| 【発明の名称】 |
回路基板およびそれを用いた界面抵抗測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮川 知之 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】白土 敏治 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】田之岡 勲 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】杉浦 英明 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
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| 【要約】 |
【課題】層間絶縁層を介して、複数の下層導体パターンを上層導体で接続する回路基板であって、上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗値を測定することができる回路基板、およびそれを用いた界面抵抗測定方法を提供する。
【解決手段】3個以上の独立した下層導体パターン20a,20b,20cを有し、層間絶縁層3a,3b,3cを介して、各下層導体パターン20a,20b,20cにそれぞれ1個の接合部Sa,Sb,Scで接続する1個の独立した上層導体40を有する回路基板100であって、各接合部Sa,Sb,Scの近くの開口部3ia,3ib,3icにおいて下層導体パターン20a,20b,20cを部分的に露出する、各接合部Sa,Sb,Scに対応した抵抗チェックランドが設けられてなる回路基板とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 3個以上の独立した下層導体パターンを有し、層間絶縁層を介して、前記各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体を有する回路基板であって、 前記各接合部の近くにおいて下層導体パターンを部分的に露出する、前記各接合部に対応した抵抗チェックランドが設けられてなることを特徴とする回路基板。 【請求項2】 前記1個の独立した上層導体により接続される独立した下層導体パターンが、4個以上であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。 【請求項3】 前記上層導体が、導電ペースト層により形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板。 【請求項4】 前記回路基板が、 絶縁基材の表面に形成された銅箔からなる前記下層導体パターンと、 当該下層導体パターンを覆って形成され、下層導体パターンを部分的に露出する第1の開口部と第2の開口部を有する前記層間絶縁層と、 当該層間絶縁層上に形成され、前記第1の開口部において露出する下層導体パターンに接続する前記導電ペースト層と、 当該導電ペースト層を覆って形成される保護絶縁層とを有し、 前記抵抗チェックランドが、前記第2の開口部において、前記導電ペースト層が接続されずに、当該回路基板の表面に露出する下層導体パターンであることを特徴とする請求項3に記載の回路基板。 【請求項5】 前記上層導体が、少なくとも2個の前記独立した下層導体パターン同士を接続する、ジャンパー配線であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路基板。 【請求項6】 前記3個以上の独立した下層導体パターンと、層間絶縁層を介して、前記各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体が、前記接合部の界面抵抗を測定するためのテストクーポンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路基板。 【請求項7】 前記回路基板が、切り出されて製品となる製品部と、当該製品部を保持するためのフレーム部とからなり、 前記テストクーポンが、前記フレーム部に形成されてなることを特徴とする請求項6に記載の回路基板。 【請求項8】 3以上のn個の独立した下層導体パターンを有し、層間絶縁層を介して、前記各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体を有し、 前記各接合部の近くにおいて下層導体パターンを部分的に露出する、前記各接合部に対応する抵抗チェックランドが設けられてなる回路基板を用い、 前記各接合部のうち、上層導体の両端における接合部を除いた中央の(n−2)個の接合部の界面抵抗測定方法であって、 前記接合部のうち、それぞれ連続して隣り合う3個の接合部Sa,Sb,Scを1組として、3個の接合部に対応する各抵抗チェックランド間の抵抗値を測定し、 前記1組の接合部における隣り合った抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmab,Rmbcとし、両端の抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmcaとし、前記中央の接合部における下層導体パターンと上層導体の界面抵抗値をRkbとした時、 (数式1) Rkb=(Rmab+Rmbc−Rmca)/2 により、Rkbを求めることを特徴とする界面抵抗測定方法。 【請求項9】 前記上層導体により接続される下層導体パターンが4個以上であり、 前記接合部のうち、それぞれ連続して隣り合う4個の接合部Sd,Se,Sf,Sgを1組として、 前記1組の接合部における中央の隣り合った抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmefとし、前記界面抵抗測定方法により求めた中央の接合部における下層導体パターンと上層導体の界面抵抗値をRke,Rkfとし、前記中央の接合部間における上層導体の母材抵抗値をRvefとした時、 (数式2) Rvef=Rmef−Rke−Rkf により、Rvefを同時に求めることを特徴とする請求項8に記載の界面抵抗測定方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、層間絶縁層を介して、複数の下層導体パターンを上層導体で接続する回路基板に関するもので、特に、下層導体パターンと上層導体の接合部における界面抵抗を測定することができる回路基板、およびそれを用いた界面抵抗測定方法に関する。 【背景技術】 【0002】 絶縁基材表面に形成された下層導体パターンを、導電ペースト層からなる上層導体で接続する回路基板が、例えば、特開平6−140788号公報(特許文献1)に開示されている。図5に、その代表的な断面構造を模式的に示す。 【0003】 図5の回路基板90では、絶縁基材1の表面に銅箔からなる下層導体パターン2a,2b,2cが形成されており、下層導体パターン2a,2b,2cを覆って、層間絶縁層3a,3b,3cが形成されている。層間絶縁層3aは、ソルダーレジスト層であり、開口部3ahにおいて導体パターン2a,2cが部分的に露出されている。層間絶縁層3b,3cは、導体パターン2bとの絶縁分離を確実にするための、2層に形成されたアンダーコート層である。層間絶縁層3a,3b,3c上には、上層導体である導電ペースト層4が形成されている。導電ペースト層4は、層間絶縁層であるソルダーレジスト層3aに形成された開口部3ahにおいて、露出した導体パターン2a,2cに接続している。また、導電ペースト層4を覆って、保護絶縁層5が形成されている。保護絶縁層5は、導電ペースト層4のマイグレーション等を防止するための、オーバーコート層である。 【0004】 上層導体である導電ペースト層4は、図5に示すように、2個の独立した下層導体パターン2a,2cを接続するジャンパー配線として用いられたり、導体パターン2bのシールドとして用いられたりする。 【特許文献1】特開平6−140788号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 図5に示す層間絶縁層3a,3b,3c、導電ペースト層4および保護絶縁層5は、絶縁基材1の下層導体パターン2a,2b,2c上に、印刷によって形成される。上層導体である導電ペースト層4により形成されるジャンパー配線やシールドは、導電ペースト層4の印刷時の厚さばらつき等によって、性能にばらつきがある。しかしながら図5に示すように、導電ペースト層4は層間絶縁層3a,3b,3cと保護絶縁層5により完全に包まれており、図5の回路基板90においては、ジャンパー配線やシールドとして用いられている導電ペースト層4の特性評価を行なうことができない。このため、製造された導電ペースト層を有する回路基板の良否も判定することができないという問題がある。 【0006】 この問題を解決するために、本発明者は、導電ペースト層4の抵抗値、層間絶縁層3a,3b,3c、導電ペースト層4および保護絶縁層5の各層厚、導電ペースト層4の下層導体パターン2a,2cへの密着性、並びに層間絶縁層3a,3b,3cの絶縁特性を評価することのできる回路基板を発明した。この発明については、すでに特許出願済み(出願番号2003−302938)である。 【0007】 上層導体である導電ペースト層4については、下層導体パターン2a,2cとの接合部Sa,Scにおいて不良が発生し易く、上記の抵抗値および密着性以外に、接合部Sa,Scにおける界面抵抗が、回路基板90に形成された回路の良否を判断する上で重要な特性である。しかしながらこの接合部Sa,Scにおける界面抵抗値については、上記出願済みの発明においても、導電ペースト層4の母材抵抗値と分離して測定することはできない。このため、密着性を測定するテストクーポンを用いて、導電ペースト層4と下層導体パターン2a,2cの接合部における界面の良否を類推する以外になかった。 【0008】 そこで本発明は、層間絶縁層を介して、複数の下層導体パターンを上層導体で接続する回路基板であって、上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗値を測定することができる回路基板、およびそれを用いた界面抵抗測定方法を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0009】 請求項1に記載の発明は、3個以上の独立した下層導体パターンを有し、層間絶縁層を介して、前記各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体を有する回路基板であって、前記各接合部の近くにおいて下層導体パターンを部分的に露出する、前記各接合部に対応した抵抗チェックランドが設けられてなることを特徴としている。 【0010】 これによれば、後述するように、連続して隣り合う3個の接合部を1組として上記の各抵抗チェックランド間の抵抗値を測定していくことで、上層導体の両端における接合部を除いた、中央の各接合部の界面抵抗値を求めることができる。従って、当該回路基板は、上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗を測定することができる回路基板とすることができる。 【0011】 請求項2に記載の発明は、前記1個の独立した上層導体により接続される独立した下層導体パターンが、4個以上であることを特徴している。 【0012】 これによれば、連続して隣り合う4個の接合部を1組として、各抵抗チェックランド間の抵抗値を測定していくことで、上記と同様に、上層導体の両端における接合部を除いた、中央の各接合部の界面抵抗値を求めることができる。また、後述するように、これらの測定値から、中央の接合部間における上層導体の母材抵抗値を同時に求めることができる。 【0013】 請求項3に記載のように、本発明の回路基板は、前記上層導体が、導電ペースト層により形成される場合に好適である。 【0014】 下層導体パターンを接続する上層導体として導電ペースト層を用いた回路基板は、安価に製造できる反面、下層導体パターンの表面状態や導電ペースト層の印刷の良否によって、導電ペースト層と下層導体パターンの接合部における界面抵抗が変化し易い。このように、界面抵抗が変化し易い導電ペースト層を用いた回路基板であっても、上記構成の回路基板とすることで接合部における界面抵抗を測定することができ、回路基板の確実な良否判定を行なうことができる。 【0015】 請求項4に記載のように、本発明の回路基板は、絶縁基材の表面に形成された銅箔からなる前記下層導体パターンと、当該下層導体パターンを覆って形成され、下層導体パターンを部分的に露出する第1の開口部と第2の開口部を有する前記層間絶縁層と、当該層間絶縁層上に形成され、前記第1の開口部において露出する下層導体パターンに接続する前記導電ペースト層と、当該導電ペースト層を覆って形成される保護絶縁層とを有し、前記抵抗チェックランドが、前記第2の開口部において、前記導電ペースト層が接続されずに、当該回路基板の表面に露出する下層導体パターンである場合に好適である。 【0016】 これによれば、上層導体である導電ペースト層を保護するために、保護絶縁層によって完全に覆われた導電ペースト層であっても、上記のように形成された抵抗チェックランドを用いて、導電ペースト層と下層導体パターンの接合部における界面抵抗を測定することができる。 【0017】 請求項5に記載のように、本発明の回路基板は、前記上層導体が、少なくとも2個の前記独立した下層導体パターン同士を接続する、ジャンパー配線である場合に好適である。 【0018】 複数の下層導体パターンを接続する上層導体は、ジャンパー配線だけでなくシールド等にも利用することができるが、ジャンパー配線として用いられる上層配線は、確実な良否判定が必要である。このように、確実な良否判定が必要なジャンパー配線として利用される上層導体を有する回路基板であっても、上記構成の回路基板とすることで接合部における界面抵抗を測定することができ、回路基板の確実な良否判定を行なうことができる。 【0019】 請求項6に記載のように、前記3個以上の独立した下層導体パターンと、層間絶縁層を介して、前記各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体が、前記接合部の界面抵抗を測定するためのテストクーポンとして形成することも可能である。 【0020】 これによれば、上記テストクーポンを回路基板の空いた領域に配置できるため、回路の設計自由度を狭めることなく、テストクーポンで代表される上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗を評価できる。 【0021】 請求項7に記載のように、前記回路基板が、切り出されて製品となる製品部と、当該製品部を保持するためのフレーム部とからなる場合には、前記テストクーポンが、前記フレーム部に形成されてなることが好ましい。 【0022】 このように、回路基板が製品部とフレーム部とからなる場合には、前記テストクーポンをフレーム部に配置することで、高密度が要求される製品部の領域を占拠しなくて済む。従って、テストクーポンで代表される上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗が測定される回路基板であって、かつ切り出されて製品となる製品部には高密度回路が配置されてなる回路基板とすることができる。 【0023】 請求項8と9に記載の発明は、上記回路基板を用いた界面抵抗測定方法に関する発明である。 【0024】 請求項8に記載の発明は、3以上のn個の独立した下層導体パターンを有し、層間絶縁層を介して、前記各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体を有し、前記各接合部の近くにおいて下層導体パターンを部分的に露出する、前記各接合部に対応する抵抗チェックランドが設けられてなる回路基板を用い、前記各接合部のうち、上層導体の両端における接合部を除いた中央の(n−2)個の接合部の界面抵抗測定方法であって、前記接合部のうち、それぞれ連続して隣り合う3個の接合部Sa,Sb,Scを1組として、3個の接合部に対応する各抵抗チェックランド間の抵抗値を測定し、前記1組の接合部における隣り合った抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmab,Rmbcとし、両端の抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmcaとし、前記中央の接合部における下層導体パターンと上層導体の界面抵抗値をRkbとした時、 (数式3) Rkb=(Rmab+Rmbc−Rmca)/2 により、Rkbを求めることを特徴としている。 【0025】 これにより、上層導体の両端の接合部を除いた中央の各接合部における界面抵抗値を、それぞれ求めることができる。 【0026】 請求項9に記載の発明は、前記上層導体により接続される下層導体パターンが4個以上であり、前記接合部のうち、それぞれ連続して隣り合う4個の接合部Sd,Se,Sf,Sgを1組として、前記1組の接合部における中央の隣り合った抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmefとし、前記界面抵抗測定方法により求めた中央の接合部における下層導体パターンと上層導体の界面抵抗値をRke,Rkfとし、前記中央の接合部間における上層導体の母材抵抗値をRvefとした時、 (数式4) Rvef=Rmef−Rke−Rkf により、Rvefを同時に求めることを特徴としている。 【0027】 これにより、上記と同様に上層導体の両端の接合部を除いた中央の各接合部における界面抵抗値を求めることができると共に、さらに、中央の接合部間における上層導体の母材抵抗値を同時に求めることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0028】 以下、本発明の回路基板およびそれを用いた界面抵抗測定方法を、図に基づいて説明する。 【0029】 図1(a),(b)は、本発明の回路基板100の基本的な構成部分を示す図である。図1(a)は、回路基板100の模式的な上面図とそれを用いた界面抵抗測定方法を示す図であり、図1(b)は、図1(a)における一点鎖線で示したA−A断面図である。尚、図1(a),(b)の回路基板100において、図5に示す従来の回路基板90と同様の部分には、同じ符号を付けた。 【0030】 図1(a),(b)に示すように、回路基板100は、絶縁基材1の表面に形成された3個の独立した下層導体パターン20a,20b,20c、層間絶縁層3a,3b,3c、1個の独立した上層導体である導電ペースト層40および保護絶縁層5を有する回路基板である。尚、図1(a)の上面図では、層間絶縁層3a,3b,3cと保護絶縁層5は図示を省略している。 【0031】 下層導体パターン20a,20b,20cは、厚さ35μm程度の銅箔で形成される。ソルダーレジスト層である層間絶縁層3aは、厚さ12〜17μmに形成される。また、絶縁分離を確実にするためのアンダーコート層である層間絶縁層3b,3cについても、それぞれ厚さ12〜17μmに形成される。 【0032】 層間絶縁層3a,3b,3cには第1の開口部3ha〜3hcが形成され、部分的に露出された下層導体パターン20a,20b,20cに、導電ペースト層40が接続している。導電ペースト層40には、例えば銀(Ag)−銅(Cu)複合ペーストが用いられ、厚さ15〜25μmに形成される。また、マイグレーション等を防止するための保護絶縁層5が、導電ペースト層40を覆って形成されている。オーバーコート層である保護絶縁層5は、厚さ12〜17μmに形成される。導電ペースト層40は、図5の回路基板90と同様に、層間絶縁層3a,3b,3cと保護絶縁層5により完全に包まれている。 【0033】 図1(a),(b)に示す回路基板100の基本的な構成部分は、下層導体パターンと導電ペースト層の接合部における界面抵抗を代表して測定し、回路基板100内に形成されたその他の接合部の良否を判定するためのテストクーポンである。 【0034】 図1(a),(b)に示すように、回路基板100に形成されたテストクーポンは、層間絶縁層3a,3b,3cを介して、各下層導体パターン20a,20b,20cにそれぞれ1個の接合部Sa,Sb,Scで接続する導電ペースト層40を有する。また、各接合部Sa,Sb,Scの近くに第2の開口部3ia〜3icが配置され、導電ペースト層40が接続されずに、下層導体パターン20a,20b,20cが回路基板100の表面にそのまま露出している。この第2の開口部3ia〜3icにおいて露出した下層導体パターン20a,20b,20cは、各接合部Sa,Sb,Scに対応した抵抗チェックランドとして用いられる。 【0035】 図1(a),(b)の回路基板100に形成されたテストクーポンを用いて、中央の接合部Sbにおける下層導体パターン20bと導電ペースト層40の界面抵抗値を、以下のように測定することができる。 【0036】 上記中央の接合部Sbにおける界面抵抗値測定は、以下の方法により行なう。 【0037】 最初に、3個の接合部Sa,Sb,Scに対応する、各抵抗チェックランド間の抵抗値を測定する。この結果得られる測定抵抗値について、図1(a)に示すように、隣り合った抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmab,Rmbcとし、両端の抵抗チェックランド間の測定抵抗値をRmcaとする。また、各接合部Sa,Sb,Scにおける下層導体パターン20a,20b,20cと導電ペースト層40の界面抵抗値をそれぞれRka,Rkb,Rkcとし、接合部Sa,Sb間および接合部Sb,Sc間における導電ペースト層40の母材抵抗値をそれぞれRvab,Rvbcとする。この時、図1(a)における式(1)〜(3)が成り立つ。尚、下層導体パターン20a,20b,20cの抵抗値は、各接合部Sa,Sb,Scにおける界面抵抗値Rka,Rkb,Rkcや導電ペースト層40の母材抵抗値Rvab,Rvbcと較べて小さいため、図1(a)の式(1)〜(3)において省略することができる。 【0038】 従って、図1(a)に示すように、(1)+(2)−(3)を両辺について計算すると、 (数式5) Rkb=(Rmab+Rmbc−Rmca)/2 が得られ、この数式5を用いて、各抵抗チェックランド間の測定抵抗値Rmab,Rmbc,Rmcaから、中央の接合部Sbにおける界面抵抗値Rkbを求めることができる。 【0039】 以上のようにして、図1(a),(b)に示す回路基板100のように、上層導体である導電ペースト層40を保護するために、保護絶縁層5によって完全に覆われた導電ペースト層40であっても、上記のように形成された抵抗チェックランドを用いて、導電ペースト層40と下層導体パターン20bの接合部Sbにおける界面抵抗を測定することができる。 【0040】 上記の図1(a),(b)で示した回路基板100の界面抵抗測定方法は、3個以上のn個の独立した下層導体パターンを有し、層間絶縁層を介して、各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体を有する回路基板に対して、次のように、一般化することができる。この場合には、n個の接合部のうち、それぞれ連続して隣り合う3個の接合部Sa,Sb,Scを1組として、上記の方法により、中央の接合部における下層導体パターンと上層導体の界面抵抗値Rkbを求める。従って、この3個1組の測定を上層導体の端から繰り返していけば、n個の接合部のうち、上層導体の両端における接合部を除いた中央の(n−2)個の接合部の界面抵抗値を測定することができる。 【0041】 図1(a),(b)に示した回路基板100のテストクーポンは、回路基板100の空いた領域に配置できるため、回路の設計自由度を狭めることなく、テストクーポンで代表される上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗を評価できる。 【0042】 図2(a),(b)は、本発明の別の回路基板における基本的な構成部分を示す模式的な上面図である。図1(a),(b)に示す回路基板100における基本的な構成部分は、テストクーポンとして形成されていた。一方、図2(a),(b)に示す回路基板101,102の基本的な構成部分は、回路基板101,102の実際に使用される回路内に形成される部分を示している。尚、図2(a),(b)の回路基板101,102において、図1(a),(b)の回路基板100と同様の部分には、同様の符号を付けた。また、回路基板101,102の断面は、図1(b)の回路基板100の断面と同様の構造を有している。 【0043】 図2(a)に示す回路基板101において、3本の下層導体パターン21a,21b,21cは、テストクーポンとして形成されたものではなく、実際の電気回路に用いられるものである。図2(a)に示す回路基板101は、回路素子を搭載する前の状態にあり、各下層導体パターン21a,21b,21c同士は、互いに連結せずに、独立したパターンとなっている。また、層間絶縁層を介して、1個の独立した上層導体である導電ペースト層41が、各下層導体パターン21a,21b,21cに、それぞれ1個の接合部Sa,Sb,Scで接続している。従って、導電ペースト層41は、3本の下層導体パターン21a,21b,21cを連結する、ジャンパー配線となっている。尚、開口部3ia〜3icにおいて露出した下層導体パターン21a,21b,21cは、各接合部Sa,Sb,Scに対応した抵抗チェックランドとして用いられる。 【0044】 図2(a)に示す回路基板101の基本的な構成部分は、図1(a)に示す回路基板100の基本的な構成部分と同様の構成となっている。従って、図1(a)で説明した界面抵抗測定方法により、中央の接合部Sbにおける下層導体パターン21bと導電ペースト層41の界面抵抗値を求めることができる。 【0045】 図2(b)に示す回路基板102は、実際の電気回路に用いられる2本の独立した下層導体パターン22b,22cと、層間絶縁層を介して、それらを接続するジャンパー配線の導電ペースト層42は、実際の電気回路に用いられるものである。下層導体パターン22b,22cの両側にある小さな下層導体パターン22a,22dは、導電ペースト層41と下層導体パターン22b,22cの接合部Sb,Scにおける界面抵抗を測定するために形成された、実際の電気回路とは無関係の追加パターンである。尚、開口部3ia〜3idにおいて露出した下層導体パターン22a〜22dは、各接合部Sa〜Sdに対応した抵抗チェックランドとして用いられる。 【0046】 図2(b)の回路基板102では、層間絶縁層を介して、1個の独立した上層導体である導電ペースト層42が、4個の各下層導体パターン22a,22b,22c,22dに、それぞれ1個の接合部Sa,Sb,Sc,Sdで接続している。従って、図2(b)に示す回路基板102の基本的な構成部分は、図1(a)で説明した界面抵抗測定方法を、4個の独立した下層導体パターンを有する場合に、一般化した構成となっている。従って、図1(a)の一般化した界面抵抗測定方法で説明したように、中央の接合部Sb,Scにおける下層導体パターン22b,22cと導電ペースト層41の界面抵抗値を求めることができる。このように、実際の電気回路に用いられる下層導体パターン22b,22cに対して、その両側でジャンパー配線の近くに追加の下層導体パターン22a,22dを配置することで、実際の電気回路に用いられている全ての接合部の界面抵抗を評価することができる。例えば、図2(a)の回路基板101において、下層導体パターン21a,21cの両側に追加の下層導体パターンを形成し、導電ペースト層41で接続して同様に測定すれば、接合部Sa,Scの界面抵抗についても測定することができる。 【0047】 図2(a),(b)に示す複数の下層導体パターンを接続する導電ペースト層41,42は、ジャンパー配線だけでなくシールド等にも利用することができる。しかしながら、ジャンパー配線として用いられる導電ペースト層41,42は、シールド等に用いられる上層導体に較べて、より確実な良否判定が必要である。このように、確実な良否判定が必要なジャンパー配線として利用される導電ペースト層41,42が形成された回路基板であっても、上記のような構成の回路基板101,102とすることで、接合部Sb,Scにおける界面抵抗を測定することができ、回路基板の確実な良否判定を行なうことができる。このように、本発明の回路基板は、上層導体が、少なくとも2個の前記独立した下層導体パターン同士を接続する、ジャンパー配線である場合に好適である。 【0048】 図3は、本発明の別の回路基板における基本的な構成部分を示す模式的な上面図である。図3の回路基板103における基本的な構成部分も、図1(a),(b)の回路基板100と同様に、テストクーポンとして形成されたものである。尚、図3の回路基板103において、図1(a),(b)の回路基板100と同様の部分には、同様の符号を付けた。また、回路基板103の断面は、図1(b)の回路基板100の断面と同様の構造を有している。 【0049】 図1(a),(b)の回路基板100においては、上層導体である1個の独立した導電ペースト層40が、3個の独立した下層導体パターン20a,20b,20cにそれぞれ1個の接合部Sa,Sb,Scで接続していた。一方、図3の回路基板103においては、上層導体である1個の独立した導電ペースト層43が、5個の独立した下層導体パターン23d,23e,23f,23g,23hにそれぞれ1個の接合部Sd,Se,Sf,Sg,Shで接続している。尚、開口部3id〜3ihにおいて露出した下層導体パターン23d〜23hは、各接合部Sd〜Shに対応した抵抗チェックランドとして用いられる。 【0050】 図1(a),(b)の回路基板100では、中央の接合部Sbにおける下層導体パターン20bと導電ペースト層40の界面抵抗値しか求めることができなかった。一方、図3の回路基板103では、中央の接合部Se,Sf,Sgにおける下層導体パターン23e,23f,23gと導電ペースト層43の界面抵抗値の他に、導電ペースト層43の母材抵抗値を同時に求めることができる。中央の接合部Se,Sf,Sgにおける界面抵抗値と導電ペースト層43の母材抵抗値の測定は、以下の方法で行なう。 【0051】 最初に、上記の方法により、それぞれ連続して隣り合う3個の接合部を1組として、各抵抗チェックランド間の抵抗値Rmde,Rmef,Rmfe,Rmfg,Rmge,Rmgh,Rmhfを測定し、中央の接合部Se,Sf,Sgにおける下層導体パターン23e,23f,23gと導電ペースト層43の界面抵抗値Rke,Rkf,Rkgを求める。従って、次に図3における式(4),(5)によって、中央の接合部Se,Sf,Sg間における導電ペースト層43の母材抵抗値をRvef,Rvfgを求めることができる。 が成り立つ。 【0052】 上記の図3の回路基板103における接合部の界面抵抗および上層導体の母材抵抗の測定方法は、4個以上のn個の独立した下層導体パターンを有し、層間絶縁層を介して、各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体を有する回路基板に対して、次のように、一般化することができる。この場合には、n個の接合部のうち、それぞれ連続して隣り合う4個の接合部Sd,Se,Sf,Sgを1組として、最初に、中央の接合部Se,Sfにおける下層導体パターンと上層導体の界面抵抗値Rke,Rkfを求める。次に、この中央の接合部Se,Sf間における上層導体の母材抵抗値Rvefを、 (数式6) Rvef=Rmef−Rke−Rkf により、Rvefを同時に求める。尚、Rmefは、上記4個1組の接合部Sd,Se,Sf,Sgにおける中央の隣り合った接合部Se,Sfに対応する抵抗チェックランド間の測定抵抗値である。この4個1組の測定を上層導体の端から繰り返していけば、n個の接合部のうち、上層導体の両端における接合部を除いた中央の(n−2)個の接合部の界面抵抗値と、中央の接合部間における上層導体の母材抵抗値を測定することができる。尚、上記の接合部における界面抵抗値と上層導体の母材抵抗値の同時測定は、テストクーポンに限らず、図2(b)に示すような、下層導体パターンが実際の電気回路に用いられる場合においても、適用することができる。 【0053】 図4は、本発明の別の回路基板を示す模式的な上面図である。図4の回路基板104は、図中の点線部分から切り出されて製品となる製品部104aと、製品部104aを保持するためのフレーム部104bとからなっている。 【0054】 図4の回路基板104では、図1(a),(b)もしくは図3で示したテストクーポンと同様の界面抵抗を測定するためのテストクーポン104tが、フレーム部104bに形成されている。図4の回路基板104のように、回路基板が製品部104aとフレーム部104bとからなる場合には、テストクーポン104tをフレーム部104bに配置することで、高密度が要求される製品部104aの領域を占拠しなくて済む。従って、図4の回路基板104は、テストクーポン104tを用いて上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗値を代表して測定することができ、かつ切り出されて製品となる製品部104aには高密度回路が配置されてなる回路基板とすることができる。尚、製品部104aに余裕がある場合には、層厚測定テストクーポン104tを製品部104aに配置してもよい。 【0055】 以上のようにして、図1〜4に示す回路基板100〜104は、層間絶縁層を介して、複数の下層導体パターンを上層導体で接続する回路基板であって、上層導体と下層導体パターンの接合部における界面抵抗値を測定することができる回路基板となっている。 【0056】 (他の実施形態) 図1〜4に示す回路基板100〜104は、層間絶縁層を介して、各下層導体パターンにそれぞれ1個の接合部で接続する1個の独立した上層導体が、いずれも、導電ペースト層40〜43であった。 【0057】 下層導体パターンを接続する上層導体として導電ペースト層を用いた回路基板は、安価に製造できる反面、下層導体パターンの表面状態や導電ペースト層の印刷の良否によって、導電ペースト層と下層導体パターンの接合部における界面抵抗が変化し易い。このように、界面抵抗が変化し易い導電ペースト層を用いた回路基板であっても、上記構成の回路基板とすることで接合部における界面抵抗を測定することができ、回路基板の確実な良否判定を行なうことができる。 【0058】 このように、本発明の回路基板は上層導体が導電ペースト層により形成される場合に好適であるが、これに限らず、例えば上層導体がボンディングワイヤや半田で形成されるる場合にも適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】本発明の回路基板の基本的な構成部分を示す図で、(a)は回路基板の模式的な上面図とそれを用いた界面抵抗測定方法を示す図であり、(b)は(a)における一点鎖線で示したA−A断面図である。 【図2】(a),(b)は、本発明の別の回路基板における基本的な構成部分を示す模式的な上面図である。 【図3】本発明の別の回路基板における基本的な構成部分を示す模式的な上面図である。 【図4】本発明の別の回路基板を示す模式的な上面図である。 【図5】回路基板の代表的な断面構造を模式的に示す図である。 【符号の説明】 【0060】 90,100〜104 回路基板 104a 製品部 104b フレーム部 104t テストクーポン 1 絶縁基材 2a〜2c,20a〜20c,21a〜21c,22a〜22d,23d〜23h 下層導体パターン 3a〜3c 層間絶縁層 4,40〜43 導電ペースト層 5 保護絶縁層 Sa〜Sh 接合部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
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| 【出願日】 |
平成15年11月11日(2003.11.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100106149 【弁理士】 【氏名又は名称】矢作 和行
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| 【公開番号】 |
特開2005−150162(P2005−150162A) |
| 【公開日】 |
平成17年6月9日(2005.6.9) |
| 【出願番号】 |
特願2003−381586(P2003−381586) |
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