| 【発明の名称】 |
評価方法及び評価プログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】中尾 健司
【氏名】白井 幹夫
【氏名】于 強
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| 【要約】 |
【課題】電子部品等の設計工程において、製品の信頼性を評価するために要する時間の短縮を図るとともに、高精度な信頼性評価を行う製品の評価方法及びそのための評価システムを提案する。
【解決手段】整合性確認処理にて、設計データに基づいて製作したテストピースにて加速冷熱サイクル試験を実行して得た評価データと、テストピースに基づいて製作したシミュレーションモデルにて加速冷熱サイクル試験のシミュレーションを実行して得た評価データとを、比較して、テストピースとシミュレーションモデルとの整合性を確認したうえで、信頼性評価処理にて、シミュレーションモデルを用いて通常の冷熱サイクル試験のシミュレーションを実行して、製品の信頼性評価を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製品の設計を行う設計過程と、 設計に基づいてテストピースを製作し、該テストピースに基づいてシミュレーションモデルを作成し、シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを行うとともに、テストピースにて評価試験を行い、これらの試験結果を比較して整合性を確認するテストピースとシミュレーションモデルとの整合性確認過程と、 テストピースとシミュレーションモデルとの整合性確認後に、前記シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを行い、製品の設計品質評価を行う品質評価過程とを、 具備することを特徴とする評価方法。 【請求項2】 前記整合性確認過程において実行する評価試験及び評価試験シミュレーションを、市場環境よりも大きな冷熱温度差で加熱冷却を繰り返す加速冷熱サイクル試験とした、請求項1に記載の評価方法。 【請求項3】 製品の設計情報を取得する処理と、 製品の設計情報に基づき製作したテストピースの情報を取得し、テストピースに基づいてシミュレーションモデルを作成する処理と、 シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを実行する処理と、 テストピースでの評価試験結果と、シミュレーションモデルでの評価試験シミュレーション結果とを比較する処理と、 評価試験結果と評価試験シミュレーション結果との比較処理を行った後に、さらに前記シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを行う処理と、 前記シミュレーション結果より設計評価する処理とを、 コンピュータに実行させることを特徴とする評価プログラム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、設計した製品の品質評価を短期間に行うための評価方法及びその評価プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年では、自動車にも多くの電子機器が用いられている。このような電子機器において、抵抗やコンデンサなどの電子部品をプリント回路基板に接続するためにはんだが使われている。電子部品とプリント回路基板とは、多くの場合、熱膨張係数が異なるため、電子部品の発熱等により電子機器に温度変化による負荷が与えられると、電子部品−はんだ−プリント回路基板の部材間に熱膨張差が生じる。この熱膨張差による変位(歪み)が構造強度上、最も弱いはんだに繰り返しかかると、設計によっては、はんだに亀裂が発生し、電気的不良に至ることがある。 特に、自動車用の電子機器は家電機器と比較して、使用温度環境が過酷であるため、はんだ付け接合部の熱疲労に対する信頼性はより一層重要となる。 はんだ付け接合部の熱疲労に対する信頼性は、はんだ付け接合部の疲労寿命の長さで判断され、はんだ付け接合部の疲労寿命は、はんだ付け接合部のはんだに亀裂等の不具合が生じるまで繰り返される冷熱サイクルの数で表される。 【0003】 はんだ付け接合部の疲労寿命を測定又は予測するための評価試験として、例えば、冷熱サイクル試験による方法が採用される。これは、図8の流れ図に示す如く、製品を設計し(S91)、設計に基づいてテストピースを製作し(S92)、該テストピースに対してJIS規格に準拠した厳しい温度変化の条件で試験対象物の加熱・冷却を繰り返し行う冷熱サイクル試験を実行し(S93)、はんだ付け接合部の疲労寿命を測定して、信頼性を評価する(S94)方法である。 【0004】 この冷熱サイクル試験は実際の電子機器に温度変化を繰り返し与えるという点で有効な方法である。しかし、下記(1)〜(3)の不具合があるため、解析モデルを用いてシミュレーションを行うことで、製品の設計品質評価を代用することが採用されている。 (1)冷熱サイクル試験後、テストピースを断面カットしてクラックの発生状態を検査し、信頼性を評価するが、市場環境に相当する温度プロファイルで試験を行う必要があり、図9に示す如く、一回につき数十分の時間を要する冷熱サイクルを数千回繰り返して試験を行うため、冷熱サイクル試験に数ヶ月相当の期間を要する。これに加え、クラックの発生状態を検査するために数週間相当の期間を要すため、製品開発の初期の段階から試作と試験を繰り返すと、開発期間が非常に長くなってしまう。 (2)はんだの疲労寿命の測定を行う際には、予め設定された所定の冷熱サイクルをクリアするか否かで製品の良否判定を行うため、得られる疲労寿命の分布の信頼度が低い。 (3)冷熱サイクル試験後のテストピースの破壊状況を調べるために、テストピースを断面カットしてクラックを調査するが、ここにおいて、製品の個々の物性値のばらつきまで考慮した場合、多くのテストピース数を要することになるが、テストピースをカットするための工程が煩雑であるため、十分なテストピースの数を得ることが難しい。 これによりテストピースの不足を理由として分布の信頼性が低く、図10に示す如く、テストピースにて行った実験結果により得られた疲労寿命分布に対し、実際の製品の疲労寿命分布の方が大きくばらついて、判定規格に満たないものが存在する恐れがある。 【0005】 例えば、特許文献1に記載の技術では、はんだ組成と、部品形状と、電極構成とが選択可能であって、この選択されたはんだの組成とメタライズの組み合わせごとに寿命算出式が記憶されており、この寿命算出式を用いたシミュレーションが行われることによって、はんだ付け接合部の寿命を予測する技術が提案されている。 【0006】 一方、はんだ付け接合部の劣化寿命を短期間に見極める加速寿命試験方法が提案されている。例えば、特許文献2に記載の技術である。この技術では、一般に、長期間にわたって電子機器を使用した場合、高熱を発する備品のはんだ付け接合部や重量負荷の作用している部品のはんだ付け接合部の方が、より早くはんだ付け接合部の劣化を引き起こすことが知られていることから、冷熱サイクル試験において冷熱温度格差を通常の冷熱サイクル試験よりも大きいものとするとともに、機械的負荷を加えた状態での試験を行って、試験期間の短縮を図っている。 【0007】 また、特願2003−186571号において、本出願人より、個々の製品において発生するはんだ疲労寿命のばらつきを捉えることを可能としたはんだ疲労寿命分布を得ることもできる、製品の信頼性評価方法が提案されている。 【0008】 【特許文献1】特開2001−358460号公報 【特許文献2】特開平9−5229号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 近年では、新しいモデルを製作・発表し、販売するまでのサイクルが短くなってきており、このサイクルの短期化に対応するためには、開発にかかる時間を短縮することが望まれている。しかし、製品の信頼性を評価するために時間を要するため、電子機器の設計に時間がかかってしまうという現状がある。特に車両等においては、電子機器の使用環境が、その他の電化製品等に採用される電子機器と比較して過酷であり、これに加え、車両に搭載される電子機器には極めて高度な信頼性が必要とされるため、冷熱サイクル試験において、なるべく多くの冷熱サイクル数と、できるだけ多くのテストピースにより得られるデータとが必要となるからである。 【0010】 従来のはんだ接合性の信頼性評価は、実際のワークとしてのテストピースを冷熱サイクル試験に供し、その結果を得て評価をしているため、評価に時間・工数がかかる。また、テストピース数に限界があるために、はんだ疲労寿命のばらつきまでをも正確に把握することが困難であった。 【0011】 そこで、本発明においては、実際のワークであるテストピースから得られる製品情報と、シミュレーションにて得られる製品情報との整合性を取ることによって、シミュレーションの信頼性(確かさ)を評価し、これにより、シミュレーションにて得られる結果を製品の信頼性評価とみなし、設計工程における製品の信頼性評価にかかる時間の短縮を図ることを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。 【0013】 即ち、請求項1においては、製品の設計を行う設計過程と、設計に基づいてテストピースを製作し、該テストピースに基づいてシミュレーションモデルを作成し、シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを行うとともに、テストピースにて評価試験を行い、これらの試験結果を比較して整合性を確認するテストピースとシミュレーションモデルとの整合性確認過程と、テストピースとシミュレーションモデルとの整合性確認後に、前記シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを行い、製品の設計品質評価を行う品質評価過程とを、具備する評価方法である。 【0014】 請求項2においては、前記整合性確認過程において実行する評価試験及び評価試験シミュレーションを、市場環境よりも大きな冷熱温度差で加熱冷却を繰り返す加速冷熱サイクル試験としたものである。 【0015】 請求項3においては、製品の設計情報を取得する処理と、製品の設計情報に基づき製作したテストピースの情報を取得し、テストピースに基づいてシミュレーションモデルを作成する処理と、シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを実行する処理と、テストピースでの評価試験結果と、シミュレーションモデルでの評価試験シミュレーション結果とを比較する処理と、評価試験結果と評価試験シミュレーション結果との比較処理を行った後に、さらに前記シミュレーションモデルにて評価試験シミュレーションを行う処理と、前記シミュレーション結果より設計評価する処理とを、コンピュータに実行させる評価プログラムである。 【発明の効果】 【0016】 本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。 【0017】 請求項1においては、実際のワークであるテストピースと、該テストピースのシミュレーションモデルとの整合性を確認し、シミュレーションモデルのアルゴリズムの正確性を確認した上で、シミュレーションモデルを用いてシミュレーションにて品質評価試験を行うことができるので、シミュレーションの信頼性を高めることができ、シミュレーションで信頼性を評価できるため、実際のテストピースにて試験を行うときと比較して、短期間で試験を終えることができ、また、十分な試験サンプル数を得ることができて正確な評価を行うことができる。すなわち、試験期間の短縮と工数の低減を図ることができる。 【0018】 請求項2においては、加速することのできる温度と負荷の試験条件を加速し、試験を行うことで、短期間で試験結果を得ることができ、短期間でテストピースとシミュレーションモデルとの整合性を判断することができる。 【0019】 請求項3においては、実際のワークであるテストピースと、該テストピースのシミュレーションモデルとの整合性を確認し、シミュレーションモデルのアルゴリズムの正確性を確認した上で、シミュレーションモデルを用いてシミュレーションにて品質評価試験を行うことができるので、シミュレーションの信頼性を高めることができ、シミュレーションで信頼性を評価できるため、実際のテストピースにて試験を行うときと比較して、短期間で試験を終えることができ、また、十分な試験サンプル数を得ることができて正確な評価を行うことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 次に、発明の実施の形態を説明する。 図1は本発明に係る評価システムの全体的な構成を示した図、図2は設計工程における評価方法の流れを示す図、図3は評価プログラムの流れを示す図、図4は整合性確認プログラムの流れを示す図、図5は信頼性評価プログラムの流れを示す図、図6は疲労寿命シミュレーションの流れを示す図、図7は疲労寿命の一例を示す図である。 図8は従来のはんだ寿命評価方法の流れを示す図、図9は従来の信頼性評価試験の流れを示す図、図10は従来の信頼性評価試験における疲労寿命の一例を示す図である。 【0021】 まず、本発明に係る評価方法について説明する。 図2に示す如く、評価方法による信頼性の評価は、製品の設計工程において実行されるものであって、該設計工程は、大概して、設計過程(S10)と、整合性確認過程(S11)と、信頼性評価過程(S12)とから成り、これら設計工程が終了し、信頼性評価過程(S12)において製品の信頼性が確認されれば、製造工程に移行される。 【0022】 設計過程(S10)では、製品である電子機器の設計が行われる。ここで、製品の大きさや材料等が一時的に決定され、製品のテストピースが製作される。 整合性確認過程(S11)は、前記設計過程(S10)において製作されたテストピースに対して、実際に評価試験としての冷熱サイクル試験を行ったときに得られる結果と、テストピースに基づいて作成されたシミュレーションモデルにおいてシミュレーションにて冷熱サイクル試験を行ったときに得られる結果との、整合性を確認するための過程である。これによって、シミュレーションモデルの確かさが判断される。整合性が確認できない場合は、整合性が確認できるまでシミュレーションモデルの調整が行われることとなる。 信頼性評価過程(S12)は、設計過程(S10)において設計された製品の、信頼性を評価するための過程である。製品にはその物性値のばらつきにより個々の製品においてはんだ疲労寿命に誤差が生じる。このはんだ疲労寿命を評価するためのシミュレーションを行い、このシミュレーションにて得られた結果より、製品の信頼性を評価する。 なお、ここで『はんだ疲労寿命』とは、冷熱サイクルを繰り返すことにより、はんだに亀裂等の不具合が生じる冷熱サイクル数とする。 【0023】 前記評価方法を実行するための評価システムは、図1に示す如く、処理装置10と、冷熱サイクル試験を実行して試験結果を得るための冷熱サイクル試験装置16と、製品の形状を読み取るとともに形状データとして処理するための形状読取装置17と、製品の設計を行うためのCAD等の設計システム装置19等で構成される。これらの装置10・16・17・19は、それぞれが通信手段18にて接続されている。すなわち、各装置10・16・17・19は通信手段18を介して互いに双方向通信可能である。 なお、これらの処理装置10と、冷熱サイクル試験装置16と、形状読取装置17と、設計システム装置19とに備えられたコンピュータは汎用的なコンピュータを利用することができ、詳細なハードウエアの説明は省略する。 【0024】 前記処理装置10は、演算処理手段11と、入力手段12と、出力手段13と、通信制御手段14と、記憶手段15等で構成され、これらの各手段はバスを介して接続され、入力手段12、出力手段13、通信制御手段14及び記憶手段15は、演算処理手段11により制御されている。 【0025】 前記演算処理手段11は、CPU(中央処理装置)であって、演算処理及び処理装置10の実行制御を行うとともに、周辺機器の制御を実行する機能を果たす手段である。 前記入力手段12は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等であり、演算処理手段11に対して情報を入力したり、記憶手段15に情報を入力したりする機能を果たす手段である。 前記出力手段13は、例えば、ディスプレイや印字プリンタ等であって、演算処理手段11において、算出された結果を表示出力する機能を果たす手段である。また、ユーザに対して、入力を必要とする情報の表示等を行うための機能を果たす手段である。 前記通信制御手段14は、冷熱サイクル試験装置16や形状読取装置17等の処理装置10に接続された装置との情報の出入力を可能とし、情報の伝達を制御する機能を果たす手段である。 【0026】 記憶手段15には、処理装置10を運用する際に必要な各種データがデータベースとして登録されており、さらに、入力手段12にて入力された各種データを取得して蓄積可能であると共に、適宜蓄積データを出力することが可能とされている。記憶手段15は、データの書き込みと読み出しとを行うことができる記憶媒体であれば良く、ハードディスクドライブやRAMやROM等の種々の媒体を使用可能である。 データベースには、評価プログラムと、整合性確認プログラムと、信頼性評価プログラム等の、処理装置10にて設計評価処理を実行する際に必要なプログラムが蓄積されており、演算処理手段11により適宜これらのプログラムが読み出され、実行される。 【0027】 そして、処理装置10では演算処理手段11の出力する制御信号によって制御され、また、演算処理手段11に対してデータが出力される。すなわち、処理装置10はROMやRAMと共にプログラム実行環境を形成しており、演算処理手段11が評価プログラムを実行しつつ、演算処理手段11がプログラムに従って所定の演算処理を実行することにより、設計評価処理が行われ、処理中に必要なデータが記憶手段15に対して出入力され、また、通信手段18を介して外部へ出入力可能に構成されている。 【0028】 図3は、評価システムを構成する処理装置10において実行される評価プログラムの流れを示す図である。 設計工程が開始されて、評価プログラムが実行され、CAD等の設計システム装置19において製品の設計が行われて設計データが作成され、この設計データが記憶手段15に取得されて蓄積されると(S21)、その設計データに基づいて複数のテストピース(試験品)が製作される(S22)。 【0029】 なお、演算処理手段11は設計システム装置19と通信手段18を介して接続可能であり、設計システム装置19にて設計された製品の情報を通信手段18を介して演算処理手段11に出力することも、また、演算処理手段11にて演算処理された情報を設計システム装置19に出力することもできる。 さらに、処理装置10に設計機能を有するソフトをインストールして処理装置10に設計システム装置19としての機能を備えて、処理装置10にて製品の設計を行うように構成することもできる。この場合、演算処理手段11における演算処理によって製品の設計データを形成し、直に記憶手段15に設計データを保存することができる。 このように、演算処理手段11と設計システム装置19との間で、情報を入出力可能な状態とすることで、後述するシミュレーションモデルの情報を、処理装置10より設計システム装置19に出力して、そのまま製品の設計に使用することができる。 【0030】 テストピースの形状や材料等の物性に関するテストピースデータは、形状読取装置17にて読み取られたテストピースの形状や、予め入力手段12にて入力されて記憶手段15に蓄積されているデータ等を利用して構築され、記憶手段15にファイルされた状態で格納される。このテストピースデータは、設計過程(S10)の次の過程である、整合性確認過程(S11)にて読み出されて利用される。なお、テストピースデータとして、前記設計データを利用することも、また、設計データに基づいて作成された別データを使用することもできる。 【0031】 続いて、整合性確認処理が開始され(S30)、整合性確認プログラムが実行される。これに続いて、信頼性評価処理が開始され(S50)、信頼性評価プログラムが実行される。信頼性評価処理が終了すれば、設計工程を終了し、製造工程へ移行する。 なお、本実施例においては、設計工程において実行される評価プログラム内に、整合性確認プログラム及び信頼性評価プログラムが具備され、これらが連続して実行されるように構成されているが、これらを独立して実行することもできる。また、製品の設計段階と、整合性確認処理との間に別の過程を挿入することもでき、必ずしもこれらが連続している必要はない。 【0032】 図4は、処理装置10において実行される整合性確認プログラムの流れを示す図である。 整合性確認プログラムは、テストピースにて試験を行う実試験ルートと、テストピースに基づいて製作されたシミュレーションモデルにて試験シミュレーションを行うシミュレーションルートに、分岐されている。 【0033】 整合性確認処理(S30)において、整合性確認プログラムが実行されると(S31)、シミュレーションルートでは、設計過程(S10)において製作されたテストピースの形状等の物性情報であるテストピースデータが記憶手段15より読み出されて(S34)、該テストピースデータに基づいてシミュレーションモデルが作成される(S35)。 シミュレーションモデルの情報は形状データとして、出力手段13としてのディスプレイに表示可能とされている。これにより、シミュレーションモデルの各パラメータがもっともらしい値となっているか否か等、事後的に確認することができる。また、出力手段13としてのプリンタで、シミュレーションモデルの情報を印字出力することもできる。このように、シミュレーションモデルの情報を出力して確認したのち、入力手段12にて情報を変更操作して、シミュレーションモデルの調整を図ることが可能である。 【0034】 続いて、上述の如く作成したシュミレーションモデルにおいて、冷熱サイクル試験のシミュレーションが実行される(S36)。このシミュレーションにて得られたシミュレーション結果は、シミュレーションモデル評価データとして、記憶手段15に蓄積される(S37)。 【0035】 一方、シミュレーションに並行して実行される実試験ルートでは、設計過程(S10)において製作されたテストピースに対して、冷熱サイクル試験が行われる。 冷熱サイクル試験では、テストピースの加熱・冷却を所定サイクル繰り返し、テストピースのはんだ付け接合部を断面カットしてテストピースに生じたクラックや皺等の有無を電子顕微鏡にて観察することにより、はんだの疲労破断(亀裂)の検出が行われる。この冷熱サイクル試験により得られた結果は、処理装置10の入力手段12を介して入力されて取得され(S32)、テストピース評価データとして、記憶手段15に蓄積される(S33)。 なお、冷熱サイクル試験のための冷熱サイクル試験装置16と、処理装置10とを通信手段18を介して接続し、テストピース評価データを、通信手段18を介して記憶手段15に入力したり、後述する比較演算処理の際に直接冷熱サイクル試験装置16よりテストピース評価データを読み出すように構成したりすることもできる。 【0036】 上述の如く、シミュレーションモデル評価データとテストピース評価データとが得られれば、これらの評価データの比較演算処理が行われる(S38)。これらの、シミュレーションモデル評価データとテストピース評価データとを比較してその相関係数を算出することにより、相関係数の値に基づいて、シミュレーションモデル評価データとテストピース評価データとの整合性が取れているか否かが判断される。整合性を評価する相関係数の値の閾値は予め入力され設定されている。 【0037】 整合性確認過程にてテストピースとシミュレーションモデルの整合性が確認されれば、シミュレーションモデルのアルゴリズムの正当性が評価されたものとして、次の過程である信頼性評価過程(S12)に移行する。 整合性が確認されなければ、シミュレーションモデルのための補正データを取得したのち(S40)、再度シミュレーションモデルの作成が行われ(S35)、このシミュレーションモデルにてシミュレーションが行われ(S36)、テストピースとシミュレーションモデルの整合性の確認が行われ(S38)、整合性が確認されるまでシミュレーションモデルの作成とシミュレーションが繰り返される。 【0038】 なお、シミュレーションルートと実試験ルートのいずれにおいても、前記冷熱サイクル試験は、加速冷熱サイクル試験とする。これは、通常の冷熱サイクル試験よりも、冷熱の温度変化を大きくし、且つ、試験対象物に機械的負荷を与えた状態で行う冷熱サイクル試験である。 【0039】 シミュレーションモデルとテストピースとの整合性確認のために、従来の市場環境に相当する温度幅の冷熱サイクル試験をテストピースで行うのでは、期間短縮を見込めない。 そこで、冷熱サイクル試験は温度幅を広くした加速試験とするほど低サイクル数で寿命に達し、短期間で試験を行うことができるため、この加速冷熱サイクル試験をテストピースとシミュレーションモデルとで実施することによって、短期間でシミュレーションモデルとテストピースとの整合性を確認することを可能としている。 【0040】 なお、ここで「市場環境」とは製品である電子機器が実際に使用される環境を指す。例えば、製品である電子機器が車両に搭載されるものである場合、その温度環境は最低外気温(A℃)からエンジン始動後の最高気温(B℃)まで変化するため、「市場環境」はA℃〜B℃の間で加熱・冷却を繰り返す環境である。従って、加速冷熱サイクル試験では、A℃〜B℃よりも大きい温度格差(例えば、A−α℃からB+β℃、0<α、β)で加熱・冷却を所定サイクル繰り返す試験が行われる。 【0041】 図5は、処理装置10において実行される信頼性評価プログラムの流れを示す図である。 信頼性評価処理(S50)において、信頼性評価プログラムが実行されると(S51)、信頼性評価を行うために、はんだ付け接合部の疲労寿命を得るシミュレーションが開始される(S52)。 【0042】 信頼性評価過程(S12)では、前記整合性確認過程(S11)において、アルゴリズムの正当性が評価されたシミュレーションモデルを用いて、JIS規格に準拠した温度変化(通常の市場環境に相当する温度変化)の条件で試験対象物の加熱・冷却を繰り返す冷熱サイクル試験のシミュレーションが行われる。 すなわち、前記整合性確認過程(S11)において、シミュレーションモデルとテストピースとの整合性が確認され、シミュレーションモデルのアルゴリズムの正当性が確認されているため、このシミュレーションモデルを用いて、シミュレーションを行えば、テストピースと略同様の試験結果を得ることが確認されていると判断することができる。従って、これ以後の評価方法においては、テストピースで試験を行うのではなく、シミュレーションモデルを用いてシミュレーションを行うことにより、製品の信頼性評価を行うものとしている。 このシミュレーション結果は、テストピースで実際に試験を行ったときと略同様の結果を得ることが十分な根拠を持って期待することができる。 また、シミュレーションで信頼性評価を行うことによって、テストピースを試験するときと比較して、信頼性評価試験にかかる時間を短縮することができるとともに、結果としての疲労サイクル数を信頼できる程度に十分なサンプル数を得ることが容易となる。 【0043】 このように、予めシミュレーションモデルのアルゴリズムの正当性を確認した上で、信頼性評価のための冷熱サイクル試験の代わりにシミュレーションを行い、はんだ寿命のばらつきを予測することで、信頼性評価に係る期間の短縮とコスト低減を図ることが可能となる。 これに加え、従来、テストピースのサンプル数の都合により把握が困難であったはんだ寿命のばらつきを、十分なサンプル数を与えたシミュレーションにて高精度に求めることができる。 【0044】 シミュレーションにて、はんだ付け接合部の疲労寿命のばらつき分布を得る方法は、以下に示す如くである。 すなわち、図6に示す如く、温度変化により発生するはんだ付け接合部の歪みが、個々の製品によってばらつく原因となる因子を抽出し(S60)、抽出した因子から主因子を特定するための実験計画を作成してシミュレーションし(S61)、得られた結果より主因子を特定し(S62)、実験値より主因子の値のばらつきを得て実験計画を作成し(S63)、主因子をパラメータとして有限要素法解析に基づく歪みのシミュレーションを行い(S64)、その結果より応答曲面法に基づいて疲労寿命予測式を導出し(S65)、この予測式を用いて、疲労寿命を目的変数とし、主因子を入力パラメータとし、主因子の値のばらつきに対してモンテカルロ・シュミレーションを行い、疲労寿命のばらつき分布を得るのである(S66)。 【0045】 但し、シミュレーションにて、はんだ付け接合部の疲労寿命を得る方法として、有限要素法(FEM)に基づく解析によって、はんだ付け接合部に発生する非弾性歪みの変化を計算するシミュレーションを行い、はんだ付け接合部の疲労寿命を予測する方法を採用することもできる。 【0046】 そして、シミュレーションによって得られる、はんだ付け接合部の疲労寿命の分布より、製品の信頼性の評価を行う(S53)。信頼性の評価において、信頼性があると判断されるためには、図7に示す如く、はんだ付け接合部の疲労寿命と冷熱サイクル数を示す図表において、疲労寿命の分布が、所定の判定規格値以上であることが必要となる。 製品の信頼性の評価において、信頼性があると判断されれば、信頼性評価プログラムを終了し、製造工程へ移行する。この際に、信頼性があると判断された製品のテストピースデータを、出力手段13としてのディスプレイに表示したり、プリンタに印字出力したりすることができる。また、テストピースデータを処理装置10より設計システム装置19に出力することができる。 【0047】 また、製品の信頼性の評価において、信頼性がないと判断されれば、再設計ルーチンに移行し、出力手段13としてのディスプレイ上に表示されたテストピースデータに対して、補正等の情報が入力手段12を介して入力され演算処理手段11に取得され、再度演算処理されて作成された新たなテストピースデータが、記憶手段15に格納されることによって再設計が為される(S54)。そして、該テストピースデータに基づいて新たにシミュレーションモデルが作成され(S55)、再度シミュレーションが実行される(S52)。そして、再度、製品の信頼性の評価が行われる(S53)。この再設計ルーチンは、製品の信頼性の評価において、信頼性があると評価されるまで繰り返される。 【0048】 なお、本発明に係る製品の品質評価方法は、はんだ付け接合部の疲労寿命に対する製品の品質評価に限定されるものではなく、同規格の部品により成る製品が、複数種類生産され、その各製品において品質保証が必要であるものに対応させることができる。例えば、一旦、整合性が確認されたシミュレーションモデル及びシミュレーションのアルゴリズムは、同様の形状の部品及び同様の構成の製品であれば、一部のパラメータを変更するのみで、適応させることが可能であることがある。この場合、基本となる形状の製品のシミュレーションモデル及びシミュレーションのアルゴリズムを確立すれば、他の類似する構成の製品に応用させることができ、製品の信頼性評価に係る期間やコストの低減を図ることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0049】 【図1】本発明に係る評価システムの全体的な構成を示した図。 【図2】設計工程における評価方法の流れを示す図。 【図3】評価プログラムの流れを示す図。 【図4】整合性確認プログラムの流れを示す図。 【図5】信頼性評価プログラムの流れを示す図。 【図6】疲労寿命シミュレーションの流れを示す図。 【図7】疲労寿命の一例を示す図。 【図8】従来のはんだ寿命評価方法の流れを示す図。 【図9】従来の信頼性評価試験の流れを示す図。 【図10】従来の信頼性評価試験における疲労寿命の一例を示す図。 【符号の説明】 【0050】 10 処理装置 11 演算処理手段 12 入力手段 13 出力手段 14 通信制御手段 15 記憶手段 18 通信手段 19 設計システム装置
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成15年9月1日(2003.9.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2005−79403(P2005−79403A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月24日(2005.3.24) |
| 【出願番号】 |
特願2003−309265(P2003−309265) |
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