| 【発明の名称】 |
プリント配線板接続構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 靖二 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノン株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】グラウンド層または、グラウンド層に近いグラウンド層を有する2枚のプリント配線板が上下に配置され、板間ケーブルを介して信号伝送する形態で発生する放射ノイズを低減させる。
【解決手段】金属スペーサ604と金属ネジ605で親プリント配線板のグラウンド導体606と子プリント配線板のグラウンド導体607をそれぞれ接続するが、子プリント配線板のグラウンド導体と親プリント配線板のグラウンド導体は、金属スペーサ604との接続点近傍でスリットを入れて分離させ、そして分離された子プリント配線板のグラウンド導体607間と親プリント配線板のグラウンド導体間をそれぞれ、チップ抵抗608で接続する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グラウンド導体が形成された複数のプリント配線板が平行に配置され、該複数のプリント配線板は、少なくとも一つの板間コネクタにより接続されているプリント配線板構造において、 前記複数プリント配線板のグラウンド導体は接続部により電気的に接続されており前記接続部と、前記複数のプリント配線板の少なくとも一方のグラウンド導体とは、グラウンド導体間抵抗が30オームから300オームの接続機構により接続されていることを特徴とするプリント配線板接続構造。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ディジタル回路を有するプリント配線板、該プリント配線板を搭載する電子機器に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年の電子機器の高度化に伴い、機器に搭載される回路規模は増大している。そのため、製造できるプリント配線板の最大サイズや、製品構想上許容し得る基板の最大サイズに、回路を搭載しきれない場合が発生してしまう。そのような場合の解決法のひとつとして、2枚ないしは複数枚のプリント配線板に回路を分割して実装し、それぞれのプリント配線板が、概略平行に重なるような上下構造にし、コネクタ等で電気的に、スペーサ等で機械的に接続することがある。 【0003】 しかしながら、この上下構造は、片側のプリント配線板に対して、コネクタによって接続された上側プリント配線板がパッチアンテナのような構造になっており、プリント配線板のエッジに電界が発生し、放射ノイズが発生しやすい。そのような状況に対して、各グラウンド電位を安定させることと、機械的に構造を強化することを目的に、導電性のスペーサを用いて上下のプリント配線板のエッジを接続することが一般的に行われている。しかし、このような対応でも、今度は金属などの導電性のスペーサに電流が流れ磁界が発生し、スペーサをアンテナにした放射ノイズが発生しやすくなる。 【0004】 特開平8−64984号公報(特許文献1)では、プリント配線板と隣接した金属板で構成される平行板線路に整合負荷となる抵抗を電気的に接続することにより放射ノイズの発生を抑制する手法を提案している。 特許文献1で提案されている形態は、筐体と、プリント配線板のグラウンドと、それを接続する抵抗成分を有する部材からなるが、この形態では、プリント配線板の共振に起因する放射ノイズは低減されるが、高周波領域では、筐体とプリント配線板を接続する部材そのものがアンテナになり、高周波電流が流れ、新たな放射ノイズ発生要因となってしまう問題があった。 【特許文献1】特開平8−64984号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、特許文献1で発生する新たな放射ノイズの問題を解決し、また、近年のプリント配線板間の接続構造でよく見られる、2枚ないしは複数枚のプリント配線板が、それぞれ平行に上下に配置され、各プリント配線板間は板間コネクタで信号伝送している形態で、プリント配線板およびそれを接続するスペーサから発生する放射ノイズを抑制するプリント配線板の接続構造を提供するものである。 本形態は、上下に配置されたプリント配線板の両方が放射ノイズ源になりうるために、特許文献1にあるような、ノイズ源たるプリント配線板がひとつだけの場合よりも、より放射ノイズが発生しやすい。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、前記課題を解決するために、平行に配置されるプリント配線板のグラウンド導体間を複数の金属スペーサで接続し、該金属スペーサと接続するプリント配線板の間に上下いずれにも30オームから300オーム程度の抵抗成分を持った素子で接続することで、放射ノイズを低減させるものである。 【0007】 本形態は、特許文献1とは異なり、上下ともにプリント配線板であるために、上下いずれの基板にも容易に抵抗成分を持たせることができる。これにより、プリント配線板に発生する定在波に起因するノイズだけでなく、高周波においてはアンテナ源となりうる金属スペーサに流れる電流を上下いずれの方向からも抑制でき、特許文献1で発生する問題も発生しない。 【発明の効果】 【0008】 本発明は、パッチアンテナのような形態となるために、放射ノイズが発生しやすい、互いに平行に配置されたプリント配線板間を板間コネクタで信号伝送する形態において、プリント配線板のグラウンド導体間を抵抗成分を持つ部材で接続する構造にすることにより、一方のプリント配線板をもう一方のプリント配線板をグラウンド導体とするアンテナと見立てたときの、その入力インピーダンス特性が急峻な共振ピークを持たないフラットな特性になるために、規格値を超えるような、急峻な放射ノイズピークの発生を抑制できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下、添付図面を参照して、本発明の効果、実施形態を説明する。 【実施例1】 【0010】 図1は本発明を採用したプリント配線板の親子構造の実施例を示している。図1において、親プリント配線板101と子プリント配線板102が板間コネクタ103を介して信号伝送等おこなっている。金属スペーサ104と金属ネジ105で親プリント配線板のグラウンド導体106と子プリント配線板のグラウンド導体107はそれぞれ接続しているが、子プリント配線板のグラウンド導体は接続点近傍で分離されており。そして分離された子プリント配線板のグラウンド導体107は、チップ抵抗108によって接続されている形態である。 【0011】 また図2は、親プリント配線板グラウンド導体202と子プリント配線板のグラウンド導体201を金属スペーサ203と金属ネジ204をもちいて接続する形態において、分離された子プリント配線板のグラウンド導体205をチップ抵抗206で接続する箇所の拡大図である。 【0012】 本形態において、板間コネクタ103に信号が伝送すれば、板間コネクタ103のグラウンド導体は励振される。金属スペーサ104が無ければ、子プリント配線板グラウンド導体107は、まさしくパッチアンテナの形態となるため、放射ノイズを発生しやすい。 【0013】 アンテナ特性の一つに、入力インピーダンス特性がある。入力インピーダンスが極小となる共振周波数において電磁波が発生しやすいという特徴をもつ。子プリント配線板グラウンド導体をアンテナと見立てたときの入力インピーダンス特性を説明する前に、伝送線路モデルを例にして入力インピーダンス特性について簡便に説明する。伝送線路の終端条件をOPEN(抵抗無限大)にしたとき、その入力インピーダンスは伝送線路長に依存して、共振、反共振が繰り返されるスペクトルが得られる。次に終端条件をSHORT(抵抗値0)と変えたときの入力インピーダンス特性は、終端条件がOPENのときと全く逆の特性になり、終端条件がOPENのとき共振が現れていた周波数で、反共振が、反共振が現れていた周波数で共振が現れる特性となる。伝送線路におけるこのような現象から考えるに、子プリント配線板のグラウンド導体と親プリント配線板グラウンド導体を金属スペーサで接続することは伝送線路モデルの終端条件SHORTに相当し、依然としてインピーダンスが極小となる共振が存在するために、ある特定周波数において放射ノイズピークが観測される。 【0014】 本発明において、提案する親プリント配線板グラウンド導体と子基板グラウンド導体の接続に抵抗成分を持たせることは、伝送線路モデルにおいて整合終端させて、共振の発生を抑制し、著しい放射ノイズピークの発生を抑制するものである。接続するに際し用いる抵抗値は、親プリント配線板と子プリント配線板の形状、親プリント配線板のグラウンド導体と子プリント配線板のグラウンド導体の接続箇所および個数、励振源たる板間コネクタの位置により概略決定され、通常電子機器内で考えられるプリント配線板同士の位置関係から、30オームから300オームが効果的な抵抗値である。また、別の説明すれば、子プリント配線板グラウンド導体の電力を抵抗で消費させて、放射ノイズを低減するものである。 【0015】 図1は、金属スペーサ104には抵抗成分が少ないが、子プリント配線板のグラウンド導体107を接続点近傍で分離し、その間をチップ抵抗で接続することで、前記説明のような効果を実現している形態である。 【0016】 図3は、チップ抵抗108の代わりに、抵抗成分を持たせず親子プリント配線板グラウンド導体を接続するイメージの0Ω、親子プリント配線板グラウンド導体を接続させないイメージのチップ抵抗なし、適当な抵抗成分75Ωで接続したときの、親プリント配線板グラウンド導体からみた、子プリント配線板グラウンド導体の入力インピーダンス特性をそれぞれ測定したグラフである。抵抗なしの240、670MHz、0Ωの550MHzにそれぞれ共振が現れている。しかし、75Ω接続した場合は滑らかで、ほぼフラットな特性になっている。 【実施例2】 【0017】 図4は本発明を採用したプリント配線板の親子構造の実施例を示している。図4において、親プリント配線板401と子プリント配線板402が板間コネクタ403を介して信号伝送等おこなっている。金属スペーサ404と金属ネジ405で親プリント配線板のグラウンド導体406と子プリント配線板のグラウンド導体407はそれぞれ接続しているが、親プリント配線板のグラウンド導体は接続点近傍で分離されている。そして分離された親プリント配線板のグラウンド導体406は、30オームから300オームのチップ抵抗408によって接続されている形態である。 【0018】 また図5は、親プリント配線板グラウンド導体502と子プリント配線板のグラウンド導体501を金属スペーサ503と金属ネジ504をもちいて接続する形態で、分離された親プリント配線板のグラウンド導体505をチップ抵抗506で接続する箇所の拡大図である。このような形態においても第一の実施形態同様の効果が得られる。 【実施例3】 【0019】 図6は本発明を採用したプリント配線板の親子構造の実施例を示している。図6において、親プリント配線板606と子プリント配線板602が板間コネクタ603を介して信号伝送等おこなっている。金属スペーサ604と金属ネジ605で親プリント配線板のグラウンド導体606と子プリント配線板のグラウンド導体607はそれぞれ接続しているが、子プリント配線板のグラウンド導体と親プリント配線板のグラウンド導体は接続点近傍で分離されている。そして分離された子プリント配線板のグラウンド導体607と親プリント配線板のグラウンド導体は、30オームから300オームのチップ抵抗608によって接続されている形態である。 【0020】 また図7は、親プリント配線板グラウンド導体702と子プリント配線板のグラウンド導体701を金属スペーサ703と金属ネジ704をもちいて接続する形態の、分離された子プリント配線板のグラウンド導体705と親プリント配線板のグラウンド導体をそれぞれ、子プリント配線板のグラウンド導体701と親プリント配線板グラウンド導体702をチップ抵抗707で接続する箇所の拡大図である。実施例1、2のように、金属スペーサが接続する親または子プリント配線板の片方だけのグラウンド導体にスリットを入れてチップ抵抗を介して接続することで、抵抗成分を持たせる方法では、親から子または子から親に流れる電流があった場合に、金属スペーサを流れた後の抵抗でダンピングされることがあり、金属スペーサがアンテナとなって垂直偏波が増大する可能性がある。むしろ本実施例のように、金属スペーサと接続する、親、子プリント配線板のグラウンド導体の両方にスリットを入れて、チップ抵抗で接続した方が、金属スペーサを流れる電流を確実に低減できるという利点がある。また、本実施例は、親プリント配線板が筐体などの、金属板であった場合には、実施の難しい形態で、プリント配線板の親子構造のときに実現できる形態である。 【実施例4】 【0021】 図8は本発明を採用した3つのプリント配線板の親子孫構造の実施例である。実施例1,2,3で示した親子構造が、更に繰り返されている形態である。親プリント配線板801、子プリント配線板802、孫プリント配線板803が上下にそれぞれ並んでおり、それぞれ、板間コネクタ804と805を介して信号伝送を行なっている。そして金属スペーサ806と金属ネジ807で親プリント配線板のグラウンド導体808、子プリント配線板グラウンド導体809、孫プリント配線板グラウンド導体810が接続されているが、金属スペーサと接続している近傍で、各グラウンド導体は分離されている。そして、分離された親プリント配線板グラウンド導体、子プリント配線板グラウンド導体、孫プリント配線板のグラウンド導体はチップ抵抗811で接続している形態である。本形態のように複数のプリント配線板の接続形態でも本発明の接続構造を実現できる。 【実施例5】 【0022】 図9は本発明を採用した3つのプリント配線板の2組の親子構造の実施例である。実施例1、2、3、で示した親子構造が、並列に二つ現れている構造である。親プリント配線板901と兄プリント配線板902、弟プリント配線板903がそれぞれ、親子構造をとっており、それぞれ板間コネクタ904、905を介して信号伝送を行なっている。そして金属スペーサ906と金属ネジ907で親プリント配線板グラウンド導体908と兄プリント配線板グランド導体909、弟プリント配線板グラウンド導体910が接続されているが、金属スペーサと接続している近傍で親プリント配線板グラウンド導体、兄プリント配線板グランド導体、弟プリント配線板グラウンド導体は分離されている。そして分離されたグラウンド導体はチップ抵抗911で接続している形態である。本実施例のように複数のプリント配線板でも本発明の接続構想を実現できる。 【図面の簡単な説明】 【0023】 【図1】本発明の実施例1のプリント配線板接続構造を示した斜視図。 【図2】図1の親プリント配線板グラウンド導体と子プリント配線板グラウンド導体を金属スペーサで接続する部位を拡大した斜視図。 【図3】図1の親プリント配線板のチップ抵抗を0オーム、75オーム、抵抗なしと変化さえたときの、親プリント配線板グラウンド導体の板間コネクタ接続位置からみた板間コネクタ、子プリント配線板グラウンド導体、金属スペーサの入力インピーダンス特性を示したグラフ。 【図4】本発明の実施例2のプリント配線板接続構造を示した斜視図。 【図5】図4の親プリント配線板グラウンド導体と子プリント配線板グラウンド導体を金属スペーサで接続する部位を拡大した斜視図。 【図6】本発明の実施例3のプリント配線板接続構造を示した斜視図。 【図7】図6の親プリント配線板グラウンド導体と子プリント配線板グラウンド導体を金属スペーサで接続する部位を拡大した斜視図。 【図8】本発明の実施例4のプリント配線板接続構造を示した斜視図。 【図9】本発明の実施例5のプリント配線板接続構造を示した斜視図。 【符号の説明】 【0024】 101、401、601、801、901 親プリント配線板 102、402、602、802、902 子プリント配線板 103、403、603 板間コネクタ 104、203、404、503、604、703、806、906 金属スペーサ 105、204、405、504、605、704、807、907 金属ネジ 106、202、406、502、606、702、808、908 親プリント配線板グラウンド導体 107、201、407、501、607、701、809、909 子プリント配線板グラウンド導体 108、206、408、506、608、707、811、911 チップ抵抗 205、705 分離された子プリント配線板グラウンド導体 505、706分離された親プリント配線板グラウンド導体 803 孫プリント配線板 804、805、904、905 板間コネクタ 810 孫プリント配線板グラウンド導体903 弟プリント配線板 910 弟プリント配線板グラウンド導体
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社 【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
|
| 【出願日】 |
平成15年11月11日(2003.11.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088096 【弁理士】 【氏名又は名称】福森 久夫
|
| 【公開番号】 |
特開2005−150161(P2005−150161A) |
| 【公開日】 |
平成17年6月9日(2005.6.9) |
| 【出願番号】 |
特願2003−381582(P2003−381582) |
|