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【発明の名称】 電子機器収容箱及びその移設方法
【発明者】 【氏名】渡邉 聡
【住所又は居所】東京都港区芝浦三丁目4番1号 株式会社エヌ・ティ・ティファシリティーズ内

【氏名】瀬高 龍之
【住所又は居所】東京都港区芝浦三丁目4番1号 株式会社エヌ・ティ・ティファシリティーズ内

【要約】 【課題】筐体の軽量化を図ると共に、所定区画への導入及び移設を容易にできる電子機器収容箱及びその移設方法を提供する。

【解決手段】サーバーケース1のケース本体3における開口10及び内部空間部3Aを避ける位置に該ケース本体3を補強する各補強部28,28Aを設け、ケース本体3にこれを移動可能とする移動手段としてキャスター26を設け、キャスター26とケース本体3との間に該ケース本体3を昇降可能とするジャッキ機構を設けた。このサーバーケース1の導入及び移設は、ケース本体3をジャッキアップした状態で所定区画まで移動させると共に、ケース本体をジャッキダウンして前記所定区画に設置することで行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられた開口から該筐体の内部に電子機器を収容可能に構成し、かつ前記筐体と一体的に設けられた空調装置を用いて前記電子機器の温度を調整可能に構成してなる電子機器収容箱において、
前記筐体の開口及び内部空間部を避ける位置に該筐体を補強する補強手段を設けたことを特徴とする電子機器収容箱。
【請求項2】
前記補強手段が、前記筐体の上側の隅部に沿うように設けられる略L字形状の上側補強部と、該筐体の下側の隅部に整合するように設けられる略三角形状の下側補強部とからなることを特徴とする請求項1に記載の電子機器収容箱。
【請求項3】
前記筐体にこれを移動可能とする移動手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器収容箱。
【請求項4】
筐体内に電子機器を収容可能に構成し、かつ前記筐体と一体的に設けられた空調設備を用いて前記電子機器の温度を調整可能に構成してなる電子機器収容箱において、
前記筐体にこれを移動可能とする移動手段を設けたことを特徴とする電子機器収容箱。
【請求項5】
前記移動手段がキャスターであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子機器収容箱。
【請求項6】
前記移動手段と筐体との間に、該筐体を昇降可能とするジャッキ機構を設けたことを特徴とする請求項5に記載の電子機器収容箱。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器収容箱をその筐体をジャッキアップした状態で所定区画まで移動させると共に、前記筐体をジャッキダウンして前記電子機器収容箱を前記所定区画に設置することを特徴とする電子機器収容箱の移設方法。
【請求項8】
前記筐体にジャッキ機構を有する支持脚を設けたことを特徴とする請求項3から請求項5の何れかに記載の電子機器収容箱。
【請求項9】
請求項8記載の電子機器収容箱をその筐体をジャッキダウンした状態で所定区画まで移動させると共に、前記筐体をジャッキアップして前記電子機器収容箱を前記所定区画に設置することを特徴とする電子機器収容箱の移設方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ITサーバ等の電子機器を収容するための電子機器収容箱及びその移設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業へのIT(Information Technology)システムの浸透に伴い、重要な企業データを活用するIT機器も増加していることから、サーバルームのような安定したIT機器運用環境を要望する声が高まっている。このような背景から、小規模IT環境を少ない工事負担で構築可能とするべく、IT機器の温度調整用の空調装置及びバックアップ電源等を一体的に備えた電子機器収容箱が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003―264385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の固定資産保有の敬遠、並びにIT関連新規企業の創業数の増加により、古くからあるテナントビル内に事務所を設ける企業が増えていることから、このような場合においても上述のような電子機器収容箱の導入を可能とすると共に、その導入及び移設を容易にできるような構成が要望されている。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、筐体の軽量化を図ると共に、所定区画への導入及び移設を容易にできる電子機器収容箱及びその移設方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、筐体に設けられた開口から該筐体の内部に電子機器を収容可能に構成し、かつ前記筐体と一体的に設けられた空調装置を用いて前記電子機器の温度を調整可能に構成してなる電子機器収容箱において、前記筐体の開口及び内部空間部を避ける位置に該筐体を補強する補強手段を設けたことを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、筐体に筋交い状の補強部材を設けた場合のように、電子機器の筐体内への出し入れを妨げることがなく、かつ筐体における電子機器を収容可能な容積を減少させることもない。
また、筐体を形成する各壁部の要部に補強手段を設けて筐体全体の強度剛性を向上させた上で、前記各壁部における補強手段を設けていない一般部分、つまり筐体全体の強度剛性への影響が少ない部分の強度剛性を下げるべくこれを薄板化することが可能となる。
【0006】
このとき、前記補強手段が、前記筐体の上側の隅部に沿うように設けられる略L字形状の上側補強部と、該筐体の下側の隅部に整合するように設けられる略三角形状の下側補強部とからなるものであれば(請求項2)、筐体の開口及び内部空間部(電子機器収容スペース)への影響、並びに重量増を抑えた上で、地震等で筐体が揺れた場合に応力が集中し易い該筐体の下側の隅部をより効果的に補強できる。
【0007】
ここで、上記のような電子機器収容箱において、前記筐体にこれを移動可能とする移動手段を設けることで(請求項3,4)、所定区画への導入時及び移設時における電子機器収容箱の移動を容易にできる。
【0008】
なお、上記移動手段としては、例えば既存のキャスターを用いればよい(請求項5)。
【0009】
さらに、請求項6に記載した発明のように、前記移動手段(キャスター)と筐体との間に、該筐体を昇降可能とするジャッキ機構を設ければ、この電子機器収容箱をその筐体をジャッキアップした状態で所定区画まで移動させると共に、前記筐体をジャッキダウンして前記電子機器収容箱を前記所定区画に設置することができる(請求項7)。
すなわち、筐体をジャッキアップすることで、電子機器収容箱を床面に設置された架台等を避けつつスムーズに移動できると共に、所定区画において筐体をジャッキダウンすることで、これを移動手段を介さず床面に設置できる。
【0010】
一方、請求項8に記載した発明のように、前記筐体にジャッキ機構を有する支持脚を設ければ、この電子機器収容箱をその筐体をジャッキダウンした状態で所定区画まで移動させると共に、前記筐体をジャッキアップして前記電子機器収容箱を前記所定区画に設置することができる(請求項9)。
すなわち、筐体をジャッキダウンし前記移動手段を接地させることで、該移動手段を用いて電子機器収容箱をスムーズに移動できると共に、所定区画において筐体をジャッキアップし移動手段を床面から離間させることで、これを移動手段を介さず床面に設置できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2に記載した発明によれば、電子機器の収容性を損なうことなく筐体を補強することができ、特に耐震性を向上させることができる。また、筐体全体の強度剛性を向上させた上で、各壁部の一般部分を薄板化して筐体の軽量化を図ることができる。しかも、筐体の軽量化を図ることで建築物の新旧を問わずに充実したIT環境を構築することができる。
請求項3〜5に記載した発明によれば、電子機器収容箱の導入及び移設を迅速かつ容易に行うことができる。
請求項6〜9に記載した発明によれば、電子機器収容箱をスムーズに移動できる一方、設置時にはこれを安定させることができる。また、これら各作業に必要な装備を筐体が有していることから、別途台車やジャッキ、又はクレーン等を用意する必要がなく、電子機器収容箱の導入及び移設を迅速かつ容易にできると共に、小規模IT環境に特有なオフィス環境の変化にも柔軟に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1,2に示すサーバーケース(電子機器収容箱)1は、例えばJIS C 6010にて規定された19インチラック4規格に対応する電子機器2を収容するためのものである。サーバーケース1のケース本体(筐体)3の内部にはラック4が設けられ、このラック4内に複数の前記電子機器2が上下方向で積層されるように一列に収納される。ケース本体3の内部に収容される電子機器2としては、ルータ、スイッチングハブ、サーバ、ファイアウォール、及び電源ユニット等である。なお、前記電源ユニットは、交流型電子機器2用のUPS(無停電電源装置)及び直流型電子機器2用の整流装置であり、停電時等にも安定した電力供給を可能とするものである。
【0014】
ケース本体3は、多数の電子機器2を収容可能とするべく上下方向に沿って長い略直方体状の外観をなすもので、電子機器2のサイズに対応する幅及び奥行きを有する上壁部5及び下壁部6と、これら両壁部5,6の同側の縁部に渡ってそれぞれ設けられる右側壁部7、左側壁部8、及び後壁部9とを有し、かつ前壁部に相当する部位に設けられた開口10を前面扉11により開閉可能に構成される。
【0015】
各壁部5〜9は一体構造とされ、前面扉11は例えばその右側縁部が右側壁部7の前縁部にヒンジ等を介して連結される。この前面扉11を開くことで、ケース本体3の開口10からその内部に各電子機器2を出し入れすることが可能となる。また、前面扉11の内面には開口10の周囲に密接するシール部材が設けられ、前面扉11を閉めることでケース本体3の内部空間部3Aを密閉可能である。なお、各壁部5〜9及び前面扉11は、鋼板製の外板12とその内側に設けられる断熱材13とから構成される(図3参照)。
【0016】
後壁部9の後方には、ケース本体3内の温度調整を行う空調装置14が該ケース本体3と一体的に設けられる。すなわち、この空調装置14によりケース本体3内の各電子機器2の温度が調整可能である。空調装置14は、ケース本体3後面視で後壁部9よりも小形でかつケース本体3の前後方向で扁平とされる略直方体状の鋼板製のカバー15により覆われる。なお、カバー15の下方には後壁部9の下部に接合されたラック16が設けられ、このラック16により空調装置14用のドレンタンク17が支持される。
【0017】
図3は空調装置14運転時における気流の説明図であり、ケース本体3の内部空間部3Aを循環する気流を実線矢印で、ケース本体3の外部においてカバー15内を通過する気流を破線矢印でそれぞれ示す。ここで、空調装置14は、圧縮器、凝縮器、減圧器、及び蒸発器を有する周知の熱交換器及びファン駆動部を備えるものである(何れも不図示)。
【0018】
後壁部9における空調装置14の上端部に対向する部位には、カバー15の内部とケース本体3の内部空間部3Aとを連通させる空気導入口18が設けられ、後壁部9における空気導入口18の下方には、同じくカバー15の内部とケース本体3の内部空間部3Aとを連通させる空気導出口19が設けられる。そして、ケース本体3の内部空間部3Aを循環する空気は、空気導出口19から空気導入口18に向かう際に空調装置14の蒸発器により冷却される。
【0019】
後壁部9の断熱材13は、空気導入口18と空気導出口19との間から前方に向かって延出され、この断熱材13が仕切り板13aとなって、ケース本体3の内部空間部3Aが前面扉11近傍の連通路21でのみ連通される上部空間部22と下部空間部23とに仕切られる。ここで、本実施例における内部空間部3Aは電子機器2の収容スペースと同義であり、ケース本体3内に収容される電子機器2は、主として下部空間部23内に配置されている。
【0020】
空気導入口18近傍には不図示の内部用ファンが設けられ、この内部用ファンにより空調装置14で冷却された冷却空気が空気導入口18からケース本体3内に導入された後、上部空間部22を通過して連通路21から下部空間部23に流入する。下部空間部23内は各電子機器2の発熱等により比較的高温になっているため、連通路21から流入した冷却空気が、空気密度の関係から前面扉11近傍で下方に移動しつつ、各電子機器2の間隙を縫って空気導出口19が設けられた後壁部9側に向かうこととなる。このようにして、積層された複数の電子機器2の冷却が均等に行われるようになっている。
【0021】
また、カバー15内部には不図示の外部用ファンが設けられ、この外部用ファンによりカバー15後部に形成された複数のルーバ24からカバー15内に外気が導入される。カバー15内に導入された外気は、空調装置14の凝縮器等に送給された後に再度ルーバ24から排出される。なお、25はケース本体3内部を循環する冷却空気をろ過するエアフィルタを示す。
【0022】
このように構成されるサーバーケース1は、IT環境の構築に必要な電子機器2を密閉されたケース本体3内に上下方向で一列に重ねて収容することで、これらを一体かつコンパクトにパッケージングしたものである。ここで、ケース本体3内に収容された各電子機器2に対しては、高信頼電源により安定した電力供給が可能であると共に、ケース本体3と一体的に設けられた空調装置14により温度調整を行うことが可能である。また、ケース本体3の内部が密閉されることで空調性能を良好にできると共に、防水性、防塵性、及び防音性をも有することとなる。さらに、前面扉11を施錠可能に構成すれば、各電子機器2に対する防犯性を飛躍的に高めることができる。
このように、サーバルームに近い高信頼なIT環境を、建築物及びその設備等の大掛かりな工事を行うことなく構築できる。すなわち、高信頼なIT環境を少ない負担で迅速かつ容易に構築できる。
【0023】
ここで、図1〜3に示すように、上記サーバーケース1のケース本体3には、これを移動可能とする移動手段として、下壁部6の四箇所の隅部にそれぞれキャスター26が設けられている。各キャスター26は上下方向に沿う軸線を中心に旋回自在に構成される周知のもので、その旋回軸と軸線を共有する連結軸27を介してケース本体3の下壁部6に連結される(図5,6参照)。各キャスター26の許容荷重は、その積載対象であるサーバーケース1の重量に応じて決定される。なお、キャスター26の車輪径及びその材質は、サーバーケース1導入区画の床面31状況に応じて適宜選択可能である。
【0024】
図4に示すように、ケース本体3の正面視(前面視)での上側二箇所の隅部近傍には上側補強部(補強手段)28がそれぞれ設けられ、ケース本体の正面視での下側二箇所の隅部近傍には下側補強部(補強手段)28Aがそれぞれ設けられる。これら各補強部28,28Aは、開口10を有することによるケース本体3の強度剛性の低下を効果的に補うべく、該ケース本体3を補強するために設けられるものである。
【0025】
上側補強部28は、対応する隅部で結合される二つの壁部と前記正面視で重なるように、すなわち前記正面視で隅部に沿う略L字形状をなすように設けられる。また、下側補強部28Aは、上側補強部28と同様の略L字形状をなす外部補強部28’と、該L字部28’の内側に整合するように設けられるやや縦長の略三角形状をなす内部補強部38とからなるもので、このような下側補強部28Aは、全体的には隅部に整合する略三角形状をなすものであるといえる。ここで、各補強部28,28Aは、ケース本体3の正面視でその開口10との干渉を避けるように配設され、かつケース本体3の内部空間部3Aとの干渉も避けるように配設されている。
【0026】
上部補強部28及び外部補強部28’の一例としては、ケース本体3における対応する部位に例えば断面L字形状の鋼材を接合する方式や、対応する部位に異なる部材を使用する(例えば前記鋼材を使用する、あるいは外板12に高張力鋼板を使用する等)方式、さらには対応する部位で結合される両壁部に渡るリブ等の補強形状を形成する方式等が考えられる。また、内側補強部38の一例としては、断面略三角形状の鋼材を接合する方式や、略三角形状の鋼材をリブ状に設ける方式等が考えられる。なお、外側補強部28’及び内側補強部38が一体に形成される構成であってもよい。なお、各キャスター26は、サーバーケース1の重量を支持する関係から、ケース本体3の下壁部6における下側補強部28Aが設けられた部位に取り付けられることが好ましい。
【0027】
図5に示すように、各キャスター26とケース本体3の下壁部6とを連結する前記連結軸27は、例えばその外周にネジ山が刻設された雄ネジ部材として構成される。一方、ケース本体3の下壁部6には、対応する連結軸27を螺着させこれを下壁部6に対してネジ送り可能とするネジ送り機構29がそれぞれ設けられる。そして、これら連結軸27及びネジ送り機構29により、ケース本体3とキャスター26との間にジャッキ機構30が構成されている。このようなジャッキ機構30により、各キャスター26が接地した状態で各ネジ送り機構29を手動あるいは電動により作動させることで、ケース本体3がジャッキアップ又はジャッキダウンされるようになっている。
【0028】
次に、このサーバーケース1の導入及び移設の手順について説明する。
まず、サーバーケース1を所定区画に導入する際には、その準備として、図5に示すように、所定区画の床面31にあらかじめアンカー32を打ち込むと共に床面31とケース本体3との間に介装される一対の架台33を仮設置しておく。
【0029】
次いで、サーバーケース1を所定区画まで移動させることとなるが、これはケース本体3に設けられたキャスター26を用いて容易に行うことができる。このとき、ケース本体3をジャッキ機構30により十分ジャッキアップし、ケース本体3の下壁部6の下面高さが床面31に敷設された架台33の上面高さよりも高くなるように調整しておくことで、架台33を避けつつサーバーケース1を所定区画へスムーズに移動させることができる。
【0030】
サーバーケース1の所定区画への移動後には、ジャッキ機構30によりケース本体3をジャッキダウンすることで、これを架台33上に載置することができる。ここからさらにネジ送り機構29を作動させることで、図6に示すように、各キャスター26が床面31から離間すると共にサーバーケース1の全重量が各架台33に支持された状態となる。このとき、各架台33に支持される部位は、キャスター26の場合と同様、下壁部6における下側補強部28Aが設けられた部位であることが好ましい。なお、架台33については、弾性部材及び可撓性部材を用いて耐震性を有するように構成してもよい。
【0031】
この状態で、アンカー32に螺着させたナットを締め込んで各架台33の下部を床面31に固定すると共に、各架台33の上部とケース本体3の下壁部6とをボルトナット締結する。これにより、サーバーケース1が各架台33を介して所定区画の床面31に固定されることとなる。最後に、ケース本体3内に所定の電子機器2を収容し、商用100V電源と電源ユニットとの接続を含めた配線処理を行うことで、サーバーケース1の設置が完了する。
【0032】
また、オフィス環境の変化等によりサーバーケース1を移設する際には、まず、必要に応じて各電子機器2及びその配線を取り外すと共に、各架台33の上部と下壁部6との締結、及び各架台33の下部と床面31との締結をそれぞれ解除する。そして、ネジ送り機構29を作動させて各キャスター26を床面31に接地させると共にケース本体3をジャッキアップすることで、図5に示すように、サーバーケース1の全重量が各キャスター26に支持されると共に下壁部6の下面が架台33の上面から離間した状態となり、上記同様にサーバーケース1の所定区画への移動、設置をスムーズに行うことができる。
【0033】
上記実施例によれば、ケース本体3に設けられた開口10から該ケース本体3の内部に電子機器2を収容可能に構成し、かつ前記ケース本体3と一体的に設けられた空調装置14を用いて前記電子機器2の温度を調整可能に構成してなるサーバーケース1において、ケース本体3の開口10及び内部空間部(電子機器収容スペース)3Aを避ける位置に該ケース本体3を補強する各補強部28,28Aを設けたことで、ケース本体3に筋交い状の補強部材を設けた場合のように、電子機器2のケース本体3の内部への出し入れを妨げることがなく、かつケース本体3における電子機器2を収容可能な容積を減少させることもない。
このため、電子機器2の収容性を損なうことなくケース本体3を補強することができ、特に耐震性を向上させるという効果がある。
【0034】
また、ケース本体3を形成する各壁部の要部に各補強部28,28Aを設けてケース本体3全体の強度剛性を向上させた上で、各壁部における各補強部28,28Aを設けていない一般部分、つまりケース本体3全体の強度剛性への影響が少ない部分の強度剛性を下げるべくこれを薄板化することが可能となる。
このように、ケース本体3の強度剛性を向上させた上で、各壁部の一般部分を薄板化してケース本体3の軽量化を図ることができるという効果がある。
【0035】
このとき、ケース本体3を補強する補強手段が、該ケース本体3の上側の隅部に沿うように設けられる略L字形状の上側補強部28と、ケース本体3の下側の隅部に整合するように設けられる略三角形状の下側補強部28Aとからなることで、ケース本体3の開口10及び内部空間部3Aへの影響、並びに重量増を抑えた上で、地震等でケース本体3が揺れた場合に応力が集中し易い該ケース本体3の下側の隅部をより効果的に補強できる。
【0036】
ここで、IT環境への対応を考慮した近年のテナントビル等の建築物であれば、床面の許容荷重が十分高い値(約500kg/m)とされているが、これに比べて古くからある建築物では、床面の許容荷重が一般的な値(約300kg/m)とされていることもあり、このような建築物内に従来のサーバーケースを導入しようとすると重量的な制限を受ける場合があったが、上記サーバーケース1の如く軽量化が図られたものであればこのような点を解決することが可能である。また、サーバーケース1を前記近年の建築物内に導入する場合には、重量的にケース本体3内に電子機器2を多く収容することが可能となる。
すなわち、建築物の新旧を問わずに充実したIT環境を構築できるという効果がある。
【0037】
また、ケース本体3にこれを移動可能とする移動手段としてキャスター26を設けたことで、所定区画への導入時及び移設時におけるサーバーケース1の移動が容易になることはもちろん、上述の如くケース本体3が軽量化されていれば、キャスター26をその許容荷重が低いものに変更することが可能となる。
これにより、サーバーケース1の導入及び移設を迅速かつ容易に行うことができると共に、キャスター26の小型軽量化及びコスト低減を図ることができるという効果がある。
【0038】
さらに、キャスター26とケース本体3との間に、該ケース本体3を昇降可能とするジャッキ機構30が設けられることで、サーバーケース1をそのケース本体3をジャッキアップした状態で所定区画まで移動させると共に、ケース本体3をジャッキダウンしてサーバーケース1を所定区画に設置することができる。
すなわち、ケース本体3をジャッキアップすることで、サーバーケース1を床面31に設置された架台33を避けつつスムーズに移動できると共に、所定区画においてケース本体3をジャッキダウンすることで、これをキャスター26を介さず床面31に設置できる。
このため、サーバーケース1をスムーズに移動できる一方、設置時にはサーバーケース1を安定させるという効果がある。また、これら各作業に必要な装備をケース本体3が有していることから、別途台車やジャッキ、又はクレーン等を用意する必要がなく、サーバーケース1の導入及び移設を迅速かつ容易にできると共に、小規模IT環境に特有なオフィス環境の変化にも柔軟に対応できるという効果がある。
【実施例2】
【0039】
次に、この発明の第二実施例について説明する。
この第二実施例は、前記第一実施例に対して、ケース本体3とキャスター26との間のジャッキ機構30を廃止する一方、ケース本体3に別途ジャッキ機構を有する支持脚を設けた点で異なるもので、前記第一実施例に対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図7に示すように、サーバーケース101のケース本体3の下壁部6における例えば各キャスター26よりも外側の部位には、例えば四つの前記支持脚133が設けられる。この支持脚133は、上下方向に沿う雄ネジ部材としての軸部127と、該軸部127を螺着させこれをネジ送り可能とするネジ送り機構129とを有し、ケース本体3の床面31に対する高さ及び傾きを調整可能な所謂レベルフットとして構成される。すなわち、ネジ送り機構129はケース本体3の下壁部6に固定されており、軸部127下端のアンカープレート132aが接地した状態で各ネジ送り機構29を手動あるいは電動により作動させることで、ケース本体3のジャッキアップ又はジャッキダウンが可能である。このような支持脚133は、軸部127及びネジ送り機構129からなるジャッキ機構130を有するものであるといえる。
【0041】
次に、上記サーバーケース101の導入及び移設の手順について説明する。
まず、サーバーケース101を所定区画に導入する際には、図5に示すように、ケース本体3をジャッキダウンし、各キャスター26を接地させると共に各支持脚133を床面31から離間させた状態で、床面31にあらかじめアンカー132が打ち込まれた所定区画にサーバーケース101を移動させる。
【0042】
サーバーケース101の所定区画への移動後には、ネジ送り機構129の作動によりアンカー132とアンカープレート132aとを係合させつつ各支持脚133を下降させ、アンカープレート132aを接地させた後にジャッキ機構30によりケース本体3をジャッキアップする。これにより、図8に示すように、各キャスター26が床面31から離間すると共にサーバーケース1の全重量が各支持脚133に支持された状態となり、この状態でアンカー132に螺着させたナットを締め込み、アンカープレート132aと床面31とを締結することで、サーバーケース101が所定区画の床面31に固定されてその設置が完了する。
【0043】
また、サーバーケース101を移設する際には、アンカープレート132aと床面31との締結を解除し、ケース本体3をジャッキダウンすることで、図7に示すように、各キャスター26を接地させると共に各支持脚133を床面31から離間させた状態となり、上記同様にサーバーケース1の所定区画への移動、設置をスムーズに行うことができる。
【0044】
上記第二実施例によれば、ケース本体3にこれを移動可能とする移動手段としてのキャスター26を設けてなるサーバーケース101において、ケース本体3にジャッキ機構130を有する支持脚133を設けたことで、このサーバーケース101をそのケース本体3をジャッキダウンした状態で所定区画まで移動させると共に、ケース本体3をジャッキアップしてサーバーケース101を前記所定区画に設置することができる。
すなわち、ケース本体3をジャッキダウンしキャスター26を接地させることで、該キャスター26を用いてサーバーケース101をスムーズに移動できると共に、所定区画においてケース本体3をジャッキアップしキャスター26を床面31から離間させることで、これをキャスター26を介さず床面31に設置できる。
このため、前記第一実施例と同様、サーバーケース1をスムーズに移動できる一方、設置時にはサーバーケース1を安定させるという効果がある。また、サーバーケース1の導入及び移設を迅速かつ容易にできると共に、小規模IT環境に特有なオフィス環境の変化にも柔軟に対応できるという効果がある。
【0045】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えばケース本体3を、上下方向に積層された複数列の電子機器を収容するものとしてもよい。また、前面扉11を両開き式としたりスライド式としてもよい。さらに、ケース本体3を複数の開口及びそれを開閉する扉を有するものとしてもよい。
また、ケース本体3の移動手段を、例えば滑り面を有するレールとスライダーとを組み合わせた構成としてもよい。さらに、ケース本体3を昇降させるジャッキ機構30を、油圧式又はエア圧式のものとしてもよい。さらにまた、サーバーケース1を設置する際に、ケース本体3を直接床面に載置する方式としてもよい。
そして、上記実施例における構成は一例であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施例におけるサーバーケースを斜め前から見た斜視図である。
【図2】上記サーバーケースを斜め後から見た斜視図である。
【図3】上記サーバーケースにおける気流の説明図である。
【図4】上記サーバーケースのケース本体の補強部を示す正面説明図である。
【図5】上記サーバーケースの移動可能時の側面説明図である。
【図6】上記サーバーケースの設置時の側面説明図である。
【図7】この発明の第二実施例におけるサーバーケースの移動可能時の側面説明図である。
【図8】上記サーバーケースの設置時の側面説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1,101 サーバーケース(電子機器収容箱)
2 電子機器
3 ケース本体(筐体)
3A 内部空間部
10 開口
14 空調装置
26 キャスター(移動手段)
28 上側補強部(補強手段)
28A 下側補強部(補強手段)
30,130 ジャッキ機構
133 支持脚

【出願人】 【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ
【住所又は居所】東京都港区芝浦三丁目4番1号
【出願日】 平成16年12月17日(2004.12.17)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【公開番号】 特開2005−203767(P2005−203767A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−366608(P2004−366608)