前記未焼成のセラミックグリーンシートは、1000℃以下で焼成する低温焼成セラミック材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項5】 前記焼成済み基板及び/又は前記未焼成のセラミックグリーンシートは、絶縁性、誘電性、磁性、圧電性、抵抗性のいずれかの機能を有するセラミックにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項6】 キャビティを有するセラミック多層基板を製造する方法であって、 前記焼成済み基板を前記キャビティを形成する部分の底面部に位置させ、該焼成済み基板に積層する前記未焼成のセラミックグリーンシートには、その積層前又は積層後に前記キャビティ形成用の開口部を形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項7】 段付きキャビティを有するセラミック多層基板を製造する方法であって、 前記焼成済み基板に前記段付きキャビティの1段分の層数に相当する枚数の未焼成のセラミックグリーンシートを積層する毎に、該未焼成のセラミックグリーンシート上に前記拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成して1段分のキャビティを有する新たな焼成済み基板を作製し、その後、該拘束用グリーンシートの残存物を除去した後、当該新たな焼成済み基板上に次のキャビティ1段分の層数に相当する枚数の未焼成のセラミックグリーンシートと拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成するという作業を繰り返すことで、段付きキャビティを有するセラミック多層基板を製造することを特徴とする請求項6記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項8】 前記未焼成のセラミックグリーンシートに、該セラミックグリーンシートと同時焼成可能な導体パターンを印刷してから、該セラミックグリーンシートを積層することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項9】 セラミック多層基板の表面側と裏面側とが非対称となる構造に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項10】 前記焼成済み基板に厚膜抵抗体を形成し、この厚膜抵抗体をトリミングして抵抗値を調整した後、該焼成済み基板に前記未焼成のセラミックグリーンシートを積層することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法。 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載のセラミック多層基板の製造方法で製造したセラミック多層基板をモジュール用基板として用いてモジュール化した半導体装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、予め焼成したセラミック基板の両面に未焼成のセラミックグリーンシートを積層してセラミック多層基板を製造するセラミック多層基板の製造方法及び半導体装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 一般に、セラミック多層基板は、グリーンシート積層法で製造されることが多い。このグリーンシート積層法は、複数枚のセラミックグリーンシートにビアホールを形成した後、各セラミックグリーンシートのビアホールに導体ペーストを充填してビア導体を形成すると共に、各セラミックグリーンシートに導体ペーストで配線パターンを印刷する。その後、これら複数枚のセラミックグリーンシートを積層・熱圧着して生基板を作製した後、この生基板を焼成してセラミック多層基板を製造する。 【0003】 【特許文献1】特開2001−267743号公報 【特許文献2】特表平5−503498号公報 【特許文献3】特開平9−92983号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、生基板を焼成する過程で、15〜30%程度の焼成収縮が発生するため、基板の寸法精度を管理することが難しく、しかも、キャビティ等の凹凸のある多層基板では、基板両面の収縮応力が不均一になるため、焼成基板に反りが発生しやすく、特にキャビティの底面部の反りが大きくなるという欠点もあった。 【0005】 また、絶縁性のセラミックグリーンシートと、誘電体、磁性体等の異種材料のセラミックグリーンシートとを積層して複合セラミック多層基板を焼成する場合は、両者の焼結温度を一致させ、且つ、両者の焼成収縮挙動の違いを少なくして層間剥離を防止する必要があるため、材料の選択の幅が非常に狭く、設計の自由度が非常に狭いという欠点がある。 【0006】 近年、基板の焼成収縮を小さくして基板寸法精度を向上させる焼成方法として、上記特許文献1に示すように、焼成済みのアルミナ基板上に、予め配線パターンを印刷した未焼成のセラミックグリーンシートを積層して熱圧着し、これを焼成してセラミック多層基板を製造することが提案されている。この焼成方法は、セラミックグリーンシートの焼成収縮を焼成済みのアルミナ基板で抑えることで、基板全体の焼成収縮を小さくしようとするものである。 【0007】 しかし、後述する本発明者の実験結果から明らかなように、セラミックグリーンシートの焼成収縮力は大きいため、セラミックグリーンシートの焼成収縮をその片面から焼成済みアルミナ基板のみで抑えようとしても十分に抑えることができない。その結果、セラミックグリーンシートの焼成層と焼成済みのアルミナ基板との間に剥がれが発生したり、セラミックグリーンシートの焼成層にクラックが発生したり、基板の反りが発生することがあり、製品の歩留まりが悪いという欠点がある。 【0008】 また、基板の焼成収縮を小さくして基板寸法精度を向上させる効果の大きい焼成方法として、例えば上記特許文献2や上記特許文献3に示すように、加圧焼成法が開発されている。この加圧焼成法は、焼成前の低温焼成セラミック基板(以下「生基板」という)の両面に、低温焼成セラミックの焼結温度(800〜1000℃)では焼結しない拘束用アルミナグリーンシートを積層し、この状態で、該生基板を加圧しながら、800〜1000℃で焼成した後、焼成基板の両面から拘束用アルミナグリーンシートの残存物をブラスト処理等で取り除いて低温焼成セラミック基板を製造する。 【0009】 しかし、キャビティ付きの低温焼成セラミック基板を上述した加圧焼成法で焼成すると、拘束用アルミナグリーンシートを介してキャビティの領域に加わる加圧力がキャビティ周縁に集中的に作用し、キャビティの底面には加圧力が全く作用しないため、キャビティの底面部が凸状に反ってしまい、キャビティの寸法精度を確保できないという欠点がある。 【0010】 本発明はこれらの事情を考慮してなされたものであり、第1の目的は、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できるようにすることであり、また、第2の目的は、キャビティ付きのセラミック多層基板を、キャビティの底面部が凸状に反ることがなく、寸法精度良く製造できるようにすることである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記第1の目的を達成するために、本発明の請求項1のセラミック多層基板の製造方法は、予め焼成したセラミック基板(以下「焼成済み基板」という)の両面に、該焼成済み基板の焼結温度とほぼ同一温度又はそれよりも低い温度で焼結する前記焼成済みの基板とは異種のセラミック材料で形成された1枚又は複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない拘束用グリーンシートを前記積層体の最外層に積層された前記未焼成のセラミックグリーンシートの両面にそれぞれ積層する工程と、前記拘束用グリーンシートを介して前記積層体を外部より加圧しながら又は加圧せずに前記未焼成のセラミックグリーンシートの焼結温度で拘束焼成して前記積層体を一体化する拘束焼成工程と、前記拘束焼成工程後に前記拘束用グリーンシートの残存物を除去する工程とを含むことを特徴とするものである。 【0012】 要するに、本発明は、焼成済み基板の両面に、該焼成済み基板とは異種のセラミック材料で形成された未焼成のセラミックグリーンシートを積層して積層体を作製し、この積層体に拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成(加圧焼成又は無加圧焼成)するようにしたところに最も大きな特徴がある。このようにすれば、拘束焼成時に未焼成のセラミックグリーンシートのX・Y方向の焼成収縮、反り、変形がその両面側から拘束用グリーンシートと焼成済み基板とによってほぼ均等に抑えられ、寸法精度が良く且つ層間剥離や反り等のないセラミック多層基板を製造することができる。この製造方法では、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。 【0013】 しかも、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとを異種のセラミック材料で形成しているので、従来の製造方法では製造が困難であった様々な機能材料を内蔵する複合セラミック多層基板を製造することができる。 【0014】 この場合、焼成済み基板に未焼成のセラミックグリーンシートを積層する工程で、両者を単に重ね合わせるだけでも良い。これは、積層時に圧着等により仮止めしなくても、その後の工程で、積層体が加圧・加熱される際にセラミックグリーンシートと焼成済み基板とが熱圧着されるためである。 【0015】 但し、一般的には、請求項2のように、焼成済み基板に未焼成のセラミックグリーンシートを積層する工程で、両者を例えば熱圧着又は接着剤により仮止めすることが好ましい。このようにすれば、その後の工程で、積層体を取り扱う際に、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの間が位置ずれする心配がなく、積層体の取り扱いが容易であると共に、セラミックグリーンシートと焼成済み基板との密着性を向上できて、両者間の層間剥離や反り等をより確実に防止することができる。 【0016】 また、拘束用グリーンシートを積層体の最外層に積層された未焼成のセラミックグリーンシートに積層する工程で、両者を単に重ね合わせるだけでも良い。これは、積層時に両者を圧着しなくても、その後、加圧焼成すれば、両者が加圧・加熱されて熱圧着されるためである。 【0017】 但し、一般的には、請求項3のように、拘束用グリーンシートを積層体の最外層に積層された未焼成のセラミックグリーンシートに積層する工程で、両者を仮止めすることが好ましい。このようにすれば、仮に無加圧で焼成する場合でも、拘束用グリーンシートから未焼成のセラミックグリーンシートに対して拘束力を及ぼすことができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。 【0018】 この場合、請求項4のように、未焼成のセラミックグリーンシートは、1000℃以下で焼成する低温焼成セラミック材料により形成したものを用いると良い。このようにすれば、拘束用グリーンシートとして、アルミナグリーンシート等の比較的安価で且つ機械的強度に優れたセラミックを使用することができると共に、未焼成のセラミックグリーンシートに印刷する配線導体として、Ag系、Au系、Cu系等の電気抵抗値の小さい電気的特性に優れた低融点金属を用いることができる。 【0019】 また、請求項5のように、焼成済み基板及び/又は未焼成のセラミックグリーンシートは、絶縁性、誘電性、磁性、圧電性、抵抗性のいずれかの機能を有するセラミックにより形成すれば良い。ここで、絶縁性のセラミックとは、基板の絶縁層を形成するのに用いるセラミックであり、例えば、低温焼成セラミック、アルミナ等の高温焼結性セラミックが挙げられる。焼成済み基板は、それ単独で焼成するため、あらゆる種類のセラミックを用いることができ、この焼成済み基板の焼結温度以下の温度で焼結するセラミック材料を用いて未焼成のセラミックグリーンシートを形成すれば良い。 【0020】 また、前記第2の目的を達成するために、請求項6のように、キャビティ付きのセラミック多層基板を製造する場合は、焼成済み基板をキャビティとなる部分の底面部に位置させ、該焼成済み基板に積層する未焼成のセラミックグリーンシートには、その積層前又は積層後にキャビティ形成用の開口部を形成するようにすれば良い。ここで、積層前の未焼成のセラミックグリーンシートにキャビティ形成用の開口部を形成する場合は、パンチング加工等によってキャビティ形成用の開口部をビアホールの加工と同時に形成すれば良く、また、積層後の未焼成のセラミックグリーンシートにキャビティ形成用の開口部を形成する場合は、例えば感光性樹脂を含有させたセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートにフォトエッチングにより所望の開口部を形成する技術等を用いてキャビティ形成用の開口部を形成すれば良い。請求項6のように、焼成済み基板をキャビティの底面部に位置させて、キャビティ付きのセラミック多層基板を拘束焼成すれば、キャビティの底面部が凸状に反ることはなく、しかも、拘束焼成によってキャビティの寸法精度を確保できる。 【0021】 また、段付きキャビティを有するセラミック多層基板を製造する場合は、請求項7のように、焼成済み基板に段付きキャビティの1段分の層数に相当する枚数の未焼成のセラミックグリーンシートを積層する毎に、該未焼成のセラミックグリーンシート上に拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成して1段分のキャビティを有する新たな焼成済み基板を作製し、その後、該拘束用グリーンシートの残存物を除去した後、当該新たな焼成済み基板上に次のキャビティ1段分の層数に相当する枚数の未焼成のセラミックグリーンシートと拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成するという作業を繰り返すことで、段付きキャビティを有するセラミック多層基板を製造するようにすると良い。このようにすれば、段付きキャビティの各段部の平坦度が非常に良く、しかも寸法精度良く形成することかできる。この場合も、未焼成のセラミックグリーンシートに形成するキャビティ形成用の開口部は、積層前、積層後のいずれの時期に形成しても良い。 【0022】 尚、未焼成のセラミックグリーンシートに導体パターンを印刷する時期は、積層後であっても良いが、請求項8のように、未焼成のセラミックグリーンシートに、該セラミックグリーンシートと同時焼成可能な導体パターンを印刷してから、該セラミックグリーンシートを積層するようにすると良い。このようにすれば、焼成済み基板に複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを積層する場合に、印刷と積層とを能率良く行うことができる。 【0023】 また、請求項9のように、セラミック多層基板の表面側と裏面側とが非対称となる構造に形成するようにしても良い。本発明の製造方法では、従来の製造方法では、反りや変形等の発生しやすい複雑な構造のセラミック多層基板であっても、反りや変形等が発生せず、寸法精度良く製造できる。 【0024】 また、請求項10のように、焼成済み基板に厚膜抵抗体を形成し、この厚膜抵抗体をトリミングして抵抗値を調整した後、該焼成済み基板に未焼成のセラミックグリーンシートを積層するようにしても良い。このようにすれば、従来の製造方法では製造が不可能であった、トリミングにより抵抗値が調整された高精度な厚膜抵抗体を内蔵したセラミック多層基板を寸法精度良く製造できる。 【0025】 以上説明した請求項1〜10の製造方法で製造したセラミック多層基板は、種々の用途の多層回路基板として使用でき、例えば、請求項11のように、請求項1〜12の製造方法で製造したセラミック多層基板をモジュール用基板として用いてモジュール化した半導体装置を製造するようにしても良い。このようにして、例えば、通信用モジュール製品、車載用モジュール製品等を製造すれば、信頼性の高いモジュール製品を製造できる。 【発明の効果】 【0026】 以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1のセラミック多層基板の製造方法によれば、焼成済み基板の両面に、焼成済み基板とは異種のセラミック材料で形成された未焼成のセラミックグリーンシートを積層して積層体を作製し、この積層体に拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成(加圧焼成又は無加圧焼成)するようにしたので、拘束焼成時に未焼成のセラミックグリーンシートの焼成収縮、反り、変形をその両面側から拘束用グリーンシートと焼成済み基板とによってほぼ均等に抑えることができて、層間剥離や反り等のないセラミック多層基板を製造することができる。しかも、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、セラミック多層基板の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。 【0027】 さらに、請求項1は、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとを異種のセラミック材料で形成しているので、従来の製造方法では製造が困難であった様々な機能材料を内蔵する複合セラミック多層基板を製造することができる。 【0028】 また、請求項2では、焼成済み基板に未焼成のセラミックグリーンシートを積層する工程で、両者を仮止めするようにしたので、その後の工程で、積層体を取り扱う際に、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの間が位置ずれする心配がなく、積層体の取り扱いが容易であると共に、セラミックグリーンシートと焼成済み基板との密着性を向上できて、両者間の層間剥離や反り等をより確実に防止することができる。 【0029】 また、請求項3では、拘束用グリーンシートを積層体の最外層に積層された未焼成のセラミックグリーンシートに積層する工程で、両者を仮止めするようにしたので、仮に無加圧で焼成する場合でも、拘束用グリーンシートが未焼成のセラミックグリーンシートに対して拘束力を及ぼすことができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板を寸法精度良く製造できる。 【0030】 前述したように、本発明は、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、請求項4、5のように、焼成済み基板と未焼成のセラミックグリーンシートとの材料の組合せを多種多様に変化させても、焼成後のセラミック多層基板の層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。 【0031】 また、請求項6では、キャビティ付きのセラミック多層基板を製造する際に、焼成済み基板をキャビティを形成する部分の底面部に位置させて拘束焼成するようにしたので、キャビティの底面部が凸状に反ることはなく、寸法精度の高いキャビティ付きのセラミック多層基板を製造することができる。 【0032】 また、請求項7では、段付きキャビティを有するセラミック多層基板を製造する際に、焼成済み基板に段付きキャビティの1段分の層数に相当する枚数の未焼成のセラミックグリーンシートを積層する毎に、該未焼成のセラミックグリーンシート上に拘束用グリーンシートを積層して拘束焼成するようにしたので、段付きキャビティの各段部の形状も変形せずに寸法精度良く形成することができる。 【0033】 また、請求項8では、未焼成のセラミックグリーンシートに、該セラミックグリーンシートと同時焼成可能な導体パターンを印刷してから、該セラミックグリーンシートを積層するようにしたので、焼成済み基板に複数枚の未焼成のセラミックグリーンシートを積層する場合に、印刷と積層とを能率良く行うことができる。 【0034】 また、本発明では、請求項9のように、セラミック多層基板の表面側と裏面側とが非対称となる構造に形成する場合でも、反りや変形等が発生せず、寸法精度良く製造できる。 【0035】 更に、請求項10では、焼成済み基板に厚膜抵抗体を形成し、この厚膜抵抗体をトリミングして抵抗値を調整した後、該焼成済み基板に未焼成のセラミックグリーンシートを積層するようにしたので、従来の製造方法では製造が不可能であった、トリミングにより抵抗値が調整された高精度な厚膜抵抗体を内蔵したセラミック多層基板を寸法精度良く製造できる。 【0036】 また、請求項11は、請求項1〜10の製造方法で製造したセラミック多層基板をモジュール用基板として用いてモジュール化した半導体装置を製造するようにしたので、信頼性の高いモジュール製品を製造できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0037】 [実施形態(1)] 以下、本発明を片面キャビティ付きのセラミック多層基板の製造方法に適用した実施形態(1)を図1乃至図3に基づいて説明する。 【0038】 本実施形態(1)で製造する片面キャビティ付きセラミック多層基板11は、図1(c)、図3に示すように、予め焼成した焼成済み基板12上に、1枚又は複数枚の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層し、更に、その上に拘束焼成グリーンシート15を積層して、800〜1000℃で拘束焼成(加圧焼成又は無加圧焼成)したものである。この片面キャビティ付きセラミック多層基板11は、キャビティ14の底面部に焼成済み基板12が位置し、図2のような工程を経て製造される。 【0039】 まず、焼成済み基板12を準備する。この焼成済み基板12は、セラミック基板を焼成したものであり、単層基板又は多層基板のいずれであっても良い。また、この焼成済み基板12を形成するセラミック材料は、絶縁性セラミック、誘電体セラミック、磁性体セラミック、圧電性セラミック、抵抗体付きのセラミックのいずれであっても良く、要は、低温焼成セラミックグリーンシート13の焼結温度と同一温度又はそれよりも高い温度で焼結するセラミック材料を用いれば良い。また、焼成済み基板12が多層基板の場合は、各層を同種のセラミックで形成しても良いし、同時焼成可能な異種のセラミックで形成した層が混在する構成としても良い。 【0040】 この場合、絶縁性セラミックとは、基板の絶縁層を形成するのに用いるセラミックであり、例えば、低温焼成セラミック、アルミナ等の高温焼結性セラミックが挙げられる。焼成済み基板12を低温焼成セラミックで形成する場合は、低温焼成セラミックグリーンシート13と同種の低温焼成セラミックを用いても良く、勿論、低温焼成セラミックグリーンシート13の焼結温度と同一温度又はそれよりも高い温度で焼結する他の種類の低温焼成セラミックを用いても良いことは言うまでもない。 【0041】 また、焼成済み基板12の表面に同時焼成又は後付けで厚膜導体やRuO2 系等の厚膜抵抗体を形成しても良い。更に、焼成済み基板12の表面に厚膜抵抗体を形成する場合は、焼成済み基板12に後述する低温焼成セラミックグリーンシート13を積層する前に、該厚膜抵抗体をトリミングして抵抗値を調整するようにすると良い。 【0042】 更に、低温焼成セラミックグリーンシート13を準備する。このグリーンシート13を形成する低温焼成セラミック材料としては、例えば、CaO−SiO2−Al2 O3 −B2 O3 系ガラス:50〜65重量%(好ましくは60重量%)とアルミナ:50〜35重量%(好ましくは40重量%)との混合物を用いると良い。この他、MgO−SiO2 −Al2 O3 −B2 O3 系ガラスとアルミナとの混合物、或は、SiO2 −B2 O3 系ガラスとアルミナとの混合物、PbO−SiO2 −B2 O3 系ガラスとアルミナとの混合物、コージェライト系結晶化ガラス等の800〜1000℃で焼成できる低温焼成セラミック材料を用いても良い。 【0043】 低温焼成セラミックグリーンシート13は、上記組成の低温焼成セラミック材料にバインダー(例えばポリビニルブチラール、アクリル系等の樹脂)、溶剤(例えばトルエン、キシレン、ブタノール等)及び可塑剤を配合して、十分に撹拌混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法等でテープ成形したものである。 【0044】 テープ成形した低温焼成セラミックグリーンシート13を所定サイズに切断した後、該グリーンシート13の所定位置に、キャビティ形成用の開口部14aとビアホール(図示せず)等をパンチング加工等により打ち抜き加工する。 【0045】 この後、印刷工程に進み、低温焼成セラミックグリーンシート13のビアホールに、Ag、Ag/Pd、Au、Ag/Pt、Cu等の低融点金属の導体ペーストを充填する。更に、図3に示すように、焼成済み基板12上に複数枚の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層する場合は、内層に積層される低温焼成セラミックグリーンシート13に、Ag、Ag/Pd、Au、Ag/Pt、Cu等の低融点金属の導体ペーストを使用して内層導体パターン(図示せず)をスクリーン印刷し、表層(最上層)の低温焼成セラミックグリーンシート13には、表層導体パターン(図示せず)を同種の低融点金属の導体ペーストを使用してスクリーン印刷する。尚、表層導体パターンの印刷は、拘束焼成後に行っても良い。また、ビアホールや内層導体パターンが無い構造のセラミック多層基板を製造する場合は、上記印刷工程を省略すれば良い。 【0046】 印刷工程後、積層工程に進み、焼成済み基板12上に1枚又は複数枚の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層して、この積層体を熱圧着して仮止めする(図1(a)、図3参照)。この熱圧着の条件は、好ましくは、加圧力が105 〜107 Pa、加熱温度が60〜150℃である。この積層工程で、焼成済み基板12上に低温焼成セラミックグリーンシート13を重ね合わせるだけで、熱圧着を省略するようにしても良い。 【0047】 そして、この積層体の両面に拘束用グリーンシート15を積層して、上記と同様の条件で熱圧着して仮止めする(図1(b)参照)。前記積層工程で、低温焼成セラミックグリーンシート13と焼成済み基板12とを熱圧着しなかった場合でも、拘束用グリーンシート15を熱圧着すれば、その過程で、低温焼成セラミックグリーンシート13と焼成済み基板12とを熱圧着することができる。尚、加圧焼成する場合は、拘束用グリーンシート15を熱圧着する作業を省略しても良い。 【0048】 図1(c)、図3に示すように、焼成済み基板12の片面のみに低温焼成セラミックグリーンシート13を積層する場合は、低温焼成セラミックグリーンシート13が積層されている側のみに拘束用グリーンシート15を積層すれば良く、焼成済み基板12の他面に積層する拘束焼成グリーンシート15は省略しても良い。これは、拘束焼成時に焼成済み基板12が拘束焼成グリーンシート15と同じように低温焼成セラミックグリーンシート13の焼成収縮を抑える役割を果たすためである。 【0049】 この場合、拘束焼成グリーンシート15は、低温焼成セラミックの焼結温度(800〜1000℃)では焼結しない高温焼結性セラミック(例えばアルミナ、ジルコニア、マグネシア等)を用い、この高温焼結性セラミックの粉末にバインダー(例えばポリビニルブチラール、アクリル系、ニトロセルロース系等の樹脂)、溶剤(例えばトルエン、キシレン、ブタノール等)及び可塑剤を配合して、十分に撹拌混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法等でテープ成形して拘束焼成グリーンシート15を作製すれば良い。 【0050】 その後、拘束用グリーンシート15を積層した積層体を、アルミナ、SiC等で形成した多孔質セッター板(図示せず)間に挟み込んで、105 〜107 Paの圧力で加圧しながら、低温焼成セラミックグリーンシート13の焼結温度である800〜1000℃で焼成する。尚、無加圧で焼成しても良く、この場合は、拘束用グリーンシート15の積層工程で、拘束用グリーンシート15を低温焼成セラミックグリーンシート13に熱圧着する必要がある。 【0051】 この際、拘束用グリーンシート15(アルミナ等の高温焼結性セラミック)は、1300〜1600℃程度に加熱しないと焼結しないので、800〜1000℃で焼成すれば、拘束用グリーンシート15は未焼結のまま残される。但し、焼成の過程で、拘束用グリーンシート15中のバインダー等の有機物が熱分解して飛散してセラミック粉体として残る。 【0052】 焼成後、焼成基板11の両面に付着した拘束用グリーンシート15の残存物(セラミック粉体)をブラスト処理、バフ研磨等により除去する。これにより、片面キャビティ付きのセラミック多層基板11の製造が完了する。 【0053】 以上説明した本実施形態(1)では、焼成済み基板12に未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層して積層体を作製し、この積層体に拘束用グリーンシート15を積層して拘束焼成(加圧焼成又は無加圧焼成)するようにしたので、拘束焼成時に未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13の焼成収縮、反り、変形がその両面側から拘束用グリーンシート15と焼成済み基板12とによってほぼ均等に抑えられ、層間剥離や反り等のないセラミック多層基板11を製造することができる。 【0054】 しかも、本実施形態(1)のように、キャビティ14付きのセラミック多層基板11を製造する場合は、焼成済み基板12をキャビティ14の底面部に位置させて拘束焼成すれば、キャビティ14の底面部が凸状に反ることはなく、しかも、拘束焼成によってキャビティ14の寸法精度を確保でき、品質の優れたキャビティ14付きのセラミック多層基板11を製造することができる。このため、キャビティ14の底面部に半導体のベアチップをフリップチップ実装する場合でも、キャビティ14の底面部に反りがないために、ベアチップとキャビティ14の底面部の導通パッドとの接合を精度良く行うことができ、フリップチップ実装の信頼性を向上することができる。 【0055】 また、焼成済み基板12と未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13との間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、セラミック多層基板11の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった構成のセラミック多層基板11を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。 【0056】 尚、本実施形態(1)では、積層前の低温焼成セラミックグリーンシート13にパンチング加工等によってキャビティ形成用の開口部14aを形成するようにしたが、積層後の低温焼成セラミックグリーンシート13に、フォトリソグラフィ技術を用いてキャビティ形成用の開口部14aを形成するようにしても良い。 【0057】 [実施形態(2)] 前記実施形態(1)では、焼成済み基板12の片面のみに低温焼成セラミックグリーンシート13を積層したが、図4に示す本発明の実施形態(2)のように、焼成済み基板12の両面に、それぞれ1枚又は複数枚の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層するようにしても良い。この場合は、焼成済み基板12の両面に未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層した後、その積層体の両面に拘束焼成グリーンシート15を積層すれば良い。その他の事項は、前記実施形態(1)と同じで良い。 【0058】 本実施形態(2)のように、両面キャビティ付きのセラミック多層基板11を製造する場合でも、焼成済み基板12をキャビティ14の底面部に位置させて拘束焼成することで、キャビティ14の底面部が凸状に反ることはなく、寸法精度の良い両面キャビティ付きのセラミック多層基板11を製造することができる。 【0059】 [実施形態(3)] 前記実施形態(1)、(2)は、いずれもセラミック多層基板11にキャビティ14を形成するが、いずれのキャビティ14も、段差のない単純な形状のキャビティである。この場合は、図3に示すように、焼成済み基板12に複数枚の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13を同時に積層して熱圧着しても、キャビティ14の変形の問題は生じない。 【0060】 これに対し、図5(d)に示すように、段付きキャビティ16を形成する場合は、大きさの異なるキャビティ形成用の開口部16aを有する複数枚の低温焼成セラミックグリーンシート13を同時に積層して熱圧着すると、その加圧力によって段付きキャビティ16の各段部の形状が変形してしまう不具合が発生する。 【0061】 そこで、本発明の実施形態(3)では、段付きキャビティ16を有するセラミック多層基板17を製造する際に、まず、図5(a)に示すように、焼成済み基板12に段付きキャビティ16の1段分の層数に相当する枚数(例えば1枚)の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層した後、該未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13上に拘束用グリーンシート15を積層して拘束焼成して1段分のキャビティを有する新たな焼成済み基板17aを作製する。その後、該拘束用グリーンシート15の残存物をブラスト処理等で除去した後、図5(b)に示すように、当該新たな焼成済み基板17a上に次のキャビティ1段分の層数に相当する枚数(例えば1枚)の未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13と拘束用グリーンシート15を積層して拘束焼成する。以後、残りの段数分だけ上述した作業を繰り返すことで、段付きキャビティ16を有するセラミック多層基板17を製造する。 【0062】 このような方法で、段付きキャビティ16を有するセラミック多層基板17を製造すれば、段付きキャビティ16の各段部の形状も変形せずに寸法精度良く形成することかできる。この場合も、未焼成の低温焼成セラミックグリーンシート13に形成するキャビティ形成用の開口部16aは、積層前、積層後のいずれの時期に形成しても良い。 【0063】 [実施形態(4)] 図6に示す本発明の実施形態(4)は、焼成済み基板18を、絶縁性セラミック以外の機能材料(例えば誘電体セラミック、磁性体セラミック、圧電性セラミック、抵抗体セラミック)により形成したところに特徴がある。図6の例では、焼成済み基板18を複数枚としているが、1枚でも良いことは言うまでもない。焼成済み基板18が複数枚の場合は、各焼成済み基板18間に1枚又は複数枚の未焼成セラミックグリーンシート13を挟み込んだ状態にする必要がある。そして、焼成済み基板18と未焼成セラミックグリーンシート13とを積層して熱圧着した後、その積層体の両面に拘束焼成グリーンシート15を積層して拘束焼成して、複合セラミック多層基板19を製造する。 【0064】 この製造方法では、焼成済み基板18と未焼成セラミックグリーンシート13との間の焼結温度の相違や焼成収縮特性の相違等は問題とならないため、複合セラミック多層基板19の各層を形成するセラミック材料の焼結温度、焼成収縮特性等に対する材料選択の自由度を大幅に拡大することができ、従来の製造方法では製造が困難であった様々な機能材料を内蔵する複合セラミック多層基板19を、層間剥離や反り等がなく、寸法精度良く製造できる。 【0065】 [実施形態(5)] 図7に示す本発明の実施形態(5)は、キャビティ14付きの複合セラミック多層基板20を製造する場合の一例である。この場合は、前記実施形態(4)と同様の方法で製造した複合セラミック多層基板を焼成済み基板19として用い、この焼成済み基板19の両面にそれぞれ1枚又は複数枚の低温焼成セラミックグリーンシート13を積層する。各低温焼成セラミックグリーンシート13には、積層前又は積層後にキャビティ形成用の開口部14aを形成する。そして、焼成済み基板19の両面に低温焼成セラミックグリーンシート13を積層して熱圧着した後、その積層体の両面に拘束焼成グリーンシート15を積層して拘束焼成して、キャビティ14付きの複合セラミック多層基板20を製造する。 【0066】 尚、本発明の製造方法を適用できるセラミック多層基板の構造は、各実施形態(1)〜(5)の構造に限定されず、焼成済み基板の枚数、積層位置、低温焼成セラミックグリーンシートの枚数、キャビティの形状、焼成済み基板の各層のセラミック材料の種類等を適宜変更しても良いことは言うまでもない。 【0067】 以上説明した各実施形態(1)〜(5)の製造方法で製造したセラミック多層基板は、種々の用途の多層回路基板として使用でき、例えば、各実施形態(1)〜(5)の製造方法で製造したセラミック多層基板をモジュール用基板として用いてモジュール化した半導体装置を製造するようにしても良い。このようにして、例えば、通信用モジュール製品、車載用モジュール製品等を製造すれば、信頼性の高いモジュール製品を製造できる。 【実施例】 【0068】 本発明者は、上記各実施形態の製造方法を用いて、様々な条件でセラミック多層基板を製造して、キャビティの底面部の反り量を測定したので、その測定結果を次の表1、表2に示す。 【表1】
【表2】
表1、表2において、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートの材料名の(注1)は、CaO−SiO2 −Al2 O3 −B2 O3 系ガラス:60重量%とアルミナ:40重量%との混合物からなる低温焼成セラミックである。また、(注2)は、(注1)のセラミックにより形成した焼成済み基板上に酸化ルテニウム系(RuO2 系)の厚膜抵抗体を形成し、且つ該厚膜抵抗体をトリミングして抵抗値を調整したものであり、(注3)はPbO−SiO2 −B2 O3 系ガラスとアルミナとの混合物からなる低温焼成セラミックである。また、キャビティの構造の「片面」は、図1(c)に示す片面キャビティ付きのセラミック多層基板を意味し、「両面」は、図4に示す両面キャビティ付きのセラミック多層基板を意味している。 【0069】 表1、表2に示す全てのサンプルNo.1〜28について、拘束焼成したセラミック多層基板を外観検査したところ、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートの焼結層との間に剥がれが発生せず、焼結性が良好であった。 【0070】 前記実施形態(1)の製造方法で製造した片面キャビティ付きのセラミック多層基板のサンプルNo.1〜16は、いずれも、キャビティ底面部の反り量が5μm以下となり、寸法精度の良い片面キャビティ付きのセラミック多層基板が得られた。 【0071】 尚、サンプルNo.10は、片面キャビティ付きのセラミック多層基板を無加圧で拘束焼成したものであるが、この場合も、拘束用グリーンシートの積層工程で、拘束用グリーンシートを低温焼成セラミックグリーンシートに熱圧着することで、加圧焼成の場合とほぼ同様の品質の片面キャビティ付きのセラミック多層基板が得られた。 【0072】 また、前記実施形態(2)の製造方法で製造した両面キャビティ付きのセラミック多層基板のサンプルNo.17〜19についても、いずれも、キャビティ底面部の反り量が5μm以下となり、寸法精度の良い両面キャビティ付きのセラミック多層基板が得られた。 【0073】 サンプルNo.1〜19は、焼成済み基板とそれに積層する未焼成セラミックグリーンシートの両方を(注1)の低温焼成セラミックで形成したものであるが、サンプルNo.20〜26は、焼成済み基板を未焼成セラミックグリーンシートの形成材料である(注1)の低温焼成セラミックとは異なるセラミック材料で形成し、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートとを異種のセラミック材料で形成している。例えば、サンプルNo.20は、焼成済み基板が絶縁性セラミックであるアルミナ、サンプルNo.21は、焼成済み基板がフェライト系の磁性体セラミック、サンプルNo.22、25、26は、焼成済み基板がリラクサ系の誘電体セラミックで形成されている。また、サンプルNo.23は、(注1)のセラミックにより形成した焼成済み基板の表面に酸化ルテニウム系(RuO2 系)の厚膜抵抗体が形成され且つ該厚膜抵抗体がトリミングされ、未焼成セラミックグリーンシートがPbO−SiO2 −B2 O3 系ガラスとアルミナとの混合物からなる低温焼成セラミックにより形成されている。また、サンプルNo.24は、焼成済み基板がチタン酸バリウム系の誘電体セラミックで形成されている。 【0074】 また、サンプルNo.27は、焼成済み基板が(注1)の低温焼成セラミックで形成され、未焼成セラミックグリーンシートが(注3)の低温焼成セラミックで形成され、また、サンプルNo.28は、焼成済み基板とそれに積層する未焼成セラミックグリーンシートの両方が(注3)の低温焼成セラミックで形成されている。 【0075】 焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートとを異種材料で形成したサンプルNo.20〜27についても、加圧焼成したセラミック多層基板を外観検査したところ、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートの焼結層との間に剥がれが発生せず、焼結性が良好であると共に、キャビティ付きのセラミック多層基板を製造する場合でも、キャビティの底面部の反り量が5μm以下となり、寸法精度の良いキャビティ付きのセラミック多層基板が得られた。 【0076】 また、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートの両方を(注3)の低温焼成セラミックで形成したサンプルNo.28についても、キャビティの底面部の反り量が5μm以下となり、寸法精度の良いキャビティ付きのセラミック多層基板が得られた。 【0077】 一方、次の表3は、片面キャビティ付きのセラミック多層基板を、拘束焼成グリーンシートを使用しない従来の焼成方法で焼成した場合について、焼結性を評価した試験結果を示している。 【表3】
この表3のサンプルNo.29、30は、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートとを熱圧着して、拘束焼成グリーンシートを使用しない従来の焼成方法(非拘束焼成)で焼成したものであるが、焼成後のセラミック多層基板を外観検査したところ、焼成済み基板と未焼成セラミックグリーンシートの焼結層との間に剥がれが発生し、焼結不良となった。この試験結果から、拘束焼成グリーンシートを使用しない従来の焼成方法(非拘束焼成)では、焼結不良が発生する可能性が高いことが確認された。 【図面の簡単な説明】 【0078】 【図1】本発明の実施形態(1)の片面キャビティ付きのセラミック多層基板の製造方法を説明する工程図である。 【図2】本発明の実施形態(1)の製造工程の流れを説明する工程フローチャートである。 【図3】キャビティの深さが2層の場合の片面キャビティ付きのセラミック多層基板の製造方法を説明する図である。 【図4】本発明の実施形態(2)の両面キャビティ付きのセラミック多層基板の製造方法を説明する図である。 【図5】本発明の実施形態(3)の段付きキャビティ付きのセラミック多層基板の製造方法を説明する工程図である。 【図6】本発明の実施形態(4)の複合セラミック多層基板の製造方法を説明する図である。 【図7】本発明の実施形態(5)の両面キャビティ付きの複合セラミック多層基板の製造方法を説明する工程図である。 【符号の説明】 【0079】 11 セラミック多層基板 12 焼成済み基板 13 低温焼成セラミックグリーンシート 14 キャビティ 14a キャビティ用の開口部 15 拘束焼成用グリーンシート 16 段付きキャビティ 16a…キャビティ用の開口部 17 セラミック多層基板 17a,18 焼成済み基板 19 複合セラミック多層基板 20複合セラミック多層基板
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006231 【氏名又は名称】株式会社村田製作所 【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
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| 【出願日】 |
平成17年3月25日(2005.3.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100117477 【弁理士】 【氏名又は名称】國弘 安俊
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| 【公開番号】 |
特開2005−203810(P2005−203810A) |
| 【公開日】 |
平成17年7月28日(2005.7.28) |
| 【出願番号】 |
特願2005−89062(P2005−89062) |
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