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【発明の名称】 電子装置
【発明者】 【氏名】立和名 修一
【住所又は居所】鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株式会社鹿児島国分工場内

【要約】 【課題】クラックの発生を防止して、信頼性の高い電子装置を提供する。

【解決手段】複数の絶縁層を積層して成る積層体の側面に、内面に接合電極6が被着された切り欠き部5を設け、前記積層体の上面に、電子部品素子8及び前記絶縁層に比して軟質の樹脂もしくは金属から成る緩衝パッド9を配置させた回路基板1上に、外周部に側壁を有し、且つ該側壁の下端部に、前記切り欠き部5に一部が収納されて前記接合電極6に導電性接着剤を介して接合される接合脚部7と前記緩衝パッド9の上面に当接される当接脚部10が立設された金属ケース2を、前記電子部品素子8を被覆するようにして配置させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層を積層して成る積層体の側面に、内面に接合電極が被着された切り欠き部を設け、前記積層体の上面に、電子部品素子及び前記絶縁層に比して軟質の樹脂もしくは金属から成る緩衝パッドを配置させた回路基板上に、外周部に側壁を有し、且つ該側壁の下端部に、前記切り欠き部に一部が収納されて前記接合電極に導電性接着剤を介して接合される接合脚部と前記緩衝パッドの上面に当接される当接脚部が立設された金属ケースを、前記電子部品素子を被覆するようにして配置させてなる電子装置。
【請求項2】
前記緩衝パッドが、前記積層体上面の外周域で、前記切り欠き部の両側に配されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記当接脚部の下部が内側に折り曲げられており、該折り曲げ部で前記緩衝パッドに当接されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記緩衝パッドが半田からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等の通信機器、電子機器等に組み込まれる電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機等の通信機器、電子機器等に高周波回路を備えた電子装置が用いられている。
【0003】
このような従来の電子装置としては、複数の絶縁層を積層して成る積層体の上面に電子部品素子を搭載した回路基板上に、前記電子部品素子を被覆するようにしてして、金属ケースを配置させた構造のものが知られている。
【0004】
前記金属ケースは、電子装置の使用時、これをグランド電位に保持しておくことにより、外部からの電磁波を遮蔽して回路特性を安定化させるとともに、電子部品素子を正常に動作させるためのものであり、このような金属ケースは、外周部に側壁を有した一面を開口させた筐体状の形状をなしており、側壁の下端部には接合脚部及び当接脚部が形成されている。
【0005】
そして、前記金属ケースの回路基板への取り付けは、金属ケースの開口部を下に向けて回路基板上に配置させた上、当接脚部を回路基板の上面に当接させた状態で、接合脚部を回路基板の側面に形成された接合電極に半田接合させることによって行われる。
【0006】
前記当接脚部は、これを回路基板の上面に当接させることにより、金属ケースの側壁の下端部と回路基板上面との間に隙間を設け、金属ケースと回路基板上面に形成されている表面配線導体との短絡を防止するためのものである(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−232628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の電子装置においては、金属ケースを回路基板に取り付ける際、当接脚部を回路基板上面に当接させたときの衝撃や、電子装置の使用時、金属ケースに外力が印加されたときの衝撃により、当接部を起点として圧力が回路基板にかかるため、回路基板上面の当接部においてクラックが発生することがある。その場合、回路配線が切断したり、回路基板の耐久性が悪化する等して、電子装置の信頼性を低下させる要因となっていた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、クラックの発生を防止して、信頼性の高い電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子装置は、複数の絶縁層を積層して成る積層体の側面に、内面に接合電極が被着された切り欠き部を設け、前記積層体の上面に、電子部品素子及び前記絶縁層に比して軟質の樹脂もしくは金属から成る緩衝パッドを配置させた回路基板上に、外周部に側壁を有し、且つ該側壁の下端部に、前記切り欠き部に一部が収納されて前記接合電極に導電性接着剤を介して接合される接合脚部と前記緩衝パッドの上面に当接される当接脚部が立設された金属ケースを、前記電子部品素子を被覆するようにして配置させたものである。
【0010】
また本発明の電子装置は、前記緩衝パッドが、前記積層体上面の外周域で、前記切り欠き部の両側に配されていることを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明の電子装置は、前記当接脚部の下部が内側に折り曲げられており、該折り曲げ部で前記緩衝パッドに当接されていることを特徴とするものである。
【0012】
また更に本発明の電子装置は、前記緩衝パッドが半田からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子装置によれば、複数の絶縁層を積層して成る積層体の上面に、前記絶縁性層に比し軟質の樹脂もしくは金属から成る緩衝パッドを配置させ、該緩衝パッドの上面に、金属ケースの側壁に立設された当接脚部を当接するようにしていることから、金属ケースを回路基板に取り付ける際の衝撃や、電子装置の使用時に金属ケースに外力が印加されたときの衝撃によって当接部を起点として印加される力を、緩衝パッドによって吸収することにより、回路基板にかかる圧力を大幅に低減させることができるようになる。その結果、回路基板にクラックが発生するのを有効に防止して、電子装置の信頼性を向上させることができる。
【0014】
また本発明の電子装置によれば、前記緩衝パッドが、前記積層体上面の外周域で、前記切り欠き部の両側に配されていることから、金属ケースのバランスを良好に保持させながら安定した状態で金属ケースを回路基板上に配置させることができるようになる。
【0015】
更に本発明の電子装置によれば、前記当接脚部の下部が内側に折り曲げられており、該折り曲げ部で前記緩衝パッドに当接されていることから、当接脚部と緩衝パッド上面との当接部の面積が大きくなり、金属ケースに外部からの衝撃が加わった際に、当接部に印加される力を分散させることにより、回路基板にかかる圧力を低減せしめて、回路基板にクラックが発生するのをより有効に防止することができるようになる。
【0016】
また更に本発明の電子装置によれば、前記緩衝パッドが半田からなることから、回路基板上面に電子部品素子搭載して半田接合するのと同時に、緩衝パッド用の半田を塗布することができ、電子装置の生産性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る電子装置の斜視図、図2は図1の電子装置の分解斜視図、図3は図1の電子装置のA−A線断面図である。同図に示す電子装置は、大略的に回路基板1と金属ケース2とで構成されている。
【0019】
前記回路基板1は、複数の絶縁層1a〜1eを積層してなる略矩形状の積層体により構成されており、その上面には表面配線導体4が形成されており、また、絶縁層間には多数の内部配線導体3が介在され、これらの内部配線導体3を絶縁層1a〜1e中に埋設されているビアホール導体等を介して相互に電気的に接続させている。
【0020】
このような回路基板1を構成する絶縁層1a〜1eの材質としては、例えば、ガラスセラミックス等のセラミック材料が用いられ、個々の絶縁層1a〜1eの厚みは、例えば、50μm〜300μmに設定される。
【0021】
尚、前記回路基板1は、絶縁層1a〜1eがセラミック材料から成る場合、セラミック原料の粉末に適当な有機溶剤、有機溶媒等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートを複数枚積層した上、これをプレス成形し、しかる後、この積層体を高温で焼成し、外形加工することによって製作される。
【0022】
また、前記回路基板1に設けられる内部配線導体3や表面配線導体4、ビアホール導体の材質としては、例えば、銀を主成分とする導電材料が好適に用いられ、個々の配線導体の厚みは、例えば5μm〜20μmに設定される。
【0023】
前記内部配線導体3及び表面配線導体4は、回路基板1を上述の製法によって製作する際、セラミックグリーンシートを積層する前に、銀粉末を含む導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって各セラミックグリーンシートの表面に所定パターンに印刷・塗布しておき、これをセラミックグリーンシートの焼成時に同時焼成することにより形成される。
【0024】
尚、前記ビアホール導体は、セラミックグリーンシートに予め設けておいた貫通孔の内部にスクリーン印刷等によって導電ペーストを塗布・充填しておき、これをセラミックグリーンシートの焼成時に同時焼成することにより形成される。
【0025】
このような回路基板1の側面には、複数の切り欠き部5が形成されている。この切り欠き部5は、例えば、半円柱状をなすようにして形成されており、その内面には接合電極6が被着されている。この切り欠き部5は、電子装置をマザーボード等の外部配線基板に実装する際、接合電極6に接合される半田等の導電性接着剤を収容するためのものである。また、いくつかの接合電極6は外部配線基板上に形成されているグランド配線と電気的に接続され、そのような接合電極6は、電子装置の使用時、グランド電位に保持される。そして、前記グランド配線と接続される接合電極6が被着された切り欠き部5には、後述する金属ケース2に設けられている接合脚部7が収容されるようになっている。以後、グランド配線が接続される接合電極6をグランド用接合電極6aと呼ぶ。尚、本実施の形態においては2個のグランド用接合電極6aが回路基板1の対向する側面にそれぞれ1個ずつ設けられている。
【0026】
一方、上述した回路基板1の上面には、チップインダクタやチップコンデンサ、チップ抵抗器、ダイオード等の電子部品素子8が搭載されている。
【0027】
これらの電子部品素子8は先に述べた回路基板1の対応する表面配線導体4に対して半田等の導電性接着剤や金属細線等のボンディング材を介して電気的に接続されており、これらの電子部品素子8と回路基板1に形成された内部配線導体3や表面配線導体4とで所定の電気回路を構成している。
【0028】
更に回路基板1の上面には、緩衝パッド9が、回路基板1の外周域でグランド用接合電極6aが被着されている切り欠き部5の両側に配置されている。
【0029】
この緩衝パッド9は、絶縁層に比して軟質の樹脂または金属からなり、本実施形態においては、セラミックから成る絶縁層より軟質の金属である半田を緩衝パッド9として用いている。緩衝パッド9を半田により形成すれば、電子部品素子8を回路基板1上に載置して半田接合させる工程と同時に緩衝パッド9用の半田を所定位置に塗布することにより、緩衝パッド9を簡単に形成することができ、製造プロセス上効率が良い。
【0030】
尚、緩衝パッド9に用いる材料としては、半田以外には銅、スズ等の金属やエポキシ樹脂、シリコン樹脂等の樹脂が挙げられる。表面配線導体4同士の間隔が狭い場合には、表面配線導体4同士の短絡を防止するために緩衝パッド9として樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
そしてこのような回路基板1上には、電子部品素子8を被覆するようにして金属ケース2が配置されている。
【0032】
この金属ケース2は、一面が開口した矩形の筐体の形状をなしており、その側壁の下端部には接合脚部7と当接脚部10とが立設されている。
【0033】
前記接合脚部7は、グランド用接合導体6aが被着されている切り欠き部5と1対1に対応しており、従って、本実施の形態では2個の接合脚部7が金属ケース2の対向する側壁に1個ずつ立設されている。この接合脚部7の一部を切り欠き部5に収納してグランド用接合導体6aと半田等の導電性接着剤を介して接合することにより、金属ケース2が回路基板1に電気的・機械的に接続される。また、接合電極7がグランド用接合電極6aと電気的に接続されるので、電子装置の使用時、金属ケース2がグランド電位に保持されて、外部からの電磁波を遮蔽して電子装置の回路特性を安定化させるとともに、電子部品素子8を正常に動作させることができるようになる。
【0034】
また、前記当接脚部10は、金属ケース2の側壁下端部と回路基板1の上面との間に隙間を設けて、金属ケース2と表面配線導体4との短絡を防止するためのものである。この当接脚部10は、緩衝パッド9と1対1に対応し、緩衝パッド9の上面に当接されるようになっている。これによって、金属ケース2を回路基板1に取り付ける際の衝撃や、電子装置の使用時に金属ケース2に外力が印加されたときの衝撃によって当接部を起点として印加される力を、緩衝パッド9によって吸収することにより、回路基板1にかかる圧力を大幅に低減させることができるようになる。その結果、回路基板1にクラックが発生するのを有効に防止して、電子装置の信頼性を向上させることができるようになる。
【0035】
また、当接脚部10の下部を図4に示す如く内側折り曲げて、この折り曲げ部10aを緩衝パッド9に当接するようにしておけば、当接脚部10と緩衝パッド9上面との当接部の面積が大きくなり、金属ケース2に外部からの衝撃が加わった際に、当接部に印加される力を分散させて、回路基板1にかかる圧力をさらに低減させることにより、回路基板1にクラックが発生するのをより有効に防止することができるようになる。
【0036】
尚、金属ケースは、例えば、42アロイやコバール、リン青銅、鉄等の金属材料から成り、従来周知の金属加工法にて所定形状に加工することによって製作される。
【0037】
かくして上述した電子装置は、金属ケース2に立設された当接脚部10を緩衝パッド9の上面に当接させた状態で金属ケース2を回路基板1に配置させることにより、回路基板1にクラックが発生するのを有効に防止することができる。
【0038】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。
【0039】
例えば上述の実施形態では、当接脚部10の下部を内側に折り曲げて、この折り曲げ部10aを緩衝パッド9の上面に当接させるようにしたが、これに代えて、図5に示す如く当接脚部10を折り曲げずに、当接脚部10を正面視したときの当接脚部10の下端の角部10bを湾曲状になしておき、緩衝パッド9の上面に当接させるようにしても構わない。
【0040】
また上述の実施形態においては、回路基板1をガラスセラミックスにより形成するようにしたが、これに代えて、アルミナセラミックスやガラス布基材エポキシ樹脂等の有機材料を用いて回路基板1を形成するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子装置の斜視図である。
【図2】図1の電子装置の分解斜視図である。
【図3】図1の電子装置のA−A線断面図である。
【図4】図1の電子装置のB−B線断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電子装置の接合脚部を正面視したときの拡大図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・・回路基板
1a〜1e・・・絶縁層
2・・・・金属ケース
3・・・・内部配線導体
4・・・・表面配線導体
5・・・・切り欠き部
6・・・・接合電極
7・・・・接合脚部
8・・・・電子部品素子
9・・・・緩衝パッド
10・・・当接脚部
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【住所又は居所】京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地
【出願日】 平成15年9月25日(2003.9.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−101379(P2005−101379A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2003−334422(P2003−334422)