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【発明の名称】 セラミックス回路基板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】中山 憲隆
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内

【氏名】白井 隆雄
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内

【氏名】山口 晴彦
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内

【要約】 【課題】高精細で寸法精度が高い配線と通電容量が大きい回路配線とを共に備え、高出力の半導体素子を搭載することができ、また回路層の配線密度を高めることが可能な小型のセラミックス回路基板およびその製造方法を提供する。

【解決手段】セラミックス基板2の少なくとも一方の表面に回路層を一体に接合したセラミックス回路基板1aにおいて、上記回路層がろう材から成る第1の回路層6と、ろう材を介してセラミックス基板2の表面に接合された金属回路板4から成る第2の回路層7とから構成されていることを特徴とするセラミックス回路基板1aである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の少なくとも一方の表面に回路層を一体に接合したセラミックス回路基板において、上記回路層がろう材から成る第1の回路層と、ろう材を介してセラミックス基板表面に接合された金属回路板から成る第2の回路層と、から構成されていることを特徴とするセラミックス回路基板。
【請求項2】
請求項1記載のセラミックス回路基板において、前記ろう材から成る第1の回路層の線幅が0.05〜0.5mmの範囲であることを特徴とするセラミックス回路基板。
【請求項3】
請求項1記載のセラミックス回路基板において、前記第1の回路層を構成するろう材および前記第2の回路層をセラミックス基板表面に接合するろう材が、Ag,Cu,Ti,Zr,SiおよびAlから選択される少なくとも1種の元素から構成されることを特徴とするセラミックス回路基板。
【請求項4】
請求項1記載のセラミックス回路基板において、前記金属回路板から成る第2の回路層が銅およびアルミニウムの少なくとも1種の金属から成ることを特徴とするセラミックス回路基板。
【請求項5】
請求項1記載のセラミックス回路基板において、前記セラミックス基板が窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ、およびアルミナとジルコニアとの化合物から選択される少なくとも1種のセラミックス焼結体から成ることを特徴とするセラミックス回路基板。
【請求項6】
請求項1記載のセラミックス回路基板において、前記金属回路板から成る第2の回路層の表面に、Ni,Ag,Sn,Auから選択される少なくとも1種の金属から成るめっき層が形成されていることを特徴とするセラミックス回路基板。
【請求項7】
セラミックス基板の少なくとも一方の表面にろう材ペーストを印刷してろう材から成る第1の回路層を形成すると同時に、金属回路板から成る第2の回路層を接合するためのろう材層をセラミックス基板表面に形成し、しかる後に上記ろう材層を介して金属回路板をセラミックス基板表面に一体に接合して第2の回路層を形成することを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主として高出力トランジスタ、パワーモジュール等の実装に使用されるセラミックス回路基板およびその製造方法に係り、特に高精細で寸法精度が高い配線と通電容量が大きい回路配線とを兼ね備え、回路層の配線密度を高めることが可能なセラミックス回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力トランジスタ、パワーモジュール等の実装に使用されるセラミックス回路基板は、セラミックス材と金属回路材とを一体に接合して製造されている。このセラミックス材と金属回路材との接合方法としては、従来から回路層となるMoまたはW等の高融点金属ペーストをセラミックスのシート状成形体表面に印刷して焼結する同時焼成法、回路構成材としての銅と酸素の共晶反応を利用して回路層(Cu回路板)をセラミックス基板表面に一体に接合する銅直接接合法(DBC法)、同じくセラミックス基板とAl板とを熱処理で直接接合するDBA法、およびTi等の活性金属を含有するろう材を金属回路層とセラミックス基板との接合材(ろう材層)として用いた活性金属法などが広く使用されている。
【0003】
上記のような接合方法を用いて形成されたセラミックス材と金属材との接合体は、様々な分野に用いられており、その代表例として半導体素子等を搭載接合するセラミックス回路基板が挙げられる。このセラミックス回路基板に要求される特性としては、放熱性が良好であること、セラミックス回路基板全体としての構造強度が高いこと、セラミックス基板と金属回路板との接合強度が高いこと、回路基板としての耐熱サイクル特性が良好であること、高電圧が印加された場合においても金属回路間における部分放電の発生を抑制できる程度に絶縁性が高いことなどが挙げられる。
【0004】
また、セラミックス回路基板を構成するセラミックス基板としては、従来から窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化珪素(Si)などの焼結体が使用されている。
【0005】
例えば、窒化アルミニウム基板は熱伝導率が160W/m・K以上であり、他のセラミックス基板と比べて高い熱伝導率を具備していることから特に放熱性に優れている。また、窒化珪素基板は三点曲げ強度(室温)が600MPa以上であるため、セラミックス基板構成材として使用した場合には回路基板の強度を向上させることができる。それに対し、酸化アルミニウム基板は熱伝導率が20W/m・K程度であり、また三点曲げ強度も360MPa程度である。そのため、特に高い放熱性や構造強度を得るためには、酸化物系セラミックス基板より窒化物系セラミックス基板を使用する方が回路基板としては好ましいと言える。
【0006】
一方、セラミックス基板と金属回路板との接合強度に着目すると前述の接合方法の中では活性金属法が好ましい。活性金属法は、Ti,Hf,Zr,Nb等の活性金属の少なくとも1種を含む金属箔、またはこれら活性金属をAg−Cuろう材に添加したペーストをセラミックス基板と金属回路板との間に塗布した後に、熱処理することにより両部材を一体に接合する方法である。窒化物系セラミックス基板を用いた活性金属法による接合を行う場合には、熱処理後に前記活性金属の窒化物から成る接合層が形成され、より強固な接合状態が形成される。このように活性金属法による窒化物系セラミックスと金属部材との接合体は回路基板として求められる特性を満たしており、パワー半導体素子を搭載した半導体モジュール用基板等の電子回路用基板として広く活用されている。
【0007】
従来のセラミックス回路基板として、例えば図3および図4に示すようなセラミックス回路基板1が一般に使用されている。このセラミックス回路基板1は、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、窒化珪素(Si)などの焼結体から成るセラミックス基板2表面にろう材層3を介して、銅(Cu)などの導電材料から成る金属回路板4を一体に接合して形成される。また、セラミックス基板2の反りを防止したり、実装機器との接合性を高めたりするために、図4に示すようにセラミックス基板2の裏面側にもろう材層3を介して裏金属板5が接合されている。
【0008】
なお、上記金属回路板4は、予め平板状の金属材をプレス切断して所定の回路パターンを有するように調製した後にセラミックス基板2に接合される。または平板状の金属材をセラミックス基板2に接合した後にエッチング処理により金属材を蝕刻し所定の回路パターンを有するように形成される。
【0009】
上記構成のセラミックス回路基板によれば、通電容量が大きい厚い金属回路板で回路および配線層が形成されているため、特に高出力のトランジスタやパワーモジュール等の実装に使用されるセラミックス回路基板として好適である。
【0010】
また、従来のセラミックス回路基板として、例えばセラミックス基板の表面に半導体素子が搭載される金属板と半導体素子が電気的に接続される金属回路板とが0.05〜2.0mmの間隔を隔てるように微細に配置され、それぞれ活性金属ろう材を介して接合されたセラミックス回路基板であり、金属板と金属回路板との間で対向している部位の直線度を所定値内にすることにより、半導体素子を搭載し高電圧が印加されたときの金属回路間における部分放電の発生を抑制することができ、その結果、セラミックス回路基板の絶縁性が低下せず、半導体素子を正常に長時間動作させることが可能な信頼性が高いセラミックス回路基板も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−185089号公報(請求項1、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、電子機器の高出力化、高密度集積化、高機能化が更に進展し、高出力トランジスタ、パワーモジュールの多用化や、半導体製造装置の高信頼性化が希求される状況下において、これまで以上に微細で高精細な回路層を有するセラミックス回路基板の需要が増大しつつある。
【0012】
しかしながら、図3および図4に示すような従来構造のセラミックス回路基板1においては、金属板とセラミックス基板2とを接合した後に金属板をエッチング処理して所定の回路パターンを有する金属回路層4を形成する場合では、エッチング液の作用時間が金属板の上面側(表面側)と底面側(接合面側)とにおいて異なるため、金属回路層4の断面形状が、図4に示すように台形状になり、金属回路層4の配線幅に厚さの20〜50%の範囲で寸法差が生じてしまう。
【0013】
そのため、エッチング処理によって形成できる金属回路層4の幅W1は0.5mm程度が限度であり、μ単位での寸法精度を保持して回路層を接合することは極めて困難である。また接合前にエッチング法やプレス切断法によって回路形成する場合においても、微細な回路要素をセラミックス基板上の所定位置に正確に位置決めして固定接合するには高度な技量と治具が必要であり、同様に高精細な寸法精度を得ることは極めて困難であった。
【0014】
また、通電容量が大きい厚い金属回路板で回路および配線層が形成されている従来のセラミックス回路基板は、特に高出力のトランジスタやパワーモジュール等の実装に使用されるセラミックス回路基板として好適である。しかしながら、金属回路板で形成される回路および配線層の幅W1は前記のように0.5mm程度が限界であったために、高精細な配線層を高密度で形成することが不可能であり、回路基板自体が大型化する難点があった。
【0015】
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、特に高精細で寸法精度が高い配線と通電容量が大きい回路配線とを共に備え、高出力の半導体素子を搭載することができ、また回路層の配線密度を高めることが可能な小型のセラミックス回路基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明に係るセラミックス回路基板は、セラミックス基板の少なくとも一方の表面に回路層を一体に接合したセラミックス回路基板において、上記回路層がろう材から成る第1の回路層と、ろう材を介してセラミックス基板表面に接合された金属回路板から成る第2の回路層とから構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記セラミックス回路基板においては、ろう材から成る第1の回路層のパターンが、金属回路板から成る第2の回路層を接合するためのろう材パターンからはみ出だしており、このはみ出したろう材パターン(第1の回路層)が同一基板面内の他の金属回路パターン(第2の回路層)に電気的に接続するように形成される。
【0018】
また、上記セラミックス回路基板において、前記ろう材から成る第1の回路層の線幅が0.05〜0.5mmの範囲であることが好ましい。このろう材から成る第1の回路層は、第2の回路層(金属回路板)を接合するためのろう材層と同時にスクリーン印刷法によって形成されるため、エッチング法のように線幅に制約を受けることなく上記のような微細な線幅で形成できる。
【0019】
さらに、上記セラミックス回路基板において、前記第1の回路層を構成するろう材および前記第2の回路層をセラミックス基板表面に接合するろう材が、Ag,Cu,Ti,Zr,SiおよびAlから選択される少なくとも1種の元素から構成されることことが好ましい。
【0020】
上記ろう材は第1の回路層を構成する材料となると共に、第2の回路層をセラミックス基板表面に接合する材料にもなるので、導電性および接合性を共に兼ね備えたろう材組成物で構成する必要がある。具体的には、質量%でCuを15〜35%、Ti,Zr,SiおよびAlから選択される少なくとも1種の元素を1〜10%、残部が実質的にAgから成る活性金属ろう材組成物が例示される。特に活性金属であるTi,Zrを含有するTi−Ag−Cu系の活性金属ろう材を使用することにより、金属回路板の接合強度を大幅に高めることが可能になる。
【0021】
上記ろう材組成物を有機溶媒中に分散して調製したろう材ペーストをセラミックス基板表面にスクリーン印刷することにより、ろう材から成る第1の回路層と、第2の回路層をセラミックス基板表面に接合するろう材層とが同時に形成される。
【0022】
また、上記セラミックス回路基板において、前記金属回路板から成る第2の回路層が銅およびアルミニウムの少なくとも1種の金属から成ることが好ましい。第2の回路層は特に通電容量を必要とするため、導電抵抗が小さく厚さが大きい金属回路板で形成されるが、特に導電性および経済性の観点からCu,Alおよびそれらの合金材で構成することが望ましい。
【0023】
さらに、上記セラミックス回路基板において、前記セラミックス基板は特に限定されるものではなく、絶縁性,放熱性、強度特性等の要求特性に応じて適宜選択できる。具体的には、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)、アルミナ(Al)、およびアルミナとジルコニア(ZrO)との化合物から選択される少なくとも1種のセラミックス焼結体から成ることが好ましい。特に高出力の半導体素子を搭載する回路基板には、熱伝導率が高い窒化アルミニウム基板を用いることにより放熱性を高めることが好ましい。
【0024】
また、上記セラミックス回路基板において、前記金属回路板から成る第2の回路層の表面に、Ni,Ag,Sn,Auから選択される少なくとも1種の金属から成るめっき層が形成されていることが好ましい。このめっき層を第2の回路層の表面に1〜5μm程度の厚さで形成することにより、第2の回路層に対する端子、ボンディングワイヤ等の接合部品の接合強度を高めることができ、また第2の回路層の耐食性も向上させることができる。
【0025】
本発明に係るセラミックス回路基板の製造方法は、セラミックス基板の少なくとも一方の表面にろう材ペーストを印刷してろう材から成る第1の回路層を形成すると同時に、金属回路板から成る第2の回路層を接合するためのろう材層をセラミックス基板表面に形成し、しかる後に上記ろう材層を介して金属回路板をセラミックス基板表面に一体に接合して第2の回路層を形成することを特徴とする。
【0026】
すなわち、セラミックス基板上にろう材ペーストをスクリーン印刷法にて印刷して、金属回路板を接合するための回路状パターンを有する厚さ10〜20μm程度のろう材層を形成すると同時に、エッチング法では形成が困難である線幅が0.05〜0.5mmの精細な回路パターン(第1の回路層)についても、同時にスクリーン印刷法で形成する。
【0027】
その後、金属板を上記ろう材層表面に貼り合わせた状態で真空雰囲気中において熱処理し、印刷されたろう材層を介して金属板をセラミックス基板表面に一体に接合して、線幅が大きな第2の回路層を形成する。接合する金属板は予め所定の回路パターン状に形成された金属回路板でもよいが、接合された金属板上にレジストを塗布し、その後エッチング処理によって所定の回路状パターンを有するように第2の回路層を形成しても良い。
【0028】
具体的には、窒化アルミニウム基板等のセラミックス基板の表面上に、Ag/Cu/Ti系等のろう材ペーストをスクリーン印刷法で塗布することにより、チップマウント範囲およびボンディング位置や導通電力の大きい回路層(第2の回路層、金属回路板)を接合するためのろう材層を形成すると同時に、この高通電範囲以外においては導通電力が比較的小さく配線幅が0.1mm程度に微細であり配線密度が高い回路層(第1回路層)を、上記ろう材ペーストのスクリーン印刷により同時に形成することが可能である。
【0029】
また、ろう材ペーストが印刷されたセラミックス基板上に、厚さが0.2mm〜0.3mm程度のCu製の金属板等を乗せ、真空雰囲気中にて熱処理を行うことにより、ろう材の塗布領域においては、金属板がセラミックス基板に接合される。しかし、この後、接合されたCu板等の所定領域のみをエッチング処理で除去することにより、上記した導通電力は比較的小さいものの、線幅が0.1mm程度と微細であり配線密度が高い回路層(第1回路層)であって、ろう材から成る精細な回路を形成することも可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るセラミックス回路基板およびその製造方法によれば、ろう材から成る微細な第1の回路層と、ろう材を介してセラミックス基板表面に接合された厚い金属回路板から成る第2の回路層とから構成されているため、高精細で寸法精度が高く形成できる第1回路層と、通電容量を大きく形成できる第2回路層とが同一基板表面に形成された回路構造が実現する。したがって、通電容量が小さく配線密度が高い回路層と、通電容量が大きく配線密度が低い回路層とを必要とする高出力素子を搭載することが可能となり、かつ回路基板全体として回路層の配線密度を高め、小型のセラミックス回路基板を提供することが可能になる。
【0031】
また、配線密度および通電容量が異なる2種の回路層が並存する特異な構造ではあるが、この構造を実現するためのプロセスは、ろう材の印刷塗布と金属回路板の接合と金属板の回路形成とから成る従来の製造プロセスと比較して何ら工程数に増加はなく、従来と同様の製造コストで効率的に製造できる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係るセラミックス回路基板の実施形態について添付図面を参照してより具体的に説明する。
【0033】
厚さ0.635mmの窒化アルミニウム(AlN)基板表面上および裏面上に、Ag/Cu/Ti系のろう材ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、厚さが15μmのろう材層を形成した。この際、AlN基板の表面側に位置するチップマウント範囲およびボンディング位置や導通電力の大きい領域においては、金属回路板としての銅板を接合するためのろう材層を塗布形成する一方、同時に通電容量は比較的小さいものの配線密度が高く線幅が0.05〜0.5mmである微細な回路層を形成するために、ろう材ペーストをスクリーン印刷法により印刷塗布することにより、ろう材から成る第1の回路層を形成した。さらに、AlN基板の裏面側にも、Ag/Cu/Ti系のろう材ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、裏金属板を接合するための厚さが15μmのろう材層を形成した。
【0034】
次に、ろう材ペーストが印刷された窒化アルミニウム基板の表裏両面上に、厚さ0.2mmである回路用金属板および裏金属板としてのCu板をそれぞれ押圧して接触させた状態で、真空度が1×10−4torr以下の雰囲気中において温度800℃で15分間熱処理を実施することにより、上記回路用金属板および裏金属板を窒化アルミニウム基板に一体に接合した。しかる後に、上記したチップマウント範囲およびボンディング位置や通電容量が大きい範囲に対しては、所定の回路パターンを形成するために紫外線硬化型のレジストを塗布し、さらに紫外線照射によって硬化させた後に、上記回路パターン以外の銅板部分についてはエッチング処理により除去し、回路パターン上に残るレジストを洗浄液で除去することにより、所定の回路パターンを有する金属回路板から成る第2の回路層を形成した。
【0035】
こうして調製された実施例に係るAlNセラミックス回路基板1aは、図1および図2に示すように、ろう材から成り配線幅W2が0.05〜0.5mmである微細な第1の回路層6と、金属回路板4から成り配線幅が0.5mm以上である第2の回路層7が窒化アルミニウム基板2表面側に並存しており、この第2の回路層7はろう材層3を介して窒化アルミニウム基板2に一体に接合されており、さらに窒化アルミニウム基板2の裏面側には、ろう材層3を介して裏金属板5が一体に接合された構造を有している。
【0036】
上記実施例に係るセラミックス回路基板1aおよびその製造方法によれば、ろう材から成る微細な第1の回路層6と、ろう材層3を介してAlNセラミックス基板2の表面に接合された厚い金属回路板4から成る第2の回路層7とから構成されているため、高精細で寸法精度が高く形成できる第1の回路層1と、通電容量を大きく形成できる第2の回路層7とが同一基板表面に形成された回路構造が実現する。したがって、通電容量が小さく配線密度が高い回路層と、通電容量が大きく配線密度が低い回路層とを必要とする高出力素子を搭載することが可能となり、かつ回路基板全体として回路層の配線密度を高め、小型のセラミックス回路基板1aを提供することが可能になる。
【0037】
具体的に、実施例に係るセラミックス回路基板における配線層を全て厚い金属回路板で形成した場合には、回路基板面積が実施例と比較して25〜45%も増大することが確認されており、本実施例によれば回路基板を大幅に小型化できる。
【0038】
また、配線密度および通電容量が異なる2種の回路層6,7が並存する特異な構造ではあるが、この構造を実現するためのプロセスは、ろう材の印刷塗布と金属回路板4の接合と金属板の回路形成とから成る従来の製造プロセスと比較して何ら工程数に増加はなく、従来と同様の製造コストで効率的に製造できる利点もある。
【0039】
さらに、金属回路板から成る第2の回路層の表面に、Ni,Ag,Sn,Auから選択される少なくとも1種の金属から成るめっき層を形成した場合には、第2の回路層に対する端子、ボンディングワイヤ等の接合部品の接合強度を高めることができ、また耐食性も向上させることができた。
【0040】
なお、上記実施例においては、ろう材としてAg−Cu−Ti系ろう材を使用し、第2の回路層が銅から成り、セラミックス基板として窒化アルミニウムを使用した実施例を示しているが、Ag,Cu,Ti,Zr,SiおよびAlから選択される少なくとも1種の元素から構成されるろう材を使用し、第2の回路層がアルミニウムから成り、セラミックス基板として、窒化珪素、アルミナ、およびアルミナとジルコニアとの化合物から選択される少なくとも1種のセラミックス焼結体を使用した場合においても、上記実施例と同様な作用効果が得られることが確認されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るセラミックス回路基板の一実施例を示す平面図。
【図2】図1に示すセラミックス回路基板のII−II矢視断面図。
【図3】従来のセラミックス回路基板の構成例を示す平面図。
【図4】図2に示す従来のセラミックス回路基板のIV−IV矢視断面図。
【符号の説明】
【0042】
1,1a セラミックス回路基板
2 セラミックス基板
3 ろう材層
4 金属回路板(金属回路層、銅回路板)
5 裏金属板
6 第1の回路層
7 第2の回路層
W1,W2 配線幅
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成15年9月26日(2003.9.26)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一

【公開番号】 特開2005−101415(P2005−101415A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2003−334939(P2003−334939)