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【発明の名称】 電子部品内蔵基板の製造方法
【発明者】 【氏名】児島 直之
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内

【氏名】樋上 俊哉
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内

【要約】 【課題】寸法が小さく且つ大容量のコンデンサを内蔵した電子部品内蔵基板を製造可能な方法を提供すること。

【解決手段】本発明の電子部品内蔵基板の製造方法は、無機誘電体粒子51とその表面を少なくとも部分的に被覆した樹脂52とを備えた粒状複合体50を用いて前記無機誘電体粒子51及び前記樹脂52を含有した誘電体層5aを形成する工程と、第1導体層3bと第2導体層3cとをそれらの間に前記誘電体層5aが介在するように貼り合わせる工程とを含み、前記第1及び第2導体層3b,3cと前記誘電体層5aとの積層体を前記電子部品の少なくとも一部として利用することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品内蔵基板の製造方法であって、
無機誘電体粒子とその表面を少なくとも部分的に被覆した樹脂とを備えた粒状複合体を用いて前記無機誘電体粒子及び前記樹脂を含有した誘電体層を形成する工程と、
第1導体層と第2導体層とをそれらの間に前記誘電体層が介在するように貼り合わせる工程とを含み、
前記第1及び第2導体層と前記誘電体層との積層体を前記電子部品の少なくとも一部として利用することを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項2】
前記無機誘電体粒子は、金属粒子を無機誘電体被覆層で被覆してなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項3】
前記誘電体層を形成する工程は、帯電した前記粒状複合体を電界を利用して前記第1導体層上に付着させることを含んだことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項4】
前記誘電体層を形成する工程は、前記粒状複合体を磁界を利用して前記第1導体層上に付着させることを含んだことを特徴とする請求項2に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項5】
電子部品内蔵基板の製造方法であって、
第1導体層と第2導体層とをそれらの間に無機誘電体粒子層と樹脂層との第1積層体が介在するように貼り合わせて、前記第1及び第2導体層間に無機誘電体粒子と樹脂とを含有した誘電体層を形成する工程を含み、
前記第1及び第2導体層と前記誘電体層との第2積層体を前記電子部品の少なくとも一部として利用することを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2導体層上に前記樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層上に前記無機誘電体粒子を用いて前記無機誘電体粒子層を形成する工程とをさらに含んだことを特徴とする請求項5に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1導体層上に前記無機誘電体粒子を用いて前記無機誘電体粒子層を形成する工程と、
前記無機誘電体粒子層上に前記樹脂層を形成する工程とをさらに含んだことを特徴とする請求項5に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1導体層上に前記無機誘電体粒子を用いて前記無機誘電体粒子層を形成する工程と、
前記第2導体層上に前記樹脂層を形成する工程とをさらに含んだことを特徴とする請求項5に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項9】
基材上に設けられた前記第1積層体を前記基材上から前記第2導体層上に転写する工程をさらに含んだことを特徴とする請求項5に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項10】
前記無機誘電体粒子は、金属粒子を無機誘電体被覆層で被覆してなることを特徴とする請求項5乃至請求項9の何れか1項に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【請求項11】
前記樹脂層の流動性は前記誘電体層の流動性と比較してより高いことを特徴とする請求項5乃至請求項11の何れか1項に記載の電子部品内蔵基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、電子機器の性能向上や小型・薄型・軽量化は、半導体パッケージの小型・薄型・軽量化や、その表面実装に使用するプリント配線板に多層構造を採用することなどにより達成されてきた。しかしながら、これらの手法のみでは、今後、電子機器のさらなる性能向上や小型・薄型・軽量化が難しくなると考えられる。そこで、従来のプリント配線板と比較して以下の点で優れた電子部品内蔵基板が注目を集めている。
【0003】
1.これまで表面実装していた電子部品をプリント配線板の内部に組み入れるため、それらの集積度を高めることができる。
2.表面実装すべき電子部品の数が減少するため、プリント配線板上における電子部品のレイアウトの自由度が向上する。
【0004】
3.電子部品を三次元的に配置することができるなどの理由から、電子部品間の配線長を短縮して高周波特性やノイズ特性などの電気特性を改善することができる。
4.はんだ接続部が減少するため、接続信頼性が向上する。
5.小型化が可能となるとともに実装が容易になるため、コストを低減することができる。
【0005】
ところで、基材としてセラミック基材を使用したセラミック系電子部品内蔵基板には、その製造プロセスに必須の高温焼成工程における基材の収縮が大きいという問題がある。すなわち、セラミック系電子部品内蔵基板は、寸法及び形状を高精度に制御することが難しく、高い歩留まりを実現することが困難である。また、セラミック基材には、本質的に割れ易いという問題がある。さらに、セラミック系電子部品内蔵基板には、内蔵可能な電子部品が受動素子に限られ、能動素子を内蔵することはできないという問題がある。
【0006】
これに対し、基材として樹脂基材を使用した樹脂系電子部品内蔵基板には、セラミック系電子部品内蔵基板に関して上述した問題がない。そのため、電子部品内蔵基板のなかでも、特に、樹脂系電子部品内蔵基板の研究が盛んに行われている。
【0007】
例えば、以下の特許文献1には、誘電体層を一対の電極導体で挟持してなるコンデンサを含んだ多層回路基板が記載されている。また、この文献には、樹脂中にセラミック誘電体粉末を分散させてなる分散液をガラス織布に含浸させて誘電体基板を形成することが記載されている。
【0008】
しかしながら、このような方法で得られる誘電体基板は、ガラス織布によって厚さが制限される。そのため、上記の方法で得られる誘電体基板の厚さは、一般には50μm乃至60μm程度であり、最も薄く形成した場合であっても20μm程度である。すなわち、特許文献1に記載の技術では、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサを形成することができない。
【0009】
また、以下の特許文献2には、導体ペーストを用いて可撓性金属基板上にアンダープリントを形成し、その上に誘電体ペーストを用いて誘電体層を形成し、その上に導体ペーストまたは熱硬化性厚膜導体を用いて導体層を形成し、それにより得られる積層体と接着剤層でコーティングされた有機層とを貼り合わせることが記載されている。また、この文献には、誘電体ペーストは、チタン酸バリウムまたは酸化チタンなどの粒子を可塑剤、分散剤、有機溶媒の混合物に溶かしたポリマー中に分散させたものからなることが記載されている。さらに、この文献には、アンダープリントを有する銅箔上に誘電体ペーストを印刷し、それを乾燥及び焼成することにより誘電体層を形成することが記載されている。
【0010】
しかしながら、誘電体ペーストは粘性が高いため、上記の方法でも薄い誘電体層を形成することが難しい。すなわち、特許文献2に記載の技術でも、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサを形成することができない。
【特許文献1】特開平5−48271号公報
【特許文献2】特開2001−160672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みて為されたものであり、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサを内蔵した電子部品内蔵基板を製造可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面によると、電子部品内蔵基板の製造方法であって、無機誘電体粒子とその表面を少なくとも部分的に被覆した樹脂とを備えた粒状複合体を用いて前記無機誘電体粒子及び前記樹脂を含有した誘電体層を形成する工程と、第1導体層と第2導体層とをそれらの間に前記誘電体層が介在するように貼り合わせる工程とを含み、前記第1及び第2導体層と前記誘電体層との積層体を前記電子部品の少なくとも一部として利用することを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第2の側面によると、電子部品内蔵基板の製造方法であって、第1導体層と第2導体層とをそれらの間に無機誘電体粒子層と樹脂層との第1積層体が介在するように貼り合わせて、前記第1及び第2導体層間に無機誘電体粒子と樹脂とを含有した誘電体層を形成する工程を含み、前記第1及び第2導体層と前記誘電体層との第2積層体を前記電子部品の少なくとも一部として利用することを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法が提供される。
【0014】
第1の側面において、無機誘電体粒子は、金属粒子を無機誘電体被覆層で被覆してなるものであってもよい。この場合、誘電体層を形成する工程は、粒状複合体を磁界を利用して第1導体層上に付着させることを含んでいてもよい。或いは、誘電体層を形成する工程は、帯電した粒状複合体を電界を利用して第1導体層上に付着させることを含んでいてもよい。
【0015】
第2の側面に係る方法は、第2導体層上に樹脂層を形成する工程と、樹脂層上に無機誘電体粒子を用いて無機誘電体粒子層を形成する工程とをさらに含んでいてもよい。或いは、この方法は、第1導体層上に無機誘電体粒子を用いて無機誘電体粒子層を形成する工程と、無機誘電体粒子層上に樹脂層を形成する工程とをさらに含んでいてもよい。或いは、この方法は、第1導体層上に無機誘電体粒子を用いて無機誘電体粒子層を形成する工程と、第2導体層上に樹脂層を形成する工程とをさらに含んでいてもよい。或いは、この方法は、基材上に設けられた第1積層体を基材上から第2導体層上に転写する工程をさらに含んでいてもよい。また、第2の側面において、無機誘電体粒子は、金属粒子を無機誘電体被覆層で被覆してなるものであってもよい。さらに、第2の側面において、樹脂層の流動性は誘電体層の流動性と比較してより高くてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサを内蔵した電子部品内蔵基板を製造可能な方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の幾つかの態様について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において同様または類似の機能を発揮する構成部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の第1の態様に係る方法により製造可能な電子部品内蔵基板の一例を概略的に示す断面図である。図1に示す電子部品内蔵基板1は、絶縁基板として、例えば、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させてなるプリプレグやポリイミドフィルムなどのような樹脂基板2a,2bを備えている。樹脂基板2aの両主面には、パターニングされた導体層である導体パターン3a,3bがそれぞれ設けられている。他方、樹脂基板2bの両主面には、パターニングされた導体層である導体パターン3c,3dがそれぞれ設けられている。これら導体パターン3a乃至3dは例えば銅などの金属材料からなり、それらの間の接続は、樹脂基板2a,2bなどに設けられた貫通孔を埋め込む接続用導体4によって為されている。また、導体パターン3b,3c間には、誘電体層5が設けられている。導体パターン3b,3cの重なり合った部分とそれらの間に介在した誘電体層5とはコンデンサ10を構成している。すなわち、図1に示す電子部品内蔵基板1は、コンデンサ10を内蔵した多層基板である。なお、この電子部品内蔵基板1は、例えば、半導体チップや半導体パッケージの表面実装に使用するプリント配線板やインターポーザなどとして利用可能である。
【0019】
この電子部品内蔵基板1は、例えば、以下の方法により製造することができる。ここでは、主に、コンデンサ10の形成方法について説明する。
【0020】
図2乃至図4は、本発明の第1の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0021】
この方法では、まず、図2に示すように、粒状複合体50を用いて導体層3b上に誘電体層5aを形成する。
【0022】
ここで使用する粒状複合体50とは、無機誘電体粒子51と、その表面を少なくとも部分的に被覆した樹脂52とを含み、それ自体を粉体として取り扱うことが可能なものである。無機誘電体粒子51は、誘電体層5の比誘電率を高める役割を果たし、樹脂52は、例えば、後述する貼り合わせの際に、無機誘電体粒子51同士を結合させるとともに導体層3bと導体層3cとを接着する接着剤としての役割を果たす。ここでは、一例として、無機誘電体粒子51を熱可塑性樹脂52で被覆してなる粒状複合体50を使用する。
【0023】
また、この粒状複合体50を用いた誘電体層5aの形成は、通常、液体の不存在下で行う。例えば、帯電させた粒状複合体50を、粒状複合体50の帯電極性とは逆極性の電圧を印加した導体層3b上に供給することにより、誘電体層5aを形成する。この方法によれば、導体層3bに印加する電圧の大きさを適宜設定することにより、誘電体層5aの厚さを高精度に制御することや、薄い誘電体層5aを形成することなどが可能である。
【0024】
なお、誘電体層5aを形成する際、導体層3bは、樹脂基板2aに支持されていてもよく、或いは、支持されていない導体箔であってもよい。前者の場合、通常、誘電体層5aを形成するのに先立ち、導体層3bはパターニングしておく。また、後者の場合、通常、導体層3bは、コンデンサ10を完成した後の何れかの段階でパターニングする。
【0025】
次に、図3に示すように、導体層3b,3cをそれらの間に誘電体層5aを介在させて貼り合わせる。このとき、導体層3cは、樹脂基板2bに支持されていてもよく、或いは、支持されていない導体箔であってもよい。前者の場合、通常、導体層3b,3cの貼り合わせに先立ち、導体層3cはパターニングしておく。また、後者の場合、通常、導体層3cは、コンデンサ10を完成した後の何れかの段階でパターニングする。
【0026】
次いで、図3に示す構造に対し、例えば、熱及び/または圧力,典型的には圧力または熱と圧力との双方,などを与える。これにより、図4に示すように、誘電体層5a中の無機誘電体粒子51同士は樹脂52を介して結合する。すなわち、無機誘電体粒子51が樹脂52中に分散してなる誘電体層5が得られる。以上のようにして、コンデンサ10が完成する。
【0027】
この段階で導体層3b,3cの何れもパターニングされていない場合、導体層3b,3cの何れか一方をパターニングする。ここでは、一例として、導体層3bをパターニングする。次いで、導体層3bと樹脂基板2aとを接着し、その後、導体層3cをパターニングする。このとき、樹脂基板2aには導体層3aが設けられていてもよく、或いは、設けられていなくてもよい。ここでは、一例として、導体層3bと樹脂基板2aとを接着する時点で、樹脂基板2aに導体層3aは設けられていないこととする。その後、導体層3cと樹脂基板2bとを接着し、樹脂基板2a,2bなどへの穴あけを行う。さらに、一般的な多層基板の製造と同様に、無電解めっき、電気めっき、フォトリソグラフィ技術などを利用して、接続用導体4及び導体層3a,3dを形成する。以上のようにして、図1に示す電子部品内蔵基板1を得る。
【0028】
なお、コンデンサ10が完成した時点で導体層3b,3cの一方がパターニングされている場合、通常、その導体層は樹脂基板によって支持されている。例えば、コンデンサ10が完成した時点で導体層3bがパターニングされている場合、通常、導体層3bは樹脂基板2aによって支持されている。したがって、この場合、例えば、導体層3cのパターニングから接続用導体4及び導体層3a,3dを形成するまでの工程を上記と同様の方法により行うことにより、図1に示す電子部品内蔵基板1を得ることができる。
【0029】
また、コンデンサ10が完成した時点で導体層3b,3cの双方がパターニングされている場合、通常、それら導体層3b,3cは樹脂基板2a,2bによってそれぞれ支持されている。したがって、この場合、例えば、樹脂基板2a,2bなどへの穴あけから接続用導体4及び導体層3a,3dを形成するまでの工程を上記と同様の方法により行うことにより、図1に示す電子部品内蔵基板1を得ることができる。
【0030】
上述した方法では、無機誘電体粒子51の表面を樹脂52で少なくとも部分的に被覆してなる粒状複合体50を使用している。そのため、誘電体層5a中で無機誘電体粒子51及び樹脂52を均一に分布させることができる。したがって、誘電体層5に占める無機誘電体粒子51の割合を比較的高くすることができる。
【0031】
また、上述した方法では、無機誘電体粒子51及び樹脂52が均一に分布した誘電体層5aは、液体の不存在下で形成することができる。そのため、誘電体層5aを薄く形成することができ、したがって、薄い誘電体層5を形成することができる。
【0032】
すなわち、本態様によると、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサ10を内蔵した電子部品内蔵基板1を容易に製造することが可能となる。
【0033】
本態様において、無機誘電体粒子51の材料は、無機誘電体であれば特に制限はないが、無機誘電体粒子51には、シリカやアルミナなどの一般的な誘電体と比較して比誘電率がより高い材料を使用することが有利である。そのような材料としては、例えば、一般式:ABO3で表されるペロブスカイト化合物を挙げることができる。
【0034】
なお、上記一般式において、「A」は、例えば、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Pb、Bi、Fe、Co、及びNiなどのように、元素周期律表の第1B族、第2A族、第2B族、第3A族、第4B族、第5B族、及び第8族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示している。また、上記一般式において、「B」は、例えば、Ti、Zr、Hf、Sn、及びSbなどのように、元素周期律表の第4A族、第4B族、及び第5B族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を示している。
【0035】
上記一般式で表されるペロブスカイト化合物としては、例えば、BeTiO3、MgTiO3、CaTiO3、SrTiO3、BaTiO3、PbTiO3、ZrTiO3、Bi2TiO3、La2TiO3、CeTiO3及びZrTiO3のようなチタン酸塩、BaSnO3、CaSnO3、SrSnO3、MgSnO3、PbSnO3、CoSnO3及びNiSnO3のような錫酸塩、BaZrO3、CaZrO3、SrZrO3及びMgZrO3のようなジルコン酸塩、MgNbO3、CaNbO3、SrNbO3、BaNbO3及びLiNbO3のようなニオブ酸塩、LiTaO3、BaTaO3、SrTaO3、CaTaO3及びMgTaO3のようなタンタル酸塩などを挙げることができる。
【0036】
また、このペロブスカイト化合物では、金属元素A及び/または金属元素Bの一部を他の金属元素と入れ換えることができる。例えば、BaTiO3の場合、Baの一部をBa以外の金属元素A,例えばSr、Y及びLaの少なくとも1種で置換して、(Ba1-xSrx)TiO3や(Ba1-x-y-zSrxLayz)TiO3などとすることが可能である。
【0037】
樹脂52は、誘電体層5aを形成する際に粒状複合体50を粉体として取り扱うことが可能であり、且つ、例えば熱及び/または圧力などを与えることにより無機誘電体粒子51同士を結合させ得るものであれば、特に制限はない。樹脂52としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂などを使用することができる。
【0038】
本態様において、樹脂52は、無機誘電体粒子51の表面を少なくとも部分的に被覆していればよい。但し、誘電体層5a中で無機誘電体粒子51及び樹脂52を均一に分布させることを考慮して、無機誘電体粒子51の表面全体が樹脂52で被覆された粒状複合体50を使用してもよい。すなわち、粒状複合体50は、無機誘電体粒子51を樹脂52で被覆してなるマイクロカプセルであってもよい。
【0039】
粒状複合体50の無機誘電体粒子51は、金属粒子を無機誘電体被覆層で被覆してなるものであってもよい。そのような粒状複合体50を使用すると、金属粒子の粒径とそれを被覆した無機誘電体被覆層の厚さとの比などに応じて、コンデンサ10の容量を調節することができる。なお、コンデンサ10の容量は、無機誘電体粒子51の粒径や形状並びに誘電体層5に占める無機誘電体粒子51の割合などに応じて調節することも可能である。
【0040】
また、金属粒子を含んだ粒状複合体50を使用すると、磁界を利用して粒状複合体50を導体層30b上に付着させることができる。但し、金属粒子が無機誘電体粒子51の表面に露出していると、導体層3b,3c間に短絡を生じるおそれを生じる。したがって、金属粒子を含んだ粒状複合体50を使用する場合には、金属粒子は無機誘電体被覆層によって完全に覆われていることが望ましい。
【0041】
次に、本発明の第2の態様について説明する。第2の態様は、コンデンサ10の形成方法が異なること以外は第1の態様と同様である。したがって、第2の態様に関しては、主として、コンデンサ10の形成方法について説明する。
【0042】
図5乃至図7は、本発明の第2の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0043】
この方法では、まず、図5に示すように、導体層3b上に樹脂52で構成された樹脂層5bを形成する。樹脂層5bは、例えば、樹脂52と有機溶媒とを含有した溶液を用いて導体層3b上に塗膜を形成し、この塗膜から有機溶媒を除去することなどにより得ることができる。なお、この段階では、塗膜から有機溶媒を除去しなくてもよい。或いは、樹脂層5bは、液状の樹脂52を用いて印刷法や各種塗布法により熱硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させてBステージとすることにより得ることができる。樹脂層5bの材料は、十分な流動性,少なくとも最終的に得られる誘電体層5よりも高い流動性,を有しているものであれば特に制限はなく、例えば、プリプレグなどを使用することもできる。
【0044】
次に、図6に示すように、樹脂層5b上に無機誘電体粒子51で構成された無機誘電体粒子層5cを形成する。
【0045】
無機誘電体粒子層5cは、例えば、無機誘電体粒子51と液体とを含有した分散液を用いて樹脂層5b上に塗膜を形成し、この塗膜から液体を除去することなどにより得ることができる。この方法では、上記分散液中に樹脂52などを含有させる必要はないため、分散液の粘性を低くすることができる。したがって、薄い無機誘電体粒子層5cを形成することができる。
【0046】
また、無機誘電体粒子層5cは、無機誘電体粒子51を撒布すること,例えば気流に乗せて樹脂層5b上に供給すること,などにより得ることもできる。この方法では、樹脂層5bの粘着性を利用して、薄い無機誘電体粒子層5cを形成することができる。すなわち、樹脂5b自体が粘着性であるか或いは樹脂層5bから有機溶剤を完全に除去していないために樹脂層5bが粘着性を有している場合、気流に乗せて樹脂層5b上に供給された無機誘電体粒子51は樹脂層5bの表面に付着する。しかしながら、一定量の無機誘電体粒子51が樹脂層5bの表面に付着すると、無機誘電体粒子51のさらなる付着は生じない。したがって、必要に応じて、余剰の無機誘電体粒子51を除去することなどにより、薄く且つ膜厚均一性に優れた無機誘電体粒子層5cを形成することができる。
【0047】
その後、導体層3b,3cを、それらの間に樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとの積層体を介在させて貼り合わせるとともに、この構造に対して、例えば、熱及び/または圧力,典型的には圧力または熱と圧力との双方,などを加える。これにより、図7に示すように、無機誘電体粒子51同士は樹脂52を介して結合する。すなわち、無機誘電体粒子51が樹脂52中に分散してなる誘電体層5が得られる。以上のようにして、コンデンサ10が完成する。
【0048】
このような方法によりコンデンサ10を形成すること以外は、第1の態様で説明した工程を実施する。これにより、例えば、図1に示す電子部品内蔵基板1が得られる。
【0049】
上述した方法では、最初から無機誘電体粒子51と樹脂52とを含有した誘電体層5を形成するのではなく、まず、樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとを別々に形成し、その後、例えば、熱及び/または圧力などを加えることにより誘電体層5を得る。これら樹脂層5b及び無機誘電体粒子層5cは、薄く且つ高い膜厚均一性で形成可能である。したがって、この方法によると、薄く且つ膜厚均一性に優れた誘電体層5を形成することができる。
【0050】
すなわち、本態様によると、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサ10を内蔵した電子部品内蔵基板1を容易に製造することが可能となる。
【0051】
次に、本発明の第3の態様について説明する。第3の態様は、コンデンサ10の形成方法が異なること以外は第1の態様と同様である。より詳細には、第2の態様は、樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとの積層順が異なること以外は第2の態様と同様である。したがって、第3の態様に関しては、主として、コンデンサ10の形成方法について説明する。
【0052】
図8及び図9は、本発明の第3の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0053】
この方法では、まず、図8に示すように、導体層3b上に無機誘電体粒子51で構成された無機誘電体粒子層5cを形成する。無機誘電体粒子層5cは、例えば、無機誘電体粒子51と液体とを含有した分散液を用いて導体層3b上に塗膜を形成し、この塗膜から液体を除去することなどにより得ることができる。
【0054】
次に、図9に示すように、無機誘電体粒子層5c上に樹脂52で構成された樹脂層5bを形成する。樹脂層5bは、例えば、樹脂52と有機溶媒とを含有した溶液を用いて無機誘電体粒子層5c上に塗膜を形成し、この塗膜から有機溶媒を除去することなどにより得ることができる。或いは、樹脂層5bは、液状の樹脂52を用いて印刷法や各種塗布法により熱硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させてBステージとすることにより得ることができる。樹脂層5bの材料は、十分な流動性,少なくとも最終的に得られる誘電体層5よりも高い流動性,を有しているものであれば特に制限はなく、例えば、プリプレグなどを使用することもできる。
【0055】
その後、第2の態様において図7を参照しながら説明したように、導体層3b,3cを、それらの間に樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとの積層体を介在させて貼り合わせるとともに、この構造に対して、例えば、熱及び/または圧力,典型的には圧力または熱と圧力との双方,などを加える。これにより、無機誘電体粒子51が樹脂52中に分散してなる誘電体層5が得られる。以上のようにして、コンデンサ10が完成する。
【0056】
このような方法によりコンデンサ10を形成すること以外は、第1の態様で説明した工程を実施する。これにより、例えば、図1に示す電子部品内蔵基板1が得られる。
【0057】
上述した方法では、第2の態様と同様、最初から無機誘電体粒子51と樹脂52とを含有した誘電体層5を形成するのではなく、まず、樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとを別々に形成し、その後、例えば、熱及び/または圧力などを加えることにより誘電体層5を得る。これら樹脂層5b及び無機誘電体粒子層5cは、薄く且つ高い膜厚均一性で形成可能である。したがって、この方法によると、薄く且つ膜厚均一性に優れた誘電体層5を形成することができる。
【0058】
すなわち、本態様によると、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサ10を内蔵した電子部品内蔵基板1を容易に製造することが可能となる。
【0059】
次に、本発明の第4の態様について説明する。第4の態様は、コンデンサ10の形成方法が異なること以外は第1の態様と同様である。より詳細には、第4の態様は、樹脂層5bを導体層3c上に形成すること以外は第3の態様と同様である。したがって、第4の態様に関しては、主として、コンデンサ10の形成方法について説明する。
【0060】
図10及び図11は、本発明の第4の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0061】
この方法では、まず、図10に示すように、導体層3b上に無機誘電体粒子51で構成された無機誘電体粒子層5cを形成する。無機誘電体粒子層5cは、例えば、無機誘電体粒子51と液体とを含有した分散液を用いて導体層3b上に塗膜を形成し、この塗膜から液体を除去することなどにより得ることができる。
【0062】
また、無機誘電体粒子層5cを形成する一方で、図11に示すように、導体層3c上に樹脂52で構成された樹脂層5bを形成する。樹脂層5bは、例えば、樹脂52と有機溶媒とを含有した溶液を用いて導体層3c上に塗膜を形成し、この塗膜から有機溶媒を除去することなどにより得ることができる。或いは、樹脂層5bは、液状の樹脂52を用いて印刷法や各種塗布法により熱硬化性樹脂からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させてBステージとすることにより得ることができる。樹脂層5bの材料は、十分な流動性,少なくとも最終的に得られる誘電体層5よりも高い流動性,を有しているものであれば特に制限はなく、例えば、プリプレグなどを使用することもできる。
【0063】
次に、第2の態様において図7を参照しながら説明したように、導体層3b,3cを、それらの間に樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとを介在させて貼り合わせるとともに、この構造に対して、例えば、熱及び/または圧力,典型的には圧力または熱と圧力との双方,などを加える。これにより、無機誘電体粒子51が樹脂52中に分散してなる誘電体層5が得られる。以上のようにして、コンデンサ10が完成する。
【0064】
このような方法によりコンデンサ10を形成すること以外は、第1の態様で説明した工程を実施する。これにより、例えば、図1に示す電子部品内蔵基板1が得られる。
【0065】
上述した方法では、第2及び第3の態様と同様、最初から無機誘電体粒子51と樹脂52とを含有した誘電体層5を形成するのではなく、まず、樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとを別々に形成し、その後、例えば、熱及び/または圧力などを加えることにより誘電体層5を得る。これら樹脂層5b及び無機誘電体粒子層5cは、薄く且つ高い膜厚均一性で形成可能である。したがって、この方法によると、薄く且つ膜厚均一性に優れた誘電体層5を形成することができる。
【0066】
すなわち、本態様によると、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサ10を内蔵した電子部品内蔵基板1を容易に製造することが可能となる。
【0067】
次に、本発明の第5の態様について説明する。第5の態様は、コンデンサ10の形成方法が異なること以外は第1の態様と同様である。より詳細には、第5の態様は、樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとの積層体を基材上に形成するとともにその積層体を基材上から導体層bc上に転写すること以外は第2の態様と同様である。したがって、第5の態様に関しては、主として、コンデンサ10の形成方法について説明する。
【0068】
図12は、本発明の第5の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図である。
【0069】
この方法では、まず、図12に示すように、基材6a上に、第2の態様において図5及び図6を参照しながら説明したのと同様の方法により、樹脂層5b及び無機誘電体粒子層5cを順次形成する。次いで、無機誘電体粒子層5c上に基材6bを貼り付ける。ここで、基材6aとしては、例えば、剥離フィルムなどを使用することができる。また、基材6bとしては、例えば、粘着フィルムなどを使用することができる。
【0070】
次に、樹脂層5bから基材6aを剥離し、樹脂層5bの露出面を導体層3bに貼り付ける。続いて、無機誘電体粒子層5cから基材6bを剥離する。これにより、図6に示す構造を得る。
【0071】
その後、第2の態様において図7を参照しながら説明したように、導体層3b,3cを、それらの間に樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとを介在させて貼り合わせるとともに、この構造に対して、例えば、熱及び/または圧力,典型的には圧力または熱と圧力との双方,などを加える。これにより、無機誘電体粒子51が樹脂52中に分散してなる誘電体層5が得られる。以上のようにして、コンデンサ10が完成する。
【0072】
このような方法によりコンデンサ10を形成すること以外は、第1の態様で説明した工程を実施する。これにより、例えば、図1に示す電子部品内蔵基板1が得られる。
【0073】
上述した方法では、第2乃至第4の態様と同様、最初から無機誘電体粒子51と樹脂52とを含有した誘電体層5を形成するのではなく、まず、樹脂層5bと無機誘電体粒子層5cとを別々に形成し、その後、例えば、熱及び/または圧力などを加えることにより誘電体層5を得る。これら樹脂層5b及び無機誘電体粒子層5cは、薄く且つ高い膜厚均一性で形成可能である。したがって、この方法によると、薄く且つ膜厚均一性に優れた誘電体層5を形成することができる。
【0074】
すなわち、本態様によると、寸法が小さく且つ大容量のコンデンサ10を内蔵した電子部品内蔵基板1を容易に製造することが可能となる。
【0075】
以上説明した第1乃至第5の態様に係る方法には、様々な変形が可能である。例えば、第1乃至第5の態様では、電子部品内蔵基板1に、電子部品としてコンデンサ10のみを内蔵させたが、抵抗やインダクタなどの他の電子部品をさらに内蔵させることもできる。また、上記の電子部品内蔵基板1には、さらに、半導体装置も内蔵させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の態様に係る方法により製造可能な電子部品内蔵基板の一例を概略的に示す断面図。
【図2】本発明の第1の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図3】本発明の第1の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図4】本発明の第1の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図5】本発明の第2の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図6】本発明の第2の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図7】本発明の第2の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図8】本発明の第3の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図9】本発明の第3の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図10】本発明の第4の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図11】本発明の第4の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【図12】本発明の第5の態様に係る電子部品内蔵基板の製造方法を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
【0077】
1…電子部品内蔵基板、2a…樹脂基板、2b…樹脂基板、3a…導体層、3b…導体層、3c…導体層、3d…導体層、4…接続用導体、5…誘電体層、5a…誘電体層、5b…樹脂層、5c…無機誘電体粒子層、6a…基材、6b…基材、10…コンデンサ、50…粒状複合体、51…無機誘電体粒子、52…樹脂。
【出願人】 【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内2丁目6番1号
【出願日】 平成16年1月19日(2004.1.19)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎

【公開番号】 特開2005−203699(P2005−203699A)
【公開日】 平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願番号】 特願2004−10747(P2004−10747)