トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 配線基板
【発明者】 【氏名】上之園 竜一
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株式会社鹿児島国分工場内

【氏名】伊藤 広繁
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株式会社鹿児島国分工場内

【要約】 【課題】配線基板の薄型化,高機能化等が進んだとしても、絶縁基体に反り等の変形が生じることが効果的に防止され、電子部品を確実に実装したり外部電気回路基板に確実に実装することができる信頼性に優れた配線基板を提供すること。

【解決手段】配線基板は、複数のセラミック層1aが積層されて成るとともに主面に電子部品の搭載部1bが形成された直方体状の絶縁基体1と、絶縁基体1の主面およびセラミック層1aの層間の少なくとも一方に形成された信号用配線導体2と、絶縁基体1の主面およびセラミック層1aの層間の少なくとも一方に形成された接地用または電源用の全面導体層3とを具備し、信号用配線導体2および全面導体層3は、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称とされて形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層が積層されて成るとともに主面に電子部品の搭載部が形成された直方体状の絶縁基体と、該絶縁基体の主面および前記セラミック層の層間の少なくとも一方に形成された信号用配線導体と、前記絶縁基体の主面および前記セラミック層の層間の少なくとも一方に形成された接地用または電源用の全面導体層とを具備しており、前記信号用配線導体および前記全面導体層は、前記絶縁基体の前記主面の辺に直交する縦断面において前記主面に平行な中心線に対して線対称とされて形成されていることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や容量素子等の電子部品を搭載するための配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば半導体素子や容量素子等の電子部品を搭載するための配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体等から成る四角板状のセラミック層を複数積層して成り、上面等の主面に電子部品が搭載される搭載部が形成された直方体状の絶縁基体と、タングステンや銅等の金属材料から成り、絶縁基体の主面およびセラミック層の層間の少なくとも一方に形成された信号用配線導体と、信号用配線導体と同様の金属材料から成り、絶縁基体の主面およびセラミック層の層間の少なくとも一方に形成された接地用または電源用の全面導体層とを具備した構造である。
【0003】
また、このような配線基板の搭載部には、通常、信号用配線導体や全面導体層と電気的に接続された接続用のパッドが形成されている。
【0004】
この配線基板の搭載部に電子部品を搭載するとともに、電子部品の下面等に形成されている電極を半田やボンディングワイヤ等を介してパッドと電気的に接続することにより、電子部品の信号用や接地用、電源用等の電極が、対応する信号用配線導体や全面導体層と電気的に接続される。
【0005】
その後、必要に応じて電子部品を蓋体や封止用樹脂等で封止することにより電子部品の実装が行なわれ、電子装置となる。
【0006】
実装された電子部品の電極は、パッドを介して対応する信号用配線導体や全面導体層に電気的に接続され、電気信号の入出力や、接地電位,電源の供給等が行なわれる。
【0007】
このような配線基板は、例えば、絶縁基体が酸化アルミニウムから成る場合、まず、酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の原料粉末を有機溶剤,バインダーとともにシート状に成形して複数のセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を形成し、次に、これらのグリーンシートに、タングステン等の金属の粉末に有機溶剤,バインダーを添加混練して成る金属ペーストを所定パターンに印刷し、次に、これらのグリーンシートを積層するとともに高温で焼成することにより作製される。
【特許文献1】特開2003−188048号公報
【特許文献2】特開2002−203720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来の配線基板においては、一般に、信号用配線導体や全面導体層の配置形態が各絶縁層の層間同士や層間と絶縁基体の主面との間等で不均一であること、信号用配線導体や全面導体層となる金属ペーストを印刷した複数のグリーンシートを積層して焼成する際に、金属ペーストとグリーンシートとの間で焼成時の収縮率が異なること等から、絶縁基体となるグリーンシートの積層体の全体に対し、焼成時に上または下に凸状に反るような方向に応力が作用する。その結果、焼成して得られた配線基板の絶縁基体に、上方向または下方向に凸となるような反り等の変形が生じてしまうという問題があった。絶縁基体に反り等の変形が生じると、搭載部に電子部品を正確に搭載することが難しくなり、実装の信頼性が低くなってしまう。
【0009】
特に、近時、配線基板の薄型化,高機能化等に応じて、絶縁層の厚さが薄くなり、また、信号用配線導体や全面導体層が各絶縁層に高密度で形成されたり、絶縁層の上層と下層との間で信号用配線導体と全面導体層の配置が偏りやすい、たとえば電子部品が搭載される搭載部に近い上層側ほど信号用配線導体が全面導体層よりも多くなることから、上記のような反り変形の発生が顕著なものとなってきている。
【0010】
本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、配線基板の薄型化,高機能化等が進んだとしても、絶縁基体に反り等の変形が生じることが効果的に防止され、電子部品を確実に実装したり、外部電気回路基板に確実に実装することができる信頼性に優れた配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の配線基板は、複数のセラミック層が積層されて成るとともに主面に電子部品の搭載部が形成された直方体状の絶縁基体と、該絶縁基体の主面および前記セラミック層の層間の少なくとも一方に形成された信号用配線導体と、前記絶縁基体の主面および前記セラミック層の層間の少なくとも一方に形成された接地用または電源用の全面導体層とを具備しており、前記信号用配線導体および前記全面導体層は、前記絶縁基体の前記主面の辺に直交する縦断面において前記主面に平行な中心線に対して線対称とされて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の配線基板によれば、信号用配線導体および全面導体層は、絶縁基体の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称とされて形成されていることから、絶縁基体となるグリーンシートの積層体の各層に信号用配線導体や全面導体層となる金属ペーストを印刷形成して焼成することにより、配線基板を形成する際に絶縁基体となるグリーンシートの積層体の厚み方向の中心線に対して上層側と下層側とが線対称となるように信号用配線導体および全面導体層が均一に配置され、上層側と下層側とで絶縁基体となる積層体を反らせようとする応力が、大きさが同じで逆方向のものとなる。そのため、この積層体を上方向に反らせようとする応力と下方向に反らせようとする応力とを相殺させることができ、絶縁基体に反り等の変形が発生することは効果的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の配線基板について添付図面に基づき以下に説明する。図1は、本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は絶縁基体、2は信号用配線導体、3は全面導体層である。これら絶縁基体1,信号用配線導体2,全面導体層3により、本発明の配線基板が基本的に構成される。
【0014】
絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,窒化珪素質焼結体,炭化珪素質焼結体,ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁材料から成るセラミック層1aが複数積層されることにより形成されている。この絶縁基体1の主面(図1の例では上面)には、電子部品(図示せず)を搭載する搭載部1bが形成されている。
【0015】
この絶縁基体1は、例えば各セラミック層1aが酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には以下のようにして作製される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化カルシウム,酸化マグネシウム等の原料粉末に適当な有機バインダー,溶剤を添加混合して泥漿状のセラミックスラリーを作製し、このセラミックスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形技術を採用してシート状となすことによって、四角板状の複数のグリーンシート(セラミック生シート)を得る。しかる後、グリーンシートを所定の順に上下に積層してグリーンシートの積層体と成す。この積層体を還元雰囲気中で約1600℃の高温で焼成することによって、直方体状の絶縁基体1が製作される。
【0016】
この絶縁基体1の主面およびセラミック層1aの層間の少なくとも一方に、信号用配線導体2が形成されている。また、絶縁基体1の主面およびセラミック層1aの層間の少なくとも一方に、接地用または電源用の全面導体層3が形成されている。
【0017】
また、搭載部1b、および搭載部1bが形成された主面と対向する絶縁基体1の主面には、信号用配線導体2や全面導体層3に電気的に接続された接続用のパッド1cが形成されている。これらの信号用配線導体2や全面導体層3,パッド1cは、タングステンやモリブデン,銅,銀等の金属材料から成る。例えば、タングステンから成る場合、タングステンの粉末に有機溶剤,バインダー等を添加混練して得た金属ペーストを、各セラミック層1aとなるグリーンシートの表面に所定パターンに印刷しておくことにより形成される。
【0018】
なお、信号用配線導体2や全面導体層3とパッド1cとの電気的接続は、セラミック層1aを厚み方向に貫通する貫通導体(図示せず)等を介して行われる。このような貫通導体は、予め絶縁基体1となるグリーンシートに貫通孔を打抜き形成しておき、この貫通孔内に信号用配線導体2等を形成するのと同様の金属ペーストを印刷し充填しておくこと等により形成される。
【0019】
配線基板の搭載部1bに電子部品を搭載するとともに、電子部品の電極(図示せず)を半田やボンディングワイヤ等を介してパッド1cと電気的に接続することにより、電子部品の信号用や接地用、電源用等の電極が、対応する信号用配線導体2や全面導体層3と電気的に接続され、電子装置が作製される。この電子装置のうち、搭載部1bと対向する絶縁基体1の主面に形成されたパッド1cを外部電気回路に接続することにより、電子部品の電極が外部の電気回路に電気的に接続される。
【0020】
本発明の配線基板において、信号用配線導体2および全面導体層3は、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称とされて形成されている。この構成により、絶縁基体1となるグリーンシートの積層体の各層に、信号用配線導体2や全面導体層3となる金属ペーストを印刷形成して焼成することにより配線基板を形成する際、絶縁基体1となる積層体の厚み方向の中心線に対して上層側と下層側に信号用配線導体2および全面導体層3が線対称に均一に配置される。その結果、上層側と下層側とで積層体を反らせようとする応力の大きさが同じで逆方向のものとなるため、絶縁基体1となる積層体を上方向に反らせようとする応力と、下方向に反らせようとする応力とを相殺させることができ、絶縁基体1に反り等の変形が発生することを効果的に防止することができる。
【0021】
なお、信号用配線導体2および全面導体層3を、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称として形成する場合、信号用配線導体2や全面導体層3の配置形成の自由度が低下するおそれがあるが、セラミック層1aを(たとえば1層)追加することにより、その追加したセラミック層1aの表面にも信号用配線導体や全面導体層を形成することができるので、配線が困難であったものが追加されたセラミック層1aで配線でき、支障なく信号用配線導体2や全面導体層3を形成することができる。
【0022】
また、信号用配線導体2および全面導体層3を、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称として形成する場合、中心線に近い層には全面導体層3を形成し、中心線から遠い層(絶縁基体1の主面に近い層)には信号用配線導体2を形成するようにすることが好ましい。これは、全面導体層3のほうが金属ペーストの印刷面積が大きく、金属ペーストとグリーンシートとの焼成時の収縮率の差に起因する応力がより大きく作用しやすいため、そのような応力が発生する部位を、極力線対称の中心に近い部位に配置することにより、応力の相殺をより確実なものとすることができるため、より一層確実に反りの発生を防止することができるからである。
【0023】
また、これらの信号用配線導体2や全面導体層3と電気的に接続されたパッド1cを形成する場合、これらのパッド1cについても、絶縁基体1の搭載部1bが形成されている主面とこれに対向する主面との間で、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称として形成することが好ましい。
【0024】
また、各セラミック1a層は、応力を相殺させるという観点からは、その厚さを最上層から最下層にかけて均一な厚さとしておくことが好ましいが、セラミック層1aの一部を静電容量を形成するための誘電体層として利用すること等の種々の設計上の都合により、部分的に厚みを変えてもよい。ただし、このようにセラミック層1aの厚みを一部の層で異なるものとする場合、厚さの異なるセラミック層1aを、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称として配置することが好ましい。
【0025】
なお、信号用配線導体2や全面導体層3の厚さは5〜30μm程度である。この厚さについても、絶縁基体1の主面の辺に直交する縦断面において主面に平行な中心線に対して線対称な配置となるようにしておくことが好ましい。
【0026】
また、信号用配線導体2や全面導体層3の厚さは、一つの層間においては均一な厚さとしておくことが好ましい。一つの層間において信号用配線導体2や全面導体層3の厚さが不均一であると、その信号用配線導体2や全面導体層3を挟む上下のセラミック層1a間の密着が、厚さの異なる信号用配線導体2や全面導体層3により妨げられるおそれがある。
【0027】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、信号用配線導体2や全面導体層3,パッド1c等の露出表面に、ニッケル,銅,金等のめっき層を被着させて酸化腐食をより有効に防止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・絶縁基体
1a・・・セラミック層
1b・・・搭載部
2・・・信号用配線導体
3・・・全面導体層
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
【出願日】 平成15年10月30日(2003.10.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−136232(P2005−136232A)
【公開日】 平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願番号】 特願2003−371298(P2003−371298)