| 【発明の名称】 |
電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤倉 昌浩 【住所又は居所】富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技術開発本部内
【氏名】吉原 良一 【住所又は居所】姫路市広畑区富士町1番地 新日本製鐵株式会社広畑製鐵所内
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| 【要約】 |
【課題】低周波の磁気シールドと高周波の電磁波シールドを同時に簡易に可能とする材料を提供する。
【解決手段】面内の少なくともひとつの方向の直流最大比透磁率が3000以上である電磁鋼板であって、その片面若しくは両面に、体積比30%以上の強磁性粉末を含む皮膜が形成されている事を特徴とする電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。また該電磁鋼板が、強磁性粉末として、フェライト粉末あるいは合金粉末の少なくとも1種を含有することを特徴とする。更に、皮膜の厚さが0.05mm以上、2mm以下である事を特徴とする。また更に、これらが電磁波吸収作用をもつ事を特徴とする方向性電磁鋼板。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 面内の少なくともひとつの方向の直流最大比透磁率が3000以上である電磁鋼板であって、その片面若しくは両面に、体積比30%以上の強磁性粉末を含む皮膜が形成されている事を特徴とする電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。 【請求項2】 強磁性粉末として、フェライト粉末あるいは合金粉末の少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。 【請求項3】 皮膜の厚さが0.05mm以上、2mm以下である事を特徴とする、請求項1または2に記載の電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波吸収作用をもつ事を特徴とする方向性電磁鋼板。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、磁気シールド性と電磁波吸収性能を併せ持った電磁鋼板に関する。 【背景技術】 【0002】 外部に強磁場や電磁波を発生する機器が増加すると共に、電磁波の影響を敏感に受けて誤動作してしまう精密機器も増加している。通常、低周波の磁場に対しては強磁性体を用いた磁気シールド技術が用いられ、また、高い周波数の電磁波については、導電率の高い材料や電磁波吸収材料を用いた電磁波シールド対策が講じられる。 【0003】 最近、低周波の磁気シールドと共に、高周波の電磁波への対応が必要な場合が増えている。例えば医療機器のMRIは、数Tの強磁場を利用すると共に、精密分析を行うため僅かな電磁ノイズも嫌う。このような場合、高透磁率材を用いて対象空間を囲い磁気シールド対策を行った後、銅箔などで電磁波シールドを施すのが一般的である。しかしながら、このような対策は構造が複雑となり、施工も困難になる。 【0004】 このような課題に対応するための発明として例えば特許文献1がある。これは、ナノ結晶合金薄板とアルミニウム板からなる部材およびその部材からなるシールドルームの提案であり、透磁率の高いナノ結晶合金薄板で磁気シールドを行い、アルミニウム板で電磁波を遮蔽する事を技術思想としている。 また特許文献2には、板厚20〜2000μmの金属板の表面に導電性のカーボンブラックを含有させた熱可塑性樹脂フィルムを積層した複合板が開示されている。 【特許文献1】特開平11−284387号公報 【特許文献2】特公平7−99796号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明の課題は、シールド構造を単純化し、施工工程を簡単にすることを目的として、低周波の磁気シールドと高周波の電磁波シールド対策を同時に行える材料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、表面に電磁波吸収層を備えた透磁率の高い電磁鋼板であり、具体的には以下の構成からなる。 (1)面内の少なくともひとつの方向の直流最大比透磁率が3000以上である電磁鋼板であって、その片面若しくは両面に、体積比30%以上の強磁性粉末を含む皮膜が形成されている事を特徴とする電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。 (2)強磁性粉末として、フェライト粉末あるいは合金粉末の少なくとも1種を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。 (3)皮膜の厚さが0.05mm以上、2mm以下である事を特徴とする、上記(1)または(2)に記載の電磁波吸収作用をもつ電磁鋼板。 (4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電磁波吸収作用をもつ事を特徴とする方向性電磁鋼板。 【0007】 本発明の課題に対応するための発明として前記特許文献1があるが、透磁率の高いナノ結晶合金薄板で磁気シールドを行い、アルミニウム板で電磁波を遮蔽する事を技術思想としており、電磁鋼板で磁気シールドを行い、表面層で電磁波を吸収する本発明とは異なるものである。 また、本発明と類似の特許文献2では、金属箔または金属板の透磁率が小さく、磁気シールド性能はほとんど有していない。 【発明の効果】 【0008】 本発明の電磁鋼板を用いることにより、磁気シールドと電磁波シールドを容易に行うことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下に本発明を詳細に説明する。 図1に示す励磁用コア1を用いて、各種材料の磁気シールド性能を測定した。図の下側のヨーク1で磁場を発生させ、スペーサー6で一定の空隙を保った上に試料5を置き、印加磁場と反対面の鋼板上の磁場の大きさをガウスメータで測定する。試料5はその圧延方向をZ方向に一致させセットする。励磁用コイル2に流す電流は試料が無い場合の図1に示すセンサ(3軸ホール素子7)位置での磁場が1 Oeとなるようにした。 図中、3はシールドシステム用コア、4は減磁用コイルを示す。 【0010】 図2に、材料の圧延方向の直流最大透磁率とシールド後の磁場の大きさの関係を示す。直流最大透磁率が大きいほど、シールド後の磁場の大きさが小さくなりシールド性能が向上することが分かる。この図から、本発明の電磁鋼板は面内の少なくともひとつの方向の直流最大比透磁率が3000以上にしなければならないことが分かる。3000未満では磁気シールド性能が十分発揮できない。 更にこの電磁鋼板は、鋼板の圧延方向に鉄の<001>方向が8度以内に分散した方向性電磁鋼板であることが好ましい。圧延方向に50000以上の直流最大透磁率が期待でき、磁気シールド性が格段に向上するからである。 【0011】 次に種々の割合で磁性粉末とナイロン樹脂を混合し、圧延方向の直流最大透磁率が65000鋼板表面に混合物を塗装し、0.01〜0.5mmの厚さで皮膜を形成した。 磁性粉末はMnZnフェライトとFe−Si−B−Cu−Nbの場合について示した。試料を7mm空洞同軸管に入れ、皮膜が形成された面にTEM入射させ、ネットワークアナライザによって、波長1.9GHzの電磁波に対する反射減衰量を測定した。 【0012】 図3に磁性粉末の体積比と反射減衰量の関係を、図4には皮膜の厚さと反射減衰量の関係を示す。粉末の体積比が大きいほど、また皮膜厚さが厚いほど反射減衰量は大きくなり、吸収特性に優れることが分かる。これらの図から、鋼板の表面に形成される皮膜には、体積比30%以上の強磁性粉末を含有されなければならないことが分かる。強磁性粉末の体積比が30%未満では電磁波吸収作用が十分ではない。 【0013】 また、この皮膜の厚さは0.05mm以上、2mm以下とすることが望ましい。0.05mm未満では電磁吸収作用が十分でなく、2mm超ではせん断や曲げ加工、積層などの鋼板特有の使い方が困難になる。 【0014】 強磁性粉末としてはフェライト粉末あるいは合金粉末の少なくとも1種を含有することが望ましい。フェライト粉末は軟質磁性のMnZnフェライトやNiZnフェライト、また硬質磁性のBaフェライト、Srフェライトなどが適用できる。 合金粉末としては、鉄を主成分とする各種粉末や、6wt%Si−Fe、パーマロイ、センダスト、Fe−Si−B−Cu−Nbなどのナノ結晶材料、Fe系アモルファス、Co系アモルファスなどの軟質磁性粉末、および、Al−Ni−Co合金、Nd−Fe−B合金、Sm−Co合金などの硬質磁性粉末が適用できる。 【0015】 上記粉末以外の皮膜の成分は、主にバインダーとして必要であるが、無機系、有機系、無機と有機の混合系などを場合によって使い分ければよく、特に規定するものではない。 皮膜の形成方法は特に規定されるものではなく、所定の成分を含有する液体をロールコート、バーコート、スプレーコート、ドブ付けなどにより鋼板表面に塗布した後、乾燥や焼付けなどの方法で固定する一般的な方法を用いることができる。 【実施例】 【0016】 表1に示すような鋼板を作製し、磁気シールド性能と電磁吸収性能を測定した。 磁気シールド性能は図1に示す方法で測定した。図1の下側のヨーク1で磁場を発生させ、スペーサー6で一定の空隙を保った上に試料5を置き、印加磁場と反対面の鋼板上の磁場の大きさをガウスメータで測定する。試料5はその圧延方向をZ方向に一致させセットする。励磁用コイル2に流す電流は、試料が無い場合のセンサ位置での磁場が1 Oeとなるようにした。磁場の大きさはガウスメータで測定した。この磁場が小さいほど磁気シールド性に優れる。 【0017】 電磁波吸収作用は以下の様に評価した。加工した試料を7mm空洞同軸管に入れ、皮膜が形成された面にTEM入射させ、ネットワークアナライザによって、波長1.9GHzの電磁波に対する反射減衰量を測定した。電磁波吸収率の値が大きいほど良好である。 測定結果を表1に示したが、本発明の鋼板で磁気シールド性と電磁波吸収性が両立されていることが分かる。 【0018】 【表1】
【0019】 【表2】
【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】磁気シールド性能を評価する方法を示す図である。 【図2】鋼板の直流最大透磁率と磁気シールド性能の関係を示す図である。 【図3】皮膜厚さが0.5mmの場合の磁性粉末配合比と電磁波反射減衰を示す図である。 【図4】皮膜内の磁性粉末の体積比を85%とした場合の、皮膜厚さと電磁波反射減衰量を示す図である。 【符号の説明】 【0021】 1:励磁用コア 2:励磁用コイル 3:シールドシステム用コア 4:減磁用コイル 5:試料 6:スペーサー 7:3軸ホール素子
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
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| 【出願日】 |
平成15年11月11日(2003.11.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062421 【弁理士】 【氏名又は名称】田村 弘明
【識別番号】100068423 【弁理士】 【氏名又は名称】矢葺 知之
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| 【公開番号】 |
特開2005−150130(P2005−150130A) |
| 【公開日】 |
平成17年6月9日(2005.6.9) |
| 【出願番号】 |
特願2003−380721(P2003−380721) |
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