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【発明の名称】 制御盤およびこの制御盤に用いる制御盤筐体
【発明者】 【氏名】渋谷 守
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【要約】 【課題】制御機器を収納設置する制御盤内部の液密性を一層向上させ、且つ安定した液密性を保持し得る制御盤を提供すること。

【解決手段】本発明の制御盤10は、前方を開口する制御盤本体11と、この制御盤本体11の開口部に開閉自在に設けられる扉12とを具備する。制御盤本体11は、開口部周縁に内方へ折り曲げ形成される開口側折曲部13aを備えた制御盤筐体13と、この制御盤筐体13の開口側折曲部13aの周縁に保持される弾力性を有するシールパッキン14を備え、扉12には、裏側に平板面12bを備え、閉扉時に上記シールパッキン14を、扉12の平板面12bに液密的に接合させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方を開口する制御盤本体と、この制御盤本体の開口部に開閉自在に設けられた扉とを具備し、
上記制御盤本体は、上記開口部周縁を内方へ折り曲げ形成される開口側折曲部を備えた制御盤筐体と、この制御盤筐体の開口側折曲部に周方向に保持されるシールパッキンを備え、
上記扉には、裏側に平板面を備え、
上記制御盤本体側のシールパッキンは、上記扉を閉じた時に、当該扉の平板面に液密的に接合するように設けられたことを特徴とする制御盤。
【請求項2】
上記シールパッキンには、断面U字状の条溝を有する基部が形成され、この条溝が上記制御盤筐体の開口側折曲部周縁に嵌入し、保持されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の制御盤。
【請求項3】
上記シールパッキンには、その基部の条溝周囲に、U字状板バネを埋設したことを特徴とする請求項1記載の制御盤。
【請求項4】
上記制御盤筐体の開口側折曲部の少なくとも上方位置に、上記シールパッキンの基部を下支えするパッキン保持板を備えたことを特徴とする請求項1記載の制御盤。
【請求項5】
前方を開口する制御盤本体と、この制御盤本体の開口部に開閉自在に設けられる扉とを具備し、
上記制御盤本体は、上記開口部周縁に内方へ折り曲げ形成される開口側折曲部を備えた制御盤筐体と、この制御盤筐体の開口側折曲部周縁に保持される弾力性を有するシールパッキンを備え、
上記制御盤筐体の開口側折曲部には、上記シールパッキンを保持するパッキン保持板を固定するパッキン保持板固定具穴を形成したことを特徴とする制御盤に用いる制御盤筐体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場等での水量制御やそのためのポンプ制御等の制御および監視を行なう制御盤に係り、制御機器および監視機器等の機器類を収納し、これらの機器類を外部環境から保護する制御盤およびこの制御盤に用いる制御盤筐体の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この制御盤およびこの制御盤に用いる制御盤筐体として、制御盤の設置現場におけるモータやポンプ等の設備機器の監視や運転制御を行なうに適する構成のものが採用されている。
【0003】
この制御盤およびこの制御盤に用いる制御盤筐体は、設置される現場、例えば屋外に準ずる場所に設置される場合には外部からの湿気や水の浸入に対する機器側の防湿および防水性(以下、「液密性」という。)が要求される。また、屋内に設置される場合には、特に屋内側での液密性は必要ではなく、その制御盤の設置される場所に応じて種々製作されたものが使用されている。
【0004】
屋外設置型の制御盤として、特開平8−126132号公報(例えば、特許文献1参照)に開示されたものがある。
【0005】
この特許文献1によれば、添付図面の図10(a)および(b)に示すように制御盤1を構成する制御盤本体2およびこの制御盤本体2の前面に開閉自在に設けられた扉3が示されている。制御盤本体2の前面側に設けられる扉3には、その裏面側周囲にシールパッキン4が設けられ、内部を液密状態にしている。シールパッキン4は、扉3の裏面側に設けられる内方折曲部3aの内周縁に行き渡るようにループ状のもので、その基部に沿って形成した条溝4aおよびシール部4bとから構成されている。このシールパッキン4は、基部の条溝4aが扉3の裏面側周囲に形成される内側折曲部3a側に嵌入して、扉3と一体的に設けている。この構成によれば、制御盤本体2内に収納設置される制御機器(図示せず)は、開閉自在に設けられている扉3が閉じられている場合には、シールパッキン4のシール部4bにより内部が液密的にシールされた状態になっている。
【0006】
従って、通常時閉じられている扉3によって制御盤本体2内の制御機器は、液密状態に内部に設けられるため、外部からの湿気や水分の浸入を防止することができる。このため、敢えて制御機器に液密対策を独自に施す必要がない構成になっていた。
【特許文献1】特開平8−126132号公報(第3頁左欄第28〜35行および図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、扉3の厚さ寸法が通常数センチメートル程度と比較的小さいために、扉3の製作時に平板面(正面)の所要の平面度を得ることが困難であること。また、扉3全体として歪みが生じ易い。また、従来の制御盤1の構成によれば、制御盤本体2への扉3の取付け寸法精度が必ずしも一定しておらず、組立過程でのバラツキが生じ易かった。この結果、閉扉時に、制御盤本体2内部の液密性が充分に得られなかった。
【0008】
また、制御盤本体2内の液密性の向上を図るために、扉3を制御盤本体2側に取付ける過程で、個々に調整を行なわねばならず、その調整作業が面倒であった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、制御機器を収納設置する制御盤の液密性を一層向上させ、且つ安定した液密性を保持し得る制御盤を提供することを主な目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、内部に収納設置される機器類の液密性を保持し得る制御盤である一方、液密性を必要としない制御盤としても転用可能である制御盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、前方を開口する制御盤本体と、この制御盤本体の開口部に開閉自在に設けられた扉とを具備し、上記制御盤本体は、上記開口部周縁を内方へ折り曲げ形成される開口側折曲部を備えた制御盤筐体と、この制御盤筐体の開口側折曲部に周方向に保持されるシールパッキンを備え、上記扉には、裏側に平板面を備え、上記制御盤本体側のシールパッキンは、上記扉を閉じた時に、当該扉の平板面に液密的に接合するように設けられたことを特徴とする制御盤を提供する。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明によれば、前方を開口する制御盤本体と、この制御盤本体の開口部に開閉自在に設けられる扉とを具備し、上記制御盤本体は、上記開口部周縁に内方へ折り曲げ形成される開口側折曲部を備えた制御盤筐体と、この制御盤筐体の開口側折曲部周縁に保持される弾力性を有するシールパッキンを備え、上記制御盤筐体の開口側折曲部には、上記シールパッキンを保持するパッキン保持板を固定するパッキン保持板固定具穴を形成したことを特徴とする制御盤に用いる制御盤筐体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
制御機器を収納設置する制御盤本体に対する液密性を一層向上させ、且つ安定した液密性を保持し、延いては制御機器の故障や誤動作の招来を未然に防止することができる制御盤を提供することができる。
【0014】
また、安定した液密性を保持し得る制御盤本体を構成する制御盤筐体であって、液密性を必要としない制御盤の制御盤筐体としても転用可能としたことにより、種々の制御盤の製作にあたって、制御盤筐体を共通して用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る制御盤の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明を実施する制御盤10の概要を示す図である。
【0017】
図1に示す制御盤10は、屋外設置タイプのもので、内部に制御機器(図示せず)を収納設置する制御盤本体11と、この制御盤本体11の前面に開閉自在に設けられる扉12とより構成される。この制御盤10の制御盤本体11は、図2に示すように、制御機器や監視機器の機器類を収納設置する制御盤筐体13と、この制御盤筐体13の前面開口周縁に一体的に設けられるループ状のシールパッキン14とより構成される。
【0018】
制御盤筐体13には、図3に示すように、開口側周縁に内方へ折曲げて形成される内周フランジ状の開口側折曲部13aが設けられる。また、その開口側折曲部13aの上方位置には、図4に示すパッキン保持板16が固定される。パッキン保持板16は、制御盤筐体13の開口側折曲部13aに形成した複数のパッキン保持板固定具穴13bにボルト等で緊締し、固定される。
【0019】
パッキン保持板16は、図4に示すように、制御盤筐体13の開口幅相当の長さを有し、側面がほぼL字状の剛性を有するものである。このパッキン保持板16は、基部16aと、シールパッキン14を下支えするように、L字状に曲げ形成した保持部16bを有し、基部16aは、パッキン保持板16を固定する固定具穴16cを設けている。パッキン保持板16は、このパッキン保持板16の固定具穴16cを、制御盤筐体13の開口側折曲部13aに形成されたパッキン保持板固定具穴13bと穴合わせ後に、この両者を結合する保持板固定具、例えばボルト17により締め付け固定している。
【0020】
シールパッキン14は、弾力性を有する素材、例えばエチレンプロピレンゴムを用いて長尺に一体成形し、ループ状に形成したものである。シールパッキン14は、長尺のものを矩形状に形成して用いられ、その折曲部の一部が図5に示されるように矩形状に折曲して用いられる。シールパッキン14は、基部14aと、この基部14aから鰭条に延出させて形成したシール・緩衝部14bと、基部14aに埋設したU字状板バネ14cとより構成される。
【0021】
基部14aには、外周方向に開口する条溝15が形成され、制御盤筐体13の開口側折曲部13a側に弾力的に嵌め込まれるようになっている。U字状板バネ14cは、基部14aの条溝15が制御盤筐体13の開口側折曲部13a側に嵌め込まれた際、このU字状部が制御盤筐体13の開口側折曲部13a側に弾力を付与して、シールパッキン14が御盤筐体13側から脱落しない程度に保持される。
【0022】
扉12は、図1に示されるように、その正面に扉開閉用のハンドル12aが設けられる。扉12は、その裏面側が、図6に示されるように、裏側に平板面12bが設けられ、この平板面12bの周縁から内向きリブが立てられ、この内向きリブの先端部は、さらに内側にフランジ状の内側折返部12cが形成される。
【0023】
また、扉12の平板面12bのハンドル取付位置には、ハンドル取付穴12dが形成される。このハンドル取付穴12d側の扉12の内側折返部12cには、複数の緩衝具21を固定する複数の緩衝具保持穴12eが形成される。
【0024】
扉12が閉じた状態において、シールパッキン14は、図7に示すように、その基部14aが制御盤筐体13の開口側折曲部13aに嵌入されてU字状板バネ14cにより弾力的に保持される一方で、パッキン保持板16の保持部16bにより下支えされるように取り付けられる。また、シールパッキン14には、その基部14aの弾力性と、この基部14bに埋設したU字状板バネ14cのバネ作用により、制御盤筐体13の開口側折曲部13a側へ弾力的に保持される。
【0025】
次に、制御盤10の作用について図1〜図7を参照して説明する。
【0026】
制御盤10は、扉12を制御盤本体11側へ閉じると、図7に示すように、制御盤本体11側から延出するシールパッキン14のシール・緩衝部14bが扉12の裏側の平板面12b側に弾力的に変形しながら接合する。この接合により、制御盤本体11内は外部と液密にシールされる。
【0027】
また、シールパッキン14のシール・緩衝部14bは、弾力的に変形させた構成であるので、扉12の平板面12bの平面度に少々バラツキが生じたとしても、これを吸収することが可能である。従って、制御盤10は、例えば屋外に設置され、雨水がかかったりした場合にでも、その液密性が充分に発揮されるので、内部に設置する制御機器類を湿気や水等の液の浸入により、制御機器類が故障したり誤動作を起こすということがない。
【0028】
更に、制御盤10の製作性の面でも、扉12自体の製作性や扉12の制御盤本体側への組み込み時の寸法管理面での品質性向上も期待できる。また、同時に制御盤10内に設置される制御機器類は、特別の液密処置、例えば防湿処置を施す必要がなくなる。
【0029】
次に、液密性を有する制御盤10に対し、液密性を必要としない制御盤として使用する場合について図8および図9を参照して説明する。
【0030】
図8および図9に示す液密性を必要としない制御盤20は、制御機器類や監視機器等の機器類を収納設置する制御盤筐体13と、この制御盤筐体13の前方に開閉自在に設けられる扉12とより構成される。扉12は、その内側折曲部12cに形成した複数の緩衝具保持穴12eに緩衝具21を取り付ける。
【0031】
緩衝具21は、基部21a、縊れ部21bおよび釦形の緩衝部21cを設けている。この緩衝具21は、閉扉の際に、緩衝部21cが制御盤筐体13の開口側折曲部13aに弾力的に衝接させるために設けられる。緩衝具21の基部21aの径は、内側折曲部12cに形成した複数の緩衝具保持穴12eの径よりやや大きく、縊れ部21bの径よりやや小さく形成されている。
【0032】
また、緩衝部21cは、緩衝具保持穴12eの径より相当大きめに半球状に形成したものである。この緩衝部21cを扉12側に取り付けるにあたっては、緩衝具21の基部21aを、扉12の内側折曲部12cに形成した複数の緩衝具保持穴12eへ変形させながら嵌入すると共に、縊れ部21bが緩衝具保持穴12eに納まるように固定する。この状態で、緩衝具21の緩衝部21cが扉12の裏面側に突出するように設けられる。
【0033】
次に、制御盤20の作用について説明すると、扉12を制御盤筐体13側へ閉じると、図8に示すように、扉12側の複数の緩衝具21の緩衝部21cが制御盤筐体13の開口側折曲部13aの表面に弾力的に接合する。すなわち、扉12のハンドル12aを操作して閉扉した際、衝撃を伴なわない程度に制御盤筐体13の開口側折曲部13aの表面に弾力的に接合する。このような構成の制御盤20の制御盤筐体13は、制御盤10に用いられる制御盤筐体13と同一のタイプのものが使用可能となる。
【0034】
従って、制御盤20の製作にあたって、制御盤10に使用される制御盤筐体13および扉12をそのまま転用可能となり、各種の制御盤の製作性に優れた制御盤およびこの制御盤に用いる制御盤筐体を得ることができる。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、制御盤10の制御盤筐体13側に設けられるパッキン保持板16は、必ずしも必要ではなく、シールパッキン14の基部14aの条溝15にて、制御盤筐体13の開口側折曲部13a側へ強固に保持させる構成としてもよい。
【0036】
また、制御盤筐体13の開口側折曲部13aの周縁に設けたシールパッキン14は、弾力性素材の厚肉のものを用いたが、断面袋状のものを用いてもよい。
【0037】
また、このシールパッキン14を矩形状に形成するにあたって、短尺の複数ピース、例えば4ピースに分けて製作し、これらを組み合わせて接合させて形成してもよい。
【0038】
更に、制御盤筐体13の開口側折曲部13aの上方位置に設けたパッキン保持板16は、必要により両側部にも設けて、より一層シールパッキン14の保持をなさしめることができる。
【0039】
更に、制御盤20として用いる場合において、扉12の内側折曲部12cに設けた緩衝具21は、釦形のものでなく、帯状のものまたは断面中空状のものを用いて、外部とある程度の液密性を保持させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の制御盤の概略斜視図。
【図2】図1の扉を除去した状態を示す制御盤本体の斜視図。
【図3】図2のシールパッキンを除去した制御盤筐体の斜視図。
【図4】パッキン保持板の斜視図。
【図5】シールパッキンをほぼ直角に折り曲げた状態を示す拡大斜視図。
【図6】図1の扉を裏側から見た斜視図。
【図7】図1のA−A線に沿う拡大断面図。
【図8】本発明の制御盤の別の実施例を示す図1に対応する図。
【図9】図8の扉から緩衝具を取り外した状態を示す要部の斜視図。
【図10】従来の制御盤の概要図で、(a)は、扉を開いた状態における扉の裏面図、(b)は、扉を閉じた状態において、扉の一部を切除して示す側面図。
【符号の説明】
【0041】
10,20 制御盤
11 制御盤本体
12 扉
12a ハンドル
12b 平板面
12c 内側折曲部
12d ハンドル取付穴
12e 緩衝具保持穴
13 制御盤筐体
13a 開口側折曲部
13b パッキン保持板固定具穴
14 シールパッキン
14a 基部
14b シール・緩衝部
14c U字状板バネ
15 条溝
16 パッキン保持板
16a 基部
16b 保持部
16c 固定具穴
17 ボルト
21 緩衝具
21a 基部
21b 縊れ部
21c 緩衝部
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成16年1月19日(2004.1.19)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一

【公開番号】 特開2005−203705(P2005−203705A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−10923(P2004−10923)