トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 多層構造部品のビアホール形成方法
【発明者】 【氏名】丸上 寛治
【住所又は居所】京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式会社村田製作所内

【要約】 【課題】十分な耐電圧信頼性を有する厚さの絶縁層に所望の微細な孔径のビアホールを形成することを可能とする多層構造部品のビアホール形成方法を提供する。

【解決手段】このビアホールの形成方法は、支持基板2及び第1の導体4上に第1の感光性絶縁材料シート31を積層し、それに未焼結の第1のビアホール部71を露光・現像した後に焼結して第1の焼結絶縁膜33を形成する。そして、その上に第2の感光性絶縁材料シート32を積層し、それに未焼結の第2のビアホール部72を露光・現像した後に焼結して第2の焼結絶縁膜34を形成する。これにより、高アスペクト比のビアホール7を有した導体間絶縁層3を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定厚さの絶縁層を貫通し且つこの絶縁層が積層された第1の導体とこの絶縁層上に積層された第2の導体とを電気的に接続するビアホールを形成するための多層構造部品のビアホール形成方法であって、
上記ビアホールの長さよりも薄い未焼結の感光性絶縁材料層を形成する第1工程と、
この第1工程で形成した未焼結の感光性絶縁材料層にビアホール部のパターンに対応した露光を行う第2工程と、
この第2工程で露光された未焼結の感光性絶縁材料層を現像して未焼結状態のビアホール部を形成する第3工程と、
この第3工程を経た上記感光性絶縁材料層を焼結して、ビアホール部を有した薄い絶縁層を形成する第4工程とを含み、
上記第1工程ないし第4工程を一巡とする工程を複数回繰り返すことにより、積層された複数の上記薄い絶縁層で上記所定厚さの絶縁層を形成すると共に、連通した複数の上記ビアホール部で上記ビアホールを形成する、
ことを特徴とする多層構造部品のビアホール形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の多層構造部品のビアホール形成方法において、
上記第2工程は、上記ビアホール部の直径が上記感光性絶縁材料層の厚さ以上になるように、ビアホール部のパターンに対応した露光を行うものである、
ことを特徴とする多層構造部品のビアホール形成方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の多層構造部品のビアホール形成方法において、
上記感光性絶縁材料層は、感光性ガラスペーストを塗布してなるものである、
ことを特徴とする多層構造部品のビアホール形成方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層構造部品のビアホール形成方法において、
上記第1工程ないし第4工程を一巡とする工程を複数回繰り返す際に、いずれかの回で用いる上記感光性絶縁材料層に、他の回で用いる感光性絶縁材料層の熱収縮率と異なる熱収縮率の感光性絶縁材料層を用いる、
ことを特徴とする多層構造部品のビアホール形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、積層チップインダクタのような多層構造部品の絶縁層におけるビアホール形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の多層構造部品では、第1の電極(または第1の導体)を絶縁層の一方の表面に形成すると共に、第2の電極(または第2の導体)を他方の表面に形成し、それら第1の電極と第2の電極とを絶縁層を介して電気的に絶縁するようにしている。そして、ビアホールを絶縁層の所定の位置に設け、このビアホールに導電性物質を充填し、この導電性物質を介して第1の電極と第2の電極とを電気的に接続するようにしている。
【0003】
近年、感光性絶縁材料をフォトリソグラフィ法によってパターニングすることで微細なビアホールを正確に形成するという方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
具体的には、図12に示すように、支持基板130上に第1の電極131を形成しておき(図12(a))、その上に、光硬化可能なモノマーを含有するセラミックスリップ材のような感光性絶縁材料132を例えば印刷法などによってシート状に形成する(図12(b))。そして、フォトマスクを用いてビアホールのパターンに対応した露光を行って、非露光部133以外を硬化させ(図12(c))、現像によってこの非露光部133を除去するることで、未焼結の感光性絶縁材料シート132にビアホール134を形成する(図12(d))。さらに、この未焼結の感光性絶縁材料シート132を焼結することによって、所望のビアホール134を有した絶縁層135を形成(焼結)する(図12(e))。そして、そのビアホール134の空所に導電性ペーストのような導電性物質136を充填して固化させ、ビアホールを覆う位置に導体膜をパターニングして第2の電極137を形成する(図12(f))。これにより、ビアホール134に充填された導電性物質136によって第1の電極131と第2の電極137とを電気的に接続するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−297077号公報
【特許文献2】特開平8−186379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したビアホール形成方法では、次のような問題がある。
すなわち、光硬化可能なモノマーを含有するセラミックスリップ材のような感光性絶縁材料シート132は、焼結すると未焼結の状態のときよりも全体的に収縮するので、焼結後の膜厚は未焼結の感光性絶縁材料シート132よりも薄くなってしまう。このため、焼結後の製品としての絶縁層の耐電圧信頼性あるいは絶縁性能を十分なものとするためには、未焼結の感光性絶縁材料シート132の膜厚を厚くして、焼結後の感光性絶縁材料シート132の厚さを確保する必要がある。
また、多層構造部品の高密度化に伴って、電極や配線等のパターンの微細化、高密度化、高精度化が要請される傾向にある。かかる要請を充たすためには、ビアホール134を、所定の導電性を確保しつつ、より微細なものとする必要がある。
【0007】
しかしながら、そのように膜厚の厚い未焼結の感光性絶縁材料シート132に孔径(直径)の微細なビアホール134を正確な形状及び寸法再現性で形成することは、困難である。
【0008】
すなわち、図13に示すように、感光性絶縁材料シート132にビアホール134のパターンをフォトリソグラフィ法によって露光する際には、露光条件や現像条件等に起因して、感光性絶縁材料シート132の膜厚が厚くなるほど、潜像133の孔径の厚さ方向での誤差(寸法のばらつきあるいは差異)が大きくなってしまう傾向にあり、その厚さ方向に均一な孔径のビアホール134を正確に形成することが困難であった。
【0009】
また、図14(a)に示す未焼結のビアホール134を有した感光性絶縁材料シート132を焼結すると、セラミックスリップ材のような感光性絶縁材料シート132は一般に収縮して、図14(b)に示すように、焼結後に得られる焼結絶縁膜135は全体的に厚みが薄くなると共に、収縮で肉が引けた分、ビアホール134のような空所の寸法が拡大する。この結果、ビアホール134の孔径φ2が、焼結後には未焼結のときの孔径φ1よりも大きくなってしまう。そして、このような焼結後の孔径の拡大は、感光性絶縁材料シート132の膜厚が厚くなるほど顕著なものとなる。
【0010】
したがって、十分な耐電圧信頼性を有する絶縁層(焼結絶縁膜135)を形成するために、焼結後の収縮を予想して未焼結の感光性絶縁材料シート132を厚くすると、焼結後には所望の厚さの焼結絶縁膜135を得ることはできるものの、焼結後のビアホール134が、所望の孔径よりも大幅に大きなものとなってしまう。この結果、上記のような孔径をできるだけ正確な寸法に、かつ導電性を損なわない範囲内で細く形成したいという要請に対して背反したものとなってしまう。そして、このように焼結後のビアホール134が拡大すると、ビアホール134とその周囲の電極パターン(図示省略)との間のスペースを十分に取ることができなくなったり、ビアホール134がその周囲の電極パターンと接触してショート不良を生じるおそれがある。
【0011】
これに対して、焼結によって拡大してもなお所望の細い孔径のビアホール134が得られるように、その孔径の拡大率を考慮に入れて、さらに細い孔径のビアホール134を未焼結の感光性絶縁材料シート132に予め形成しておくことが考えられる。
しかしながら、このように細い孔径のビアホール134を、膜厚の厚い未焼結の感光性絶縁材料シート132に、フォトリソグラフィ法によって正確に露光及び現像することは、図15に示すように、孔径φが細くかつ長さdが長いビアホール134を形成するということである。換言すれば高アスペクト比(AR=d/φ)のビアホール134を形成するということである。これは、上述したようにフォトリソグラフィ法における加工限界値の壁に直面することになるため、実際には困難である。
【0012】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、十分な耐電圧信頼性を有する厚さの絶縁層に所望の微細な孔径のビアホールを形成することを可能とする多層構造部品のビアホール形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、所定厚さの絶縁層を貫通し且つこの絶縁層が積層された第1の導体とこの絶縁層上に積層された第2の導体とを電気的に接続するビアホールを形成するための多層構造部品のビアホール形成方法であって、ビアホールの長さよりも薄い未焼結の感光性絶縁材料層を形成する第1工程と、この第1工程で形成した未焼結の感光性絶縁材料層にビアホール部のパターンに対応した露光を行う第2工程と、この第2工程で露光された未焼結の感光性絶縁材料層を現像して未焼結状態のビアホール部を形成する第3工程と、この第3工程を経た感光性絶縁材料層を焼結して、ビアホール部を有した薄い絶縁層を形成する第4工程とを含み、第1工程ないし第4工程を一巡とする工程を複数回繰り返すことにより、積層された複数の薄い絶縁層で所定厚さの絶縁層を形成すると共に、連通した複数のビアホール部でビアホールを形成する構成とした。
かかる構成により、未焼結の感光性絶縁材料層を形成し、それにビアホール部を露光・現像した後に焼結するという第1ないし第4工程を繰り返すことで、複数の薄い絶縁層の積み重ねにより、所定厚さの絶縁層を形成することができると共に、連通した複数のビアホール部でビアホールを形成することができる。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の多層構造部品のビアホール形成方法において、第2工程は、ビアホール部の直径が感光性絶縁材料層の厚さ以上になるように、ビアホール部のパターンに対応した露光を行うものである構成とした。
かかる構成により、第3工程で現像を行う際に、ビアホール部内に残渣が生じても、所望の孔径のビアホール部を形成することができる。このため、フォトリソグラフィ法によって未焼結の感光性絶縁材料層に設けるビアホール部の孔径は、正確なパターニングが可能なアスペクト比1以下とすることができる。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の多層構造部品のビアホール形成方法において、感光性絶縁材料層は、感光性ガラスペーストを塗布してなるものである構成とした。
【0016】
さらに、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層構造部品のビアホール形成方法において、第1工程ないし第4工程を一巡とする工程を複数回繰り返す際に、いずれかの回で用いる感光性絶縁材料層に、他の回で用いる感光性絶縁材料層の熱収縮率と異なる熱収縮率の感光性絶縁材料層を用いる構成とした。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、この発明によれば、複数の薄い絶縁層で所定厚さの絶縁層を形成する共に、連通した複数のビアホール部で所定長さのビアホールを形成するので、各薄い絶縁層にアスペクト比の高いビアホール部を形成しなくとも、全体としては、高アスペクト比のビアホールを形成することができる。しかも、各感光性絶縁材料層は薄いので、焼結後の薄い絶縁層のビアホール部の孔径がほとんど拡大せず、このため、最終的に得られる絶縁層において、非常に高いアスペクト比を有したビアホールを得ることができる。この結果、所望の微細で正確な孔径のビアホールを有し且つ十分な耐電圧信頼性を有する厚さの絶縁層を備えた、多層構造部品を実現することができるという優れた効果がある。
【0018】
特に、請求項2の発明によれば、第3工程で現像を行う際に、ビアホール部内に残渣が生じても、所望の孔径のビアホール部を形成することができ、この結果、フォトリソグラフィ法によって未焼結の感光性絶縁材料層に設けるビアホール部の孔径は、正確なパターニングが可能なアスペクト比1以下とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、この発明の第1実施例に係るビアホール形成方法によって形成されるビアホールを備えた多層構造部品の外観図であり、図2は、図1の多層構造部品においてビアホールが設けられた絶縁層の部分を抜き出して示す矢視A−A断面図である。
【0021】
この多層構造部品は、図1に示すように、外部電極1を表面に備えた多層構造部品であり、図2に示すように、支持基板2と、その上に設けられた所定厚さの絶縁層としての導体間絶縁層3と、この導体間絶縁層3の下面に設けられた第1の導体4と、導体間絶縁層3の上面に設けられた第2の導体5と、上面絶縁層6とで主要部として多層構造100を構成する。
【0022】
支持基板2は、セラミック基板のような一般的な基板であり、この支持基板2の上に、第1及び第2の導体4,5などが積層される。
【0023】
第1の導体4は、支持基板2の表面上に設けられており、後述するように、感光性導体材料をフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ法によって選択的に露光・現像してパターニングし、それを焼結することにより形成されている。
【0024】
導体間絶縁層3は、支持基板2及び第1の導体4の上に、後述する第1の感光性絶縁材料シート31を塗布または印刷形成して焼結してなる薄い絶縁層としての第1の焼結絶縁膜33と、さらにこの第1の焼結絶縁膜33の上に第2の感光性絶縁材料シート32を塗布または印刷形成して焼結してなる同じく薄い絶縁層としての第2の焼結絶縁膜34とを、所定の厚さに積層することで形成したものである。そして、所定の孔径のビアホール7が、これら第1の焼結絶縁膜33及び第2の焼結絶縁膜34からなる導体間絶縁層3を貫通し、その内部に充填された導電性物質8によって、第1の導体4と第2の導体5とが電気的に接続されている。
【0025】
この導体間絶縁層3では、焼結された状態での層厚が、第1の導体4と第2の導体5との間の十分な耐電圧信頼性を得ることができるように十分厚く形成されており、かつそのような厚い導体間絶縁層3に、従来の一般的な方法では形成することが困難あるいは不可能な細くてアスペクト比が高く且つ誤差も少なくて正確な寸法のビアホール7が形成されている。
【0026】
第2の導体5は、導体間絶縁層3の上面に、第1の導体4と同様に、感光性導体材料をフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ法によって選択的に露光・現像してパターニングし、それを焼結することにより形成したものである。
【0027】
上面絶縁層6は、第2の導体5の上面及び導体間絶縁層3の上面ほぼ全面を覆うように、多層構造の最上層に設けられており、この上面絶縁層6によって、第2の導体5や導体間絶縁層3の上面を保護したり、多層構造の力学的強度を上面で補強するなどする。
【0028】
上述したビアホール7を有する多層構造は、次のような工程によって作製される。
図3は、第1の導体の形成方法を示す工程図であり、図4は、1回目の第1ないし第4工程を示す工程図である。
【0029】
まず、図3に示すように、第1の導体4を支持基板2の上に形成する工程を実行する。
すなわち、支持基板2上にネガ型の感光性導体材料41を印刷または塗布する(図3(a))。そして、フォトマスク21を用いたフォトリソグラフィ法により、第1の導体4のパターン21aに対応した露光を行う(図3(b))。続いて、その第1の導体4の露光部43を有する感光性導体材料41を現像して、露光部43以外の部分を除去し(図3(c))、それを焼結して第1の導体4を形成する(図3(d))。
【0030】
かかる状態で、図4に示すように、第1ないし第4工程を実行する。
すなわち、第1工程を実行して、感光性絶縁ペーストのようなネガ型の感光性絶縁材料を、第1の導体4が表面上に形成された支持基板2の上に印刷または塗布し、上記ビアホール7の長さより薄い感光性材料絶縁層としての第1の感光性絶縁材料シート31を形成する(図4(a))。なお、この第1の感光性絶縁材料シート31及び後述する第2の感光性絶縁材料シート32としては、例えばセラミックスと低融点ガラスとを光硬化可能なモノマーを含有する有機バインダで練り合わせてなる感光性ペーストなどが利用可能である。あるいはその他にも一般に感光性を有するバインダにセラミックス等を練り込んでなるセラミックスリップ材なども利用可能である。
【0031】
そして、第2工程を実行し、この第1の感光性絶縁材料シート31に、フォトマスク22を用いたフォトリソグラフィ法により、後述する第1のビアホール部71′に対応したパターン22a以外を露光して、非露光部73を得る(図4(b))。
【0032】
続いて、第3工程を実行し、この非露光部73を有する未焼結の第1の感光性絶縁材料シート31を現像して、非露光部73を除去することにより、未焼結の第1のビアホール部71′を形成する(図4(c))。
【0033】
そして、第4工程を実行して、この未焼結の第1の感光性絶縁材料シート31を焼結することにより、第1のビアホール部71を有した薄い絶縁層としての第1の焼結絶縁膜33を形成する(図4(d))。
この第4工程では、第1の感光性絶縁材料シート31の熱収縮によって、第1のビアホール部71の孔径が未焼結の第1のビアホール71′の孔径よりも拡大する。しかし、第1の感光性絶縁材料シート31の単体での膜厚は薄いので、焼結後の第1のビアホール部71の孔径の拡大率は、導体間絶縁層3を一枚の厚い感光性絶縁材料シートを焼結して形成するという従来の一般的な方法の場合と比較して小さくなる。
【0034】
そして、上記第1ないし第4工程を一巡とする工程をもう一回繰り返す。
図5は、2回目の第1ないし第4工程を示す工程図である。
すなわち、第1工程を再び実行して、ネガ型の感光性絶縁材料を第1の焼結絶縁膜33の上に印刷または塗布して、上記ビアホール7の長さより薄い感光性材料絶縁層としての第2の感光性絶縁材料シート32を形成する(図5(a))。
そして、第2工程により、第2の感光性絶縁材料シート32に、フォトマスク23を用いたフォトリソグラフィ法により、後述する第2のビアホール部72′に対応したパターン23a以外を露光し、非露光部74を得る(図5(b))。
続いて、第3工程により、この非露光部74を有する第2の感光性絶縁材料シート32を現像して、非露光部74を除去することにより、第2のビアホール部72′を形成する(図5(c))。
そして、第4工程により、第2の感光性絶縁材料シート32を焼結して、第2のビアホール部72を有した薄い絶縁層としての第2の焼結絶縁膜34を形成する(図5(d))。この工程においても、上記1回目の第4工程時と同様に、第2の感光性絶縁材料シート32の熱収縮によって、第2のビアホール部72の孔径が未焼結の第2のビアホール72′の孔径よりも拡大するが、焼結後の第2のビアホール部72の孔径の拡大率は、導体間絶縁層3を一枚の厚い感光性絶縁材料シートを焼結して形成するという従来の一般的な方法の場合と比較して小さい。
これにより、第1の焼結絶縁膜33の上に第2の焼結絶縁膜34が積層されて導体間絶縁層3が形成され、しかも、第1及び第2のビアホール部71,72が連通して、ビアホール7が構成される。
【0035】
かかる状態で、第2の導体を形成する工程と上面絶縁層を形成する工程とを順次実行する。
図6は、第2の導体の形成方法を示す工程図であり、図7は、作製された多層構造を示す断面図である。
すなわち、図6に示すように、導体間絶縁層3の上に、ネガ型の感光性導体材料42を印刷または塗布する(図6(a))。このとき、第1及び第2のビアホール部71,72でなるビアホール7内にも感光性導体材料42を充填する。そして、フォトマスク24を用いたフォトリソグラフィ法により、第2の導体5に対応したパターン24aを露光し、露光部52を得る(図6(b))。続いて、この露光部52を有する感光性導体材料42を現像して、露光部52以外を除去し(図6(c))、それを焼結して第2の導体5を形成する(図6(d))。
【0036】
そして、図7に示すように、導体間絶縁層3の上ほぼ全面を覆うように上面絶縁層6を形成する。しかる後、ウエハ状の多層構造をダイシングによって各チップ(図1の多層構造100)に分割し、その各チップの表面に外部電極1を組み付けることにより、図1に示す多層構造部品を作製する。
【0037】
次に、この実施例のビアホール形成方法についての利用例を説明する。
図8は、この実施例の利用例を説明するための工程図である。
ここでは、十分な耐電圧信頼性を得ることができる膜厚30[μm]の導体間絶縁層に、孔径が90[μm]であるビアホールを形成する場合を例にし、且つ、感光性絶縁材料シートの厚さが、焼結すると未焼結時の1/2になる(熱収縮率が1/2)ものとする。また、感光性絶縁材料シートの焼結によるビアホールの孔径の拡大率はその厚さに対応して大きくなるが、ここでは、理解を容易にするため、厚さに拘わらず「2」であるとして説明する。
【0038】
厚さの熱収縮を想定して、孔径が90[μm]であるビアホールを有した厚さ60[μm]の感光性絶縁材料シートを焼結すると、得られた厚さ30[μm]の焼結絶縁膜のビアホールの孔径は180[μm]になってしまい、ショートなどの要因となる。したがって、孔径の拡大を想定して、孔径が45[μm]であるビアホールを有した厚さ60[μm]の感光性絶縁材料シートを焼結することが考えられるが、このように膜厚の厚い未焼結の感光性絶縁材料シートに孔径の微細なビアホールを正確な形状及び寸法再現性で形成することは、加工上困難である。正確な形状及び寸法再現を行うには、未焼結の感光性絶縁材料シートのビアホールのアスペクト比ARを「1」以下に設定することが必要である。
そこで、この実施例のビアホール形成方法を利用することで、加工可能な低アスペクト比のビアホール部を有した感光性絶縁材料シートを用いて、所望膜厚30[μm]の導体間絶縁層に、孔径90[μm]のビアホールを形成することができる。
【0039】
すなわち、図8に示すように、上記第1〜第3工程を実行して、第1の感光性絶縁材料シート31を露光及び現像し、45[μm]の孔径の未焼結の第1のビアホール部71′を形成する(図8(a))。このとき、第1の感光性絶縁材料シート31の膜厚は30[μm],第1のビアホール部71′の孔径は45[μm]であるから、第1のビアホール部71′のアスペクト比は、AR=30/45=0.71′<1である。このようにアスペクト比が1以下なので、未焼結の第1のビアホール部71′の形状及び寸法を、フォトリソグラフィ法を用いて正確に形成することが可能である。
【0040】
そして、第4工程を実行して、未焼結の第1の感光性絶縁材料3を焼結し、第1の焼結絶縁膜33を得る(図8(b))。このとき、熱収縮率=1/2の収縮が生じて、出来上がった第1の焼結絶縁膜33の膜厚は15[μm]となる。また、その収縮に伴って、焼結後の第1のビアホール部71の孔径は、拡大して90[μm]になる。
【0041】
再び上記第1〜第3工程を繰り返し、第1の焼結絶縁膜33の上に、第2の感光性絶縁材料シート32を塗布または印刷形成し(図8(c))、第1の感光性絶縁材料シート31と同様に、フォトリソグラフィ法により、第2の感光性絶縁材料シート32を露光及び現像して、45[μm]の孔径の未焼結の第2のビアホール部72′を形成する(図8(d))。このとき、未焼結の第2のビアホール部72′は、第1のビアホール部71内に入り込んだ第2の感光性絶縁材料シート32を貫通する項である。したがって、そのアスペクト比は、AR=45/45=1となるので、未焼結の第2のビアホール部72′も、フォトリソグラフィ法を用いて正確な形状及び寸法に形成することができる。
【0042】
そして、第4工程を実行して、この未焼結の第2の感光性絶縁材料シート32を焼結し、第2のビアホール部72を備えた第2の焼結絶縁膜34が得る。(図8(e))、このときも、第1の感光性絶縁材料シート31の場合と同様に、出来上がった第2の焼結絶縁膜34の膜厚は15[μm]となる。また、焼結後の第2のビアホール部72の孔径も、90[μm]に拡大する。
このように第1〜第4工程を繰り返すことで、第1の焼結絶縁膜33の上に第2の焼結絶縁膜34をさらに焼結し、それら第1及び第2の焼結絶縁膜33,34を積層してなる膜厚30[μm]の導体間絶縁層3を作製することができる。これにより、第1のビアホール部71と第2のビアホール部72とが連通した長さ(深さ)30[μm]で孔径90[μm]のビアホール7を形成することができる。
ところで、このビアホール7のアスペクト比は30/90であり、約0.3である。これに対して、従来に技術のように、孔径が90[μm]であるビアホールを有した厚さ60[μm]の感光性絶縁材料シートを焼結して、厚さ30[μm]の焼結絶縁膜に孔径180[μm]のビアホールの形成すると、出来上がったビアホールのアスペクト比が30/180であり、約0.17である。したがって、この実施例で形成したビアホール7のアスペクト比は、従来技術で形成されるビアホールのアスペクト比に比べて非常に高い。
【0043】
以上のように、この実施例によれば、正確な形状再現性を確保できる低アスペクト比の第1のビアホール部71′を有した第1の感光性絶縁材料シート31を焼結することで、焼結後の第1のビアホール部71の孔径拡大を抑えた第1の焼結絶縁膜33を作製し、その上に、同じく低アスペクト比の第2のビアホールを有した第2の感光性絶縁材料シート32を焼結して、細い孔径の第2のビアホール部72を有した第2の焼結絶縁膜34を積層するので、所望厚さの導体間絶縁層3に高いアスペクト比のビアホール7を形成することができる。この結果、所望の微細で正確な孔径のビアホール7を有し且つ十分な耐電圧信頼性を有した厚さの導体間絶縁層3を備える多層構造部品を実現することができる。
【実施例2】
【0044】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図9は、この発明の第2実施例に係るビアホール形成方法の第2工程を示す端面図である。
この実施例のビアホール形成方法は、第2工程において、ビアホール部の非露光部の孔径が感光性絶縁材料層の厚さ以上になるように、露光する点が、上記第1実施例と異なる。
【0045】
具体的には、図9に示すように、フォトマスク22(23)のビアホール部パターン22a(23a)の径Dを第1の感光性絶縁材料シート31(第2の感光性絶縁材料シート32)の厚さT以上に設定して、露光する。
これは、フォトマスク22(23)のビアホール部パターン22a(23a)の径Dが第1の感光性絶縁材料シート31(第2の感光性絶縁材料シート32)の厚さTよりも小さいと、非露光部73(74)自体の径は所望値になるが、第3工程で、この非露光部73(74)を現像したときに、図9の破線で示すように、第1のビアホール部71′(第2のビアホール部72′)に感光性絶縁材料の残渣Mが残り、第1のビアホール部71′(第2のビアホール部72′)の孔径が所望値よりも小さくなるおそれがあるからである。この残渣Mは、第1のビアホール部71′(第2のビアホール部72′)の孔径を不均一にするだけでなく、閉塞してしまう場合もある。
したがって、この実施例のごとく、フォトマスク22(23)のビアホール部パターン22a(23a)の径Dを第1の感光性絶縁材料シート31(第2の感光性絶縁材料シート32)の厚さT以上に設定して、露光した後、第3工程で、その非露光部73(74)を除去することで、第1のビアホール部71′(第2のビアホール部72′)内に残渣Mが生じても、第1の感光性絶縁材料シート31(第2の感光性絶縁材料シート32)を完全に貫通した所望の孔径のビアホール部を形成することができる。このため、フォトリソグラフィ法によって第1のビアホール部71′(第2のビアホール部72′)の孔径を、確実にアスペクト比1以下にすることができる。
【実施例3】
【0046】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図10は、この発明の第3実施例の主要な工程を示す端面図である。
この実施例のビアホール形成方法は、第1工程ないし第4工程を一巡とする工程を2回繰り返す際に、1回目で用いた第1の感光性絶縁材料シート31の熱収縮率と異なる熱収縮率を有した第2の感光性絶縁材料シート32を2回目で用いる点が、上記第1及び第2実施例と異なる。
【0047】
この実施例では、第1の感光性絶縁材料シート31は未焼結時の膜厚が約30[μm]で且つ熱収縮率が約0.50であり、第2の感光性絶縁材料シート32は未焼結の膜厚が32[μm]で且つ熱収縮率が約0.59であるものを適用し、未焼結での第1のビアホール部71′及び第2のビアホール部72′の孔径は、共に45[μm]に設定した。すなわち、第1の感光性絶縁材料シート31の熱収縮率の方が第2の感光性絶縁材料シート32の熱収縮率よりも高く設定されている。
そして、1回目の工程で、第1の感光性絶縁材料シート31を焼結してなる第1の焼結絶縁膜33(図10(a))を形成し、2回目の工程で、その上に第2の感光性絶縁材料シート32を積層して焼結することで、第2の焼結絶縁膜34(図10(b))を形成することにより、導体間絶縁層3を構築した。
【0048】
ところで、熱収縮率の違いは、絶縁ペーストに含まれるセラミックスと低融点ガラスとの比率の違いによるものである。すなわち、第1の感光性絶縁材料シート31は、第2の感光性絶縁材料シート32に比べて低融点ガラスの比率が高くなっている。このように低融点ガラスの比率を高くすることで、第1の感光性絶縁材料シート31と支持基板2との濡れ性を向上させることができる。その反面、低融点ガラスの比率が高くなると収縮率も高くなる傾向にあることが想定される。
【0049】
しかし、この実施例のように、支持基板2に対する良好な濡れ性あるいは第1の導体4に対するいわゆる食い付きの良さ等が要求される第1の感光性絶縁材料シート31には、その濡れ性等が良好であるような材質の感光性絶縁ペースト(即ち、熱収縮率の高い感光性絶縁ペースト)を用い、他方、そのような濡れ性等よりも収縮率の抑制やフォトリソグラフィ工程における形状再現性の良さの方がより強く要求されることが想定される第2の感光性絶縁材料シート32には、そのような材質の感光性絶縁ペースト(即ち、熱収縮率の低い感光性絶縁ペースト)を用いることにより、作製された多層構造部品における導体間絶縁層3の支持基板2あるいは第1の導体4に対するいわゆる食い付き等の製品としての耐久性や信頼性をさらに良好なものとすることができる。
【0050】
ここで、発明者が行った実験例について説明する。
図11は、実験結果を示す表図である。
図11に示すように、サンプル1〜10という10個のサンプルを用意し、それを上記のような工程で焼結する実験を行った。このとき、未焼結の第1の感光性絶縁材料シート31の印刷厚みを全10サンプルの平均で30.4[μm]とした。したがって、このときの未焼結の第1のビアホールの平均アスペクト比は、30.4/45=0.68<1である。
【0051】
そして、この第1の感光性絶縁材料シート31を焼結したところ、その第1の焼結絶縁膜33の厚さは平均で15.1[μm]となり、このときの膜厚の熱収縮率は平均で0.496(約1/2)となった。また、第1のビアホール部71(71′)の孔径は、未焼結の第1の感光性絶縁材料シート31に形成したときには45[μm]であった孔径が、それを焼結して第1の焼結絶縁膜33になったときには全10サンプルの平均で92.7[μm]となった。したがって、このときの孔径の拡大率は平均で2.06倍であった。
【0052】
また、未焼結の第2の感光性絶縁材料シート32については、その印刷厚みを全10サンプルの平均で31.8[μm]とした。したがって、このときの未焼結の第2のビアホールの平均アスペクト比は、31.8/45=0.71<1である。
【0053】
そして、この第2の感光性絶縁材料シート32を焼結したところ、第2の焼結絶縁膜34の厚さは平均で18.7[μm]となり、このときの膜厚の熱収縮率は平均で0.588となった。また、第2のビアホール部72(72′)の孔径は、未焼結の第2の感光性絶縁材料シート32に形成したときには45[μm]であった孔径が、それを焼結して第2の焼結絶縁膜34になったときには全10サンプルの平均で78.1[μm]となり、このときの孔径の拡大率は平均で1.73倍となった。
【0054】
これら第1の焼結絶縁膜33と第2の焼結絶縁膜34とを順次に焼結して積層してなる導体間絶縁層3の全体的な層厚は、15.1+18.7=33.8[μm]となった。また、このときの第1のビアホールと第2のビアホールとからなる一繋がりのビアホール7の平均孔径は78.1となった。したがって、出来上がった導体間絶縁層3のビアホールの平均アスペクト比は、33.8/78.1=約0.43となった。
【0055】
このように、この実施例によれば、導体間絶縁層3の支持基板2あるいは第1の導体4に対するいわゆる食い付き等を向上させるだけでなく、未焼結の個々の感光性絶縁材料シート31,32にフォトリソグラフィ法によって形成するビアホールのアスペクト比を、0.68及び0.71のように、1よりも低く設定することができるので、確実に正確な孔径を露光・現像することができる。またさらに、それら複数の感光性絶縁材料シート32を順次に焼結し積層して完成された導体間絶縁層3において、第1のビアホール部71と第2のビアホール部72とで構成されるビアホール7の孔径を平均で85.4[μm]程度に抑えることができる。
その他の構成、作用及び効果は上記第1及び第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0056】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、第1ないし第4工程を2回繰り返して、2枚の焼結絶縁膜からなる導体間絶縁層を作製する場合について説明したが、第1ないし第4工程を3回以上繰り返して、導体間絶縁層を上記実施例よりもさらに多数枚の焼結絶縁膜で構成するようにしても良い。かかる方法により、極薄の感光性絶縁材料シートに、アスペクト比が1以下でありながら孔径が小さいビアホール部を形成することができるので、出来上りの導体間絶縁層に上記実施例のビアホールよりも極めて高いアスペクト比のビアホールを形成することができる。
【0057】
また、第1の感光性絶縁材料シート31及び第2の感光性絶縁材料シート32の材料としては、上記実施例で挙げたもののみには限定されない。
【0058】
また、上記実施例では、フォトリソグラフィ法による露光にフォトマスクを用いているが、フォトマスクを用いないで露光を行う露光装置を用いてその工程を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の第1実施例に係るビアホール形成方法が適用される多層構造部品の外観図である。
【図2】図1の矢視A−A断面図である。
【図3】第1の導体の形成方法を示す工程図である。
【図4】1回目の第1ないし第4工程を示す工程図である。
【図5】2回目の第1ないし第4工程を示す工程図である。
【図6】第2の導体の形成方法を示す工程図である。
【図7】作製された多層構造を示す断面図である。
【図8】この実施例の利用例を説明するための工程図である。
【図9】この発明の第2実施例に係るビアホール形成方法の第2工程を示す端面図である。
【図10】この発明の第3実施例の主要な工程を示す端面図である。
【図11】実験結果を示す表図である。
【図12】従来のビアホール形成方法を示す工程図である。
【図13】不均一なビアホールを示す断面図である。
【図14】厚い感光性絶縁材料シートが焼結に因って収縮する状態を示す断面図である。
【図15】高アスペクト比のビアホールの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1…外部電極、 2…支持基板、 3…導体間絶縁層、 4…第1の導体、 5…第2の導体、 6…上面絶縁層、 7…ビアホール、 8…導電性物質、 22,23…フォトマスク、 31…第1の感光性絶縁材料シート、 32…第2の感光性絶縁材料シート、 33…第1の焼結絶縁膜、 34…第2の焼結絶縁膜、 71,71′…第1のビアホール部、 72,72′…第2のビアホール部、 73,74…非露光部。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
【出願日】 平成16年1月19日(2004.1.19)
【代理人】 【識別番号】100101926
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 孝和

【公開番号】 特開2005−203710(P2005−203710A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−10991(P2004−10991)