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【発明の名称】 配線基板、電気光学装置及び電子機器
【発明者】 【氏名】鎌倉 知之
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【氏名】宮沢 和加雄
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】基板上に形成した導電膜配線の引張り応力および圧縮応力の発生を抑制し、仮に応力が発生してもそれを低減することのできる配線基板、それを用いた電気光学装置及び電子機器を提供する。

【解決手段】基板1、9上に導電膜からなる配線2、3を備え、前記配線が蛇行部6を有する配線基板である。蛇行部は、曲線状、折れ線状、V字形状、U字形状、S字形状又は半円形状のいずれでもよい。蛇行部は、基板表面と平行な基準面に対して同一距離をもって二次元的に蛇行していてもよく、基板表面と平行な基準面に対する距離が変化しながら三次元的に蛇行していてもよい。基板を大面積化したりフレキシブル化しても、応力の発生を抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に導電膜からなる配線を備え、前記配線が蛇行部を有することを特徴とする、配線基板。
【請求項2】
請求項1において、
前記配線のうち並走する配線間の互いにずれた位置に、前記蛇行部が形成された、配線基板。
【請求項3】
請求項1において、
前記配線は、複数の行方向線と複数の列方向線とが交差してなり、
前記交差部に前記蛇行部が形成された、配線基板。
【請求項4】
請求項1において、
前記配線は、複数の行方向線と複数の列方向線とが交差してなり、
前記行方向線のうち1つと前記列方向線のうち1つにそれぞれ接続された表示素子が、前記行方向線と前記列方向線との交差部ごとに設けられ、隣接する前記表示素子の間に前記蛇行部が設けられた、配線基板。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、
前記蛇行部は、曲線状、折れ線状、V字形状、U字形状、S字形状又は半円形状である、配線基板。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、
前記蛇行部は、基板表面と平行な基準面に対して同一距離をもって蛇行する、配線基板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、
前記蛇行部は、基板表面と平行な基準面に対する距離が変化しながら蛇行する、配線基板。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項において、
前記基板はガラス基板である、配線基板。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7の何れか一項において、
前記基板はフレキシブル基板である、配線基板。
【請求項10】
導電膜からなり複数の行方向線及び複数の列方向線が交差してなる配線と、
前記行方向線のうち1つと前記列方向線のうち1つにそれぞれ接続され前記交差部ごとに設けられる表示素子と、
前記配線にそれぞれ接続される駆動回路と、が基板上に形成された電気光学装置であって、
前記配線が蛇行部を有することを特徴とする、電気光学装置。
【請求項11】
導電膜からなり複数の行方向線及び複数の列方向線が交差してなる配線と、
前記行方向線のうち1つと前記列方向線のうち1つにそれぞれ接続され前記交差部ごとに設けられる表示素子と、
前記配線にそれぞれ接続される駆動回路と、が基板上に形成された電気光学装置を備え、
この電気光学装置を表示装置として機能させる電子回路を備えた電子機器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関し、特に、基板上に形成する導電膜配線の圧縮応力及び引張り応力を抑制し、高い信頼性を有する配線基板、これを用いた電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
導電膜を用いた配線基板は、電子回路や表示装置などを用いたあらゆる電気機器に用いられており、その用途に応じて種々のものが提案されている。このような導電膜を用いた配線基板は、基板上に多層の配線構造を備えていることが多い。また、表示装置など素子に十分な電流を供給する必要がある場合には、配線幅、配線膜厚を大きくする必要があるが、基板の厚さには限界がある。従って、導電膜からなる配線の引張り応力又は圧縮応力により、基板に反り、変形を発生させることがある。そのため製造工程に支障を来たし、品質及び歩留まりの低下を引き起こしてしまう。
【0003】
配線基板に発生する反りを抑止するための方法として、例えば特開平6−283859号公報は、多層配線基板の絶縁膜層を形成する工程において、絶縁膜の横方向に圧縮力を付与しながら冷却することを開示している。
【特許文献1】特開平6−283859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特開平6−283859号公報は絶縁膜の引張り応力を低減するとしても、冷却時に加える圧縮力をどのように調整するかが困難であり、調整を誤ると、引張り応力の低減が十分でなかったり、逆に圧縮応力を生んでしまったりする可能性もある。また、製造時には応力が低減できても、使用時に熱膨張して応力が発生する場合もある。
【0005】
また、例えばフレキシブル基板に配線を形成したときは、圧縮応力にも引張り応力にも、その他のストレスやねじれにも耐えられるようにする必要がある。
【0006】
また、大面積の基板を用いる場合には、わずかな応力であっても無視できないほどの基板の反りや変形が発生する可能性が高くなる。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、基板上に形成した導電膜配線の引張り応力および圧縮応力の発生を抑制し、仮に応力が発生してもそれを低減することのできる配線基板、それを用いた電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の配線基板は、基板上に導電膜からなる配線を備え、前記配線が蛇行部を有することを特徴とする。
【0009】
この配線基板において、前記配線のうち並走する配線間の互いにずれた位置に、前記蛇行部が形成されることが望ましい。
【0010】
また、前記配線は、複数の行方向線と複数の列方向線とが交差してなり、前記交差部に前記蛇行部が形成されていることが望ましく、前記行方向線のうち1つと前記列方向線のうち1つにそれぞれ接続された表示素子が、前記行方向線と前記列方向線との交差部ごとに設けられ、隣接する前記表示素子の間に前記蛇行部が設けられていることが望ましい。
【0011】
上記配線基板において、前記蛇行部は、曲線状、折れ線状、V字形状、U字形状、S字形状又は半円形状のいずれでもよい。
【0012】
また、上記配線基板において、前記蛇行部は、基板表面と平行な基準面に対して同一距離をもって蛇行していてもよく、前記蛇行部は、基板表面と平行な基準面に対する距離が変化しながら蛇行していてもよい。
【0013】
また、上記配線基板において、前記基板はガラス基板であってもよく、前記基板はフレキシブル基板であってもよい。
【0014】
本発明の電気光学装置は、導電膜からなり複数の行方向線及び複数の列方向線が交差してなる配線と、前記行方向線のうち1つと前記列方向線のうち1つにそれぞれ接続され前記交差部ごとに設けられる表示素子と、前記配線にそれぞれ接続される駆動回路と、が基板上に形成された電気光学装置であって、前記配線が蛇行部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の電子機器は、導電膜からなり複数の行方向線及び複数の列方向線が交差してなる配線と、前記行方向線のうち1つと前記列方向線のうち1つにそれぞれ接続され前記交差部ごとに設けられる表示素子と、前記配線にそれぞれ接続される駆動回路と、が基板上に形成された電気光学装置を備え、この電気光学装置を表示装置として機能させる電子回路を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
<1.電気光学装置>
図1は、本発明の実施形態による配線基板を備えた電気光学装置の1例を示す概略平面図である。電気光学装置の1例である有機EL表示装置は、透明基板であるガラス基板1上に、導電膜からなる複数の電源線(行方向線)2および導電膜からなる複数の走査線(列方向線)3が交差してなる交差配線と、マトリクス状に配置された表示素子である有機EL(エレクトロルミネセンス)素子4とが形成されている。フレキシブル印刷配線(FPC)基板9には、信号及び電源の供給を行う駆動回路5が形成され、この駆動回路5が外側配線8を介してガラス基板1上の電源線2及び走査線3に接続されている。ガラス基板1とFPC基板9とは、互いに接着剤等により固定されている。
【0018】
有機EL素子4は、電源線2と走査線3の交差部ごとに設けられており、有機EL素子4は、各交差部において、図示しない薄膜トランジスタや保持容量などを介して電源線2及び走査線3と接続されている。ここでは20画素分しか図示していないが、例えば100万画素以上が配置される。
【0019】
<2.蛇行部>
上記ガラス基板1上の電源線2、走査線3及びFPC基板9上の外側配線8には、複数の蛇行部6が形成されている。図2乃至図4に、ガラス基板1上の交差配線を例にとって、蛇行部6の形状を示している。図2及び図3は平面を、図4(A)は断面を、図4(B)は斜めから見た状態をそれぞれ示す。図2乃至図4では有機EL素子4などの回路素子は図示を省略している。蛇行部6の形状は、図3のような曲線状でも、図2、図4のような折れ線状でもよく、より具体的にはV字形状、U字形状、S字形状、半円形状など任意の形状をとることができる。
【0020】
また、蛇行部6は、図2及び図3のように基板表面と平行な基準面に対して同一距離をもって二次元的に蛇行することとしても良いし、図4のように基板表面と平行な基準面に対する距離が変化しながら三次元的に蛇行することとしても良い。
【0021】
この蛇行部6は、図3のように隣接する電源線間又は隣接する走査線間の互いにずれた位置に形成することが望ましい。このようにすることで、応力の発生箇所が1箇所に集中することを防ぐことができ、配線基板の信頼性を向上することができる。
【0022】
また、この蛇行部6は、図2、図3(A)及び図4(B)のように、表示素子を介した光の透過を金属配線が邪魔しないように、隣接する有機EL素子4の間に設けることが望ましい。特に、蛇行部6は、電源線2と走査線3との交差部に設けることが望ましい。ここで交差部とは電源線2と走査線3の交差する点の近傍でもよいし、図2(B)のような交差する点を挟むような両隣の位置でもよい。電源線2と走査線3の交差する点で蛇行させる場合は、図4(B)のように、基板表面と平行な基準面に対する距離が変化しながら蛇行するように、特に電源線2と走査線3との距離が十分離れるようにすることが望ましい。
【0023】
このように配線に蛇行部6を設けることで、電源線2や走査線3よりなる導電膜と、ガラス基板1や絶縁膜7(図4(A))との間に、熱膨張の差などの応力発生原因となりうるものが生じても、蛇行部6で緩衝されて応力の発生を抑制することができる。また、応力が生じても、蛇行部6で応力を吸収し、応力を軽減することができる。このような応力の抑制あるいは軽減の作用は、圧縮応力に対しても引張り応力に対しても同様に期待できるので、基板材料、配線材料の自由度や、製造工程の選択の自由度が飛躍的に向上する。
【0024】
また、ガラス基板1である場合は非可撓性であり、FPC基板9等のフレキシブル基板である場合は、撓ませることも可能となる。フレキシブル基板に本実施形態を適用することで、撓ませたり丸めたりしても、配線や基板が損傷するような事態を防止することができる。
【0025】
なお、蛇行部6は行方向線または列方向線のいずれか一方のみに形成されていてもよいが、特に本実施形態の電源線2や外側配線8には大きな電流が流れるので導電膜の幅が広くかつ膜厚が厚く形成されているため、電源線2には応力軽減のため蛇行部を有することが望ましい。
【0026】
<3.製造方法>
以上のような配線基板は、例えばガラス基板1上に形成する場合、以下のような方法により製造することができる。すなわち、ガラス基板1上にアルミ等の金属膜を成膜し、その上に感光性レジストを塗布しマスクを介して露光し現像してパターニングし、パターニングされたレジストをマスクとしてエッチングする。これにより、基板上に第1の配線、例えば走査線3が形成される。
【0027】
走査線3上に絶縁層7を成膜後、同様の方法により第2の配線(電源線2)を更に形成する。これら配線2、3の形成にあたって、基板表面と平行な基準面に対して同一距離をもって二次元的に蛇行する配線を形成する場合には、レジスト露光時のマスクをそのような形状にすればよい。基板表面と平行な基準面に対する距離が変化しながら三次元的に蛇行する配線を形成する場合は、金属膜の成膜に先立って、ガラス基板1の表面又は絶縁層7に凹凸を付与するため所定パターンのエッチングを施せばよい。
【0028】
電気光学装置として有機EL表示装置を製造する場合には、他の基板上に予め形成した図示しない薄膜トランジスタなどの薄膜素子を、チップ転写法を用いて上記配線基板に転写する。本実施形態の配線構造によれば、チップ転写の際に配線基板に熱や圧力が加わっても、応力の発生を抑制することができる。次に、配線基板に転写された薄膜素子上に、図示しない絶縁層を形成し、コンタクトホールを介して図示しない画素電極を形成し、画素電極上に有機EL素子4となる有機EL層を形成する。そして、有機EL層の上に図示しない共通電極及び保護膜を形成する。
【0029】
FPC基板9上の外側配線8も、上記と同様の方法により形成し、蛇行部6を形成することができる。駆動回路5及び外側配線8を形成したFPC基板9を上記ガラス基板1に接着し配線同士の導通を取ることで、有機EL表示装置が完成する。
【0030】
なお、上記の例では有機EL素子4をガラス基板1上に配置した例について説明したが、本発明は、フレキシブル基板上に配線及び表示素子を配置することで、撓めたり曲げたりすることのできる表示装置にも適用することができる。
【0031】
<4.電子機器の例>
図5に本実施形態の電気光学装置である有機EL表示装置を使用した電子機器の例を挙げる。同図(a)は携帯電話への適用例であり、携帯電話230は、アンテナ部231、音声出力部232、音声入力部233、操作部234、及び本実施形態の有機EL表示装置100を備えている。
【0032】
同図(b)はビデオカメラへの適用例であり、ビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び本実施形態の有機EL表示装置100を備えている。
【0033】
同図(c)は携帯型パーソナルコンピュータへの適用例であり、コンピュータ250は、カメラ部251、操作部252、及び本実施形態の有機EL表示装置100を備えている。
【0034】
同図(d)はヘッドマウントディスプレイへの適用例であり、ヘッドマウントディスプレイ260は、バンド261、光学系収納部262及び本実施形態の有機EL表示装置100を備えている。
【0035】
同図(e)はリア型プロジェクタへの適用例であり、プロジェクタ270は、筐体271に、光源272、合成光学系273、ミラー274、ミラー275、スクリーン276、及び本実施形態の有機EL表示装置100を備えている。
【0036】
同図(f)はフロント型プロジェクタへの適用例であり、プロジェクタ280は、筐体283に光学系281及び本実施形態の有機EL表示装置100を備え、画像をスクリーン283に表示可能になっている。
【0037】
上記例に限らず本実施形態の有機EL表示装置は、種々の電子機器に適用可能である。例えば、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなどにも活用することができる。
【0038】
本発明の配線基板を用いることで、有機EL素子を用いた有機EL表示装置以外にも、液晶表示装置、プラズマディスプレイなどの電気光学装置を製造することができ、その他基板上に形成された電子回路を製造することができる。
【0039】
図6(A)は本発明に係る電気光学装置200をテレビジョン受像機300に適用した例である。このテレビジョン受像機300は、配線に蛇行部を有しているので、例えば40インチ又はそれ以上の大画面であっても、基板の反りや変形が少なくなっている。なお、パーソナルコンピュータ等に用いられるモニタ装置に対しても同様に本発明に係る電気光学装置を適用し得る。
【0040】
図6(B)は本発明に係る電気光学装置200をロールアップ式テレビジョン受像機310への適用例である。ロールアップ式テレビジョン受像機310に用いられる電気光学装置200は、フレキシブル基板上に表示素子及び配線を形成したものであるが、その配線は蛇行部を有しているので、圧縮応力にも引張り応力にも、その他のストレスやねじれにも耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態による配線基板を備えた電気光学装置の1例を示す概略平面図である。
【図2】蛇行部の例を示す平面図である。
【図3】蛇行部の他の例を示す平面図である。
【図4】図4(A)は蛇行部の更に他の例を示す断面図であり、図4(B)は蛇行部の更に他の例を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による電気光学装置を使用した電子機器の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態による電気光学装置を使用した電子機器の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ガラス基板
2 電源線(行方向線)
3 走査線(列方向線)
4 有機EL素子(表示素子)
5 駆動回路
6 蛇行部
7 絶縁層
8 外側配線
9 FPC基板

【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成15年9月2日(2003.9.2)
【代理人】 【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸

【識別番号】100080953
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 克郎

【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司

【公開番号】 特開2005−79472(P2005−79472A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−310575(P2003−310575)