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【発明の名称】 多層配線板およびその製造方法
【発明者】 【氏名】水谷 宗幹
【住所又は居所】千葉県佐倉市六崎1440 株式会社フジクラ佐倉事業所内

【要約】 【課題】層間接続の手段としてめっきを用いる場合に比べて短時間で効率的にバイアホールを形成し、しかも、導電性組成物を用いる場合に比べて層間接続部の電気的信頼性を高める。

【解決手段】多層配線板(1)は、配線パターンをなす導電層(13)を備えた絶縁性基材(10)を、片面に導電層(23)を備えた2枚の絶縁性基材(20)で挟んで積層した多層配線板用基材(2)に、各導電層(13,23)間を貫通する貫通孔(3)を形成する。そして、この貫通孔(3)の側面に前処理としてめっき(4)を施し、この貫通孔(3)の表裏いずれかの開口に金属球(5)を配置して、加熱により溶融させ、貫通孔(3)内に充填して充填金属(6)とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表裏両面に導電層を備えた多層配線板用基材に前記両導電層間を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板において、
前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施し、この貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置し加熱により溶融させて貫通孔内に充填したことを特徴とする多層配線板。
【請求項2】
配線パターンをなす導電層を備えた絶縁性基材を、片面に導電層を備えた2枚の絶縁性基材で挟んで積層した多層配線板用基材に、前記各導電層間を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板において、
前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施し、この貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置し加熱により溶融させて貫通孔内に充填したことを特徴とする多層配線板。
【請求項3】
前記金属球は、前記貫通孔の直径より大径で前記開口に載せられたとき開口内に底部が侵入して位置決めされることを特徴とする請求項1または2記載の多層配線板。
【請求項4】
前記金属球は、部品類の実装に用いられる金属融点よりも高い融点を有することを特徴とする請求項1または2記載の多層配線板。
【請求項5】
少なくとも表裏両面に導電層を備えた多層配線板用基材に前記両導電層間を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板の製造方法であって、
前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施す工程と、
前記貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置する工程と、
前記金属球を加熱により溶融させて前記貫通孔内に充填する工程と、
を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
【請求項6】
配線パターンをなす導電層を備えた絶縁性基材を、片面に導電層を備えた2枚の絶縁性基材で挟んで積層した多層配線板用基材に、前記各導電層間を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板の製造方法であって、
前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施す工程と、
前記貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置する工程と、
前記金属球を加熱により溶融させて前記貫通孔内に充填する工程と、
を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、多層配線板およびその製造方法に関し、とくに、高密度実装が可能なフレキシブル多層配線板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高耐熱性、電気絶縁性、高屈曲性を有するポリイミドフィルムを絶縁性基材として使用したフレキシブルプリント配線板(FPC)が知られている。また、FPCを多層積層した多層配線板が開発されている。
【0003】
多層配線板では、多層積層後の基板に一括で孔あけを施し、この孔(貫通孔)に層間接続処理を施したスルーホールによって層間導通を得ることが行われている。
【0004】
また、IVH(Interstitial Via Hole)タイプの多層配線板では、多層積層される一部の層ごとに孔あけを施し、この孔(貫通孔)に層間接続処理したバイアホールによって層間導通を得ることが行われている。
【0005】
このようなバイアホール(またはスルーホール)によって層間導通を得る多層配線板において、層間接続の手段としては、貫通孔内にめっきを施すことでバイアホール(またはスルーホール)を形成する方法と、導電性組成物を印刷法により貫通孔内に充填することでバイアホール(またはスルーホール)を形成する方法とがある。
【0006】
従来の多層配線板の一例を図7に示してある。この多層配線板101は、配線パターンをなす導電層113を備えた絶縁性基材110を、片面に導電層123を備えた2枚の絶縁性基材120で挟んで積層したものである。
【0007】
絶縁性基材110は、ポリイミド基材112の片面に銅箔113が接着された片面銅箔付きポリイミド基材の銅箔113を、サブトラクティブ法を用いてエッチングすることで、配線パターンをなす導電層113を片面に備えた回路形成済み配線板111を作製したうえ、この回路形成済み配線板111の導電層113に、接着剤114を介してポリイミドからなるカバー層115を貼り合わせたものである。
【0008】
また、絶縁性基材120は、リジッド板またはポリイミド基材122の片面に銅箔123が接着された片面銅箔付き絶縁性基材121に、積層用に接着剤フィルム124を貼り合わせたものである。
【0009】
そして、これら3枚の絶縁性基材110,120,120を接着剤フィルム124,124によって貼り合わせたのち、層間接続が必要な箇所に貫通孔(バイアホール)103を形成し、この貫通孔103内に層間接続用のめっき104を施して、層間接続を行うものである。
【0010】
最後に、多層配線板101の表裏両面の銅箔123に回路形成したうえ、絶縁保護層(ソルダーレジスト)107を形成することで、多層配線板101を完成させる。
【特許文献1】特開平6−302957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、このような従来の多層配線板101において、層間接続の手段としてめっき104を施すことでバイアホールを形成する方法は、例えば導電性組成物を印刷法により充填することでバイアホールを形成する場合と比べて、バイアホール形成にかかる時間が長く、生産性が悪い。
【0012】
けれども、必要な時間を削れば層間接続部分のめっき厚が薄くしか形成されず、層間接続部分のめっき厚が薄いと層間接続部分の電気抵抗が高くなり、層間接続部の導電性が悪化する。
【0013】
一方、層間接続部分のめっき厚を厚くするとめっき時間が長くなり、生産性が悪化するだけでなく、層間接続部分以外の配線部分にもめっきが付着するため、微細回路の形成が困難となる。
【0014】
また、導電性組成物を印刷法により充填することでバイアホールを形成する方法ては、印刷の際に位置ずれが生じてしまう。これに加えて、導電性組成物はめっきなどの金属に比べて導電性が高くないため、層間接続部の電気的信頼性が問題となる。
【0015】
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、層間接続の手段としてめっきを用いる場合に比べて短時間で効率的にバイアホールを形成することができ、しかも、導電性組成物を用いる場合に比べて層間接続部の電気的信頼性を高めることのできる多層配線板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、少なくとも表裏両面に導電層を備えた多層配線板用基材に前記両導電層間を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板において、前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施し、この貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置し加熱により溶融させて貫通孔内に充填した多層配線板である。
【0017】
請求項2に係る発明は、配線パターンをなす導電層を備えた絶縁性基材を、片面に導電層を備えた2枚の絶縁性基材で挟んで積層した多層配線板用基材に、前記各導電層間を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板において、前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施し、この貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置し加熱により溶融させて貫通孔内に充填した多層配線板である。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の発明において、前記金属球は、前記貫通孔の直径より大径で前記開口に載せられたとき開口内に底部が侵入して位置決めされる多層配線板である。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項1または2記載の発明において、前記金属球は、部品類の実装に用いられる金属融点よりも高い融点を有する多層配線板である。
【0020】
請求項5に係る発明は、少なくとも表裏両面に導電層を備えた多層配線板用基材に前記両導電層間を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板の製造方法であって、前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施す工程と、前記貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置する工程と、前記金属球を加熱により溶融させて前記貫通孔内に充填する工程と、を含む多層配線板の製造方法である。
【0021】
請求項6に係る発明は、配線パターンをなす導電層を備えた絶縁性基材を、片面に導電層を備えた2枚の絶縁性基材で挟んで積層した多層配線板用基材に、前記各導電層間を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板の製造方法であって、前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施す工程と、前記貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置する工程と、前記金属球を加熱により溶融させて前記貫通孔内に充填する工程と、を含む多層配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
この発明は以上のように、少なくとも表裏両面に導電層を備えた多層配線板用基材に前記両導電層間を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔内に層間導通を得るための導電性物質が配置される多層配線板において、前記貫通孔の側面に前処理としてめっきを施し、この貫通孔の表裏いずれかの開口に金属球を配置し加熱により溶融させて貫通孔内に充填したので、層間接続の手段としてめっきを用いる場合に比べて短時間で効率的にバイアホールを形成することができ、しかも、導電性組成物を用いる場合に比べて層間接続部の電気的信頼性を高めることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図6は、この発明による多層配線板の一実施形態を示す説明図であり、この多層配線板1をその製造方法とともに説明する。
【0024】
まず、図1に示すように、配線パターンをなす導電層13を備えた絶縁性基材10を、片面に導電層23を備えた2枚の絶縁性基材20で挟んで積層した多層配線板用基材2を作製する。
【0025】
すなわち、絶縁性基材10は、ポリイミド基材12の片面に銅箔13が接着された片面銅箔付きポリイミド基材の銅箔13を、サブトラクティブ法を用いてエッチングすることで、配線パターンをなす導電層13を片面に備えた回路形成済み配線板11を作製したうえ、この回路形成済み配線板11の導電層13に、接着剤14を介してポリイミドからなるカバー層15を貼り合わせたものである。
【0026】
また、絶縁性基材20は、リジッド板またはポリイミド基材22の片面に銅箔23が接着された片面銅箔付き絶縁性基材21に、積層用に接着剤フィルム24を貼り合わせたものである。
【0027】
そして、これら3枚の絶縁性基材10,20,20を接着剤フィルム24,24によって貼り合わせることで多層配線板用基材2が構成される。
【0028】
つぎに、図2に示すように、この多層配線板用基材2の層間接続が必要な箇所に、レーザ加工またはドリル加工によって層間接続用の貫通孔(バイアホール)3を形成する。
【0029】
つぎに、図3に示すように、この多層配線板用基材2の貫通孔3に、所要のめっき前処理を行ったのち、1〜2μmの厚さのめっき4を施し、層間接続を行う。
【0030】
つぎに、図4に示すように、貫通孔3の上部開口に、ボールプレーサを用いて、貫通孔3の直径より大径の金属球5を載せる。このとき金属球5は、貫通孔3の上部開口内に底部が侵入して位置決めされる。
【0031】
また、金属球5は、部品類の実装に用いられる金属融点よりも高い融点を有する金属が選択される。
【0032】
つぎに、この多層配線板用基材2を高温槽に入れて金属球5を溶融させることで、図5に示すように、金属球5は溶融して貫通孔3に流入し、貫通孔3内に充填されて充填金属6に形を変える。
【0033】
金属球5は、部品類の実装に用いられる金属融点よりも高い融点を有しているから、この金属球5を溶融させるときの高温槽の温度は、部品類の実装に用いられる温度よりも高温に設定される。そのため、金属球5の溶融・充填工程を経て作製された多層配線板1を、その後部品類の実装工程に供した際に、貫通孔3内の充填金属6(元の金属球5)が実装用の温度で溶融する虞れはない。
【0034】
最後に、多層配線板用基材2の表裏両面の銅箔23に回路形成したうえ、絶縁保護層(ソルダーレジスト)7を形成することで、図6に示すように多層配線板1を完成させる。
【0035】
このような多層配線板の製造方法によれば、貫通孔3の上部開口に貫通孔3の直径より大径の金属球5を載せることで、金属球5は、貫通孔3の上部開口内に底部が侵入して自動的に位置決めされる。そのため、位置ズレなどの不都合が発生する不安がない。
【0036】
しかも、このような金属球5を貫通孔3の上部開口に載せることは、ボールプレーサを用いて行うことができるから、生産性の向上とともに歩留まりの向上も実現することが可能である。
【0037】
また、このようにして貫通孔3の上部開口に位置決めした金属球5を溶融させることで、金属球5は貫通孔3に流入し、貫通孔3内に充填されて充填金属6となる。そのため、事前のめっき4により層間接続済みの貫通孔3内の電気的導通を、より確実で安定した状態にして、事前のめっき4に頼らない充填金属6(元の金属球5)による層間接続を確保することができる。
【0038】
そのため、事前のめっき4は、貫通孔3の上部開口に位置決めした金属球5を溶融させたとき、金属球5がスムーズに貫通孔3に流入していく機能だけあれば充分であるから、最低限度の厚さで足りる。
【0039】
したがって、貫通孔3内の事前のめっき4の厚さは1〜2μm程度あればよく、このとき多層配線板用基材2の表裏両面の銅箔23にも形成されてしまうめっき4の厚さを最低限度に抑えることができ、その結果、表裏両面の微細回路にも充分対応することができる。
【0040】
すなわち、この発明に用いるめっき4の厚さは、図7に示す従来のめっき104の厚さに比べてはるかに薄くて済むから、めっき4に要する時間も、従来のめっき104に比べてずっと短時間で済む。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明による多層配線板用基材の一実施形態を示す説明図である。
【図2】多層配線板用基材に貫通孔を形成した様子を示す説明図である。
【図3】貫通孔にめっきを施した様子を示す説明図である。
【図4】貫通孔の上部開口に金属球を載せた様子を示す説明図である。
【図5】金属球を溶融させて貫通孔内に充填した様子を示す説明図である。
【図6】この発明による多層配線板の一実施形態を示す説明図である。
【図7】従来の多層配線板の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 多層配線板
2 多層配線板用基材
3 貫通孔(バイアホール)
4 めっき
5 金属球
6 充填金属
10,20 絶縁性基材
11 回路形成済み配線板(片面銅箔付きポリイミド基材)
12 ポリイミド基材
13 銅箔(配線パターンをなす導電層)
14 接着剤
15 カバー層
21 片面銅箔付き絶縁性基材
22 リジッド板またはポリイミド基材
23 銅箔(導電層)
24 接着剤フィルム
【出願人】 【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
【住所又は居所】東京都江東区木場1丁目5番1号
【出願日】 平成15年9月1日(2003.9.1)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【公開番号】 特開2005−79404(P2005−79404A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−309270(P2003−309270)