トップ :: H 電気 :: H05 他に分類されない電気技術




【発明の名称】 パワーモジュール用配線基板
【発明者】 【氏名】牧野 晃久
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株式会社総合研究所内

【氏名】長谷川 智英
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株式会社総合研究所内

【氏名】岡山 浩
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株式会社総合研究所内

【要約】 【課題】絶縁基板の厚さが1mm以下と非常に薄い場合において、パワー素子の実装時などの大きな負荷に対しても大きなたわみ量を有する優れた耐久性を有するパワーモジュール用配線基板を提供する。

【解決手段】窒化珪素を主成分とするセラミックスからなり、厚さが1mm以下の絶縁基板1と、該絶縁基板1表面に設けられた金属回路2とを具備してなり、前記セラミックスの相対密度が90〜97%、室温におけるヤング率が300GPa以下、熱伝導率が40W/m・K以上であり、且つJISR1601の3点曲げ強度試験に基づき、スパン30mmで2点支持しその反対側の中央部に荷重を印加し中央部に応力を印加し、厚みが0.635mmの前記絶縁基板が破壊に至る時のたわみ量が2.0mm以上であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化珪素を主成分とするセラミックスからなり、厚さが1mm以下の絶縁基板と、該絶縁基板表面に設けられた金属回路とを具備してなり、前記セラミックスの相対密度が90〜97%、室温におけるヤング率が300GPa以下、熱伝導率が40W/m・K以上であり、且つJISR1601の3点曲げ強度試験に基づき、スパン30mmで2点支持しその反対側の中央部に荷重を印加し中央部に応力を印加し、厚みが0.635mmの前記絶縁基板が破壊に至る時のたわみ量が2.0mm以上であることを特徴とするパワーモジュール用配線基板。
【請求項2】
前記窒化珪素を主成分とするセラミックスが、希土類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合量で4〜30モル%の割合で含むとともに、前記希土類金属およびMgの酸化物換算によるモル比(RE/MgO)が0.1〜15であり、且つAlの含有量が酸化物換算で1.0モル%以下であることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用配線基板。
【請求項3】
前記金属回路が厚さ0.1mm以上の金属板からなる請求項1または2に記載のパワーモジュール用配線基板。
【請求項4】
前記金属回路が活性金属を用いて前記絶縁基板に接合されてなる請求項1乃至3のうちいずれかに記載のパワーモジュール用配線基板。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基板の表面に金属回路が形成され、その金属回路に対して大電流が印加されるパワーモジュール用配線基板に関し、特に絶縁基板が窒化珪素を主成分とするセラミックスからなる配線基板の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、産業機器の分野ではMOSFETやIGBTなどのパワー系デバイスを用いたパワーモジュールが電車、電気自動車などの電動車両における制御基板に適用されつつある。これらのパワー系デバイスに使用される電流は数十〜数百Aを超え、また電圧も数百Vと非常に高電力となるため、パワー系デバイスから発生する熱も大きく、この熱によるデバイスの誤動作あるいは破壊を防止するために、発生熱をいかに系外に放出するかが大きな問題になっており、かかるパワー系デバイスを搭載する配線基板に対しては、絶縁基板として高い熱伝導性が要求されている。
【0003】
従来より、デバイスから発生した熱を放熱するための好適なセラミックスとしては、炭化珪素、ベリリウム、窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられてきたが、量産性、安全性などの点から窒化アルミニウム質セラミックスが最も多く用いられてきた。
【0004】
しかし、電動車両におけるパワーモジュール基板として適用するためには、高熱伝導性のみならず、高い耐久性を有することが必要であり、窒化アルミニウム質セラミックスは、強度が低いため、過酷な条件下で使用される電動車両などの基板材料には不向きであった。
【0005】
そこで、最近では、上記窒化アルミニウム等に代えて、窒化珪素を主成分とするセラミックスが注目されている。この窒化珪素質セラミックスは、従来より、耐熱衝撃性、高温強度に優れたセラミックスとして各種の構造材料用セラミックスとして用いられてきたが、この窒化珪素質セラミックスは、上記特性に加え、組成や組織の制御によっては高い熱伝導性を有することから、パワーモジュール用の絶縁基板材料として期待されており、高熱伝導性と高強度を兼ね備えた窒化珪素質セラミックスを用いた配線基板が提案されている(特許文献1、2、3参照)。
【0006】
そこで、パワーモジュール用配線基板の一般的構造について概略断面図を図1に示した。図1の配線基板によれば、絶縁基板1の一方の表面には、大電流が印加される肉厚の大きい銅あるいはアルミニウムなどの金属回路2が被着形成されている。そして、金属回路2にはパワー素子3が搭載され、Alのワイヤボンディング4により、金属回路2と電気的に接続されている。
【0007】
絶縁基板1の他方の表面には、パワー素子3の作動によって発生した熱を効率的に放熱するために、Cuなどの高熱伝導体からなる放熱板5が取り付けられており、さらに放熱性を改善するためにこの配線基板Aは、ヒートシンク6に実装される。
【特許文献1】特開平4−212441号公報
【特許文献2】特開平6−135771号公報
【特許文献3】特開平6−216481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、パワー素子3を自動実装装置などを用いて実装する際に、配線基板に対して大きな高い荷重が負荷される。その際、従来から提案された高熱伝導性、高強度の窒化珪素質セラミック基板においては、基板自体の強度が高いものの、通常、配線基板の熱抵抗を小さくするために基板厚みが1mm以下と非常に薄いために、上記の応力によって基板にクラックが発生したり、場合によっては配線基板の破壊に至るという問題があった。このような応力によるクラックの発生や破壊は、そもそも基板厚みが薄いために、材料としての強度の改善のみでは解消することはほとんど不可能であった。
【0009】
従って、本発明の目的は、絶縁基板の厚さが1mm以下と非常に薄い場合において、パワー素子の実装時などの大きな負荷に対しても優れた耐久性を有するパワーモジュール用配線基板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題に対して検討を重ねた結果、前記応力による破壊が、絶縁基板を形成する窒化珪素質セラミックスとして、ヤング率を低減することにより、応力に対して大きなたわみが発生するために、絶縁基板の厚さが薄い場合においても実装時などの応力に対してクラックの発生や破壊が生じにくくなることを見いだし、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明は、窒化珪素を主成分とするセラミックスからなる厚さ1mm以下の絶縁基板と、金属回路とを具備してなるパワーモジュール用配線基板であって、前記セラミックスの相対密度が90〜97%、室温におけるヤング率が300GPa以下、熱伝導率が40W/m・K以上であり、且つJISR1601の3点曲げ強度試験に基づき、スパン30mmで2点支持しその反対側の中央部に荷重を印加し中央部に応力を印加し、厚みが0.635mmの前記絶縁基板が破壊に至る時のたわみ量が2.0mm以上であることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記金属回路が、厚さ0.1mm以上の金属板からなり、その金属板が活性金属を用いて前記絶縁基板に接合されてなることにより大きな電流の印加に対して十分適用できる。
【0013】
さらに、上記特性を有するセラミックスとしては、窒化珪素を主成分とし、希土類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合量で4〜30モル%の割合で含むとともに、前記希土類金属およびMgの酸化物換算によるモル比(RE/MgO)が0.1〜15であり、且つAlの含有量が酸化物換算で1.0モル%以下であるセラミックスからなることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパワーモジュール用配線基板によれば、焼結助剤の希土類元素とMgは窒化珪素原料中の不純物酸素と反応し液相を生成する事により焼結を促進する。Alも同様に他の助剤と反応して低温での液相生成に役立つが、多量に存在すると窒化珪素粒内に固溶したり、サイアロンを形成するなどして熱伝導率を低下させる原因となる。
【0015】
通常、窒化珪素質セラミックスにおいては、熱伝導性や高強度の観点からは、相対密度はより高く、99%以上であることが望ましいとされている。しかしながら、このように高緻密化された窒化珪素質セラミックスは、室温におけるヤング率は概して350GPa以上を有する。
【0016】
このような高ヤング率を有するセラミックスを厚さが薄いパワーモジュール用配線基板の絶縁基板として用いると、パワー素子の実装時などに大きな応力が負荷された場合、絶縁基板にクラックが発生したり、破壊が生じやすくなる。
【0017】
これに対して、本発明によれば、窒化珪素質セラミックスとして、相対密度が90〜97%と比較的低い相対密度を有し、且つヤング率が300GPa以下のセラミックスは、荷重に対するたわみ量が大きくなる結果、大きな荷重に対してもたわみによって応力が緩和されることにより、パワー素子の実装時などにおけるクラックの発生や破壊を防止することができる。
【0018】
また、パワーモジュール用配線基板における絶縁基板として、そのような特性を有するセラミックスとしては、窒化珪素を主成分とし、希土類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合量で4〜30モル%の割合で含むとともに、前記希土類金属およびMgの酸化物換算によるモル比(RE/MgO)が0.1〜15であり、且つAlの含有量が酸化物換算で1.0モル%以下であるセラミックスを用いると、高い熱伝導率と高い強度をも兼ね備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のパワーモジュール用配線基板Aは、図1に示したように、窒化珪素質セラミックスからなる厚さ1mm以下の絶縁基板1の一方の表面に、大電流が印加される金属回路2が被着形成された構造からなる。そしてパワーモジュールにおいては、絶縁基板1の表面にパワー素子3が搭載され、Alのワイヤボンディング4等により、金属回路2と電気的に接続される。
【0020】
また、絶縁基板1の他方の表面には、パワー素子3の作動によって発生した熱を効率的に放熱するために、Cuなどの高熱伝導体からなる放熱板5が取り付けられている。そして、このような配線基板Aは、さらに放熱性を改善するためにヒートシンク6に実装される。
【0021】
本発明においては、絶縁基板1の厚さが1mm以下、特に0.8mm以下であることが必要である。これは、配線基板として熱抵抗を小さくするために必要であり、厚さが1mmよりも厚いと配線基板の熱抵抗が増大する結果、パワー素子の作動により発生する熱を放熱板やヒートシンクに対して効率的に伝達することが困難となるためである。
【0022】
また、本発明によれば、絶縁基板1を構成する窒化珪素質セラミックスは、セラミックスの相対密度が90〜97%、室温におけるヤング率が300GPa以下、熱伝導率が40W/m・K以上、且つJISR1601の3点曲げ強度試験に基づき、スパン30mmで2点支持しその反対側の中央部に荷重を印加し中央部に応力を印加し、厚みが0.635mmの前記絶縁基板が破壊に至る時のたわみ量が2.0mm以上であることが重要である。
【0023】
即ち、相対密度が90%よりも低いと熱伝導率を40W/m・K以上に高めることが困難であり、逆に、相対密度が97%よりも高いと焼結体中の気孔量が減少し、300GPa以下の低ヤング率を達成することが困難となるためである。相対密度は特に95〜97%が望ましい。
【0024】
また、ヤング率が300GPaよりも高いと、絶縁基板のたわみ性が減少する結果、パワー素子の実装時などの応力を緩和することができず、実装時に配線基板の破壊が生じやすくなり、歩留りを大きく低下させてしまう。なお、ヤング率は250〜300GPaの範囲が特に望ましい。
【0025】
さらに、セラミックスの室温における3点曲げ強度が700MPaよりも低いと、低ヤング率化によってたわみ量が大きくなっても、その応力に対して十分に耐えることができず、クラックの発生や破壊を招く結果となるおそれがあるため、セラミックスの室温における3点曲げ強度は700MPa以上とすることが望ましく、このセラミックスの強度は特に750MPa以上であることが望ましい。
【0026】
また、本発明の配線基板においては、金属回路2は、Cu、AlおよびAuの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属からなる金属箔、あるいは金属板から形成され、厚さが0.1mm以上、特に0.2mm以上であることが望ましい。これは、金属回路がタングステンやモリブデンなどの高抵抗金属からなる場合、あるいは厚さが0.1mmよりも薄いと1A以上、特に10A以上の大電流を印加した場合に金属回路が発熱してしまい回路の断線等を招く虞がある。
【0027】
また、絶縁基板の他方の表面に取り付けられる金属板は、Cu、AlおよびAgの群から選ばれる少なくとも1種の高熱伝導性金属からなることが望ましく、この金属板を絶縁基板に対して、Ti、ZrおよびHfの群から選ばれる少なくとも1種の活性金属を含むロウ材によって絶縁基板に接合することにより、絶縁基板に対して高い接合強度で金属板を接合することができる。
【0028】
絶縁基板を構成する窒化珪素質セラミックスを構成する主相は、β−窒化珪素結晶からなり、焼結体の断面における電子顕微鏡写真より求めた平均アスペクト比が1.5〜5、短軸径が0.1〜1μmの結晶から構成される。
【0029】
また、この窒化珪素結晶の粒界には、焼結助剤成分として、少なくとも希土類元素(RE)を含有するものである。希土類元素(RE)としては、Y,La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの群から選ばれる少なくとも1種が用いられるが、これらの中でもY、Ce、Sm、Dy、Er、Yb、Luの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはY、Erが特性およびコストの点で望ましい。
【0030】
また、本発明によれば、上記の特性を具備するために、Mgを含有することが望ましく、前記希土類元素及びMgは酸化物換算による合量で4〜30モル%、特に5〜25モル%の範囲で含有される。但し、前記希土類元素とMgとの酸化物換算によるモル比(RE/MgO)が0.1〜15、特に0.5〜13の範囲となることが望ましい。
【0031】
これは上記合量が4モル%より少ないと、焼成による緻密化不足を招き、相対密度90%以上を達成できず、30モル%を越えると、焼結体中での粒界相の占める割合が増加するために熱伝導率が低下するためである。また前記RE/MgOの比率が15を越えたり、0.1より小さくなっても、緻密化は不十分となり、熱伝導率は低下する。
【0032】
また、AlなどのAl化合物は、焼結性の向上に大きく寄与するが、Si結晶中に固溶してフォノンの伝播を阻害する結果、セラミックスの熱伝導率を著しく低下させるため、高熱伝導化のためには存在しないことが望ましく、具体的には、Alは酸化物換算で1.0モル%以下、望ましくは0.5モル%以下、より望ましくは0.1モル%以下、更には0.01モル%以下にするのが良い。
【0033】
なお、このセラミックス中には、前記特性を阻害しない範囲で、着色あるいは特性改善のために、Ti、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wなど周期律表第4a、5a、6a族金属のうち少なくとも1種を含有してもよく、具体的には、酸化物換算で1重量%以下の割合で含んでいてもよい。
【0034】
本発明のパワーモジュール用配線基板を製造するには、まず、絶縁基板を作製する。この絶縁基板は、窒化珪素粉末に対して、焼結助剤として、希土類元素化合物、Mg化合物、場合によってはAl化合物を前述の比率に配合する。
【0035】
この時、用いる窒化珪素粉末としては不純物酸素量が0.5〜3.0重量%のものが望ましい。これは不純物酸素量が3.0重量%よりも多いと、焼結体表面が荒れ、強度劣化を招く虞があり、0.5重量%よりも少ないと焼結性が悪くなるためである。また、平均粒径は、0.1〜1.5μmであり、α率が80%以上であることが望ましい。また、焼結助剤となる化合物は、酸化物、炭酸塩、酢酸塩など焼成によって酸化物を形成しうる化合物であることが望ましい。
【0036】
次に、該混合粉末に有機バインダーと溶媒とを添加してスラリーを調製し、ドクターブレード法、圧延法、押し出し成形法等の周知の成形方法で基板状成形体を作製する。この基板状成形体は、単層でもよいし、薄肉のシート状成形体を積層したものであってもよい。
【0037】
その後、上記成形体を弱酸化性雰囲気中にて、脱バインダー処理した後、窒素などの非酸化性雰囲気中で、1800℃以下の温度で相対密度が90〜97%になるように焼成することにより絶縁基板を作製することができる。
【0038】
次に、得られた絶縁基板に、Cu−Ag−Ti、Cu−Au−Tiなどの活性金属を含有するロウ材のペーストを塗布し、厚さ0.1mm以上の金属箔あるいは金属板を積層し、800〜900℃で加圧しながら焼き付けを行う。焼き付け後、金属箔や金属板にレジスト塗布、露光、現像、エッチング処理、レジスト剥離などの手法によって、所定の回路パターンからなる金属回路を形成することによりパワーモジュール用配線基板を得る。
【0039】
また、この配線基板に対して、パワー素子を搭載するには、金属回路上に半田ペーストを塗布した後、自動実装装置にて実装し、300〜400℃で加熱してロウ付けする。
【0040】
さらに、この配線基板の裏面に、放熱板を取り付けるには、金属回路形成と同様に、活性金属を含有するロウ材のペーストを塗布し、厚さ0.1mm以上の金属箔あるいは金属板を積層し、800〜900℃で加圧しながら焼き付けを行うことにより取り付けられる。
【0041】
さらに、放熱板を取り付けた配線基板をヒートシンクなどに実装する場合には、Pb−Sn共晶半田などの半田ペーストを塗布し、300〜400℃でロウ付けすればよい。
【実施例】
【0042】
平均粒径が1.2μm、酸素量が1.3重量%、α率93%の直接窒化法により製造された窒化珪素原料粉末に、希土類元素酸化物、MgCO、Alを表1、2に示すような成形体組成となるように添加混合し、その混合粉末に対して成形用バインダーとしてアクリル樹脂バインダーを、溶媒としてトルエンを添加してスラリー化する。そして、そのスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ0.3mmのグリーンシートを得た。かくして得られたグリーンシートを適宜積層し、直径12mm、厚さ5mmの円板状及び強度測定用に60×6×4mmの角柱に成形した。
【0043】
かくして得られた成形体を弱酸化性雰囲気中、所定温度で脱バインダーした後、常圧窒素雰囲気中、表1の温度で焼成して窒化珪素質セラミックスを作製し、評価用の試料とした。
【0044】
得られた評価用試料を用いて、まずアルキメデス法により窒化珪素質セラミックスの密度を測定し、理論密度に対する比率である相対密度(%)を算出した。ついでレーザーフラッシュ法により熱伝導率を、超音波パルス法によりヤング率の測定を、JISR1601に基づく3点曲げ試験により3点曲げ強度をそれぞれ室温中で測定した。
【0045】
また、上記各組成物を用いて、焼成後の厚みが0.635mmのセラミックス絶縁基板を作製した。そしてこの絶縁基板に対して、図2に示すように、JISR1601の3点曲げ強度試験に基づき、スパン30mmで2点支持しその反対側の中央部に荷重を印加し中央部に応力を印加し、絶縁基板が破壊に至る時のたわみ量xを測定した。
【0046】
また、この基板に活性金属法によって厚さ200μmの銅板を接合し、エッチング処理することにより、銅による金属回路を形成した。その後、パワー素子を自動実装装置を用いてハンダ付けして実装した。そして、素子実装後の配線基板に対してクラックの発生および割れの発生の有無を検査し、配線基板20個に対するクラックの発生、割れの発生の個数を実装評価として表1、2に示した。
【表1】


【0047】
【表2】


【0048】
表1、2の結果によれば、本発明に基づく試料は、絶縁基板が相対密度が90〜97%、室温におけるヤング率が300GPa以下、熱伝導率が40W/m・K以上であり、たわみ量が2.0mm以上と大きいことから、素子実装後においても配線基板にほとんどクラックや破壊が生じることがなかった。
【0049】
これに対して、相対密度が90%よりも低い試料No.27では、ヤング率が300GPa以下であり、たわみ量も2.80mmと大きいものであったが、強度が低く、実装時に基板の破壊が多数発生した。また、相対密度が97%を越える試料No.31は、3点曲げ強度が700MPa以上であるにも拘らず、ヤング率が300GPaを越えるものであり、その結果、たわみ量が1.76mmと小さく、実装時にクラックの発生や破壊が発生した。
【0050】
また、セラミックスの組成の観点からは、希土類元素(RE)及びMgを酸化物換算による合量が4モル%よりも少ない試料No.1では、緻密化不足となり熱伝導率、強度が低下した。また、上記合量が30モル%を越える試料No.7では緻密化されるものの、熱伝導率が低下するとともに、強度も低下した。
【0051】
また、希土類金属およびMgの酸化物換算によるモル比(RE/MgO)が0.1よりも小さい試料No.8、および15よりも大きい試料No.13は、いずれも緻密化不足となり、熱伝導率および強度も低下した。
【0052】
さらに、Alの含有量が酸化物換算で1.0モル%よりも多い試料No.18では、緻密化しても熱伝導率は大きく低下した。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一般的なパワーモジュール用配線基板の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例におけるたわみ量の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1 絶縁基板
2 金属回路
3 パワー素子
4 ワイヤー
5 放熱板
6 ヒートシンク
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
【出願日】 平成16年10月15日(2004.10.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−101624(P2005−101624A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2004−301913(P2004−301913)